EPISODE · Mar 14, 2025 · 11 MIN
ボイスドラマ「Dr.エミリ〜救急救命室」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
飛騨高山の小さな病院。そのER(救急救命室)には、一人の女性医師がいる。彼女の名はエミリ。元は脳神経外科医だったが、10年前から救急医療の道を歩み続けている。 ERは、いつだって戦場だ。重篤な患者が次々と運ばれ、時間との闘いが続く。目の前の命を救うことに全てを捧げ、仮眠をとる暇さえ惜しんで働く日々。しかし、エミリには特別な能力がある。それは、患者の心の声が聞こえること。 言葉を交わせない患者の思いを読み取り、適切な処置へと導く。時に奇跡と呼ばれるその力を駆使して、彼女は今日も命と向き合っている。 本作は、そんなERの最前線で繰り広げられる、医師・エミリの奮闘記である。救命医療の現場にあるリアルな葛藤、患者との心の交流、そして彼女自身の人生。この作品を通じて、救急医療の現場に携わるすべての人たちへ、深い敬意と感謝の意を表します(CV:桑木栄美里)【ストーリー】<『ドクターEmily〜救急救命室』>【資料/ERとは】※カンゴルーhttps://www.kango-roo.com/word/21190#:~:text==基本的に全ての,に引き継ぐことになる。[シーン1:ER病棟/運ばれてくる患者1]■SE/救急車のサイレン/あわただしく運び込まれる救急患者「どうしたの?」「ひどいアシドーシスで」「すぐに処置室へ!」「ペーハー6.85。さらに低下中」「電解質補給して!」私はERドクター、エミリ。医師になって今年で25年。国内のERドクターは、研修医とか若いドクターが多いんだけど、私にとっては天職。元々は脳神経外科医だった私が10年前からずうっとER専門医として救急救命室で働いている。”神の手”これは一時、私に与えられた称号。口も聞けないような重症患者でも、即座に症状を把握して適切に治療してきたからだ。なぜなら、生まれたときから私には、人の心が読めるのである。「大丈夫ですか?」「私の目を見て」「喋らなくてもいいので、いつからこうなったったかをゆっくり考えてください」患者は私の目を見つめながら、心の中で訴える。”私は1型糖尿病””朝から体がだるくて””のどがすごく乾くし””吐き気もひどくて”なるほど。「いいですか、もう病気のことは考えなくていいから」「リラックスして、楽しいことを考えましょう」そう伝えると、いま人気のアニメのテーマソングを歌い出す。もちろん心の中で。40代くらいの男性患者は安心した顔でゆっくり目を閉じた。私は、適切な処置をしたのち患者を糖尿病内分泌科に引き継ぎ、仮眠室へ。と思ったら、病院入口に赤色灯が近づいてくる。[シーン2:ER病棟/運ばれてくる患者2]今度は60代の男性。え?なんか普通に歩いてくるけど。服装も乱れてないし。とりあえずトリアージルームへ。「どうしました?」「私の目を見てください」なんか、視線を合わせようとしないな。私は強引に顔を正面に向けさせて瞳を覗き込む。(※男性M)※以下3行”めんどくさいなあ””タクシー代もったいないから救急車呼んだんやさ””痛風で歩けないんだよ”あ〜あ。またこれか。とりあえず、尿酸値の上昇を抑える薬を処方する。(※男性M)”え?これだけ?”「痛風の対症療法としてできることは限られています」「日を改めて、内科に通ってください」「尿酸値のコントロールをする治療プランを内科医から提案します」患者さんはあきらかに不満そうな目で私を睨む。(※男性M)※以下2行”なんだよ、やっぱり女の医者じゃあかんて””ま、ええわ。またくるで”「救急車でくるのはやめてくださいね」「自力で歩ける人は自力で病院にきてください」「本当に救急車が必要な病人や怪我人がいるってこと、忘れないように」60代のおじさんは、ひどく差別的な言葉を心の中で叫んで、帰っていった。おお、まさに昭和のカスハラだわ。ふうっ。それにしても最近、ERに搬送されてくる患者が多いな。季節の変わり目だからかも。[シーン3:仮眠室]仮眠室で息子からのLINEを見ながら横になる。”ママ、今日帰ったら話があるんだ。何時に帰れそう?”夜勤明けで仮眠とりたいのについ返信しちゃう。