PODCAST · fiction
眠れぬ夜に安らぎを〜泉鏡花の妖し(あやかし)物語
by 波華〜namika〜
心がざわめいて眠れない夜。そんな時には、美しい言葉の子守唄を聴いてみませんか。明治・大正・昭和初期にかけて薫り高い名作のかずかずを紡いだ作家、泉鏡花。その作品の朗読を、四季折々の自然の音に乗せて送ります。幻想的な作品から日常を描いたエッセイまで。鏡花ならではの耽美な世界と日本のたおやかな情緒をお楽しみください。ホームページでもコンテンツを公開。http://izumikyouka.com感想・リクエストなどもお待ちしています。http://izumikyouka.com/2-2/
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泉鏡花「春狐談」「狸囃子」【朗読】 花街幻想 吉原におぼろ月【安眠】
―― 春月の灯り、狐と狸がほのかに誘う夜 ――NHK大河ドラマ『べらぼう — 蔦重栄華乃夢噺 —』で再び脚光を浴びる江戸・吉原の花街。その淡い気配が一瞬だけ揺らぐ泉鏡花の短篇〈春狐談〉〈狸囃子〉を、ひそやかな朗読にのせてお届けします。花街が主題ではなくとも、ほの艶やかな余韻が春宵の静けさを匂い立たせる──。◆ 作品情報・著者:泉鏡花(1873-1939)・ジャンル:幻想文学/近代日本文学/短篇・発表年:〈春狐談=1900年〉〈狸囃子=1900年〉◆ あらすじ • 春狐談:春の宵、月夜の下で狐たちが集い百物語――と思わせながら、鏡花自身のエッセイ的、軽やかな小作品。 • 狸囃子:鏡花自身が遭遇した狸囃子。その音色を書き留めたエッセイ。現実と幻を溶かす一夜の戯れ。 ◆ 聴きどころ 1. 言葉の肌ざわり — 鏡花初期作品特有の、江戸草紙を思わせる絹のような文体。 落ち着いた声の朗読で味わう静けさを―― 2. 春夜の情景音 — 雨上がりの川音が奥行きを与え、入眠導入のリズムを整えます。 3. 吉原をほのめかす一瞬 — 「春狐談」にちらりと漂う花街の香りが、物語に艶を添えます。 ◆ チャプター00:00 春狐談16:00 狸囃子ご視聴ありがとうございます。チャンネル「泉鏡花の妖し物語」では、幻想と文学を静かに語る朗読作品を多数配信しております。朗読が心に響きましたら、またお立ち寄りいただければ幸いです。ご登録・ご評価は次の物語を紡ぐ励みとなります。lit.link(配信・SNS一覧)→ https://lit.link/izumikyouka#泉鏡花朗読 #花街幻想 #吉原 #安眠朗読 #izumikyouka朗読 #睡眠導入 #静かな朗読 #JapaneseLiterature
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泉鏡花『化鳥』朗読―雨夜に潜む幻想譚【高音質・入眠朗読】
#泉鏡花 #化鳥 #入眠朗読―― 雨の夜、幻想と怪異が交錯する世界へ。近代日本の名作小説を朗読で――▶作品の解説記事(音声ガイドリンクつき)を公開しましたhttps://note.com/mizuki_8870/n/nab00b9bdc713泉鏡花『化鳥』。幻想文学の名手が描く、ある少年の「まなざし」と「記憶」。 本作を、高音質・ノイズレス環境で朗読しました。 静かな作業時間、入眠導入としてもご活用いただけます。◆ 作品情報・著者:泉鏡花(1873–1939)・ジャンル:幻想文学/近代日本文学/短編小説・発表年:1897年◆ こんな方におすすめです・泉鏡花の作品を落ち着いた声で聴きたい方・静かな語りで眠りにつきたい方・幻想文学・日本文学に興味のある方◆ チャプター0:00 雨降りの橋6:12 廉と母様が見る世界11:47 人が鳥や茸になる17:34 先生がご機嫌を損ねた理由23:26 川向うに見えるのは…28:57 苦しみを越えたところに35:23 花園の頃の記憶41:24 鮟鱇博士48:01 博士と母様52:33 美しい姉さま58:04 姉さまに会いたい1:03:45 薄闇の梅林の怪 -------------------------------------------ご視聴ありがとうございます。 チャンネル「泉鏡花の妖し物語」では、幻想と文学を静かに語る朗読作品を多数配信中です。✅ lit.link(各配信・SNS)→ https://lit.link/izumikyouka ✅ チャンネル登録はこちら → https://www.youtube.com/@namica_1104#朗読 #高音質朗読 #入眠導入 #泉鏡花 #化鳥 #梅 #幻想文学 #幻想譚 #静かな語り #日本文学 #睡眠用朗読 #和風BGM #癒しの朗読 #izumikyouka朗読 #litlink
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泉鏡花『夜行巡査』朗読-夜の街を巡る巡査と儚き恋【名作幻想文学×自然音×入眠導入】
泉鏡花『夜行巡査』名作小説朗読 ―情熱と現実の狭間で揺れる恋と義務夜の街に響く巡査の足音。職務に忠実であろうとする彼の心を揺るがす、美しくも儚い出会い――。幻想文学の名手・泉鏡花が描く、夢幻の物語を朗読いたします。朗読:波華静かに広がる自然音BGMとともに、幻想世界に浸るひとときをお楽しみください。入眠導入・作業用にもおすすめです。🌸チャプター0:00………一8:24………二16:52………三23:51………四31:23………五40:31………六🌸こんな方におすすめ✅ 幻想文学や日本文学が好きな方✅ 泉鏡花の独特な世界観に惹かれる方✅ 朗読を聴きながら、静かな夜の雰囲気に浸りたい方✅ 寝る前のリラックスや作業用BGMを探している方🌸朗読BGMについて物語の幻想的な雰囲気を引き立てるよう、**自然音(環境音)**を使用しています。まるで物語の中に迷い込んだかのような、静謐なひとときをお届けします。✅ 動画制作の裏話や更新情報を発信中✅Instagram https://www.instagram.com/namika1031✅X(Twitter)https://x.com/namika1031?s=21&t=Z-YFhjdD5PTgzn3GcvDBTg #朗読#泉鏡花 #名作 #文豪 #幻想文学 #聴く読書 #作業用 #睡眠導入#幻想文学 #izumikyouka朗読
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処方秘箋(現代語訳版)
