EPISODE · Mar 8, 2025 · 7 MIN
ボイスドラマ「家族の食卓/もうひとつの物語」前編
from ボイスドラマ〜Interior Dream · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム
「家族の食卓/もうひとつの物語」は、家具職人の父と、声優を夢見る娘の心の交流を描いたものです。「家族の食卓」は、単なる食事の場ではなく、思い出や愛情が積み重なる特別な空間。けれど、親子の関係はいつも順風満帆とはいかず、時にはすれ違い、ぶつかることもあります。それでも、どこかでお互いを思い合っている—そんな二人の物語をお届けします。本作は 服部家具センター「インテリアドリーム」 の公式サイトをはじめ、SpotifyやAmazon、Appleなど各種Podcastプラットフォームでもお楽しみいただけます。◾️登場人物のペルソナ・娘:紅葉(くれは)/専門学校生(20歳)=真面目で一途。子供の頃から声優に憧れ、夢を追いかけて東京へ上京する。感情を表に出すことはあまり得意ではないが、家族への深い思いを胸に秘めている。実家の家具屋で育ったため、無意識に家具に対する愛着があるが、家業を継ぐという両親の期待に反発していた(CV:桑木栄美里)・父(59歳)=インテリアショップのオーナー兼家具職人。無口で職人気質、細やかな技術と頑固さを持ち合わせるが、家族への愛情は深い。言葉では多くを語らないが、家具を通じて娘に自分の気持ちを伝えようとしている。娘が家業を継がずに上京することを不安に感じ、心配しながらも彼女の夢を応援したいという気持ちを隠している(CV:日比野正裕)【Story〜「家族の食卓/もうひとつの物語/前編」】<シーン1/20歳の食卓>(SE〜食卓の環境音)父: 「声優・・? そんなフワフワした職業じゃなくて、まじめに将来を考えなさい」娘: 「別にうわついてなんかいないもん! なんにも知らないくせに」娘: 売り言葉に買い言葉。 喧嘩なんて、したくもないのに・・ お父さんなんて、大っ嫌い。父: 「おまえには、いずれうちの家業も継いでもらわないと」娘: 「継がないから。 私、家具なんて興味ない」父: 「なんだと」娘: お父さんったら、言ってることが、まるっきり昭和。 タイムマシンに乗って1970年代に戻ったみたい。 って、生まれる前の時代なんて知らんけど。父: 「大学を卒業したら家の手伝いを・・」娘: 「大学卒業したら東京へ行くの」父: 「と、東京!?」娘: 「卒業後は1人暮らしするって、ずうっと言ってるじゃない」父: 「東京なんて聞いてないぞ」娘: 「東京じゃないと、ちゃんとした声優事務所なんてないもん」 父: 「母さんは知ってるのか?」娘: 「お母さんにはもう話したから」父: 「なに・・?」娘: 「賛成してくれたもん。 お父さんだけだよ。 そんな古臭いこと言って反対してるのは・・父: 「うるさい・・」娘: 怒りの感情は6秒で収まるっていうけれど、 お父さんのテンションもだんだん下がっていく。 結局、私の希望は認められ、晴れて春から1人暮らしとなった。<シーン2/東京〜アパート探し>(SE〜東京の雑踏)娘: 「お父さん、 何回も言ってるけど、お部屋くらい自分で探せるって」父: 「ばか言うな。 なにも知らない田舎者がアパート探そうと思ったって 不動産屋にいいように騙されるだけだ」娘: 「ちょっと、それ、不動産屋さんで言うせりふ?」 少し困ったような表情を見せたあと、 不動産屋さんは手際よく、いくつか部屋を見せてくれた。 これが、内見、ってやつ? (SE〜鍵を開錠する音)父: 「ここはだめだ。 リビングが南向きじゃないと、陽も当たらないし、 電気代もかかるからだめだ」娘: このご予算では、これ以上のお部屋はちょっと・・ と言って、不動産屋さんが口籠る。 結局、4件目の内見でやっと、少しだけ明るい部屋に出会った。 