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岡大徳のポッドキャスト

PODCAST · business

岡大徳のポッドキャスト

病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。 www.daitoku0110.news

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    【令和8年度改定】連携型機能強化型在支診が2区分へ|要件を徹底解説

    連携型機能強化型在宅療養支援診療所(以下「連携型機能強化型在支診」)は、複数の医療機関の連携によって地域の24時間医療提供体制を支えてきました。しかし、現行の施設基準では、自院で実際に24時間体制を確保している施設と、連携先に依存して体制を確保している施設が同一の評価となっています。本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定における連携型機能強化型在支診の見直し内容と、その実務上のポイントを解説します。連携型機能強化型在支診の見直しは、自院で24時間医療提供体制を確保する施設をより高く評価する内容です。具体的には、施設基準を区分イと区分ロの2つに分けます。区分イは、自院の医師による月4回以上の連続24時間往診体制を新たな要件とします。区分ロは、連携体制による24時間往診体制を要件とし、自院単独の24時間往診体制までは求めません。改定の背景|自院で24時間体制を確保する施設の評価強化改定の趣旨は、地域の24時間医療提供体制を自ら支える医療機関を更に評価することです。連携型機能強化型在支診は、複数の医療機関で連携体制を構築し、24時間往診体制を確保しています。この連携体制において、自院で実際に医療提供体制を確保している時間は施設ごとに大きく異なります。そこで今回の改定では、自ら実際に医療提供体制を確保している時間に応じて評価を見直すこととなりました。改定の全体像|施設基準を区分イと区分ロに分割改定の全体像は、現行の施設基準を区分イと区分ロの2区分に分割するものです。区分イは、平時から訪問診療等を行う自院の医師により時間外往診体制を確保している施設を対象とします。区分ロは、それ以外の施設、すなわち連携先との協力で24時間往診体制を確保している施設を対象とします。両区分とも、患家の求めに応じた24時間往診体制の確保と、往診担当医の氏名・担当日等の文書提供は共通要件です。区分イの要件|自院医師による月4回以上の24時間往診体制区分イの新要件は、自院の医師による連続する24時間の往診体制等を月に4回以上確保することです。ここでいう「自院の医師」とは、平時から訪問診療等を行う医師を指します。この医師には、往診担当日の前日またはそれ以前に診療録を閲覧でき、必要に応じて診療方針を訪問診療医と共有し、当該保険医療機関からの往診経験を10回以上有する往診担当医師も含まれます。なお、別表第6の2に掲げる地域(医療資源の少ない地域)の診療所では、看護師等といる患者に対する情報通信機器を用いた24時間診療体制で代替できます。区分ロの要件|連携体制による24時間往診体制を確保区分ロの要件は、在宅支援連携体制による24時間往診体制を確保することです。具体的には、在宅支援連携体制を構成する他の保険医療機関と協力し、患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保します。あわせて、往診担当医の氏名および担当日等を文書により患家に提供します。区分イとの違いは、自院単独での月4回以上の連続24時間往診体制が要件とならない点です。なお、医療資源の少ない地域における情報通信機器による代替規定は、区分ロにも適用されます。実務への影響|自院の体制確認と区分選択の検討実務上の対応として、まず自院の24時間往診体制の実態を確認することが重要です。具体的には、平時から訪問診療を行う自院の医師が、月4回以上の連続24時間往診体制を確保できるかを点検します。次に、確保可能であれば区分イの取得を、困難であれば区分ロでの届出を検討します。なお、往診担当医師に「往診経験10回以上の医師」を含める場合は、診療録閲覧体制と訪問診療医との情報共有体制の整備も必要です。まとめ|自院体制の評価強化に向けた制度設計令和8年度改定における連携型機能強化型在支診の見直しは、自院で24時間医療提供体制を確保する施設をより高く評価する制度設計です。施設基準は区分イと区分ロの2区分に分割されます。区分イは、自院医師による月4回以上の連続24時間往診体制を要件とする新区分です。区分ロは、連携体制による24時間往診体制を要件とする区分です。各医療機関は、自院の体制を点検したうえで、適切な区分の選択と届出準備を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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    退院後訪問栄養食事指導料を新設|令和8年度改定で530点・退院後1か月4回まで算定可能