処方秘箋・泉鏡花作 現代語訳・朗読:波華今回の動画では、泉鏡花の名作『処方秘箋』を現代語訳で朗読しました。鏡花の世界はあの文体でこそ、という大前提ありきでの訳文作業。ほとんど意訳の部分もあり、苦心の跡がそこここに見えますが…作品への熱量として伝わりましたら嬉しいです。そしてまたぜひ原文もおたのしみください。処方秘箋・原文はこちらからお聴きになれますhttps://open.spotify.com/show/0S7fPclmout9Skul8LyWVn
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月令十二態・後編
大正9年発表 「月令十二態」の前半部である1月〜6月はこちらからお聴きになれます https://open.spotify.com/show/0S7fPclmout9Skul8LyWVn 雑誌「婦女会」に掲載された短編の後編部分。 一月から一二月までの四季のうつろいや年中行事が描かれている。 今回の配信は7月から12月までの章をご紹介。 歳時記エッセイ的な作品なるも、鏡花の目を通せば夢と現の境界がぼやかされた艶麗な風景が展開されること、ご覧の通り。 ---------------------------------------------------- お聴きくださってありがとうございます。 泉鏡花作品をこれからも配信していきますので ぜひチャンネル登録をして頂けたら嬉しいです。 ☆その他のPodcastプラットフォームでお聴きになる場合はこちらから https://lit.link/izumikyouka ・Instagram更新しています→@namica1031 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708/ # 朗読 # 泉鏡花# 日本文学# 幻想文学# Audible# 聴く読書# 作業用# 睡眠導入# 怪談
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月令十二態・前編
大正9年発表 雑誌「婦女会」に掲載された短編。一月から一二月までの四季のうつろいや年中行事が描かれている。 今回の配信は一月から六月までの章をご紹介。 歳時記エッセイ的な作品なるも、鏡花の目を通せば夢と現の境界がぼやかされた艶麗な風景が展開されること、ご覧の通り。 ---------------------------------------------------- お聴きくださってありがとうございます。 泉鏡花作品をこれからも配信していきますので ぜひチャンネル登録をして頂けたら嬉しいです。 ☆その他のPodcastプラットフォームでお聴きになる場合はこちらから https://lit.link/izumikyouka ・Instagram更新しています→@namica1031 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708/ # 朗読 # 泉鏡花 # 日本文学 # 幻想文学 # Audible # 聴く読書 # 作業用 # 睡眠導入 # 怪談
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黒猫・その25 泉鏡花
【明治28年発表】 「黒猫・その24」 https://open.spotify.com/episode/0KB0RJvi4WCvcMR5APCmeS のつづき。 お島の命を賭した縁結びによって、長年の想い人と結ばれたお小夜。 祝言を控えた喜びを搔き消したのは、かつてお小夜が目に入れても痛くないほど可愛がっていた黒猫の豹変ぶりだった。 おぞましい蟲を家内に食い散らかし、お小夜の花嫁衣裳を引きちぎる狼藉はさらに度を越して、ついには深夜小用に立つお小夜に付きまとうまでになった黒猫。 その不気味さ、恐ろしさに毎日怯えるお小夜だったが、ある日とうとう事件が起きてしまう―――。 ---------------------------------------------------- お聴きくださってありがとうございます。 泉鏡花作品をこれからも配信していきますので ぜひチャンネル登録をして頂けたら嬉しいです。 ☆そのほかのPodcastプラットフォームでお聴きになる場合はこちらから https://lit.link/izumikyouka ・Instagram更新しています→@namica1031 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708/ # 朗読 # 泉鏡花 # 日本文学 # 幻想文学 # Audible # 聴く読書 # 作業用 # 睡眠導入 # 怪談
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黒猫・その24 泉鏡花
【明治28年発表】 「黒猫・その23」 https://podcasters.spotify.com/pod/show/u6c34u6708/episodes/23-e2jhal5 のつづき。 秋山とお小夜の相思相愛を祝福するかのごとく、お小夜の髪を高島田(人妻が結う髪形)に拵えたお島。 一世一代の大仕事を終えた途端にお島は自刃する。 その時戸外から呼びかける女性の声。 それはお島が姉とも慕う、元新橋芸妓の小俊であった。 異変に気付き急いで駆け付けた小俊だが、お島はすでに虫の息。 小俊は悲しみを堪えながら、お島が結い上げたお小夜の髪を褒め称え、お島に変わって二人の仲を取り持つことを誓う。 その言葉に安堵したお島は、最後に小俊の髪を整える力が残っていないことを口惜しがりながら、息絶えるのだった--- 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708/
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【小村雪岱】初めて鏡花先生に御目にかかつた時【泉鏡花にまつわるエッセイ】
