その4:BBC制作の哲学番組を鑑賞 episode artwork

EPISODE · Nov 24, 2010 · 38 MIN

その4:BBC制作の哲学番組を鑑賞

from 哲楽 · host 哲楽編集部

ハーバード・レポートその4としまして、サンデル教授の全面協力の下に、BBCが制作したドキュメンタリー風の哲学映画についてお届けします。 The post その4:BBC制作の哲学番組を鑑賞 first appeared on 哲楽.

Episode metadata supplied by the publisher feed · Published Nov 24, 2010

Embed this episode

(2010/11/24収録) 今回は、ハーバード・レポートその4としまして、サンデル教授の全面協力の下に、BBCが制作したドキュメンタリー風の哲学映画についてお届けします。 * Q1: BBC制作のドキュメンタリーの感想について (0:38) * Q2: 映像資料の利用の効果について(10:53) * Q3: 「哲学とは何ですか」という質問に答えるときの工夫について(13:16) * Q4: 日本人受講学生へのインタビューについての感想(18:34) * Q5: 一般のひと向けの哲学の講義について(23:04) * Q6: 日本版のドキュメンタリーを作るとしたら(26:36) * Q7: 日本独特の問題はあるか(33:18) 書き起こしテキスト (田中) 哲学の生態に迫るウェブマガジン『フィロソフィー・ズー』哲学ラジオのコーナーを担 当します田中紗織です。 前回は対話型講義に関する小林教授からサンデル教授へのインタビュー報告についてお 届けしました。今回は、ハーバード・レポートその4としまして、サンデル教授の全面協 力のもとにBBCが制作したドキュメンタリー風の哲学映画についてお届けします。それで はさっそく行ってみましょう。 今日はマイケル・サンデル教授のJusticeの講義に参加させていただいたんですが、ちょ うど明日からThanksgivingというアメリカの非常に大きな休日のひとつなんです。休日 の前ということで、通常のサンデル先生の講義とは違って、映像資料を使った講義スタ イルになっておりました。ここで使われていた映像というのが、BBCで放送される予定の ドキュメンタリー映画風の番組。ハーバードで公開されているJusticeの講義がBBCで放 送されるにあたっての予告編のような番組構成がドキュメンタリー風の映画のスタイル で作られていました。この番組を一時間程度、ハーバード大学で行われているJusticeの 講義のなかで披露されたというような流れでした。 たいへんこのドキュメンタリー映画の番組が非常によくできておりまして、その感想に ついて小林先生におうかがいしたいと思います。 (小林) はい。サンデル教授がみんなに見せたのは、『白熱教室』のイントロダクションとして イギリスで流すためにBBCが作成したものですね。将来ぜひ、日本でも放送してほしいなぁ というふうに思いました。 昨日お話ししましたけど、実はアメリカでその12回の講義は昨年放送されて、日本もそ れに続いています。インパクトが非常に早くあったんですが、来年になると今度は韓国、 イギリスというふうにつぎつぎと放映されていく。BBCの場合は、その本編の放送の前に ドキュメンタリーを作ったということなんですね。 このドキュメンタリーが、はじめにイギリス、ロンドンから話を始めていって、功利主 義の話をする。そのつぎにドイツにいって、カントの話をする。最後にギリシアにいっ て、アリストテレスについての話をする。しかもそれぞれの国で、功利主義、カント的 な考え方、そしてアリストテレス的な考え方を信奉している、あるいは今日でもそれを 推進しているひとたちに出演してもらって、逆にサンデル教授のほうがその方々の意見 を聞くという形でインタビューしていく。それからいろいろな事例を映像化して、とて も面白く紹介していたんです。さらにそのことについて一般のひとたち、街のひとのイ ンタビューを聞く。そういう作りになっていて、非常に面白いものでした。かいつまん で重要な面白いところを紹介してみたいと思うんです。 たとえば、功利主義は歴史的にはベンサムの話から始まっていくわけですけれど、実は 今日、功利主義を代表する哲学者のひとりであるピーター・シンガーというオーストラ リアの哲学者が登場していて、サンデル教授と対話をするという形で功利主義について の話を進めていくわけですね。ピーター・シンガーというひとは、実は功利主義的な立 場に立って、動物の権利を擁護するという非常に重要な議論をしております。千葉大学 にも来ていただいたことがあり、私もそのさい、教授と夕食をしたことがあるので、こ こで出てくるように驚いたなという気がしたわけですね。 しかもこの番組冒頭、かなりショッキングな始まり方をしている。9・11以後のアメリカ で、テロリストに対して、政府は虐待というか拷問(”torture”)を加えることによって 真実を告白させようとしたわけです。