2023年はプラネタリウムが発明されて100周年 episode artwork

EPISODE · Dec 8, 2023 · 8 MIN

2023年はプラネタリウムが発明されて100周年

from ソラジオトーク from OKAYAMA · host FM岡山

ソラジオトーク from OKAYAMAへようこそライフパーク倉敷科学センター プラネタリウムの解説をしている三島です。今回のテーマは、「2023年はプラネタリウムが発明されて100周年」でしたね。2023年はドイツで世界初の近代プラネタリウムが発明されてから、100周年の記念の年です。プラネタリウムとは、プラネット(Planets、惑星のこと)の動きを表現する機械という意味を含んでいます。現代のプラネタリウムは、丸いドームスクリーンに実際とそっくりの星空を投影して、太陽や月、惑星の動きや、ひと晩の星空の変化や、季節による星空の移り変わりなどを再現することができる装置のことです。プラネタリウムには二つのルーツがあるといいます。惑星の過去、未来の位置を再現できる「惑星運行儀」と、球体に星の見え方を示してくれる「天体儀」です。この二つを同流させる画期的なアイデア、近代プラネタリウムはドイツで発明されました。今から100年前、20世紀が始まったころ、科学技術は急速な進歩を遂げていました。写真や電話が発明されたり、レントゲンや抗生物質を使った新薬などを使って、多くの人が亡くなった病気の治療法が確立するなど、人々の暮らしは劇的に変化して、科学が切り開く未来に大きな期待を寄せられていました。当時の科学技術の先進国はドイツでした。1906年、科学技術を展示する博物館を建設しようとしていた、電気工学者の「オスカー・フォン・ミラー」は、最先端の天文学を紹介する目玉となる展示のアイデアに困っていました。相談を受けたドイツのカール・ツァイス社は、レンズを使ったカメラレンズや顕微鏡作りでたいへん評価の高い会社でした。ツァイス社の技術者もこのリクエストには頭を悩ませたといいます。結果、惑星儀と天球儀の二つの展示をどこの国にもないサイズで大がかりに作ろうという案がまとまりかけます。しかし、それに納得しない一人のエンジニアがいました。光学技術者の「ウォルター・バウアスフェルド」です。得意なレンズ技術と映画の技術を応用して、丸いドームスクリーンに星や惑星を投影したほうが、装置も小さくてすむし、一度に大勢の人が体験できるはずだ。彼のこの画期的なアイデアはプラネタリウムと呼ばれました。惑星の動きの法則を、歯車仕掛けの装置に組み込むという技術は、なかなかハードルが高いものでしたが、彼は4年でこの仕事を成し遂げます。ドイツのミュンヘンで行われた関係者向けの試写会が世界最初のプラネタリウム投映といわれています。今からちょうど100年前、1923年10月21日のことです。完成したプラネタリウムはツァイス1型と名付けられ、1等星から6等星までの4500個の星や天の川、太陽や月、5つの惑星の動きをドームに投映することができました。