EPISODE · Mar 9, 2025 · 11 MIN
ボイスドラマ「ノルディックベンチ」前編
from ボイスドラマ〜Interior Dream · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム
インテリアデザインの世界に生きる若き二人─建築士の彼と、インテリアコーディネーターの彼女。最悪の出会いから始まる二人の関係が、1年という時間の中でどのように変わっていくのか。北欧家具のデザインと、伝説のベンチがどんな意味を持つのか。「インテリア」とは、単なる家具や空間の話ではなく、「人の暮らしと記憶を紡ぐもの」でもあります。その本質が、この物語を通じて少しでも伝われば嬉しいです。そして、この物語は Spotify・Amazon・Apple などのPodcastプラットフォーム、服部家具センター「インテリアドリーム」公式サイト でもお聴きいただけます。【登場人物のペルソナ】・男性(25歳)=大手の建設設計会社で働くエンジニア。働きながら将来的にはインテリアデザイナーを目指して勉強している。12月の声を聞いた頃、本社東京への転勤の話が持ち上がる(CV:日比野正裕)・女性(26歳)=ハウスメーカーで自社物件のインテリアコーディネーターをしている。海外研修をしたくて入社した当初から人事部に志望を出していた。来春のLA支社開設に伴い、支社専属コーディネーターの候補として自分の名前があがっていた(CV:桑木栄美里)【Story〜「ノルディックベンチ/前編」】※今回は試験的にモノローグがシーンごとに変わります<シーン1/最悪の出会い(1年前)>(SE〜展示会の環境音/BGMはクリスマスソング)女性:「正直に言わせてもらいますけど、この家具。 北欧風のダイニングってテーマに全然合ってないですよね。 まず、シルエットが重すぎる。 北欧家具の魅力って、シンプルで軽やかなラインと、 視覚的にも空間的にも“抜け感”を生むデザインにあるんです。 これじゃ、空間全体が圧迫されてしまう」男性: インテリアショップのワークショップ。 出品者同士で語り合うオフ会で いきなりの先制パンチ。 彼女、確か、ハウスメーカーのインテリアコーディネーターだったよな。女性:「素材のチョイスも疑問ね。 北欧スタイルは、オークやアッシュみたいに明るい色味の天然木材が主流でしょ。 でもあなたのベンチは色味が暗くて、まるで重厚な和風家具みたい」男性:「な・・」女性:「あと、プロポーションがアンバランスだわ。 チェア自体が大きい割に、座面の高さが低すぎる。 北欧のダイニングセットは、家族や友人が集まる“ソーシャルスペース”。 座り心地やテーブルとの相性をもっと考えるべきじゃないですか?」男性:「この・・言わせておけば・・」 しかし、確かに言われることには筋が通っている。 そもそも僕はまだプロのインテリアデザイナーじゃない。 今回、プロアマ問わずに作品を募っていたワークショップに出品したんだ。 僕は大手の建設コンサルタント会社で働く建築設計士。 まだ4年目だけど、二級建築士の資格を持って建築図面を引いている。 でも今日のワークショップは仕事じゃない。 実はいま、インテリアデザインの勉強をしているんだ。 それで、『北欧デザイン』をテーマにしたこのワークショップに 作品を作って応募したってわけ。 撃沈。 苛立って睨みつける僕に、彼女は余裕の笑みを返してきた。<シーン2/会長宅リフォームのプレゼン>※最悪の場合、会長は湯淺・・(SE〜プレゼンルームの環境音)女性:「今回の会長宅のリフォームでは、北欧スタイルを取り入れたいと思います。 自然素材の家具と柔らかな間接照明を活かした温かみのある空間。 リビングには、明るいオーク材のフローリングと、 シンプルなラインのソファを中心に、家族が集まりやすい配置を考えました。 壁面は自然光を反射するためのライトグレーのペイント。 昼間でも柔らかな光が部屋全体に広がるようにしています・・」会長:「北欧スタイルねえ。 良さはわかるんだけど、ちょっと軽くないかね」女性:「もちろん、会長のおっしゃる重厚感も大切だと考えています。 ダイニングにはウォールナットのテーブルを配置して、 高級感と重厚感を演出しました」会長:「ウォールナットも悪くないんだけどなあ。 なんかピンとこないんだよ」女性:「そうですか・・」男性:「会長」会長:「ん?きみは?」男性:「建築士の設計コンサルタントです」女性:「え?あなた・・・」 プレゼンルームの隅っこから声をあげたのは この前ワークショップにいた青年。男性:「会長、お孫さんはいらっしゃいますか?」