EPISODE · Feb 12, 2026 · 13 MIN
薬物中毒治療のための高用量インスリン投与後の連続インスリンおよびCペプチド濃度
from ER/ICU Radio · host deepER
Serial insulin and C-peptide concentrations following high-dose insulin for the treatment of drug poisoning: a consecutive case seriesClinical Toxicology, 2026, DOI: 10.1080/15563650.2026.2613033背景と目的薬物中毒による心原性ショックの治療には高用量インスリン療法(HDI)が用いられるが、投与中止後も高インスリン血症が持続し、低血糖を引き起こすリスクがある。過去の報告ではインスリンの消失半減期が最大18.8時間と長く、24時間以上の監視が必要とされることもあった。本研究の目的は、HDI中止後のインスリンおよびC-ペプチド濃度の推移を測定し、インスリンの消失半減期を明らかにすることである。方法薬物中毒でHDI(0.5単位/kg/h以上)を受けた患者10名を対象とした連続症例シリーズを実施した。HDI中止後、血清インスリンおよびC-ペプチド濃度を連続的に測定した。非線形回帰分析などを用いて、インスリンの血漿消失半減期を算出した。結果対象となった10名(主にカルシウム拮抗薬やベータ遮断薬の中毒)のうち、HDI中止後に低血糖を発症した例はなかった。インスリンの消失半減期の数値(中央値)は1.8時間(範囲:1.23〜9.8時間)であり、過去の報告よりも大幅に短かった。症例の多くで、HDI中止から24時間以内に高インスリン血症が解消した。また、血中のインスリン濃度が高い状態であっても、血糖値の上昇に伴ってC-ペプチド濃度(内因性インスリン分泌の指標)も上昇することが確認された。結論HDI中止後のインスリン消失半減期は、従来考えられていたよりも短いことが示された。C-ペプチド濃度の測定は、過剰なブドウ糖投与を特定し、治療の離脱(ブドウ糖投与の減量)を適切に進めるための指標として有用である可能性がある。内的妥当性強み: 連続症例シリーズとして系統的にデータを収集しており、解析において内因性インスリンの影響を考慮した非線形回帰モデルを用いている点は評価できる。限界: 観察研究であるため、採血のタイミングが厳密に統一されておらず、一部の症例でデータが欠損している。また、10例という小規模なサンプルサイズである。使用されたインスリン測定法では、治療で投与された外因性インスリンと患者自身の内因性インスリンを明確に区別できないため、算出された半減期には内因性インスリンの影響が含まれている可能性がある。外的妥当性強み: 実際の集中治療現場における連続症例を対象としており、臨床実務に即した知見を提供している。限界: オーストラリアの特定の医療機関を中心としたデータであり、病院ごとにインスリンやブドウ糖の投与・中止基準が異なるため、他の地域や施設にそのまま適用できるかは慎重な検討が必要である。また、対象患者の多くが40代の女性であり、高齢者や異なる背景を持つ患者層、あるいは極めて重度の腎機能障害を持つ患者における汎用性についてはさらなる検証が求められる。
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