PODCAST · arts
森雪之丞 Poetry Readingの世界『感情の配線』
by 森雪之丞
1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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同義語 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
同義語 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>想えば近づいてくる気がして思考の外に追いやってきた悲しみを伴うその響きを寄せつけないだけの若さがあった祖母が叔父が友人が生き物としての約定(やくじょう)に従って消えても違う世界の出来事だと思い込んでいただからとても時間が掛かったそれが『生』と同義語だと分かるまで1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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反抗期の天使 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
反抗期の天使 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>あぁ気にしないでヒマだったからさヒマだと色んなこと考えちゃうんだよね存在…理由…みたいなことだって誰もボクを必要としないんだものだから気にしないで黒いタイツ穿(は)いてシッポ生えてても1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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ヤドカリと十二月 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
ヤドカリと十二月 <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>虫カゴで飼っていたヤドカリが脱皮するために次の貝殻を探しているヤツはいつ気づくのだろう未来を運んでくるはずの波がもう随分と来ないことに抽斗(ひきだし)に残っていた線香花火をベランダの暗がりに咲かせた咲きかけた瞬間橙色(だいだいいろ)の玉を北風に掠め取られて実感したのだ花火と私が季節に置き忘れられたことを1年は12ヵ月いつ教えられたのだろう人として恙無(つつがな)く生きるための知識を誰に入れ知恵されたのだろう身体は獣の仲間だという秘密をなぜ突きつけられたのだろう心はコワレモノの一つだという事実を花火を見上げた夏度の強い眼鏡を外して彼女は言ったすべての光は色とりどりの涙だと老眼の私は近づくほど彼女を見失っていた小さくなった貝殻のように夏の亡骸(なきがら)は心を締めつける脱皮しなければ自由にならばければと焦りながら私は待つ未来からの波を運命の虫カゴから逃げることのできないヤドカリにすぎないというのに1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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十一月の旅人には翼がある<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
十一月の旅人には翼がある<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>探し続けていたのか?逃げ回っていたのか?華氏77℉の空港で虹を見つけた朝も霞(かすみ)という町の路地で息を潜めた夜も旅の途中だった何処へ行こうとしたのか?何処(ドコ)へ行っても其処(ソコ)がまた此処(ココ)になるその騙し絵の中で生きて死ぬのが人だと言うのになぜ旅に憧れる?晩秋の月はさめざめと青く地面を濡らす寡黙な影が男の背中に翼が生えたことを教える翼…何処にも行けない旅人を見兼ねて神が与え給うた奇蹟(ギフト)男は笑う飛び方を知らずに翼を持つことそいつは叶え方のわからない夢を抱え込んできたことと何が違うと言うんだ無意味な分 翼は重い囚人が引き摺る鉄球のように重い歩き疲れ 其処(ソコ)が此処(ココ)になり十一月の闇が朝の気配に溶かされた頃旅人は気づく空は飛べなかったが初めての町に 辿り着けたじゃないかと光に震えて 翼が少し拡がる役立たずのくせに何故か自慢気に1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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怪盗セプテンバー <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
怪盗セプテンバー <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>「朝日は夕陽にして返す涙は夢見薬(ゆめみぐすり)に調合して枕元に樅いておく」怪盗の言業は揺るぎない義賊としての威厳に満ちている「盗まれたいものは他にないか?」怪盗は訊ねる去年と同じ口調で「あのぅ…」「ドーナツの穴は盗めない」「いえ恋人の記憶なんですが…」——そう 彼女は堤防にいた波に生まれた光の蝶が麦わら帽子と戯れていた夏の午後——彼女にはわかっていた恋という美しい誤解が剥がれた後も愛を演じあわなければならない幸せの醜さを——そして彼女は「あぁ愛を知ることに臆病な男よお前は忘れているだろうがそれは毎年私に盗ませている記憶だ」そう言いながら怪盗セプテンバーはマントを空に翻し忽然と消え去る海辺に 私と気怠(けだる)い9月を残して目をこすり目を開けるこの何か新しい恋が始まりそうな予惑は錯覚なのだろうか1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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孤独の旗、七月の風。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
孤独の旗、七月の風。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>あなたが潔(いさぎよ)く自らの孤独を旗と呼ぶのなら私はその旗を勇壮に揺らす七月の風になろう淋しさのデザインや痛みの配色あなたが誇らしくあなただけの旗を掲げる限り私もまた真摯な風であり続けよう情熱は煽(あお)りあうもの歓びは響きあうもの憧憬は混ざりあうものけれど孤独は決して分かちあえないもの不可侵な孤独だけが旗となり雑駁(ざっぱく)な世界の地図にあなたの位置を意味づける翻れ 夏空を翻れ 未来へ私が傲慢に自らの愛を風と吹聴する間は美しい人よその涙でまた私を魅了しておくれ1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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日曜日の天使は退屈、特に三月は。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
日曜日の天使は退屈、特に三月は。<連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>日曜日の天使は退屈だって誰もボクを必要としないんだもの特に三月はねバレンタインデーまでは大忙し月曜日に求愛の弓を磨き火曜日は腕立伏せで筋力アップ水曜には街中の図書館を回ってすべての本から『絶望』という言業を消したさて下準備が整ったら木曜に片想い真っ最中の彼女を見つけ金曜日は探偵気取りで彼氏の身辺調査無愛想だけど悪い奴じゃなかったから土曜日の朝 恋の矢を放ったもちろん見事命中!そして果たして要するに日曜日の天使は退屈ブロンドの枝毛を切りながら何もない月曜日の予定を考えるそうだ! 天気が良かったら春の萌(きざ)しをあちこち探して過ごそう濡れた枯葉の下に息づく小さな新芽や寒空(さむぞら)のガウンを脱いだ太陽キーが半音上がったツグミの歌やそして果たして要するに気になるあの二人のファースト・キスもね1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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そして1年が過ぎ 〜 時の配達人さんへ <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>
