EPISODE · Sep 7, 2025 · 22 MIN
【産科麻酔#15】帝王切開術中の痛み:ASA声明が示す新たな視点
from #ワンますラジオ · host 松田祐典|産科麻酔科医
Gonzalez-Fiol A, Fardelmann KL, Landau R. Shedding more light on the management of intraoperative pain during cesarean delivery: a review of the American Society of Anesthesiologists statements. Int J Obst Anesth. 2025; 62:104360.🧠 背景帝王切開は世界で最も多い外科手術の一つであり、脊髄幹麻酔が標準である。しかし、術中の疼痛や不快感は依然として無視できず、患者満足度や医療者の信頼性に影響する。米国麻酔科学会(ASA)が声明を発表し、その要点をレビューしたのが本研究である。 🔬 方法ASAが2020年代に提示した帝王切開中の疼痛管理に関する声明を整理・要約し、最新エビデンスや臨床現場での適用可能性を検討したレビュー論文。特に脊髄幹麻酔下での疼痛リスク、予防、対応策が焦点である。 📊 結果術中の疼痛経験は報告により差があるが、5〜20%の頻度で生じるとされる。リスク因子として、肥満、癒着のある再帝王切開、麻酔薬の拡がり不足などが挙げられる。ASAは以下を推奨:・麻酔導入時の十分な薬剤量の確認・痛みが出た際の静脈麻酔薬の追加(ケタミンやプロポフォールなど)・必要に応じた全身麻酔への移行・患者に事前に痛みリスクを説明し、信頼関係を築くこと 💡 考察術中疼痛は身体的苦痛だけでなく、心理的外傷や医療不信につながる。ASAは「完全にゼロにするのは難しいが、予防・早期対応で最小限にできる」と強調している。麻酔科医はチームで協力し、母体の安全と快適性を両立させる必要がある。 ✅ まとめ帝王切開中の術中疼痛は5〜20%で発生し、リスク因子も明らかになっている。ASAの声明は、予防と早期対応、そして患者との事前のコミュニケーションの重要性を強調しており、今後の臨床実践の基盤となる。
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