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Book Lounge Academia(ブック・ラウンジ・アカデミア)
by BookLoungeAcademia
ブック・ラウンジ・アカデミアは人文学・社会科学の研究者の著作を、著者自らが語る音声メディアです。学生や研究者はもちろん、知の世界に関心を持つ一般の方々にも楽しんでいただける内容になっています。新しい知の世界をどうぞお楽しみください。【ウェブサイト】ブック・ラウンジ・アカデミアhttps://www.bookloungeacademia.com/【SNS公式アカウント】更新予定や最新情報をお届けしています。ぜひフォローお願いします。- Twitter: https://twitter.com/BookAcademia- Facebook: https://www.facebook.com/bookloungeacademia/Youtubeでも配信しています。チャンネル登録・高評価をお願いします。- Youtube: https://www.youtube.com/channel/UCJNdi5wo6RvmhLBYy2pZHdA
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第102回 橋本摂子さんインタビュー『アウシュヴィッツ以後、正義とは誤謬である〜アーレント判断論の社会学的省察』
今回は2024年に東京大学出版会より出版された『アウシュヴィッツ以後、正義とは誤謬である〜アーレント判断論の社会学的省察』の著者である橋本摂子さんにお話を伺いました。インタビュアーは森川輝一さんです。【著作概要】私たちは何に依って善と悪を判断することができるのか。本書はこの問いをめぐって、20世紀を生きたハンナ・アーレントのテクストを読み解き、社会学知との共鳴を通じて、彼女の思考を「純粋政治批判」として描き出す試みである。本書で目指したのは、社会学や社会理論の伝統的な問題構制に沿うよう、アーレントを恣意的に読みかえたり改変したり応用したりすることではない。あるいは、アーレントを通じてなにか社会学に資するような有益な知見をもたらそうという意図もない。ただ単純に、アーレントの残したテクスト群の有機的なつながりとその核心にあるものを、既存の社会学知の枠組みを用いて、それ自体において理解することを目指した。アーレントは、神や道徳や一般意志を拒み、判断を自由の可能性へと開いた。本書の議論を通じ、あらためてその強靭な思考の核心を提示したい。【ゲスト:橋本摂子 プロフィール】1974年生まれ。1997年,東京工業大学工学部卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究博士課程退学、博士(学術)。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は、社会学、社会理論、社会的不平等、社会調査と計量分析。【インタビュアー:森川輝一 プロフィール】1971年生まれ。1995年、京都大学法学部卒業。京都大学大学院法学研究科博士課程満期退学。博士(法学)。現在、京都大学大学院法学研究科教授。専門は、西洋政治思想史、現代政治理論。主な著作に『〈始まり〉のアーレント〜「出生」の思想の誕生』(岩波書店 2010年)、『講義 政治思想と文学』(共編著 ナカニシヤ出版 2017 年)などがある。
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第101回 山下惠理さんインタビュー『感覚の植民地主義と言語のヘゲモニー〜フィリピンろう者の身体と文化実践』
今回は2025年に勁草書房より出版された『感覚の植民地主義と言語のヘゲモニー〜フィリピンろう者の身体と文化実践』の著者である山下惠理さんにお話を伺いました。インタビュアーは北田依利さんです。【著作概要】フィリピンのような多言語社会で、手話はどのように生まれ、継承され、周縁化されてきたのか。ろう文化をめぐる知られざる文化実践の歴史を通し、音声言語を前提とした制度や社会の中での複層的な権力構造、そして「言語のあり方」そのものを問い直す試み。【ゲスト:山下惠理 プロフィール】立命館大学グローバル教養学部教員。専門は障害学・フィリピン地域研究。とくに、ろう者文化や手話をめぐる歴史・教育・政策を通して、感覚や言語がいかに社会的・政治的に編成されてきたのかを学んでいる。【インタビュアー:北田依利 プロフィール】東京大学 東京カレッジ ポストドクトラルフェロー。歴史学を専門とし、米国およびアジア太平洋地域の人種・ジェンダー/セクシュアリティ・植民地主義を勉強している。
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第100回 那波泰輔さんインタビュー『「わだつみ」の歴史社会学〜人びとは「戦争体験」をどう紡ごうとしたのか』
今回は2025年に雄山閣より出版された『「わだつみ」の歴史社会学〜人びとは「戦争体験」をどう紡ごうとしたのか』の著者である那波泰輔さんにお話を伺いました。インタビュアーは門脇愛さんです。【著作概要】戦没学生という悲劇を繰り返さないこと、平和のために寄与することを活動の根幹に据えている「わだつみ会」。「わだつみ会」のそれぞれの時期の活動内容や特徴などに焦点を当てることで、「戦争体験」がどう捉えられ、いかにして向き合われていったのかを描くとともに、戦後日本の歴史が、「戦争体験」を語り継ぐという行為にどのような影響を及ぼしていったのかを明らかにする。【ゲスト:那波泰輔 プロフィール】一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。現在、成蹊大学 社会調査士課程室 調査・実習指導助手。社会理論・動態研究所所員。専攻分野は歴史社会学。主な業績として「ハチ公像が時代によってどのように表象されたのか〜戦前と戦後以降のハチ公像を比較して」(『年報カルチュラル・スタディーズ』vol.2 2014年)、「わだつみ会における加害者性の主題化の過程〜一九八八年の規約改正に着目して」(『大原社会問題研究所雑誌』764号 2022年)、「『わだつみ』という〈環礁〉への航路〜ミュージアム来館者調査から」(清水亮・白岩伸也・角田燎編『戦争のかけらを集めて〜遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』 2024年)。【インタビュアー:門脇愛 プロフィール】東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻修了、修士(文学)。2015年よりわだつみのこえ記念館でのボランティアに従事する。専攻分野は文化資源学。
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第99回 河西棟馬さんインタビュー『「後進国」日本の研究開発〜電気通信工学・技師・ナショナリズム』
今回は2024年に名古屋大学出版会より出版された『「後進国」日本の研究開発〜電気通信工学・技師・ナショナリズム』の著者である河西棟馬さんにお話を伺いました。インタビュアーは小堀聡さんです。【著作概要】本書は、電気通信工学を題材にとり、日本近代技術史を、先端的研究領域への参入という切り口から論じた著作である。幕末・明治期に西洋近代技術の本格的移転・導入を開始した「後進国」日本の技術者たちは、日露戦争の勝利を一つのきっかけとし、「文明国」の一員として創造的研究へと乗り出していく。本書は明治後期からアジア・太平洋戦争直前までの電気通信工学者・技術者たちの活動を手がかりに、どのような動機が彼らをオリジナリティや独創性へと駆り立て、その到達点と限界はどこにあったのかを検討したものである。【ゲスト:河西棟馬 プロフィール】東京科学大学リベラルアーツ研究教育院講師。博士(文学)(京都大学)。専門は技術史。戦前日本の電気通信工学や情報科学の形成史などを研究してきた。主著に今回ご紹介した『「後進国」日本の研究開発〜電気通信工学・技師・ナショナリズム』(名古屋大学出版会、2024年)。【インタビュアー:小堀聡 プロフィール】京都大学人文科学研究所准教授。博士(経済学)(大阪大学)。専門は近現代日本経済史。戦後日本の社会経済史や環境史を主要なテーマとし、エネルギー開発・利用と環境変化の関係、高度経済成長期の政策・公害問題、社会運動史などを歴史的に分析している。これまで名古屋大学大学院経済学研究科で講師・准教授を務めた後、2021年より現職。
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第98回 藤本大士さんインタビュー『Medical Women in the Japanese Empire〜Sources and Critique』
今回は2025年にRoutledgeより出版された『Medical Women in the Japanese Empire〜Sources and Critique』の編者のお一人である藤本大士さんにお話を伺いました。インタビュアーは岩間有希奈さんです。【著作概要】本書は、日本語・中国語・朝鮮語の一次史料の翻訳とその分析を通じ、帝国日本において女性医師、看護婦、産婆、栄養士として働いた女性たちの多様な経験を明らかにする。日本という国家および帝国は、彼女たちにとって機会ともなり、制限ともなった。本書は、彼女たちが当時の女性に対する規範にいかに向き合い、女性のための新たな空間を切り拓こうとしたか、あるいは、医療の機会を求めて国境や地域的境界を越えた、あるいは越えなければならなかったかなどを示す。【ゲスト:藤本大士 プロフィール】2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、ハイデルベルク大学トランスカルチュラル・スタディーズ・センター講師。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教〜日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。【インタビュアー:岩間有希奈 プロフィール】東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程2年。専門はドイツ近現代史、ジェンダー史。関心はヴァイマル期およびナチ期ドイツの女性医師の国際関係について。博士前期課程修了後、2018年より5年間東邦大学にて額田記念東邦大学資料室を担当し、女性への理科系教育の歴史を扱う。
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第97回 師田史子さんインタビュー『日々賭けをする人々〜フィリピン闘鶏と数字くじの意味世界』
今回は2025年に慶應義塾大学出版会より出版された『日々賭けをする人々〜フィリピン闘鶏と数字くじの意味世界』の著者である師田史子さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。【著作概要】フィリピンにおいて賭博は、政治家から市井の人々に至るまで、社会のあらゆる階層に深く埋め込まれている。本書は、フィリピン社会の日常的な賭博実践、とりわけ闘鶏と数字くじに注目し、日々賭け続ける賭博者たちの姿を鮮やかに描き出していく。なぜ彼らは賭けるのか、賭けを通じた世界にはどのような意味が付与されているのか。「運」によって自らを世界と相関しようとする賭博者たちの思考と実践を通して、「賭ける」ことの意味を探究する。【ゲスト:師田史子 プロフィール】1992年神奈川県横須賀市生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教・博士(地域研究)。専門は、文化人類学、フィリピン地域研究。フィリピンを中心としたギャンブル実践を調査し、「賭ける」という行為の意味を探っている。著書に今回紹介した『日々賭けをする人々:フィリピン闘鶏と数字くじの意味世界』(慶應義塾大学出版会、2025年)。【インタビュアー:鶴見太郎 プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)
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第96回 小林宏至さんインタビュー『土楼〜円い空の下で暮らす福建客家の民族誌』
今回は2024年に風響社より出版された『土楼〜円い空の下で暮らす福建客家の民族誌』の著者である小林宏至さんにお話を伺いました。インタビュアーは川口幸大さんです。【著作概要】本書は土楼という巨大な民間建築に関する民族誌的研究です。著者はそこに2年間暮らし、居住者と15年以上にわたって交流することで民族誌を書き上げました。土楼ってなんでこんなに巨大で変な形をしているのだろう…というのが本書の入り口です。それを明らかにしていく中で、そこで暮らす人びとと建物との関係を紐解くことが必要になってきました。そのため本書は、建物の話が半分(第一部)、そこで暮らす人々の話がもう半分(第二部)となっています。土楼という建物も、そこに暮らす親族集団も、合理的で美しく「完璧」な理念モデルはありながらも、実際は増改築を繰りかえしたり、人物呼称を変えたりしながら、互いを「更新」しています。その「更新」作業においてタテモノ/ヒトの主体性は同等です。結論部では、この現場レベルでの「更新」の在り方を音律論を交えて解説しました。インタビューの内容は専門性が高く、気軽に聴けないかもしれません。ただ逆に言えば、漢族を研究対象とする人類学者同士が、普段どんな会話をしているのかというものが如実に再現されております。そういった意味で、メタ的にお楽しみいただければ幸いです。【ゲスト:小林宏至 プロフィール】1981年東京都生まれ。専門は社会人類学。客家社会研究。東京学芸大学(教育学部K類アジア研究)卒業。首都大学東京大学院(人文科学研究科)博士前期課程を経て、同大学院(人文科学研究科)博士後期課程満期退学。博士(社会人類学)。日本学術振興会特別研究員PD(東北大学)を経て、現在、山口大学准教授。【インタビュアー:川口幸大 プロフィール】東北大学大学院文学研究科・文学部 教授(広域文化学専攻 域際文化学講座 文化人類学分野)。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。 国立民族学博物館機関研究員を経て、2010年より現職。研究分野は東アジア、特に中国における家族親族、宗教、移動、食など。