    高齢化に伴い、栄養管理の必要性が高い状態で退院する患者が増加しています。中医協での議論では、既存の在宅患者訪問栄養食事指導料が「通院困難」を要件とするため退院直後の患者には算定しにくく、また介護保険の居宅療養管理指導はケアプラン作成等に時間を要し、退院直後の栄養管理ギャップを埋めきれない実態が指摘されてきました。本記事では、こうした課題を背景に新設される「退院後訪問栄養食事指導料」の内容と実務上のポイントを、答申書記載事項に基づき整理します。退院後訪問栄養食事指導料は、入院医療機関の管理栄養士が退院直後に患家を訪問して栄養指導を行った場合の評価として、530点(1回につき)で新設されます。対象は特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能・嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者の4区分です。算定期間は退院日から起算して1か月以内(退院日を除く)に限られ、4回が算定上限です。なお、外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料とは併算定できません。新設の背景:退院直後の栄養管理ギャップ新設の背景には、退院直後に栄養管理が途切れる構造的な課題があります。退院直後の在宅療養支援は、医療ニーズの高い患者が安心・安全に在宅へ移行するために重要です。しかし、栄養管理の領域では、入院中の管理栄養士による指導と退院後の支援とがシームレスにつながりにくい状況が続いてきました。既存制度には、退院直後の栄養管理を担いきれない構造的限界がありました。在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)は「通院困難」を算定要件とするため、退院直後で病状が比較的安定し通院可能な患者には算定できません。介護保険の居宅療養管理指導は、ケアマネジャーとの調整、栄養ケア計画書の作成、サービス担当者会議への出席等を経るため、指導開始まで相当の時間を要します。その結果、退院直後の最も支援が必要な時期に、医療保険でも介護保険でも栄養指導を提供しにくい空白期間が生じていました。この空白期間の解消は、地方分権改革の提案としても明確に求められていました。令和7年地方分権改革では、高松市・三豊市から「在宅医療(訪問栄養指導)における医療保険適用要件の見直し」が提案されました。提案の趣旨は、退院直後など、医師の判断により適切な時期に必要な訪問栄養食事指導が受けられるよう、医療保険適用要件を見直してほしいというものです。今回の退院後訪問栄養食事指導料の新設は、この提案に応える形で、退院直後の栄養管理ギャップを医療保険側から埋める制度設計となっています。新設点数の概要:算定要件と対象患者退院後訪問栄養食事指導料は、入院していた保険医療機関の管理栄養士が患家等を訪問して栄養指導を行った場合に、530点(1回につき)を算定する新点数です。算定主体は退院した医療機関に所属する管理栄養士に限定され、医師の指示に基づき、具体的な献立等によって栄養管理に係る指導を行うことが要件となります。指導の相手は患者本人だけでなく、家族等退院後に在宅療養支援に当たる者も含まれます。算定期間と回数は、退院直後の集中支援を想定した設計です。算定対象期間は、退院日から起算して1か月以内(退院日を除く)に限定されます。算定回数の上限は4回で、退院後の在宅療養が安定するまでの集中的な栄養指導を支える設計となっています。対象患者は、栄養管理の必要性が高い4区分に整理されています。第1に、医師の発行する食事箋に基づく特別食(別表第三)を必要とする患者です。第2に、がん患者です。第3に、摂食機能または嚥下機能が低下した患者です。第4に、低栄養状態にある患者です。別表第三の特別食には、腎臓食、肝臓食、糖尿食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓食、脂質異常症食、痛風食、てんかん食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食、尿素サイクル異常症食、メチルマロン酸血症食、プロピオン酸血症食、極長鎖アシル―CoA脱水素酵素欠損症食、糖原病食、ガラクトース血症食、治療乳、無菌食、小児食物アレルギー食、特別な場合の検査食(単なる流動食および軟食を除く)が含まれます。他の栄養食事指導料との関係:併算定の可否退院後訪問栄養食事指導料は、既存の栄養食事指導料との併算定が制限されています。具体的には、外来栄養食事指導料(B001の9)および在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)は別に算定できません。同一期間に複数の栄養食事指導料を算定することによる重複評価を避けるための整理です。既存の在宅患者訪問栄養食事指導料との違いは、対象患者の要件にあります。在宅患者訪問栄養食事指導料は「通院困難」な在宅療養患者を対象とするため、退院直後で通院可能な患者には算定できません。一方、退院後訪問栄養食事指導料には通院困難要件がなく、退院した患者であって所定の対象患者に該当すれば算定可能です。両点数は「退院直後の通院可能患者」と「在宅療養中の通院困難患者」で対象を住み分ける構造になっています。平成28年度に新設された退院後訪問指導料との対比も理解の助けになります。退院後訪問指導料は看護師等による退院直後の訪問指導を評価する点数(580点・退院後1か月以内・5回まで/中医協資料による)で、医療ニーズの高い患者の在宅移行を支える役割を担います。今回の退院後訪問栄養食事指導料は、この看護師等による訪問指導の枠組みを栄養管理の領域に拡張したものと位置づけられます。両点数を組み合わせることで、退院直後の患者を多職種で支える体制が制度上整います。実務への影響:医療機関にとっての意義と留意点退院後訪問栄養食事指導料の新設は、入院医療機関に新たな在宅支援の役割を与えます。入院中に栄養指導を行ってきた管理栄養士が、退院後も継続して在宅で指導することで、患者の生活環境に即した実践的な栄養管理が可能になります。患者・家族にとっても、入院中から関係を築いた管理栄養士による指導は心理的な負担が少なく、円滑な在宅療養移行につながります。実務運用上は、4回という算定上限の使い方が鍵となります。退院日を除く1か月以内という限られた期間に、4回までの訪問でどのような栄養管理目標を達成するかを、入院中から計画しておく必要があります。具体的には、退院前カンファレンスの段階で訪問計画を共有し、初回訪問で家庭の食環境や調理担当者の状況を把握し、以後の訪問で具体的な献立提案や調理指導につなげる運用が想定されます。算定上の留意点として、医師の指示と具体的な献立指導の要件を押さえる必要があります。算定には保険医療機関の医師の指示が必要です。指導内容は「具体的な献立等によって栄養管理に係る指導を行う」ことが要件であり、抽象的な栄養指導ではなく実際の食事に落とし込んだ指導であることが求められます。さらに、外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料との併算定不可の規定にも注意し、退院後1か月以内の栄養指導は退院後訪問栄養食事指導料に一本化する運用が求められます。まとめ:退院直後の栄養管理ギャップを埋める新点数退院後訪問栄養食事指導料は、退院直後の栄養管理ギャップを医療保険側から埋める新点数として、令和8年度改定で新設されます。点数は530点(1回につき)で、退院日から1か月以内(退院日を除く)に4回を限度として算定できます。対象は特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能・嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者の4区分です。外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料とは併算定できない点に注意が必要です。入院医療機関の管理栄養士が、入院中の関わりを退院後の在宅まで継続することで、安心・安全な在宅療養移行を後押しする制度設計となっています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

