EPISODE · Jun 6, 2026 · 16 MIN
【幻の日本犬「高安犬チン」】古武士犬が織りなす奇跡と悲劇〜直木賞作家が描く壮絶な絆の物語〜
from Yamagata Walks 〜足跡に眠る、忘れられた山形の物語〜 · host Yamagata Walks
今回のテーマは、加藤さんも初めて耳にしたという「高安犬(こうやすいぬ)」。ただの犬ではなく、「伝説の犬」と聞き、加藤さんの期待は早くも最高潮に! **幻の日本犬「高安犬」とは?** 松浦さんによると、高安犬は今ではもうその姿を見ることができない、まさに「幻」と称される日本犬。山形県東置賜郡高畠町の高安地区が発祥の地で、残念ながら昭和初期には純血種がほぼ途絶えてしまったと言われています。 この高安犬は、主に熊などを狩るための「マタギ犬」として活躍していました。その姿は「古武士のような重みのある姿」と称され、どっしりとした骨格に厚い胸を持つ、原始的で力強い美しさを持っていたそうです。想像しただけで鳥肌が立つような、その勇壮な姿は、加藤さんの心を掴んで離しません。 **直木賞作家・戸川幸夫と『高安犬物語』** そんな高安犬の魅力を全国に知らしめたのが、直木賞作家であり動物文学の大家、戸川幸夫さんです。彼が旧制山形高校に通っていた時代の実体験をベースに書かれた短編小説『高安犬物語』が、この犬を伝説の存在にしました。 物語の主人公は、絶滅しかけていた純血の高安犬「チン」と、その飼い主である孤高の熊猟師「吉蔵」。加藤さんも「もうその設定だけで映画になりそう!」と前のめりになります。 **名犬チンと熊猟師吉蔵の壮絶な絆** 吉蔵はチンを単なる飼い犬としてではなく、魂を持った対等なパートナーとして扱っていました。戸川さんが写真を撮らせてほしいと頼んだ際、「犬サ、聞いてみろ!」と言い放ったエピソードからは、山に生きる者同士の深い絆が感じられます。 チンへの訓練もまた壮絶でした。生まれたばかりの子犬に熊の油を塗った牛肉を与え、臭いを刷り込み、さらにはわざと半殺しにした熊にけしかけて恐怖心を克服させる。現代の感覚では厳しすぎるように思える訓練も、生きるか死ぬかの峻烈な自然の中で熊と対峙するための、いわば「儀式」だったのです。こうしてチンは、「百匹、千匹に一匹」と言われる孤高の熊猟犬へと育っていきました。
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