EPISODE · May 1, 2026 · 19 MIN
ボイスドラマ「スワロウテイル」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
飛騨・上宝に眠る“失われた財宝”を巡る、ひとりの女性トレジャーハンター。その名は朱羽。またの名は”スワロウテイル”。父から託された地図、ギフチョウの痣、そして戦国時代に消えた黄金・・・点と点だった記憶がつながるとき、運命が大きく動き出す。考古学とロマン、史実と伝説が交差するヒダテン!史上、最もスケールの大きな冒険譚・・・【ペルソナ】・朱羽(CV=小椋美織)=あげは(27歳)=神岡鉱山で働いていた父の遺志を継いだ正体不明のトレジャーハンター。通称は「スワロウテイル」。右肩にギフチョウのような痣がある・静流(CV=日比野正裕)=シズル(29歳)=上宝出身の考古学者。地元の伝説伝承を調べ保護活動を続けている。朱羽にはいつも先を越されるため異常に警戒し嫌悪している・鉄兵(CV=日比野正裕)=てっぺい(故人享年38歳)=朱羽の父。生活のために神岡鉱山で閉山まで働く。一生をかけて江馬氏の財宝を探していた【プロローグ:神岡鉱山2001年】◾️SE:鉱山のガヤ〜遠くでドリルが岩を削る音、鉱石を運ぶトロッコのガタゴトという音『朱羽、ようく聞くんだ』2001年の春。パパが、私の目を見て語りかける。巨大な神岡の鉱山。5歳の私にとって坑道は、地下深く広がる迷宮のように見えた。パパの作業服は、鉱泥(こうでい)で赤黒く汚れている。『神岡鉱山はあと2か月で閉山になる』「うん」『でもな、パパはついに見つけたんだ』「え?なに?」『宝の場所だよ』「ホント?」『ああ、本当さ。パパ、いつも言ってるだろ。”上宝は宝の郷(さと)だ”、って』「上宝っておうちのとこ?」『ああ、そうだよ。神岡と上宝はね、つながってるんだ』「ふうん」『宝の場所を書いた地図は朱羽に預けるから』「どうして?」『朱羽がいないと地図は完成しないんだよ』「わかんない」『それに・・・もしもパパがいなくなっても大丈夫なように』「パパいなくなっちゃうの?そんなのイヤ!朱羽、ひとりになるのは絶対にやだ!」『心配しなくてもいい。パパはいなくならないから』「約束だよ」『ああ、約束だ。朱羽もパパと約束してくれ。今からこの地図の説明をするから、ようく聞くんだ』パパは、9つに折った地図を開く。大きな地図。両手を広げたよりもおっきい。『地図がなくてもわかるように頭の中に入れなさい。閉山するまで。あと2か月の間に』「うん。わかった」『ようし、いい子だ。こっちへおいで』これが、パパと交わした最後の言葉だった。その日の夜。全層(ぜんそう)雪崩。いわゆる『春の雪崩』が池ノ山(いけのやま)の飯場(はんば)を直撃。夜食を食べていたパパは、なす術(すべ)もなかった。「パパのうそつき」ひとりぼっちになった私はどれほどパパを憎んだか・・・だけど、パパとの約束を忘れることはなかった。【シーン1:パパの遺志】◾️SE:キャンパスの大教室「先生、その見解には地質学的な視点が欠けていませんか? 神岡の池ノ山(いけのやま)周辺は、当時から地表に鉱石が現れていたはずです。江馬氏が密かにその一部を掌握していたとしたら?公的な記録に残さず、『隠し銀』として運用していた可能性は否定できないはずです!」「それはあくまで仮説だ。物証がない以上、考古学としては認められないよ」「物証がないのは、探し方が間違っているからです」「君のシミュレーションは面白いが、『単なる願望』に過ぎない。考古学とは、出土した遺物から歴史を組み立てる学問なんだ。宝探しじゃないんだよ」15年後。私は東京の大学で考古学の教授とやり合っている。互いに顔もわからない大教室の一番前と後ろ。岐阜県から招かれた客員教授・静流。フィールドは私の故郷、上宝だという。あ〜。私、ダメなタイプだ、これ。「今日の授業はここまで。また、議論を戦わせよう」ふん。やなこった。そんなことしている時間なんてない。15年前。パパがいなくなったあと、私をひきとったのは、市街地に住む画商。高齢の夫婦だった。養父はかつて神岡鉱山で働いていたという。子どものいなかった老夫婦は私を小学校から中学、高校までいかせてくれた。卒業後はアルバイトで学費を稼ぎながら、東京の大学へ。学ぶのは、考古学。日本中世史。地質学・地理学。最新の科学的発掘方法から、古文書の読み解き。地形図の読解まで、必要な知識を貪欲に学んだ。講義のない日は、登山のサークルでフィールドワークを鍛える。バイクの免許も取った。そして、文化財保護法。