会長:「ああ、いるよ。まだ小学生だけど」男性:「さきほど彼女、”家族が集まる場所”って言いましたよね。 ウォールナットは見た目の重厚感だけでなく、 すごく耐久性が高い素材なんです。 例えば、お孫さんがテーブルの上で宿題をしたり、絵を描いたりしても、 傷がつきにくい。 汚れにも強いから、食べこぼしても簡単に拭き取れます」会長:「ほう」男性:「それにオーガニックで環境にも優しい。 化学処理が少なく、天然のままの風合いを生かしているので、 お孫さんが触れても安全です」会長:「なるほど」男性:「何より、長年使い込むほどに味わいが増します。 家族が集まるたびに、このテーブルに思い出が刻まれていく。 ウォールナットと一緒に家族の年輪を刻んでいってはどうですか?」会長:「うむ」女性: 言い終えたあと、彼は一瞬私の方へ視線を送り、ウィンクした。 あのとき私、あんなに厳しいこと言っちゃったのに。 でも、居心地の悪さより、救ってくれた嬉しさの方が勝(まさ)った。 施主も私たちも英顔でプレゼンルームをあとにする。 この一件以来、私と彼の距離は急速に縮まった。 彼は25歳。私よりひとつ年下。 設計コンサルタントとして働きながら、 インテリアデザイナーを目指している。 私たちは食事を共にする仲となり、 コーディネーターとデザイナーとしてリスペクトし合いながら 季節が巡っていった。<シーン3/1年後のクリスマス>※TMスタート後「え?」が多くてすみません(SE〜街角の環境音/クリスマスソング)女性:「あのベンチ、なあに?」男性: 彼女と一緒に過ごすようになってから最初のクリスマス。 インテリアコーディネーターとインテリアデザイナーの デートスポットは・・・ そう、インテリアショップ。 最近の家具屋さんはオシャレなところが多いし、 僕たちはここにいれば、何時間でも過ごすことができた。女性:「昨日まであんなんなかったよね?」男性: リビングとダイニングの真ん中。 ベンチは部屋と部屋の間に置かれていた。女性:「なんか、書いてある・・・ ノルディックベンチ?」男性:「君の好きな北欧スタイルだね」女性:「ノルウェーのアルタ。 『北極の町』の教会に置かれていたベンチだって」男性:「へえ〜。なにか謂れがあるのかな」女性:「悲恋伝説らしいわ。 その代償として、このベンチに座るカップルは結ばれる・・」男性: ドキっとした。 実は僕のカバンには、辞令が入っている。 東京支社への転勤の辞令。 僕は今日、それを彼女に告げなければならない。女性:「どうする?」男性:「いいじゃん。座ろうよ」女性:「うん」男性: 僕がベンチに腰掛けると、 彼女もゆっくりと腰をおろした。女性:「実はね、話したいことがあるの」男性:「え・・」女性:「私、いまの会社、ハウスメーカーに入ってから ずうっと海外勤務希望申請をだしてたの、知ってるでしょ」男性:「うん・・」女性:「それがね、急に決まっちゃったのよ」男性:「あ・・・」女性:「来年の春、LAに支社を開設するんだって」男性:「そう・・・」女性:「申請だしてたのさえ、忘れてたのに」男性:「よ、よかったじゃないか・・・」女性:「強制ではないんだけど、独身だと断りにくいから」男性: 彼女の言葉が途切れたのをきっかけに、僕も彼女に告白する。男性:「実は僕も君に話があるんだ・・・」女性:「え・・」男性:「これを見てほしい」女性:「なに」男性: 僕がカバンの中の辞令を彼女に手渡すと・・女性:「東京・・転勤・・・?」男性:「来年早々から」女性:「本社勤務、ってことは栄転ね」男性:「まあ、そうなるかな」女性:「おめでとう」男性:「いや、いかない」女性:「え?」 ■BGM〜「インテリアドリーム」男性: 僕は彼女から辞令を返してもらい、 そして、目の前で・・女性:「なにしてんの?」男性:「なにって、辞令を破いてるんだよ」女性:「どうして?」男性:「僕がインテリアデザイナーを目指しているの、 君が一番知ってるじゃないか」女性:「でも・・」男性:「これでやっと踏ん切りがついた」女性:「そんな・・」男性:「だから、君の海外勤務は・・・」女性:「もう断ったわ」男性:「え?」女性:「結婚する、ってウソついちゃった」男性:「それ、ウソじゃない」女性:「え?」男性:「結婚しよう」女性:「本気?」男性:「もちろん。返事は?」女性:「Yes!に決まってるじゃない」男性: なんだか、いままで悩んでたことがおかしくなる。 ノルディックベンチ。 説明書きにあるように「永遠の愛を守る」という伝説は生きているようだ。 『永遠の愛を守る』ノルディックベンチに座って 僕たちは未来を語り合った。(SE〜教会の鐘の音)