小村雪岱 「初めて鏡花先生に御目にかかつた時」 初出 「図書 第5年第50号 泉鏡花号」(昭和15年) 泉鏡花にまつわる人々の目を通した鏡花像をご紹介。 著者の小村雪岱(1887〜1940)は、大正期から昭和初期にかけて活躍した日本画家・版画家。挿絵に装丁、舞台美術においても数々の名作を遺している。 初めての泉鏡花本の装丁は「日本橋」(大正3年)。 滔々と流れる川を行き交う舟、両岸にずらりと立ち並ぶ立派な蔵。賑わう街の様子が明るく淡い色調で描かれ、その中を色とりどりの無数の蝶が乱れ飛ぶーーー 表紙から裏表紙にかけて一面に描かれた風景は見事に鏡花作品の世界観を表し、以後も雪岱は鏡花本の装丁を数多く手がけた。 今作品は雪岱が鏡花との出会いを回想したエッセイで、画学生時代の鏡花作品との出会いから始まり、本人との相見える瞬間をクライマックスシーンとして結ばれている。 当時鏡花の一ファンであった小村青年の運命を大きく動かした偶然。 それらのエピソードが敬慕の情をもって語られた一編。
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黒猫・その23 泉鏡花
【明治28年発表】 「黒猫・その22」 https://podcasters.spotify.com/pod/show/u6c34u6708/episodes/22-e29srqf のつづき。 お小夜を守り切り、ともに山を下りたお島は、その足で画師の二上秋山の家を訪ねる。 お互いに思い合うお小夜と秋山を引き合わせたお島は、秋山宅の座敷を借りてお小夜の髪を結い始めた。 仕上がった髪形を見てお小夜は驚く。それはお島一世一代の贈り物でもあった――― 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708/
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蓑谷 泉鏡花
【明治29年発表】 蛍を追いかけいくうちに友人とはぐれ、迷い込んだ蓑谷。 美しい女神が護るその場所では蛍を獲ってはならないーー母親からの教えに背いてしまった「私」の前にすらりと立つ女性が現れる。 湧き出でる水に支配された宵の魔所。 蒼茫の中から浮かび上がる美女。 蛇や仏を思わせる、侵し難くも不気味な風景と、神とも妖ともつかぬ山姫との邂逅。 どうしても蛍が欲しくてたまらない「私」は、蓑谷の主に冀(こいねが)うのだったーー 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708
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黒猫・その22 泉鏡花
【明治28年発表】 「黒猫・その21」のつづき。 自らが犯した罪を悔いるお島。 お島自身が富の市の妻となることで 富の市(とみのいち)の お小夜への邪な企てを何とか踏みとどまらせようとするも 命懸けで想いを遂げようとする富の市には通用しない。 思い詰めたお島は決死の覚悟である行動に出るのだった――― 感想・リクエストもお待ちしています http://izumikyouka.com/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708 ホームページでも アーカイブを配信中 http://izumikyouka.com/
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黒猫・その21 泉鏡花
【明治28年発表】 「黒猫・その20」のつづき。 お島はお小夜の想いに胸を打たれ、富の市にお小夜を諦めるよう詰め寄る。 本懐を遂げんとする目前の富の市は必死で抗うが、お島の決意は固い。 お島はお小夜と富の市を前にして、自身の苦しい恋心とお小夜に寄せる心の間で揺れ動く胸の内を語るのだった―――。 感想・リクエストもお待ちしています http://izumikyouka.com/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708 ホームページでも アーカイブを配信中 http://izumikyouka.com/
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黒猫・その20 泉鏡花
【明治28年発表】 「黒猫・その19」のつづき。 富の市の執念から逃れられないと観念したお小夜は 心に秘めていた思いをお島に語りだす。 お小夜には想い人があることを知ったお島は 片恋の苦しさを知る同士として 心を動かされるのだった さらにお小夜が恋焦がれる相手の名前を口にすると お島は青ざめ、震えるのだった--- 感想・リクエストもお待ちしています http://izumikyouka.com/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://anchor.fm/u6c34u6708 ホームページでも アーカイブを配信中 http://izumikyouka.com/
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黒猫・その19 泉鏡花
髪結いのお島の計らいによって 縛を解かれた令嬢・お小夜は 富の市に向かい、語り始める。 自身を顧みず 卑しい執心に憑りつかれた富の市を哀れむお小夜。 その健気さにお島は心を打たれ、 懺悔の念にさいなまれるのだった― 感想・リクエストもお待ちしています http://izumikyouka.com/2-2/ 最新のエピソードはこちらから https://open.spotify.com/show/0S7fPclmout9Skul8LyWVn?si=376218aff5764e36 ホームページでも アーカイブを配信中 http://izumikyouka.com/
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道中一枚繪 その一・後編 泉鏡花
【明治37年発表】 「道中一枚繪 その一・前編」のつづき。 前編「道中一枚繪 その一・前編」はこちらから聴けます。→https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/ep-e1smvuh 弥次郎兵衛と喜多八は正月五日に 静岡県の久能山へ登り、 徳川将軍家ゆかりの東照宮へと参詣する。 曲がりくねった参道の石段を登り 眼下に広がる絶景に心を潤す二人。 と、向こうから石段を登ってくる華やかな3人連れを見つけた弥次郎兵衛が慌て出すのだったーーー 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net
