EPISODE · May 16, 2026 · 13 MIN
私財を捧げ村山を潤した男「喜早伊右衛門」の奇跡!100年続くため池と、絶景バラ園、地元愛されカツ丼、秘湯を巡る感動の旅
from Yamagata Walks 〜足跡に眠る、忘れられた山形の物語〜 · host Yamagata Walks
今回のエピソードでは、山形県村山市を舞台に、一人の偉大な男の壮絶な物語をご紹介します。現代に生きる私たちにとって「当たり前」の存在である美しい水。しかし、かつては水不足が人々の暮らしを脅かす死活問題でした。そんな時代に、地域全体の未来のためにすべてを捧げた人物がいたのです。その名は、喜早伊右衛門(きそう いえもん)。 明治時代、村山市の有数の大地主であった喜早伊右衛門は、水利の便が悪く干魃に苦しむ農民たちの窮状を見過ごすことができませんでした。稲が枯れ、収穫がゼロになることも珍しくなかった当時、彼は安定した水源確保こそが地域の未来を拓くと確信。そして、誰もが信じられないような決断を下します。それは、莫大な費用がかかる巨大な灌漑用ため池「東沢ため池」の建設費用を、すべて「個人の私財」で賄うというものでした。 現代の感覚では公共事業として当たり前の「ため池」を、私財を投じて築き上げたその「志」と「覚悟」は想像を絶します。明治9年、喜早伊右衛門は自ら陣頭指揮を執り、多くの人足と共に鍬を振るい、畚(もっこ)で土を運び、重い道具で地面を固める「土突き」といった人力作業を6年もの歳月をかけて続けました。現場には「エンヤ、エンヤ」という掛け声と地響きが絶え間なく響いていたことでしょう。 そして明治13年、ついに「東沢ため池」は完成。その偉業により、近隣7つの村、約200ヘクタールもの耕地が潤され、東京ドーム約43個分という広大な不毛の地が、村山市を代表する豊かな穀倉地帯へと生まれ変わったのです。喜早伊右衛門が築いた強固な基礎と、未来を見据えた「投資」は、100年以上が経った今も脈々と受け継がれ、東沢ため池は現役の施設として村山市の豊かな実りを支え続けています。明治39年、60歳でその生涯を閉じた彼の「志」は、今もため池に満々と湛えられた水のように、静かに輝いています。 この感動的な歴史に触れた後は、現在の村山市の魅力を満喫する旅へとご案内。 まず訪れたいのは、喜早伊右衛門の偉業を肌で感じられる「東沢公園」です。ため池の周辺は市民の憩いの場として整備されており、特に日本有数の規模を誇る「バラ園」は必見。約7ヘクタールの敷地に750品種、2万株以上のバラが咲き誇り、甘い香りに包まれる空間はまさに夢のようです。また、バラの季節だけでなく、新緑や紅葉の季節には、鏡のような水面に周囲の木々が映り込み、風の音と鳥のさえずりの中で時間が止まったかのような静謐な絶景を堪能できます。 そして、旅には欠かせない「食」の楽しみも。地元の方々から長年愛される「お食事処はやし」では、分厚く柔らかいお肉とふわとろ卵、甘じょっぱい割り下がご飯に染み込んだ絶品「カツ丼」を。また、ドライブのお供には「松月堂」の「あげまんじゅう」をどうぞ。黒糖生地でこしあんを包み、カラッと揚げたお菓子は、カリッ、もちっとした食感と上品な甘さが絶妙な地元銘菓です。 旅の締めくくりには、人里離れた「穴場温泉」で心身を癒しましょう。少し足を延ばした先にある一軒宿「湯舟沢温泉」は、落ち着いた雰囲気の中で日帰り入浴が楽しめます。肌にしっとりと馴染む柔らかな泉質と、露天風呂から眺める山々の景色が、日頃の疲れを忘れさせてくれることでしょう。
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