EPISODE · Oct 16, 2025 · 18 MIN
ボイスドラマ「LOBO★ユアフレンド」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
久々野町の森にひっそりと暮らしていたオオカミの母と子。クマに襲われ、母を失った子ども「カムイ」が、幼稚園児の少女・りんごと出会うことから物語は始まります。“ロボ”と呼ばれ、人間の家族と暮らしながらも、心の奥底には「オオカミの誇り」を宿し続けるカムイ。彼はりんごを守るため、幾度となく命を張ります。そしてついに訪れる、運命の夜──。母が遺した言葉を胸に、最後の最後まで少女を守り抜いたカムイの姿は、聞く者の心を揺さぶります。「もしも、ニホンオオカミが生き延びていたら?」そんな“もし”を描いた感動のボイスドラマを、ぜひお聴きください。【ペルソナ】・カムイ/LOBO(0歳〜)=子どもの狼(CV=坂田月菜)※カムイはアイヌ語で「神」・母狼(30歳くらい)=誇り高き飛騨狼の最後の生き残り(CV=小椋美織)・りんご(5歳)=久々野町の幼稚園年長さん。(CV=坂田月菜)・ママ(28歳)=りんごのママ(CV=岩波あこ)・パパ(32歳)=りんごのパパ(CV=日比野正裕)・ニュースアナウンサー=宮ノ下さん(カメオ)【参照:日本オオカミ協会】https://japan-wolf.org/faq/<シーン1/久々野の森から国道41号へ>◾️SE/森の中/虫の声/クマの声「カムイ!逃げて!」「おかあさんは!?」「いいから逃げなさい!ウェン/カムイより早く!」おかあさんはボクを庇うように、大きなクマの前に回り込んだ。ウェンカムイ。ボクたちを襲ってくる悪いクマのことをおかあさんはそう呼んだ。弟のイメルも妹のレンカもウェンカムイに襲われていなくなった。おかあさんとボク=カムイは、オオカミの母子(おやこ)。オオカミ?正しくはニホンオオカミって言うんだって。ボクたちはここ久々野で生まれ、久々野で育った。おかあさんは一之宮からやってきた、って言ってたけど。ボクは夢中で逃げた。無我夢中で走ったら、目の前には人間が作った大きな道。よし、あの向こうまで行けば・・・勢いをつけて飛び出す。そのとき、◾️SE/急ブレーキの音「カムイ!あぶない!」「おかあさん!」草むらから飛び出したおかあさんが、ボクに体当たりした。ボクは道の端に投げ出され、お母さんも草むらへ。「おかあさん!おかあさん!」おかあさんは草むらに横たわって動かない。ただ、ボクの方をじっと見つめた。おかあさんの声は心の中に直接聞こえてくる。「ねえ、カムイ。聞いて。覚えておいてほしいの。私たちは誇り高きニホンオオカミ。ここ、飛騨では神の使い」「かみさま?」「そう。だから、これからも悪いやつに負けちゃだめ。どんな大きな相手でも背中を見せてはいけない」「うん、わかったよ」「もし、あなたに家族ができたら命懸けで守るのよ。家族なんて・・無理かもしれないけど・・・」「おかあさん・・?」「さあ、もう・・・いきなさい・・・」「おかあさん!」「ここにいちゃ・・いけない」そう言っておかあさんはゆっくりと目を閉じた。「おかあさん!おかあさん!どうしたの?なんで返事してくれないの?」「おかあさん・・・」「わかったよ・・・ボク、いくね・・」ボクはおかあさんにさよならを言って、大きな道をもう一度渡っていった。「あぶない!」「えっ?」気がつくと、さっきよりおおきな乗り物が目の前を走り去っていった。ボクを抱きかかえて尻餅をついているのは・・・人間のこども!「あぶなかったねー」と言って、ボクの頭を撫でてくる。「さわるな!」「こら、助けてあげたのに怒っちゃだめでしょ。りんご、年長さんになったから知ってるもん。親切にされたら『ありがとう』って言うんだよ」なに言ってるかわかんないけど、ちょっと困った顔をして、もう一度触ってきた。あ、あったかい・・・「よしよし。もう道路に飛び出しちゃだめだよ。じゃあね。ばいばい」そう言ってどっかへ行っちゃった。「おかあさん・・・」どうしてかわかんないけど、ボクは女の子のあとをついていく。大きな道から、少し小さな道へ。おっきくてながぁい乗り物が走る道も越えて。りんごがいっぱい実っている畑を通ったとき女の子は振り返った。ボクも距離を保ったまま立ち止まる。「あれぇ?ちびちゃん、ついてきちゃったの?」女の子はしゃがんで、ボクに向かって小さな手をふる。なんだ?よくわかんないけど、そばへ行ってみよ。「どうしよう・・・ママ、犬、きらいって言ってたよなあ・・」「ねえ、いい子にできる?」なに言ってんだ、こいつ。「できるよね?」