  3. 428

    【2026年度改定】往診時医療情報連携加算の見直し:被支援側の対象拡大を完全解説

    在宅医療の需要は、高齢化の進展に伴って年々高まっています。地域で24時間の在宅医療提供体制を面として支えるためには、医療機関同士の連携を後押しする評価が欠かせません。しかし、現行の往診時医療情報連携加算では、在宅療養支援診療所(以下、在支診)・在宅療養支援病院(以下、在支病)を主治医とする患者への往診が算定対象から外れていました。本稿では、令和8年度診療報酬改定における往診時医療情報連携加算の見直し内容を整理し、医療機関への影響を解説します。今回の改定では、往診時医療情報連携加算の被支援側の対象が拡大されます。従来は在支診・在支病以外の医療機関のみが被支援側として認められていました。改定後は、機能強化型以外の在支診・在支病も被支援側として算定対象に加わります。算定点数は200点で変更ありません。改定の背景にある地域医療の課題往診時医療情報連携加算の見直しは、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える狙いがあります。この体制を実現するには、より幅広い在宅医療機関の連携を評価する必要があります。改定の背景には、現行制度では評価されにくい連携形態の存在があります。24時間の在宅医療提供体制は、医療機関単独で支えることが困難になっています。在宅医療を担う医療機関には、夜間・休日を含めた継続的な対応が求められます。この負担を一施設だけで背負うことは、特に小規模な医療機関にとって大きな課題です。医療機関同士の連携は、24時間体制を地域で支えるための現実的な解決策です。複数の医療機関が役割を分担することで、個々の負担を軽減できます。この連携を診療報酬で評価する仕組みのひとつが、往診時医療情報連携加算です。現行の往診時医療情報連携加算は、在支診・在支病以外の医療機関を主治医とする患者への往診を対象としていました。この枠組みでは、主治医が在支診・在支病である患者への往診が算定対象から外れます。地域で在宅医療を担う在支診・在支病同士が連携しても、評価されない状況が生じていました。改定で変わる算定要件の具体的内容改定の核心は、被支援側の対象範囲を拡大する点にあります。従来は在支診・在支病が被支援側になることはできませんでした。改定後は、機能強化型以外の在支診・在支病であれば被支援側として認められます。改定前の算定要件は、被支援側を「在支診・在支病以外の保険医療機関」に限定していました。この要件のもとでは、主治医が在支診・在支病である患者への往診は加算の対象外となります。在支診・在支病を主治医とする患者にも往診のニーズはあるため、この点は実務上の課題でした。改定後の算定要件では、被支援側を「機能強化型の在支診・在支病以外の保険医療機関」と整理しています。具体的には、機能強化型の在支診・在支病のみが被支援側から除外されます。機能強化型以外の在支診・在支病は、被支援側として算定対象に含まれます。算定点数は、改定前後ともに200点で据え置かれます。点数自体は変わらない一方で、算定機会は拡大します。これは、対象となる連携の幅が広がることを意味します。算定にあたって押さえるべき施設基準施設基準では、被支援側から除外される「機能強化型」の範囲が新たに明示されます。機能強化型の定義は、関連する施設基準の規定を引用する形で示されます。算定にあたっては、連携先の医療機関がどの類型に該当するかの確認が必須です。機能強化型の在支診は、施設基準告示の第三の六(1)及び(2)に該当する施設と定義されます。この規定に該当する在支診は、被支援側として算定の対象になりません。支援側の医療機関は、連携先の在支診が機能強化型に該当するかを事前に把握する必要があります。機能強化型の在支病は、施設基準告示の第四の一(1)及び(2)に該当する施設と定義されます。在支診と同様に、機能強化型に該当する在支病は被支援側から除外されます。支援側は、連携先の在支病についても機能強化型に該当するかの確認が求められます。支援側の要件は、改定前後で変更ありません。支援側は引き続き、在支診または在支病であることが条件です。算定の構造は、支援側が在支診・在支病、被支援側が機能強化型以外の医療機関という枠組みになります。医療機関にもたらされる実務上の影響今回の見直しは、地域で在宅医療を担う医療機関に新たな算定機会をもたらします。在支診・在支病同士で連携している医療機関にとって、影響は大きくなります。患者にとっても、24時間対応の体制が強化される効果が期待されます。在支診・在支病同士の連携は、機能強化型以外の範囲で診療報酬上の評価対象に加わります。これまで主治医が在支診・在支病である患者への往診では、往診時医療情報連携加算を算定できませんでした。改定後は、主治医が機能強化型以外の在支診・在支病であれば算定可能になります。算定の実務では、連携先の医療機関の類型確認が新たな確認事項として加わります。機能強化型に該当する在支診・在支病は、引き続き被支援側から除外されるためです。算定可否の判断には、施設基準告示の該当規定に基づく類型の特定が欠かせません。患者への効果は、地域全体での24時間対応体制の強化に表れます。連携を評価する枠組みが広がることで、医療機関は連携体制の構築に積極的に取り組みやすくなります。結果として、夜間・休日を含めた継続的な在宅医療の提供が地域で確保されやすくなります。まとめ:往診時医療情報連携加算の見直しのポイント令和8年度診療報酬改定では、往診時医療情報連携加算の被支援側の対象が拡大されました。従来の在支診・在支病以外の医療機関に加え、機能強化型以外の在支診・在支病も被支援側として認められます。算定点数は200点で変更がない一方、算定機会は確実に広がります。この見直しは、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える連携を、診療報酬の側面から後押しするものです。医療機関は、連携先が機能強化型に該当するかを確認した上で、新しい算定要件への対応を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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    在宅医療充実体制加算へ名称変更|令和8年度改定で点数も大幅引き上げ