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道中一枚繪 その一・前編 泉鏡花
【明治37年発表】 年末年始のご挨拶がわりに、年の瀬と正月の情景を描いた小品をひとつ。 東海道中膝栗毛の弥次郎兵衛と喜多八に自身をなぞらえた旅行記。 喜多八(泉鏡花自身)と弥次郎兵衛(鏡花の叔父)は、大晦日の晩に箱根の環翆楼に逗留。 宿の女中を相手に年が明けるまで酒を飲んだ翌朝、二日酔いで正月の祝膳を迎える。 その料理の中に、結納品と同じ「友白髪」という名の珍しい料理を見つけるのだった。 さらに箱根を後にした東海道線の列車では、先日結婚したばかりの友人と偶然乗り合わせる。 その友人に、喜多八はーーー 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net
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黒猫・その18 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その17のつづきエピソード。 髪結いのお島と盲人富の市の謀略によって 囚われの身となったお小夜。 あわや富の市の毒牙にかかるその手前で お島が鋭い声を上げて制し、九死に一生を得るのだった。 お島はお小夜の猿轡を外し、思い残すことがあれば託(ことづけ)よと伝える――― 感想・リクエストもお待ちしています http://izumikyouka.com/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます http://izumikyouka.com
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黒猫・その17 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その16のつづきエピソード。 お島の罠に嵌り、捕らえられたお小夜。 縛られ、口をふさがれて横たわるその姿を、お島は冷ややかな目つきで見下ろすのだった。 続いてぬらりと現れた盲人・富の市は、お島との誓いを守り、すでに想いを遂げた後に自らの命を絶つ準備を整えていた。 絶体絶命のお小夜。運命を暗示するかのように、お小夜の家のあたりでは、鴉が騒がしく鳴きたてている―――。 皆さまの作品解釈や、おすすめの文献も教えてくださいね。 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net
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黒猫・その16 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その15のつづきエピソード。 草木も眠る三更(真夜中)の時間に、人目を忍んで家を抜け出す令嬢・お小夜。 所かまわず付きまとう富の市との縁を切るまじないを行うために、気味の悪い山奥の祠へ足を走らせるのだった。 心を野獣・淫蛇の境に落とした富の市を遠ざけたい一心で、放言極まりない怪しげなまじないを信じ切るお小夜。 繁る夏草に足を取られて躓きながらもようやく祠にたどり着くが、そこに待っていたのは、あろうことか富の市であった――― 皆さまの作品解釈や、おすすめの文献も教えてくださいね。 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net
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黒猫・その15 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その15のつづきエピソード。 真夜中の月影に紛れた男女の影がふたつ。 それは、盲人の富の市(とみのいち)と、歪んだ恋路の手引きをする髪結いのお島(しま)であった。 お島は上杉家の垣根を差し覗きながらお小夜の気配を探っている。 まさにその丑三つ(深夜2時ごろ)時に静かに寝返りをするお小夜(さよ)の影があった。 お島に聞いた、富の市と縁を切るまじないを実行に移すために起きだしたのである。 お小夜は隣に眠る弟の秀松や隣室の家族に気づかれないように部屋を出で、するりと扉を抜けて外へと出ていくのだった。 自身が悪魔の生贄になろうとしていることも知らずに――― 皆さまの作品解釈や、おすすめの文献も教えてくださいね。 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net
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黒猫・その14 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その14のつづきエピソード。 お小夜(さよ)の髪を結うために上杉家を訪れた髪結い師のお島(しま)。 憔悴しきったお小夜に理由を尋ねると、お小夜の代わりに下女のお三(さん)がしゃべり始める。 聞けば、お小夜の心を悩ませているのは盲人の富の市(とみのいち)であるとのこと。 たびたび上杉家の家屋に上がり込んでは黙って佇んでいる。 乱暴を働くわけではないものの、手の打ちようがないために却って気味の悪さを際立たせているという。 お島はお小夜に、富の市と縁を切る方法をこっそりと伝授する。 それは、夜中、人目につかないように裏の山にある祠に行き、まじないをするというものであった―――。 皆さまの作品解釈や、おすすめの文献も教えてくださいね。 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net
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黒猫・その13 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その12のつづきエピソード。 絵師の卵・二上秋山と婀娜な髪結い師・お島は、互いが恋仲になることを断じる「別れの盃」を交わしていた。 秋山への想いを懸命に断ち切ろうとするお島。 そんな折にお島を訪ねて来たものがある。上杉家に使える下女のお三(さん)であった。 お三は上杉の令嬢・お小夜がお島の髪結いを所望しているという。 秋山の想い人を見透かしていたお島は、意味ありげにお小夜の髪を島田髷に結いあげることを告げて秋山宅を後にした。 お小夜の邸宅へと向かう道すがら、お島を呼び止める声。その主とはーーー。 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net
