EPISODE · Aug 14, 2026 · 21 MIN
ボイスドラマ「星の降る里/久々野編」
from ヒダテン!ボイスドラマ · host Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会
東京では、友達がいなかった。だから彼女は、暗い星々の中でひとり輝く「南の孤独星」に、自分を重ねていた。夏休み、飛騨・久々野へ帰省した星夜が、列車の中で出会ったのは、朝日町に暮らす同い年の少女・朝陽。二人は約19km先の「星空ベンチ」を目指し、夜の山道へ歩き出します・・・【ペルソナ】・星夜=せいや(16歳/CV:坂田月菜)=東京・広尾のマンションに住むJK。夏休みを利用して母の実家・久々野へ遊びにきた星空・星座オタクの若干厨二病気味「みなみのうお座」が見たい・朝陽=あさひ(16歳/CV:蓬坂えりか)=朝日村で生まれ育ったJK。夏休みに自分の住む民家から鈴蘭高原の「星のベンチ」までナイトウォークを計画中。「伊吹麝香草」を採りにいきたい・聖夜のママ=(42歳/CV:山﨑るい)=20歳で久々野を出て東京のヘアデザイナーとして働く【資料/映画「朝日町の絶景/星空ベンチ」(飛騨あさひ観光協会)】https://www.hidaasahi.jp/観るスポット/星空ベンチ【シーン1/高山線で久々野駅】▪️SE:高山線普通列車の車内音/シートに腰掛ける2人「やばっ、充電器忘れたかも💦』「なに、聖夜?ま〜た忘れ物?」「ママ、駅にコンビニあるよね?』「あるわけないでしょ、久々野駅に」「ええええええ! 充電マジで終わるんだけどー!」「行く先々でなんかググってばかりいるからでしょ」「ググってないし!インスタでディグってるだけだし!」「一緒じゃん」「一緒じゃない!」「とにかく、あんたが使ってるような可愛い充電器は、高山まで戻んないと売ってないから」「じゃ、ワンチャン行ってくるわ」「は?ひとりで?」「あたり前じゃん、うちのこと、いくつだと思ってんの」「迷子とかなんないでよ」「だーかーらー、いくつだと思ってんの?」「16歳と3か月でしょ」ママがいじわるそうな顔で笑う。うちは星夜。漢字で書くと「星」の「夜」。渋谷区住みの、マジでイケてる女子高生!夏休みを利用してママの実家・久々野に帰省してきたんだけど・・・高山着いてから鈍行への乗り換え時間が、2時間半って・・・ガチでやばくない?ってか、うちら異世界転生すんの?やるじゃん、久々野・・・「星夜、もう久々野着くわよ。準備しなさい。あら、反対側のホーム、高山行きがもう停まってるわ。ちょっと。急がないと・・」「あーいい。いい。走るのだるいから次でいいわ」「なに言ってんの。山手線じゃないんだからね。これ逃したら、また1時間以上待たないといけないのよ」「マジ?」「マジマジ。だから、扉が開いたら、ダッシュで下りにかけこんで」結局、うちらが乗ってきた美濃太田行きが久々野に着いたのは3時13分。下りの高山行きが発車したのは3時14分だった。誰がこんな時間割組んだんだよ!っとにもう〜▪️SE:全力で走っていく足音【シーン2/高山本線高山行き普通列車】▪️SE:ディーゼル列車(キハ)の車内音「はぁっはぁっはぁっ・・・」ひっさしぶりの全力疾走。しかもスーツケースひいてとか、ありえんし。疲れたわ〜。お、席あいてんじゃん。同い年くらいの女の子の横。ラッキー、座っちゃおっと。「あの、ここ、座っても大丈夫ですか?」「あ、はい。どうぞ。空いてますから」「ありがとうございます〜。よっこらしょっと」「うふふ・・・」久々野から高山までは、たった20分。池袋から渋谷くらいじゃん。なのに、1回乗り遅れたら1時間30分待ちってどういうこと〜。なんてこと考えながら、ふと隣の席を見ると、窓際の女子が、なにか本を読んでいる。え・・・それって・・・「それ、北天(ほくてん)の星?スターアトラス?」「え?」あ、やば・・・つい心の声が口から出ちゃった・・・「この本のこと?」「あ、うん・・・そうそう。いや、うちも星座とかガチオタだから」「すご〜い。スターアトラスなんて言葉、はじめて聞いた」「星図のことだよ。ひょっとして星とか好き?」「星は好き。今日高山へ行くのも星に関係あるんだ」「え?なに?なに?」「あ、そのまえに・・私は朝陽。『朝』の『太陽』って書くの。16歳、高校生よ。朝陽って呼んでね」「あ〜ごめんなさい。うちは、星夜。『星』に『夜』って書くんだ。歳はタメだよ。星夜って呼んで」「星夜・・・。かっこいい名前。うらやましいなあ」「なんで?朝陽の方がいけてるし」「ありがと」「で、星に関係することって?」「うん。『星空ベンチ』」「”星空ベンチ”!?なにそれ!?」