PODCAST · business
復職名人が読む三手先
by Centro Salute
この番組は、産業医の高尾総司、弁護士の前園健司、社労士の森悠太の三名が、企業や自治体の人事・健康管理に携わる方向けに、メンタルヘルス不調者対応や健康管理について、議論をしていくポッドキャストです。【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210%E2%81%A0
-
100
第101回|産業医・弁護士・社労士の三職種連携をどう一般化するか
第99回日本産業衛生学会でのポスター発表に向け、産業医・弁護士・社労士の3職種連携の特徴を一般化・整理することを目的に議論を行いました。平時連携と有事連携の違い、共通言語の重要性、不可侵領域とオーバーラップ部分の見極め、シナリオによる同床異夢の最小化など、連携の本質的要素を多角的に整理しています。 告知 【第99回日本産業衛生学会@大阪の企画についてポスター発表】 下記の通りポスター発表を行います。 セッションの間は私たちがポスターの前にいますので、ぜひお気軽にお越しくださいませ。 演題番号:P9-95 演題名:産業医・弁護士・社労士の連携の取り組み セッション日時: 5月28日(木) 13:45~14:45 【会場外自由集会】 下記にて、自由集会を行います。公開収録形式の予定です。申し込み不要ですので、ぜひお越しくださいませ。 日時:5月29日(金)9時30分〜11時30分 場所:中之島センタービルディング 31階スカイルーム テーマ:両立支援と高尾メソッド 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾 産業医科大学基本講座の受講者激励会に行ってきました。 前園 労働新聞にて単独連載がスタートしました。この機会に労働新聞をぜひ購読してください。 森 作業環境測定士の取得に向け、第一種衛生管理者保有者向けの免除講習を受講してきました。 議論した内容 ポスター発表の狙い 産業医・弁護士・社労士という3職種連携の特殊性を踏まえつつ、産業保健職と人事・経営層との連携など、より広い場面に応用可能な一般化を目指す方向で整理。 平時連携と有事連携 連携には「個別ケース対応の有事連携」と「考え方や仕組みを整理する平時連携」の2層が存在し、3人の関係は当初から平時連携を並行して行ってきた点が特徴。 平時連携が積み重なることで、有事と感じる事案を平時連携の延長で捌けるようになり、結果として「有事ならない」状態が生まれる。 必要性ベースの関係は必要性が消えれば終わってしまうため、必要性のない時間の確保と中期的なリソース交換が連携継続の鍵。 連携を支える共通言語と考え方の共有 メソッドという共通言語を持っていることが、3職種連携の再現性を支える基盤。 「あの先生はこう言っている」という答えだけでなく、「なぜそう考えるか」という導出プロセスを共有することが連携を機能させる上で重要との指摘。 不可侵領域とオーバーラップ部分 職種が異なるからこそ、不可侵領域を明確にしつつ、医学・法律以外の業務的アプローチで重なるオーバーラップ部分を厚くしておくことが連携の持続条件。 リング上で議論する範囲(共通領域)と、リングを降りて持ち帰る範囲(医学・法律的判断)を明確に区別する運用を確認。 勉強会・飲み会形式との比較 勉強会形式は教える側と教えられる側が固定されやすく、平時連携の代替にはなりにくい。 飲み会の質と種類によっては議論が深まらず、文書に相互に手を入れる作業こそが連携の本質的な深化を生むとの整理。 病名ごとの対応検討の可能性 当初から病名を問わない一般化を貫いてきたことが連携継続の要因であり、初期に病名検討から入っていれば連携は続かなかったと振り返り。 成熟した現状であれば、病名ごとの対応をオプション的に取り扱う検討にも意義があり、メソッドのメリット・デメリットが病名により異なる点を整理する余地あり。 両立支援との接点 病名ごとの検討は両立支援との当てはめの議論と相当オーバーラップする可能性があり、メンタルより先にがん等の身体疾患領域から検討を進める方向性。 個別ケースの主治医意見に右往左往するのではなく、再現性のある対応を構築することが企業活動に適合。 文書理解力・作成能力の重要性 自治体関係者との連携が機能している背景には、文書の理解力と作成能力という基礎能力の存在。 医療職は総じて文章作成能力が高くないため、議論の土台を揃える「掃除」のような作業が必要であり、内容に入る前段階の素養を整える重要性を指摘。 同床異夢の最小化とシナリオの役割 連携が形骸化する最大の要因は同床異夢であり、これを最小化するためのコストを払う関係性が不可欠。 面接シナリオは「誰が何という言葉で伝えるか」まで落とし込むツールであり、同床異夢を構造的に減らす効果。 手順や様式だけでは運用がばらつくのに対し、シナリオを共有することで完成度を90%程度まで引き上げ、残る部分にのみマージンを残す運用が可能。 録音共有との対比 面談録音の相互共有は理論上可能でも、リカバリを含む面談全体のアートを損なう懸念や、聞き返す手間の重さから現実的ではない。 事前のシナリオ文書は曖昧さがなくクリアであり、議論を突き詰めやすいというメリットを再確認。 編集後記 高尾 従来型の対応は、経験からの帰納的な内容に、近年では手引きを中心とした要領のようなものからの演繹的な内容を、追加的にハイブリッドにしたものではないでしょうか。一方で、メソッドは要領(労働契約・就業規則+大原則・三原則)からの演繹的内容だけで構成されます。 もっとも、今回言及したように、いかに演繹的に構成しても、運用マニュアル(+様式)だと30%くらいしか(50%未満)制御できなかったところ(すなわち要領と乖離が生じる)、シナリオで90%くらい制御できるようになった気がします。(また連載か、別の原稿にまとめます) 前園 「共通言語」という言葉を、森先生が指摘してくれました。我々専門家は、弁護士であれ産業医であれ、本来いつも「難しい専門用語ばかり使わない」と意識しているはずですよね。でもメンタル不調者対応の相談場面では、専門家の人事・上司に対するアドバイスがわかりやすいかという話とは別に「人事・上司が労働者に対してどういう言葉を使うのか」という意味のレベルまで、共通言語化できているかどうかが、重要だということだと思います。 我々が早口で話す内容が、一言一句のレベルまでメモできるはずもないですので(笑)、私としても、この点はもっと意識していきたいと思います。 森 本編では直接取り上げられませんでしたが、3人がお互いに紹介した本をお互いに読むことが非常に多いのも、何か良い連携のヒントのように思いました。
-
99
第100回|100回記念〜リスナーからのお便り企画〜