このプラネタリウムという新発明は「奇跡」と絶賛され、翌年に行われた一般向けの特別公開では、プラネタリウムの星空を一目見ようと、数万人が行列をなしたといいます。ツァイス1型はドイツの星空に限定されていたため、改良が加えられたツァイス2型では、地球上のあらゆる場所の星空を再現する能力を与えられました。これにより、世界の国々は競うようにプラネタリウムを設置していきます。日本で初めてのプラネタリウムは発明から14年後の1937年。世界で25番目。大阪市電気科学館に導入されたのが最初でした。一方で、オランダにも、興味深いエピソードがあります。ドイツで近代的プラネタリウムが発明される、もっと前の18世紀。惑星直列がこの世の破滅をもたらすかもしれないというデマが広がりました。正しい宇宙の知識を人々に伝えなければならないと考えた、オランダの実業家でもあり、熱心な天文家でもあった、「エイセ・アイジンガー」は、なんと自宅の天井裏を改造して、歯車などの機械仕掛けで過去、未来の惑星の位置を正しく再現することができる、自宅のリビングまるごと太陽系展示にしてしまったような大がかりな装置を発明しました。彼はこれを「プラネタリウム」と名付けました。「プラネタリウム」と名乗った世界で最初の装置となりますが、ドームスクリーンに星を映し出す近代的なプラネタリウムとは仕組みが異なるため、一般的なプラネタリウムとは区別されています。しかし当時、科学の普及を目指して、一般市民に公開する目的で発明されたこの装置は科学博物館につながる文化の先駆けとして高く評価され、今年2023年、世界遺産に登録されました。アイジンガーのプラネタリウムは、今もオランダで公開されていて、現在の正確な惑星の動きを刻み続けています。さて、世界でレンズを使ったプラネタリウムを作ることができる会社は、世界で5つとも6つとも言われていますが、そのうち3社は日本にあります。いずれも高い技術が評価される会社で、日本はプラネタリウム先進国と言っていいと思います。世界で最も大きなプラネタリウムは日本にあります。名古屋市科学館のドームスクリーンの直径は35mあります。中国地方で最も大きい、倉敷科学センターが21mですから、その1.7倍ですね。日本でも最も古い現役プラネタリウムは、明石市立天文科学館です。63年前のプラネタリウム投影機による星空投映が、今も人気を集めています。このほか、新しい挑戦も始まっていて、プラネタリウムの投影機そのものがすでになくなっていて、ドーム全体がLEDディスプレイになっている次世代プラネタリウムもすでに2年前から公開が始まっています。日本国内のプラネタリウムは47都道府県すべてに設置されていて、現在300近いプラネタリウムが可動しています。その数はアメリカに次ぐ、世界第2位です。しかし、国土が狭い日本ですから、その密度でいえば、世界中のどの国と比べても群を抜いて高いといえます。おそらく、外国の人に「プラネタリウムが最も好きなのは、どこの国民?」と聞かれたら「日本人でしょ」と答えるはずです。