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【眠れぬ夜のおしゃべり】黒猫・その1~その3のあらすじ【泉鏡花】
案内人・波華が、配信したエピソードについてつれづれにおしゃべり。 眠れない夜やリラックスしたい夜のお供に。 今回は現在も配信中の中編【黒猫】について、その1からその3までのあらすじを振り返ります。 本編はこちらから聴くことができます。 【黒猫・その1】https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/1-e18naa8 【黒猫・その2】https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/2-e19otas 【黒猫・その3】https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/3-e1agsmc 皆さまの作品解釈や、おすすめの文献も教えてくださいね。 感想・リクエストもお待ちしています https://izumikyouka.net/2-2/ 最新のエピソードはこちらから聴けます https://izumikyouka.net 【使用BGM】冬の窓 music by のる
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黒猫・その12 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その11のつづきエピソード。 二上秋山への想いを断ち切るために、髪結いのお島は別れの盃を交わそうと秋山に申し出る。 酒肴を揃えて秋山と差し向かうと、お島は自分の恋心が実らない理由を今一度尋ねる。 言い淀んでいた秋山だったが、腹をくくると、ひそかに想いを寄せる女性がいることを告白するのだった。 一縷の望みを断ち切られたお島は、秋山への想いが消えるまで、再び会いには来るまいと、きっぱり宣言するーーー。 ホームページでもコンテンツを公開中 https://izumikyouka.net 感想・リクエストなどもお待ちしています。 https://izumikyouka.net/2-2/
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黒猫・その11 泉鏡花
【明治28年発表】 黒猫・その10のつづきエピソード。 普段は聡明な上杉家令嬢の小夜子が 自身の母と愛猫の黒猫に対しては幼児のようにあどけなく振る舞うように、 絵師の二上秋山もまた、髪結いのお島にだけは心を開いていた。 それは姉と弟のように純粋無垢な感情であったが お島の方は秋山に対して恋心を抱き、いつかは秋山の妻になること望んでいた。 心に秘めた恋心であったが、ある時、思いがけずお島は秋山に気持ちを知られてしまう。 秋山は毅然としてお島の愛情を拒んだが、お島への信頼は変わらないのだった。 思いつめたお島は、行商の魚屋に言いつけて酒の肴と酒を都合するように計らう。 いぶかしがる秋山に、お島は、これから別れの盃を交わすのだと答えるのだった―――。 ホームページでもコンテンツを公開。 https://izumikyouka.net 感想・リクエストなどもお待ちしています。 https://izumikyouka.net/2-2/
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黒猫・その10 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その9の続きエピソード。 心を許した様子で髪結い・お島に膝枕し、髭を当たって(剃って)もらう秋山。 姉弟ならずも仲睦まじい二人はいかなる関係なのか。 二人は内縁でも夫婦でも、人目を忍ぶ間柄でもなく、性別を超えた信頼で結ばれていた。 秋山は裕福な生家があるものの、商いを継がせたい父兄に反発し、東京の美術学校を卒業した後は絵画の道を極めようとしていた。 生活のために絵を売る秋山の暮らしは苦しく、その日の食糧もままならない。 そんな秋山を見かねたお島が、援けを買って出たのである。 今では肉親以上に心隔てなくお島に接する秋山。 しかしひそかにお島は秋山への想いを秘めていた―――。
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黒猫・その9 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その8の続きエピソード。 お島が訪れた粗末な家。 住まいの主は、新進気鋭の絵師・二上秋山(ふたかみしゅうざん)であった。 六畳間に所狭しと散乱している家具や道具。 そこに埋もれるように、秋山は伏せっていた。 お島は体調を崩した秋山を見舞ったのである。 気心の知れた様子で、仲睦まじまそうに軽口をきき合う二人。 煙管(きせる)に火をつけて燻らせたあと、お島は秋山に勧めるのだったーーー。
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黒猫・その8 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その7の続きエピソード。 富の市の前に現れた謎の女、お島(しま)。 実は腕の良い髪結いで、新橋の名妓・小俊(こしゅん)の嫁入りに付き従って、この田舎町へとやってきたのだった。 お島は金銭にほだされることなく己の眼力で客を選ぶという、見た目に違わぬ気性の持ち主。 土地の富豪の奥方が髪結いを望むのを袖にして向かったのは、粗末なあづまやであった。 そこに住まっていた人物とは―――。
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【眠れぬ夜のおしゃべり】竹屋の渡・後編【泉鏡花】