第100回記念として合宿先からのライブ配信を実施。事前に寄せられた10通超のお便り・ご質問に対し、番組の在り方からメソッド運用上の具体的な実務論点まで幅広く議論しました。リスナーとの双方向の交流を通じ、メソッドの普及や運用上の課題を改めて整理する回となりました。 告知 【第99回日本産業衛生学会@大阪の企画についてポスター発表】 下記の通りポスター発表を行います。 セッションの間は私たちがポスターの前にいますので、ぜひお気軽にお越しくださいませ。 演題番号:P9-95 演題名:産業医・弁護士・社労士の連携の取り組み セッション日時: 5月28日(木) 13:45~14:45 【会場外自由集会】 下記にて、自由集会を行います。公開収録形式の予定です。申し込み不要ですので、ぜひお越しくださいませ。 日時:5月29日(金)9時30分〜11時30分 場所:中之島センタービルディング 31階スカイルーム テーマ:両立支援と高尾メソッド 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 議論した内容 100回記念ライブ配信とお便り企画 100回記念企画として、事前に寄せられた10通超のお便り・質問を読み上げ、コメントしながら進行する形式を採用しました。 来年の合宿に合わせて再度募集する案や、節目の50回ごとに実施する定番企画化の構想も話題に上りました。 番組の聞き方と近況報告の効果 公開収録の現地参加と通常配信、ノーカット版(有料会員向け)を組み合わせて聞いてくださっているリスナーの存在に対し、感謝が示されました。 近況報告は人柄を伝える機能があり、初対面でも知り合いに感じられる効果(単純接触効果に類するもの)があるとの指摘が紹介されました。 出演者の声質と音声編集 3名の声質が明確に異なるため、音声コンテンツとして識別性が高いというリスナーからの指摘を取り上げました。 機材選定と編集は森が担当しており、録音環境(反響音、エアコン音等)に応じた音響調整を行っていることが説明されました。 メソッドの間口の広げ方とセカンドライン構想 「ポッドキャストの内容がコアな信者向けになっている」というリスナーからの指摘に対し、初心者向けの「セカンドライン」配信や、よくある質問シリーズの可能性を議論しました。 「職場は働く場所である」という大原則が、20年以上経った今も新鮮に受け取られる現実への驚きが共有されました。 仕事と治療の両立支援における事業者方針表明 努力義務化された両立支援において、事業者の方針声明(A4・2枚程度の様式)の重要性を指摘しました。 厚労省雛形の声明をそのまま発出すると、人事の方向性がそちらに固定化される懸念があり、独自の方針表明が望ましい旨が述べられました。 福利厚生の文脈で実施できる体力のある会社か、否かでアプローチを分ける必要性も論じられました。 宗教上の断食中の従業員への対応 イスラム教徒のラマダン期間中の勤務に関する質問について、「日本の社会通念上、断食による業務支障は許容されない」という方針を明示すべきとの見解を示しました。 「水分補給の啓発」のような中途半端な対応ではなく、「健康管理を本人責任で行ったうえで通常勤務するか、休暇を取得するか」を選択させる枠組みが提案されました。 建設業など事故リスクの高い業務では、より厳格な運用が必要との指摘も加えられました。 シナリオ・受領書作成のスキルアップ方法 スキルアップにはチームでの相互添削が有効であり、3人以上で同じ事例にコメントし合うことが推奨されました。 「場数をこなせ」という助言が紹介され、実践量とフィードバックの両輪が重要であると整理されました。 AIによるシナリオ添削チャットボット構想は、文体・言い回しの修正は可能でも、背景知識を要するパラグラフ追加には課題があると共有されました。 中小企業(短い休職期間)でのメソッド導入 休職期間が3ヶ月程度の中小企業では、療養開始から1週間以内に初回面接を実施するなど、対応の早期化が必須となります。 「うちの会社の休職期間は3ヶ月しかありません」と、入社時から繰り返し本人に伝えておくことが最大の備えであるとの指摘が示されました。 休職期間の短さを補うのではなく、日頃の労務管理をメソッドで強化することが本質的な解決策である旨を強調しました。 週1報告が止まった従業員への対応と「刺激」という曖昧語 「刺激しない方がよいかと思って指摘していない」という相談に対し、「刺激」という言葉が「相手を怒らせて面倒になりたくない」という回避を正当化していると指摘しました。 週1報告(療養復帰準備報告書)は復職意思の存在証明であり、提出停止は休職を法人として認めるか否かに関わる重大な事象として、明確に通知すべきです。 給与・金銭関連の連絡窓口とエールサポート(復職支援サポート窓口)をワンストップ化し、家族同席の要請も「求めます→要請します→命じます」と段階的に強める運用が提案されました。 産業医・保健職へのメソッド導入と組織構造 産業医や保健職にメソッドを浸透させるアイデアとして、健康管理部門と安全衛生部門を組織的に分け、安全衛生側に産業保健職を配置することで、自由裁量を構造的に制限する方法が紹介されました。 様式や運用面で機能的に主治医・産業医の暴走を抑える従来の対応に加え、組織構造そのものを変更することで何も起きない状態を作る発想が示されました。 神経痛で短期休職を繰り返す社員への対応 残業免除の就業制限では改善せず、短期休職を繰り返している社員のケースについて、療養期間を3ヶ月→4.5ヶ月→6ヶ月と段階的に長くしていく運用が提案されました。 頸椎症や腰椎ヘルニア等の手術判断は本人の意思に委ねるべきであり、会社からは労務提供が不完全であることを明示し、療養に専念させることが助言として有効です。 過重労働の閾値(時間外80時間以上等)の運用や、業務の属人化解消が組織課題として残ること、合理的配慮や両立支援で勤務時間・日数の調整に踏み込む場合は原契約の見直しが必要となる可能性についても議論されました。 編集後記 高尾 セカンド・ライン、いいですね。名称もおおよそ決まったみたいですし。私も楽しみにしています! 前園 ここまでポッドキャストが続いたのも、ひとえにリスナーの皆様のおかげです。 いつもリアルでオンラインで、ありがとうございます。 内容面では、話題が細かすぎるなどの課題はあるのかもしれませんが、とにかく「続ける」ということは大事なだなぁと思います。 この100回まで、よほどのことがない限り収録のキャンセルはしてこなかったです。 とはいえ、聴いてくれる方が減っていくのは意味がないので、今後も真摯に取り組んでまいります。 どうか引き続きよろしくお願いします! 森 100回を記念して、ポッドキャストのカバーアートを新調いたしました! 猪戸どしさんというイラストレーターの方に作成してもらいました。 https://coconala.com/users/4728081?ref=service_main_column
-
98
第99回|弁護士勉強会の事例から読み解くメンタルヘルス不調者対応の論点
