EPISODE · May 15, 2026 · 16 MIN
ボイスドラマ「NAGACHIKA/前編」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
本能寺の変。燃え盛る二条御所で、織田信忠を救おうとしていた戦国武将・金森長近。しかし次に目を覚ますと、そこは2026年の高山の高校だった。歴史好き女子高生・知花の体に入った長近は、現代の“歴史”と向き合うことになる。飛騨高山を築いた名将・金森長近。その知られざる想いを描く、「ヒダテン!」歴史ファンタジー作品!【ペルソナ】・金森知花(ちか/17歳/CV:坂田月菜)=高山市街地の高校2年生。レキジョで剣道部・織田信乃(しの/17歳/CV:坂田月菜)=知花の親友。少しだけわがまま・金森長近(ながちか/59歳=本能寺の変の時点での年齢/CV:日比野正裕)=知花と入れ替わる・明智光宏(あけち先生/55歳=本能寺の変の光秀の年齢/CV:日比野正裕)=実は生徒思いの教師【プロローグ:1582年/京都・二条御所「本能寺の変」】◾️SE:襖を開く音『なに!明智光秀が謀反だと!?』『信長様は自害?まことか、まことの話か!』『嫡男(ちゃくなん)の信忠(のぶただ)様は?・・・逃れて、二条御所へ?』『行くぞ!長則(ながのり)!二条御所じゃ!なんとしても信忠様をお守りせねば!』◾️SE:燃え盛る炎の音『遅かったか!おのれ!光秀!御所に火を放つとは!正気の沙汰か!』『ええい!放せ!長則!止めるでない!』『信忠様〜!この長近めがすぐに参りまするぞ〜っ!』◾️SE:炎の轟音【シーン1:2026年/高山市街地の高等学校】◾️SE:学校のチャイム「ハッ!ど、どこじゃ?ここは!」◾️SE:教室の扉を開ける音「はーい、席についてー。歴史の授業、始めるぞー」「信忠!信忠様は!?」「ちょっとぉ、知花。大丈夫?寝ぼけてんの?明智先生、こっち見てるよ」「明智!明智だと!?」「しっ。だまって」「じゃあ、先週の続きなー。織田信長の天下取りまでやったから・・・」「こやつ、上様を呼び捨てに!」「だから、静かにして、って」(※ここ、小声で)「う、うむ。わかった。して、お主は?」(※ここも、小声で)「もう〜、なに言ってんの。信乃でしょ、シノ」(※ここ、小声で)「シノどの。すまぬ。ときに、ここは、どこじゃ?」(※ここも、小声で)「ま〜た、歴史のゲーム?それ放課後にして」(※ここ、小声で)これは、どういうことだ。わしはつい先ほどまで二条御所にいたはず。そうだ、信忠様をお助せんと火の中へ・・・だが、ここは?どこだ?「ということで、教科書128ページ。ここ試験に出るからなー。比叡山延暦寺の焼き討ち。1571年の衝撃的な事件だ」「なに!?」「もっと声落として」(※ここ、小声で)「こ、心得た」(※ここ、小声で)「信長は仏罰も恐れず、山を丸ごと焼き払った。まあ、今で言う『サイコパス』だな」「信乃どの、さいこぱすとは何ものじゃ?」(※ここ、小声で)「和訳すると、ってこと?えっと・・狂人、とか、人でなし、ってことかな」(※ここ、小声で)「なんだと!(※椅子から立ち上がる)この無礼者!」「ちょ、知花!」(※小声で叫ぶ)「ん?どうした?金森。なんだまた の血が騒ぐのか?」「明智どの、よいか。よく聞くがよい。わしもあのとき軍勢にいたからな。あのとき、延暦寺は武装した僧兵(そうへい)の集団だった。上様は、『味方にならなくとも良いが、せめて中立を守れ。さもなくば山を焼き払う』と何度も警告していたのじゃ。それを無視し続けたのは延暦寺の方であろう」「まあ、そんなことはわかっとる。オレも歴史の教師だぞ。じゃあ聞くがな、金森。どうして信長は、僧だけでなく、山にいた女子供まで切り捨てた?」「う・・それは・・・」わしとて、好き好んでそんな行為をするものか。だが、あのとき、上様に逆らえる者などこの世にはいなかった。「なんとか、女子供だけでも逃してやりたかった・・」(※苦悶の言い方)「あ、それ、テレビで見た」「しかもな、オレが許せんと思うのは、信長がそれを家来にやらせた、ということだ。自らは手をくださず、明智光秀と羽柴秀吉に命じた。これを卑怯と言わずしてなんとする」「う・・うう・・・」返す言葉もない。思い出さぬようにしておったのだが・・・わが人生の”汚点”と言ってもいいのやもしれぬ。この奇妙な世界で、明智という名を持つ者にここまでやり込められるとは・・・無念なり。【シーン2:2026年/高山城址】◾️SE:高山城址の雑踏「いいか、みんな。