EPISODE · May 31, 2026 · 21 MIN
ボイスドラマ「グンマから始まる物語」
from グンマから始まる物語 · host Ks
東京で働くインテリアコーディネーター・紅愛。群馬県前橋市で暮らしながら東京へ通う彼女と、下北沢で夢を追う海斗。クリスマスの丸の内から始まる二人の物語は、やがて尾瀬のふもと・片品村へ。群馬の自然、暮らし、人の温かさを描いた恋愛ボイスドラマです。【ペルソナ】・紅愛(クレア/28歳)=週2日(火・木)だけ東京の本社へ出社し、残りは前橋の自宅でリモートワーク。ハウスメーカーに所属するインテリアコーディネーター。実家は片品村という超田舎。大学は都内の美大で「空間ディスプレイデザイン学科」。卒業後はインテリコーディネーターとして、前橋の空き家をリノベしながら一人暮らし。新幹線(上越・北陸新幹線)や高崎線(グリーン車)を通勤手段&第二のオフィスとして使いこなす・海斗(カイト/24歳)=東京(京王井の頭線・小田急線沿線の下北沢)に住み、おしゃれなカフェでアルバイト中。独学でVTuberを目指しているが芽が出ず、実家(名古屋)からの仕送り米に頼ることも・紅愛の母(56歳)=春から夏にかけては高原野菜を育てる農業従事者、冬はスノーパーク尾瀬戸倉スキー場で働く【プロローグ:2025年12月24日/丸の内仲通り・ブライトンビル周辺】◾️SE:クリスマスの雑踏「紅愛、今度紅愛の実家へ遊びに行っていい?」海斗が突然そんなことを言い出したのは、去年のクリスマスだった。「以前さあ、チョー田舎だけどいいところだって言ってたじゃん」そんなこと、言ったっけ。「オゼ・・って言うんだろ」ちゃんと覚えてるんだ。「そんなイイところなら、行ってみたいなって」照れくさそうに横を向いて笑う。海斗とは付き合い始めて、そろそろ1年。24歳のフリーター。私より4つ年下。お茶の水のカフェでバイトしてる。いまは、CGアニメーションを独学で勉強中。クリエイター系のVTuberを目指してるんだって。そんなん、独学でなれるものなのかしら。「ちょっと、紅愛。聞いてる?」「あ・・・うん。実家ね・・・まあ・・考えとく」「なんだよ、それ」え〜。本気で言ってるのか。「年明け最初の土日とかどう?」「あー、来年早々は結構仕事詰んでるから、ムズいかな」「まじ?ホントに?」うそ。でもまだ、なんか、そういう気分じゃないんだよなあ。心構えができてないっていうか・・・「インテリアコーディネーターって、大変なんだなあ」そう。私はインテリアコーディネーター。都内の美大で「空間ディスプレイデザイン」を学び、卒業後は都内のハウスメーカーで働いてる。出勤は週2日。火曜と木曜。あとはリモートワークで過ごす。住んでいるのは、群馬県の前橋。空き家をリノベしながら一人暮らし。新幹線も高崎に停まるし、高崎線でもグリーン車使えば通勤も快適。通勤費用はまるまる会社が出してくれるし。「いつならいいの?オゼ、行くのって」まだ言うか。尾瀬、尾瀬って、なんも知らんくせに。って、当たり前か。私の実家は、片品村(かたしなむら)。と言ってもわかる人少ないよね。尾瀬の湿原・・有名っちゃ有名だけど。なんせ鉄道の通っていない村だから。最寄駅の沼田駅までバスで1時間。さすがに東京の大学へは通えないから、前橋でアパート借りて一人暮らし。卒業後は、同じ前橋市内で空き家を探してリノベした。「今夜は泊まっていけるんでしょ?イブだし・・・」「う〜ん・・・ちょっと無理かな。海斗んち、下北沢でしょ。乗り換え時間とか考えたら、前橋まで2時間以上かかるもん。明日早いし・・」「早いって、リモートワークだろ。ボクのアパートからMTG(ミーティング)とかすればいいじゃん」「そういうの嫌なの。バタバタと朝帰りするのももっといや」「真面目かよ」ぶつくさ言いながらも、海斗は渋々折れた。こういうあとを引かないとこ、好きよ。年下だけど。ふふ・・結局、私は最終の新幹線で帰ることにした。新幹線で東京から高崎までたった1時間。時間までたっぷりイブを楽しんだ。有楽町から大手町まで続く街路樹。上品な「シャンパンゴールド」の光に包まれた、大人な場所。1週間前、イブをどこで過ごすかを、2人で考えた。王道の恵比寿ガーデンプレイスか、“ザ・トウキョー”って感じの六本木ヒルズ・けやき坂か。