合宿2日目の収録です。とある勉強会で取り上げられた「メンタルヘルス不調者への対応」をテーマとする事例検討資料を題材に、ラインケアの限界、業務軽減措置の誤解、受診命令、復職判定、休職満了対応など、現場で頻出する論点を多角的に議論しました。問いの立て方そのものを疑い、業務的アプローチを起点として整理し直す視点を提示しています。 告知 【第99回日本産業衛生学会@大阪の企画についてポスター発表】 下記の通りポスター発表を行います。 セッションの間は私たちがポスターの前にいますので、ぜひお気軽にお越しくださいませ。 演題番号:P9-95 演題名:産業医・弁護士・社労士の連携の取り組み セッション日時: 5月28日(木) 13:45~14:45 【会場外自由集会】 下記にて、自由集会を行います。公開収録形式の予定です。申し込み不要ですので、ぜひお越しくださいませ。 日時:5月29日(金)9時30分〜11時30分 場所:中之島センタービルディング 31階スカイルーム テーマ:両立支援と高尾メソッド 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾・前園:シェリー樽熟成の焼酎を中心に7〜8種類を試飲。観光では猿岩など期待を超えた一方、小島神社はモンサンミッシェルというには、やや期待外れ。ウニ飯定食に生ウニ、巨大なアジフライを堪能した。 森:前回に引き続き、自宅からの参加となった。 議論した内容 弁護士勉強会の事例設定への違和感 弁護士の勉強会の題材としては、社労士向けの内容に留まり、厚労省の4つのケアを紹介する解説に終始している印象。 文字資料はサマリーであり、会場ではより踏み込んだ実践的な議論がなされている可能性はあるが、表に出る範囲では当たり障りのない内容となっている。 弁護士に相談が来るのは、他の専門家が的確な助言をしないことの裏返しでもある。 ラインケアと「不調を見つける」問いの誤り 「管理職がどうすれば不調者を見つけられるか」という問いの立て方自体が誤っており、見つけられたとしてその後の対応が担保されない以上、議論の前提を疑う必要がある。 安全配慮義務(部下の健康管理)とプライバシー保護というダブルバインドを与えられた現場は思考停止しやすく、専門家は優先順位を明確に示す助言をすべきである。 4つのケアを参照した瞬間に医療に思考が引っ張られ、職場で素人が予備軍を見つけるという妄想的な議論に陥る危険がある。 業務軽減措置という曖昧な助言の弊害 安全配慮義務の文脈で「業務軽減措置」を助言すると、現場では誤った運用に流れやすい。 専門家の現場助言は「休ませる一択」が原則であり、業務軽減措置は休業命令発令までの過程で必然的に生じるものに過ぎない。 受診命令と受診拒否への対応 「受診させるためにどう対応するか」という問い自体が方向を誤っており、業務的アプローチと医療的アプローチを並行して進めるべきである。 問題行動には事実に基づく指摘・指導(必要に応じて懲戒検討)を進めつつ、産業医・保健職経由で受診勧奨を行う構えが現実的である。 指定医3名を選択させ協議に応じる姿勢を示す裁判例ベースの対応は、実質的には1択でも家族の理解を得て進められる場面が多い。 業務上の支障(事例性)の言語化 「業務上の支障はどこにあるのか」というメタ認知的な視点が、相談者にもAIにも抜け落ちやすい。 能力不足解雇が難しいのは、仕事ができていないという事実を具体的なシーンや行動レベルで言語化できていないため。 「常識」で片付けず、なぜそれが業務上問題なのかを丁寧に説明する力(フィードバック)が現場に求められる。 即答にこだわらず、「会社としての見解を書面で返す」という選択肢を持つことが有効である。 復職判定と主治医意見への対応 弁護士に相談が来る場面は、療養中の週1報告などの労務管理を行わずに突然診断書が出てくるケースがほとんどである。 主治医に職場の状況を積極的に情報提供し具体的な見解を確かめるという対応は、主治医意見の証拠価値を相対化する訴訟戦略の側面を持つ。 主治医が職場業務を踏まえて噛み合った意見を示してくれば、それは強力な味方となる。 「根本的解決」の捉え方と休職という暫定着地点 解説資料が「根本的解決」を雇用終了と暗黙に定義していることへの違和感。 休職は誰にも直接的被害を与えない暫定的な解決であり、考える時間を稼ぐ手段として極めて有効である。 就業規則上の休職期間満了による自動退職の規定は、当初から本人に明示すべき情報である。 会社が当事者であることの再確認 弁護士、主治医、産業医に順番に聞き、会社自身が判断を回避するたらい回し構造が現場の混乱を招いている。 弁護士は「あなた方で基準を作って考えていい」と会社の主体性を取り戻す助言をすべきである。 問題を「メンタル不調者対応」と一括りにせず、「SNSで意味不明な発信をする従業員への対応」「会社の名誉を毀損する行為への対応」など、就業規則上の懲戒検討から議論を始める枠組みに置き換えるべきである。 編集後記 高尾 私たちにとっての「根本解決」は、再び支障なく業務が遂行できるようにすることで、そのためには、たいていの場合、体制を立て直すためにも療養をはさむのが、ほぼ解というのが経験の教えるところなんでしょうね。 (そして体制を立て直す必要があるのは、本人だけではなく、企業側も同様であるということも) 前園 リスナーの皆様も、弁護士がされているポッドキャスト、弁護士セミナーなどぜひ受講頂いて、そのご感想等をお聞かせ頂ければ嬉しいです。弁護士と産業医の共同セミナーなどもあるようです。 専門家同士の連携については、産業衛生学会のポスター発表でも議論する予定です! 森 ウニ丼・アジフライ(あとはお刺身や壱岐牛など)食べたかったです。。。
-
97
第98回|次の100回に向けて
今回は100回を目前に控えた節目の合宿特別編です。森が体調不良により急遽オンライン参加となる中、第200回(2030年予定)に向けた番組の方向性、産業保健領域における今後の重点テーマ、そして3人それぞれの問題意識を率直に語り合いました。 告知 【第99回日本産業衛生学会@大阪の企画についてポスター発表】 下記の通りポスター発表を行います。 セッションの間は私たちがポスターの前にいますので、ぜひお気軽にお越しくださいませ。 演題番号:P9-95 演題名:産業医・弁護士・社労士の連携の取り組み セッション日時: 5月28日(木) 13:45~14:45 【会場外自由集会】 下記にて、自由集会を行います。公開収録形式の予定です。申し込み不要ですので、ぜひお越しくださいませ。 日時:5月29日(金)9時30分〜11時30分 場所:中之島センタービルディング 31階スカイルーム テーマ:両立支援と高尾メソッド 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 森:合宿の2日前に発熱し、現地への参加を断念。自宅から療養しながらオンラインで参加しました。 高尾:博多港からの高速船で大きく揺られ、上陸時点で既に満身創痍。フェリーターミナルにタクシーがおらず、電話で呼び寄せる事態となりました。 前園:同じく船酔いに苦しみ、AIで対処法を検索しながら現地入り。ローテーブルとソファで収録に臨んでいます。 