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インテリアデザインの世界に生きる若き二人─建築士の彼と、インテリアコーディネーターの彼女。最悪の出会いから始まる二人の関係が、1年という時間の中でどのように変わっていくのか。北欧家具のデザインと、伝説のベンチがどんな意味を持つのか。「インテリア」とは、単なる家具や空間の話ではなく、「人の暮らしと記憶を紡ぐもの」でもあります。その本質が、この物語を通じて少しでも伝われば嬉しいです。そして、この物語は Spotify・Amazon・Apple などのPodcastプラットフォーム、服部家具センター「インテリアドリーム」公式サイト でもお聴きいただけます。【登場人物のペルソナ】・男性(25歳)=大手の建設設計会社で働くエンジニア。働きながら将来的にはインテリアデザイナーを目指して勉強している。12月の声を聞いた頃、本社東京への転勤の話が持ち上がる(CV:日比野正裕)・女性(26歳)=ハウスメーカーで自社物件のインテリアコーディネーターをしている。海外研修をしたくて入社した当初から人事部に志望を出していた。来春のLA支社開設に伴い、支社専属コーディネーターの候補として自分の名前があがっていた(CV:桑木栄美里)【Story〜「ノルディックベンチ/前編」】※今回は試験的にモノローグがシーンごとに変わります<シーン1/最悪の出会い(1年前)>(SE〜展示会の環境音/BGMはクリスマスソング)女性:「正直に言わせてもらいますけど、この家具。 北欧風のダイニングってテーマに全然合ってないですよね。 まず、シルエットが重すぎる。 北欧家具の魅力って、シンプルで軽やかなラインと、 視覚的にも空間的にも“抜け感”を生むデザインにあるんです。 これじゃ、空間全体が圧迫されてしまう」男性: インテリアショップのワークショップ。 出品者同士で語り合うオフ会で いきなりの先制パンチ。 彼女、確か、ハウスメーカーのインテリアコーディネーターだったよな。女性:「素材のチョイスも疑問ね。 北欧スタイルは、オークやアッシュみたいに明るい色味の天然木材が主流でしょ。 でもあなたのベンチは色味が暗くて、まるで重厚な和風家具みたい」男性:「な・・」女性:「あと、プロポーションがアンバランスだわ。 チェア自体が大きい割に、座面の高さが低すぎる。 北欧のダイニングセットは、家族や友人が集まる“ソーシャルスペース”。 座り心地やテーブルとの相性をもっと考えるべきじゃないですか?」男性:「この・・言わせておけば・・」 しかし、確かに言われることには筋が通っている。 そもそも僕はまだプロのインテリアデザイナーじゃない。 今回、プロアマ問わずに作品を募っていたワークショップに出品したんだ。 僕は大手の建設コンサルタント会社で働く建築設計士。 まだ4年目だけど、二級建築士の資格を持って建築図面を引いている。 でも今日のワークショップは仕事じゃない。 実はいま、インテリアデザインの勉強をしているんだ。 それで、『北欧デザイン』をテーマにしたこのワークショップに 作品を作って応募したってわけ。 撃沈。 苛立って睨みつける僕に、彼女は余裕の笑みを返してきた。<シーン2/会長宅リフォームのプレゼン>※最悪の場合、会長は湯淺・・(SE〜プレゼンルームの環境音)女性:「今回の会長宅のリフォームでは、北欧スタイルを取り入れたいと思います。 自然素材の家具と柔らかな間接照明を活かした温かみのある空間。 リビングには、明るいオーク材のフローリングと、 シンプルなラインのソファを中心に、家族が集まりやすい配置を考えました。 壁面は自然光を反射するためのライトグレーのペイント。 昼間でも柔らかな光が部屋全体に広がるようにしています・・」会長:「北欧スタイルねえ。 良さはわかるんだけど、ちょっと軽くないかね」女性:「もちろん、会長のおっしゃる重厚感も大切だと考えています。 ダイニングにはウォールナットのテーブルを配置して、 高級感と重厚感を演出しました」会長:「ウォールナットも悪くないんだけどなあ。 なんかピンとこないんだよ」女性:「そうですか・・」男性:「会長」会長:「ん?きみは?」男性:「建築士の設計コンサルタントです」女性:「え?あなた・・・」 プレゼンルームの隅っこから声をあげたのは この前ワークショップにいた青年。男性:「会長、お孫さんはいらっしゃいますか?」会長:「ああ、いるよ。まだ小学生だけど」男性:「さきほど彼女、”家族が集まる場所”って言いましたよね。 