EPISODE · Mar 8, 2025 · 8 MIN
ボイスドラマ「家族の食卓/もうひとつの物語」後編
from ボイスドラマ〜Interior Dream · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム
東京での生活が始まり、紅葉は夢を追いかけて日々奮闘します。けれど、思い描いていた理想と、現実の厳しさは違うもの。そんな中、彼女にとって心の支えとなるのは、先輩との交流、そして父の言葉でした。「家具は、家族をつなぐもの。」父の仕事に無関心だった紅葉が、ある仕事を通じてその意味を知ることになります。そして迎える、久しぶりの帰省。紅葉は、父とどんな言葉を交わすのでしょうか。それでは、後編をお楽しみください。【登場人物のペルソナ】・娘:紅葉(くれは)/声優の卵(21歳)=真面目で一途。子供の頃から声優に憧れ、夢を追いかけて東京へ上京する。感情を表に出すことはあまり得意ではないが、家族への深い思いを胸に秘めている。実家の家具屋で育ったため、無意識に家具に対する愛着があるが、家業を継ぐという両親の期待に反発していた(CV:桑木栄美里)・先輩:冬紀(25歳)/若手声優=沖縄出身。優しく親切で、自然体で人に接するが、実は沖縄での家族や地元を大切に思っており、東京での生活にも孤独を感じることがある。娘にとって、東京での厳しい生活の中で心の支えとなる先輩。彼の優しさに触れるたびに、紅葉は自分の父の面影を感じ、心の距離が近づいていく(CV:日比野正裕)<シーン1/声優養成所>(SE〜養成所の環境音)娘: 「おつかれ様でした!」先輩: 「おつかれ!今日もバイト?」娘: 「はい!」先輩: 「たしか・・フィットネスジム・・だっけ?」娘: 「はい、自由な時間に働けるので助かってます」先輩: 「だけどあんまり無理しないようにね。 昼も、和食屋さんでお皿洗ってるんでしょ? うちのレッスンは、ダンスもまざってるから体力消耗するし」娘: 「あ、ダンスは小さい頃から踊ってたんで」先輩: 「それでも疲れる。人間だから」娘: 「大丈夫です!」先輩: 「まあ、若いからがんばれるんだろうけど」娘: 「ありがとうございます!」先輩: そういえば、この子、最初の挨拶で面白いこと言ってたよな。 なんだっけな。え〜っと・・■一瞬、回想シーン娘: 「みなさん、はじめまして! 今日から養成所でお世話になります!よろしくお願い申します! 養成所って、私にとっては夢を育てる場所。 だから、”養成”という文字は、フェアリーの”妖精”。 私はいつも脳内変換しています!」先輩: それで、記憶に残ってるんだよな。 人に覚えてもらう、ってのもこの仕事じゃ重要だから。 実際僕もそれ以降、彼女のこと気になってるんだよな。<シーン2/夜の渋谷/バイト終わりの紅葉>(SE〜繁華街の環境音)娘: 「お先に失礼します!」先輩: 「あれ?」娘: 「あ、先生!」先輩: 「おいおいやめてくれよ、こんな往来で”先生”だなんて」娘: 「だって先生じゃないですか?」先輩: 「養成所でレッスンしてるってだけだろ。 せめて”先輩”にしてくれ。 僕はまだ25歳なんだぜ」娘: 「年齢なんて関係ないと思います。 たとえ小学生だって、私の師匠なら”先生”だわ」先輩: 「そうか。 にしても、遅くまでバイト、がんばってるね」娘: 「はい。 だって東京って家賃すっごく高いんだもの」先輩: 「君は東京の人じゃなかったね」娘: 「そうです、東京でてきてびっくりしました。 バイトしてもバイトしても家賃と授業料に消えていく感じ」先輩: 「そうだよなあ、駆け出しの声優は結構バイトしてるもんなあ。 ましてや、養成所なら出て行く方が多いだろうし」娘: 「そうなんです。だから自炊もしてるんですけど 東京は物価も高い」先輩: 「自炊してるんだ。立派なもんだ」娘: 「なんで?たんに生活費を浮かすためですよ」先輩: 「自炊は体にもいいだろ。 とにかく体が一番だからな。 あとは、規則正しい生活を送ること。 ってそれは難しいか。 まあ、無理せずにがんばって」娘: 「先輩」先輩: 「ん?なんだ?」娘: 「先輩って、お父さんみたいですね」先輩: 「なんじゃ、それ? まだ25だって言っただろ」娘: 「ふふ」先輩: 結局、彼女とは、明るい夜の街をいつまでも話しながら歩いた。 話は尽きず、一駅歩くくらいのボリュームだっただろう。