議論した内容 第200回(2030年)に向けたロードマップ ポッドキャストは2022年7月開始、約4年弱で100回到達。同じペースなら2030年に200回を迎える計算です。 両立支援メソッドは番組内ではある程度整理が進んでいるものの、世の中への浸透にはまだ丁寧な議論が必要との認識を共有しました。 高齢労働者と労働力確保 日本は高齢者の労災予防など「リスク低減」の議論が中心で、フィンランドのように国策として「健康に働ける年齢を上げる」発想には踏み込めていません。 定年後の賃金低下に明確な根拠がない一方、職務限定とも異なる曖昧な運用が続いている現状を整理しました。 1日8時間・週5日労働の根拠の薄さや、ワークライフバランスと労働力確保のトレードオフについても言及しました。 健康管理・労働契約・金融の「リテラシー教育」 日本の労働者は過保護な健康管理に慣れ、自己健康管理能力が育っていないとの問題意識を共有。小中高6+6年の教育課程で「健康管理は自分でやるもの」と植え付ける可能性を議論しました。 労働契約リテラシーも同様に教育の対象になり得るとし、研修医の働き方の変化を例に教育介入の効果に言及しました。 iDeCoに象徴されるように、国は「過保護に守った後で本人に投げ返す」傾向があり、職場の健康管理も同じ経路をたどる可能性があるとの指摘がありました。 健康管理・労働契約・金融リテラシーは有機的に繋がるテーマとして整理されました。 産業保健職向け「労務管理」研修シリーズ構想 産業保健職向けに「労働契約とは何か」「労務管理とは何か」をパッケージで伝える研修シリーズの構想が提示されました。 自治体の産業保健は人事のグリップが弱く保健師主導になりがちで、外注化を含めた抜本的な見直しが必要との議論がありました。 産業保健法学会との違いとして、「ホーム」が後ろ向きになりがちなのに対し、本番組は前向きな「労務」の議論を志向していることを再確認しました。 メソッド普及とAIの活用 メソッドのシナリオ化・動画化は一定の到達点に達しており、次は企業への浸透フェーズに入ります。 AIによる「ミニ高尾先生」が完成度を高めており、仲間の産業医がAIを使ってメソッドを企業に普及させるステージが見えてきたとの展望が示されました。 弁護士助言の課題 紛争専門の弁護士の助言が、結果的に「揉めさせる方向」に作用してしまうケースがあり、訴訟リスク低減を目指して逆に紛争化リスクを高める構図を指摘しました。 「最終決定は会社」と逃げるのではなく、シナリオレベルで「全面採用してよい」助言を作り上げる必要性を議論しました。 弁護士はそもそも目の前の従業員に直接アプローチする経験が乏しいため、労務管理の実務感覚が育ちにくい構造的な問題にも触れました。 メンタルヘルス不調者対応における「寄り添い」一辺倒のアプローチが、結果的に紛糾を招く危険性についても言及しました。 公開収録・自治体訪問・ゲスト招聘 合宿の道中で自治体の人事課を訪問し、公開収録や無料相談会を行う構想が提示されました。 地域・職域連携の観点から、商工会議所などとの連携も視野に入れた議論がありました。 ゲスト招聘については、上松先生回(第59〜60回付近)のような形式に加え、現場で両立支援に悩む当事者を顔・声を加工して招くアイデアも出ました。 会員限定コンテンツとして、より突っ込んだ議論や両立支援などの繊細なテーマを扱う方向性も検討しました。 4人目のメンバー候補 番組メンバー拡充の可能性として、ヘッジファンド関係者、企業経営者、労働組合委員長、労働者側弁護士などが候補として挙がりました。 労働者側弁護士との対話は、争うためのスタイルではなく議論を深めるスタイルへの転換が必要であり、現状は議論が一旦止まっている状態であることを共有しました。 模擬裁判と今後の準備 2028年札幌の全国協議会に向けて、産業医・産業保健職向けの労務ホームセミナーシリーズを準備していく方針を確認しました。 番組のセルフプロデュースの難しさに触れ、外部プロデューサーを単発で迎える可能性についても言及しました。 編集後記 高尾 中日にはレンタカーを借りて、島の中を、かなり行ったり来たりしました。 満タン返しで、ガソリン代が600円に満たず。 ホンマか?と思いましたが、考えてみれば、信号がほとんどないので、ストップ&ゴーがなく、移動の予測時間と距離が感覚を超えてましたので、確かに燃費もいいのだと理解しました。 前園 昔から乗り物酔いグセが非常に強く、今回は船酔いでしたが、基本的に車、特に閉鎖的なバスなどはダメです。 船は高速船がダメで、外に出れるフェリーならok。電車は大丈夫。新幹線はときどきダメ。 誰か根本的な改善策をご存知の方いらっしゃれば、ご一報ください…。 森 とてもとても楽しみにしていた合宿だったので、行けなくて大変残念です。。。
-
96
第97回|50人未満事業場のストレスチェック実施モデル
今回は、令和7年の安衛法改正により、ストレスチェックの実施が50人未満の事業場にも義務付けられることを受け、小規模事業場特有のリスク(結果の漏洩、コスト、実施者の確保)を踏まえた独自の実施スキームを議論しました。ベンダーへの外注ではなく、企業内労働組合・互助会に委託するモデルを提案しています。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月17日(金)の夜に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) 前園:「パン作ったことある?」「たい焼き食べたことある?」 森:父の退任記念祝賀会に参加しました。 議論した内容 小規模事業場におけるストレスチェックの課題 50人未満の事業場では、監督署への報告義務はないものの、実施義務は生じる。報告義務がないことを理由に実施しない、という対応は取るべきではない。 小規模事業場では社長や社長の配偶者が総務を兼ねていることも多く、結果が事業者に漏洩するリスクが極めて高い。 厚労省マニュアルは「原則外注」としているが、外注先がこうしたリスクを十分に理解しているとは限らず、コストも割高になりやすい。 労働組合・互助会への委託モデルの提案 ベンダーではなく、企業内の労働組合・互助会にストレスチェックの実施業務を委託する方法を提案。組合には従業員の不利益情報を事業者に漏らす動機がなく、むしろ守る側の立場にある。 事業者は委託契約を結んだ後、実施方法の詳細は一切関知しないという建前を貫くことで、結果の漏洩リスクを構造的に排除する。 組合・互助会から各従業員に実施を依頼し、本人が自分で57項目のうちB領域(ストレス反応)29項目を記入・自己採点して高ストレス判定を行う。 実施者の位置づけと実務上の運用 実施者(医師等)は制度上必要だが、本スキームでは結果を見ない実施者として機能する。判定基準の設定と承認のみを行い、実際の採点は本人が行う。 実施事務従事者は置かない。封筒を集める組合担当者は中身を知らないため、実施事務従事者に該当しない。 