EPISODE · Mar 19, 2025 · 15 MIN
ボイスドラマ「イマジナリーママ」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
飛騨高山の町並みが、私の心の奥深くに眠る記憶を呼び覚ます。誰しも、幼い頃に“見えない友だち”と遊んだ記憶があるかもしれない。けれど、それは本当にただの“想像”だったのだろうか?『イマジナリーママ』は、母親の記憶を持たない少女・エミリが、心の中で描いた“理想のママ”との交流を通じて、自分の過去と向き合い、未来へと踏み出す物語。家族の形とは?愛とは?そして、想像の世界が現実と交わる瞬間とは?高山の静かな街並みを舞台に、エミリの心が紡ぐ、優しくて切ないひとときをお届けします。物語の中で、あなたの心にも、“イマジナリー”な大切な存在がそっと寄り添うかもしれません(CV:桑木栄美里)【ストーリー】[シーン1:夢の中〜幼女時代】■SE/夢の中のイメージ(浮遊感のある環境音)■SE/女の子の泣き声「え〜ん」『大丈夫。大丈夫。怖くないよ、エミリ。僕がいるから安心して』まだ言葉も喋れない時分。優しい声で、私を悲しみの淵から救ってくれたのは・・・さるぼぼだった。私はなぜか、いつでもその声を聴くと安心して、深い深い眠りの中へ落ちていった・・・[シーン2:さるぼぼとともに〜幼稚園時代】■SE/幼稚園の環境音「え?エミリのママ?いないよ。ずうっと前から。写真?ない。本当に、一枚もないんだもん。パパに聞いたら、昔火事で全部焼けちゃったんだって。パパ?パパはいるよ。でも毎朝あたしを幼稚園に送ったらずう〜っと夜遅〜くまでお仕事してるの。寂しくないかって?う〜んと・・・この子がいるから大丈夫!さるぼぼくん。え?男の子だよ。だって、ちっちゃい頃、お話してくれたもん。男の子の声だったもん。いまはもう、なぁんにも言わないけど。口がないから、しょうがない。あ、うん。じゃあね。ばいばい」よいしょっと。え〜っとね。あたしは夜遅くパパが帰ってくるまで、幼稚園にいるの。それじゃあ、さるぼぼくん。今日もママに会わせてくれる?私は、さるぼぼの頭をやさしく撫でて目をつむる。すると、ぼんやりと白い影が現れ、すぐにママの姿になっていった。イマジナリーママ。始まりは、幼稚園に入って間がないとき。気がつくと、頭の中で、ママを思い描くようになった。そう、今で言う、イマジナリーフレンド。でも、おともだちじゃあなくて、ママ。だからイマジナリーママ、でしょ。顔さえ覚えてないママ。私がまだ物心つく前に死んじゃったし。写真がないんだから、想像するしかないもん。最初はただ、想像して楽しんでいるだけだった・・・私が思い描くイマジナリーママ。ストレートのロングヘアを、落ち着いたシニヨンにまとめている。ダークブラウンの髪色。いつも シンプルで上品なワンピースを着こなす。卵型の美しい顔立ち。ちょっとだけ、私に似てるかな。最初は、私を見て、微笑むだけだった。嬉しいときも、悲しいときも、目を閉じれば優しいママの暖かい笑顔。私は喜んだ。やっと、ママができた。いつまでもママと一緒にいたいな。[シーン3:ママとお話〜小学校時代】■SE/小学校の運動会小学校に入ったら、ママとお話ができるようになった。かけっこの苦手だった私が初めて運動会で2着になったとき。「がんばったね」そう言って、頭を撫でてくれた。想像してた通りの、よく通る澄んだ声。さるぼぼの頭をなでるだけで、ママの声が聞こえてくる。目を閉じれば、いつでもママに会える。パパは相変わらずお仕事が忙しい。最近はかけもちで、土日も働いているから、お話する時間もない。でもいいの。私にはママがいるから。悩み事はぜんぶママに相談する。ママは、期待通りの答えを私に言ってくれた。[シーン3:ママとお話〜小学校時代】■SE/中学校の教室中学校に入っても、私は自分の時間をママと過ごす。そんなとき、数少ない友だちのひとりに質問された。エミリのパパは本当のパパじゃないの?え?どうして?どうして知ってるの?ご近所が噂してる?「そんな噂、無視しなさい」ママが笑って答える。うん、そうだ。噂なんてくだらない。でも、噂はさらに追い討ちをかける。