<シーン3/収録スタジオ/初めての仕事>(SE〜スタジオの環境音/「はい本番!はい、キュー!」)娘: 「家具を選ぶときは、まず目を閉じてください」先輩: 「はい、閉じました」娘: 「そこに、家族の笑顔は見えますか?」先輩: 「え?」娘: 「それが、家具を選ぶ基準です」(SE〜スタジオの環境音/「よしOK!このテイクでいこう」)娘: 「ありがとうございました!」先輩: 音響監督が笑顔でうなづく。 彼女が声優養成所に通い始めてもうすぐ1年。 養成所から所属へ。 妖精が羽ばたく時期。 初めて彼女に入った仕事は、なんと僕との掛け合いだった。 それは、家具屋さんの企業アニメーション。 どうしてなかなか、いい表現じゃないか。娘: 「おつかれさまです」先輩: 「おつかれ。一発オーケーかあ。 すごくよかったよ」娘: 「本当ですか?」先輩: 「ああ、レッスンのときより、何倍もいい表情だ」娘: 「実は・・・うちの実家、家具屋さんなんです」先輩: 「だから・・・言葉の意味もちゃんと理解してたんだね」娘: 「はい、家族をつなぐ家具。いつも父が言っている言葉です」先輩: 「そっか・・・ ねえ、つかぬことを聞くけど・・・ 東京へ来てから、何回実家へ帰ったの?」娘: 「あ・・」先輩: 「うん?」娘: 「一度も帰ってない・・・」先輩: 「じゃあ、そろそろ帰るタイミングじゃない?」娘: 「はい」■BGM〜「インテリアドリーム」<シーン4/東京駅/新幹線ホーム>(SE〜新幹線ホームの環境音)先輩: 仕事ができる人は、行動するのも早い。 次の日の朝、彼女は新幹線のホームに立っていた。娘: 「先輩、忙しいのにこんなとこにいていいんですか?」先輩: 「うん、昨日君が明日帰るってきいたら なんだか心配になっちゃってさ」娘: 「新幹線くらい1人で乗れますよ〜」先輩: 「いや、そういう話じゃないだろ」娘: 「やっぱり先輩、お父さんみたい」先輩: 「はいはい。 じゃあお父さんとようく話してくるように。 東京へ戻ったら、家具の話、食卓の話、聞かせてくれ」 娘: 「了解しました」先輩: まるでLINEの絵文字のような笑顔で、 彼女は新幹線に乗り込んだ。 遠ざかるのぞみ号の彼方から、お父さんの声が聞こえる・・ ような気がした。父: 「おかえり」
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東京での生活が始まり、紅葉は夢を追いかけて日々奮闘します。けれど、思い描いていた理想と、現実の厳しさは違うもの。そんな中、彼女にとって心の支えとなるのは、先輩との交流、そして父の言葉でした。「家具は、家族をつなぐもの。」父の仕事に無関心だった紅葉が、ある仕事を通じてその意味を知ることになります。そして迎える、久しぶりの帰省。紅葉は、父とどんな言葉を交わすのでしょうか。それでは、後編をお楽しみください。【登場人物のペルソナ】・娘:紅葉(くれは)/声優の卵(21歳)=真面目で一途。子供の頃から声優に憧れ、夢を追いかけて東京へ上京する。感情を表に出すことはあまり得意ではないが、家族への深い思いを胸に秘めている。実家の家具屋で育ったため、無意識に家具に対する愛着があるが、家業を継ぐという両親の期待に反発していた(CV:桑木栄美里)・先輩:冬紀(25歳)/若手声優=沖縄出身。優しく親切で、自然体で人に接するが、実は沖縄での家族や地元を大切に思っており、東京での生活にも孤独を感じることがある。娘にとって、東京での厳しい生活の中で心の支えとなる先輩。彼の優しさに触れるたびに、紅葉は自分の父の面影を感じ、心の距離が近づいていく(CV:日比野正裕)<シーン1/声優養成所>(SE〜養成所の環境音)娘: 「おつかれ様でした!」先輩: 「おつかれ!今日もバイト?」娘: 「はい!」先輩: 「たしか・・フィットネスジム・・だっけ?」娘: 「はい、自由な時間に働けるので助かってます」先輩: 「だけどあんまり無理しないようにね。 昼も、和食屋さんでお皿洗ってるんでしょ? うちのレッスンは、ダンスもまざってるから体力消耗するし」娘: 「あ、ダンスは小さい頃から踊ってたんで」先輩: 「それでも疲れる。人間だから」娘: 「大丈夫です!」先輩: 「まあ、若いからがんばれるんだろうけど」娘: 「ありがとうございます!」先輩: そういえば、この子、最初の挨拶で面白いこと言ってたよな。 なんだっけな。え〜っと・・■一瞬、回想シーン娘: 「みなさん、はじめまして! 