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第95回 高畑幸さんインタビュー『在日フィリピン人社会〜1980~2020年代の結婚移民と日系人』
今回は2024年に名古屋大学出版会より出版された『在日フィリピン人社会〜1980~2020年代の結婚移民と日系人』の著者である高畑幸さんにお話を伺いました。インタビュアーは和田吾雄彦アンジェロさんです。※本インタビューの構成・企画において、北田依利さん(東京大学・東京カレッジ・ポストドクトラルフェロー、歴史学)にもご協力いただいております。【著作概要】バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出す。【ゲスト:高畑幸プロフィール】静岡県立大学国際関係学部教授。1969年、大阪生まれ、秋田育ち。大阪外国語大学(現・大阪大学)大学院を経て大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程(社会学専攻)修了。博士(文学)。専門分野は都市社会学、都市エスニシティ、在日外国人問題(特に在日フィリピン人)。静岡県多文化共生審議会委員、焼津市多文化共生推進協議会会長等。フィリピン語の法廷通訳者としても約30年活動している。researchmap https://researchmap.jp/read0138628【インタビュアー:和田吾雄彦アンジェロ】1997年、神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程に在籍中。修士(国際貢献)。専門は社会学(特にジェンダー研究)で、在日フィリピン人女性の社会調査を行っている。
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第94回 扈素妍さんインタビュー『植民地朝鮮と「出産の場」〜産婆と胎教の衛生史』
今回は2025年に慶応義塾大学出版会より出版された『植民地朝鮮と「出産の場」〜産婆と胎教の衛生史』の著者である扈素妍さんにお話を伺いました。インタビュアーは長澤裕子さんです。【著作概要】日本統治下にあった20世紀前半の朝鮮における「出産の場」、とくに産婆や胎教がどのように機能していたか、言説分析を通して明らかにする。「出産」をめぐって日本人の役人、医師、朝鮮人産婆、優生学者などが、新聞・雑誌でさまざまな言説を展開した。「近代の知」が旧弊の「風習」とときに対立し、ときに協力関係を結ぶといった複雑なせめぎあいがあったことを実証的に論じ、出産する女性をとりまく様相を起点に「歴史叙述を女性へ取り戻す」ことを試みる。【ゲスト:扈素妍プロフィール】京都大学大学文書館特定助教。2011年ソウル市立大学人文学部国史学科卒業。2016年京都大学大学院文学研究科歴史文化学専攻日本史専修修了。2021年京都大学大学院文学研究科歴史文化学専攻日本史専修研究指導認定退学。2023年同大学院同研究科博士号(文学)取得。奈良文化財研究所企画調整部アソシエイトフェローを経て、現在に至る。主要論文に、「植民地朝鮮の出産風習としての胎教と生政治〜『優生学』言説を中心に」(『朝鮮学報』第260巻、2022年)、「植民地朝鮮における出産風習と産婆養成政策」(『史林』第103巻第5号、2020年)など。【インタビュアー:長澤裕子プロフィール】高麗大学校政治外交学科博士課程終了、博士(政治学)。東京大学大学院総合文化研究科、特任准教授を経て、現在、ソウル大学校アジア研究所、訪問研究員フェロー兼早稲田大学国際和解学研究所、招聘研究員。専門は日米韓外交史。朝鮮半島の分断と政治・文化政策、日韓・日朝国交正常化交渉を研究している。著作に外村大・長澤裕子『<負の遺産>を架け橋に〜文化財から問う日本社会と韓国・朝鮮』(ころから、2024年)など。近刊に、編著『ようこそ韓国・朝鮮世界へ』(昭和堂)、単著『朝鮮の南北分断と日本の主権〜太平洋戦争から対日講和条約締結まで』(ソウル:高麗大学校出版文化院、ハーバードイェンチン研究所出版助成)。
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第93回 小野坂元さんインタビュー『ILOの対中関与と上海YWCA〜労働と平和の国際機構間関係史1919-1946』
今回は2025年に法政大学出版局より出版された『ILOの対中関与と上海YWCA〜労働と平和の国際機構間関係史1919-1946』の著者である小野坂元さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。【著作概要】第一次世界大戦後に設立された国際労働機関ILO。現状維持的な妥協の産物としての一面もあったが、本書は中国で労働運動が高揚したのをきっかけに変化し始めていく過程を描いた。治外法権の租界があり、女性や児童が劣悪な条件で働く上海で、ILOはなぜ、民間団体YWCAと協力できたのか。日中戦争期の抗日運動の国際化についての新知見をもふまえ、民族・階級・ジェンダーから戦争と平和を考察する。【ゲスト:小野坂元プロフィール】1989 年新潟県小千谷市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術、2023 年)。現在、早稲田大学現代政治経済研究所・次席研究員。専門は、国際政治史、労働運動史、キリスト教社会主義思想、和解学。本書およびその初出となった論文以外の業績として、"Reconstruction and Resistance: China YWCA during the Sino-Japanese War and Wartime Assemblies of International Organizations," International Association for Reconciliation Studies (IARS) 5th Annual Conference (Assisi Italy: 3 July 2024).(学会報告)【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源』(講談社、2020年)、『ユダヤ人の歴史』(中央公論新社、2025年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)
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第92回 仙波希望さんインタビュー『ありふれた〈平和都市〉の解体〜広島をめぐる空間論的探求』
今回は2024年に以文社より出版された『ありふれた〈平和都市〉の解体〜広島をめぐる空間論的探求』の著者である仙波希望さんにお話を伺いました。インタビュアーは清水亮さんです。【著作概要】原子爆弾投下という人類史的悲劇を経験した広島は、なぜ〈平和都市〉を標榜し、体現しようとしたのか。本書は、まさに所与のものとして語られてきた〈平和都市〉としての広島を主題に、その系譜・景観・空間構造を成り立たせてきた存立基盤を解体することで、未だ「問う」べき対象としての都市・広島の姿を明るみに出す。第一部の理論編ではこれまでの広島研究を「記憶」と「復興」の両軸から再審し、ここに見る課題(〈平和都市〉の二分法)を昨今の都市研究の成果を補助線に、本書の課題として位置づける。そこから第二部の事例編では〈平和都市〉化のプロセスを「8月6日」を貫通しながら展開したものとして位置づけなおし、その一つの帰結としての「原爆スラム」の生成と消滅、また〈平和都市〉自体の正統性を問い直す空間的実践としての〈平和塔〉の存在について論じた。【ゲスト:仙波希望プロフィール】1987年広島県生まれ。札幌大谷大学社会学部地域社会学科准教授。東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程国際社会専攻修了。博士(学術)。専門は都市研究、カルチュラル・スタディーズ。本書『ありふれた〈平和都市〉の解体』が初の単著となる。主な著書に『惑星都市理論』(共編、以文社、2021年)、『忘却の記憶』(共編、月曜社、2018年)。主な業績に「『平和都市』の『原爆スラム』」(『日本都市社会学会年報』第7回日本都市社会学会若手奨励賞受賞、2016年)。https://researchmap.jp/nozomu_semba【インタビュアー:清水亮プロフィール】1991年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部専任講師。東京大学人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。主著に『「予科練」戦友会の社会学〜戦争の記憶のかたち』(新曜社、2022年)、『「軍都」を生きる〜霞ケ浦の生活史1919-1968』(岩波書店、2023年)、『戦争のかけらを集めて〜遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』(共編著、図書出版みぎわ、2024年)など。その他詳細は、https://researchmap.jp/smzr/
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第91回 増渕あさ子さんインタビュー『軍事化される福祉(ウェルフェア)〜米軍統治下沖縄をめぐる「救済」の系譜』
今回は2025年にインパクト出版会より出版された『軍事化される福祉(ウェルフェア)〜米軍統治下沖縄をめぐる「救済」の系譜』の著者である増渕あさ子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。【著作概要】本書は、米軍統治下沖縄(1945-1972年)における住民の医療福祉や衛生に関わる制度や言説、人びとの実践を分析対象とし、生活・生命を守り、心身をケアする様々な「福祉(ウェルフェア)」実践が、沖縄を「反共の砦」として軍事要塞化しようとしていた米国の軍事拡張主義・冷戦政策と複雑かつ密接に結びついていた事態を、「軍事化される福祉(militarized welfare)」という言葉で理論化・問題化している。沖縄戦開始と同時に米軍施政下に置かれた沖縄では、大規模なマラリア防遏を皮切りに、性病・結核・ハンセン病など主に感染症対策を中心とする公衆衛生政策が矢継ぎ早にとられていった。しかし、沖縄での医療衛生政策は、米軍人の健康維持を第一義としたものであり、住民福祉の復興は沖縄の医療者の手にゆだねられた。沖縄における社会政策の不整備は、それを補完する形で、沖縄内外を結ぶ官民による多様な援助活動・救済運動を引き起こす。海外沖縄移民やキリスト教団体、国際機関によるこうした活動は、しばしば米軍当局や日米政府の思惑に絡め取られながらも、統治側も予期しない、領土的境界をこえた人的・物的ネットワークも生み出していた。軍事の論理が優先されたことで沖縄の福祉の現場に生じた〈歪み〉を、様々な力学が輻輳する〈磁場〉として分析することで、沖縄米軍統治の歴史を生命・生活をめぐる政治という最も親密で身体的な次元から再検討することが、本書を貫く問題視座である。【ゲスト:増渕あさ子プロフィール】トロント大学東アジア研究学部博士課程修了(Ph.D.)。現在、立命館大学産業社会学部准教授。同志社大学〈奄美-沖縄-琉球〉研究センター研究員。専門は歴史社会学、戦後沖縄史、医療史、エスニシティ研究。主な著作として、“Stamping Out the ‘Nation-Ruining Disease’: Anti-Tuberculosis Campaign in US-Occupied Okinawa”, Social History of Medicine 34 (4), 2021、「公衆衛生看護婦の経験から考える沖縄の戦争と占領」『社会事業史研究』(61号、2022年)、「医療衛生から再考する沖縄米軍占領」歴史学研究会編『日本復帰50年琉球沖縄史の現在地』(東京大学出版会、2024年)。【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学専任教員、ブックラウンジアカデミア事務局プロフィール詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda
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第90回 二井彬緒さんインタビュー『ハンナ・アーレントと共生の〈場所〉論(トポロジー)〜パレスチナ・ユダヤのバイナショナリズムを再考する』
今回は2025年に晃洋書房より出版された『ハンナ・アーレントと共生の〈場所〉論(トポロジー)〜パレスチナ・ユダヤのバイナショナリズムを再考する』の著者である二井彬緒さんにお話を伺いました。インタビュアーは林大地さんです。【著作概要】1940年、ハンナ・アーレントは何を思いパレスチナ人とユダヤ人の共存国家論を論じたのか。初期論考が収められた『ユダヤ論集』から『革命について』『エルサレムのアイヒマン』までを分析し、シオニズムへの批判から連邦制の理論が紡がれるまでの洞察を読み直す。〈場所〉を失い難民となった一人の思想家による、他者と共生する〈場所〉の未来像を示す。【ゲスト:二井彬緒プロフィール】東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)「人間の安全保障」プログラム博士課程修了。博士(国際貢献)。現在は同プログラム助教。専門は社会思想史・政治思想、ハンナ・アーレント研究。関心はイスラエル・パレスチナ紛争、ユダヤ人問題、難民問題、場所論、ポスト・コロニアリズム。既刊論文・記事として「『倫理的なもの』への地図〜ジュディス・バトラーのパレスチナ/イスラエル論」(『現代思想』2024年2月号)、「〈クレオール〉の声を聴くアーレント思想へ〜ed. by Marilyn Nissim-Sabat and Neil Roberts, Creolizing Hannah Arendt を読む」(『政治思想学会会報』59号、2024年)など。https://researchmap.jp/akio-futai21【インタビュアー:林大地プロフィール】京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程三年。専攻は20世紀ドイツ思想史。趣味は古本屋めぐり。著書『世界への信頼と希望、そして愛〜アーレント「活動的生」から考える』(みすず書房、2023年)、主な論文に「世界への気遣いとしての活動的生〜ハンナ・アーレント『活動的生』における活動の場所指定の重要性」(『社会システム研究』第25巻、2022年)など。京都大学生協発行の書評誌『綴葉』の元編集長。現在も同誌の編集委員として、毎月書評活動を行なっている。◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信https://www.bookloungeacademia.com/◎Podcastでも配信中Apple https://apple.co/3srJkpYSpotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f◎Xhttps://twitter.com/bookacademia◎Facebookhttps://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第89回 飯島真里子さんインタビュー『コナコーヒーのグローバル・ヒストリー〜太平洋空間の重層的移動史』
