EPISODE · Mar 16, 2025 · 14 MIN
ボイスドラマ「42年前の友情」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
物語の舞台は、飛騨高山。時を超えた奇跡の出会いが、一人の女性の人生を大きく動かします。2024年、マーケターとして働くエミリは、声優としての道を選ぶかどうか、人生の岐路に立たされていた。そんな彼女が訪れたのは、飛騨一宮水無神社。そこで彼女は雷鳴とともに、不思議な時間の渦に巻き込まれる。降り立ったのは1982年。そこで出会ったのは、若き日の母だった――。母と娘が同じ年齢で出会う奇跡。42年前の友情が、未来をつなぎ、新たな決意を生み出す。これは、母と娘、そして時を超えた絆の物語。あなたも、あの頃の自分と語り合いたくなるかもしれません(CV:桑木栄美里)【ストーリー】[シーン1:2024年/飛驒一宮水無神社]■SE/鈴の音と柏手を打つ音「御歳大神さま!お導きください!」困ったときの神頼み・・・ってわけじゃないんだけど、やっぱりここへ来てしまった。飛驒一宮水無神社。主祭神は御歳大神(みとしのおおかみ)さま。五穀豊穣の守護神、私たちに命を与える神様だから。平日だからか、境内には誰もいない。私はエミリ。いま、高山市内の企業でマーケターとして働いている。だけど。去年の夏、偶然見つけた声優オーディションでグランプリを獲っちゃったんだ。しばらくはそれだけだったんだけど、今年になって頼まれるようになったのが、声優の仕事。それも、東京で。いまの会社はとても居心地がよくて、声優の仕事が急に入ってもスムーズに休むことができた。とはいえ、いつまでも甘えているわけにはいかない。声優の仕事も少しずつ増えてきたし、会社をやめて声優一本でいくか。それとも、このままマーケターとしてキャリアップするか。「御歳大神さま!どうしたらいいかお導きください!」■SE/雷の音「ゴロゴロゴロ・・・」あ、まずい。降ってくるかな・・・■SE/突然降ってくる大雨〜雷と夕立の音きゃ〜っ。すごい夕立。大杉のしめ縄もあっという間に水浸しになっている。雷大嫌いの私は、頭を下げて、絵馬殿に上がらせてもらう。1m先も見えないくらいの大雨にビビってずうっと目を閉じていた・・・[シーン2:1982年/飛驒一宮水無神社]■SE/雨の音が急に止まり、鳥のさえずりが聞こえる・・・あれ?もう止んだ・・・?恐る恐る目をあけると・・・境内には、1人の女性が。え?夕立の中でずっとお詣りしてたの?でも、よく見ると、服も髪も全然濡れてない。目を見開いて凝視してたからか、目が・・・合ってしまった。「こ、こんにちは・・・」『こんにちは』なんか、よくわからないけど、どこかで見たことある顔・・・『お詣りですか?』「はい、ちょっと神様に相談ごとを」『あら。私もなんですよ。そのためにわざわざ東京から帰ってきたの』東京?帰ってきた?でも高山の人なんだ。ちょっと待って。なんか、本当に見たことある顔・・・っていうか、いつも見ているような・・・はっ。「あ、あのう、お名前伺ってもいいですか?」『え?名前を?』「あああああ、ごめんなさい。そうですよね。いきなりそんな個人情報を・・・」『個人情報って(笑)。大袈裟ねえ。いいですよ、ここで会ったのも何かの縁だし』彼女の口から出た名前は、私がよ〜く知っている名前。毎日顔を合わせている人の名前。苗字は旧姓だったけど。マ、ママ〜!?で、で、で、でも。私と同じくらいの年齢じゃないの!?若い!若いママ!『どうしたの?急に黙っちゃって』「い、いえ、いえ、なんでもありません。急にめまいが・・・」『大丈夫?もう一度絵馬殿をお借りして休んだら?』「いやいやいや、もう大丈夫だから。あの・・・ちょっとだけお話しません?参道とか歩きながら」『うふふ、いいですよ』「ここじゃなんですから、市街まで降りてスタバでも行きませんか?」『スタバってなんですか?』「え?スタバ・・・は、スターバックスコーヒー?」『喫茶店のこと?』「えええええ?ちょっとごめんなさい、落ち着くまで少し時間ください」『はあ・・・』え〜っと、若い頃のママってことは・・・え〜っと、え〜っと「すみません!今年って何年ですか?」『え?・・・昭和57年でしょ』ショ、ショウワ〜!?タ、タ、タイムスリップしちゃったの〜!?頭の中で計算が追いつかない。スマホ、スマホ・・・っと。え?電波がない!なんで?ここ、フツーにアンテナ立ってたじゃん。『それ、電卓?』