そして1年が過ぎ 〜 時の配達人さんへ <連弾詩集「扉のかたちをした闇」より>そして1年が過ぎ庭先の薔薇は少し小振りになったトネリコの枝に残る巣の主は旅立ったままだ1年が過ぎ私は2人の友を天国に見送り妻は3kgのダイエットに成功し4歳の娘には人生5つ目の秘密ができた1年が過ぎたがあの日と同じように誰かの声に いや どうせ風なのだろうけれど呼ばれた気がしてつい空を見上げる四つの季節が巡る国では記憶に様々な色彩が刷り込まれているものだだが不思議なことに私は灰色の空しか覚えていない分厚い磨りガラスが嵌(は)め込まれたような巨大なドブネズミ達に占拠されたような気だるい憂鬱の固まりのような空1年が過ぎて彼女にはきっと新しい恋人ができただろう太陽が滲(し)み込んだ彼のジャツに顔を埋めた時どんなに世界が灰色でも雲の切れ目に陽だまりを見つけそこに立ちすくむことが幸福なんだとたぶん気がついた頃だろう庭先の薔薇は少し小振りになった巣の主はまだ帰らない私は1年前の私が今の私に宛てた曇り空の絵葉書を1年後の私のために真っ青に塗り直し時の配達人が来るのを待っている時の配達人さんへ2ヶ月も来なかったくせにドサっと半年分の時を配達しないで下さい2ヶ月も長く私は思い出に苛(さいな)まれ4ヶ月も長く私は綺麗な涙を忘れてしまう月が太陽と交わした契約を時と心はいつから守らなくなったのですか?1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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生きる、あなたに泣いてほしくて。
生きる、あなたに泣いてほしくて。生きる答えを知りたくて生きる答えがでるまで生きる答えがないので生きる答えをでっちあげて生きるうずまきの貝殻を三つあなたの胸に並べたら命の音が夜に零(こぼ)れた砂の丘打ち棄てられた手漕ぎのボート時はまた無感情に水平線から鼠色(ねずみいろ)の朝を引き上げようとしている生きる死にたいと言いながら生きる死ねない訳だから生きる死んだフリしてみたりして生きる死んだことがないまま生きる死ねない訳だから生きる死んだフリしてみたりして生きる死んだことがないまま生きるこの夏 あの蝉時雨降りしきる生と死に濡れて恋は始まりあなたの心臓が心に変わると僕の命は愛になったたった数日の生涯を「ツクツクボウシ」とだけ鳴き続けて終える生き物みたいに「スキスキドウシ」とだけ囁きあっているうちに死ねたら人はどんなに美しいだろう生きる嘘に塗(まみ)れながら生きる愚痴に汚れながら生きる理不尽を喚(わめ)きながら生きるそんな自分を戒めながら生きる「大丈夫。」と未来に待ち針を刺すようにあなたが言うその安心な偽りは夜が明ける頃 真実になる怯える僕を情けないほど愚かな僕を今日はあなたがだましてくれる「大丈夫。」と羽化し始めた魂を真綿で包むように囁いて生きるあなたが生きているので生きるあなたを見ていたいので生きるあなたを守ろうとして生きるあなたを傷つけてしまうけれど生きるありがとうこんなに僕を愛してくれてごめんなさいこんなにあなたを愛してしまって心の蝉は鳴き止まない言葉にすると恥ずかしいうるさいほどの気持ち生きる一日に一度空を見上げて生きる一日に一つ夢を描いて生きる昨日より今日を気高く生きる今日より明日を凛々しく生きるちゃんと死ぬためにちゃんと生きる死んだ時あなたに泣いてほしくて死んだ時あなたに泣いてほしくて生きる1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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夢と旅の図式 (全員)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
夢と旅の図式 (全員)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より> 女:私達は出逢う それが運命のように 男:僕達は恋に落ちる すべてを運命のせいにしながら 天使1:ひとりになると分かるんだ 誰かが隣にいることは 天使2:36°Cの静かな炎に 心が照らされていること 男:僕達は見つめあう もっと素敵なあなたを知りたくて 女:でも私はふと目を伏せる 自分の弱さに気づかれてしまいそうで 必死に他の誰かを演じては 後悔ばかりしているピーター:目の前で彼が微笑んでくれているのに 魔術師:そうかわかった ひとつだけ教えてやろう 〝夢〟は手に入れたとたん見えなくなる だが無くなったのではない それは心に溶けてしまったからだ 〝夢〟の本当のチカラは おまえの中で〝勇気〟に変わること おまえの強さに変わること 男:僕達は抱きしめあう 太陽が沈まない国を見つけた冒険家のように 有頂天になって 女:私達は幸せの種類を幾つも増やす 頑固な大人達が月に眠らされている隙に 影:世界の至る所に仕掛けられた 〝哀しみ〟のことはすっかり忘れて 旅人:もう少しだけこの場所で あなたとこうしていたいのに 景色が動いてしまいます旅人&影:扉が開いてしまいます 魔術師:何度押しても来なかったエレベーターのボタンは 運命を乗り換えるスイッチだったかも知れないピーター:カウンターの隅で寝ている酔っぱらいの戯言(ざれごと)は 楽園の扉を開く呪文かも知れない 旅人:マンションの廊下の不自然な水溜りは 殺人の凶器だった氷の塊が溶けたものかも知れない 天使達:マンションの廊下の不自然な水溜りは 誰かの失恋を憐れんで 天使がこぼした涙かも知れないピーター:ウエンディの背中にあるホクロを繋げると 愛という宝物が隠された地図になるのかも知れないウエンディ:ピーター帰っていらっしゃい あなたが探し続けるのは とっくに持っていることに気づけないモノ 男:あなたの瞳を覗き込むと 僕がいました 影:「愛してる」と言いながら 何が愛だかさっぱり分からない 男&影:臆病で大胆な詐欺師のような僕が 天使達:いえ迷子のままのあなたが 男&影:あなたの瞳に滲んでいました 女:あなたの心を覗き込むと 私がいました 影:あなたをこんなに好きなのに 自分をちっとも好きになれない 女&影:嘘つきで意地っ張りなエゴイストが 天使達:いえ壊れそうなあなたが 女&影:あなたの心で震えていました 女:私達は出逢い 男:恋に落ちるピーター:僕達は見つめあいウエンディ:ふと目を伏せる 魔術師:やがて二人は抱きしめあい 天使達:幸せの種類を幾つも増やす 女:そして私達は 男:僕達は 影:別れる 男達:人は旅人 通り過ぎた風の中に 幾つもの物語を残しながら 女達:みんな旅をする まだ見ぬ誰かと まだ見ぬ自分に出逢うために 全員:〝夢〟の本当のチカラは 次の扉を開ける〝勇気〟に変わること 〝勇気〟に変わること《for your ears only ver.》1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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カーニバルの魔術師(魔術師=猪塚、旅人=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
カーニバルの魔術師(魔術師=猪塚、旅人=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>魔術師:「 私のせいにすればいい。」 旅人:と怪しげな魔術師が言う 旅人:三角テントの中の青い闇を吸い込むと 水晶玉に心が映し出されてしまいそうで 私は脅えている魔術師:「おまえが人間である以上 絶望の霧が晴れることはない。 だが胸に秘めた情熱を解き放つ カーニバルの夜は必ずやって来る。」 旅人:確かに恋人を失ってから 何のために旅を続けるのか 答えを探せずにいたのは事実だ魔術師:「旅の途中でカーニバルに出会ったら ためらわずこの薬を飲め。 そして私の魔法のせいにして 欲望のままに踊り狂えばいいのだ。」 旅人:半信半疑で薬瓶を受け取り 逃げるように立ち去る私の背中に 魔術師はこう付け加えた魔術師:「夢を見るとは 迷うことを楽しむことなのじゃよ。」 旅人:数日後私はある街で 賑やかなカーニバルに出くわした 中央の広場にはサーカス小屋が立ち 人気者のピエロが観客の笑いを集めていた 見えない壁に何度もぶつかり何度も撥ね返される 彼の滑稽なパントマイムは 人生を比喩しているようにも思え 心が震えた だがそれと同時に僕は気づいていた あのピエロは数日前のインチキな魔術師と同じ男だと… そしてさっき飲んだ魔法の薬が 咳止めシロップと同じ味だったことを思い出し 苦笑いした そうアイツの言ったとおりかもしれない 迷うことを楽しめたら 人は永遠に 夢を見続けられるのだ《for your ears only ver.》1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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Art of HeArt(天使1=牧野、天使2=礒部)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