「調査名目」で正当に掘るための手続きや、発見した際の権利関係を学ぶ。大学生活の途中で、養父母は揃って天に召された。身寄りのない2人だったから、見送りは私ひとり。二度目の喪主には涙もなかった。またひとりぼっちになったけど、今度は、お店と知識が残っている。私一人が暮らすには十分なお金も。大学卒業と同時に、私は高山へ帰郷。画商の看板はそのままに、美術品を整理してバイクを購入した。そして・・・いつも持ち歩いているパパの地図。大学の4年間じっくり研究した。地図の中に隠されていたのは5つの財宝。飛騨銀の錫杖(しゃくじょう)。蒔絵(まきえ)の香箱(こうばこ)。銘刀「高原長光」(たかはら ながみつ)。ギフチョウを模した銅製の香炉(こうろ)。そして、黄金の軍扇。ひとつひとつ説明すると時間が足りないので、詳細は省略。財宝を推理したのは、パパ。あの日、私に話してくれた内容は、全部覚えている。では、どうやって場所を解き明かすか?ヒントは、パパが地図に書き込んでいた印。最初インクの滲みだと思ってた。だけど、拡大してよく見ると、それは蝶の形。『春の女神』ギフチョウだった。(※7:40)そう!神岡鉱山はかつてギフチョウの生息地。愛好家の間じゃ、神岡ブランドのギフチョウは特別な存在。(※7:51)まさか、「ギフチョウの吸蜜(きゅうみつ)ポイント」?推理は的中。印はカンアオイの群生地だった。ギフチョウの幼虫にとって唯一の餌。食草だ。さらに上宝の断層と地質を分析。自然な空洞と人工の坑道が、もっとも接近する地点を特定した。あとはひたすら古文書を読み解く。大学で学んだ中世史の知識から、江馬氏の敗走ルートを再構成。「敵に奪われない道=人が通れない難所」をバイクと登山技術で踏破。卒業してからここまでくるのに5年間かかった。【シーン2:スワロウテイル】◾️SE:バイクの走り去る音『オーマイガー! 』『またしても、スワロウテイルか』『今までに何度やられたか!』先生、ありがと。教授が地団駄を踏む様子が目に浮かぶ。私は41号線をフルスロットルで駆け抜ける。バックパックの中には『江馬氏の軍扇(ぐんせん)』。黄金の龍をあしらった七曜紋(しちようもん)が描かれている。私の名は朱羽。またの名を”スワロウテイル”。違法スレスレの悪名高いトレジャーハンターと言われている。ふん。なんとでも言えばいい。私はパパが探し続けた江馬氏の財宝を手に入れたいだけ。それが私の生きる目的だから。かつて栄華をほしいままにした江馬氏の財宝。探していた江馬氏の五宝(ごほう)は、軍扇でコンプリートした。あとは、パパと私の悲願。江馬氏の埋蔵金だけ。だけど、腑に落ちない。古物商だけでなく、考古学者や郷土史家たちまで、今になって動き出したのはなぜ?考えられる原因は3つ。1つ目は、神岡鉱山閉山から20年以上が経過したこと。当時の未公開資料や「旧坑道図」が一部デジタル化・公開されている。2つ目は、上宝の山間部で集中豪雨による土砂崩れが発生したこと。「江馬氏の家紋が入った漆器の破片」が土砂から発見された。そして3つ目は、私が手に入れた『五宝』の情報。(※11:00)それが闇のマーケットに流れたこと。誰が情報を流した?きっとあいつだ。考古学者の静流。いつも仕事の邪魔をする研究者。静流が私をおびきだすために仕組んだに違いない。先を越される前に急がないと。【シーン3:奥飛騨温泉郷平湯/隠し湯】◾️SE:温泉の環境音「お邪魔します・・・あ・・これは失礼」奥飛騨温泉郷・平湯の露天風呂。しまった・・混浴だってこと、忘れていた。まあ・・・いいか。「あの・・ご迷惑でなければ、少しお話してもいいですか?」「ご自由に」「ここ・・武田信玄の家臣が見つけた『隠し湯』ってご存知でしたか?」「いえ」「ちょっと熱いでしょ。実は神岡にマグマ由来の鉱床があるんです」この声・・どこかで聞いたような・・・「そこを通って湧出する温泉だから熱いんです」「詳しいんですね」「ああ。考古学をちょっとかじってましてね」え・・・「そうそう。鉱床の成分は、閃亜鉛鉱(せんあえんこう)って言いましてね。少し鉄の匂いがするでしょ」「そうですか・・・」間違いない。静流だ。でも大丈夫。顔を合わせたのは大学時代の1回だけ。もう何年も前だし、大教室でお互いの顔も見えなかったんだから・・・※続きは音声でお楽しみください。
Embed this episode
NOW PLAYING
ボイスドラマ「スワロウテイル」
No transcript for this episode yet
Similar Episodes
No similar episodes found.