当面3年間は高尾先生が実施者を引き受け、その後は地産保の登録産業医に引き継ぐ想定。 高ストレス者の面接指導の流れ 面接指導を希望する従業員は、事業者ではなく組合・互助会に申し出る。組合から地産保の登録産業医につなぎ、事業者を介さずに面接指導が実現する仕組み。 措置の申し入れがあった場合のみ事業者が関与し、時間外労働の制限など具体的な措置を講じる。 検査実施に相当する時間分の賃金は事業者が従業員に支払い、就業時間外での実施による金銭的不利益を補填する。 法令上の論点 安衛法第66条の10、施行令、安衛則第52条の10と政令省令委任の構造をたどる必要がある。「実施者」という用語は安衛則のタイトルに出てくるが、条文本文中には明確に定義されていない。 互助会(法人格なき社団)が委託契約の当事者となれるかなど、契約関係の法的整理は今後の検討課題として残った。 編集後記 高尾 ゾノ先生の指摘を受けて、さすがに、「判定」そのものを労働者自身にやらせるは言い過ぎなので、労働者には、「足し算作業」をやってもらって、判定は、以下のツールで「実施者」が行う建付けとするといいなと気づきました。 https://forms.gle/WkH3tePEoG6WerMJ6 もっとも、この複雑なスキームを音声コンテンツで理解することは困難だと思いますので、また連載で文字で確認ください! 前園 日本語は多義的ですが、読みやすい文章はリズムがいいという話も耳にします。 とはいえ聞き手のリズム感と書き手のリズム感が一致するとも限らず、普遍的な正解があるのかないのか。 法曹界隈には一応の型のようなものはありますが、一般のリズム感とは異なる感じがしています。 とりあえずドラムでも叩いてみてから考えた方がいいのでしょうか。 森 編集をしながらふと思ったのですが、私たちが考えているような、小規模事業場向けのWebで実施できるストレスチェックサービスであれば、Claude Codeで簡単に作れそうです。Claudeとチャットしてみた感じ、おそらく保守費用も年間数万円程度になるのかと。暇な時(私というよりは、Claudeの使用量に余裕があるとき)取り組んでみようと思います。
-
95
第96回|よくある質問シリーズ Part1「不調に気づいたとき、まず何をすべきか」
新企画「よくある質問シリーズ」の第1回として、メンタルヘルス不調が疑われる従業員への初動対応に関する4つの質問を取り上げました。大原則と三原則に照らせば、個別事情に左右されず標準的な対応が導けることを、具体的な事例を通じて示しています。 よくある質問シリーズは、今後不定期に収録予定です。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月17日(金)の夜に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:神栖産業医トレーニングセンターを訪問しました。 前園:「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」(西林克彦著・光文社新書) 森:東京出張の帰りに雪による航空ダイヤの乱れに遭遇しました。 議論した内容 Q1:パニック障害の社員に業務を限定して与える義務はあるか 「客先訪問はできないが社内作業なら可能」と本人が主張し、「主治医も環境限定で就業可」との意見だが、これは三原則に照らせば、通常勤務ができていない以上、まず療養導入を進めるのが基本的な対応。 安全配慮義務を果たすために軽減業務を認めると、配慮がエスカレートし、結果的に義務違反を問われるリスクがある。 Geminiに同じ質問をすると「合理的配慮の提供義務がある」と回答。事前知識なく汎用AIに頼ることの危険性が浮き彫りになった。 Q2:適応障害気味の部下について、会社はどこまで情報収集すべきか 上司が親身に病状や通院状況を聞き出そうとしているが、疾病に関する情報収集は不要。 会社として把握すべきは勤怠状況と職務遂行状況であり、これらは適正な労務管理の中で自然に得られるはずの情報。 進捗遅延を指摘し、背景に体調不良があるなら療養か通常勤務かの二択を提示するのが適切。 コーチングの弊害について(詳細は第61回を参照) Q3:自殺をほのめかす優秀な社員への対応 業務成績や性格など枝葉の情報を削ぎ落とせば、「従業員が死にたいと言った」という事実のみ。速やかに療養導入を進め、家族にも連絡する。 本人が「大丈夫」と撤回した場合は、2ステップ受診(まず主治医に通常勤務可の意見書を求め、その上で改めて療養を検討)で対応する。 Q4:休職を拒むマネージャーへの対応 ミスの連発に対してまず事例性の指摘と改善要求を行い、改善しなければプロジェクトからの配置変更や懲戒手続きも視野に入る。 病気欠勤は申請制であるため、まず就業規則上の選択肢を説明し、本人に選択させるプロセスが重要。 療養導入は命令ではなく、本人と家族に先の見通し(最悪のケースを含む)を示した上で、本人の選択として進めるのが実務上のポイント。 メソッドAIアドバイザーとの比較 高尾メソッドに特化したAIチャットボットは、上記の質問に対して大原則・三原則に基づく的確な回答を生成した。 一方、汎用AI(Gemini等)は安全配慮義務や合理的配慮を前提とした労働者保護的な回答を返す傾向がある。 質問の枝葉を削ぎ落として100文字以内にまとめるプロセス自体が、問題の本質を見極めるトレーニングになる可能性がある。 編集後記 高尾 何度も言及してましたが、「(メンタル不調者の)希望をきく」ということは医療的アプローチでもあり、近年のコーチングのような意味合いともリンクしやすく、結果として、本来あるべき労務管理を上司なり人事が行うことなく、相手の希望通りにする、そのための変な言い訳として安全配慮義務などが「利用」されているように感じました。 昔?のように、黙っていても自身で気づき、労働者として望ましい方向に回帰してくれる時代は終わったと考えると、「言わなくてもわかるでしょう」ではなく、明確に(誰がきいてもそうわかるように)伝えることの重要性がますます高まっているように思います。 前園 高尾メソッドを習得する最も良い方法は、「事例相談に対して回答する」という機会をもつことと考えています。 聴いてわかったつもり、読んでわかったつもりになっていても、いざ生の事例の相談を受けてみると、病名などに「引っ張られて」しまいがちです。 最近でしたらAIに架空の質問を作ってもらうのも良いかもしれないですね。 森 AIは、ナレッジそのものもそうですが、よく言われるようにプロンプトが重要です。僕が作った(Claude Codeに作ってもらった)AIアドバイザーは、事前プロンプトにコア概念を全部入れているようで、精度が高く出ているようです。
-
94
第95回|週1報告の「月1提出」モデルと、専属産業医の兼務要件
