EPISODE · Feb 11, 2025 · 16 MIN
ボイスドラマ「ともだち」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
『ともだち』は、友情と信念が交差するサスペンスドラマです。高校時代、互いを支え合い、競い合いながら青春を駆け抜けた二人の少女——エミリとミア。しかし、異なる道を進んだ彼女たちは、運命のいたずらによって、敵対する立場へと追い込まれていきます。環境保護という大義のもとに立ち上がったミア、国際社会の秩序を守るために戦うエミリ。彼女たちの友情は、理想と現実の狭間でどんな選択をするのか。本作では、環境問題や国際情勢のリアルな側面にも触れつつ、「ともだち」とは何か、「信念を貫く」ということが何を意味するのかを問いかけています。友情は、どこまで続くのか?もし、親友と対立する日が来たら——あなたなら、どうしますか?(CV:桑木栄美里)※エイミー(AMI)はフランス語で「ともだち」、ピリカはアイヌ語で「美しい、可愛い娘」【ストーリー】■SE/陸上のトラックを走ってくる音〜観客の声援「エミリ、お願い!」「ミア、まかせて!」高校最後の400mリレー走。アンカーの私は、第3走者のミアからバトンを受け取る。スタートで出遅れたが、ミアが巻き返して2位で私につないだバトン。「エミリ、がんばって!」■SE/大歓声「やったぁ!」勝った・・・卒業前の大会を優勝で飾れたのはミアのおかげ。いや、私とミアの友情だ。ミアと私は、陸上部の長距離ランナー。トラックの上で3年間、競い合ってきた。私たちは、顔も身長もよく似ている。まるで、鏡に写した分身のように。負けず嫌いの性格も、好きなスイーツも同じ。学校でも私生活でも、いつも一緒に過ごす、大親友だった。私の名前は、「美」が「栄える」と書いて、エミリ。ミアの名前は、「美」と「愛らしさ」を併せ持つ。名前にも通じるところがあるのが嬉しい。だが、卒業後は別の道を歩く。ミアは北海道の大学へ行き、獣医になる勉強を。私は沖縄の大学へ行って、国際社会を動かすスペシャリストを目指す。2人とも大好きな高山を離れるのは辛かったけど、お互いの志を、お互いにリスペクトしていた。「エミリ、はなればなれになってもずうっと友だちだよ!」「あたりまえじゃない、ミア。たとえ会わなくたって一生友だちだから!」やがて季節が変わると、私たちはそれぞれの大学へ旅立っていった。■SE/飛行機の離陸音私の前を5回目の冬が通り過ぎていく。大学を卒業するまで、私は一度も高山へ帰らなかった。それでも、ミアとの関係は変わらない。毎週のようにLINEで近況を報告し合った。だから彼女の活躍も手に取るように理解できる。卒業後、私が就職した場所は、アメリカ。大きな声では言えないが、在学中にスカウトされて、CIAに入職したのだ。とはいえ、CIA(米国中央情報局)の職員になるのは簡単ではない。まず、四年制大学を卒業すること。私が学んだ大学は、5年一貫制の博士課程を持つ。クリア。修士号の取得を検討すること。同じくクリア。母国語以外に複数の外国語をマスターすること。私は高校時代から外国人観光客向けに4か国語で通訳をしていた。クリア。CIAの業務に関連した経験を積むこと。私ではなくCIAの方からオファーされたのだから、クリア。最後の難関は、アメリカの市民権を持っていること。これも、CIAから現地採用職員という形にしてもらって、クリア。ということで、私はいまアメリカのラングレーに住んでいる。仕事は、主に環境テロ対策。ミッションは機密だが、私が大学のときに作ったAIプログラムを動かしている。私のAIプログラムが探り当てた、もっとも過激な環境テロリスト集団。彼らは、街の環境を守る、という名目で実際には破壊活動をおこなう。すでに何人もの犠牲者も出ている。リーダーはわかっているが、奴は決して表舞台には出てこない。代わりに最前線で活動するテロリストは「ピリカ」。最近よく耳にする名前だ。国籍も性別も不明。この「ピリカ」が、いま最も重要なターゲットになっている。今回わかった、彼らの目標は、なんと、日本。ということで、ミッションリーダーは私になった。私は日本人であることを悟られないように、コードネームを与えられる。「AMI=エイミー」フランス語で「友だち」という意味だ。一刻も早く、環境破壊が問題になっているエリアを探り当てないといけない。海洋廃棄物で汚されている浜。開発で生態系が破壊されている街。化石燃料エネルギーで大気が汚染されている都市。どこだ。推理が行き詰まっているところへ、アラートが入った。「ピリカ」に関する貴重な情報だ。国籍は日本、性別は女性。!?なぜだかわからないが、意味不明な悪寒が走る。そもそも、「ピリカ」という言葉の意味は?アイヌ語で「美しい」「可愛い」・・・環境テロリストに似つかわしくないな。いや、むしろ、皮肉で名付けたのか。「美しくて」「可愛い」・・・「美」「愛」・・・そんな・・・まさか。私は、先週届いたミアからのLINEを読み返す。