EPISODE · Jun 10, 2025 · 9 MIN
【麻酔全般#10】非産科手術でも注意!脊麻後低血圧には、これが効く!!
from #ワンますラジオ · host 松田祐典|産科麻酔科医
Lee S, Islam N, Ladha KS, et al. Prevention of hypotension after neuraxial anesthesia in nonobstetric surgery: a systematic review. Can J Anesth. 2025; 72: 721‑37.🧠 背景脊髄幹麻酔(脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔)後の低血圧の発生率は最大80%に達し、非産科手術においても重大な循環動態の変化を引き起こす。これまでの多くの研究は産科領域に偏っており、非産科手術における低血圧の予防法に関する包括的な評価は不足していた。🔬 方法2023年1月までに発表された文献から、30件のランダム化比較試験(RCT)を選定。対象は18歳以上の成人で、非産科手術に対して脊髄幹麻酔を施行された症例。研究では、薬物(α作動薬、輸液)および非薬物的介入(脚の挙上、弾性ストッキングなど)の効果を評価した。📊 結果• 最も一貫した効果を示したのはフェニレフリン(持続静注)であり、低血圧の発生率を最大60%→20%以下に低下させた。 • エフェドリンは特に高齢者において有効だが、心拍数増加などの副作用も報告された。 • ドロキシドパ(200〜400mg経口投与)は、術前投与により発症率を平均で約15〜25%低下させた。 • 輸液負荷(15~20mL/kg)による効果は研究によってばらつきがあり、有効性は限定的。• 非薬物的手段(脚の挙上、ストッキングなど)は、単独では有意な効果を示さなかった。💡 考察低血圧予防は「介入の組み合わせ」や「タイミング(術前 vs 術中)」によって効果が異なる。フェニレフリンのような即効性のある薬剤は術中管理に適しており、ドロキシドパのような作用発現に時間がかかる薬剤は予防的投与が効果的と考えられる。非薬物的手段は補助的手段としての位置づけに留まる。 ✅ まとめ非産科手術における脊髄幹麻酔後の低血圧は、最大80%の症例で発生し得る重要な合併症である。本レビューは、フェニレフリンによる連続静注を中心に、複数の薬物が有効であることを示し、単一の方法に依存しない多角的アプローチの重要性を示唆した。今後は患者リスクに応じた個別化予防戦略の構築が求められる。
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