今回は2025年に京都大学学術出版会より出版された『コナコーヒーのグローバル・ヒストリー〜太平洋空間の重層的移動史』の著者である飯島真里子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。【著作概要】本書は、世界的に有名な高品質コーヒーの産地として知られるハワイ島コナから、グローバル・ヒストリーを描き出す試みである。200年近くコナで栽培されてきたコーヒーの歴史には、日英米帝国の植民地主義、アジアやラテンアメリカ地域からの労働移民、スペシャルティ・コーヒーという概念の浸透などグローバルな規模で展開されたヒト・モノ・思想の「移動」が重層的に絡み合っていた。異なる時期・規模・背景のこれらの移動から、日欧米地域やラテンアメリカ地域からコナ、コナからアジアの亜熱帯地域(南洋群島や台湾)やラテンアメリカ地域へと、コナという極めてミクロな地域が、太平洋空間の多方向的移動の結節点となったことが浮き彫りとなる。これにより、産地名によって固定化されてしまった「コナ」コーヒーの認識を、200年という時間軸、太平洋地域という空間軸、越境という移動軸を投入することで深化させ、没背景化された歴史を浮き彫りにする。【ゲスト:飯島真里子プロフィール】専門は歴史学。上智大学外国語学部卒業後、英国オックスフォード大学にてMPhilとDPhil課程修了。主な業績として、「戦後沖縄における糖業復興〜製糖経験と沖縄ディアスポラの連続性」野入直美編『引揚げエリートと戦後沖縄の再編』(不二出版、2024年)、「二つの帝国と近代糖業〜ハワイと台湾をつなぐ移動者たち」『農業史研究』(55号、2021年)、 “Japanese Diasporas and Coffee Production,” The Oxford Research Encyclopedia for Asian History (2019)などがある。経歴詳細はhttps://researchmap.jp/read0150098を参照のこと。【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学専任教員、ブック・ラウンジ・アカデミア事務局経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信https://www.bookloungeacademia.com/◎Podcastでも配信中Apple https://apple.co/3srJkpYSpotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f◎Xhttps://twitter.com/bookacademia◎Facebookhttps://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第88回 森類臣さんインタビュー『北朝鮮を解剖する〜政治・経済から芸術・文化まで』
今回は2024年に慶應義塾大学出版会より出版された『北朝鮮を解剖する〜政治・経済から芸術・文化まで』(礒﨑敦仁 編著)の著者のお一人である森類臣さんにお話を伺いました。インタビュアーは長澤裕子さんです。【著作概要】北朝鮮研究は、これまで行われてきた政治・外交・経済分野はもちろんのこと、近年では映画や音楽分野など裾野が広がりつつある。本書は、所属先や出身大学の垣根を超えた第一線の日本人研究者が協同して、同国に対する新たな視座を提供する。北朝鮮の政治・外交・経済・文化を描く。一般教養書と研究書の中間的な役割を担う書籍でありつつ、学生が北朝鮮に関して知るときに手引きとなるであろう。【ゲスト:森類臣プロフィール】摂南大学国際学部国際学科准教授。同志社大学大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程退学、博士(メディア学)。専門は歴史社会学・地域研究(韓国・朝鮮)。主な著作として『北朝鮮の対外関係〜多角的な視角とその接近方法 』(中戸祐夫・森類臣編著 、晃洋書房、2022年)、『韓国ジャーナリズムと言論民主化運動〜『ハンギョレ新聞』をめぐる歴史社会学』(日本経済評論社,2019年、単著)、『韓国ドラマの想像力〜社会学と文化研究からのアプローチ』(平田由紀江・森類臣・山中千恵著、人文書院、2024年)【インタビュアー:長澤裕子プロフィール】高麗大学大学院政治外交学科修了、博士(政治学)。元東京大学大学院総合文化研究科特任准教授。現在、早稲田大学国際和解学研究所 招聘研究員。専門は日米韓外交史、朝鮮半島の政治と文化政策。著作に外村大・長澤裕子『<負の遺産>を架け橋に〜文化財から問う日本社会と韓国・朝鮮』(ころから、2024年)、「金日成唯一支配体制期の学術定期刊行物と「1965年体制」批判〜「日米韓帝国主義」批判と歴史学・考古学研究」『北朝鮮の対外関係〜多角的な視角とその接近方法 』(中戸祐夫・森類臣編著 、晃洋書房、2022年)など。◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信https://www.bookloungeacademia.com/◎Podcastでも配信中Apple https://apple.co/3srJkpYSpotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f◎Xhttps://twitter.com/bookacademia◎Facebookhttps://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第87回 崔誠姫さんインタビュー『女性たちの韓国近現代史〜開国から「キム・ジヨン」まで』
今回は2024年に慶應義塾大学出版会より出版された『女性たちの韓国近現代史〜開国から「キム・ジヨン」まで』の著者である崔誠姫さんにお話を伺いました。インタビュアーは長澤裕子さんです。 【著作概要】朝鮮半島の女性たちは、さまざまな困難に直面してきた。韓国併合、戦争協力と犠牲、南北分断による家族の離散、独裁政権、民主化運動、フェミニズム…現代もなお女性たちは激変する社会の中で、日々憤り、悲しみ、喜び、そして戦っている。開国から現代にいたるまで、朝鮮・韓国の女性はどう生き、どう変わっていったのか。有名・無名のさまざまな女性たちに光を当て、近現代韓国の歴史を描きだす。時代としては19世紀末の朝鮮の開国から始まり、21世紀の「今」までをも扱っている。 【ゲスト:崔誠姫プロフィール】1977年北海道生まれ。2001年東京女子大学文理学部史学科卒業、2006年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、2015年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科特別研究員、聖心女子大学ほか非常勤講師・日本女子大学客員准教授を経て、現在大阪産業大学国際学部准教授。専門は、朝鮮近代史、教育史、ジェンダー史。著作に『近代朝鮮の中等教育〜1920~30年代の高等普通学校・女子高等普通学校を中心に』(晃洋書房、2019年)がある。2024年4月~9月NHK連続テレビ小説「虎に翼」朝鮮学生考証/朝鮮文化考証を担当。 【インタビュアー:長澤裕子プロフィール】専門は国際政治・日米韓外交史。高麗大学大学院政治外交学科修了、博士(政治学)。元東京大学大学院総合文化研究科特任准教授。現在、早稲田大学国際和解学研究所・招聘研究員。論文に「金日成唯一支配体制期の学術定期刊行物と「1965年体制」批判」(中戸祐夫・森類臣『北朝鮮の対外関係』晃洋書房、2022年)など。好きな文化財は、開城の恭愍王陵。見たい文化財は、徳源修道院の建物(現在は元山農業総合大学)。残したい文化財は、古代の文化遺蹟、朝鮮王家の神道碑。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第86回 堅田智子さんインタビュー『アレクサンダー・フォン・シーボルトと明治日本の広報外交』
今回は2023年に思文閣出版より出版された『アレクサンダー・フォン・シーボルトと明治日本の広報外交』の著者である堅田智子さんにお話を伺いました。インタビュアーは久野譲太郎さんです。 【著作概要】青木周蔵、伊藤博文、井上馨、井上勝之助。彼ら親独派のかたわらには「もう一人のシーボルト」がいた。 明治政府に外交官として約40年間奉職したアレクサンダー・フォン・シーボルトが外交官人生を賭して取り組んだのは広報外交だった。高い先見性をもち、「〈視覚〉による広報」と「〈文字〉による広報」が両翼をなすシーボルトの広報外交戦略では、ウィーン万博を成功に導き、条約改正や黄禍論との戦いに挑んだ。広報外交を通じ、シーボルトが母国ドイツに発信した明治日本の姿(イメージ)とは、いかなるものだったのか。 本書では、「日本帝国近代史の化身」と表された外交官人生と明治日本にもたらされた広報外交の裏面史を明らかにした。明治日本の「ドイツ化」や「独日関係の黄金時代」の一例としての意義も問うた。 本書はシーボルトに関する世界初の体系的な学術書である。執筆にあたり、マルチリンガル、マルチアーカイヴァル的手法を用い、日独双方に所蔵される外交文書、日記、書簡、ブランデンシュタイン=ツェッペリン家所蔵資料、シーボルト自身が執筆した論文・新聞記事を分析した。 【ゲスト:堅田智子プロフィール】1987年生まれ、東京都出身。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了、博士(史学)。関西学院大学教育学部助教。専門は、19世紀から20世紀の世紀転換期における日独関係史、アレクサンダー・フォン・シーボルト研究、広報文化外交。 「アレクサンダー・フォン・シーボルトと黄禍論」(『上智史学』第57号、2012年)により、第6回石橋湛山新人賞受賞。「シーボルト兄弟にとってのウィーン〜日独澳関係史、広報文化外交史の交点として」(『異文化を伝えた人々Ⅱ)「ウィーン万国博覧会後のジャポニスムをめぐって〜『日本古美術展』とシーボルト兄弟寄贈日本コレクション」(『1873年ウィーン万国博覧会』思文閣出版、2022年)「青木周蔵とアレクサンダー・フォン・シーボルト〜『国家を診る医者』を目指した二人の外交官」(『プロイセン気質の日本人』久米美術館、2022年)など。 【インタビュアー:久野譲太郎プロフィール】愛知県出身。同志社大学大学院文学研究科文化史学専攻博士後期課程修了、博士(文化史学)。同志社大学文学部嘱託講師、ハイデルベルク大学客員研究員。専門は、大正・昭和戦前期を中心とした近代日本の思想史。 『恒藤恭の平和主義とナショナリズム〜「世界民」と民族』(晃洋書房、2023年)、「『総力戦体制』下の恒藤法理学〜「統制経済法」理論をめぐって」(『ヒストリア』第231号、2012年)、「恒藤法理学における『新カント派』受容の理路〜『法の理念』をめぐって」(『政治思想研究』第24号、2024年)、『ヴァイマール期ハイデルベルク大学の日本人留学生〜在籍者名簿および現存資料目録』(科学研究費研究報告書、2022年)など。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第85回 甲斐義明さんインタビュー『ありのままのイメージ〜スナップ美学と日本写真史』
今回は2021年に東京大学出版会より出版された『ありのままのイメージ〜スナップ美学と日本写真史』の著者である甲斐義明さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。 【著作概要】手持ちの小型カメラで素早く撮影した写真のことを指す「スナップ」が、日本の写真界においてプロ写真家とアマチュア写真家の双方を巻き込みながら、ひとつの独立したジャンルとして形成され、展開してゆく過程について論じた。「人の手によって作り込まれていない」写真に最大の価値を見出す「スナップ美学」が1930年代から現代に至るまでの日本写真史において、ひとつの規範となっていることを明らかにした。 【ゲスト:甲斐義明プロフィール】1981年東京都生まれ。専門は写真史および近現代美術史。ニューヨーク市立大学大学院センター博士課程修了(Ph.D. in Art History)。2013年より新潟大学人文学部准教授。著書に本インタビューの『ありのままのイメージ:スナップ美学と日本写真史』(東京大学出版会、2021年)、『時の宙づり〜生・写真・死』(IZU PHOTO MUSEUM、2010年。ジェフリー・バッチェン/小原真史共著)など、編訳書に『写真の理論』(月曜社、2017年)がある。 【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力〜ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年) ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第84回 中原雅人さんインタビュー『自衛隊と財界人の戦後史〜支援ネットワークの形成とその意味』
