EPISODE · Aug 23, 2026 · 38 MIN
089.【自然発生説】”白鳥の首フラスコ”が証明した「生命は生命からしか生まれない」『ルイ・パスツール05』
from 生命科学の冒険者
ラセミ酸の合成成功で有頂天になったパスツール。妻マリーが父親宛に「ルイはニュートンやガリレオ並みの実験をしている」と誇らしげに書き送るほどでしたが、次に彼が没頭したのは、なんとも奇妙な実験でした。「宇宙の力を人工的にひっくり返せば、植物は左利きの分子を作るはずだ」と信じ、逆回りの太陽光を模した鏡装置や巨大電磁石、回転装置まで動員する”オカルトすれすれ”の挑戦。結果はまさかの全滅でした。 しかし迷走の後、31歳という異例の若さでリール理学部の初代学部長に大抜擢されたパスツールは、地元の酒造業者から届いたSOSをきっかけに人生を変える転機を迎えます。「お酒が酸っぱくなる」という謎の異常を顕微鏡で調べたところ、正常なタンクと腐ったタンクとで”住人”がまったく違うことを発見。この発見が「発酵は生き物の仕業だ」という科学史に残る大発見へとつながり、化学者だったパスツールは”微生物学の父”へと進化します。 パリへの栄転後も苦難は続き、劣悪な屋根裏部屋を自腹で改装しての研究、有機化学の大御所リービッヒとの激しい論争。そして1859年、研究の渦中で最愛の長女ジャンヌを感染症で亡くすという最大の悲劇に見舞われます。この深い悲しみが、パスツールをより一層”見えない敵”への執念へと駆り立てていきました。 そんな中、パスツールが挑んだのが2000年以上信じられてきた大迷信「生命は無生物から勝手に生まれる(自然発生説)」との対決でした。彼が作り出した天才的な実験装置が、白鳥の首のようにS字に曲がった”白鳥の首フラスコ”。空気は通すのに菌だけは入れないというこの発明が下した判定は?そして決着したはずの論争が、その後15年にもわたって蒸し返されることになった意外な顛末にも迫ります。 【今回のハイライト】 ・鏡仕掛けで太陽の動きを逆転させ、磁石や回転装置で分子の”利き手”を変えようとした大迷走 ・31歳、異例の若さで大学の初代学部長に大抜擢 ・顕微鏡が暴いた「お酒が酸っぱくなる」謎の正体 ・化学者から”微生物学の父”へ――発酵論文で科学界に宣戦布告 ・研究の渦中で襲った最愛の娘を失う悲劇 ・”白鳥の首フラスコ”が証明した衝撃の結末 ・決着したはずの論争が15年蒸し返された意外な顛末   — 読む「生命科学の冒険者」 — 放送内容のまとめや文字起こしなど。メンバーシップ準備中です! https://note.com/lifesciquest — 各種SNS — X : @LifeSciQuest https://x.com/LifeSciQuest https://www.instagram.com/aki_life_sci_quest/ YouTube : あそぶかがく https://www.youtube.com/@%E3%81%82%E3%81%9D%E3%81%B6%E3%81%8B%E3%81%8C%E3%81%8F/videos
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