EPISODE · Jun 15, 2026 · 16 MIN
血液培養から分離された枯草菌株の大部分は納豆に由来
from ER/ICU Radio · host deepER
The Majority of Bacillus subtilis Strains Isolated From Blood Cultures Were Derived From Traditional Japanese Fermented Soybeans Natto: A Single-center Retrospective StudyOpen Forum Infect Dis. 12(9), ofaf574 (2025)本研究は、血液培養から検出されるバシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)が、日本の伝統的発酵食品である納豆に使用される納豆菌(B. subtilis variant natto)に由来する割合と、その臨床的特徴を調査した単一施設の後方視的コホート研究である。2016年から2023年の間に天理よろづ相談所病院で血液培養陽性となった症例を解析し、遺伝子解析(bioFおよびbioW遺伝子の特異的変異)を用いて納豆菌を同定した。解析の結果、血液培養陽性4,634件のうち70件(1.5%)でB. subtilisが検出され、その99%(69件)が納豆菌であることが判明した。これらのうち、臨床的に「真の菌血症」と判断されたのは25例(36%)であった。患者の年齢中央値は79歳で、主な診断は腹腔内感染症、肺炎、尿路感染症であり、多くは市中発症であった。30日死亡率は16%に達し、28%の患者が緊急の手術や内視鏡的処置を必要とした。分離された納豆菌は、検討したほぼすべての抗菌薬に対して良好な感受性を示した。本研究は、日本において血液から検出されるB. subtilisのほとんどが納豆菌由来であること、そしてそれらが単なる汚染菌ではなく、時に重症化し得る病原体であることを示している。内的妥当性本研究の強みは、遺伝子解析を用いることで、日常的な臨床検査では困難な納豆菌と他のB. subtilisの判別を確実に行っている点にある。また、真の菌血症とコンタミネーション(汚染)の区別において、感染症専門医2名による厳格なチャートレビューと定義を適用しており、診断の精度を高める工夫がなされている。制限事項としては、後方視的研究であるため、カルテに納豆の具体的な摂取歴が記録されておらず、摂取量や時期と発症の直接的な因果関係を定量的に評価できていない。また、真の菌血症と判定された症例数が25例と少ないため、死亡に関連する因子を特定するための統計的検出力が不足している可能性がある。さらに、死因が菌血症そのものによるものか、基礎疾患の悪化によるものかを完全には区別できていない。外的妥当性納豆の消費が一般的な日本における診療実態を反映しており、国内の救急・集中治療現場への一般化可能性は高い。しかし、納豆の消費習慣がない諸外国や、異なる種類のプロバイオティクスが普及している地域では、検出される菌株の分布が異なる可能性がある。また、環境中のB. subtilisにおける納豆菌の割合が不明であるため、直接的な食品摂取以外の曝露経路による影響についてはさらなる検証が必要である。対象が単一の三次救急病院の患者に限定されているため、異なる医療レベルの施設においても同様の発生頻度や重症度が見られるかは慎重に判断すべきである。
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