Art of HeArt(天使1=牧野、天使2=礒部)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>天使1:ね?気づいた? heartの中にはartがある天使2:詩情(ポエジー)には姿がないけど 指先が動いたらそれは絵になる 唇からこぼれたらそれは歌になる天使1:石を削れば彫刻に天使2:布と遊べば洋服に天使1:光を集めて写真にと ほら少しずつ見えてくるよ天使達:心の中にあるartが あどけない魂の輪郭が1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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哲学するピーターパン(ピーター=猪塚、触れたモノ達=他の3人)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
哲学するピーターパン(ピーター=猪塚、触れたモノ達=他の3人)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>ピーター:眠りから醒め 瞳(め)を開けたまま夢を見ようとした時 そこには太陽があった まぶしさに触れたくて手を伸ばしたら 突然気がついた 光が影を作っていたんだ と 太陽のある国で生きていく限り 憂鬱な影が纏わりつくのは仕方ないんだ と これは真理だ! こんなところに転がっていた 僕は興奮した 影から逃げる強迫観念がなくなって 輝くモノにもっと触れたくなった 輝きはきっと神様が付けた目印だ 眩しさに惹(ひ)かれて近づくと そこには何かが隠されている 知りたかった答えや 『次』を開くための鍵や 自分の背中が見える魔法みたいなモノが 輝きの目印はあちこちに点在する 煙突屋根にも 暗い密林にも ウェンディ自慢のパンプキン・スープの中にもある 心が怠けていなければ 双眼鏡は必要ないんだ それはまるで〝秘宝(おたから)発掘ゲーム〟 楽しんでいるうちに自然と心が強靭になる 宝を10個集めると精神レベルが1upして いつか賢者になれるかも知れない 僕は今までに触れたモノを思い出し 学んだことを整理してみた ① 月に照らされた夜の鏡 ――僕が見ているのは右に心臓のある自分 人は永遠に本当の自分を観察できない ② 朝露に濡れた薔薇の蕾(つぼみ) ――何百というアブラムシが絡みついていた 人間の思いも寄らない場所にも この星の営みがある ③ ウェンディが忘れていった銀のピアス ――あんなに注意深いのに?なぜ… 秘密を咎めるようにそれは バスルームに置かれていた ④ 夜も眠らないSHINJYUKUの電飾 ――知らなかった…イルミネーションが 集う人々の淋しさに引火して 闇を燃やしていたなんて 何だか哀しくなってきた... ⑤ 工場跡の瓦礫でキラキラしていた金属 ――拾いあげると遠くで悲鳴が聞こえた ...散弾銃の部品(パーツ)だった 賢者を気取って 僕はいったい世界の何に触れようとしたのか? ここにあるのは 光に隠蔽(いんぺい)されていた醜い現実じゃないか! 僕は焦った そしてもう一度 太陽に触れてみた めいっぱい背伸びをして強烈な光を浴びると いつものように 漆黒の影が僕を地面に縫い付ける 輝きは神様が付けた目印だ 眩しさの中にはいつも何かが隠されている 答えや警告や 『次』を開くための鍵に変わるモノもある でもそれは 魔法のように都合のいいモノばかりじゃない 絶望の破片や どうしようもない孤独や 迷路への招待状も紛れ込んでいる それらは容赦なく僕達に挑みかかってくる 影はキャプテン・フックの鉤爪の形になり 僕達の弱さを執拗に責め立てる 幾重にも傷ついた心が 賢者の筋肉になるんだと言わんばかりに それでも僕は輝くモノを抱きしめるだろう パンプキン・スープが冷めてしまう前に ニュースが昨日の自殺者の数を報じる前に 鉛の影を引きずったまま それでも僕はもっと知りたいと願うだろう この世界の総(すべ)てと その総ての外にある無限の可能性について たぶんそれが 太陽のある国で 瞳(め)を開けたまま夢を見る たったひとつの方法だからだ《for your ears only ver.》1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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太陽のある国(女=牧野、影=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
太陽のある国(女=牧野、影=森) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>女:涙に色があって もし真っ赤だったら 今の私は血だらけの惨殺死体だろう影:女は台所の闇に転がっている 冷蔵庫から洩れる光が 胸に刺さった物語の破片に 小さく反射する女:あなたは太陽の匂いがした 男だけが暮らす真昼だけの王国で 獰猛な自分の影と闘う戦士だけが持つ匂い あなたの背中に指を這わせ 一つひとつ骨の形を確かめながら抱かれる夜 他人という存在を これほど愛(いと)おしく感じたことはなかった影:男は旅人 確かに太陽の匂いがした でもそれは 初めて嗅いだ愛の匂いだったのかも知れない女:重ねようとした唇の隙間に 桜の花びらが舞い降りたのは春影:空も風も微笑みに跳ねる光のサカナ達も すべて運命に記されていたような夏の午後女:私は嘘をついた あなたを怒らせるために ただちょっと優しさと退屈の違いを 教えて欲しかっただけなのに影:男はすでに知っていた 太陽の沈むこの世界には 美しいがゆえに儚いものが幾つも隠されている 女が今触れようとしているのは その中のひとつ 〝失って初めてここにあったと気づくモノ〟だ女:〝失って初めてここにあったと気づくモノ〟影:手に入れるためには失うしかない だから人はすでに持っていたとしても 手に入らないものとしてひたすらそれに憧れ続ける女:例えばそれは?影:...幸せ。女:さみしいよ...さみしい… ねぇ聞こえる? あなたが消えてから 太陽の昇らないこの部屋で あなたに言えなかった言葉を 何度も囁いています。 あのね 最後に一言 ありがとうって言いたかったんだ。 こんな私でも 他人(ひと)を愛せるんだって あなたが教えてくれたんだよ。 うん今は泣いてるけどね 泣いてる自分も嫌いじゃない。 だってあんなに夢中であなたを愛せたこと せめて涙で誉めてやらなきゃって そう思うの。影:涙に色があって もし真っ赤だったら 女は無残な惨殺死体だろう でも愛を知った涙はこんなにも透き通っていて 溢れるたびに温かい女:ありがとう… 私はあなたに感謝している。 そして今こうして生きていることにも 感謝したいと思う。 幸せに憧れて旅を続ければ 悲しみはまたどこかで待ち伏せしているだろうけど 大丈夫、ほら私も太陽の匂いがするでしょ。 それは臆病な自分と闘う戦士の匂い あなたからもらった愛の匂い。影:女は台所の闇に転がっている 冷蔵庫から洩れる光に そっと指を伸ばすと 不思議な輝きに彼女は満たされる女:私は立ち上がり 冷蔵庫のドアを大きく開ける影:するとそこには太陽二人:燃え盛る永遠の太陽女:どこまでも広がる夏の青空に向かって 私は歩きだす《for your ears only ver.》1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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SOKO に居た(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