今日から養成所でお世話になります!よろしくお願い申します! 養成所って、私にとっては夢を育てる場所。 だから、”養成”という文字は、フェアリーの”妖精”。 私はいつも脳内変換しています!」先輩: それで、記憶に残ってるんだよな。 人に覚えてもらう、ってのもこの仕事じゃ重要だから。 実際僕もそれ以降、彼女のこと気になってるんだよな。<シーン2/夜の渋谷/バイト終わりの紅葉>(SE〜繁華街の環境音)娘: 「お先に失礼します!」先輩: 「あれ?」娘: 「あ、先生!」先輩: 「おいおいやめてくれよ、こんな往来で”先生”だなんて」娘: 「だって先生じゃないですか?」先輩: 「養成所でレッスンしてるってだけだろ。 せめて”先輩”にしてくれ。 僕はまだ25歳なんだぜ」娘: 「年齢なんて関係ないと思います。 たとえ小学生だって、私の師匠なら”先生”だわ」先輩: 「そうか。 にしても、遅くまでバイト、がんばってるね」娘: 「はい。 だって東京って家賃すっごく高いんだもの」先輩: 「君は東京の人じゃなかったね」娘: 「そうです、東京でてきてびっくりしました。 バイトしてもバイトしても家賃と授業料に消えていく感じ」先輩: 「そうだよなあ、駆け出しの声優は結構バイトしてるもんなあ。 ましてや、養成所なら出て行く方が多いだろうし」娘: 「そうなんです。だから自炊もしてるんですけど 東京は物価も高い」先輩: 「自炊してるんだ。立派なもんだ」娘: 「なんで?たんに生活費を浮かすためですよ」先輩: 「自炊は体にもいいだろ。 とにかく体が一番だからな。 あとは、規則正しい生活を送ること。 ってそれは難しいか。 まあ、無理せずにがんばって」娘: 「先輩」先輩: 「ん?なんだ?」娘: 「先輩って、お父さんみたいですね」先輩: 「なんじゃ、それ? まだ25だって言っただろ」娘: 「ふふ」先輩: 結局、彼女とは、明るい夜の街をいつまでも話しながら歩いた。 話は尽きず、一駅歩くくらいのボリュームだっただろう。<シーン3/収録スタジオ/初めての仕事>(SE〜スタジオの環境音/「はい本番!はい、キュー!」)娘: 「家具を選ぶときは、まず目を閉じてください」先輩: 「はい、閉じました」娘: 「そこに、家族の笑顔は見えますか?」先輩: 「え?」娘: 「それが、家具を選ぶ基準です」(SE〜スタジオの環境音/「よしOK!このテイクでいこう」)娘: 「ありがとうございました!」先輩: 音響監督が笑顔でうなづく。 彼女が声優養成所に通い始めてもうすぐ1年。 養成所から所属へ。 妖精が羽ばたく時期。 初めて彼女に入った仕事は、なんと僕との掛け合いだった。 それは、家具屋さんの企業アニメーション。 どうしてなかなか、いい表現じゃないか。娘: 「おつかれさまです」先輩: 「おつかれ。一発オーケーかあ。 すごくよかったよ」娘: 「本当ですか?」先輩: 「ああ、レッスンのときより、何倍もいい表情だ」娘: 「実は・・・うちの実家、家具屋さんなんです」先輩: 「だから・・・言葉の意味もちゃんと理解してたんだね」娘: 「はい、家族をつなぐ家具。いつも父が言っている言葉です」先輩: 「そっか・・・ ねえ、つかぬことを聞くけど・・・ 東京へ来てから、何回実家へ帰ったの?」娘: 「あ・・」先輩: 「うん?」娘: 「一度も帰ってない・・・」先輩: 「じゃあ、そろそろ帰るタイミングじゃない?」娘: 「はい」■BGM〜「インテリアドリーム」<シーン4/東京駅/新幹線ホーム>(SE〜新幹線ホームの環境音)先輩: 仕事ができる人は、行動するのも早い。 次の日の朝、彼女は新幹線のホームに立っていた。娘: 「先輩、忙しいのにこんなとこにいていいんですか?」先輩: 「うん、昨日君が明日帰るってきいたら なんだか心配になっちゃってさ」娘: 「新幹線くらい1人で乗れますよ〜」先輩: 「いや、そういう話じゃないだろ」娘: 「やっぱり先輩、お父さんみたい」先輩: 「はいはい。 じゃあお父さんとようく話してくるように。 東京へ戻ったら、家具の話、食卓の話、聞かせてくれ」 娘: 「了解しました」先輩: まるでLINEの絵文字のような笑顔で、 彼女は新幹線に乗り込んだ。 遠ざかるのぞみ号の彼方から、お父さんの声が聞こえる・・ ような気がした。父: 「おかえり」
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