今回は2024年にミネルヴァ書房より出版された『自衛隊と財界人の戦後史〜支援ネットワークの形成とその意味』の著者である中原雅人さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】1960年代初頭、全国の駐屯地周辺の地域を中心に、民間の自衛隊支援団体である「防衛協会・自衛隊協力会」が設立され始めた。自衛隊支援と防衛思想の普及を主な目的とするこの団体は、1960年代後半にはすでに全国で1,090の協会と約49~60万人の会員を擁するまでに拡大した。本書は、1990年代以降、自衛隊への支持が拡大したという一般的な見方に対して、その「前史」を描くことによって、自衛隊研究に新たな一面を提示するとともに、「日本人にとって自衛隊とは何か」という、戦後日本社会の重要課題を考える材料を提供する。 【ゲスト:中原雅人プロフィール】1990年、兵庫県生まれ。2014年、関西学院大学法学部政治学科卒業。2022年 神戸大学大学院国際協力研究科博士課程修了。博士(政治学)。この間、中華人民共和国恵州学院外国語学部日本語学科講師。平和・安全保障研究所フェロー。現在、神戸大学大学院国際協力研究科助教。関西学院大学国際学部非常勤講師。神戸市外国語大学外国語学部非常勤講師。主要論文に「防衛協会・自衛隊協力会に関する一研究〜1960年代の全国的設立を中心に」(『次世代人文社会研究』第17号、2021年)。「三八豪雪と自衛隊〜一九六〇年代の自衛隊の印象に関する一考察」(『戦争社会学研究』第6号、2022年)などがある。 【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】ブックラウンジアカデミア事務局・神戸学院大学専任教員 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第83回 川中大輔さんインタビュー『コミュニティ・デザイン新論』
今回は2024年にさいはて社より出版された『コミュニティ・デザイン新論』(新川達郎監修/川中大輔・山口洋典・弘本由香里編)の共編者のお一人である川中大輔さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】現代社会の困難=希望をめぐる難問に挑む。政策科学、社会学、減災・人間科学、建築・都市計画学、事業構想学など、バックグラウンドの異なる気鋭の執筆陣が集い、旧来のコミュニティ・デザイン論を捉え直し、アクティブな知として新たに鍛え直すことを目指す。 【ゲスト:川中大輔プロフィール】1980年、神戸生まれ。関西学院大学社会学部卒、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修士課程修了。(財)大学コンソーシアム京都研究主幹、立命館大学共通教育推進機構嘱託講師(サービスラーニング担当)などを経て、2017年から龍谷大学社会学部専任教員。同大学講師を経て、2021年より准教授。2019-2023年度、放送大学客員准教授。市民の社会参加や社会イノベーション実践に資する教育/研究に取り組んでいる。 実践者として1998年から青少年支援や環境問題、まちづくり、社会事業家支援のNPOで活動し、2003年にシチズンシップ共育企画を設立。現在、同代表。市民教育や協働まちづくり、NPOマネジメントのワークショップを各地で担当。日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)事務局や、NPO法人神戸まちづくり研究所理事、こども家庭庁こども・若者参画及び意見反映専門委員会委員なども務める。 【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】ブックラウンジアカデミア事務局・神戸学院大学専任教員 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第82回 長澤裕子さんインタビュー『〈負の遺産〉を架け橋に〜文化財から問う日本社会と韓国・朝鮮』
今回は2024年にころからより出版された『〈負の遺産〉を架け橋に〜文化財から問う日本社会と韓国・朝鮮』の共著者のお一人である長澤裕子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【訂正(2024年11月3日)】インタヴューの中で「海外に搬出された朝鮮半島由来の<7割>が日本にある」との発言がありますが<およそ半分>の誤りです。 【著作概要】共著者のそれぞれの研究と東京大学韓国学研究センターによる講義をもとに、韓国・朝鮮から日本へもたされた文化財を切り口に近現代史の関係を問い直す。 「略奪文化財」とも称され、〈負の遺産〉とされてきた朝鮮半島由来の文化財は、ときに紛争の種として疎まれてきた。その経緯を示しつつ、〈負の遺産〉こそが国家間対立を克服する契機を生みだし、市民レベルでの交流によって「架け橋」になりうることを提示する。 具体的には、下記の項目について、歴史学・外交史の側面から解説している。文化財の定義、国外所在韓国文化財のおよそ45%を占める日本所在文化財と過去清算、植民統治期の文化政治、略奪文化財をめぐる日韓間の返還問題、日韓国交正常化交渉と文化財協定、日朝国交正常化交渉、対馬の盗難仏像事件と韓国の大法院(最高裁)判決、韓国文化財法の変遷、台湾の近代化遺産、ドイツ人宣教師の活動、東アジア文化共同体ほか。 ※著作概要の一部を加筆・修正いたしました(2024年11月3日) 【ゲスト:長澤裕子プロフィール】専門は国際政治・日米韓外交史。高麗大学大学院政治外交学科終了、博士(政治学)。元東京大学大学院総合文化研究科特任准教授。現在、早稲田大学国際和解学研究所・招聘研究員。論文に「金日成唯一支配体制期の学術定期刊行物と「1965年体制」批判」(中戸祐夫・森類臣『北朝鮮の対外関係』晃洋書房、2022年)など。好きな文化財は、開城の恭愍王陵。見たい文化財は、徳源修道院の建物(現在は元山農業総合大学)。残したい文化財は、古代の文化遺蹟、朝鮮王家の神道碑。 【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】ブックラウンジアカデミア事務局・神戸学院大学専任教員 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第81回 山本明代さんインタビュー『第二次世界大戦期東中欧の強制移動のメカニズム』
今回は2024年に刀水書房より出版された『第二次世界大戦期東中欧の強制移動のメカニズム』の著者である山本明代さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。 【著作概要】本書は、第二次世界大戦期の東中欧で起こった複数の強制移動はいかなる政治的・経済的・社会的要因によって構成・実行され、社会的な影響を与えたのか、その強制移動のメカニズムを解明することを目的とした。そして、この強制移動のメカニズムに帝国主義の統治技法がいかに活用され、この時期の東中欧諸国が目指した国民国家形成に向けて作用し、移動を強いられた人びとがこの事態にいかに対応し、共同体の維持と再建を試みたのか、歴史認識や記憶をめぐる課題や歴史叙述の変容に関連付けて考察した。具体的には、ユダヤ人の強制移送、ソ連への強制連行と強制労働、チェコへの強制連行と強制労働、セーケイ人の移住と難民化、ドイツ系住民の追放、チェコスロヴァキアとハンガリー間の住民交換、実際には実行されなかったルーマニアとハンガリー間の住民交換構想の各事例を取り上げ、これらに関する強制移動の記憶と歴史認識、歴史叙述の変容について考察した。 複数の強制移動の諸事例の分析から、強制移動のメカニズムには、帝国主義的な統治手法である土地の獲得と利用、そのために必要な無権利状態の奴隷労働力の確保とそれを使って戦後の開発と経済発展を目指す諸国家の意図が存在したことが明らかになった。他方、被追放者・被連行者たちは、逃亡や指定された移住先からの再移動を行い、元のローカルな結合、教区などの共同体の紐帯を駆使し、時には民族的アイデンティティを転換して生存のための抵抗を試みた。そして、第二次世界大戦期に東中欧で起こった強制移動の後に個人と地域の負の記憶の痛みは長期にわたって続いたが、語られることがなかった連行と追放の歴史認識を社会が共有するために、歴史研究者のみならず、被追放者、在野の歴史家などを含む市民の広範な試みが必要であった。この強制移動をめぐるパブリック・ヒストリー形成の試みは現在も進行中であり、強制移動の出来事とその解釈をめぐって論争や対立、課題が残されている。 【ゲスト:山本明代プロフィール】静岡県生まれ。2001年千葉大学大学院社会文化科学研究科博士後期課程修了(学術博士)、現在、名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授。専門は、西洋史、東欧とアメリカの社会史、移民史、強制移動の歴史。主な著書は『大西洋を越えるハンガリー王国移民〜アメリカにおけるネットワークと共同体の形成』(彩流社、2013年)、『移動がつくる東中欧・バルカン史』(共編書、刀水書房、2017年)、「ハンガリー王国からアメリカ合衆国への移民女性とジェンダー関係の再編」北村暁夫・田中ひかる編『近代ヨーロッパと人の移動』(山川出版社、2020年)、「1956年のハンガリー革命後の難民学生による社会運動」田中ひかる編『社会運動のグローバルな拡散〜創造・実践される思想と運動』(論創社、2023年) 【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書は『ロシア・シオニズムの想像力〜ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年) ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第80回 山口祐香さんインタビュー『「発見」された朝鮮通信使〜在日朝鮮人歴史家・辛基秀の歴史実践と戦後日本』
今回は2024年に法律文化社より出版された『「発見」された朝鮮通信使〜在日朝鮮人歴史家・辛基秀の歴史実践と戦後日本』の著者である山口祐香さんにお話を伺いました。インタビュアーは韓光勲さんです。 【著作概要】近世日本と朝鮮王朝の外交・交流関係を担いながらも半ば忘れられていた朝鮮通信使は、どのように広く知られるようになり、ユネスコ「世界の記憶」へと登録されるに至ったのか。本書では、在日朝鮮人映像作家・民族運動家であり通信使研究家でもあった辛基秀の実践を軸に、様々なマイノリティと連帯する市民運動が隆盛した1970年代以降の日本において、民族差別克服と「日韓友好」の象徴として朝鮮通信使が「発見」される過程を描く。更に、本書の射程は、辛基秀らと関わりを持った多くの日本人市民も含み、過去の歴史を通じて戦後日本社会の人々がいかに連帯や交流の可能性を模索し、ローカルな実践へと繋げていったかを取り上げている。 【ゲスト:山口祐香プロフィール】1993年佐賀県生まれ。九州大学大学院地球社会統合科学府博士課程修了、博士(学術)。専門は歴史社会学、東アジア地域研究、メディア研究。日本学術振興会特別研究員(DC1)、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構学術研究員、ソウル大学日本学研究所客員研究員などを経て、現在、日本学術振興会特別研究員PDおよび神戸大学国際協力研究科特命助教。主な論文に「歴史実践としての朝鮮通信使関連文化事業〜韓国側の取り組みを中心に」(『インターカルチュラル』第17号 2019年)、「1970-80年代日本の市民運動史における映画『江戸時代の朝鮮通信使』と上映運動」(『コリアン・スタディーズ』第10号 2022年)、韓国語論文「生活者を見る視角〜辛基秀と『季刊三千里』」(翰林大学校日本学研究所編『内破する国民国家、架橋する東アジア』學古房 2022年)など。近年は芸術実践を通じた多文化共生に関する研究にも関心を広げている。 【インタビュアー:韓光勲プロフィール】1992年大阪市生まれ。在日韓国人3世。2019年 大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程修了。修士(国際公共政策)。2019年4月から2022年7月まで毎日新聞記者として働く。2023年3月から約1年間、韓国で留学生活を送った。現在、大阪公立大学大学院文学研究科博士後期課程に在籍。日本学術振興会特別研究員(DC1)。専門は社会学、朝鮮半島地域研究。2019年 大阪大学大学院国際公共政策研究科優秀論文賞受賞。2020年 スマートニュースアワード2020報道部門ベストコンテンツ賞受賞。主要業績として “The Failed Plan: South Korea’s Pursuit of Nuclear Weapons and the U.S. Nonproliferation Policy in the 1970s.” International Public Policy Studies 27(2), 2023、「歴史家・姜徳相の生涯と学問〜在日史学研究序説」『在日朝鮮人史研究』第53号(2023)、飛田雄一・韓光勲「【インタビュー】飛田雄一さん 歴史を心に刻み、石に刻む 〜神戸から日本の植民地主義を問い、朝鮮人の被害を記憶する」『社会運動史研究』第5号(2023)。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第79回 高橋美野梨さんインタビュー『グリーンランド〜人文社会科学から照らす極北の島』