SOKO に居た(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>俺は S O K Oに居た1 9 9 0 年のイタリアに居た異端者達の集うカフェでイタチゴッコを繰り返す警官とスリの間に居た委託された若さを使い切れずにいた痛みがコメカミを襲うたび徒(いたずら) に白い粉を買いあさり傷んだホテルの階段で売女(ばいた)を抱いた俺は S O K Oに居た蒸し暑い午後の伊丹空港に居た板谷佐織という女が隣に居た自分の身体には巫女(いたこ)の血が流れていると言っていたその夏はイタコロカイカイが大量発生した年で踏みつけると黄色い体液が飛び散り虎杖(いたどり)の様な花がスニーカーに咲いた俺は S O K Oに居たいたたまれない恋に板谷が泣いた最後のセックスの絶頂(いただき)で俺は彼女のいたいけな睫毛をライターで焼いた「痛ましい事件だ」と共同通信(ロイター)が書いた壁から剥がれかけた日本地図の自分が『居た』場所にピンを刺してみる俺は S O K Oに居た…そう呟きながら黄金色の『点』を増やしてゆくS O K Oに居たことだけが事実でどんなに愚かであっても無実でその戻らない時間こそが果実だったと思うまだソ連が存在する地球儀にマーカーで印を付けてみる俺は S O K Oに居た…そう呟き続けると『点』はやがてスペースを拡げ『面』になる偶然に現れた『面』は顔のように見える自分が何者かわからないまま生きてきたけれどきっとこれが俺の顔だ曖昧な時間の中に出来事という『点』を打ってきた俺の顔だ俺は S O K Oに居た居たリアに居た居た丹(み)空港に居た居たん者の横に居た居たチゴッコの間に居た居たみの中にも居た居た谷(や)佐織の心に居た居た女(こ)の血に浮かんで居た居た杖(どり)が咲居た居た頂(だき)の途中で未来を裂居た居たたまれない居たいけな居たましい居たずらをラ居ターで焼居たそして 居たいになった恋のそばにずっと佇(たたず)んで居た1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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腐らない果実(礒部花凜)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
腐らない果実(礒部花凜)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>安心していいおまえが飛び込んだ午後 12時38分のプールに哀しみはひとかけらも紛れ込んではいない粉々に割れた太陽が水飛沫(みずしぶき)に変わり白いスイミングキャップが再び水面に現れた時夏は見事に完成したパティオに繚乱と咲く原色の草花パンの屑を啄(つい)ばみながら食卓(テーブル)を闊歩(かっぽ)する小鳥銀の皿に盛られた果実の中から奔放に熟れた桃をひとつ選び取り出来る限り粗暴におまえはそれを齧(かじ)るローブを羽織ることさえもどかしく濡れた身体が纏(まと)うのは音楽だけこぼれる雫は足元で永遠の在処(ありか)を告げる象形文字に変わり解読しかけては太陽に盗まれるなぜ恋をしたのか訊ねあうことはなぜ生きているのか答えようとするくらい無意味な行為だと学んできたから二人はもう滴り落ちるセツナサを隠そうとはしない恋人よラベンダーに群がる蜜蜂が不吉な和音で羽根を震わせても脅えることはない恋はいつか終わる甘く瑞々(みずみず)しい桃が数日後地面で爛(ただ)れた姿を晒すそれとまったく同じ理由で恋は朽ち果てる互いの痛みを分かちあい我儘を讃(たた)えあい希望を失くさず犠牲を厭わず神が妬むほど完璧な関係であればあるほど溢れゆく月日の濁流は二人がそこに留まることを許さずやがて恋はその形すら保てなくなる恋人よ恋はいつか終わるだがそれは悲しむことではない幸せに満ちた夏の午後別れた後の自分を空想し必ず今日を思い返すことがあると想像できれば降りそそぐこの陽射しが絡めあうこの指先が今生まれ今消えようとするこの 1秒がどんなにかけがえのないものなのか気づくはずだ恋人よ心配はいらない齧りかけの桃に群がる蟻の一団が嫉妬深い神の化身だとしても脅えることはない世界で唯一腐敗することのない『記憶』という美しい果実を二人は今 実らせたのだから1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。森雪之丞 自選詩集『感情の配線』2024年1月14日(日)発売特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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例えば闇を太陽の形に切り取ること(猪塚健太) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
例えば闇を太陽の形に切り取ること(猪塚健太) <代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より> 絵画館から続くこの舗道(みち) は いつ未来に繋がったんだろう 暗闇で触れた君の唇は 新しい生き物のように 七月の恋を呼吸していた 傘は捨てよう 湿った空気が雨を予感させるけれど 僕達の手は ぬくもりを囁きあうのに忙しい 立ち竦(すく)むほどの 夜の重さ 自分を責めるだけの 夜の長さ 寂しさに溺れるための 夜の深さ ひとりきりじゃ生きられないことを どうして君も知っているの? もう少し歩こう 寄り道が楽しいのは子供の頃と同じ 最後に帰る場所で 愛が僕達を待っているからだ 会話や微笑みやキス それが途切れた時の柔らかい沈黙 君が僕にくれるのは 例えば 明日を探すヒントや勇気みたいなモノ 僕が君にできるのは 指でハサミを作って 例えば 闇を太陽の形に切り取ること 夜がどんなに 重く長く深くても 闇の向こうには光が溢れていることを 僕なら君に伝えられると信じて 僕が君にできるのは 例えば闇を太陽の形に切り取ること 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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二月の文学(牧野由依)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
二月の文学(牧野由依)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より> やがて雨が雪に変わると あなたは睫毛を街燈に向け微笑む またひとつ 世界の秘密を見つけたように そんなとき私は 空気として吸い込んでいた言葉が 感情の輪郭を現すのに気づく あわく いびつに ずっしりと それは二月の 文学 物語が舗道に降り積もる そうだったものをそうだと言い直したり 見えないものをあると言い切ったり 言葉にならなかったものを やはり言葉にできなかったり いつしか私は 二月の文学にとじこめられる 凍った唇への驚きと共に 千あるものを一文字で言いくるめたり 一つしかないものを千の比喩で言い落したり 言葉にならなかったものを もう一度言葉にしようとして 私はまだここにいるのだろう あなたと この世に この夜の隅に 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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逃亡のような追跡(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より>
逃亡のような追跡(森雪之丞)<代官山 蔦屋書店スペシャルSeason.1より> 魂がまた逃亡した 残された身体はまず溜息をつき 愛する人に短い手紙を書いてから 沈む夕陽へとハンドルを切る 魂の逃亡は 無理に大人を演じてきた 自分への復讐なのか? 用意されたエピソードを選ぶしかない 未来への警告なのか? それとも夢の荒野を走り続けた 無頼漢(ピカレスク)への憧憬(あこがれ)? 俺はいつしか 見知らぬ風景の中にいる 初めての街には 迷うための道があり 孤独を映すための月が出る 24や60で割り切れない時間が流れ 言葉の通じない北風が吹く そこにあるのは ざらざらとした違和感 ヤスリのような疎外感 自慢だった人生の垢は擦(こす)り落され 俺はヒトという生き物に戻る ヒトは失っていた情熱を猛烈な速さで思い出し あっと言う間に魂を捕獲する そして不安の中に潜む自由の匂いを嗅ぎ当て 新しい俺がまだこの世界のどこかにいることを教える 生きるということは 生きてゆく自分が 生きてきた自分に 闘いを挑むことだ 魂は逃亡し 身体がそれを追跡する その密かな祭りのような数日を 人は 旅と呼ぶ 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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ビルを落下するカメラだけに写る真実