「多分夜8時くらいかなあ。夕飯は食べといてね」”それなら僕がママの分作っておいてあげるよ”「どういう風の吹き回し?気持ちわる」”ひどいな。女手ひとつで僕を育ててくれたお礼だよ”「ますます気持ち悪い」”まあ、いいからいいから。夜勤明けでしょ。ちゃんと仮眠とってね”ありがとう、のスタンプを返してスマホを閉じた。と同時に瞼も自然と閉じていく・・・久しぶりに夢を見た。息子と私が駆けていく先には、いまは亡き夫。息子の父親。夫は久しぶりにお話したいのに、前方を指差して私たちを急かす。もう、相変わらずせっかちね。私たちは靄(もや)に煙る雨の中へ走っていった・・・[シーン4:ER病棟/運ばれてくる患者3]■SE/救急車のサイレン/あわただしく運び込まれる救急患者けたたましいスタットコールに、夢の世界から連れ戻される。コードブルー。ER専門の看護師がトリアージ判定をした。救急搬送された患者の容体が重篤であることを示している。「交通事故です」「意識は?」「かろうじて」「わかった」息子と同じくらい。25歳くらいの若い女性。血液で汚れた体を拭いてあげながら声をかける。「私の声が聞こえますか?」「大丈夫ですよ、私たちがすぐに処置を行います」「私の目を見て心の中で答えてください」「お名前を教えてもらえますか?」「事故のときのことを覚えていますか?」「どこか痛みますか?」「呼吸は楽にできますか?」「今から体をチェックしますね。少し動かします。」彼女は心の中ですべて答えてから、意識を失った。彼女の頭部の出血が気になり、CTスキャンとMRI検査をおこなう。骨折も含めたオペは30分で終わった。引き継ぎは、整形ではなく、まずは神経外科へ。彼女が答えてくれた心の声が、頭に残る。”彼に知らせないと””私を待ってるのに”心の中で自分の体のことよりも、そればっかり言っていた。気になるから今日の勤務終わったら、リカバリールームのぞいてみようかな。[シーン5:回復室(リカバリールーム)/モニタリング中]■SE/点滴と心電図の音+扉を開く音「ガラガラ〜」「あれっ?」「あ、ママ」「なんであなたがここに?」「だって彼女・・・今日ママに紹介しようとした人だもん」「え?」息子は私の目を見て問いただしてくる。「彼女、大丈夫だよね?ちゃんと治るよね?」「頭部に怪我してるから」「CTスキャンとMRIでは大丈夫だったけど」「バイタルもまだ安定しないし」「このまま意識が戻らなければICUに入ってもらうわ」「そんな・・・なんとかしてよ!お願い」「最善を尽くすから」「助けて!」「でもどうしてあなた、事故のこと知ったの?」「彼女のスマホ、緊急連絡先が僕なんだ」「え?」「彼女、小さい頃両親を交通事故で亡くしてて」「そうだったの・・・」実は私、息子の心の中は読めない。シナプスに異常があった父親の遺伝かもしれない。だが、表情で心はわかる。亡くなった父と同じ、裏表のない人間だから。その息子が目を潤ませて必死で訴えてくる。「僕のせいだ・・・準備するから急いできてって言った・・・僕のせいだ」「準備?」「ママの誕生日をお祝いしようと思って」誕生日?そんなの、全然覚えてなかったよ・・・「彼女、すごく楽しみにしてたんだ」「そうなの」「ママ、お願いだから彼女を助けて!」彼の悲痛な声がリカバリールームに響き渡ったそのとき。「ごめんなさい」私の頭の中で彼女の声がささやいた。「え?」息子は私の肩越しに、目を見開いている。「め、目が・・・」振り返ると、目覚めた彼女の瞳は肩越しの息子を見つめていた。「まさか、息子を通して私に?」私はすぐに脈をとり、バイタルを測る。「私の声が聞こえる?」彼女はまばたきをしながら小さくうなづく。息子は彼女の手を握って何も言わずに泣いている。「ごめんなさい」先ほどと同じ声で同じ言葉が返ってきた。今度はリアルに空気を伝って。「大丈夫。わかったからもうしゃべらなくていいわ。心の声で聞かせてちょうだい」”ごめんなさい、おかあさん”ああ、息子から私のこと、聞いていたのね。そうか、これでわかったわ。大丈夫。私たちはもう家族だから。私は彼女と息子を交互に見てつぶやく。「これから、末長く、よろしくね」
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