今回は2023年に藤原書店より出版された『グリーンランド〜人文社会科学から照らす極北の島』の編者である高橋美野梨さんにお話を伺いました。インタビュアーは荻上チキさんです。 【著作概要】北緯59度から83度、大部分が北極圏に位置し、面積は日本の約6倍、エスキモーとスカンディナヴィアの人たちとの合流の地であるグリーンランドは、同じ遺伝子ルーツを持つアラスカ、カナダのエスキモーに比して、西(エスキモー)と東(非エスキモー)の世界観とが釣り合いを保ちながら混淆していると評される。 人類学、政治学、歴史学、宗教学、文学など人文社会科学の知見を持ち寄って、その混淆の輪郭をたどり、この世界最大の島における人間の営みを多角的に描き出す、日本で初めての論集。 〈執筆〉井上光子、小澤実、ウルリック・プラム・ガド、須藤孝也、高橋美野梨、中丸禎子、本多俊和(スチュアート ヘンリ) 、イーリャ・ムスリン、ソアン・ルド 【ゲスト:高橋美野梨プロフィール】1982年山梨県生まれ。北海学園大学法学部准教授、デンマーク国際問題研究所Global security and worldviews客員研究員。博士(国際政治経済学)(筑波大学)。専門は国際関係学、デンマーク・グリーンランドを中心とした北極政治。デンマーク政府給費奨学生(グリーンランド大学)、日本学術振興会特別研究員(DC2/PD)、オールボー大学北極研究プラットフォーム客員研究員などを経て現職。主な著書に『自己決定権をめぐる政治学』(明石書店、地域研究コンソーシアム賞登竜賞)、『アイスランド・グリーンランド・北極を知るための65章』(共編著、明石書店)、The Influence of Sub-state Actors on National Security. (Ed. Springer)、Exploring Base Politics. (Eds. Routledge)。 【インタビュアー:荻上チキプロフィール】1981年兵庫県生まれ。評論家、ラジオパーソナリティー。いじめ問題、宗教2世問題、ストーカー規制法改正、薬物報道問題など、幅広いソーシャルアクションに携わる。NPO法人・ストップいじめ!ナビ代表、社会調査支援機構チキラボ代表。ラジオ番組「荻上チキ・Session」(TBSラジオ)メインパーソナリティ。「荻上チキ・Session-22」で、2015年度ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞、2016年度ギャラクシー賞大賞を受賞。著書に『未来を作る権利』(NHKブックス)、『災害支援手帖』(木楽舎)、『いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識』(PHP新書)、『もう一人、誰かを好きになったとき〜ポリアモリーのリアル』(新潮社)など多数。 X アカウント : @torakare。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第78回 木村美幸さんインタビュー『日本海軍の志願兵と地域社会』
今回は2022年に吉川弘文館より出版された『日本海軍の志願兵と地域社会』の著者である木村美幸さんにお話を伺いました。インタビュアーは中立悠紀さんです。 【著作概要】本書は、日本海軍の志願兵という存在から、日本海軍と地域社会の関係を考察した研究である。アジア・太平洋戦争期に、青年志願兵がどのようにして「供出」されるようになったのかを、海軍と地域社会双方の力学から考察している。 従来の「軍隊と地域」研究において、未開拓領域だったといえる海軍と地域社会(鎮守府等が所在しなかった地域も含む)の関係を、志願兵という切り口からアプローチしている。日本各地に点在する海軍の兵事関係史料を博捜した上で展開される各論の分析は、詳細にわたり、多角的な視点を提供している。 ①なぜ海軍は志願兵を求めたのか、なぜ自発的な志願であることを求めたのか、②どのようにして志願兵を勧誘、「供出」させたのかという観点から、海軍中央と地域社会の動向を丹念に分析し、「軍隊と地域」研究の可能性を広げた。 【ゲスト:木村美幸プロフィール】1992年、東京都生まれ。2020年、名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(歴史学・名古屋大学)。現在、福井工業高等専門学校一般科目教室助教。専門は歴史学、日本近現代史。主要共著に『日本海軍と近代社会』(吉川弘文館、2023年)、主論文に「1960年代後半における自衛官募集と適格者名簿〜茨城県を事例に」(『軍事史学』59巻3号、2023年12月)など。 【インタビュアー:中立悠紀プロフィール】1990年、京都府生まれ。2018年、九州大学大学院地球社会統合科学府博士後期課程修了。博士(学術・九州大学)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は歴史学、日本現代史。主論文に「パル判決書研究とパル日本招請〜1950年代~60年代における東京裁判批判論に対する一考察」(『歴史学研究』1048号、2024年5月)など。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第77回 ウェンディ・マツムラさん・森亜紀子さんインタビュー『生きた労働への闘い〜沖縄共同体の限界を問う』
今回は2023年に法政大学出版局より出版された『生きた労働への闘い〜沖縄共同体の限界を問う』の著者であるウェンディ・マツムラさんと、翻訳者のお一人である森亜紀子さんにお話を伺いました。インタビュアーは阿部小涼さんです。 【著作概要】(法政大学出版局HPより引用)琉球処分以後、地元知識人は日本資本に対抗するため「沖縄」という想像の共同体を構想し、近代化を推進した。しかし、農民や職工はこれを拒絶する。宮古島人頭税廃止運動、女性職工の異議申し立て、甘蔗農家の非売同盟、大宜味村村政革新運動。人びとが自分たちの未来を切り拓くために起こした行動をグローバルな反資本主義闘争の一環として読み解き、「生きた労働」を求めた闘いの可能性を探る。 【ゲスト:ウェンディ・マツムラ プロフィール】ニューヨーク大学歴史学部博士課程修了。専攻は近代日本史。現在カリフォルニア州立大学サンディエゴ校(UC San Diego),歴史学部准教授 。主著にThe Limits of Okinawa: Japanese Capitalism, Living Labor, and Theorizations of Community (Durham, North Carolina: Duke University Press, 2015); Waiting for the Cold Moon: Anti-imperialist Struggles in the Heart of Japan's Empire ( (Durham, North Carolina: Duke University Press, 2024) 【ゲスト:森亜紀子プロフィール】同志社大学〈奄美-沖縄-琉球〉研究センター嘱託研究員。土庄町地域おこし協力隊。主な業績として「切り落とされてきた場所・出来事から考える〜呉・沖縄・南洋群島を糸口に」高雄きくえ編『広島 被爆都市からあいだの都市へ〜「ジェンダー×植民地主義 交差点としてのヒロシマ」連続講座論考集』(インパクト出版会、2022年)ほか。 【インタビュアー:阿部小涼プロフィール】琉球大学人文社会学部教授。主な業績として「反戦・非暴力思想と脱植民地化の失敗〜朝鮮戦争の経験の省察から」『世界』No.981(2024年5月)、「死に損ない、生き損ないたちの連帯可能性について」『現代思想』「特集パレスチナから問う〜100年の暴力を考える」Vol.52-2(2024年2月)ほか。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第76回 林大地さんインタビュー『世界への信頼と希望、そして愛〜アーレント「活動的生」から考える』
今回は2023年にみすず書房より出版された『世界への信頼と希望、そして愛〜アーレント「活動的生」から考える』の著者である林大地さんにお話を伺いました。インタビュアーは二井彬緒さんです。 【著作概要】(みすず書房HPより引用)〈この世界に信頼と希望、そして愛を抱いてもよいのだということ――アーレントが『活動的生』を通じて私たちに伝えようとしたのは、このあまりにも素朴な、しかしどこまでも力強い、たったひとつのメッセージである。全体主義の時代を生きたアーレントこそ、まさにこうしたメッセージを切に求める者だったのではないか。否定されるべきものとして世界が眼前に現われる状況にあって、それでもなお、世界を否定し去ることができなかったアーレントこそ、まさにこうしたメッセージを誰よりも必要としていたのではないか〉 ここに鮮やかで瑞々しいハンナ・アーレント論が誕生した。26歳の著者は、アーレントの主著のひとつ『活動的生』(『人間の条件』ドイツ語版)を、「世界」概念を主軸として、「労働」「制作」「行為」「始まり」「出生」などのキーワードともども、「死」「可死性」「不死性」「記憶」「忘却」「過去」「痕跡」といった一連の視座から読み解き、アーレントの著作全体に連なる核心に近づいていく。膨大な注の書きぶりも併せ、ユニークで開かれた本書は、アーレントの思想をひとつのレンズとして、この世界を新たな目で眺めることをめざした試論=エッセイとなっている。 【ゲスト:林大地プロフィール】京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程二年。専攻は20世紀ドイツ思想史。趣味は古本屋めぐり。著書『世界への信頼と希望、そして愛〜アーレント「活動的生」から考える』(みすず書房、2023)、主な論文に「世界への気遣いとしての活動的生〜ハンナ・アーレント『活動的生』における活動の場所指定の重要性」(『社会システム研究』第25巻、2022)など。京都大学生協発行の書評誌『綴葉』の元編集長。現在も同誌の編集委員として、毎月書評活動を行なっている。 【インタビュアー:二井彬緒プロフィール】東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム助教。専門は社会思想史・政治思想、ハンナ・アーレント研究。関心はイスラエル・パレスチナ紛争、ユダヤ人問題、難民問題、場所論。https://researchmap.jp/akio-futai21 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第75回 申惠媛さんインタビュー『エスニック空間の社会学〜新大久保の成立・展開に見る地域社会の再編』
今回は2024年に新曜社より出版された『エスニック空間の社会学〜新大久保の成立・展開に見る地域社会の再編』の著者である申惠媛さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。 【著作概要】マルチエスニック・タウン、コリアンタウン、韓流・K-POPの聖地 ― 様々な異名を与えられてきたエスニックな観光地「新大久保」。その出現は、多国籍な居住空間としての大久保地域にいかなる影響をもたらしたのか。大久保地域「新大久保」という重層的なエスニック空間を事例に、人々が絶えず出会い、葛藤を生じ、調整を図ることで再編されるプロセスとしての「地域社会」概念を提起する。 【ゲスト:申惠媛プロフィール】1990年ソウル生まれ、2001年来日。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。現在、宇都宮大学国際学部助教。専門は社会学(移民研究、都市社会学)。その他詳細は、https://researchmap.jp/shyewon 【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書に『ロシア・シオニズムの想像力〜ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年) ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第74回 楊佳嘉さんインタビュー『Women in Asia under the Japanese Empire』
今回は2023年にRoutledgeより出版された『Women in Asia under the Japanese Empire』の共編者である楊佳嘉さんにお話を伺いました。インタビュアーは同じくこの本の共編者、蔭木達也さんです。 【著作概要】アジア各地の女性の立場から日本の帝国主義を描く本書は、沖縄、台湾、朝鮮、満州はもちろん、汪兆銘政権下の広州から南洋までをも取り上げ、各地の女性たち(日本人も含む)がどのように帝国日本の植民地主義と向き合い、その影響を受け、あるいはそれと対抗したか、ということを論じています。 雑誌などのメディアを通じたプロパガンダ、旅行者や移民の目線、帝国・民族・ジェンダーの複合的にねじれた関係、画一的に喧伝される帝国の女性像と各地で芽生える独自のアイデンティティ、抑圧・抵抗・協調の諸相——読者は11章の充実した研究を辿っていくことで、「良妻賢母」が東アジア各地で形を変えながら展開していること、当時の一部の女性知識人たちには日本より中国の諸都市が「近代」的に見えていたことなどはもとより、理想とされる「帝国の日本人」イメージすら各地で大幅に異なり、外地日本人から内地が批判されていたりすることや、沖縄女性が置かれた特異かつ悲惨な歴史的位置など、興味深い論点に次々と行き当たることでしょう。 【ゲスト:楊佳嘉プロフィール】1990年中国山西省生まれ。専門は日本近現代文学、日中比較文学、女性文学 ·文化。名古屋大学文学博士。日本学術振興会特別研究員(DC2)、名古屋大学博士候補研究員を経て、現在は中国厦門大学外文学院助理教授。主な論文に「『輝ク』における日中女性の連帯とその変節 〜インターナショナル ·フェミニズムから帝国のフェミニズムへ」(『日本語·日本学研究』vol.14、2024.3)、「平林たい子と彼女の「満洲」体験物語 〜作品における空間の意味と機能をめぐって」(『北東アジア研究 』vol.32、2021.3)など。ジェンダー、戦争、植民地の問題に関心があり、特に近代日本女性文学、女性雑誌における中国表象の問題を中心に研究しています。近年は女性作家、女性文化人と戦争の関係から、日本帝国のフェミニズムの多様な系譜という問題を考えている。 【インタビュアー:蔭木達也プロフィール】非正規教員。高群逸枝を軸に、1920年代から30年代の日本に着目した社会思想史研究を行っている。論文に、「「分裂せざる」二者から始まるアナーキズム」(『社会文学』51号、2020年3月)、「「神」と対峙する「天皇」のイロニー」(『思想』1158号、2020年10月)、「高群逸枝の民衆哲学」(『国語と国文学』99巻第1号、2022年1月)、「社会運動のなかの報徳思想」(『報徳思想とその展開』不二出版、2023年)など。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第73回 奈倉京子さんインタビュー『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』