ビルを落下するカメラだけに写る真実 宇宙の塵になったはずの 人工衛星(スプートニク)から送られてくる ノイズのような暗号 地球では絶滅したはずの 愛の存在を頑なに信じるヒトという種族 涙を音符に見立てて奏でる彼のトランペット 大統領補佐官より論理的(ロジカル)な彼女のジョーク 迷子と逃亡者を識別できる僕のキス 昔天使だったと錯覚させる君のペイン 子供の頃憧れた世界はもっと美しかったと スプートニクの暗号で囁きあう僕達 そして 未来への通路に見える扉が実は 壁に描かれた絵だと知ってしまった僕達の絶望 すべてが偽りに汚染されたこの時代の ビルを落下するカメラにだけ写る真実 一瞬世界に隠された光を集めて 次の瞬間粉々に砕け散る真実 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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天才的なキス
天才的なキス 恋に臆病な君の 愛に潔癖な君の なのに 1回目から天才的だったキス 触(ふ)れかけた唇の 和紙のように薄い途惑いの隙間に そっと傾(なだ)れ込む柔らかな息 離れかけた唇の 前の一瞬が編んだ切ない蜘蛛の巣に 捕獲されてしまう次の一瞬 あの夜僕は決めたんだ こんなに凄いキスを 軽い挨拶なんかに 堕落させちゃいけないんだと だからこそ大きな意志を持って 今夜も君とキスをする それがどのくらいの威力かと言えば 出口を失くした会話を救うため 夢へのバイパスを開けるダイナマイトみたいに どのくらい繊細かと訊ねられれば 僕達がなぜ生まれたのか解き明かす本の 各チャプターに刻まれる装飾数字みたいに どのくらい悩ましいかと目を閉じれば ダ・ヴィンチが飛行機の設計図を描いた夜の ロウソクの揺らめきみたいに 離れかけた唇の 切ない蜘蛛の巣に引っかかった次の一瞬が その次の一瞬を捕らえるための糸に変わる あの夜唇で触れた 永遠というものの輪郭を 忘れないために 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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結露
結露 君を抱いた 僕の裸と君のハダカが キュキュッと音をたて 僕の心が君のココロに グニュッとくっついた 理科の時間に習ったでしょ? 熱は暖かい所から冷たい場所へ移るんだよ もっと君を抱いた 赤ワインの味がする唇と マルボロ・ライトの息が絡みあって 鏡に映った二人はまるで恋人みたいだった 今は愛の温度が違っていても しばらくこうしていればいっしょになるよね 〜君の正体はノボルに振られて自棄になっている女の子〜 僕実ノボルの彼女をずっと好きだった男の子〜 エレベーターの中で急に抱きついてきた君は 自分を苛めうとしてるみたいだったけど かまわないよ…僕ずっと待ってたんだから 今は愛の温度が違っていても もう少し腰を動かせばいっしょになるよね ストーブが燃えるこの部屋の窓に 小さな結露が踊っている 北風に凍ってしまった様な水銀灯の光りを浴びて それはキラキラと輝き 虚ろに流れ落ちる もっともっと君を抱いた 君の睫毛に結露が光った 僕身体が熱すぎたから 君の冷たい瞳の奥で空気が雫に変わったんだ 明日目が覚めて まだ愛の温度が違っていても 今夜だけ僕は 睫毛に光る結露を涙とは呼ばない 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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贅沢な生き物
贅沢な生き物 贅沢な生き物…それは人間神が与えてくれたその手で 鉄の馬や石の塔や 美しい未来を造り 進化を持て余した同じ手で それらを破壊する武器を造る 贅沢な生き物…それは人間 身体が健やかな朝 自分が健康だとは気付かず 心が穏かな夜 何て退屈な人生なんだと愚痴を吐く 極上の愛を味わうために まず悲しみで舌を漱(すす)ぎ 自由を貪(むさぼ)りながら満たされず 孤独までをも胃に流し込む 闇に支配された朝 光が消えた理由(わけ)は問わず二つ目の太陽を探し 死を宣告された夜 自分が生きていたことに驚き神に縋りつく 天国で分譲中の リゾート・マンションを予約するために 贅沢な生き物…それは人間 倖せを夢見て 倖せになっても 倖せであるがゆえに 倖せを感じられない生き物 それが人間 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://x.com/yukinojo_news
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囁く天使
囁く天使 『愛してる』を3000倍強くした 動詞 『淋しい』を北極の風で凍らせた 形容詞 『夢』の影にある迷宮を暗示する 名詞 『ちょっと』と言いながら『もっと』を意味する 副詞 『だけど』と言いながら二人の時間を繋いでゆく 接続詞 そんな言葉が この世にあれば 僕は君を 決して失わなかっただろう あの夜 喋れない僕の代わりに 天使は囁いていた だけどそれは 心の中だけに伝わる 波の様な文字 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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ボクの指と彼女の舌
ボクの指と彼女の舌 ギターがあると 『天国への階段』を弾きたくなる指 美味(おい)しい物があると 鼓(つづみ)を打ちたくなる 舌影ができれば キツネや鳩になれる指 サクランボがあれば 茎を輪ッカにできる舌 彼女の吸い付くような肌を知っている ボクの指 日曜日のボクの髭(ヒゲ)の味を知っている 彼女の舌 ラムの骨をしゃぶってベトベトの指 フローズン・ダイキリに酔ってレロレロの舌 タクシーに乗った途端 スカートの闇へダイブする指 悩ましい言葉と息で 耳から脳へと侵入する舌 彼女の憂鬱を恍惚に変える瞬間(とき) 悪魔の嘘より饒舌なボクの指 ボクの孤独を飲み込んでくれる瞬間(とき) 天使の罠よりも狡猾な彼女の舌 ある日背中を向けてメールを打ち始めた 不謹慎な指 ある日理由(わけ)も告げずピアスが入った 不可解な舌 言い訳と逆ギレの間で拳(こぶし)を握っては解(ほど)く指 諍(いさか )いと紫陽花(アジサイ)の間で唇が渇いては舐める舌 襟元に付いていた浮気な口紅を 下手な手品のように揉み消した子供の指 思いつく限りの陵辱的なセリフを 包丁のように切り刻んで消滅させた大人の舌 思い直してもう一度恋文(ラヴレター)を書くための ボクの指 別れの手紙にしっかり切手を貼るための 彼女の舌 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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未来に触れるなら
未来に触れるなら 弱さは それを認めた時 強さに変わることがあります 怖さは それと闘ううち 勇気と呼ばれたりもします だから逃げずに壊さずに もう少しだけ騙(だま)していましょうね 自分を 虚しさは 迷子のように抱きしめてやると 意外と夢に染まりやすいのです 醜さは 隠そうとさえしなければ 幾つかの困難からあなたを救います だから恥じずに 暴れずに もう一度だけ触れてみましょう 未来に 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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蝶の骨
蝶の骨 少女は 蝶の骨が見たいと言う 闇に齧られた月が 遠くピラミッドの真上に止まり 『祭り』という意味の象形文字を照らす夜 少女は 生贄の様に 窓の下のトウキョウに 白いお尻を晒す 腐りきれず彷徨う この国の片隅で 皮肉に満ちたビートを刻む 少女の心臓よ おまえに恋ができたから 俺はまだ自分を見捨てない 少年は昔 全身にナイフが生えていた 世間という鎖に触れると 金色の産毛が針の様に逆立ち 愛してくれた人を傷だらけにしてしまったあの夏 少年は 天然のテロリストとして 年に二十分の一ずつ 自分を殺す事にしたんだ 鉄条網が破れた夢と現実の境界線で 耳を感情を唇を切り落としてきた少年は 俺だ でも おまえに恋ができたから せつなさだけは 少年のままだよ インカ帝国の滅亡を見届けた彗星が トウキョウの空を横切り 動物園に捕らえられた幾千もの獣が騒ぎだす夜 忘れられた祭りの様に 少女と俺は抱きしめあう そして見えないものを 見つめ 在りえないものを 探しあてた時 俺達は 今ここにいる理由(わけ)を知る もし 蝶に骨があるなら この国にもまだ 未来があるかもしれない もし ナイフがおまえの中に優しく溶けてゆけば 人間にもきっと 愛は残っているはずだ 七色の鱗粉を脱ぎ捨てた 骨だけの蝶が 震えるナイフの刃先に そっと止まる そして 見えないものを 見つめ 在りえないものを 探しあてた時 俺達は 今ここにいる理由(わけ)を知るんだ 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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空想とノスタルジア