今回は2つのテーマを取り上げました。1つ目は、週1報告の記載頻度は維持しつつ、提出を月1回にまとめる簡易運用モデルの提案、2つ目は、専属産業医が他社の嘱託産業医を兼務することの可否について、法令・通達をたどりながら議論しました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:アバルト595が納車されました。 前園:「連絡は産業医に限る」とワコール事件。 森:ウイスキーの飲み方を、ストレートからトワイスアップに切り替えました。 議論した内容 週1報告の「月1提出」モデル 休職者が多い大規模企業では、週1報告の受領・処理の事務負荷が導入の障壁になっている。 本人には週1回の報告書記載を継続させつつ、4枚まとめて月1回提出させることで、会社側の事務作業量を大幅に軽減できる。 記載頻度を週1に維持する意義は、療養中の感慨と増悪の波を捉えるため。月1回のまとめ書きでは、良い時期だけ・悪い時期だけを選んで書くバイアスが生じやすい。 まとめて書いたかどうかは報告書の内容やペンの変化から概ね判別可能だが、仮にまとめ書きであっても、4週分を正確に再現できる能力自体が一定の回復を示している。 復帰準備期後半に入ったら、提出頻度を隔週→週1に戻し、復帰タイミングの遅れを防ぐアレンジが必要。 生活記録表との比較 生活記録表は「何時に起きたか」「何をしたか」という医療的アプローチであり、復帰準備に必要な「業務遂行能力の回復」を読み取ることができない。 週1報告は業務的アプローチであり、事務担当者でも内容を理解でき、復帰基準の充足度を確認できる点で優れている。 生活記録表を週1報告とセットで求めるハイブリッド運用は、本人にとって「会社のためなのか自分のためなのか」が曖昧になり、不信感を招くリスクがある。 生活記録に基づく支援を行うなら、復帰準備期に本人の希望を確認した上で、週1報告とは明確に分けて運用すべき。 専属産業医の兼務要件 「専属産業医が嘱託産業医を兼務することを禁止する規定はあるか」という質問が多いが、禁止規定がないからやっていいという解釈は法の趣旨に反する。 専属産業医の根拠規定は、安衛法第13条→施行令第5条→安衛則第13条第1項第3号と、政令省令委任の構造をたどる必要がある。 「専属」の定義は法令上明文化されていないが、行政解釈では衛生管理者の規定に準じ、「その事業場のみに所属し、もっぱらその業務に従事する」と解されている。 通達(基発)により、グループ企業の嘱託産業医を兼務できる例外要件として、地理的近接性、合同安全衛生委員会等の設置、労働態様の類似性、対象労働者総数3,000人以内が定められている。 禁止されていないからやってよいのではなく、制度の趣旨を踏まえて自ら判断できることが、専門家としての産業医に求められるスキルである。 編集後記 高尾 「岩盤規制(新潮新書)」を引用して、法令の定めに対して、通達で例外を設けることのイレギュラーさを説明する研修も作成していますが、専属産業医の兼務問題も同じ面がありますね。 通達は以下が最新でしょう。地理的要件は削除されたけど、(1)労働衛生協議組織、(2)業態の類似性、などを勘案するとほとんどの兼務は正当化されないでしょう。 https://naras.johas.go.jp/wp-content/uploads/2021/04/aaaa.pdf 前園 お医者さん界隈も、「常勤」「専任」などの言葉が飛び交う複雑な業界ですね。あまり弁護士とクライアントとの関係では聴かないかもしれません。 一方で、弁護士には、利益相反関係には非常に厳しい規制がありますので、この点については皆、とても慎重です。 元請と下請の代理人を兼ねたりすることも控えることも多いですが、もし兼ねるとしても、事前説明や同意、いざとなったときの辞任など、適切な対応が求められています。 森 AIチャットボットは、今のところAPI料金も跳ね上がることなく済んでいますので、どんどんお使いくださいませ。 https://fukushoku-meijin.com/ai-advisor/
-
93
第94回|高尾メソッドAIチャットボットの開発と、AIに代替されない領域
今回は、Claude Codeを使って高尾メソッドのチャットボットを開発した報告を起点に、AIがメソッドの回答をどこまで再現できるのか、そして人間にしかできない領域とは何かを議論しました。 なお一般向けのチャットボットはこちらに、オンラインスクール会員向けはGrowiの中に設置しています。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:岡山にできたプライベートサウナを体験しました。 前園:鹿児島出張時にウイスキー「津貫」の鹿児島限定販売品を発見しました。 森:新たにロードバイク(ディスクブレーキ仕様のミドルグレード)を購入しました。 議論した内容 Claude Codeによる高尾メソッドチャットボットの開発 Claude Codeを使い、高尾メソッドに関する質問に回答するチャットボットを2パターン作成した。 1つ目はRAG(検索拡張生成)を用いた方式で、グラフ構造を追加することで概念同士のつながりを反映させ、回答精度を向上させた。 2つ目は「経典モデル」と名付けた方式で、大原則・三原則をコアとして情報を体系的に肉付けし、約20万字のコンパクトなモデルを構築した。 両方式とも、高尾先生の回答に近い内容を安定的に生成できることが確認された。 経典モデルとRAGモデルの回答品質の比較 経典モデル(コア部分のみ)と枝葉を含むRAGモデルの回答に大きな差がなかった。 これは大原則と三原則に基づく回答が本質であり、枝葉の情報を追加しても回答の方向性は変わらないことを示している。 NotebookLMとの比較では、出力の方向性はほぼ同じだが、NotebookLMはAPIが公開されておらず他システムとの連携ができないという制約がある。 AIに代替されない領域とは何か 研修や一般的な質問への回答は、このチャットボットでも十分に対応できる水準にある。 一方、面接シナリオの策定や週1報告の確認など、文脈に応じた細かい言葉の使い分けが求められる実務は、まだ人間の優位性が残る。 難渋事例への対応では「2回曲げて軌道修正する」ようなトリッキーな手法があり、これをAIに読み込ませると根幹の原則を歪めるリスクがある。 理論として記述できる部分と、経験的ノウハウとして残る部分の切り分けが重要であり、後者はAIに代替されにくい。 AIチャットボットの公開方針 会員向けにはオンラインスクールのプラットフォーム上で提供し、非会員向けには自社サイトで限定的に案内する方針とした。 NotebookLMで「退職勧奨の手順」を質問したところ、「そのような手順は存在しない」「恣意的な働きかけは推奨されていない」と返答。倫理面を明示的に教えていないにもかかわらず、ソースの内容から適切な判断が導かれていることが確認された。 ノウハウのオープンソース化と、誤解を防ぐための非公開部分とのバランスを意識する必要がある。 編集後記 高尾 AIをメンタルヘルス対応に活用できるのではないかとの考えは随分以前からあって、2016年8月号の連載でも「人工知能と高尾メソッドー三つ目のブレークスルーは何かー」として考察しています。 