案内人・波華が、配信したエピソードについてつれづれにおしゃべり。 眠れない夜やリラックスしたい夜のお供に。 泉鏡花の短編【竹屋の渡】について語る 後編 です。 前編から聴きたい方はこちらからどうぞ https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/ep-e1cn9t2 ※前編 では、作品が発表された明治時代の東京、隅田川沿いの街並みや、主人公が歩いたルートを取り上げています。 今回は、作品に登場する二人の美女について。 ひと時同じ船に乗り合わせただけの美女たち。 身の上などはほとんど語られていませんが、髪型や身につけているものなどを手がかりに、この女性たちの背景を想像してみました。 【竹屋の渡】本編はこちらから聴くことができます https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/ep-e1cn67d リスナーの皆さまの作品解釈や、おすすめの文献もぜひ教えてくださいね。 【使用BGM】冬の窓 music by のる
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【眠れぬ夜のおしゃべり】竹屋の渡・前編【泉鏡花】
案内人・波華が、配信したエピソードについてつれづれにおしゃべり。 眠れない夜やリラックスしたい夜のお供に。 泉鏡花の短編【竹屋の渡】について語る前編です。 【竹屋の渡】本編はこちらから聴くことができます https://anchor.fm/u6c34u6708/episodes/ep-e1cn67d 今回は作品が発表された当時の街並みや、主人公が作中で散策したルートをひもときます。 リスナーの皆さまの作品解釈や、おすすめの文献もぜひ教えてくださいね。 【使用BGM】冬の窓 music by のる
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【泉鏡花】竹屋の渡【短編】
明治31年発表 エッセイ風短編。 隅田川を渡る船着き場「竹屋の渡(たけやのわたし)」での出来事。 まだ桜のつぼみも固い頃、早春の墨田堤へと向かうために主人公と友人は竹屋の渡を訪れる。 渡し船に乗り合わせた中には、婀娜な女性と若い美人の二人連れ。 船が岸を離れてからも華やかに戯れる二人であったが、ふいに一人が、「こんな好い景色の此処へ身を投げたらどうだろう」と問いかけるのだった―――。
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黒猫・その7 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その6の続きエピソード。 盗賊の襲撃が、謎の女によって仕組まれた八百長だったことを知って絶望する富の市。 女はそんな富の市を憐みつつ、企てのいきさつを語る。 高嶺の花である武家の娘・お小夜への想いを遂げるためには、富の市自身が命を賭す覚悟が必要である。 その強い覚悟を見極めるための試練だったのだ。 謎の女は富の市に、想いを遂げたらきっと自ら命を絶つようにと迫る。加えてお小夜を富の市のもとに連れてくることを約束するのだったーーー
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黒猫・その6 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その5の続きエピソード。 突然現れた謎の女は、千吉に富の市を襲わせた張本人だった。 しかもまた、女と富の市とは顔見知りだという。 女は事態を納得できない千吉を追い帰したのちに、富の市に事の次第を語り出す。 千吉を使って富の市を襲わせたのは、富の市の覚悟を見定めるため。その覚悟を感じ入った今、きっと富の市の想いを遂げさせてやろう、と改めて女は請け負うのだったーーー
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黒猫・その5 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その4の続きエピソード。 富の市(とみのいち)のお小夜への敵わぬ恋と執着心に同情し、富の市を袖にしたお小夜に、怒りにも似た気持ちを抱く盗賊・千吉(せんきち)。 富の市が思いを遂げるために、千吉はひと肌脱ぐことを持ちかける。 そこへ婀娜な女が声をかけてきてーーー
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黒猫・その4 泉鏡花
黒猫・その3の続きエピソード。 盲人の富の市(とみのいち)は盗賊に襲われるが、恐るどころか、金品を奪っても良いから殺して欲しいと盗賊に懇願する。 富の市は盗賊に、横恋慕しているお小夜(さよ)への異様な執着を語り出すのだったーーー
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黒猫・その3 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その2の続きエピソード。 清らかな優しさから盲人の富の市に手を差し伸べたお小夜(さよ)。 卑しい心を催した富の市に引き倒され、手籠にされそうになるが、寸でのところで釣りから帰った弟の秀松(ひでまつ)に助けられる。 怒りに任せて富の市を打ちのめそうとする秀松だったが、富の市が頭から血を流しているのを 見たお小夜は秀松を諌めるのだったーーー ※注※ 岩波書店版全集では、原作が一部欠けたまま収録されています。 文章をできる限り再現するために物語の途中で終了していますが、不具合ではありません。
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黒猫・その2 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 黒猫・その1の続きエピソード。 武家の娘・お小夜(さよ)のもとを訪ねた盲人の富の市は、なかなか帰る気配がない。 やがて辺りが暗くなり、お小夜たちは鮎釣りに出かけたまま戻らない弟・秀松のことが気にかかる。 お小夜は暮色の戸外に立ち出で、門の前を横切る小川の橋のたもとに佇みながら、秀松の帰りを待つのだった。 けたたましい音がして振り向くと、富の市が転んだ拍子に杖を流れに落としてしまっているのが見える。それは実は富の市の策略だったのだが、お小夜ははかりごとに気づかず、富の市に手を差し伸べるのだったーーー