空想とノスタルジア おもちゃ箱に紛れ込んでいた孤独 タイムマシンと衝突した紙ヒコーキ 引き潮に落ちた透明人間の涙 苺シロップの味がするアンドロイドの接吻(くちづけ) 自分の影を剥がす男 電話で自分と話す女 それは見たこともない懐かしい未来 脳に寄生する『情報』という名の昆虫(キリギリス) 愛から数えて7つ前の憂鬱 お掃除ロボットをショートさせる記憶の塵 ビルを落下するスマホにだけ写る真実 手のひらで燃える氷 翼の生えた夜汽車 それは振り返るたびに新しい過去 南仏の海に眠るコクトーの貝殻 伯林(ベルリン)の壁に残る虹の落書き 機械仕掛けの月を眺める恋人達 肺の中までオレンヂに染まる火星の朝焼け 薔薇とサイエンス 空想とノスタルジア それは浮遊するタイプライターに打ちつけた 着地点のないポエム 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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時計の針に挟まってしまった天使
時計の針に挟まってしまった天使 倖せの1秒は不幸な1秒の半分もない 同じ間隔で時計の針が動くなんて それは物理学者の笑えないジョーク 悲しい想い出を忘れたい夜時は動かない いや動かないどころかあの日に戻ろうとさえする 帰らなきゃいけない君を もう一度きつく抱きしめてしまう時 僕はいつも悲鳴のような声を聞く それはきっと 倖せな時間を止めようとして 時計の針に挟まってしまった天使の悲鳴 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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日曜日のキッチン
日曜日のキッチン あなたとじゃなくてもよかった マラケシュのジャマエルフナ広場の 親方に叱られた猿使いの少年でもよかった 落日の朱色が似合って 折れそうに指が長くて 生まれたことを憎んでいるような目をしてれば あなたとじゃなくてもよかった 失わないとね 持っていたことに気付かないものってあるの 若さってそうでしょ 若い頃は若さに価値なんてない もうトシだなと感じた瞬間 使い果たしてしまった若さの素晴らしさに 人は茫然と立ち尽くすの 〝後悔〞は人間だけに蔓延する感情 過去の失敗を未来でまた悔やむなんて キッチンの横に立つトネリコの大木には 人間達の奇妙なゲームにしか見えない 人間だけが悲しいのかな 世界が滅びる前の日も 空はきっと果てしなく青くて 風は途惑いもなく流れて 紋白蝶はあどけなく蜜を啜(すす)って やっぱり人間だけが悲しいのかな アルル郊外のね 使われていない錆びた線路の上をね クロスワード・パズルを解く要領で歩き続けたら そのままアッチの世界へ戻れる気がしたの 終点でゴッホの跳ね橋がもし降りていたら 私はこの身体を上手に脱いでいたと思う なぜ此処にいるんだろ? あなたとじゃなくてもよかった でもあなたとだったから 私は今キッチンにいる 日曜の昼下がり カプリ島の女達は素肌の上に メイドのエプロンをつけるんだって そしてポモドーロのソースを味見をしたり ローズマリーの焦げた匂いを嗅いだりするたびに ちょっと欲情するんだって 欲情と懺悔って似てるかもしれない 原罪なんてどうでもいいけど 生きてることを誰かに許してもらいたいから あなたに欲情してあなたに懺悔する 「やっと愛を学んだな」と 天からお節介な声が聞こえても 私は否定しないの この世界には 失わないと持っていたことに気付けないものがある それを知っただけでも あなたと此処にいて良かったと思う 幸せな時は 幸せに価値なんてないから 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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遊園地の幽霊
遊園地の幽霊(ゴースト) 水のないプールには 枯葉の波が立つ 心が透けないように 鉛色のコートを買った君 セーターを脱げば 夏の記憶がまだ 水着の形をしているのに 頬のペンキが剥げた回転木馬は なんだか泣いているみたいだ 脈絡のない言葉 抑揚のない時間 執着のない疑問 目的のない視線 やがて君を遠くで眺めたとき 点描写されたサヨナラだったと 気づかせるためのものたち 花火の夜 錆びついた観覧車が サークルの天辺で故障していたら 君を抱いて僕は 星空を飛べたと思う 滓(カス)になった情熱は 散らばるポップコーンも踏み潰せないくせに 閉園まぎわの遊園地 僕は亡霊(ゴースト)とKissをする 僕が愛した君は この世界にはいないことを もう一度だけ 確かめるために 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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よくあること <江國香織×森雪之丞「扉のかたちをした闇」朗読会ライブ音源>
よくあること カレーうどんをたべるつもりが 長崎ちゃんぽんを食べています よくあることです 下田へ泳ぎに行ったはずなのに なぜか箱根で風呂に浸(つ)かっているくらい よくあることです ギターが得意なのに バンドでベースを弾かされているように 恋人にしたかった女性が 一生モノの友達になってしまったように よくあることです 優しさを思い出したら おせっかいと区別がつかなくなっていたり 愛だと信じていたものが 憎しみと掏(す)り替わっていたなんて程度に よくあることです 人を虫けら扱いしたかっただけなのに 政治家になってしまうことや 家族を守りたかっただけなのに 戦場で人を殺してしまうことと同じように よくあることです 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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忘れ上手 <江國香織×森雪之丞「扉のかたちをした闇」朗読会ライブ音源>
忘れ上手 失礼しました! 酸素を摂取し二酸化炭素を排出している そんな大変な最中に キスして申し訳ない! 忘れてるんだね 僕達は たとえば心臓 毎分60から90も拍動する働き者を 安寧(あんねい)の中に置き去りにしている たとえば幸福 それがどんなに素敵なものなのか 失くしてからでないと思い出せない 忘れてるんですよ僕達は 世界のどこかで今も 神のために人間達が殺しあっていることを 平気で忘れちまうんです いつかの恋もそうだ 愛が憎しみを分泌する時の 焼きゴテを押し付けられたような あの胸の痛みさえも 今はおぼろげにしか思い出せない だめだね 僕達は そして性懲(しょうこり)もなく また誰かを好きになってしまう 忘れていてもかまわないこと 忘れているから何度も始められること 忘れたふりをして実は鮮明に覚えていること そんなのをゴッチャにしながら 僕達は無秩序に明日を探すのだけれど 油断すると本当に忘れてしまうよ 生きていることを なんかびっくりしてるね 君 もしかしたら今のキスで 生きてるって思い出したの? 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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ひとりになるため誰かを愛して <江國香織×森雪之丞「扉のかたちをした闇」朗読会ライブ音源>
ひとりになるため誰かを愛して 人生が果てない旅だと感じるのは 到達点に“はじまり”とルビを振ってみせた 迷惑な詩人のせいだろう あるいは一本の紙テープだった道筋を 糊で貼りつけ輪っかにしてしま った 幼子(おさなご)の仕業かも知れない 祝祭のある広場にたどり着き 私は恋をする 人いきれに酔い 言葉を応酬し 情熱の灰汁(あく)にまみれた指先で 未来への搭乗券を手渡しあう だがその後 私は猛烈に孤独が恋しくなる 群れを抜け出せばいつも砂漠の空 心を映して月は今宵も さめざめと泣いてくれているのだ 私はまたひとりになるために 誰かを愛してしまったのだろうか? “終わりを失くした始まり”ばかりが 土産物(スーベニール)のように旅行鞄を埋めてゆく人生 それにしても機上のレモンティは どうしてこんなに熱いのだろう 冷めるのを待つ数分だけが 至福の休息だと言わんばかりに 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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五月晴れの空のせい <江國香織×森雪之丞「扉のかたちをした闇」朗読会ライブ音源>