とは言っても、電気が通っていないと、ほんのり暗い。 私は、薄暗い部屋の真ん中に立って、あたりを見回す。 娘: 「ねえ、お父さん。 お部屋って、な〜んにもないと、 こんなに暗くって、寒いんだ」父: 「ああ、そうだ。 だから、どんな部屋にも、まず食卓を置くんだよ」娘: 「こんな狭い部屋に食卓なんて置いたら、よけい狭くなっちゃう」 父: 「狭くなるんじゃない。あったかくなるんだよ」娘: 「え・・」 父: 「別に大きな食卓を置け、って言ってるんじゃない。 2人用でも、木の香りがして、優しい食卓にすれば ここより5度はあたたかくなるぞ」娘: 優しい食卓? お父さんらしい表現だな。 だけど、私にもわかる。 うちは大家族だったから大きな6人用の食卓。 そこはいつも笑顔と、美味しい香りが溢れていた。 笑い声が飛び交う、暖かい場所。 考えたら、ベランダに面した南向きのリビングより 食卓の方があたたかかった気がする。父: 「まあ、あとはお前次第だ。 無理せずにがんばりなさい。その・・・なんだ・・」娘: 「声優?」 父: 「ああ・・。 一生懸命やって、だめだったら戻ってくればいい」娘: 「また、昭和の言い方して」 父: 「しょうがないだろ。昭和の人間なんだから・・」娘: 「ねえ、お父さん」 父: 「どうした?」娘: 「この部屋に合う食卓、選んでくれる?」 ■BGM〜「インテリアドリーム」父: 「え・・ あ・・わかった。 お前に似合う食卓を選んでやるよ」娘: 「ありがとう」父: 「あったかい部屋にするんだぞ」娘: 「うん」父: 「ちゃんと自炊して規則正しい生活を送ること」娘: お父さんが選ぶ、私の食卓。 実物を見なくても、なんとなくわかる。 木の香りが優しくて、 ずうっと座っていたくなる食卓。 目を閉じれば、お父さんやお母さんの笑顔が浮かんでくる食卓。 ほら、笑い声まで聞こえてくる。 夢をかなえるのに一番必要なのは、 やっぱりお父さんの不器用な応援だな。 もう一度言うね。 ありがとう、お父さん。
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「家族の食卓/もうひとつの物語」は、家具職人の父と、声優を夢見る娘の心の交流を描いたものです。「家族の食卓」は、単なる食事の場ではなく、思い出や愛情が積み重なる特別な空間。けれど、親子の関係はいつも順風満帆とはいかず、時にはすれ違い、ぶつかることもあります。それでも、どこかでお互いを思い合っている—そんな二人の物語をお届けします。本作は 服部家具センター「インテリアドリーム」 の公式サイトをはじめ、SpotifyやAmazon、Appleなど各種Podcastプラットフォームでもお楽しみいただけます。◾️登場人物のペルソナ・娘:紅葉(くれは)/専門学校生(20歳)=真面目で一途。子供の頃から声優に憧れ、夢を追いかけて東京へ上京する。感情を表に出すことはあまり得意ではないが、家族への深い思いを胸に秘めている。実家の家具屋で育ったため、無意識に家具に対する愛着があるが、家業を継ぐという両親の期待に反発していた(CV:桑木栄美里)・父(59歳)=インテリアショップのオーナー兼家具職人。無口で職人気質、細やかな技術と頑固さを持ち合わせるが、家族への愛情は深い。言葉では多くを語らないが、家具を通じて娘に自分の気持ちを伝えようとしている。娘が家業を継がずに上京することを不安に感じ、心配しながらも彼女の夢を応援したいという気持ちを隠している(CV:日比野正裕)【Story〜「家族の食卓/もうひとつの物語/前編」】<シーン1/20歳の食卓>(SE〜食卓の環境音)父: 「声優・・? そんなフワフワした職業じゃなくて、まじめに将来を考えなさい」娘: 「別にうわついてなんかいないもん! なんにも知らないくせに」娘: 売り言葉に買い言葉。 喧嘩なんて、したくもないのに・・ お父さんなんて、大っ嫌い。