EPISODE · Mar 21, 2025 · 6 MIN
ボイスドラマ「さるぼぼ〜魂を導くもの2」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
飛騨高山の町に伝わる「さるぼぼ」。古くから、この土地の人々にとって大切なお守りとされてきたその存在は、時に愛を見守り、時に魂を導く不思議な力を持つといわれています。今回の物語は、そんな「さるぼぼ」が紡ぐ、人と人との縁のお話です。過去に傷つき、喪失の悲しみに暮れた女性。新たな命を抱えながら帰ってきた妹。そして、彼女たちのもとに現れた、小さな命。この物語の舞台は、飛騨高山の古い町並みにある酒蔵。伝統と歴史の香るこの町で、人の想いが時を超えてつながる奇跡を・・・(CV:桑木栄美里)【ストーリー】[シーン1:異世界のさるぼぼ】■SE/夢の中の不思議な環境音『ぼくはだぁれ?』『どこにいけばいいの・・・』『こわいよぉ・・・』「どうしたの?」「かわいそうに」「もう大丈夫だよ」『ぼく・・・』「明るい方へいくのよ。いい?明るい方へいきなさい」『うん』冥界を漂っていた小さな灯火は、光の中へ消えていった・・[シーン2:古い町並にある造り酒蔵にて】■SE/酒蔵の環境音(※宮ノ下さん)『あんまり無理するんじゃないぞ』「大丈夫だって、パパ。杜氏が新酒の時期に休んでられないでしょ」(※宮ノ下さん)『だけど、おまえの体・・・』「いいの!」悲しくなるから言わないで。私の名前は、瀬織(セオリ)。おうちは古い町並にある蔵元。10年前に酒蔵の蔵人(くらびと)になった。そのとき世に出した大吟醸が「瀬織津姫」という銘柄。SNSで人気となり、今でも女性を中心に売れ続けている。それからの10年間は、まさに高山の街を駆け抜けた嵐のよう。若くして頭(かしら)となった蔵人と、結婚して懐妊。でも、赤ちゃんが生まれてくることはなく、失意の中、夫も病気でこの世を去った。私は、悲しみを忘れるために、酒造りに精を出し、去年やっと杜氏になった。(※宮ノ下さん)『今年の瀬織津姫、いつになくフルーティだな』「この夏は、ホント、暑かったもんねえ」(※宮ノ下さん)『猛暑に耐えた酒米(さかまい)からのご褒美だな』「逆よ。感謝するのは私たちでしょ」秋風が空気を冷まして、古い町並を駆け抜けていく。できあがった新酒を囲んで束の間の休息。と、そのとき。静寂を破って、酒蔵の引き戸が開いた。■SE/酒蔵の入口〜引き戸が開く音『ただいまぁ』「エミリ!」(※宮ノ下さん)『なにしに帰ってきた』とたんにパパの顔が曇る。顔を出したのは、5年前、家出同然に家を飛び出した妹、エミリ。酒蔵を覗き込んで誰もいないことを確かめてから、入ってくる。その背中には・・「どうしたの?その子」『どうしたもなにも。生まれたからここにいるんじゃない』(※宮ノ下さん)『ち、ち、父親はどこだ?』『いないわよ、そんなもん』(※宮ノ下さん)『なんだと』「パパ、いいからエミリと2人にして」(※宮ノ下さん)『わ、わかった・・』会所場(かいしょば)という酒蔵の休憩所へエミリを連れていく。5年ぶりに顔を合わせた姉妹は、1時間以上も話し合った。エミリは東京の雑貨屋で働き始めてすぐ、知り合った男性と暮らすようになったらしい。だが、意見の相違で2人は彼は去り、別れてから懐妊を知ったという。まあ、きっと、エミリのわがままが原因だろうな。ということで、シングルマザーとなった我が妹はこの酒蔵に戻ってきたってわけ。最初、苦虫を噛み潰していたパパも、かいがいしく孫の面倒をみている。おむつの替え方なんて、手慣れたもんだ。ああ、こうやって、私とエミリも世話をやいてもらったのね。ちょっとだけ恥ずかしいな。■SE/赤ちゃんの鳴き声『よ〜しよし、泣かないでよ』「私にかして」『お姉ちゃん、すごい』「なにが?」『この子、マコト、お姉ちゃんが抱っこすると絶対泣き止むんだもん』「たまたまでしょ」『おねえちゃんがママみたい』「ばか言わないで」とは言ったものの、この愛しさは特別。ハイハイするようになっても、マコトは私のあとをついてまわった。[シーン3:酒蔵から少し離れた公園】■SE/公園の環境音(虫の声)エミリが帰ってきてから3年。小さかったマコトは、愛くるしい男の子に成長した。私とエミリとマコト。3人でよく公園に来て遊ぶ。『おばちゃ〜ん』「やめてよ、マコ。おばちゃんじゃないでしょ。セオリ。セオリって呼んで」『わかった』まあ、続柄はおばちゃんだけど・・『そういえばマコって、ママのお腹にいたときのこと、覚えてる?』『うん、覚えてるよ』「へえ〜。胎内記憶ってやつ?」『ママのお腹に入る前のこと』『え?うそ!?』『ボク、セオリおばちゃんのお腹にいたんだよ』「え・・」『そのあと真っ暗な中に放り出されちゃっやの』「えっ」『だけど、さるぼぼが明るい方へいきなさい、って』「そんな・・・」あっというまに涙腺が・・・崩壊。妹を見ると・・・やだ、嗚咽してる。あのときの・・あの子・・さるぼぼの私が導いた小さな魂。あれは・・・私の子だったの?愛しさがこみ上げてきて止まらない。マコトの前に広がる、この先ずうっと続いていく明るい道。いつまでも、いつまでも明るく照らしてあげたい。エミリと私とマコト。3人で、手をつないだまま、いつまでもいつまでも抱き合っていた・・・
Embed this episode
NOW PLAYING
ボイスドラマ「さるぼぼ〜魂を導くもの2」
No transcript for this episode yet
Similar Episodes
No similar episodes found.