五月晴れの空のせい 朝 ハムエッグが焦げたのは電話のせい イビキは夢の中で悪霊を追っ払っていたせい 風邪を引いたのは縮んだパジャマのせい きっと詩が書けないのは風邪薬のせい 責任転嫁は了見の狭い心のせい 昼 ワンタン麺が伸びたのはメールのせい パンツのウエストがキツイのはデザインのせい 仕事に遅刻したのは鮮やかすぎる紫陽花(あじさい)のせい バンパーをコスッたのは黒猫が昼寝していたせい 言い訳はいつも素直になれない心のせい 今キスしたのは会話に飽きたせい 次のキスは理由を訊かれたくなかったせい だから見上げちゃうよね南十字せい ・・・などと 肝心な所で茶化してしまうのは弱虫な心のせい 恋を何かのせいにしないでと叱られたくないせい あの日あなたを抱きしめてしまったのは 何かにしがみ付いていないと吸い込まれそうだった 五月晴れの真っ青な空のせい 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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六月は死者が囁く
六月は死者が囁く 死者は生きる 生き残った者達の心の中で その者達が死者になるまで 瑞々(みずみず)しく 六月の雨の夜 あなたはここにいる 老いても美しかった あの少し傲慢な笑顔で 友は爪を噛む 風に煽(あお)られた雨粒が不意に窓を叩き この時を待っていたかのように 私は友に詫びる 疎遠になってしまった最後の数年を 逢いたいのに逢わなかった複雑な感情を 病室で別れも告げぬまま 天国に逝かせてしまった不甲斐なさを そして 私に激しく嫉妬させるほど あなたの生き様は素晴らしかったと そう言ってあげられなかった小さな自分を 私は死者に詫びる けれど 赦(ゆる)しもせず 責めもせず 嘆くことも 諭(さと)すこともなく ただ死者は囁く 生きていることの尊さを 沈黙という言葉で 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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八月は幻
八月は幻 キミの斜め後ろにホコロビがある ほつれた紐や針金が数本 空気から食(は)み出している ホコロビを避けながら愛しあった 崩壊の予鈴(よれい)を喘(あえ)ぎ声で殺しあった やがて 冷蔵庫の奥で発火したマッチのように 短く青白くキミは燃えた 八月は幻 そんなこと大人になれば誰でも知ってる 八月は幻 だからボクは詩人になりすませた 奔放なキミが 不意にそんな涙をこぼすまでは ベッドのどこかにシコリがある さっき抱きあった時ごろごろと 脇腹の辺りで邪魔だった小さな塊 シーツに潜って どうやらキミは確かめている 幻と現実を繋いだ結び目が まだ解(ほど)けていないことを 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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逃亡のような追跡
逃亡のような追跡 魂がまた逃亡した 残された身体はまず溜息をつき 愛する人に短い手紙を書いてから 沈む夕陽へとハンドルを切る 魂の逃亡は 無理に大人を演じてきた 自分への復讐なのか? 用意されたエピソードを選ぶしかない 未来への警告なのか? それとも夢の荒野を走り続けた 無頼漢(ピカレスク)への憧憬(あこがれ)? 俺はいつしか 見知らぬ風景の中にいる 初めての街には 迷うための道があり 孤独を映すための月が出る 24や60で割り切れない時間が流れ 言葉の通じない北風が吹く そこにあるのは ざらざらとした違和感 ヤスリのような疎外感 自慢だった人生の垢は擦(こす)り落され 俺はヒトという生き物に戻る ヒトは失っていた情熱を猛烈な速さで思い出し あっと言う間に魂を捕獲する そして不安の中に潜む自由の匂いを嗅ぎ当て 新しい俺がまだこの世界のどこかにいることを教える 生きるということは 生きてゆく自分が 生きてきた自分に 闘いを挑むことだ 魂は逃亡し 身体がそれを追跡する その密かな祭りのような数日を 人は 旅と呼ぶ 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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目を醒ませ ここからが夢だ
目を醒ませ ここからが夢だ 目を醒ませ ここからが夢だ 現実が正しいなら おまえは 下等動物 液晶の青い光に群がる インターネットの夜光虫 キーボードを叩いて世界中にばら撒(ま)いた 「FUCK!」の文字は 無邪気な精神科医に 「たすけて」と翻訳された 10000人を見下して 1人前の快感を手に入れたのか? 10000人に無視されて 1人称の孤独を確かめたのか? 鍵の掛かったドアを 今誰かがノックする その音に… 目を醒ませ ここからが夢だ 現実にこだわるなら NAOMIは 合成樹脂 他人の人生を盗み聴きする 赤いプラスチックの灰皿 カフェに芽生えた 幾千もの恋やゴシップは覚えているが 彼女自身には物語がない 女の指に火を押し付けられるが 憎まれているのではなく 男の息が肌に触れたとしても 愛されているのではない どんなに泣き喚わめいていても 静かな風景の一部でしかない その苛立(いらだ)ちに… 目を醒ませ ここからが夢だ オレは 腐ったサボテン 月日とともに曲がっちまって 自慢だったトゲが今は自分を制している WATARUは 悪臭漂うアルミニウムの屑箱 ボランティア精神にのっとり 捨てられたモノたちに身体を奪われていく MIDORIは 官能小説68P目の紙切れ 67Pで絡めあった恋人の指に あっという間に千切られてまた冷たい風の中 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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四月は桜吹雪の中で
四月は桜吹雪の中で スニーカーで蹴りあげた身体を サドルがしっかり受け止めた 一周一・七五キロのアップダウン 砧公園のサイクリング・ロードは今や 散った桜が景色に流れ浮かぶ 魔法の国に変貌している ぐうっとペダルを踏み込む そこにいた空気が不意に 風だったと正体を明かす 一つ目のカーヴへ ためらわず預ける体重 待ちかねたように上がる速度 前方には積もった花びらが 漂泊の雲を真似て立ち込めている 迷わず突入 心が躍る 桃色が舞う 生きていることを歓迎されて 命が声をあげ喜んでいるみたいだ 四月は桜吹雪の中で 僕は勇気を取り戻す こんな夢みたいな出来事が この世界ではまだ起きるんだと うなずきながらペダルを漕いで 僕は勇気を取り戻す 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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72歳のスピードレーサー
72歳のスピードレーサー 午前零時のスピードレーサーは ブロンズ像のように寡黙 海に突き出した断崖のカーヴを 華麗なハンドルさばきで制覇した あの自慢話も最近は影を潜めた 助手席で嬌声をあげていた女たちも もう孫のいる齢だ We were born to die 死ぬために生まれた 何も悲観的な話ではない 死ぬためには生きなければいけない なら〝どう生きるか〞と訳すべきだろう だがなぜあんなに急いだのか? スピード・レーサーは パイプの灰を落としながら自問する あの娘は言った コクトーの絵皿を使うホテルがあるのよ 小イワシのフリットが美味しいの マントンの小さな港で 深くブレーキを踏み込んでいたら 全く違う人生を見られたのかも知れない 午前二時にレーサーは眠る 昔は速さを競いあった〝時間〞も年老いて 今は柔らかな毛布のよう 心の形に寄り添って 寡黙な彼を包み込んでいる 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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ONE WISH
ONE WISH 何かを願うこと それは世界のどこかにひとつ 夢を描くこと 夢があれば未来が生まれる 未来があれば希望が持てる 希望は願いをひとつずつ叶え いつか私達は あの日何を願ったのか忘れてしまう それは素敵なこと 私達はその忘れてしまったものを 〝幸せ〞と呼び直して 次の私達へ手渡せるのだから 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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S O K Oに居た