    機能強化型在宅療養支援診療所・病院では、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算で求められる実績要件(緊急往診15件以上、看取り20件以上)を大きく上回る医療機関が多数存在しています。そのため、在宅医療において積極的役割を担う医療機関を、緩和ケアの枠を超えてより広く評価する必要性が高まっていました。本記事では、令和8年度診療報酬改定における「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」の見直し内容を解説します。本改定では、加算の名称変更、施設基準の見直し、評価点数の引き上げの3点が実施されます。第1に、加算の名称が「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」から「在宅医療充実体制加算」へ変更されます。第2に、施設基準が「在宅緩和ケアを行うにつき十分な体制」から「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ見直されます。第3に、評価点数がターミナルケア加算で1,000点から2,000点へ、医学総合管理料で約2倍に引き上げられます。改定の背景:在宅医療の積極的役割への評価強化本改定の背景には、機能強化型在支診・在支病における実績の伸長と、求められる役割の多様化があります。これまでの在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は、緩和ケア提供体制を中心に評価する仕組みでした。しかし、現場の機能強化型在支診・在支病では、緩和ケアにとどまらず、地域の重症在宅患者への対応や医育機能まで担うケースが増えています。機能強化型在支診・在支病の実績は、加算要件を大きく上回る水準に達しています。在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の要件は、過去1年間の緊急往診15件以上かつ看取り20件以上です。一方、中医協の調査では、この要件件数を大きく上回る緊急往診や看取りを実施している医療機関が多数確認されています。さらに機能強化型在支診・在支病の約35%が、訪問診療患者の20%以上を重症患者として受け入れています。求められる役割も、緩和ケアの枠を超えて広がっています。地域の在宅医療提供の中核として、十分な医師配置、在宅看取りの実績、重症患者への訪問診療、他の在宅医療機関への支援機能、医育機能などが求められるようになっています。このため、緩和ケアに特化した評価から、在宅医療全般の積極的役割を評価する仕組みへの転換が必要となりました。改定のポイント1:名称と施設基準の見直し加算の名称と施設基準は、在宅医療の積極的役割を反映した内容に見直されます。名称は「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」から「在宅医療充実体制加算」へ変更されます。施設基準は「在宅緩和ケアを行うにつき十分な体制」から「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ変更されます。名称変更は、評価対象の拡大を明確化する狙いがあります。これまでの名称は「緩和ケア」を前面に打ち出していました。新しい名称「在宅医療充実体制加算」は、緩和ケアに限定せず在宅医療全般の充実体制を評価することを示しています。この変更により、加算が緩和ケア専門の医療機関だけでなく、地域の在宅医療を幅広く支える医療機関への評価であることが明確になります。施設基準の見直しは、評価対象の重点を明示する狙いがあります。現行基準は「在宅緩和ケア」の体制と実績のみを要件としていました。新基準は「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療」を要件として明示します。この変更により、緩和ケア提供体制に加え、重症患者への対応力を備えた医療機関が評価対象として明確化されます。改定のポイント2:評価点数の大幅引き上げ評価点数は、対象となるすべての診療料・加算で引き上げられます。在宅ターミナルケア加算は1,000点から2,000点へ引き上げられます。緊急・夜間・休日・深夜往診の加算は100点から200点へ引き上げられます。在宅時医学総合管理料の加算は約2倍に引き上げられます。施設入居時等医学総合管理料の加算は約2倍に引き上げられます。在宅がん医療総合診療料の加算は150点から300点へ引き上げられます。往診料関連の点数は、ターミナルケアを中心に大きく増加します。在宅ターミナルケア加算は1,000点から2,000点へと2倍になります。緊急・夜間・休日・深夜往診加算は100点から200点へと2倍になります。看取り対応への評価が大幅に強化される内容です。在宅時医学総合管理料の点数は、患者規模ごとに約2倍へ引き上げられます。単一建物診療患者が1人の場合は400点から800点へ、2〜9人の場合は200点から400点へ、10〜19人の場合は100点から200点へ、20〜49人の場合は85点から170点へ、それ以外の場合は75点から150点へ変更されます。すべての区分で点数が倍増する形です。施設入居時等医学総合管理料の点数も、患者規模ごとに約2倍へ引き上げられます。単一建物診療患者が1人の場合は300点から600点へ、2〜9人の場合は150点から300点へ、10〜19人の場合は75点から150点へ、20〜49人の場合は63点から128点へ、それ以外の場合は56点から113点へ変更されます。在宅時医学総合管理料と同様に、すべての区分で点数が倍増する形です。在宅がん医療総合診療料の加算は、150点から300点へ引き上げられます。在宅療養実績加算1の110点、在宅療養実績加算2の75点と比較しても、新しい在宅医療充実体制加算の300点は突出した水準です。在宅がん患者の総合診療を担う医療機関への評価が、明確に強化されます。改定のポイント3:医療機関への影響と対応本改定により、機能強化型在支診・在支病における収益構造とインセンティブ設計が大きく変わります。点数が倍増することで、加算届出医療機関の収益は大幅に増加します。同時に、施設基準が「地域の重症な在宅患者への質の高い診療」へ重点を移すことで、医療機関に求められる機能の方向性が明確になります。加算届出医療機関は、点数引き上げによる収益増を見込めます。届出医療機関数は平成28年の394施設から令和6年の1,476施設まで増加し続けています。この増加傾向に加えて点数が倍増するため、対象医療機関の収益インパクトは大きくなります。経営計画上、本改定の影響を早期に試算しておくことが重要です。施設基準の変更は、医療機関の体制整備に方向性を示します。新基準では「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療」を行う体制が求められます。なお、現行の在宅緩和ケア充実診療所・病院加算で求められている詳細要件(緩和ケア研修会修了医師の配置、オピオイド系鎮痛薬投与実績等の留意事項通知レベルの基準)が、新加算でどのように取り扱われるかは、本資料では明示されていません。詳細な施設基準の通知内容は、確定次第、改めて確認が必要です。まとめ:在宅医療充実体制加算が在宅医療提供体制の中核を支える令和8年度診療報酬改定では、「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が「在宅医療充実体制加算」へ名称変更され、施設基準と評価点数が見直されます。施設基準は「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ変更され、緩和ケアから在宅医療全般の積極的役割への評価へと重点が移ります。評価点数はターミナルケア加算で2倍、医学総合管理料で約2倍へと大幅に引き上げられ、機能強化型在支診・在支病の役割発揮が強く後押しされます。本改定を機に、医療機関では届出要件の確認と収益試算、地域の在宅医療提供体制における自院の役割の再整理を進めていくことが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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    令和8年度改定|質の高い在宅医療・訪問看護を確保する3つの見直しを総整理