当時考えていたのは、やや違う方向に展開してはいるもののAIの進歩を考えると、当然でしょうし、またこれからも全然違う方向にいい意味で、道が拓けることもあるのかもしれません 前園 AIが高尾先生風に話せるようになり、誰しもが、いつでもどこでも高尾先生風な回答を得られるようになったとき、高尾先生や私たちは不要になってしまうのでしょうか。 直感として、私はそういう風には思っておらず、むしろ反対なのではないかと、ボンヤリ考えているところです。 森 勘の鋭い方はお気付きかもしれませんが、しばらく前から詳細欄はNotebookLMにまとめてもらっていました。今回からはClaude.aiにまとめてもらったところ、 > 今回は文字起こしの誤変換が多めだったため、以下のような補正を行っています。 > 「強点」→「経典」(文脈から高尾メソッドの体系化されたコアテキストを指す用語として) > 「ツヌキ」→「津貫」(マルス津貫蒸溜所のウイスキー) > 「彩色勧奨」→「退職勧奨」 とばっちり直してくれました。Geminiよりも、なんとなく、文章を書くのが得意な気がします。
-
92
第93回|休職事由の追加に関する取り扱い
今回は非常にニッチなテーマですが、私傷病休職中に、新たな休職事由となりうる別の私傷病が生じた場合に、どのような取り扱いをすれば良いのか議論しました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:診断書の「異動が望ましい」=大阪弁における「知らんけど」 前園:弁護士という仕事 森:今年は冬の寒さが身に沁みます 議論した内容 休職期間中の新たな事由発生とその取り扱い メンタルヘルス不調での休職中に骨折するなど、休職期間中に別の傷病が発生した場合の規定が曖昧であることが多い。 単純に解釈すると、全く異なる病名であれば休職期間は通算されず、新たな事由として休職期間がフルに再設定されるリスクがある。 これにより、従業員が復職期限直前に新たな診断書を提出し、休職期間を無限に延長・悪用する懸念が生じる。 悪用とまでは言わないまでも、従業員集団の高齢化に伴い、対応に困るケースが生じる可能性は高まっている。 判例から見る「休職事由」の定義 シャープNECディスプレイソリューションズ事件などの判例では、会社側が一方的に休職事由(適応障害から発達障害特性へなど)を変更・追加することに対して厳しい判断が下されている。 事由の変更や追加には、労使双方の共通認識が不可欠である。 本来、休職事由は「特定の病名」ではなく、「私傷病により労務提供が不能である状態」そのものを指すと解釈すべきなのではないか。 すると、休職開始時点の病名によらない休職事由の発令と、復職後の病名によらない休職期間通算という、両方の規定が整合しなければならない。 「病名」に依存しない制度設計 就業規則において、病名ごとに休職期間を管理する運用は、制度の不整合や悪用を招きかねない。 病名がAからBに変わったとしても、あるいはAにBが追加されたとしても、「労務提供できない状態」が継続している事実に変わりはない。 したがって、休職期間の起点は最初の発令時で固定し、いかなる病名の変更・追加があっても期間はスライドさせない(通算する)という規定にすべきだ。 実務上の対応策 復職の見込みがないのに病名を変えて延命を図るケースに対しては、厳格な期間管理が必要である。 就業規則には「いかなる理由であっても休職期間は通算して最大〇年とする」といった絶対的な上限を設けることで、病名の切り替えによる期間延長を封じる運用が合理的だ。 傷病手当金(公的給付)の受給要件と、労働契約上の休職(解雇猶予措置)は切り分けて考える必要がある。 編集後記 高尾 「・・・が望ましい(知らんけど)」、ぜひ展開したいと思っています。 ご意見もお待ちしております。 前園 ポケモンZAにハマっています。 最近は攻略もネットで調べれば効率よくできるのですが、天邪鬼なため、基本は手探りで進めています。 しかし、ポケモンを考える人はほんと凄い。 だってカモネギですよカモネギ。 カモネギって。 森 寒さに弱くなったと言いつつ、数年前から育児との兼ね合いで、早朝5時前から自転車に乗っています。 この時期は真っ暗で、かつ気温も氷点下の中走っているので、かなり辛いです(ボトル・ネックウォーマー・ヒゲが凍ります)。
-
91
第92回|質問への回答
今回はセミナー開催前に寄せられた質問に対して、事前に回答してみました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:1年前に飲んだワインに再会しました。 前園:新山口駅にて、美味しいチーズケーキに出会いました。 https://funakata.co.jp/ 森:2026年は自転車レース活動に復帰します。 公開版の高尾メソッド公式NotebookLMはこちら。 https://notebooklm.google.com/notebook/1987bd43-97f7-4fdc-9f06-3951980cf5ca?authuser=1 議論した内容 有期雇用・主治医診断書と会社基準の対立 主治医が復職可能と診断した後で、会社がそれを拒否することは法的に困難である。 会社基準を優先させたいのであれば、個別の事案が発生する前の「平時」に、復職基準について労使で協議し合意形成しておく必要がある。 問題の本質は診断書ではなく、療養開始時点での本人への説明不足と、労働者集団との事前の合意形成の欠如にある。 仕事と治療の両立支援の努力義務化への対応 法改正によって「両立支援」が努力義務化されても、本メソッドの運用に変更は生じない。 「必要な配慮」と「不完全な労務提供の容認」の違いは、シナリオを用いて明確に線引きし、本人に説明する。 個別の医療的配慮(従来型OS)ではなく、集団としての労働条件の適用(新型OS)という観点で対話を行う。 産業保健スタッフの意識改革と人事との連携 「職場は働く場所であり、リハビリ施設ではない」という原点に立ち返る。 医療職だけで抱え込まず、人事担当者と連携し、ビジネスの視点を持って対応を進める。 河岸を変えることも検討して良いのでは 報告書の記載免除と復職判断 「負担になるため記載免除」にチェックが入る状態は、復職が時期尚早であることを明確に示している。 記載免除を希望していた翌週に「復職可能」と主張するような矛盾に対しては、事実に基づき冷静に指摘する。 単身者であっても、実家への帰省やZoom等を活用し、家族等の支援者の関与を求めることは可能である。 家族の巻き込みに対する「ハードル」の正体 「家族が高齢」「遠方」「本人との関係希薄」などを理由にハードルが高いとするのは、実施しないための言い訳に過ぎない。 療養開始時説明の動画を見せる、オンライン会議システムを使うなど、工夫次第で連携は可能である。 初期段階で家族を巻き込まないことは、後に雇用終了となった際のトラブル(親族からのクレーム等)のリスクを高めるだけである。 