ウォールナットは見た目の重厚感だけでなく、 すごく耐久性が高い素材なんです。 例えば、お孫さんがテーブルの上で宿題をしたり、絵を描いたりしても、 傷がつきにくい。 汚れにも強いから、食べこぼしても簡単に拭き取れます」会長:「ほう」男性:「それにオーガニックで環境にも優しい。 化学処理が少なく、天然のままの風合いを生かしているので、 お孫さんが触れても安全です」会長:「なるほど」男性:「何より、長年使い込むほどに味わいが増します。 家族が集まるたびに、このテーブルに思い出が刻まれていく。 ウォールナットと一緒に家族の年輪を刻んでいってはどうですか?」会長:「うむ」女性: 言い終えたあと、彼は一瞬私の方へ視線を送り、ウィンクした。 あのとき私、あんなに厳しいこと言っちゃったのに。 でも、居心地の悪さより、救ってくれた嬉しさの方が勝(まさ)った。 施主も私たちも英顔でプレゼンルームをあとにする。 この一件以来、私と彼の距離は急速に縮まった。 彼は25歳。私よりひとつ年下。 設計コンサルタントとして働きながら、 インテリアデザイナーを目指している。 私たちは食事を共にする仲となり、 コーディネーターとデザイナーとしてリスペクトし合いながら 季節が巡っていった。<シーン3/1年後のクリスマス>※TMスタート後「え?」が多くてすみません(SE〜街角の環境音/クリスマスソング)女性:「あのベンチ、なあに?」男性: 彼女と一緒に過ごすようになってから最初のクリスマス。 インテリアコーディネーターとインテリアデザイナーの デートスポットは・・・ そう、インテリアショップ。 最近の家具屋さんはオシャレなところが多いし、 僕たちはここにいれば、何時間でも過ごすことができた。女性:「昨日まであんなんなかったよね?」男性: リビングとダイニングの真ん中。 ベンチは部屋と部屋の間に置かれていた。女性:「なんか、書いてある・・・ ノルディックベンチ?」男性:「君の好きな北欧スタイルだね」女性:「ノルウェーのアルタ。 『北極の町』の教会に置かれていたベンチだって」男性:「へえ〜。なにか謂れがあるのかな」女性:「悲恋伝説らしいわ。 その代償として、このベンチに座るカップルは結ばれる・・」男性: ドキっとした。 実は僕のカバンには、辞令が入っている。 東京支社への転勤の辞令。 僕は今日、それを彼女に告げなければならない。女性:「どうする?」男性:「いいじゃん。座ろうよ」女性:「うん」男性: 僕がベンチに腰掛けると、 彼女もゆっくりと腰をおろした。女性:「実はね、話したいことがあるの」男性:「え・・」女性:「私、いまの会社、ハウスメーカーに入ってから ずうっと海外勤務希望申請をだしてたの、知ってるでしょ」男性:「うん・・」女性:「それがね、急に決まっちゃったのよ」男性:「あ・・・」女性:「来年の春、LAに支社を開設するんだって」男性:「そう・・・」女性:「申請だしてたのさえ、忘れてたのに」男性:「よ、よかったじゃないか・・・」女性:「強制ではないんだけど、独身だと断りにくいから」男性: 彼女の言葉が途切れたのをきっかけに、僕も彼女に告白する。男性:「実は僕も君に話があるんだ・・・」女性:「え・・」男性:「これを見てほしい」女性:「なに」男性: 僕がカバンの中の辞令を彼女に手渡すと・・女性:「東京・・転勤・・・?」男性:「来年早々から」女性:「本社勤務、ってことは栄転ね」男性:「まあ、そうなるかな」女性:「おめでとう」男性:「いや、いかない」女性:「え?」 ■BGM〜「インテリアドリーム」男性: 僕は彼女から辞令を返してもらい、 そして、目の前で・・女性:「なにしてんの?」男性:「なにって、辞令を破いてるんだよ」女性:「どうして?」男性:「僕がインテリアデザイナーを目指しているの、 君が一番知ってるじゃないか」女性:「でも・・」男性:「これでやっと踏ん切りがついた」女性:「そんな・・」男性:「だから、君の海外勤務は・・・」女性:「もう断ったわ」男性:「え?」女性:「結婚する、ってウソついちゃった」男性:「それ、ウソじゃない」女性:「え?」男性:「結婚しよう」女性:「本気?」男性:「もちろん。返事は?」女性:「Yes!に決まってるじゃない」男性: なんだか、いままで悩んでたことがおかしくなる。 ノルディックベンチ。 説明書きにあるように「永遠の愛を守る」という伝説は生きているようだ。 『永遠の愛を守る』ノルディックベンチに座って 僕たちは未来を語り合った。(SE〜教会の鐘の音)
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