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黒猫・その1 泉鏡花
【鏡花怪異譚】明治28年発表 武家の娘お小夜(さよ)は雄の黒猫を飼っている。 その目に入れても痛くないほどの溺愛ぶりにお小夜の母は、(物語「南総里見八犬伝」の中で犬と結婚した)伏姫を重ねてお小夜を揶揄する。 ある日お小夜の家へ盲人の富の市が訪ねてくる。 富の市は生まれつきの盲目ではなく、十六歳の頃に病で視力を失ったのである。 お小夜に恋焦がれる富の市は、慎みなく他家へと出入りをする。 そんな富の市をお小夜やお小夜の家のもの達は疎ましく思っていたがーーー
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【泉鏡花】幼い頃の記憶【エッセイ】
明治45年発表 鏡花自身が少年だった頃の忘れえない思い出を綴ったエッセイ。 幼かった鏡花少年は、母との船旅で乗り合いになったひとりの年若い女性と出会う。 色が白く美しいその女性は周囲に馴染もうとせず、どこか寂しげに、ひとり水面や空を見つめているのだった。 女性とのただ一度きりの邂逅は、夢か、現(うつつ)か、それとも前世の光景かーーー。
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龍潭譚・その10~千呪陀羅尼(せんじゅだらに)~
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その9・ふるさと のつづきエピソード。 魔処・九つ谺(ここのつこだま)から里へ帰った少年・千里(ちさと)。 自分の最大の理解者であった姉のことまでも信ずることができず すべての物事に敵意と警戒心をむき出しにしながら過ごすうちに、心身共に衰弱してしまう。 ある日千里は担がれて遥か石段を登り、大きな門構えの寺の本堂に据えられた。 本堂では数人の僧侶が声を揃えて経文を唱えだす。 耳障りなその声に耐えかねて千里は僧侶の一人の頭を叩こうとした その途端、青い一条の光が差し込んで千里の目をかすめ、胸を打つ。 千里がひるむと、若い僧侶がいざり出て本堂にある金襴のとばりを開く。 そこには、神々しい姿の仏像がたたずみ、優しく千里に微笑むのだった。 外は滝が落ちてくくるような激しい雷雨。風も渦巻いて吹き付ける。 怖ろしさのあまり、その胸にすがる千里。 千里を温かい腕で抱擁する姉。 柔らかな胸に抱かれているうちに千里の心は落ち着きを取り戻し、僧たちの陀羅尼(だらに)が心地よく響くのだった。 その夜の嵐によって、九つ谺は淵となり、水の底に沈んでしまったという―――
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龍潭譚・その9~ふるさと~
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その8・渡船(わたしぶね)のつづきエピソード。 老人に伴われて沼を渡り、少年・千里(ちさと)は故郷へと帰ってくる。 家に戻った千里を待ち受けていたのは、嘗ては親しかった友人や親類縁者たちの奇異の目であった。 再会を焦がれた姉ですら、千里のことを神隠しに遭って気がふれてしまったものと思い込んでいる。 毎日周囲からののしられ、あざけられているうちに、千里自身も疑心暗鬼に陥ってしまう。 あの九つ谺(ここのつこだま)で逢った美女の許に逃げ出したいと 狂おしいまでに願うものの、思い空しく、千里は暗室に閉じ込められてしまうのだった―――
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龍潭譚・その8〜渡船(わたしぶね)
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その7・九つ谺(ここのつこだま)のつづきエピソード。 謎めいた美女の添い寝を受けながら少年・千里(ちさと)は夢うつつの心持ちで美女の寝姿に目を凝らす。 夜明け前の暗がりに浮かび上がる、仰向けに横たわる整った顔だち。 その守り刀を持った白い手を眺めているうちに、千里は自分の母が亡くなった日の姿と 美女を重ねてしまう。 死の影を払おうとして守り刀に手をかけると、刀の切羽が緩んで血汐がさっとほとばしった。 千里は慌てて流れにじむ血を両手で抑えようとするが、血汐はとうとうと流れ、美女の衣を赤く染めていく。 美女は変わらず静かに横たわっている。 はっと気づいて見定めると、衣を染めたと見えたのは すずしの絹の着物に透けて映った、紅の襦袢の色であった。 日が高く上ったころに目覚めた千里は、昨晩あった老人に背負われて山を降りる。 美女はその後ろをついて歩く。 やがて大沼のほとりへとたどり着き、千里は老人に伴われて小舟に乗る。 一緒にと駄々をこねる千里だったが、美女は舟は気分が悪くなるから、と岸で見送るのだった。 舟は水を切るごとに目くるめくようにくるくると廻る。 岸で見送る美女が右に見え左に見え、千里は前後左右の感覚を失ってしまう―――
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龍潭譚・その7〜九つ谺(こだま)〜
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭その6・五位鷺(ごいさぎ)のつづきエピソード。 水浴びから上がった美女は、千里に添い寝しながらいくつかの物語を語る。 やがて二人が居るこの場所が「九つ谺(こだま)」と呼ばれることを千里に伝えた美女は、自らの乳房を千里に含ませて眠りへと誘うのだった。 まどろんでいるところへ天井上、屋の棟あたりから凄まじい物音。美女が毅然と音の主を諌めると、音は次第に静まっていった。 それでも恐ろしさに震える千里に美女は、蒔絵箱から守刀を取り出して見せるのだったーーー。
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龍潭譚・その6〜五位鷺(ごいさぎ)〜
