EPISODE · Dec 19, 2025 · 20 MIN
ボイスドラマ「聖夜の奇跡」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
東京で孤独を抱える13歳の少女・聖夜(せいや)。母方の祖父の訃報をきっかけに、初めて訪れた飛騨・久々野で絞りたてのりんご、素朴でまっすぐな人々、そして同級生・林檎(りんご)と出会います。SNSからの心ない言葉に傷つき、心を閉ざしてきた聖夜。しかし、何気ない日々の中で「誰かがそばにいてくれる」その温かさに気づき始めます。冬休み最後の日、彼女が下す決断とは——【ペルソナ】・聖夜(せいや:13歳/CV:坂田月菜)=冬休みに東京から久々野にやってきた厨二病のJC・聖夜の母(みや:38歳/CV:小椋美織)=久々野出身。高校のとき喧嘩して家を飛び出し東京へ・聖夜の祖母(りん:71歳/CV:山﨑るい)=久々野で祖父と一緒にりんご農家を営んでいた・林檎(りんご:13歳/CV:坂田月菜)=久々野中学校2年生。久々野で生まれ久々野で育った【プロローグ:JR高山線高山駅】◾️SE/高山駅到着車内アナウンス/♪アルプスの牧場〜「さ、聖夜、高山で乗り換えるよ」「えー?高山で降りるんじゃないのー、ママ」「久々野って言ったでしょ?」「聞いてないよ。なに?クグノって・・・」「高山から久々野までは鈍行よ〜あなたの好きな」ママ、また話をすりかえる〜。それに私、各停専門の乗り鉄じゃないし。私の名前は聖夜。クリスマスの聖夜って書くんだよ。自分では割と気に入ってるんだけど、よく友だちからイジられるんだなあ。イジられる・・・?いや。イジメられてる、って言い方のが正しいか・・・私は、東京の中学に通う2年生。天文部に入ってて、ギリシャ神話とか星の伝説とか大好き。アパートのベランダからいつも星を眺めていろ〜んな妄想してるんだ。うん。少しだけ厨二病入ってるよ。悪い?冬休みに入ってすぐ、ママの元へおじいちゃんの訃報が届いた。と言っても、私は会ったことないんだけど。生まれてから13年間、おじいちゃんやおばあちゃんがいることさえ知らなかった。ママも実家に帰るのは20年ぶりなんだって。どうゆうこと?【シーン1:JR高山線久々野駅】◾️SE/久々野駅前の雑踏JR高山線久々野駅。駅前の広場に一台の軽トラックが停まっている。わあ、東京じゃなかなか見れないビジュ〜。と思ったら、ママが軽トラの方へすたすた歩いていって、「かあさん」と、声をかける。運転席に座ってるのは皺の寄ったおばあさん。ママを見るなり、相好を崩して口を開いた。「みやか。だいぶ顔見なんだな」「かあさん、なんで汽車の時間わかったの?」「ああん?おまえが通夜からでるゆうとったで。朝から待っとんやさ」「そんな・・お父さんのそばにいなくていいの?」「ああ。農園のみんなが賑やかにみとってくれるでな」「そう・・」「みや、まめけな?」「まめまめ」そう答えて、ママは私を指差し、「これ、娘の聖夜。かあさん、初孫でしょ」「ほおかぁ。セヤちゃん、ようきたなあ」「はじめまして、おばあちゃん。聖夜です」「ほうかほおかぁ。じいちゃんにも会わせたかったわなあ」「じゃ、聖夜、助手席に乗って」「ママは?」「私は農園まで歩いていくから。20分くらいで着くでしょ」「荷台に乗れ」「軽トラは2人乗りでしょ」「ええんやて。荷台のりんごみとってまわんと」「じゃ、私が荷台乗る」「風邪ひくわよ」「大丈夫。ダッフルコートめちゃあったかいもん。それにいっぺんここ乗ってみたかったんだ」「セヤちゃん、ええんか?無数河(むすご)の加工場にりんご届けてからうちに帰るで」「お通夜はいいの?」「ええ、ええ。みんなおるからええ」そう言って、どっかのアニメみたいなビジュになっておばあちゃんちに向かった。【シーン2:おばあちゃん家/久々野町無数河】◾️SE/冬の虫の音(ごくわずかに)〜静寂久々野に着いた日の、夜。お通夜が終わって食事をとったあと。私はおばあちゃん家(ち)の裏庭に出た。そして空を見あげて、息を飲んだ。星。満天の星。冬の大三角が、まるで天空のゲートのように輝いている。オリオンが、地上の私に向けていまにも弓を射るようだ。