「あ、いえ、スマ、スマ・・・電卓です」あ、計算機なら電波いらんわ。えっと〜、1982年!?47年前〜!?ってことはママ、25歳(はたち)〜!?そりゃ、若いわ!ってか、タメ〜!?それに・・・めっちゃくちゃキレイ!ヘップバーンみたいじゃん。髪型も。『ヘプバーン?お上手ねえ。ま、たまに言われるけど』おおっと、声に出ちゃってたか。にしてもママ、ノリいいじゃ〜ん。あと・・・これが噂のボディコンイケイケ〜!?(or ニュートラお嬢様系〜!?)『なんか、あなた。面白い人ね』「えっそう?私もママ・・・じゃなくて、あなたみたいな人ともっと話したい」『いいわよ〜。じゃ社務所の前の休憩所でお話しましょ』「はい!」[シーン3:1982年/飛驒一宮水無神社休憩所]■SE/小鳥のさえずりと風の音『へえ〜。声優になりたい?洋画の吹き替えとか?』「あ〜、外画っていうより、アニメかなあ」『アニメって、あられちゃんとかヤッターマンみたいな?』「おお、伝説の!」『ヤッターマンはちょっと古いか。いまだと・・・超時空要塞マクロスとか』「わ〜レジェンダリーアニメだ〜。ジェネレーションギャップ、楽しい〜」『声優なんて食べていけるの?』「ま、まあね」『で、親御さんはなんて言ってるの?』「ママは応援してくれてる」『へえ〜。理解があるのねえ』「そりゃ私のママだもの」『うちのママもそのくらい話がわかると嬉しいんだけど』「どうかしたの?」『う〜ん。まあ、君になら話してもいいか』「気になる〜!教えて、お願い!誰にも言わないから」『実はいま・・・付き合ってる人がいるんだ』「えっ!だ、だれ?」『って名前聞いてもわかんないでしょ』「わかる!」『ヘンな人ねえ。大学のときから付き合ってる人よ』「よかった、パパだ」『え?』「ううん、なんでもない!で、どういうことなの?」『最近、プロポーズされちゃったのよ』「きゃー!素敵!」『その彼じゃなくて』「え?」『タレントさんなんだけど』「ええ〜っ!そいつ、イケメンなの?」『イケメンってなに?』「イケメンはイケメンでしょ。イケてるメン・・・つまり・・・ええっ〜と・・・ハン・・サム?」『まあ、かなりハンサムかな。タレントやってるくらいだし』「そっかぁ。ふうっ」『私、メイキャップアーティストなのね』「知ってる」『え?』「あ、そうじゃなくて、うんうん、そんな感じ」『それで、そのタレントさんを担当してるんだ。その彼がね、映画の打上げのあとでいきなりプロポーズよ』「やだ、最低」『なんでそう思うの?』「だって、彼氏がいるのに」『まあ、確かにね』しかも、その人、うちのママに勝手に挨拶に言って、気に入られちゃってるの』「ダメよ、そんな!」『そう思う?』「そりゃそうよ」『じゃあ、どうしたらいいと思う?』「そんなん、おばあちゃん・・じゃなくて、ママにハッキリ言うべきよ」『なんて言うの?』「私のホントに好きな人は・・・って」『それで?』「彼を実家につれってっちゃえば?」『いきなり〜!?』「だって、そのタレントもいきなり実家に行ったんでしょ」『まあ、そうか』「なんてやつだ」『え?』「いや、なにも。と、とにかくさあ、行動あるのみよ」『そうだなあ』「だってさ、聞くけど、あなた、その彼のことどう思ってるの?」『どうって・・・そりゃ、好きだけど』「それだけ?」『いや、そばにいると安心するとか』「いないと?」『ちょっと、寂しい・・かな』「でしょ。そう思える人と一緒になるべきよ」『一緒になるって・・・結婚するってこと?』「当然よ」『結婚か・・・』「お願い!彼と結婚して」『なんで、あなたがそんなこと言うの?』「え、あ、だって、その・・・話聴いてるだけで、すごく素敵な人っぽいんだもん」『なんか、具体的に話したか?』「言ったわよ。背が高くて、見た目いかついけど優しいって」『そんなこと、言ったか』「言った。とにかく、ここで会ったのも何かの縁でしょ。あなたに幸せになってほしいのよ」『スッキリはしないけど、まあ、わかったわ』「あ〜よかったぁ。一時はどうなることかと・・・」『で、あなたはどうなの?』「へ?」『声優になりたいんでしょ』「うん・・・」『じゃあ、迷うことなんてないじゃない』「え・・・」『安定とかそんなの関係ない。一度きりの人生でしょ。後悔しないいように生きなさい』「あ・・・うん、わかった。ありがとう!ママ」『ママじゃないでしょ。やあねえ』「ごめん」■SE/雷の音「ゴロゴロゴロ・・・」
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