EPISODE · Apr 20, 2026 · 15 MIN
#38 噂話天国
from 親子の生態図鑑 · host せいちゃんとまっさ
噂には、発端というものがない。気がついたら誰かが話していて、気がついたら本当のことのような顔をしている。この日、まっさとせいちゃんは噂話を持ち寄り、そして自分たちで作り始めた。雪女は息で人を凍らせる。雪男はもさもさしている。石男は顔も足もおっぱいも全部が石でできている。まっさがその場で考えた、このアパートの地下には、昔、食べ物を取り合って死んだ人が埋まっている。それを供養するために毎年春祭りが開かれている。「それ今俺が作っただけだけどね」とまっさは白状した。でもせいちゃんは笑って聞いていた。噂とは、そういうものだ。天国の話になった。雲の上が天国の入り口で、地面の洞窟の中に地獄がある。右と左にはみんなが住んでいる場所がある。斜めは——まだ名前がない。まっさのじいちゃんは、死んだら天国がどんないいところだったか電話で教えてくれると言っていた。でも一向に連絡が来ない。「天国がよっぽどいいところで、連絡するのも忘れてんじゃない」とせいちゃんは言った。それは、たぶん、かなり正しい。せいちゃんが5歳になった。だからシーズン2が始まった。誕生日の会話は、なぜお店には自分で作れないものが売っているのかという疑問へと転がっていった。せいちゃんの仮説は的確だった——糸を作る人がいて、糸を布にする人がいて、布を服にする人がいる。分業という概念を、せいちゃんはすでに体感として知っていた。「空気を作る人とか、まつげを作る人とかもいるんかもしれない」とまっさが言うと、せいちゃんはすぐに返した。「まつげは体が作るんだよ。だからどんどん伸びてくる」。正しい。まっさは今朝も眼鏡にまつげがついていた。紙は何でできているのか。せいちゃんの仮説は「布みたいなもの」。まっさも「そんな気がする」と言った。答えは次回以降に持ち越された。知らないまま終わることも、たまにはいい。
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