降り注ぐような星たちのきらめき。もう、言葉にすらできない。◾️SE/冬の鳥の声お通夜もお葬式もとどこおりなく終わった。でも、ママと私はまだ久々野にいる。別にいいけど。どうせ東京へ帰っても、楽しいことないし。おばあちゃんは、毎朝しぼりたてのりんごジュースを用意してくれる。「めちゃ甘でめちゃおいしい!」「ほうかほおかぁ。じいちゃんもきっと、喜んどるわ」お世辞でもなんでもない。なんでこんなに甘くて美味しいの?お砂糖使ってないから、あと味もさっぱりしてるし。こんなん、東京には売ってないよ。で、私はイマココ。ママに言われて特産品加工場でお手伝い。おばちゃんたちがアップルパイを作ってる。え?みんなりんご農家のひとなんだ?へえ〜。だから?お肌ツルツル・・って関係ないか。アップルパイは、フィリングという具材を作り、パイ生地を作って、成形して、焼き上げる。知らなかった〜。私は、最初の工程、りんごを優しく洗う作業をまかせてもらった。よかったぁ。だって私、包丁とか、握ったことないんだもん。「あんた、手つき、いいじゃん」声をかけてきたのは、私と同い年くらいの少女。栗色のロングヘアーを後ろで縛ってる。エプロンの下に見える、赤いワンピース。白いお花の髪留めがかわちい。「こんにちは、アタシは林檎。あんたは?」「あ・・・せ、聖夜」「セイヤ?かっこいい名前・・・東京っぽい」え・・・そんなこと、初めて言われた。笑われるのがあたりまえだったのに。加工場のみんなはすごく活気がある。マスクをしてるし、飛騨弁だからたまにききとれないけど。楽しそう。私、厨二病だからそういう人の輪にはあんまり加わらない。1人で自分の世界に入ってぶつぶつ言う癖があるの。マスク越しに。そんなとき林檎は、歯に衣着せぬ言い方で、ツッコミを入れてくる。「包丁、握れる?」「”剣”の扱いはプロよ。ゲームの中なら」「剣じゃりんごは剥けんて」「わが名は聖夜。運命に導かれし・・」「運命よりはよ容器に入れやあ。あと、つかえてるで」「久々野のりんごよ。懐かしきその香り・・」「久々野ははじめてでしょ」「深紅の輝きは、抗いがたい禁忌の誘惑・・」「なあ、東京、帰るの?」「え?そ、そんなん・・そりゃ・・・」「そっか。でも、ええところやよ。久々野も」「え・・・どういうこと・・・?」林檎は答えず笑顔で、カットしたりんごを大きなボウルに入れて下処理室から厨房へ持っていった。ママは冬休みの間ずっと久々野にいるっていったから私はほぼ毎日加工場へ来てお手伝いをした。だって、おばあちゃんちでゲームしてると怒るんだもん。林檎とはなんだかそれからすんごい気が合ってお互いのことをいろいろ話した。すぐにLINEも交換して。最初にわかったんだけど、林檎と私は同級生。しかもなんと、おんなじ誕生日!もう奇跡だよね。りんご情報が毎日LINEに入ってくる。久々野のオススメカフェとか誰も知らない映えスポットとか。私、久々野のこと、ミョーに詳しくなっちゃった。東京のことは・・・あまり話したくなかったから、テキトーに答えてたけど。考えてみたら、いままで私、こんな風に本音で話せる友だちなんていなかった。【シーン3:聖夜のクリスマス/ヘイトメッセージ】◾️SE/クラッカーの音クリスマスイブ。昼間はいつものように特産品加工場でお手伝い。お昼休憩のとき、おばちゃんたちとまかないのアップルパイでプチパーティをした。「聖夜、メリークリスマス!聖夜の日じゃん!」そう言って林檎とはプレゼント交換。林檎からは、りんごの木の枝を使ったフォトフレーム。りんごの細い枝を組み合わせて綺麗に作ってある。きっと時間かけて作ってくれたんだろうな。フレームの写真は最初の日にふざけて撮った変顔の2人。やだもう、笑わせないでよ!そう言いながらちょいウルウル。私が林檎に送ったのは、りんごの形のネックレス。ネットで買った。私とお揃いなんだ。人気のブランドだったからおこづかいr代全部つぎこんだけど。林檎がくれた手作りのフォトフレームの方がよっぽど素敵!クリスマスのプレゼント交換なんて、幼稚園以来じゃない?※続きは音声でお楽しみください
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