父: 「おまえには、いずれうちの家業も継いでもらわないと」娘: 「継がないから。 私、家具なんて興味ない」父: 「なんだと」娘: お父さんったら、言ってることが、まるっきり昭和。 タイムマシンに乗って1970年代に戻ったみたい。 って、生まれる前の時代なんて知らんけど。父: 「大学を卒業したら家の手伝いを・・」娘: 「大学卒業したら東京へ行くの」父: 「と、東京!?」娘: 「卒業後は1人暮らしするって、ずうっと言ってるじゃない」父: 「東京なんて聞いてないぞ」娘: 「東京じゃないと、ちゃんとした声優事務所なんてないもん」 父: 「母さんは知ってるのか?」娘: 「お母さんにはもう話したから」父: 「なに・・?」娘: 「賛成してくれたもん。 お父さんだけだよ。 そんな古臭いこと言って反対してるのは・・父: 「うるさい・・」娘: 怒りの感情は6秒で収まるっていうけれど、 お父さんのテンションもだんだん下がっていく。 結局、私の希望は認められ、晴れて春から1人暮らしとなった。<シーン2/東京〜アパート探し>(SE〜東京の雑踏)娘: 「お父さん、 何回も言ってるけど、お部屋くらい自分で探せるって」父: 「ばか言うな。 なにも知らない田舎者がアパート探そうと思ったって 不動産屋にいいように騙されるだけだ」娘: 「ちょっと、それ、不動産屋さんで言うせりふ?」 少し困ったような表情を見せたあと、 不動産屋さんは手際よく、いくつか部屋を見せてくれた。 これが、内見、ってやつ? (SE〜鍵を開錠する音)父: 「ここはだめだ。 リビングが南向きじゃないと、陽も当たらないし、 電気代もかかるからだめだ」娘: このご予算では、これ以上のお部屋はちょっと・・ と言って、不動産屋さんが口籠る。 結局、4件目の内見でやっと、少しだけ明るい部屋に出会った。 とは言っても、電気が通っていないと、ほんのり暗い。 私は、薄暗い部屋の真ん中に立って、あたりを見回す。 娘: 「ねえ、お父さん。 お部屋って、な〜んにもないと、 こんなに暗くって、寒いんだ」父: 「ああ、そうだ。 だから、どんな部屋にも、まず食卓を置くんだよ」娘: 「こんな狭い部屋に食卓なんて置いたら、よけい狭くなっちゃう」 父: 「狭くなるんじゃない。あったかくなるんだよ」娘: 「え・・」 父: 「別に大きな食卓を置け、って言ってるんじゃない。 2人用でも、木の香りがして、優しい食卓にすれば ここより5度はあたたかくなるぞ」娘: 優しい食卓? お父さんらしい表現だな。 だけど、私にもわかる。 うちは大家族だったから大きな6人用の食卓。 そこはいつも笑顔と、美味しい香りが溢れていた。 笑い声が飛び交う、暖かい場所。 考えたら、ベランダに面した南向きのリビングより 食卓の方があたたかかった気がする。父: 「まあ、あとはお前次第だ。 無理せずにがんばりなさい。その・・・なんだ・・」娘: 「声優?」 父: 「ああ・・。 一生懸命やって、だめだったら戻ってくればいい」娘: 「また、昭和の言い方して」 父: 「しょうがないだろ。昭和の人間なんだから・・」娘: 「ねえ、お父さん」 父: 「どうした?」娘: 「この部屋に合う食卓、選んでくれる?」 ■BGM〜「インテリアドリーム」父: 「え・・ あ・・わかった。 お前に似合う食卓を選んでやるよ」娘: 「ありがとう」父: 「あったかい部屋にするんだぞ」娘: 「うん」父: 「ちゃんと自炊して規則正しい生活を送ること」娘: お父さんが選ぶ、私の食卓。 実物を見なくても、なんとなくわかる。 木の香りが優しくて、 ずうっと座っていたくなる食卓。 目を閉じれば、お父さんやお母さんの笑顔が浮かんでくる食卓。 ほら、笑い声まで聞こえてくる。 夢をかなえるのに一番必要なのは、 やっぱりお父さんの不器用な応援だな。 もう一度言うね。 ありがとう、お父さん。
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