今回は2023年に東方書店より出版された『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』の筆者である奈倉京子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】本書は、家族以外の多様な他者とのかかわりが必要とされる障害者とその家族を対象に、障害のある家族成員のケアは家族以外の社会関係(中間的領域/組織)に頼ることができるのか、あるいは家族へ全面的に依存せざるを得ない状況にあるのかといったことを考察する。 民間組織「機構」の役割を当事者の目線で検討し、また複数の障害者家族への聞き取りを通して、中国西北部に暮らす知的障害者とその家族の生の営みを記述したものである。 第一部では法整備や中間的領域/組織の成り立ちなど、社会の面から障害者家族とのかかわりを考察した。第二部は知的障害の子をもつ家族の聞き取りをもとに、個人の側から障害者とその家族の「新しい社会性」の内実を描き出した。 「新しい社会性」とは、家族もしくはその他の社会集団の代表ではない、一人の人間が、個人と個人の間で、社会における活動を通して互いに影響を与え合うことを特徴とする、新たな個人とその結びつきのありかたである。2000年代の中国は、中国共産党の管理と指示に従って行動する必要があり、かつ個人化という「新しい社会性」が生まれている〈ポスト社会主義的状況〉である。 これらの考察を通して(1)2000年代以降の中国のポスト社会主義的状況が、障害者とその家族にどのような影響をもたらしているのか、(2)中国の障害者とその家族の「新しい社会性」とは何か、について探究している。 更に、中国は、国連の障害者権利条約を批准しているが、依然として障害者の痛ましい事件が発生している。西側諸国の「普遍的価値観」を受け入れつつ、国内の伝統的価値観とどう折り合いをつけるのか。そのような問題も本書は問うている。 【ゲスト:奈倉京子プロフィール】1977年、静岡県生まれ。2007年、中国中山大学大学院人文学院(現社会学与人類学学院)博士課程修了・博士(法学、文化人類学専攻)。2022年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了・博士(社会学)。現在、静岡県立大学国際関係学部・教授。専攻は文化人類学、中国地域研究 主な著書に『帰国華僑〜華南移民の帰還体験と文化的適応』(風響社 2012年)、『中華世界を読む』(編著 東方書店 2020年)、『中国系新移民の新たな移動と経験〜世代差が照射する中国と移民ネットワークの関わり』(編著 明石書店 2018年)。 【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第72回 岡野(葉)翔太さんインタビュー『二重読みされる中華民国〜戦後日本を生きる華僑・台僑たちの「故郷」』
今回は2023年に大阪大学出版会より出版された『二重読みされる中華民国〜戦後日本を生きる華僑・台僑たちの「故郷」』の筆者である岡野(葉)翔太さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】1949年以降、中華人民共和国と中華民国は互いに「中国」の正統政府であると主張し、海外在住の「華僑」をどちらの「国民」とするのか、熾烈な争奪戦を繰り広げた。 日本で暮らす台湾出身者や台湾に移転した中華民国と結びつく大陸出身者=「台湾系華僑」は、戦後東アジア地域秩序の再編によって迫られた「中華民国を支持するか」、「中華人民共和国を支持するか」、「台湾独立を支持するか」という政治選択に翻弄され、様々なカテゴライズやレッテルのもとで自己認識を問われてきた。 本書では、在日華僑研究のなかで明確に位置づけられてこなかった「台湾系華僑」の存在を歴史的変遷のもとで捉えなおし、地図上に引かれた境界の経緯と、それに基づく呼称や自己認識との関係のなかで再考する。 【ゲスト:岡野(葉)翔太プロフィール】1990年、神戸市生まれ。葉翔太(YEH, Hsiang-tai)は台湾名。 2015年、大阪大学大学院文学研究科博士前期課程(東洋史)修了。2022 年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。中央研究院台湾史研究所訪問学員、大阪大学大学院言語文化研究科特任研究員などを経て、現在は大阪大学レーザー科学研究所特任研究員、大阪大学大学院人文学研究科招聘研究員。専門は華僑華人研究、現代台湾地域研究、中国近現代史。 主な論文に、岡野翔太「『存在しない国』と日本のはざまを生きる〜台湾出身ニューカマー第二世代の事例から」蘭信三ほか編『帝国のはざまを生きる〜交錯する国境、人の移動、アイデンティティ』(みずき書林、2022年)など。 【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第71回 大久保由理さんインタビュー『「大東亜共栄圏」における南方国策移民〜「南方雄飛」のゆくえ』
今回は2023年に晃洋書房より出版された『「大東亜共栄圏」における南方国策移民〜「南方雄飛」のゆくえ』の筆者である大久保由理さんにお話を伺いました。インタビュアーは安岡健一さんです。 【著作概要】「大東亜共栄圏」を建設する使命を担った青年たちは、どのように養成され、現地でどのような現実に直面したのだろうか。この問いのもと、本書は1940年代に拓務省によって実施された南方移民政策に着目した最初の本格的研究である。 その政策の特徴は、10代の青年たちを「大東亜共栄圏」における模範民族としてふさわしい人格と、「南方開拓」のための実践的知識を持つ人材として訓練した点にあり、彼らは卒業後に東南アジア各地へ送出された。 本書では彼らを「南方国策移民」と定義し、拓務省管轄下にあった人材養成機関である、「拓南塾」(企業社員養成)と「拓南錬成所」(農業技術者養成)を取り上げた。また現地での活動として拓南塾卒業生のうちフィリピンへ送出された事例に焦点を当て、日記や書簡の分析や、国内外での聞き取り調査によってその実相に迫った。なお補論では、拓南錬成所卒業生のグアムでの活動が、現地社会ではどのように記憶されているかについても論じている。 このように本書は、南方国策移民を政策・教育・活動という三つの側面から再構成し、「大東亜共栄圏」の内実について「下から」の視点から迫ることを試みる。 【ゲスト:大久保由理プロフィール】1972年福岡県生まれ。専門は日本近現代史、民衆史、思想史。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程後期単位取得退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(PD)、日本女子大学人間社会学部助教を経て、現在は東京大学大学院経済学研究科附属日本経済国際共同研究センター特任研究員。主な論文に「移民史研究におけるジェンダー:南方国策移民を軸として」(鳴子博子編著『ジェンダー・暴力・権力』(晃洋書房、2020)など。戦争、ジェンダー、植民地の問題に関心があり、特に日本帝国における「南方・南洋」、つまり東南アジア・旧南洋群島のほか、近年は台湾・沖縄にも関心を拡げ、民衆の視点から帝国の問題を考えている。 【インタビュアー:安岡健一プロフィール】大阪大学大学院人文学研究科 現代日本学研究室 准教授。1979年生まれ、京都大学博士(農学)。日本学術振興会特別研究員、飯田市歴史研究所研究員を経て、2015年より大阪大学にて勤務。専門は日本近現代史。主な著書に『「他者」たちの農業史』(京都大学学術出版会、2014)。監修に『コロナ禍の声を聞く〜大学生とオーラルヒストリーの出会い』(大阪大学出版会、2023)。近現代の地域社会の歴史と、オーラルヒストリーという方法に関心がある。 ◎ブック・ラウンジ・アカデミア ☆ 月2〜3回水曜日配信 https://www.bookloungeacademia.com/ ◎Podcastでも配信中 Apple https://apple.co/3srJkpY Spotify https://open.spotify.com/show/0BI0ASpdhqQy1f116PGA3f ◎X https://twitter.com/bookacademia ◎Facebook https://www.facebook.com/bookloungeacademia/
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第70回 山口航さんインタビュー『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』
今回は2023年に吉川弘文館より出版された『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』の筆者である山口航さんにお話を伺いました。インタビュアーは渡邊康宏さんです。 【著作概要】1970年代末から80 年代にかけて、大平、鈴木、中曽根の三政権は、「総合安全保障」を掲げ続けた。新冷戦から冷戦の終焉へと国際情勢は変容し、米国でも民主党のカーターから共和党のレーガンへと政権が交代し、日米関係のあり方にも変化が見られた。そうであるにもかかわらず、なぜ総合安全保障という概念は引き継がれていったのか。これが本書の問いである。 本書は、総合安全保障論を「多様性」と「多層性」の2つの観点からとらえ直す。総合安全保障に関する先行研究は、主として安全保障の構成要素の多様性に注目し、多層性の観点は重視されない傾向がある。そこで本書は、「広義の安全保障」たる経済安全保障や食糧安全保障などの「多様性」に加え、同盟関係のレベルや国際環境のレベルから「多層的」に安全保障を捉える視角を提示する。 総合安全保障という用語は今日まで継承されている。本書が示す「多様性」と「多層性」の議論は、冷戦終焉期の日米関係を明らかにするだけでなく、今日における日本の外交・安全保障政策を考えるうえでも重要な視座を提供している。 【ゲスト:山口航プロフィール】神戸市生まれ。同志社大学法学部3年次退学(飛び級で同大学院入学)。同大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(政治学)。スタンフォード大学客員研究員、同志社大学アメリカ研究所助教などを経て、現在、帝京大学法学部専任講師。専門は日米関係史、安全保障論、国際政治学。著書に今回ご紹介した『冷戦終焉期の日米関係〜分化する総合安全保障』(吉川弘文館、2023年、猪木正道賞正賞受賞)など。 【インタビュアー:渡邊康宏プロフィール】東京工業大学社会・環境理工学院博士後期課程在籍。
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第69回 菅(七戸)美弥さんインタビュー『南北戦争を戦った日本人〜幕末の環太平洋移民史』
今回は2023年に筑摩書房より出版された『南北戦争を戦った日本人〜幕末の環太平洋移民史』(菅(七戸)美弥・北村新三著)の共著者のお一人である菅(七戸)美弥さんにお話を伺いました。インタビュアーは加藤(磯野)順子さんです。 【著作概要】本書は、アメリカの南北戦争に従軍した日本生まれの二人が誰であったのかを追究し、人々の移動・移住を通じて南北戦争の時代の日本史とアメリカ史をつなぎ、戦争とマイノリティについて、そして環太平洋の移民・移住史について包括的に描いたものである。 従軍史料、アメリカ・センサスの調査票、死亡記録、帰化申請記録、新聞記事等々の検証を通じて、南北戦争に従軍した可能性が高い人物として漂流者・密航者・使節団員からの脱落者を挙げた。また、南北戦争におけるマイノリティをめぐる問題の参照事例として、中国人兵士をはじめとするアジア太平洋系移民兵士の存在に社会史的な視座から光を当てている。 さらに本書では、従来別々に論じられる傾向にあった、幕末に海外にいた日本人について、彼らが遭遇したり、会おうと思っても会えなかったりしたこと、同じ場所で同じ景色を見た時があったことを具体的に検証した。 【ゲスト:菅(七戸)美弥プロフィール】東京学芸大学教授。博士・学術。専門はアメリカ史、移民・移住史、アメリカ・センサス。単著としては『アメリカ・センサスと「人種」をめぐる境界〜個票にみるマイノリティへの調査実態の歴史』(勁草書房、2020年)があり、本書は2021年アメリカ学会中原伸之賞を受賞した。そのほか「トランスナショナルな移住・移動と『移民』送り出しネットワーク〜会津若松・北海道・横浜・カリフォルニア」『遥かなる「ワカマツ・コロニー」 :〜トランスパシフィックな移動と記憶の形成』(彩流社、2019年)、「複数の移住・移動と『家族』からみるアメリカ・センサス〜1860年のサンフランシスコにおける諸史料の検証」(『JICA横浜 海外移住資料館 研究紀要』16号、2022年)等の論文がある。 【インタビュアー:加藤(磯野)順子プロフィール】早稲田大学国際教養学部教員。博士(コロンビア大学・歴史学)。アメリカ労働史・政治史。近著は『はじめて学ぶアメリカの歴史と文化』(ミネルヴァ書房、2023年、第6章担当)、 “Counting Diversity in an Attempt to Achieve Unity: How the Three-Fifths Clause United and Divided Americans” (Japanese Journal of American Studies, 2023), “Slaves and Education: Tennessee as a Slave State Where the Instruction of Slaves was Not Prohibited” (Tennessee Historical Quarterly, 2018).