ボクが首をかしげると、「もう〜。いい子にしないと、追い出されるんだってば!」また困った顔。しかたないなあ。そっち行ってやるよ。<シーン2/久々野町・りんごの家>◾️SE/食卓の音「ちゃんとりんごが自分で面倒みるのよ」女の子のお母さんがボクの方を見てなにか言った。どういうこと?「よかったね!ちびちゃん!」女の子はボクを抱いて大喜びしている。あれ?なんか知らないうちにこの子のこと、嫌じゃなくなってるかも。一緒にいた男の人が、ボクを「ロボ」と呼んだ。なんだ、それ?ボクの名前はカムイ。カムイだぞ。「ロボ、これからアタシが面倒みるからね!アタシの名前はリンゴ。覚えてね。リ・ン・ゴ」りんご・・・。この子が、りんご。ボクとりんごは、こうして家族になった。ボクは、人間の匂いがする寝床を作ってもらったけど、そんなんやだな。りんごの寝床にあがって、横に寝た。次の朝、りんごは背伸びをして目覚め、ボクを抱っこして、外へ。「おしっこだよ〜」なに言ってるかわかんないけど、りんご畑の方へ駆けていく。おかあさんに教えてもらったように足をあげて、畑の木におしっこをかけた。ここはボクとりんごの縄張り。誰も入(い)れないから。それからの毎日はいつもりんごと一緒。りんごがいないお昼間は、縄張りに目を光らせる。ボクが守ってあげないと。◾️SE/狼の遠吠えたまに、夜になるとおかあさんのこと思い出して叫んじゃうけど。「ロボちゃんはおりこうね。キャンキャン言わないから、ママに怒られない。りんごも見習わないと」りんごの言ってることはちんぷんかんぷんだけどボクの頭を撫でるときは、喜んでるとき。朝はいつもお散歩。当然ボクはりんごを守る。ある日、散歩の途中で大きな黒い犬が現れた。「あ!おっきな犬!怖いよぉ!」黒い犬は、りんごが怖気付いたのを見て、こっちへ駆けてくる。「きゃあ〜!助けて〜!」「大丈夫。心配ない」ボクはりんごの前に立ち、犬を睨みつける。ボクより何倍も大きな体。でも、そんなの関係ない。『私たちは誇り高きニホンオオカミ。どんな大きな相手でも背中を見せてはいけない』おかあさんの声が頭の中に響く。ボクは、まったく怖くなかった。低い唸り声をあげて犬を睨む。ボクと目が合ったとたん、犬は顔を伏せた。「りんごに近づくな」低い唸り声を犬に投げつける。犬はあっという間に逃げていった。「ロボちゃん、りんごを守ってくれたの?」ボクは、犬が見えなくなるまでじっと睨み続けていた。<シーン3/成長するロボ>◾️SE/大自然の音(野鳥の声)久々野で生まれたボクは、新しい家族とともにだんだん大人になっていく。一年後。毛並みは濃い茶色へ。いつでもりんごの横で、警戒を怠らない。そんなある日。ボクたちの家には、たくさんの人間が集まっていた。「ロボちゃん、今日はりんごの誕生日なの。一緒にお祝いしてね」よくわかんないけど、りんごの笑ってる顔を見るのは嬉しい。だけど、りんごと同じくらいの年。オスの子どもがりんごのものを奪って逃げようとした。♂「返してほしいか?」「やだ!返して。それ、私のプレゼント!」(※泣きながら)♂「ふん。とれるものならとってみろ!へへへ」ボクはすぐオスの子どもの目の前に回り込んだ。睨みながら、鋭い牙を剝き出して、ゆっくりと一周する。低い唸り声が響く。「りんごからとったものを返せ」♂「な、なんだ。こいつ。気持ち悪い!」オスの人間は泣きながら、逃げていった。ボクは取り返したものをりんごに渡す。「ロボちゃん、ありがとう」りんごは泣きながら、ボクを抱きしめた。「大丈夫だよ、ボクがいるから」◾️SE/大自然の音(野鳥の声)さらに一年後。りんごとボクは2人だけで過ごすことが多くなった。お父さんとお母さんはりんご畑から帰ってこない。「ごめんね、りんご。今からお夕飯作るからね」「いらない」寂しさと悲しさの入り混じった声だ。「なんだ、その言い方は!おかあさんに謝りなさい!」「やだ。知らない」「ちょっと待て!」お父さんがりんごの肩に手をかける。「やめろ!!」ボクは思わず叫んだ。「なんでそんなことするの?みんな家族じゃないか」ボクは全身の毛を逆立ててお父さんを睨む。お父さんは慌ててりんごから手を離した。「ロボ!なにするんだ!」と言いながら、今度はボクに手を振り上げた。ボクはお父さんとりんごの間に割り込む。りんごが怪我しないように、おとうさんを睨みつけた。「ロボちゃん、やめて」りんごが泣きながらボクを抱き寄せる。みんなボクのこと、ウェンカムイを見るような目で見つめていた・・・※続きは音声でお楽しみください。
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