EPISODE · Jan 9, 2026 · 16 MIN
重症患者における下痢の様々な基準による分類
from ER/ICU Radio · host deepER
1.論文のタイトルClassifying diarrhea in critically ill patients through various criteria: a cohort study2.CitationJournal of Intensive Care (2025) 13:553.論文内容のまとめ背景と目的集中治療室(ICU)における下痢は、電解質異常や皮膚障害、死亡リスクの増加などに関連する一般的な症状ですが、その診断基準には国際的な合意がなく、有病率の推定や死亡率との関連性の評価にばらつきが生じています。本研究は、異なる診断基準による下痢の有病率、基準間の合致度、および院内死亡率との関連を明らかにすることを目的としました。方法日本の単一施設のICUに3日以上滞在した成人患者700名を対象とした遡及的コホート研究です。WHO基準(1日3回以上の泥状・液状便)、ESICM基準(1日3回以上かつ200g超の泥状・液状便)、ブリストル便形状スケール(BSCS)6または7、および重量ベース(200g/日超、400g/日超)など計6つの定義を評価しました。入室後3日間を観察期間とし、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて死亡率との関連を解析しました。結果下痢の有病率は、採用する基準によって9%から39%まで大きく変動しました。WHO基準とESICM基準は非常に高い合致度(Kappa係数 0.87)を示しましたが、これら回数に基づく基準と、形状に基づくBSCS基準との合致度は低いものでした。単変量解析ではすべての基準が院内死亡率と関連していましたが、重症度(SOFAスコア)や背景因子を調整した多変量解析では、重量ベース(200g/日超、400g/日超)およびBSCS基準のみが死亡リスクの増加と有意に関連し続けました。結論ICU患者においては、排便回数に基づく基準よりも、便の形状(BSCS)や重量に基づく基準の方が、死亡リスクを予測する上でより有用であり、臨床実務においても簡便で実用的である可能性が示唆されました。4.批判的吟味内的妥当性強み: 訓練された看護師によって便の回数だけでなく、重量や形状(BSCS)が詳細に記録されており、データの信頼性が高い点。また、年齢、疾患の重症度、抗菌薬の使用、経管栄養の有無など、主要な交絡因子を多変量解析で調整している点。限界: 遡及的コホート研究であるため、未知の交絡因子の影響を排除しきれません。また、暦日(0時〜24時)単位でデータを集計しているため、夜間にまたがる排便回数が過小評価されている可能性があります。観察期間を入室後3日間に限定しているため、それ以降に発生した遅発性の下痢の影響は評価されていません。外的妥当性限界: 単一施設での研究であるため、患者層やICUの管理方針(栄養管理や抗菌薬の使用プロトコルなど)が異なる他の医療機関に、そのまま結果を一般化できるかは不明です。また、BSCSは一般的に用いられる指標ですが、ICU環境における妥当性や信頼性は、先行研究を含め完全には確立されていない点に留意する必要があります。
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