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第68回 成相肇さんインタビュー『芸術のわるさ〜コピー、パロディ、キッチュ、悪』
今回は2023年にかたばみ書房より出版された『芸術のわるさ〜コピー、パロディ、キッチュ、悪』の著者である成相肇さんにお話を伺いました。インタビュアーは筒井宏樹さんです。 【著作概要】1950年代から80年代に花ひらいた雑誌、マンガ、広告、テレビ等の複製文化は、いかに美術界を魅了し、かき乱したか。パロディ裁判、ディスカバー・ジャパン論争、赤瀬川原平、岡本太郎、植田正治、いわさきちひろ、キッチュの紹介者・石子順造の思想、そして神農の教え。絵本、写真、前衛美術から文化人類学、医学にまで首をつっこみ、2次的で取るに足りないとされた「非芸術」を語ることで、硬化した「芸術」の境界をゆるがす、戦後日本の複製文化論。本邦初のパロディ辞典、石子順造辞典を付す。著作権をめぐる最重要判例であるパロディ裁判判決に果敢に挑んだ「二重の声を聞け」は、表現の自由が問われる今、法曹界での議論が待たれる。軽妙な口上から論文まで、様々な語り口を収めた本書は、40代の現役学芸員の単著という意味でも大変めずらしい、型破りな人文書であり、新たな批評の書でもある。 【ゲスト:成相肇プロフィール】1979年島根県生まれ。東京国立近代美術館主任研究員。一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修了。府中市美術館学芸員、東京ステーションギャラリー学芸員を経て2021年より現職。「石子順造的世界〜美術発・マンガ経由・キッチュ行」(第24回倫雅美術奨励賞)、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 『遠く』へ行きたい」、「パロディ、二重の声〜日本の1970年代前後左右」など美術と雑種的な複製文化を混交させる企画展を手がけてきた。 【インタビュアー:筒井宏樹プロフィール】1978年愛知県生まれ。鳥取大学准教授。愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。専門は現代美術史。編著書に 『スペース・プラン〜鳥取の前衛芸術家集団1968-1977』(アートダイバー)、『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス)ほか。
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第67回 土屋敦さんインタビュー『医学が子どもを見出すとき〜孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史』
今回は2023年に勁草書房より出版された『医学が子どもを見出すとき〜孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史』の編者のお一人である土屋敦さんにお話を伺いました。インタビュアーは野崎祐人さんです。 【著作概要】貧困階層における生殖・再生産への医療的介入、子ども司法や貧児、孤児などの処遇に医療はどのようにかかわってきたのか。フロイト派の展開や知能検査などの心理学・児童精神医学上のツールの展開は「逸脱児」のラベリングにどう寄与したのか ─ 子どもと発達に介在する医学のあり方の編年史を子ども史の視座から解き明かす。 【ゲスト:土屋敦プロフィール】関西大学社会学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程修了。歴史社会学、子ども社会学、家族社会学、福祉社会学。単著に『はじき出された子どもたち〜社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』(勁草書房)、『「戦争孤児」を生きる〜ライフストーリー/沈黙/語りの歴史社会学』(青弓社)、共編著に『孤児と救済のエポック〜十六~二〇世紀にみる子ども・家族規範の多層性』(勁草書房)、共著に『多様な子どもの近代〜稼ぐ・貰われる・消費する年少者たち』(青弓社)、論文に「『保護されるべき子ども』と親権制限問題の一系譜〜児童養護運動としての『子どもの人権を守るために集会』(1968-77年)」(『子ども社会研究』第23号)など。 【インタビュアー:野崎祐人プロフィール】京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。家族社会学、歴史社会学。分担執筆に『社会的養護の社会学〜家庭と施設の間にたたずむ子どもたち』(青弓社)、論文に「草創期の近江学園における知能検査の実施とその影響 〜子ども観の社会史の視座から」(『フォーラム現代社会学』20号)、「<展望>日本の社会学領域における『代替養育』の研究状況と今後の展望」(『人間・環境学』31号)、「1970~90年代における養護施設の職員論の変遷〜保母・児童指導員自身による語りから」(『フォーラム現代社会学』22号)。
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第66回 大澤傑さんインタビュー『「個人化」する権威主義体制〜侵攻決断と体制変動の条件』
今回は2023年に明石書店より出版された『「個人化」する権威主義体制〜侵攻決断と体制変動の条件』の著者である大澤傑さんにお話を伺いました。インタビュアーは渡辺広樹さんです。 【著作概要】プーチン、習近平、金正恩―リーダーによる予測不能で「非合理」な意思決定が可能となる条件とは。考えうる結末は。新進気鋭の国際政治研究者がウクライナ侵攻で激震を与えたロシア、台湾有事が懸念される中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の3か国を分析。 【ゲスト:大澤傑プロフィール】1987年愛知県生まれ。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科修士課程修了。防衛大学校総合安全保障研究科博士課程修了。博士(安全保障学)。駿河台大学法学部助教を経て、2021年4月より愛知学院大学文学部講師。 主な著書・論文に『世界の基地問題と沖縄』(分担執筆、明石書店、2022年)、『よくわかる国際政治』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2021年)、『独裁が揺らぐとき〜個人支配体制の比較政治』(ラテン・アメリカ政経学会2021年度研究奨励賞、ミネルヴァ書房、2020年)、「台湾の二大政党制は揺らぐのか〜権威主義継承政党が政党システムに与える影響」(共著)『問題と研究』第51巻第2号(2022年)、「米比関係と非対称理論〜在比米軍基地を事例として」『コスモポリス』第16号(2022年)、「ニカラグアにおける個人化への過程〜内政・国際関係/短期・長期的要因分析」『国際政治』第207号(2022年)(日本国際政治学会2022年度奨励賞)。 【インタビュアー:渡辺広樹プロフィール】東京工業大学 博士後期課程 川名晋史研究室所属。
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第65回 石岡丈昇さんインタビュー『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』
今回は2023年に青土社より出版された『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』の著者である石岡丈昇さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。 【著作概要】フィールドワークが世界の見方を変える。舞台は、マニラの貧困地区。突然試合が中止だと告げられるボクサー、自宅が急に目の前で破壊されるスラム街の住人、常に主人の顔色を窺う家事労働者…。何が起こるかわからない明日を待ち、絶えざる今を生きのびるとはどういうことか。かれらが生きる時間のディテールをともに目撃し、ともに書くための理論と思想。 【ゲスト:石岡丈昇プロフィール】1977年岡山県岡山市生まれ。日本大学文理学部社会学科教授・博士(学術)。 専門は、社会学、身体文化論。主な著書に『ローカルボクサーと貧困世界〜マニラのボクシングジムにみる身体文化』(世界思想社、2012年)、『質的社会調査の方法〜他者の合理性の理解社会学』(共著、有斐閣、2016年)、The Bottom Worker in East Asia: Composition and Transformation under Neoliberal Globalization(編著、ブリル出版社、2023)。 【インタビュアー:鶴見太郎プロフィール】1982年岐阜県神岡町(現飛騨市)生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術)。 専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書に『ロシア・シオニズムの想像力〜ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源〜ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)、From Europe’s East to the Middle East: Israel’s Russian and Polish Lineages(共編著、ペンシルベニア大学出版局、2021年)。
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第64回 小磯隆広さんインタビュー『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』
今回は2020年に錦正社より出版された『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』の著者である小磯隆広さんにお話を伺いました。インタビュアーは中立悠紀さんです。 【著作概要】本書は、昭和戦前期、日本陸軍と双璧をなす軍事組織であった日本海軍の満洲事変から日米開戦に至るまでの期間における、対英米観、対英米政策、そして戦略(作戦方針と用兵思想)を分析したものである。 1930年代政治外交史、国際政治史研究は非常に膨大な蓄積がされてきた。そのような研究領域において、本書は重要な歴史像を提示する成果である。 本書はタイトルの通り、東アジアの国際政治における日本海軍の位置を考察したものであり、従来、陸軍や外務省と比較して断片的な分析にとどまっていた海軍の対英米観とその政策・戦略を博捜した史資料を使って丹念に分析している。アメリカが提示した門戸開放・機会均等の理念に海軍がどのように対応・利用しようとしたのかといった問題や、また海南島問題と日米交渉の関係を取り上げることで、対米戦にいたるまでの海軍の戦略の重要性を浮き彫りにしている。 本書は、近年は必ずしも若手研究者人口が多いとは言えない1930年代政治外交史研究において、後進が読むべき本の一つである。 【ゲスト:小磯隆広プロフィール】1985年千葉県生まれ。2018年3月、明治大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(史学)。外務省外交史料館非常勤職員、明治大学文学部兼任講師を経て、2020年4月より防衛大学校人文社会科学群講師。 主要著作に『海洋政策研究所史料集成〜南方進出・国家総力戦関係』全4巻(監修・解題、ゆまに書房、2022年)、『陸軍大将奈良武次日記〜第一次世界大戦と日本陸軍』上下(共編、原書房、2020・21年)など。 【インタビュアー:中立悠紀プロフィール】1990年京都府生まれ。2018年3月、九州大学大学院地球社会統合科学府博士後期課程修了。博士(学術)。大韓民国・朝鮮大学校外国語大学助教授を経て、2022年4月より日本学術振興会特別研究員(PD)。 現在、『東京裁判・BC級戦犯裁判と帝国陸海軍軍人〜裁判対策、戦犯釈放運動、靖国戦犯合祀、歴史修正主義』と題した学術書の刊行を目指している。またアジア・太平洋戦争期の陸軍の対外政策について研究しており、1938年の東亜新秩序声明と汪兆銘工作が、陸軍内にあった対中政策の相違を収斂させるために打ち出された理念・和平かつ謀略工作だったという事実を明らかにしようとしている。
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第63回 崎濱紗奈さんインタビュー『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』
今回は2022年に法政大学出版局より出版された『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』の著者である崎濱紗奈さんにお話を伺いました。インタビュアーは二井彬緒さんです。 【著作概要】本書は、近代沖縄を代表する思想家・伊波普猷(1876-1947)のテクスト分析を通して、その「政治」と「哲学」の可能性と限界を明らかにするものである。 伊波の思想は「日琉同祖論」として知られ、これまで様々な解釈がなされてきた。大日本帝国が推進した同化主義を正当化する言説として厳しく批判されてきた一方で、帝国下における「琉球・沖縄」の個性を保つための戦略的同化主義として評価する読解も根強い。 これに対し本書は、先行研究が「日本」「琉球・沖縄」という二つの主体を前提として伊波の「日琉同祖論」を読解してきたことの限界を指摘し、<原日本>=<原沖縄>という全く別の場所を開くための試みとして、これを理解することを試みる。 伊波のこのような試みには、天皇を中心とする大日本帝国の国家主義を批判する回路が秘められていたが、同時にそれは、「政治」を徹底的に抹消しようとする「政治神学」としての側面も併せ持っていた。 本書は、このような伊波の思想的限界を指摘するとともに、伊波が消去しようとした「政治」が、実は伊波のテクストの内部に常に・既に書き込まれていたことを、脱構築的読解によって読者に提示することを試みる。 【ゲスト:崎濱紗奈プロフィール】1988年沖縄生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)博士課程単位取得退学。博士(学術)。東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任助教。専門領域は沖縄・日本近現代思想史、ポストコロニアル研究。主な論文に、「第三次反安保運動下的沖繩基地問題:從SEALDs談起」(馮啓斌・崎濱紗奈共著、『文化研究』第21期2015年秋季、交通大學出版社)、“‘Political Philosophy’ of Ifa Fuyū: the Limits of Identity Politics” (Identity and Movements, EAA Booklet No. 17, East Asian Academy for New Liberal Arts, the University of Tokyo)、「『東アジア』において理論を希求するということ〜沖縄の『復帰』をめぐる考察を出発点として」(『日本學論集』第44号、グローバル琉球沖縄研究所・慶煕大学大学院日本学研究会)などがある。 【インタビュアー:二井彬緒プロフィール】東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍(超域文化科学専攻表象文化論コース「人間の安全保障」プログラム所属)。専門は社会思想史、ハンナ・アーレント研究。関心は難民問題、ユダヤ人問題、イスラエル・パレスチナ紛争。主論文として「ハンナ・アーレントの『ユダヤ軍創設論』〜初期におけるシオニズム論と後年に対する影響」(『Arendt Platz』7号)。プロフィール詳細:https://researchmap.jp/akio-futai21
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第62回 辻井敦大さんインタビュー『墓の建立と継承〜「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学』
今回は2023年に晃洋書房より出版された『墓の建立と継承〜「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学』の著者である辻井敦大さんにお話を伺いました。インタビュアーは林凌さんです。 【著作概要】「家」なき時代において、墓を建て、それを継承することの背景には、何があるのだろうか?本書は、社会的アクターとしての地方自治体・石材店・仏教寺院に注目し、それらが参与することによって、墓を建て、継承するという営みの意味が変容する過程を、社会学の観点から明らかにしたものである。 【ゲスト:辻井敦大プロフィール】1993年神奈川県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/A-TSUJII 【インタビュアー:林凌プロフィール】1991年生まれ。 東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学、博士(社会情報学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は消費社会論、歴史社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/hayashiryo
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第61回 林凌さんインタビュー『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』
今回は2023年に以文社より出版された『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』の著者である林凌さんにお話を伺いました。インタビュアーは辻井敦大さんです。 【著作概要】戦後消費社会の出現とともに語られる〈消費者〉は、戦前期からすでに知識人の構想のなかに蠢いていた。戦後の生活協同組合を支える論理を生み出した賀川豊彦・奥むめお・本位田祥男、流通行政の礎を築いた向井鹿松・谷口吉彦・福田敬太郎らの戦前・戦中期の思想=活動に肉薄し、近代日本に通底する社会改良主体/庇護対象としての〈消費者〉像を掘り起こす。これまで黙殺されてきた/にも関わらず私たちの生を根底から規定する、消費者主権の思想史。 【ゲスト:林凌プロフィール】1991年生まれ。 東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学、博士(社会情報学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は消費社会論、歴史社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/hayashiryo 【インタビュアー: 辻井敦大プロフィール】1993年神奈川県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。専門は社会学。その他詳細は、https://researchmap.jp/A-TSUJII。