せっかく社会見学に来たのだから、なにかを学んで帰るんだぞ」わしが、このあやかしの世界に来てからはや一月(ひとつき)の月日が流れた。いまごろ二条御所はどうなっておろうか・・信忠様は?長則は無事にお守りいたしておるのか・・心配でたまらぬ・・「知花、ま〜た、ぼ〜っとして。高山城址(たかやまじょうし)だよ。前から来たい、って言ってたじゃない」「高山城址・・・?」「珍しいねえ。レキジョの知花が知らないなんて」「高山城を築いたのは、みんなもよく知ってる金森長近だ」「え・・・そうなのか」「天正13年。1585年。長近は、三木自綱(みつき よりつな)を滅ぼして飛騨の領主となった」「天正13年・・・だと。本能寺よりわずか3年で・・」「それを命じたのは、秀吉だ」「ひ・・・秀吉どのが?ということは、つまり・・・」「その3年後に高山城の築城が始まり、完成までに16年を要している」「では・・・なぜ、いまその城がないのか」「ま、改易とかいろいろあって高山城は、元禄8年に取り壊された、ということだ。この城址(しろあと)を見て、何か感じるものはないか?」「あはれなり」いったい、なにがあったというのか。わしは、苔むした城址を眺めながら、心に寒い風が吹くのを感じていた。【シーン3:2026年/体育祭・騎馬戦】◾️SE:騎馬戦の賑わい「ぬかったぁ!敵の術中にまんまとハマるとは!」まさか、このあやかしの世界にも『合戦』があるとは思いもしなかった。『体育祭』という戦の中の『騎馬戦』というものらしい。しかも信乃どのの推薦により、我が軍、1組の大将はこのわし。総大将は、明智殿である。徹底的に策を練り、戦に臨む。ふむ。敵の兜を奪えば、勝ち戦となるのだな。首をとるということか。わかりやすい。心得た。なにより戦場での振る舞いは、わしに利があるはずじゃ。◾️SE:ホイッスルの音笛の音とともに戦は始まった。しかし、敵の2組はひたすら猪突猛進。これは・・・いかなる戦術か。考え過ぎてつい油断したのが、失敗であった。敵の突進をかわそうと転進を命じた際、馬は大きくよろめく。いかん! このままでは馬が潰れ、わしの足が地についてしまう!わしは咄嗟に、崩れゆく馬の背を己の体幹で支えた。馬である信乃たちの肩に全ての荷重を預けて強引に体勢を戻す。その瞬間。わしの足首に、激痛が走った。うっ・・・落馬こそ免れたものの、これでは・・・戦を指揮する大将が、初手(しょて)で負傷するとは・・長近、一生の不覚なり!「知花!大丈夫!?」「なんの、これしき!心配無用じゃ」「金森、見せてみろ」「大したことではない」「うむ・・・そうか。よし。残念だが、棄権しよう」「なんだと?」「体育祭の本文は、戦いに”勝つ”ことではない」「なに・・」「生徒の体を守ること。決して傷つけないこと。それが、総大将であるオレの仕事だ」「うむ・・・理(ことわり)だな。そうか・・・明智殿がわれらのこと、慮(おもんばか)る気持ちはよくわかった。だが、貴殿も武士(もののふ)であれば理解できよう。大将が敵に背を向けるなど、あってはならぬこと。頼む。明智殿。武士(ぶし)の情けだ。わしの体はなにひとつ問題はないのだ」「先生、あたしたちからもお願いします!知花は剣道部のエースなんだし。自分のことはよくわかってるはずです。続けさせてください!」十兵衛、いや、明智殿は、わしの目をしばし見つめたのち、口を開いた。「わかった・・・そこまで言うなら・・・だが、約束だ。決して無理はしないこと。もし、少しでも難しいと思ったら棄権するぞ」「御意。かたじけない、明智殿」「知花、よかったね」「ああ、恩にきるぞ」「よ〜し、いくぞ!川中島だぁ」「ん?信乃どの、いまなんと?」「川中島の決戦でしょ。騎馬戦の代名詞じゃない」「それだ!」「えっ?」「我らは武田信玄の戦法でいく!いいか、こういうことだ。大将の馬は最小限の動きにする。周りに足の速い馬たちを配置。鶴が翼を広げた形で控えるのだ」「へえ〜」「動かぬわしを見て、敵は突撃してくるであろう。敵がわしの首を狙って近づいた瞬間。左右の兵、つまり其の方(そのほう)らが、背後に回り込む。気がついたときに奴らの兜はなくなっておる。「首?兜?ああ、帽子ね」「最後に残った敵のとどめはわしが」「とどめって(苦笑)」わしの戦略を、明智殿は優しい顔で聞いていた。ひょっとするとわしは今まで・・明智殿のことを誤解しておったのかもしれぬ。◾️SE:騎馬戦の音結局・・・敵の軍勢は我らの戦術によって、散り散りに崩れていく。見事な勝ち戦(いくさ)であった・・・※続きは音声でお楽しみください。
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