私たちが選んだのは・・ってか私が決めたのは、丸の内仲通り・ブライトンビル周辺。私は会社から歩いて来られる距離だし、海斗もお茶の水のカフェから中央線で5分。ホントは、お金持ってない海斗のために、あまり無駄使いしなくていい場所にしたかったんだ。私?私はそこそこ持ってるけど、海斗の顔を立ててあげないとね。イブなんだし。まばゆいばかりのイルミネーション。ラグジュアリーブランドの路面店。オシャレなオープンカフェ。ゴールドの光が照らす石畳。私は海斗の腕を組んで歩く。海斗はまだちょっとぎこちない。それをからかうように、私は身体を寄せる。オープンカフェでアールグレイを飲み、東京駅へ。ライトアップされた丸の内駅舎。息を呑むほど美しい。って、ここが一番美しいクリスマススポットなんじゃない?1秒でも一緒にいたい海斗は、新幹線の入口まで私を見送る。後ろ髪を引かれるように、私はホームへと上っていった。【シーン1:2026年1月/前橋/紅愛のリノベ住宅】◾️SE:朝の小鳥のさえずりと工具を叩く音/電話の着信音「もしもし・・・あ、かあさん?」「うん、ごめんね。大晦日と年末年始は帰ろうと思ったんだけど・・」「え・・うん・・そう・・リノベ。ここ、元々空き家だったじゃない。女の子が一人暮らしするには、手がかかるのよ。だから、待ってて。混雑を避けて今月中には帰るから。前橋のだるま市のあとで。だるま市?1月9日。うん。縁起物がいっぱい並ぶわ。え?高崎だるま?なにそれ?ほしいの?うん、うん。わかった。じゃあ、買っとくから。うん・・うん・・・それじゃあね。うん・・大丈夫。かあさんも体を大事に。無理しちゃだめよ」ふうっ。ふふ。女の子が一人暮らし、だって。ま、いいでしょ。母さんから見たら、いつまでも少女なんだから。しかし、まあ、海斗に言った通りになっちゃった。年明けてから仕事が詰んできて・・そもそも年末からリノベを始めちゃったし。自宅のバスルーム。ハーフユニットの利点を活かした空間作り。ヘリンボーンのタイルを壁に貼って1枚ずつ目地を入れていく。ああ、もうずっと働きっぱなし。工具を持ってるか、図面書いてるか、どっちか。はあ〜、とため息を着いたとき・・◾️SE:ドアチャイムの音/インターホン越しの声「どなた?」「紅愛!」「海斗!?え?なんで?」「年が明けても全然会えないから、来ちゃったよぉ」「だって住所は・・」「前に紅愛が教えてくれたじゃん」「そうだっけ・・・」「え?ひょっとして、入れてくんない感じ?」「あ、ごめん・・・入って」「あざ〜っす!」私の家に初めて海斗がやってきた日。考えてみたら、群馬で海斗と会うのも初めて?あまり綺麗とは言えないリビングで、海斗にアールグレイを淹れて渡した。「サンキュ」「いきなり驚かせないでよ」「ごめん」「そんなに寂しかったの?」「うん・・・」「しかたないなあ。せっかく来てくれたんだから、群馬デート、行くか〜」「やたっ!」その日、私たちは、群馬1デイトリップ。インテリアコーディネーターとしては絶対にはずせない、白井屋(しろいや)ホテルで朝ごはん。そのあとは車で、世界遺産・富岡製糸場へ。150年以上前の美しい建築様式やガラスの歪み。インテリアコーディネーター目線で、熱く語ってしまった。お昼からは、『群馬県立近代美術館』&お洒落なイタリアンランチ。群馬県が実は『パスタの街』だって、知らなかったでしょ。お腹がふくれたら、観音山(かんのんやま)へ。高崎のシンボル『高崎白衣(びゃくい)大観音』へお参りして、山頂からの景色を楽しむ。高崎や前橋の街並みから、遠くにそびえる赤城山や榛名山(はるなさん)の大パノラマ。海斗は感動して、言葉を失ってた。ふふ・・その日、海斗を高崎駅へ送ったのは夕方遅く。ホームで名残惜しそうな海斗の背中を押す。「さっき言ってた『だるま市』、ボクも行きたいな」「まだバタバタしてるから、また今度ね」「そのあとの土日は?」その日は実家・・と言いかけたとき、高崎線が入線してきた。私はドアのボタンを押して、海斗を促す。何か言いたげな海斗の前で、無情にもドアが閉まる。ガラス越しに、私は小さく微笑んで手を振った・・・※続きは音声でお楽しみください。