「去年の11月にできたんだ。鈴蘭高原ってとこにある、『星を見るためだけのベンチ』」「え?すごぉい!」「『バスが停まらない停留所』にあるの」「やだ、なに?面白〜い!」「でしょ。その『星空ベンチ』まで、道の駅から歩いていくことを考えてるの。ナイトウォーク」「すごっ。その道の駅から星空ベンチまではどのくらいあるの?」「20キロ弱かなあ。上り坂だから5時間くらいはかかる」「すごすぎる!でも・・・めっちゃ興味ある!」「今高山へ向かってるのは、その準備のため」「どんな準備?」「山道、夜道を歩くからね。まずは野生動物対策のアイテム。熊避けの鈴と爆竹、熊避けスプレー」「ああ、確かに」「遠くまで照らすヘッドランプ」「ヘッドランプ?」「そ。懐中電灯だと片手が塞がっちゃうでしょ。行く先と足元を照らす、超強力なライト。それをゴムバンドで頭に直接巻きつけるの」「なるほどねー」「2本バンドだと私みたいなポニーテールや星夜みたいなツインテールでも髪型崩れにくいから」「いいねー」「あとは、簡易的なシュラフと防寒着かな」「防寒着?高山こんなに暑いのに」「なに言ってるの。鈴蘭高原は標高1300メートルよ。夜の気温は15度以下になるからね」「そうなんだ。でも・・・いいなあ・・・」「え?」「ねえ、朝陽・・・・うちも一緒に行っちゃだめ?」「ええ〜っ?」「うちも、高山にきたらやりたいことがあって」「なに?」「見つけたい星があるの」「星?」「うん。フォーマルハウトっていう星」「フォーマル・・ハウト?」「夏の終わりの夜遅くから、南の夜空に輝き始める星」「へえ〜」「みなみのうお座の一等星だよ。みなみのうお座って、フォーマルハウト以外はみんな暗い星ばかりなんだ」「みなみのうお座?初めてきいた。でもなんでフォーマルハウトが見たいの?」「あのね・・・フォーマルハウトの別名は、”南の孤独星”。ひとりだけで輝いてる星」「ふうん」「うちみたい」「どういうこと?」「うちこう見えて、東京じゃ友だちとか全然いないんだ」「そうなの・・・?」「ねえ、朝陽。お願い。私も『星空ベンチ』へ連れてって!」「え〜💦ホントに大丈夫?途中、コンビニも自販機もないんだよ」「ヘーキ」「う〜ん・・・楽しいことばっかり言っちゃったけど、けっこう危ないよ。お母さんとか許してくれる?」「大丈夫。うちが頼めば、ママ絶対OKだから」「そっか・・・それなら・・」とは言ったけど、ママホントに許してくれるかなあ・・・そのあと、うちと朝陽は、市街地でしっかり買い物をした。なんか、渋谷でショッピングするより何倍も楽しい。帰りの列車に乗ったのは、夜7時近く。夕陽がもう沈みかけていた。結局、『星空ベンチ』ナイトウォークの日程は、うちの提案で新月の夜。星が一番きれいに見えるから。ママは最初大反対してたけど、おばあちゃんが推してくれて、条件付きでOKになった。久々野駅に着くと、西の稜線に宵の明星が輝いていた。【シーン3/聖夜の母の実家/久々野町大西地区】▪️SE:ヒグラシの声「じゃ、行ってきま〜す!」『星空ベンチ』ナイトウォークの日、うちは待ち合わせの2時間前、午後3時におばあちゃんちを出た。おばあちゃんちは、久々野町大西。待ち合わせの道の駅 ひだ朝日村までは8kmくらいあるんだって。渋谷から品川くらいか。まあまああるじゃん。しかもうちの格好は、ギャル寄りのアウトドア?トップスは、メンズサイズの白いグラフィックTシャツ。それを、ミントグリーンのナイロン製ショートパンツにタックイン。ボトムスには、UVカットと吸汗速乾を兼ね備えた、漆黒のコンプレッションレギンス。下半身をきゅっと引き締めて見せながら、機能性も抜群なんだ。足元は、あえてたるませた肉厚の白いスポーツソックス。今ストリートでも大流行しているサロモンのトレッキングスニーカー。どう?このまま、原宿や渋谷のストリートにいても違和感ないんじゃない。「だけど・・・重い!」背負ったのは、ラベンダーカラーの25リットルバックパック。かわちい色なのに、中身はもうパンパン。だって、中身は・・・手のひらサイズまで圧縮された、超軽量ダウンシュラフ。サイドのメッシュポケット には、小さな折りたたみ式のアウトドアチェア。水分補給はピンクの水筒と、ミネラルウォーターが5本。おばあちゃんが推してる「飛騨の雫」っていうんだって。北アルプスの雪解け水などを原水としてるみたい。美味しそう。おばあちゃんは「5本じゃ足りん!」って言ったけど、これ以上重くなるのはいやだから、うちが押し切った。ごめんね、おばあちゃん・・・※続きは音声でお楽しみください。
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