そういう拷問が許されるかどうか、というような テーマから始まっていく。しかもそれ映像化しているわけですから、なんかすごい迫力 あるんですけどね。それがはたして正義に即するかどうかという問いかけから始まって いくわけですよね。論理的に考えてみると、功利主義の立場から見ると、これはやっぱ り多くのひとびとを救うためにはやむを得ないのではないかという議論が出てくる可能 性はあるわけですね。他方でカント的な立場から言えばもちろん、そんな拷問は人間の 尊厳を傷つけることだから、いくらほかのひとを救うためとはいえ、人間を手段として いいはずがないという批判になってくるわけですよね。 こういう厳しい現代的な問題点ですね。実は、サンデル教授の書かれたJustice(『これ からの正義の話をしよう』)という本のなかでは取り上げられている事例ですけれど、 『白熱教室』のほうではあまり取り上げられていなかったので、印象にあまり残ってい ないひとが多いんじゃないかと思いますが、今日の問題を考えるうえではとても大事な 問題です。BBCはそれを正面から取り上げて、これに関連するテーマをつぎつぎと出して いって、しかもサンデル教授の三つの立場からの議論をそれによって考えていく。非常 にその意味では、迫真の、迫力のこもった番組だったんだと思うんですね。 たとえば、いまの拷問の例に関連する論点でいくと、ドイツでは、ああいう飛行機がビ ルを襲うという状況になったときは、それに気がついた政府はその飛行機を撃墜してよ いという法律を作ったということなんですね。ところがドイツの最高裁判 所は、あとでそれについて違憲判決を出した。こういう事例だったですね。 これについて考えてみる。功利主義的な立場から見ると、やはり多くのひとびとを救う んだからやむを得ない。しかしやはりカント的な立場から見れば、それはまさに無実の ひとを殺してしまうわけですから、許されないことであるということになっていくわけ なんですね。しかも、それを抽象的な議論として言っているだけではなくて、実際にそ れぞれの立場を擁護しているひとたちに、意見として言わせている。たとえばピーター・ シンガーに聞いていくわけですね。私もピーター・シンガーが動物の権利論をやってい ることをよく知っていますけど、「いまいったような事例でどこまで言うかなぁ」とい う感じで見ていたところ、やっぱりピーター・シンガーは功利主義だなぁと思ったんで す。「そういうこともやむを得ないんだ」というふうに言い切るわけですね。いろいろ 彼にとって厳しい事例なんかも出していく。ピーター・シンガーは動物の権利を守るひ とですけれど、サンデル教授は今度は「動物に対して虐待するという場合に多くのひと びとが喜んだらどう思うか」とかね。こんな事例を出してくると、みんな「難しいケー スだなぁ」と言いながら、彼はやっぱり功利主義者の立場から考えていくという姿勢を 貫いていく。 あるいは今度はドイツのほう。彼女はジャーナリストですかね。専門家的な哲学者じゃ ないですけど、非常に明快なカント的な立場に立って議論していくひと。そのひとはや はり、さきほどのような事例において、個々人のやはり人間の尊厳を守るということか ら拷問に反対する。あるいはテロリストに乗っ取られた飛行機を撃ち落とすことに反対 する。そういうような議論をしていた感じがしますね。 いま問われている非常に深刻な問題に対して、それぞれの立場に立つひとがどういう結 論を出すか。それを非常にリアリティを持って、サンデル教授が引き出していた。

Distinct summary based on available episode metadata or transcript content.

NOW PLAYING

その4:BBC制作の哲学番組を鑑賞

0:00 38:47

No transcript for this episode yet

We transcribe on demand. Request one and we'll notify you when it's ready — usually under 10 minutes.

No similar episodes found.

Frequently Asked Questions

How long is this episode of 哲楽?

This episode is 38 minutes long.

When was this 哲楽 episode published?

This episode was published on November 24, 2010.

Can I download this 哲楽 episode?

Yes. Use the download control on the episode player to save the publisher-provided media file.
URL copied to clipboard!