    令和8年度診療報酬改定では、個別改定項目「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」において、訪問看護を取り巻くルールが3つの観点から大きく見直される。背景には、訪問看護の利用者拡大に伴う実施内容のばらつき、画一的な訪問や短時間訪問の濫用、退院支援時の高齢者住まい等への誘導をめぐる問題がある。本稿では、訪問看護ステーションと保険医療機関の実務担当者向けに、3つの見直しの全体像と各論のサマリーを整理する。3つの見直しは、訪問看護の「実施・運営・誘導」の3軸を一体的に再構築する内容である。第一に、適正な訪問看護の推進として、記録書の記載内容を明確化し、標準時間を下回る訪問の濫用を規制する。第二に、指定訪問看護の運営基準の見直しとして、適正手続き・健全運営・誘引禁止・誘導禁止の4規定を新設し、安全管理体制と記録整備を義務化する。第三に、療養担当規則の見直しとして、保険医療機関から訪問看護や高齢者住まい等への誘導と利益収受を禁止する規定を新設する。改定の全体像と3つの見直しの関係性「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」は、訪問看護の実施・運営・誘導の3層を同時に整える改定パッケージである。3つの見直しは、それぞれ訪問看護ステーションの「現場運用」「組織運営」「医療機関との関係性」に対応する。各層の規律を整合的に強化することで、在宅医療全体の透明性と質を確保する狙いがある。3つの見直しの位置づけは、3層構造で整理できる。第1層は訪問看護の現場運用に関する見直しであり、記録書の記載と短時間訪問の規制が中心となる。第2層は訪問看護ステーションの組織運営に関する見直しであり、運営基準への新規定追加と安全管理体制の確保が中心となる。第3層は保険医療機関と訪問看護等との関係性に関する見直しであり、誘導禁止規定の対象拡張が中心となる。3つの見直しの共通の目的は、健康保険事業の健全な運営の確保である。中医協の議論では、画一的な訪問や短時間訪問の濫用、高齢者住まい等への誘導といった懸念が示されてきた。あわせて、介護保険の訪問看護の収支差率が令和4年度で5.9%である一方、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の中には、訪問看護以外の事業を含む全社ベースの営業利益率が20%を超える例も確認されている。改定は、これらの懸念に3層から同時に対応する。① 適正な訪問看護の推進|記録書記載と実施基準の明確化第1の見直しは、訪問看護の現場運用を規律する内容で、記録書の記載要件と実施基準を明確化する。具体的には、標準時間(30分から1時間30分程度)を下回る短時間訪問の規制、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施の徹底、利用者の状態を踏まえない一律決定の禁止、目標達成評価と実際の訪問時刻の記録という4点を通知レベルで明文化する。短時間訪問の規制は、新設される運用ルールである。同一日に同一の利用者へ複数回、又は複数の利用者に対して標準時間を下回る訪問が頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したと認めない。ただし、標準時間の訪問計画を作成した上で、利用者側のやむを得ない事情により標準時間を下回った場合は規制対象から除外される。記録要件の明確化は、改定のもう一つの柱である。訪問看護記録書には、目標達成の程度及びその効果に関する評価を記録しなければならない。訪問時刻についても、計画上の予定時刻ではなく、実際の指定訪問看護の開始時刻と終了時刻を記載することが明記される。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定|訪問看護の適正化と記録書記載の明確化を解説② 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の見直し|4つの新規定と安全管理第2の見直しは、訪問看護ステーションの組織運営を規律する内容で、運営基準(平成12年厚生省令第80号)に4つの新規定を追加し、2つの既存規定を改正する。新規定では、適正手続きの確保、健康保険事業の健全な運営確保、経済上の利益による誘引禁止、特定の主治医・事業者等への誘導禁止を、第五条の二から第五条の五として義務付ける。安全管理体制の確保と記録整備の義務化は、既存規定の重要な改正点である。第二十八条第3項として、指定訪問看護に係る安全管理のための体制の確保を新たに義務付ける。第三十条では、訪問看護記録書、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、市町村等への情報提供書、市町村等との連絡調整に関する記録の6種類を完結の日から2年間保存することを明示する。