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その5・大沼(おおぬま)のつづきエピソード。 森の中で気を失ってしまった少年・千里(ちさと)。 涼しげな香りに目を覚ますと、柔らかな蒲団の上に身体を横たえているのだった。 頭をあげて見渡すと、庭の先には、青々と濡れたように草の生い茂る山懐が広がっている。 滑らかに苔むした巌角(いわかど)に浮かび上がる、一挺の裸ろうそくの火影。 筧(かけい)から湧き上がるように零れ落ちる水をたらいに受け、一糸まとわぬ美女が向こう向きに水浴をしている。 山から吹き下ろす風にちらちらと揺れる火影に映ろう雪の膚(はだえ)。 千里の気配に気づいて立ち上がろうとした美女のふくらはぎをかすめて飛ぶ、真っ白い五位鷺。 悠然と千里のもとに歩み来た美女は、千里が夕暮れ時に追いかけて殺したのは毒虫だったこと、 その毒に触れたせいで顔が変わってしまい、迎えに来た姉が千里に気づかずに去ってしまったことを告げるのだった――――。
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栃の実
大正13年発表 金沢から北国街道を経由して東京へと向かう旅路での出来事を綴った、エッセイ的作品。 早朝に宿を出発した鏡花は、武生(たけふ)に着いたところで思案に暮れる。 その年の夏に起きた水害で崖崩れが起こったために、汽車も陸路も不通という知らせを受けていたからである。 ただ一つ、最も山深い難所ではあるが、栃木峠から中の河内(なかのかわち)を通る山越え路は通じているという。 覚悟を決め、険しい峠が重なる山へと一人で入っていくと そこは想像以上の悪路であった。 田畑の作物は先の洪水でなぎ倒され、街道には流された大木が横たわっている。 加えて残暑の焼けつくような日差しに、鏡花は体調を崩してしまう。 やっとの思いで虎杖(いたどり)宿へと辿り着き、地元の親父に駕籠の手配を頼むと、快く出してくれるというーーー 栃の大木が生い茂る山中の描写は恐ろしくも神秘的。また、峠の茶屋の娘が山姫になぞらえられるなど、深山の幻想的な空気を漂わせた短編です。 厳しい自然と対をなすように土地の人々との温かい交流が描かれ、 タイトルにもなっている栃の実が印象的に用いられています。
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龍潭譚・その5〜大沼〜
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その4・あふ魔が時のつづきエピソード。 黄昏時に現れる魔物から逃れるように、社の片隅に逃げ込んだ少年•千里。 そこへ、千里を探す姉と爺やの会話が聞こえて来るのだった。出掛けにいつも行う魔除けのまじないを、今日に限ってしてやらなかった事を悔やむ姉。 姉への恋しさに耐えかねて表へ飛び出した千里。千里を見つけた姉はすぐに手を差し伸べるが、その顔を見た途端「人違い」と告げて去ってしまう。千里は水面に映る自分の顔が別人の如き相貌に変わっている事に気づき、慄くのだった。 絶望感に苛まれながら姉の背中を追いかけて無我夢中で走り回るうちに、木々に囲まれた森の中の大沼にたどり着いた千里は、そのまま倒れ込んで気を失ってしまうーー
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龍潭譚・その4~あふ魔が時(おうまがとき)~
【鏡花怪異譚】明治29年発表。 龍潭譚その3・かくれあそびのつづきエピソード。 夕闇の古社にあらわれた美しく謎めいた女性。 目くばせされるままに暗がりの片隅へと歩み入ったところで、千里は「黄昏時の暗い片隅には魔物が棲むゆえに近寄ってはならない」という姉の教えを思い出して背筋を凍らせる。 左手にある坂道の底からは闇のような瘴気が立ち上るよう。恐ろしさに身を震わせながら狭い社の中に逃げ込むと、冥界から遣わされた獣が社を横切る気配がする。 魔物から守るために女性が千里を暗がりへと導いたか、と思いを巡らせているところへ聞こえてきたのは、千里を探す使用人たちの声。人か魔か判じることが出来ないままやり過ごしていると、悲しげに千里の名前を呼ぶ、恋しい姉の声が―――
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龍潭譚・その3〜かくれあそび〜
明治29年発表。 龍潭譚・その2~鎮守の社~のつづきエピソード。 夕暮れ時にたどり着いた神社の境内では、千里(ちさと)と同じ年ごろの子供たちがかくれあそびをして走り回っている。 「かたい」と呼ばれるこの集落の子供たちは、普段は千里たちと交流することはないが、人恋しい寂しさと安堵の気持ちから、千里は請われるままにかくれあそびの輪に加わる。 隠れる者を探す鬼役となった千里が顔を覆って待っていると、いつしか人の気配は消え、滝の音と木々を揺らす風の音がするばかり。 堂の扉も閉じられて、黄昏の境内に千里はひとり取り残されてしまう。 途方に暮れていると、いつの間にか千里の傍には美しい女性が微笑んで立っているのだったーーー。
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龍潭譚・その2〜鎮守の社(やしろ)〜
【鏡花怪異譚】 明治29年発表。 龍潭譚その2・~躑躅か丘~のつづきエピソード。 躑躅の迷路に囚われてしまった少年・千里。 見渡す限りに咲き乱れる赤躑躅から逃れるため、大波のように起伏する坂道を走りまわるが、出口が見つからない。 日が暮れかかり肌寒くなるにつれ、心細さと姉恋しさは増すばかり。 泣きながら姉を呼ぶと、千里の声に応えるがごとく、遥か遠くに滝の音が聞こえた。 さらにその音の中に、隠れあそびをする子供の「もういいよ」の声。 声のする方を辿り、躑躅の迷路を抜けると、そこは鳥居に囲まれた社(やしろ)であったーーー
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ABOUT THIS SHOW
心がざわめいて眠れない夜。そんな時には、美しい言葉の子守唄を聴いてみませんか。明治・大正・昭和初期にかけて薫り高い名作のかずかずを紡いだ作家、泉鏡花。その作品の朗読を、四季折々の自然の音に乗せて送ります。幻想的な作品から日常を描いたエッセイまで。鏡花ならではの耽美な世界と日本のたおやかな情緒をお楽しみください。ホームページでもコンテンツを公開。http://izumikyouka.com感想・リクエストなどもお待ちしています。http://izumikyouka.com/2-2/
HOSTED BY
波華〜namika〜
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