「エミリ、元気?今度久しぶりに高山へ帰るよ。槍ヶ岳の澄んだ空気。奥飛騨温泉の透明なお湯。宮川に泳ぐ錦鯉。みんな変わってないといいなあ」絵文字つきで、ミアらしい文章が並ぶ。そうか、ミアもずうっと北海道から帰ってないんだ。北海道・・・まさか・・・まさか・・・私はいてもたってもいられず、帰国の準備をする。とにかく、高山へ。CIAの専用ジェットを予約した。■SE/飛行機の離陸音中部国際空港セントレアからは高速で高山へ。景色が白い山に変わってくる頃、タイヤがパンクした。狙撃?そんなはずないよね。私が高山へ行くことなんて、誰も知らないんだから。違う。1人だけ知っている人間がいる。昨日ミアにあてたLINE。「ミアも元気?私も近いうちに高山へ帰るから」「ホント!?超絶久しぶりに会えるかもだね!楽しみ〜」違う。違う。ミアには日程なんて教えていないし、第一、環境テロ組織が高山を狙うなんて考えられない。それに、ミアはピリカじゃない!■SE/サイレンサーの銃声え?いまのなに?ドライバーは銃弾が防弾ガラスに当たったという。ちょっと待って。奴らの目的は高山なの!?どうして!?そうか・・・もしかして・・・タブレットにインストールした私のAIプログラムを起動する。やっぱり・・・高山がターゲットエリアなわけじゃないんだ。高山に環境関係の政府要人が秘密裏に来訪している。実際に政府を動かしている官僚トップだ。■SE/ブレーキの音奴らの目的に気づいたとき、私が乗ったクルマは、3台のミニバンに取り囲まれていた。ここはもう高山市内。テロリストたちは私たちを手際よくミニバンに移動させ、目隠しをした。視界が開けたのは、どこかの地下室。時間的に考えても高山市内なのは間違いないだろう。私と、CIAの仲間、そしてその横に政府要人とSPが椅子に縛られている。目の前には狐の面をかぶった環境テロリストたちが並ぶ。その数4人。彼らは一斉に面をはずした。黒人。ヒスパニック系。白人。そして・・・「ミア!?」「残念ながら、ミアじゃなくて、ピリカだよ」「ピリカ・・・」「久しぶりだね、エミリ。いや、エイミー」「・・・」「こんな形で再会したくなかったけど、これも運命なのかも」「どうして・・・」「高校卒業のときにお互い誓ったじゃない。あなたは国際社会を動かすスペシャリスト、私は獣医になるって。だからなったのよ」「え・・・」「地球のお医者さんに」「そんな・・・」「北海道でアイヌの人にいろいろ教えてもらったわ。彼らは自然と一緒に生きているから」「それでピリカ・・・」「私はアイヌの生活を守るために環境活動をしたの。そのとき、このグループにスカウトされたのよ」「ピリカ、いや、ミア・・・こんなこと、もうやめようよ」「やめないわ。やめたらこの美しい街も、高山の自然もいつか消えちゃう」かたわらで、CIAの仲間が私に目配せをする。これ以上しゃべるな、と。そう、テロリストが自身の素性を語るとき、その相手には死が待っている。死を覚悟したとき、地下室の扉がこじあけられ、武装した集団がなだれ込んできた。こいつらは!?ピリカがうろたている。「なんで!?私が指揮をとるんじゃないの!?」「ミア!」「だましたのね!」ミアの仲間、3人が次々と銃弾に倒れた。私はミアと政府要人をかばって応戦する。CIAだもの。当然、銃は持っている。「ミア、ふせて!」私は柱の影から銃を撃つ。残りは?あと3人。予備のカートリッジはない。こっちが不利だ。■SE/サイレンサーの銃声CIAの仲間が凶弾に倒れた。同時に私の銃も彼らを撃つ。あと2人。一息つく間もなく、私の頬を銃弾がかすめた。ミアの手をひき、陸上で鍛えた足で柱の影に走り込む。ふりむきざまに、■SE/サイレンサーの銃声よし、あと1人。そう思った瞬間、後ろに回り込まれる。あっと思ったときには銃口が背中に突きつけられた。私は両手をあげる。ゆっくり振り返ると、環境テロのリーダーが不敵に笑みを浮かべていた。日本へ来ていたのか。リーダーはピリカの名を呼び、ミアを自分の方へ呼び寄せる。「ミア、最初からそのつもりだったの?」リーダーの指が引き金に力を入れる。その瞬間、ミアは私をかばってリーダーに体当たりした。体勢を崩したリーダーはそのままミアを撃つ。「ミア!」私は、最後の弾をリーダーに撃ち込む。その生死を確認してから、ミアを抱き抱える。「ミア!しっかりして!」「やっぱり・・・アンカーはエミリだね・・・」「もうしゃべっちゃダメ!」「エミリ、最後のバトン。渡すわ」「しゃべるなって言ってるでしょ!」「アイヌも・・・沖縄も・・・救ってよ・・・」「わかったから!」「エミリと過ごした時間、夢だったのかな・・・」「夢なんかじゃない!」そして、ミアの鼓動が消えた。柱の影で腰を抜かしていた政府要人とSPは立ち上がって外へ逃げ出す。その後ろ姿を見ながら、ミアを抱きかかえる。「ミア、バトンはしっかり受け取ったわ・・・」私はミアの顔にハンカチをかけて、地下室をあとにした。
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