これらの改正は、療養担当規則と同様の規律を訪問看護ステーションに導入する性格を持つ。訪問看護ステーションは、保険医療機関と同等の運営規律のもとで、適正手続きとコンプライアンスを確保することが求められる。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定で訪問看護の運営基準が刷新|4つの新規制と安全管理体制の義務化③ 保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直し|誘導禁止規定の対象拡張第3の見直しは、保険医療機関と訪問看護・高齢者住まい等との関係性を規律する内容で、療養担当規則に誘導禁止規定を新設する。背景には、現行の誘導禁止規定(第二条の五)が保険薬局のみを対象としており、保険医療機関から訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導には規制が及んでいなかった空白がある。新設規定は、保険医療機関が患者に対し特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うことの対償として、当該事業者等から金品その他の財産上の利益を収受することを禁止する。対象となる事業者等は、指定訪問看護及び指定介護予防訪問看護、指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護、地域密着型サービス3類型(認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)、指定居宅介護支援及び指定介護予防支援、介護保険施設の5区分である。さらに、これらの事業者と特別の関係にある事業者も対象に含まれ、迂回的な利益収受も封じられる。実務上は、退院支援や在宅移行支援の場面で、紹介行為と金銭関係を明確に切り離した運用が求められる。とくに、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを系列法人で運営する場合は、患者の囲い込みと利益収受の関係が問われやすい。組織内の運用ルールと診療録への記録方法を再点検する必要がある。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説訪問看護ステーション・保険医療機関に求められる対応3つの見直しに対応するためには、訪問看護ステーションと保険医療機関がそれぞれの立場から体制整備を進める必要がある。訪問看護ステーションは、現場運用と組織運営の両面で改定対応が求められる。保険医療機関は、退院支援・在宅移行支援の場面で誘導と利益収受の関係性を整理することが求められる。訪問看護ステーションの対応は、5つの実務事項に集約される。具体的には、標準時間に基づく訪問計画の作成、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施、利用者の状態に応じた個別対応、目標達成の評価と訪問看護記録書への記録、実際の訪問時刻の記載である。さらに、運営基準の新規定に対応するため、適正手続き・誘引禁止・誘導禁止の運用ルール整備と、安全管理体制の構築、6種類の記録整備も並行して進める必要がある。保険医療機関の対応は、誘導行為と利益収受の関係性を切り離す運用ルール作りが中心となる。退院支援や在宅移行支援の場面では、複数の選択肢を客観的な情報とともに提示し、患者の意向を尊重した紹介を行うことが基本となる。系列法人や提携先の事業者を案内する際には、紹介手数料・委託料等の名目で授受される金銭が患者紹介の対償と評価されないかを点検し、紹介経緯と判断根拠を診療録等に記録する運用を徹底する必要がある。まとめ|在宅医療の透明性と質を確保する一体改革令和8年度改定の「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」は、訪問看護の実施・運営・誘導の3軸を同時に整える一体改革である。訪問看護ステーションは、記録書の記載要件と運営基準の新規定への対応を計画的に進め、保険医療機関は、誘導と利益収受の関係性を整理する必要がある。これらの対応は、診療報酬の算定要件であると同時に、在宅医療全体の透明性と質を高める実務改善の機会でもある。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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    令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説