ソラジオトーク from OKAYAMAへようこそライフパーク倉敷科学センター プラネタリウムの解説をしている三島です。今回のテーマは、「2023年はプラネタリウムが発明されて100周年」でしたね。2023年はドイツで世界初の近代プラネタリウムが発明されてから、100周年の記念の年です。プラネタリウムとは、プラネット(Planets、惑星のこと)の動きを表現する機械という意味を含んでいます。現代のプラネタリウムは、丸いドームスクリーンに実際とそっくりの星空を投影して、太陽や月、惑星の動きや、ひと晩の星空の変化や、季節による星空の移り変わりなどを再現することができる装置のことです。プラネタリウムには二つのルーツがあるといいます。惑星の過去、未来の位置を再現できる「惑星運行儀」と、球体に星の見え方を示してくれる「天体儀」です。この二つを同流させる画期的なアイデア、近代プラネタリウムはドイツで発明されました。今から100年前、20世紀が始まったころ、科学技術は急速な進歩を遂げていました。写真や電話が発明されたり、レントゲンや抗生物質を使った新薬などを使って、多くの人が亡くなった病気の治療法が確立するなど、人々の暮らしは劇的に変化して、科学が切り開く未来に大きな期待を寄せられていました。当時の科学技術の先進国はドイツでした。1906年、科学技術を展示する博物館を建設しようとしていた、電気工学者の「オスカー・フォン・ミラー」は、最先端の天文学を紹介する目玉となる展示のアイデアに困っていました。相談を受けたドイツのカール・ツァイス社は、レンズを使ったカメラレンズや顕微鏡作りでたいへん評価の高い会社でした。ツァイス社の技術者もこのリクエストには頭を悩ませたといいます。結果、惑星儀と天球儀の二つの展示をどこの国にもないサイズで大がかりに作ろうという案がまとまりかけます。しかし、それに納得しない一人のエンジニアがいました。光学技術者の「ウォルター・バウアスフェルド」です。得意なレンズ技術と映画の技術を応用して、丸いドームスクリーンに星や惑星を投影したほうが、装置も小さくてすむし、一度に大勢の人が体験できるはずだ。彼のこの画期的なアイデアはプラネタリウムと呼ばれました。惑星の動きの法則を、歯車仕掛けの装置に組み込むという技術は、なかなかハードルが高いものでしたが、彼は4年でこの仕事を成し遂げます。ドイツのミュンヘンで行われた関係者向けの試写会が世界最初のプラネタリウム投映といわれています。今からちょうど100年前、1923年10月21日のことです。完成したプラネタリウムはツァイス1型と名付けられ、1等星から6等星までの4500個の星や天の川、太陽や月、5つの惑星の動きをドームに投映することができました。このプラネタリウムという新発明は「奇跡」と絶賛され、翌年に行われた一般向けの特別公開では、プラネタリウムの星空を一目見ようと、数万人が行列をなしたといいます。ツァイス1型はドイツの星空に限定されていたため、改良が加えられたツァイス2型では、地球上のあらゆる場所の星空を再現する能力を与えられました。これにより、世界の国々は競うようにプラネタリウムを設置していきます。日本で初めてのプラネタリウムは発明から14年後の1937年。世界で25番目。大阪市電気科学館に導入されたのが最初でした。一方で、オランダにも、興味深いエピソードがあります。ドイツで近代的プラネタリウムが発明される、もっと前の18世紀。惑星直列がこの世の破滅をもたらすかもしれないというデマが広がりました。正しい宇宙の知識を人々に伝えなければならないと考えた、オランダの実業家でもあり、熱心な天文家でもあった、「エイセ・アイジンガー」は、なんと自宅の天井裏を改造して、歯車などの機械仕掛けで過去、未来の惑星の位置を正しく再現することができる、自宅のリビングまるごと太陽系展示にしてしまったような大がかりな装置を発明しました。彼はこれを「プラネタリウム」と名付けました。「プラネタリウム」と名乗った世界で最初の装置となりますが、ドームスクリーンに星を映し出す近代的なプラネタリウムとは仕組みが異なるため、一般的なプラネタリウムとは区別されています。しかし当時、科学の普及を目指して、一般市民に公開する目的で発明されたこの装置は科学博物館につながる文化の先駆けとして高く評価され、今年2023年、世界遺産に登録されました。アイジンガーのプラネタリウムは、今もオランダで公開されていて、現在の正確な惑星の動きを刻み続けています。さて、世界でレンズを使ったプラネタリウムを作ることができる会社は、世界で5つとも6つとも言われていますが、そのうち3社は日本にあります。いずれも高い技術が評価される会社で、日本はプラネタリウム先進国と言っていいと思います。世界で最も大きなプラネタリウムは日本にあります。名古屋市科学館のドームスクリーンの直径は35mあります。中国地方で最も大きい、倉敷科学センターが21mですから、その1.7倍ですね。日本でも最も古い現役プラネタリウムは、明石市立天文科学館です。63年前のプラネタリウム投影機による星空投映が、今も人気を集めています。このほか、新しい挑戦も始まっていて、プラネタリウムの投影機そのものがすでになくなっていて、ドーム全体がLEDディスプレイになっている次世代プラネタリウムもすでに2年前から公開が始まっています。日本国内のプラネタリウムは47都道府県すべてに設置されていて、現在300近いプラネタリウムが可動しています。その数はアメリカに次ぐ、世界第2位です。しかし、国土が狭い日本ですから、その密度でいえば、世界中のどの国と比べても群を抜いて高いといえます。おそらく、外国の人に「プラネタリウムが最も好きなのは、どこの国民?」と聞かれたら「日本人でしょ」と答えるはずです。

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This episode was published on December 8, 2023.

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