血が繋がっていない男女がひとつ屋根の下で暮らすのってどうよ、だって。「ばかばかしい」そうだよね、ママ。ばかばかしい。でもね、私、決めてるんだ。もし、パパに彼女ができて、結婚することになったら、私、家を出て行こうって。ママは少し悲しそうな表情で笑った。初めてだな、ママのこんな顔。学校帰り、近所のおばちゃんたちが噂してるのが偶然聞こえてきた。『小さい頃、虐待されてたみたい、エミリちゃん・・・』私のことだ。『亡くなった母親に』え?うそ?そういえば、小さい頃体に痣がいっぱい残ってた。でも、そんなはずない。だって、ママはこんなに優しいのに。さるぼぼを撫でて、目を閉じる。あ。泣いてる、ママが。あんな噂、うそだよね、ママ?ママは何も言わず、ただ泣いていた。しばらく、その場から動けず、しゃがみこむ私。立ち上がれない私の後ろから、『エミリ』声をかけてきたのは、パパだった。『久しぶりに早く帰れたから、夕ご飯外食しない?』「うん・・・」パパは、なにがあったのか、聞いてはこない。そういうところが、私は好き。目をつむると・・ママ、笑ってる。よかった。[シーン4:高山ラーメンのお店〜パパの告白】■SE/高山ラーメンのお店の環境音夜中までやってるお店で高山ラーメンを食べたあと、パパが口を開いた。『今日はね、相談があるんだ』「なんか嫌な予感」『いやいやいや、全然そんなんじゃないから』「ふうん」『ないんだけど・・・実は・・・会ってほしい人がいるんだ』え?まさか、このタイミングで?そのあと、パパが話したことは、半分くらいしか耳に入らなかった。会ってほしい人・・・年齢が26歳で、マーケティング会社で働いていて・・・動揺していることを気取られないようにして、その場を取り繕った。その夜、早々にベッドへ入り、さるぼぼを撫でて目を瞑る。ママ!助けて!だけど、現れたママは・・満面の笑み。なんで?なんで?「エミリ、お別れよ」うそ!?そんな!これからはずっと、ママにいてほしいのに。「幸せになるの」無理!無理だって!ママ!それだけ伝えるとママは消えてしまった。私は、途方に暮れて、1人で荷物をまとめ始める。そこへ突然、■SE/ノックの音『ちょっといいかい?』パパだ。部屋に入ってくるなり、パパは、荷物をまとめる私を見て狼狽えた。「パパ、いいの。何年も前から決めてたことだから」え・・・パパはいきなり、涙を流し始めた。そして、『出ていく前に聞いてほしいことがあるんだ』それは、私の出生にまつわる話。『ママが高山に引っ越してきた12年前の話』『エミリはまだ1歳にもなっていなかったけど、実の父親からひどい虐待を受けていたんだ』え?虐待・・・?『ママはいつもエミリを庇ってたんだけど、そのうち病気になっちゃったんだ』病気・・『僕はそのとき、大学生。ママが働いてたカフェでアルバイトしてたんだよ』大学生・・『父親は外面がよかったから、エミリの痣を見た人はみんな母親が虐待したって思ってた』『僕は誤解を解くのに必死だったけど、ママの病気はどんどん進行していく』『いたたまれなくなって、ママに言ってエミリを父親の元から遠ざけたんだ』『そのときに渡したさるぼぼ、今でも持っててくれるよね』あ・・このさるぼぼ・・・じゃあ、あのとき聞いた声・・さるぼぼの声・・・パパだったの!?『そのあと、父親は事故で亡くなって・・』「僕は大学を辞めて働きはじめた」『そしてママに結婚を申し込んだ』え・・『だけど、ママは首を縦に振らなかった・・』『それだけじゃなくて・・・』『自分たちの写真を全部燃やしたあと・・』『エミリを連れて、命を断とうとしたんだ』うそ・・『僕が行くのがあと1分遅かったら・・・ギリギリのところで間に合ってママを止めたよ。僕はママを連れてその足で市役所へ行った』だから・・『婚姻届にサインしてもらったんだ。そのときから僕はエミリのパパなんだ』そうだったんだ・・・「だからエミリ。出ていっちゃだめだ!エミリはママとパパの娘なんだから』『エミリが嫌なら、彼女とも会わない』「そんなの絶対にイヤ!!」『エミリ!』その夜、パパと私は朝まで話し合った。ずっと聞きたかったママの思い出を※続きは音声でお楽しみください。
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