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東京で働くインテリアコーディネーター・紅愛。群馬県前橋市で暮らしながら東京へ通う彼女と、下北沢で夢を追う海斗。クリスマスの丸の内から始まる二人の物語は、やがて尾瀬のふもと・片品村へ。群馬の自然、暮らし、人の温かさを描いた恋愛ボイスドラマです。【ペルソナ】・紅愛(クレア/28歳)=週2日(火・木)だけ東京の本社へ出社し、残りは前橋の自宅でリモートワーク。ハウスメーカーに所属するインテリアコーディネーター。実家は片品村という超田舎。大学は都内の美大で「空間ディスプレイデザイン学科」。卒業後はインテリコーディネーターとして、前橋の空き家をリノベしながら一人暮らし。新幹線(上越・北陸新幹線)や高崎線(グリーン車)を通勤手段&第二のオフィスとして使いこなす・海斗(カイト/24歳)=東京(京王井の頭線・小田急線沿線の下北沢)に住み、おしゃれなカフェでアルバイト中。独学でVTuberを目指しているが芽が出ず、実家(名古屋)からの仕送り米に頼ることも・紅愛の母(56歳)=春から夏にかけては高原野菜を育てる農業従事者、冬はスノーパーク尾瀬戸倉スキー場で働く【プロローグ:2025年12月24日/丸の内仲通り・ブライトンビル周辺】◾️SE:クリスマスの雑踏「紅愛、今度紅愛の実家へ遊びに行っていい?」海斗が突然そんなことを言い出したのは、去年のクリスマスだった。「以前さあ、チョー田舎だけどいいところだって言ってたじゃん」そんなこと、言ったっけ。「オゼ・・って言うんだろ」ちゃんと覚えてるんだ。「そんなイイところなら、行ってみたいなって」照れくさそうに横を向いて笑う。海斗とは付き合い始めて、そろそろ1年。24歳のフリーター。私より4つ年下。お茶の水のカフェでバイトしてる。いまは、CGアニメーションを独学で勉強中。クリエイター系のVTuberを目指してるんだって。そんなん、独学でなれるものなのかしら。「ちょっと、紅愛。聞いてる?」「あ・・・うん。実家ね・・・まあ・・考えとく」「なんだよ、それ」え〜。本気で言ってるのか。「年明け最初の土日とかどう?」「あー、来年早々は結構仕事詰んでるから、ムズいかな」「まじ?ホントに?」うそ。でもまだ、なんか、そういう気分じゃないんだよなあ。心構えができてないっていうか・・・「インテリアコーディネーターって、大変なんだなあ」そう。私はインテリアコーディネーター。都内の美大で「空間ディスプレイデザイン」を学び、卒業後は都内のハウスメーカーで働いてる。出勤は週2日。火曜と木曜。あとはリモートワークで過ごす。住んでいるのは、群馬県の前橋。空き家をリノベしながら一人暮らし。新幹線も高崎に停まるし、高崎線でもグリーン車使えば通勤も快適。通勤費用はまるまる会社が出してくれるし。「いつならいいの?オゼ、行くのって」まだ言うか。尾瀬、尾瀬って、なんも知らんくせに。って、当たり前か。私の実家は、片品村(かたしなむら)。と言ってもわかる人少ないよね。尾瀬の湿原・・有名っちゃ有名だけど。なんせ鉄道の通っていない村だから。最寄駅の沼田駅までバスで1時間。さすがに東京の大学へは通えないから、前橋でアパート借りて一人暮らし。卒業後は、同じ前橋市内で空き家を探してリノベした。「今夜は泊まっていけるんでしょ?イブだし・・・」「う〜ん・・・ちょっと無理かな。海斗んち、下北沢でしょ。乗り換え時間とか考えたら、前橋まで2時間以上かかるもん。明日早いし・・」「早いって、リモートワークだろ。ボクのアパートからMTG(ミーティング)とかすればいいじゃん」「そういうの嫌なの。バタバタと朝帰りするのももっといや」「真面目かよ」ぶつくさ言いながらも、海斗は渋々折れた。こういうあとを引かないとこ、好きよ。年下だけど。ふふ・・結局、私は最終の新幹線で帰ることにした。新幹線で東京から高崎までたった1時間。時間までたっぷりイブを楽しんだ。有楽町から大手町まで続く街路樹。上品な「シャンパンゴールド」の光に包まれた、大人な場所。1週間前、イブをどこで過ごすかを、2人で考えた。王道の恵比寿ガーデンプレイスか、“ザ・トウキョー”って感じの六本木ヒルズ・けやき坂か。私たちが選んだのは・・ってか私が決めたのは、丸の内仲通り・ブライトンビル周辺。私は会社から歩いて来られる距離だし、海斗もお茶の水のカフェから中央線で5分。