    令和8年度診療報酬改定では、保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下、療養担当規則)に新たな禁止規定が設けられます。背景には、保険医療機関から特定の訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導が、社会保障費の不適切な費消を招く事例が顕在化したことがあります。現行の療養担当規則では、誘導禁止の対象が保険薬局に限定されていたため、在宅医療・訪問看護領域における新たな規律が必要となっていました。本メルマガでは、療養担当規則第二条の五の二の新設の趣旨と内容を、現場で押さえるべきポイントに絞って解説します。療養担当規則の見直しは、「健康保険事業の健全な運営の確保」を目的として、誘導禁止の対象を在宅・介護関連サービスへ拡張するものです。第一に、新設規定は、保険医療機関が特定事業者等の利用を指示する対償として金品等を収受することを禁じます。第二に、規制対象には、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設等が幅広く含まれます。第三に、上記事業者と特別の関係にある事業者も対象に含まれ、抜け道となる迂回的な利益収受も封じられます。改定の背景:在宅領域における誘導の規制空白療養担当規則の現行規定には、在宅医療・訪問看護領域における誘導禁止の空白が存在していました。第二条の五は、保険医療機関から特定の保険薬局への誘導とその対償としての利益収受を禁じる規定であり、誘導禁止の対象を保険薬局のみに限定しています。このため、保険医療機関から訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導には、現行ルールが及んでいませんでした。この規制空白は、在宅医療現場における高収益構造と結びつき、看過できない問題として顕在化しました。介護保険の訪問看護の収支差率は令和4年度で5.9%ですが、高齢者住まい等に併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の例では、営業利益率が20%を超える事業者も確認されています(ただし当該数値は訪問看護事業以外を含む全社ベースの利益率である点に留意)。また、有料老人ホームの紹介手数料についても、要介護度や医療必要度に応じて高額に設定される事例があり、社会保障費の使途として疑念を持たれる実態が報じられました。こうした問題を踏まえ、中医協は療養担当規則における誘導禁止規定の対象拡張を論点として整理しました。論点の中心は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導に対し、療養担当規則と同様の規律を設けるべきか否かにありました。議論の結果、健康保険事業の健全な運営の確保の観点から、新設規定の整備が必要との結論に至っています。新設規定の内容:第二条の五の二による誘導禁止新設される第二条の五の二は、保険医療機関による特定事業者等への誘導を、対償としての利益収受の側面から禁止する規定です。具体的には、保険医療機関が患者に対し特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うこと、その指示等の対償として当該事業者等から金品その他の財産上の利益を収受すること、この2つが結びついた行為を禁止します。これは、現行第二条の五が定める保険薬局向けの規律と同じ構造を、在宅・介護関連サービスに拡張するものです。禁止規定の対象となる事業者等は、在宅医療・介護領域の主要サービスを広く網羅しています。対象は、指定訪問看護及び指定介護予防訪問看護、指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護等の地域密着型サービス3類型、指定居宅介護支援及び指定介護予防支援、介護保険施設の5区分です。これらは、保険医療機関の患者が在宅・施設での療養生活へ移行する際に利用するサービスを、ほぼ網羅した範囲となります。これらの事業者と「特別の関係にある事業者」も、誘導禁止の対象に含められています。具体的には、上記5区分の事業者と併せて利用される事業者であって、当該事業者と特別の関係にある事業者が対象となります。この規定により、関連事業者を経由した迂回的な利益収受も禁止対象となる構造です。なお、本規定は高齢者の医療の確保に関する法律に基づく療養の給付等の取扱い基準についても、同様の改正が行われます。現場への影響:退院支援・在宅移行時の実務留意点新設規定の施行により、保険医療機関は退院支援や在宅移行支援の場面で、特定事業者の紹介に伴う金銭関係の整理が必須となります。退院支援では、入退院支援部門が訪問看護ステーションや介護保険施設を患者に案内する場面が日常的に発生します。この案内自体は禁止されませんが、案内の対償として事業者から金品等の財産上の利益を収受する関係があれば、新設規定に抵触します。実務上の留意点は、紹介と利益収受の関係性を切り離して運用することにあります。系列法人や提携先の事業者を案内する際には、紹介手数料・委託料・業務委託費などの名目で授受される金銭が、患者紹介の対償と評価されないかを確認する必要があります。とくに、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを系列で運営する場合は、患者の囲い込みと利益収受の関係が問われやすく、組織内での運用ルールの再点検が求められます。患者の選択権を確保する仕組み作りも、現場の重要な対応事項となります。療養担当規則の趣旨は、保険医療機関の患者が、自由な意思で在宅・介護サービスを選択できる環境を守ることにあります。このため、複数の選択肢を客観的な情報とともに提示すること、患者の意向を尊重した紹介を行うこと、紹介経緯と判断根拠を診療録等に記録することが、実務上の標準対応として重要性を増します。まとめ:療養担当規則の規律拡張で在宅医療の透明性を確保令和8年度改定で新設される療養担当規則第二条の五の二は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導と利益収受を禁止する規定です。この見直しは、保険薬局に限定されていた現行の誘導禁止規定を、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設へと拡張するもので、特別の関係にある事業者も対象に含めることで迂回的な利益収受を封じます。保険医療機関の現場では、退院支援や在宅移行支援における紹介行為と金銭関係の整理、患者の選択権を確保する運用ルールの再点検が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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    令和8年度診療報酬改定の基本方針を解説|4つの視点と重点課題