S O K Oに居た 俺は S O K Oに居た 1 9 9 0 年のイタリアに居た 異端者達の集うカフェで イタチゴッコを繰り返す警官とスリの間に居た 委託された若さを使い切れずにいた 痛みがコメカミを襲うたび 徒(いたずら) に白い粉を買いあさり 傷んだホテルの階段で売女(ばいた)を抱いた 俺は S O K Oに居た 蒸し暑い午後の伊丹空港に居た 板谷佐織という女が隣に居た 自分の身体には巫女(いたこ)の血が流れていると言っていた その夏はイタコロカイカイが大量発生した年で 踏みつけると黄色い体液が飛び散り 虎杖(いたどり)の様な花がスニーカーに咲いた 俺は S O K Oに居た いたたまれない恋に板谷が泣いた 最後のセックスの絶頂(いただき)で 俺は彼女のいたいけな睫毛をライターで焼いた 「痛ましい事件だ」と共同通信(ロイター)が書いた 壁から剥がれかけた日本地図の 自分が『居た』場所にピンを刺してみる 俺は S O K Oに居た…そう呟きながら 黄金色の『点』を増やしてゆく S O K Oに居たことだけが事実で どんなに愚かであっても無実で その戻らない時間こそが果実だったと思う まだソ連が存在する地球儀に マーカーで印を付けてみる 俺は S O K Oに居た…そう呟き続けると 『点』はやがてスペースを拡げ『面』になる 偶然に現れた『面』は顔のように見える 自分が何者かわからないまま生きてきたけれど きっとこれが俺の顔だ 曖昧な時間の中に出来事という『点』を打ってきた 俺の顔だ 俺は S O K Oに居た 居たリアに居た 居た丹空港に居た 居たん者の横に居た 居たチゴッコの間に居た 居たみの中にも居た 居た谷佐織の心に居た 居た女(こ)の血に浮かんで居た 居た杖(どり)が咲居た 居た頂(だき)の途中で未来を裂居た 居たたまれない居たいけな居たましい 居たずらをラ居ターで焼居た そして 居たいになった恋のそばに ずっと佇んで居た 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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二月の文学
二月の文学 やがて雨が雪に変わると あなたは睫毛を街燈に向け微笑む またひとつ 世界の秘密を見つけたように そんなとき私は 空気として吸い込んでいた言葉が 感情の輪郭を現すのに気づく あわく いびつに ずっしりと それは二月の 文学 物語が舗道に降り積もる そうだったものをそうだと言い直したり 見えないものをあると言い切ったり 言葉にならなかったものを やはり言葉にできなかったり いつしか私は 二月の文学にとじこめられる 凍った唇への驚きと共に 千あるものを一文字で言いくるめたり 一つしかないものを千の比喩で言い落したり 言葉にならなかったものを もう一度言葉にしようとして 私はまだここにいるのだろう あなたと この世に この夜の隅に 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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例えば闇を太陽の形に切り取ること
例えば闇を太陽の形に切り取ること 絵画館から続くこの舗道(みち) は いつ未来に繋がったんだろう 暗闇で触れた君の唇は 新しい生き物のように 七月の恋を呼吸していた 傘は捨てよう 湿った空気が雨を予感させるけれど 僕達の手は ぬくもりを囁きあうのに忙しい 立ち竦(すく)むほどの 夜の重さ 自分を責めるだけの夜の長さ 寂しさに溺れるための夜の深さ ひとりきりじゃ生きられないことをどうして君も知っているの? もう少し歩こう 寄り道が楽しいのは子供の頃と同じ 最後に帰る場所で 愛が僕達を待っているからだ 会話や微笑みやキス それが途切れた時の柔らかい沈黙 君が僕にくれるのは 例えば 明日を探すヒントや勇気みたいなモノ 僕が君にできるのは 指でハサミを作って 例えば 闇を太陽の形に切り取ること 夜がどんなに 重く長く深くても 闇の向こうには光が溢れていることを 僕なら君に伝えられると信じて 僕が君にできるのは 例えば闇を太陽の形に切り取ること 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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十月の透明な魚
十月の透明な魚 透明な魚達が跳ねて 刺繍のように波を海に縫い付けると 男は孤独でしかない 風はある時大切な言葉を話すがその時に限って人は耳をふさぎ 禍々しい世界に向けて 悲鳴をあげている その開けた口から太陽はなだれ込み形のない心にも影を作る 光が強いほど影は濃く不気味で こんな怪物のようなものを抱いて これからも生きていくのかと思うと 男はまたひどく憂鬱だ 幾億ものプランクトンの死骸が 哀しみを知らず西日にきらめく堤防 最後の煙草を挟んだ指にふうっと沖合の船が透けて見える ここにいることを報せておかないと 本当にこのまま消えてしまいそうで スマホで誰かの名を探すがそれが誰なのかは もう忘れている 透明な魚達が跳ねる十月の たぶんどこにもない海辺の村で 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩 森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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腐らない果実
腐らない果実 安心していい おまえが飛び込んだ午後 12時38分のプールに 哀しみはひとかけらも紛れ込んではいない 粉々に割れた太陽が水飛沫に変わり 白いスイミングキャップが再び水面に現れた時 夏は見事に完成した パティオに繚乱と咲く原色の草花 パンの屑を啄(つい)ばみながら食卓(テーブル)を闊歩(かっぽ)する小鳥 銀の皿に盛られた果実の中から 奔放に熟れた桃をひとつ選び取り 出来る限り粗暴におまえはそれを齧る ローブを羽織ることさえもどかしく 濡れた身体が纏(まと)うのは音楽だけ こぼれる雫は足元で 永遠の在処(ありか)を告げる象形文字に変わり 解読しかけては太陽に盗まれる なぜ恋をしたのか訊ねあうことは なぜ生きているのか答えようとするくらい 無意味な行為だと学んできたから 二人はもう 滴り落ちるセツナサを隠そうとはしない 恋人よ ラベンダーに群がる蜜蜂が 不吉な和音で羽根を震わせても脅えることはない 恋はいつか終わる 甘く瑞々(みずみず)しい桃が 数日後地面で爛(ただ)れた姿を晒すそれとまったく同じ理由で 恋は朽ち果てる 互いの痛みを分かちあい 我儘を讃(たた)えあい 希望を失くさず犠牲を厭わず 神が妬むほど完璧な関係であればあるほど 溢れゆく月日の濁流は 二人がそこに留まることを許さず やがて恋はその形すら保てなくなる 恋人よ 恋はいつか終わる だがそれは悲しむことではない 幸せに満ちた夏の午後 別れた後の自分を空想し 必ず今日を思い返すことがあると想像できれば 降りそそぐこの陽射しが 絡めあうこの指先が 今生まれ今消えようとするこの 1秒が どんなにかけがえのないものなのか気づくはずだ 恋人よ 心配はいらない 齧りかけの桃に群がる蟻の一団が 嫉妬深い神の化身だとしても 脅えることはない 世界で唯一腐敗することのない 記憶という美しい果実を 二人は今 実らせたのだから 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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盗みたい
盗みたい 心は盗めないから せめてもと この詩に目を通している あなたの束の間を 盗んでいるのです 《for your ears only ver.》 1976 年作詞作曲家としてデビュー以来、昭和・平成・令和の3 世代でジャンルを超えてヒットチューンを生み出し続ける森雪之丞が、自選詩集『感情の配線』の発売を記念して詩を朗読する番組。 メロディーを脱ぎ捨てた諧謔とエロスと波動(グルーヴ)詩人・森雪之丞の言葉の軌跡を是非ご体感ください。 森雪之丞 自選詩集『感情の配線』 2024年1月14日(日)発売 特設サイト:https://www.mori-yukinojo.com/emotional_wiring/ ハッシュタグ:#感情の配線 #推詩森雪之丞スタッフX: https://twitter.com/yukinojo_news
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