ホントは、お金持ってない海斗のために、あまり無駄使いしなくていい場所にしたかったんだ。私?私はそこそこ持ってるけど、海斗の顔を立ててあげないとね。イブなんだし。まばゆいばかりのイルミネーション。ラグジュアリーブランドの路面店。オシャレなオープンカフェ。ゴールドの光が照らす石畳。私は海斗の腕を組んで歩く。海斗はまだちょっとぎこちない。それをからかうように、私は身体を寄せる。オープンカフェでアールグレイを飲み、東京駅へ。ライトアップされた丸の内駅舎。息を呑むほど美しい。って、ここが一番美しいクリスマススポットなんじゃない?1秒でも一緒にいたい海斗は、新幹線の入口まで私を見送る。後ろ髪を引かれるように、私はホームへと上っていった。【シーン1:2026年1月/前橋/紅愛のリノベ住宅】◾️SE:朝の小鳥のさえずりと工具を叩く音/電話の着信音「もしもし・・・あ、かあさん?」「うん、ごめんね。大晦日と年末年始は帰ろうと思ったんだけど・・」「え・・うん・・そう・・リノベ。ここ、元々空き家だったじゃない。女の子が一人暮らしするには、手がかかるのよ。だから、待ってて。混雑を避けて今月中には帰るから。前橋のだるま市のあとで。だるま市?1月9日。うん。縁起物がいっぱい並ぶわ。え?高崎だるま?なにそれ?ほしいの?うん、うん。わかった。じゃあ、買っとくから。うん・・うん・・・それじゃあね。うん・・大丈夫。かあさんも体を大事に。無理しちゃだめよ」ふうっ。ふふ。女の子が一人暮らし、だって。ま、いいでしょ。母さんから見たら、いつまでも少女なんだから。しかし、まあ、海斗に言った通りになっちゃった。年明けてから仕事が詰んできて・・そもそも年末からリノベを始めちゃったし。自宅のバスルーム。ハーフユニットの利点を活かした空間作り。ヘリンボーンのタイルを壁に貼って1枚ずつ目地を入れていく。ああ、もうずっと働きっぱなし。工具を持ってるか、図面書いてるか、どっちか。はあ〜、とため息を着いたとき・・◾️SE:ドアチャイムの音/インターホン越しの声「どなた?」「紅愛!」「海斗!?え?なんで?」「年が明けても全然会えないから、来ちゃったよぉ」「だって住所は・・」「前に紅愛が教えてくれたじゃん」「そうだっけ・・・」「え?ひょっとして、入れてくんない感じ?」「あ、ごめん・・・入って」「あざ〜っす!」私の家に初めて海斗がやってきた日。考えてみたら、群馬で海斗と会うのも初めて?あまり綺麗とは言えないリビングで、海斗にアールグレイを淹れて渡した。「サンキュ」「いきなり驚かせないでよ」「ごめん」「そんなに寂しかったの?」「うん・・・」「しかたないなあ。せっかく来てくれたんだから、群馬デート、行くか〜」「やたっ!」その日、私たちは、群馬1デイトリップ。インテリアコーディネーターとしては絶対にはずせない、白井屋(しろいや)ホテルで朝ごはん。そのあとは車で、世界遺産・富岡製糸場へ。150年以上前の美しい建築様式やガラスの歪み。インテリアコーディネーター目線で、熱く語ってしまった。お昼からは、『群馬県立近代美術館』&お洒落なイタリアンランチ。群馬県が実は『パスタの街』だって、知らなかったでしょ。お腹がふくれたら、観音山(かんのんやま)へ。高崎のシンボル『高崎白衣(びゃくい)大観音』へお参りして、山頂からの景色を楽しむ。高崎や前橋の街並みから、遠くにそびえる赤城山や榛名山(はるなさん)の大パノラマ。海斗は感動して、言葉を失ってた。ふふ・・その日、海斗を高崎駅へ送ったのは夕方遅く。ホームで名残惜しそうな海斗の背中を押す。「さっき言ってた『だるま市』、ボクも行きたいな」「まだバタバタしてるから、また今度ね」「そのあとの土日は?」その日は実家・・と言いかけたとき、高崎線が入線してきた。私はドアのボタンを押して、海斗を促す。何か言いたげな海斗の前で、無情にもドアが閉まる。ガラス越しに、私は小さく微笑んで手を振った・・・※続きは音声でお楽しみください。
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ボイスドラマ「グンマから始まる物語」
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