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第60回 松村淳さんインタビュー『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』
今回は2023年に晃洋書房より出版された『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』の著者である松村淳さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】本書は、コロナ禍によって人々が住宅の内と外の双方に居場所を失っているという状況を契機に、現代日本における身体と空間を問い直すことを目的とした。その際、排除/包摂という議論ではなく、「疎外」という視角から光を当てた。そうすることで、排除/包摂論からは見えてこない、人々と居場所の多様な状況を検討していくことが目的である。 公園や図書館等の公共空間は、リスク回避のために禁止事項が増え、気軽に利用することが難しくなっている。そうした公共空間の機能不全は、人々を住宅の中へと撤退させてしまう(住宅への疎外)。一方で、日本における住宅の大部分を占めるnLDKタイプの画一化された住宅は、自宅でのテレワーク、感染者の隔離といったコロナ禍による非常事態に対応できず、人々は住宅からも疎外されている。 このような状況にあって、「私的な空間へのコモンズ的な要素の埋め込み」という試みが各地で看取できる。こうした私的空間を公的にアップデートすることでコモンズをつくるというボトムアップ型の展開は、機能不全を起こしている公共空間としての機能を代替し、さらに、その限界が顕在化しつつある住宅の機能も補完していく契機を含むものである。 【ゲスト:松村淳プロフィール】関西学院大学・同志社大学非常勤講師。立命館大学客員研究員。神戸市地域協働局アドバイザー。1973年香川県生まれ。関西学院大学社会学部・京都造形芸術大学通信教育部建築デザインコース卒業。設計事務所勤務を経て、関西学院大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(社会学)、二級建築士、専門社会調査士。 専攻は労働社会学・都市社会学。現在、建築を社会学的に問うための視角としての建築社会学を構想中。2021年からは神戸市の山間部の休耕田を借りて里山環境の再生に資する農業を学生たちと実践中である。 【インタビュアー: 松田ヒロ子プロフィール】ブック・ラウンジ・アカデミア事務局。神戸学院大学教員。 学歴・経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda
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第59回 相川裕亮さんインタビュー『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』
今回は2022年に新教出版社より出版された『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』の著者である相川裕亮さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。 【著作概要】国葬にされた、ただ一人の牧師。アイゼンハワーからオバマに至る歴代大統領と親密な関係を結び、「アメリカの牧師」として彼らの政策に有形無形の影響を及ぼしたビリー・グラハムの、主に冷戦下70年代までの思想と行動を<福音伝道者>という観点から解明した俊英の力作。<預言者>でも<祭司>でもないこの独特な宗教者の類型は、いかなる意味をもつのか。 【ゲスト:相川裕亮プロフィール】1988年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。広島大学大学院人間社会科学研究科助教を経て、現在は、金城学院大学国際情報学部講師。主要論文に「冷たい戦争と魂の危機――大衆伝道者ビリー・グラハムの見た共産主義、自由、原罪」『アメリカ研究』50号(2016年)、共訳書にマイケル・ウォルツァー『アメリカ左派の外交政策』(風行社、2018年)などがある。 【インタビュアー: 倉本敬司プロフィール】広島大学大学院人間社会科学研究科博士前期課程2年。
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第58回 湯川勇人さんインタビュー『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』
今回は2022年に千倉書房より出版された『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』の著者である湯川勇人さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。 【著作概要】1930年代、東アジアの新秩序建設に邁進する日本で、それに強く反対する米国との関係維持を目標として外務官僚たちの苦闘と挫折の歴史を描く。第39回大平正芳記念賞〈正賞〉受賞(2023年2月) 【ゲスト:湯川勇人プロフィール】広島大学大学院社会科学研究科准教授。1988年生まれ。甲南大学卒業、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。アイオワ大学客員研究員、ひょうご震災記念21世紀研究機構研究戦略センター研究調査部主任研究員などを経て2019年より現職。2017年、本書の基礎となった論文「東アジア秩序をめぐる日米関係:1930年代の外務省による東亜新秩序の模索」で第16回アジア太平洋研究賞佳作を受賞。 【インタビュアー: 倉本敬司プロフィール】広島大学大学院人間社会科学研究科博士前期課程2年。
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第57回 梁仁實さんインタビュー『朝鮮映画の時代〜帝国日本が創造した植民地表象』
今回は2022年に法政大学出版局より出版された『朝鮮映画の時代〜帝国日本が創造した植民地表象』の著者である梁仁實さんにお話を伺いました。インタビュアーは丁智恵さんです。 【著作概要】本著は植民地朝鮮で作られた映画が内地日本でどのように受容されていたのか、そして内地日本にて誰がどのようにそれらを観ていたのかについて考察したものである。さらに、内地日本で製作した朝鮮を映した映像も併せて、いかに朝鮮像が創り出されていたのか、に注目した。またその過程で在日朝鮮人が朝鮮映画を見る観客であり、製作者であったことも明らかにした。朝鮮映画やそれにかかわった人々は植民地政策と時には「協力」し、時には拮抗する形で新たな朝鮮像を創造していたのである。 【ゲスト:梁仁實プロフィール】韓国済州生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在、岩手大学人文社会科学部准教授。専門は日韓の文化交流史、在日コリアン史。 主な業績は「1930年代京城と『女/性』表象-2010年代以降の韓国映画を中心に」(岩手大学人文社会科学部紀要『アルテス リベラレス』pp.145-156、2020)、「영화관객으로 재조일본인을 상상하기 일본어신문 『부산일보』를 중심으로[映画観客の在朝日本人を想像する 日本語新聞 『釜山日報』を 中心に]」(金孝順編『식민지 문화정치와 「경성일보」〜 월경적 일본문학・문화론의 가능성을 묻다[植民地の文化政治と「京城日 報」〜越境の日本文学・文化論の可能性を問う]』역락[ヨクラク]、pp. 339- 364、2020)、「복합영화상영관 메이지좌의 사회사[複合映画上映館 明治座の社会史]」(韓国学中央研究院編 『明洞〜街角の文化史』pp.37-55、2019)などがある。 【インタビュアー: 丁智恵プロフィール】兵庫県生まれ。京都大学総合人間学部卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程満期退学、博士(学術)。2017年から東京工芸大学芸術学部映像学科助教、2022年から准教授。専門は映像メディア史、在日コリアン研究。主な論文に「越境する左派的映画人と在日朝鮮人のネットワーク」(崔銀姫編『東アジアと朝鮮戦争七〇年〜メディア・思想・日本』2022年、明石書店)、「朝鮮戦争報道と占領期日本〜映像メディアの分析を中心に」(『帝国のはざまを生きる〜交錯する国境、人の移動、アイデンティティ』2022年、みずき書林)など。
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第56回 保明綾さんインタビュー『Science for Governing Japan’s Population』
今回は2023年にCambridge University Pressより出版された『Science for Governing Japan’s Population』の著者である保明綾さんにお話を伺いました。インタビュアーは藤本大士さんです。 【著作概要】現在の日本は「2040年問題」等の言葉にもあるように「人口危機」に晒されていると言われており、政府はこれら人口問題に関し何らかの措置を施すことを期待されている。しかし、そもそも「人口」がなぜ「危機」として捉えられるようになったのだろうか。また、なぜ政府に人口危機を解決することを求めるのだろうか。 本書は、明治期以降に新たに出現した「人口」という概念をめぐる科学と国家の営みを歴史的に検証し、「人口」を科学する学術領域の形成と明治期から近代統治国家として日本が変貌することは共生関係にあったことを示す。さらに、その共生関係がうまれる過程で、「人口」が国家の管理の対象となった結果、現在の人口をめぐる言説が当然のこととして人々に受け入れられていると論じる。 【ゲスト:保明綾プロフィール】2003年マンチェスター大学科学技術史・医学史研究所(Centre for the History of Science, Technology and Medicine)博士課程修了(科学技術史・医学史)、Ph.D。2004〜2008年、同研究所でポスト・ドクター・リサーチフェロー、2008〜2009年、ケンブリッジ大学・ニーダム研究所でリサーチ・アンド・ティーチング・フェロー、2009〜2015年、マンチェスター大学でウェルカム財団ユニバーシティ・アワード研究員を経た後、現在、マンチェスター大学人文言語文化学科(School of Arts, Languages and Cultures)で講師を務める。2023年3月現在、立命館大学で客員研究員。専門は近代日本医学史・科学史で、主に生殖や人口をめぐる政策や力学の社会史を研究。主要著書に、今回紹介したScience for Governing Japan’s Population (Cambridge: Cambridge University Press, 2023)。 【インタビュアー: 藤本大士プロフィール】2010年、早稲田大学人間科学部卒業(科学史・科学論)。2019年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(科学史・科学哲学)、博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。専門は近代日本医学史。主要著作に『医学とキリスト教:日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』(法政大学出版局、2021年)。
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第55回 外村大さんインタビュー『和解をめぐる市民運動の取り組み〜その意義と課題』
今回は2022年に明石書店より出版された『和解をめぐる市民運動の取り組み〜その意義と課題』の編者である外村大さんにお話を伺いました。インタビュアーは木下直子さんです。 【著作概要】戦争・植民地支配、内乱等の過程で発生した人権被害はしばしば、被害それ自体を語ることもできないままとなる。その史実を掘り起こし、被害者の尊厳回復、関係者間の葛藤を解きほぐしていくうえで、重要な役割を果たすのは市民の自発的な活動である。日本と近隣諸国、あるいはそれぞれの国内で起きた様々な事例についての市民運動を事例に、歴史学・社会学・政治学の研究者がそれを跡付けるとともに、分析を加えている。そこからは、国家レベルでの外交的解決や司法判断、行政施策では生み出さしえない、市民レベルの共感や相互理解を含む和解の可能性を見出すことができる。と同時に、それを実現する条件が何であるのかや現実に立ちはだかる障害や限界についても考えさせることになっている。 【ゲスト:外村大プロフィール】1966年、北海道で生まれる。1984年早稲田大学入学、学部卒業後、同大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻で学ぶ。その後、早稲田大学社会科学研究所助手、韓国高麗大学外国人研究員、一橋大学非常勤講師などを経て、2007年より東京大学大学院総合文化研究科准教授、2015年より同教授。専門は日本近現代史、日本と朝鮮との関係についての研究。著書に、『在日朝鮮人社会の歴史学的研究〜形成・構造・変容』(緑蔭書房、2004年)、『朝鮮人強制連行』(岩波書店、2012年)。 【インタビュアー: 木下直子プロフィール】山口県生まれ。2012年、九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位修得退学。2013年、博士(比較社会文化)。2016〜2018年度、日本学術振興会特別研究員PD(大阪大学)。2013年から現在まで、特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。専門は社会学、ジェンダー研究。著書に『「慰安婦」問題の言説空間〜日本人「慰安婦」の不可視化と現前』(2017年、勉誠出版)。
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第54回 林英一さんインタビュー『残留兵士の群像〜彼らの生きた戦後と祖国のまなざし』
今回は2023年に新曜社より出版された『残留兵士の群像〜彼らの生きた戦後と祖国のまなざし』の著者である林英一さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】本書が対象とするのは、大日本帝国崩壊後もアジア各地に一定期間にわたって留まり、日本に帰国した/しなかった日本軍兵士の歴史と記憶である。とくに従来の研究が等閑視してきたドキュメンタリーや映画などの映像作品に着目し、各地域の残留兵士の実像と表象のせめぎあいを記述した上で、典型的な残留兵士の在り方と表象の時期的変遷を明らかにしている。1万人規模にのぼると推定される残留兵士の全体像に迫った包括的な研究書である。 【ゲスト:林英一プロフィール】1984年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。一橋大学博士(社会学)。現在、二松学舎大学文学部歴史文化学科准教授。インドネシア残留日本兵の社会史研究で日本学術振興会育志賞受賞。著書に『残留日本兵の真実』(作品社)、『東部ジャワの日本人部隊』(作品社)、『皇軍兵士とインドネシア独立戦争』(吉川弘文館)、『残留日本兵』(中央公論新社)、『戦犯の孫』(新潮社)、『南方の志士と日本人』(筑摩書房)などがある。 【インタビュアー: 松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学専任教員・ブックラウンジアカデミア事務局 経歴はこちらから→https://researchmap.jp/hirokomatsuda
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第53回 長史隆さんインタビュー『「地球社会」時代の日米関係〜「友好的競争」から「同盟」へ 1970-1980年』
今回は2022年に有志舎より出版された『「地球社会」時代の日米関係〜「友好的競争」から「同盟」へ 1970-1980年』の著者である長史隆さんにお話を伺いました。インタビュアーは髙橋茜さんです。 【著作概要】本書は、これまで安全保障を軸とした2国間関係として捉えられることの多かった1970年代の日米関係を、先進民主主義諸国間関係の一翼として位置づけ、また新たな国境横断的課題の噴出によって「地球」を1つの単位と捉える世界認識が高まるなかでの両国関係の変化をたどることで、1970年代の国際関係の変容の一端を捉えようとする試みである。安全保障問題を中心とする伝統的な2国間の政治・外交関係にとどまらず、グローバルな視座に立ち、難民問題、文化摩擦、動物の命をめぐる問題といった日米関係の社会・文化的な側面をも重視することで、新たな国際関係史のあり方を提示する。 【ゲスト:長史隆プロフィール】1986年奈良県生まれ。2010年中央大学法学部卒業。2016〜2017年ジョージワシントン大学シグールアジア研究所客員研究員。2019年3月立教大学法学研究科博士課程後期課程単位取得退学。2019〜2021年度は立教大学法学部助教。2021年9月立教大学法学研究科より博士(政治学)を取得。2022年度は立教大学兼任講師および立教大学アメリカ研究所特任研究員。2023年4月より広島市立大学国際学部講師。本著作が第39回・大平正芳記念賞を受賞。 【インタビュアー: 髙橋茜プロフィール】東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程・日本学術振興会特別研究員 (DC1)。アメリカ合衆国でメキシコ系の人びとと生活した経験や、メキシコシティで中米移民等の自立生活支援に携わった経験から、西半球の人の移動や労働をとりまく諸課題に継続的に関心を抱いている。現在のおもな研究分野はアメリカ現代史・労働史・移民史で、20世紀前半のアメリカ合衆国で農場や食品加工工場の労働者が参画したマルチエスニック労働組合について調査・研究を行っている。
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