    令和7年12月9日、社会保障審議会医療保険部会および医療部会において、令和8年度診療報酬改定の基本方針が決定されました。物価高騰や賃金上昇が続く中、医療機関の経営安定と人材確保が喫緊の課題となっています。本稿では、この基本方針の全体像と具体的方向性を解説します。今回の改定は、物価や賃金、人手不足等への対応を重点課題として位置づけています。基本方針では4つの基本的視点が示されました。第一に、医療従事者の処遇改善と人材確保への取組が重点課題となります。第二に、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携が推進されます。第三に、医療DXの活用による安心・安全で質の高い医療が推進されます。第四に、効率化・適正化を通じた医療保険制度の持続可能性向上が図られます。改定に当たっての基本認識基本方針では、令和8年度診療報酬改定に当たって4つの基本認識が示されました。これらの認識は、今回の改定全体を貫く基盤となっています。第一の認識は、日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金の上昇と人材確保の必要性です。日本経済は30年続いたコストカット型経済から脱却しつつあります。一方で医療分野は公定価格によるサービス提供が中心であるため、経済社会情勢の変化に機動的な対応が難しく、サービス提供や人材確保に大きな影響を受けています。第二の認識は、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築です。2040年頃に向けては、生産年齢人口が減少する一方、85歳以上人口が増加していきます。こうした変化に対応するため、「治す医療」と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療提供体制を構築する必要があります。第三の認識は、医療の高度化や医療DX、イノベーションの推進による安心・安全で質の高い医療の実現です。医療技術の進歩を国民に還元するとともに、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグへの対応が求められています。第四の認識は、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保と経済・財政との調和です。国民皆保険を堅持し次世代に継承するため、現役世代の保険料負担の抑制努力を踏まえながら、効率的・効果的な医療政策を実現することが不可欠です。重点課題:物価や賃金、人手不足等への対応今回の改定では、物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応が重点課題に位置づけられました。医療機関等は厳しい経営環境に直面しており、的確な対応が急務となっています。医療機関等は現下の持続的な物価高騰により、事業収益の悪化が続いています。人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費、委託費等の物件費が増加しているためです。また、全産業で賃上げ率が高水準となる中、医療分野では賃上げ水準から乖離し、人材確保が困難な状況にあります。この重点課題に対する具体的方向性は、2つの柱で構成されています。第一の柱は、医療機関等が直面する人件費や物件費の高騰を踏まえた対応です。第二の柱は、賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組です。第二の柱である人材確保に向けた取組には、5つの具体的施策が含まれています。まず、医療従事者の処遇改善です。次に、ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化の推進です。さらに、タスク・シェアリング/タスク・シフティングとチーム医療の推進です。加えて、医師の働き方改革の推進と診療科偏在対策です。最後に、診療報酬上求める基準の柔軟化です。2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携第二の基本的視点として、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアシステムの推進が掲げられました。中長期的な人口構造や医療ニーズの変化を見据えた医療提供体制の構築が求められています。この視点における具体的方向性は、8つの分野に整理されています。第一に、患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価です。地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備や、人口の少ない地域の実情を踏まえた評価が含まれます。第二に、「治し、支える医療」の実現です。在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援機能を担う医療機関の評価、円滑な入退院の実現、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進が進められます。第三に、かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価です。第四に、外来医療の機能分化と連携として、大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携が推進されます。第五に、質の高い在宅医療・訪問看護の確保です。第六に、人口・医療資源の少ない地域への支援です。第七に、医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための取組です。第八に、医師の地域偏在対策の推進です。安心・安全で質の高い医療の推進第三の基本的視点は、安心・安全で質の高い医療の推進です。患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえた取組の評価が進められます。この視点における具体的方向性は、9つの分野にわたります。第一に、患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価として、身体的拘束の最小化や医療安全対策の推進が含まれます。第二に、アウトカムにも着目した評価の推進です。第三に、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価です。電子処方箋システムの利活用やオンライン診療の推進が進められます。第四に、質の高いリハビリテーションの推進として、発症早期からの介入や土日祝日の実施体制充実が図られます。第五に、重点的な対応が求められる分野への適切な評価です。救急医療、小児・周産期医療、がん医療、精神医療、難病患者への医療が対象となります。第六から第九として、感染症対策・薬剤耐性対策の推進、歯科医療の推進、薬局機能の評価、イノベーションの適切な評価等が挙げられています。効率化・適正化を通じた制度の持続可能性向上第四の基本的視点は、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上です。医療費増大が見込まれる中、国民皆保険を維持するための不断の取組が必要とされています。この視点における具体的方向性として、7つの取組が示されました。第一に、後発医薬品・バイオ後続品の使用促進です。第二に、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の在り方の見直しです。第三に、費用対効果評価制度の活用です。第四に、市場実勢価格を踏まえた適正な評価です。医薬品、医療機器、検査等について効率的かつ有効・安全な利用体制の確保が図られます。第五に、電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働による医薬品の適正使用等の推進です。重複投薬、ポリファーマシー、残薬への対応が含まれます。第六に、外来医療の機能分化と連携です。第七に、医療DXやICT連携を活用する体制の評価です。今後の課題と展望基本方針では、今後取り組むべき課題も示されました。持続可能な「全世代型社会保障」の実現に向けて、診療報酬制度のみならず総合的な政策が求められています。今後の課題として、5つの点が挙げられています。第一に、診療報酬制度のみならず、医療法や医療保険各法等の制度的枠組み、補助金等の予算措置を含めた総合的な政策の必要性です。第二に、持続的な物価高騰・賃金上昇局面における適時適切な報酬措置の検討です。第三に、患者にとって身近で分かりやすい医療提供体制の実現と、国民の医療保険制度に対する納得感の向上です。第四に、予防・健康づくりやセルフケアの推進、ヘルスリテラシーの向上です。住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の全ての関係者が協力・連携して国民一人一人を支援することが求められています。第五に、医療DXの推進です。医療DXへの投資は業務負担の軽減や医療の質の向上につながるため、国民の健康増進と安心・安全で質の高い医療サービスの実現に向けた推進が必要です。まとめ令和8年度診療報酬改定の基本方針は、物価高騰・賃金上昇への対応を重点課題として位置づけました。医療従事者の処遇改善と人材確保への取組、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携、医療DXを活用した安心・安全で質の高い医療の推進、効率化・適正化による制度の持続可能性向上という4つの基本的視点から、具体的な方向性が示されています。今後、中央社会保険医療協議会において、この基本方針に基づいた具体的な診療報酬点数等の議論が進められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

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病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。 www.daitoku0110.news

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