EPISODE · Jan 31, 2025 · 7 MIN
ボイスドラマ「木の温もりと飛騨の匠」前編
from ボイスドラマ〜Interior Dream · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム
登場人物 ・娘(24歳)・・・声優を目指す女性/実家から離れて東京で一人暮らしをしている(CV:桑木栄美里) ・父(56歳)・・・家具職人/若い頃から飛騨の匠の元で修行して家具職人となった(CV:日比野正裕) 【Story〜「木の温もりと飛騨の匠/飛騨の家具/前編」】 (SE〜コンビニの雑踏) 娘: 「おつかれさまでしたぁ!」 (SE〜スニーカーで走る足音) 父: 娘がバイト先のコンビニを出たのは、午後7時10分。 慌てて走り出そうとする娘を私が制する。 娘: 「あれ?お父さん!?なんで!?」 (BGM〜the-springs-peaceful-347491831) 父: 疑問符を連発する娘に静かに声をかける。 父: 「明日、大事な声優オーディションなんだろ?」 娘: 「うん・・・え、それでわざわざ東京まで来てくれたの!?」 父: 「いや、たまたま東京のお客さんと打合せだったんだよ」 娘: 「あ、そう・・・」 父: 「えっと、あ〜実は、ちょっと、軽く弁当作って持ってきたんだ」 娘: 「え、うそ?」 父: 「父さんの手作りだから美味くはないけど。 よかったらで一緒に・・・」 娘: 「私、今日は早く帰って発声練習とルーティンの課題をこなしておかないと」 父: 「そうか、そうだったな、じゃあ、もう帰るから。父さんも明日仕事早いからな」 娘: 「そんな・・・」 父: 「なあ、あんまり生き急ぐんじゃないぞ。 たまには歩みを止めて、深呼吸しなさい」 娘: 「わかってる・・・」 父: 「明日がんばってな」 娘: 「うん・・・」 (SE〜街角の雑踏) 父: 娘は私の顔をチラリと見てからアパートへ向かった。 私は反対方向へ歩き出す。 さて、このあとはどこか適当な居酒屋で夕食を摂るか・・・ 娘が名古屋を出て東京で一人暮らしを始めたのは6年前。 あのときの娘と私は、一緒に家具屋へ行くほど距離が近かった。 ★娘18歳/父50歳 (SE〜インテリアショップの雑踏) 娘: 「お父さん、口だししちゃいやだよ。私が選ぶんだから」 父: 「わかってる」 (BGM〜inspiring-whisper-347314386) 父: 私の仕事は、家具職人。 だから家の中は、私の手による、まさに一点ものの家具に囲まれていた。 食卓も、箪笥も、学習机も、ベッドも、すべて木の家具だった。 娘からはよく、どうして木の家具しかないの、って訊かれたっけ。 それは、匠の心と木の温もり。 むかし、飛騨の匠たちが都へ呼ばれて、宮殿や寺院を建立したときも きっと木の温もりを感じながらノミをふるっていたに違いない。 娘は自分の部屋にどんな家具を選ぶのだろう。 インテリアショップで楽しそうに見てまわる、娘の笑顔。 いつまでもこの笑顔を忘れずにいてほしい。 (SE〜インテリアショップの雑踏) 娘: 「選び終わった」 父: 「早いなあ」 娘: 「だって、小さな部屋だもん。そんなに家具必要ない」 父: 「どれどれ・・・」 (BGM〜sunrise-300537095) 父: 娘の選んだ家具を見て、思わず息を呑んだ。 いや、まあ、当たり前と言えば当たり前か・・・。 食卓、ソファ、ベッド、デスク。そのすべてが木の家具。 手触りも滑らかで柔らかく、デザインは真っ白だ。 まるで声優になりたい、という夢への挑戦を表現するかのように。 娘: 「どうかな・・・」 父: 「い、いいんじゃないか。全部木の家具・・・なんだな」 娘: 「うちの家具だって、みんな木じゃない」 父: 「ああ」 娘: 「お父さん、いつも木には”温もり”があるって言ってたでしょ」 父: 「うん」 娘: 「だから、新しい生活をはじめるときも 寂しくないように、温かくて優しい木の家具にするんだ」 父: こうして、木の温もりに包まれた娘の新生活がスタートした。 あれからもう、6年になるのだな・・・ 娘はコンビニでアルバイトしながら、声優を目指して日夜頑張っている。 ★娘24歳/父56歳 (SE〜街角の雑踏〜走ってくる靴音) 娘: 「おとうさん」 父: 「あ、どうしたんだ?バイト先にわすれものか?」 娘: 「ううん。 やっぱり・・・一緒にごはん食べない?」 父: 「ん?」 娘: 「久しぶりにおとうさんのまずい料理食べたくなって(笑)」 父: 「そうか・・・(笑)」 (BGM〜インテリアドリーム) (SE〜歩き出す2つの靴音) 父: 「あ、なあ、知ってるか。 木の家具って、釘とかビスとか冷たい金属は表面に見えないだろ?」 娘: 「なあに?とつぜん」 父: 「だから、日常のストレスを和らげて、安らぎと温もりを与えてくれるんだよ」 娘: 「そっか。私、気づかないうちに、温もりに包まれていたんだ」 父: 「おまえも、これから仕事がどんどん忙しくなっていって、 息つく暇もなくなって、心に余裕がなくなっていっても、 温もりを忘れずにいるんだよ」 娘: 「うん」 父: 「心のあったかい声優になれるといいな」 娘: 「おとうさん、実はね、 私が目指してるのは、・・・”匠”なんだ」 父: 「え?」 娘: 「おとうさんが思ってるような、可愛いだけの声の声優じゃなくて」 父: 「そんなこと思ってないけど」 娘: 「さりげなくやっていることの一つ一つが高度で緻密、しかも的確。 納得できるクオリティに仕上げるまでとことん探求する。 一切の妥協も許さない」 父: 「ああ・・・」 娘: 「なりたいのは、そんな声優。 それって・・・」 父: 「”匠”だな」 娘: 「お父さん、やっぱりわかってる」父娘: (笑い合う)
NOW PLAYING
ボイスドラマ「木の温もりと飛騨の匠」前編
No transcript for this episode yet
Similar Episodes
May 12, 2026 ·31m
May 7, 2026 ·35m
May 5, 2026 ·31m
May 5, 2026 ·14m
May 2, 2026 ·40m
Apr 30, 2026 ·33m