面談の録音に対する是非 シナリオを読み上げ、会社側の方針を淡々と伝える形式であれば、正確な記録としての録音は有効である。 相手を言いくるめようとする従来型の「面談」の場合、録音は会社側の論理矛盾や不適切な説得を露呈させるリスクとなる。 録音の可否を議論する以前に、面談のスタイル自体を「説得」から「通告・確認」へとアップデートすべきである。 編集後記 高尾 冒頭のワインは、Volnay 1er Cruです。作り手まで知りたい方は個別にご連絡ください。 ちなみに、ブラインドで出されたところ、私はシャンボール・ミュジニーとヴージョの境のあたり、より具体的にはプティ・ヴージョかと思いました。石灰岩のシーンとした感じで、間違っても、陽のあたりがよく、すくすくそだったボーヌのピノとは思いませんでした。 前園 2026年はライカをもっと相棒化していこうと思います。 先日、「産保弁護士のnote」に「さんぽ(散歩)弁護士のnote」ということにして、ライカの写真を出すとかしないの?と尋ねられました。その予定はないと思いましたが、意外とありかも・・・。 森 第64回でお話ししたように、食べ物が育った環境の大切さを知り、野菜と卵と牛乳を秋川牧園で購入しています。 https://www.akikawabokuen.com/
-
90
第91回|産業医育成プロジェクト
新年最初の回は日笠先生をゲストにお招きし、産業医育成プロジェクトについて意見交換しました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:映画「国宝」を鑑賞しました。 前園:ポケモンZAをプレイしました。 森:子どもと過ごす時間の幸せを再確認しました。 日笠:臨床外来と産業医業務の両立に励む中で、医療と産業保健における視点の違いを改めて意識した。 議論した内容 産業医の自前育成と「一社目の壁」の打破 若手産業医が直面する「一社目の契約」という障壁を解決するため、企業が自ら産業医を確保・育成するモデルを考え、協力企業を呼びかけている。 仲介会社経由の契約はコストが高く、また経験重視の選考により未経験者が参入しにくい構造的な問題がある。 企業側のニーズと産業医側の経験不足をマッチングさせ、オーダーメイドで育成することが、結果として継続的で安定した産業保健体制の構築に繋がる。 現代版「ゆるやかな医局」の構想と地域医療 旧来の医局制度が弱体化したことで地方の医師確保が困難になり、質の担保されない高額なエージェント頼みの現状が生まれている。 企業が一定の経済的貢献を行う代わりに、複数の産業医を組織的に派遣・管理する「ゆるやかな医局」を再構築すべき時なのではないか。 地元の医師会や商工会議所が連携し、地域密着型の産業保健ネットワークを形成することが、地方の工業団地などの医師不足解消に寄与する可能性がある。 産業医業務の標準化と「リング」の構築 企業の健康管理体制(リング)をコンサルティングによって標準化し、誰が担当しても機能する仕組みを整える。 我流のスタイルに固執するベテランよりも、標準化された現代の手法を実践できる医師の方が、法的リスク管理において市場価値が高い。 特定の「スーパー産業医」に依存するのではなく、未経験者でも質の高い活動ができるよう、企業側が受け皿となるオペレーションを構築すべきである。 自治体による産業医育成の役割と責任 自治体は単なる法令遵守の対象ではなく、自らが産業医の育成機関としての役割を積極的に担うべきである。 市役所や町村役場での実務経験を通じて地域に産業医のストックを増やし、名目上の専任ではない実態のある産業保健を推進する。 労働基準監督署からの指摘を待つのではなく、地域住民や職員の健康を守る模範として、自治体が主導して体制を整備する必要がある。 産業医のキャリアステップと地域定着の戦略 プレイヤー、プレイングマネージャー、コンサルタントという三層のキャリア構造を提示し、産業医としての専門的な成長を促す。 都会への医師集中を防ぐため、地域にゆかりのある医師を確保し、地方に居ながらスキルアップできるロールモデルを確立する。 臨床医が週1日からでもスモールスタートできる環境を整え、臨床から産業医への移行や両立の心理的・物理的ハードルを下げる。 編集後記 高尾 医師会入会は、県医師会の担当者にこれから確認するところですが、会費は県医師会までだと、そんなに高くなかったですね。あと、医師賠は日医会員からみたいですね。 前園 皆様2026年もよろしくお願い致します。 恵まれた境遇であることに感謝しつつも、歩みを止めない2026年にしたいと考えています。 叱咤激励、お待ちしております。 日笠 2回目の参加でしたが、楽しかったです!医師キャリアが多様化し、産業医という選択肢を選ぶ人も増えているので、これから始める方のひとつのモデルになれるように頑張ります。 森 公開する直前に確認したところ、急に視聴回数が増えてびっくりしています。。。1から聞き直している方が何名かいるような・・・
-
89
第90回|2025年の振り返りと持ち寄りテーマ
今回は年末の軽めの回ということで、振り返りと持ち寄りテーマを少し話しました。今年も1年間お世話になりました!来年もどうぞよろしくお願いいたします! 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:動画活用の本格稼働や、島根県安城市での実践重視の産業医育成など、新たな枠組みでの展開が進んだ一年だった。 前園:仲間が増えて関係が深まり、弁護士としての新たな挑戦も始まった充実した一年だった。 森:子育てで出張を控えめにする一方で、ウイスキーという新たな趣味に出会い、変化のある一年だった。 議論した内容 2025年のポッドキャスト振り返りと今後の予定 2026年4月の第100回放送に向け、リスナーからのお便りを募集する。 7月以降の統計では、ゲスト回(第80回)やAMAガイドライン回(第82回)の再生数が多く、特定のテーマやゲストへの関心が高い。 生成AIやノートブック言語モデル(LM)の進化により、ポッドキャストの内容やメソッドへの回答も実用的なレベルに達している。 高尾|持続可能な産業医育成と地域医療の課題 企業が産業医を探す際、数ヶ月先といった短期間での依頼は構造的に無理があり、本来は基礎研修を含め数年単位の育成期間が必要である。 仲介業者の介入により、遠隔地から医師を派遣するような持続可能性のないモデルが横行し、職場との関係構築が困難になっている。 地方における理想的な産業医モデルは、地元のクリニック医師が担う形だが、医師の高齢化や専門性のミスマッチにより機能不全に陥っている。 医療的アプローチだけでなく業務的アプローチに対応できる産業医を育てるため、汎用的なGPUではなく特化型のTPUのような、専用の教育機関と実践の場が必要である。 法令上の専任義務違反を恐れるあまり質の低い契約を急ぐのではなく、地域の実情に合わせ、時間をかけて質の高い産業医を確保・育成すべきである。 前園|キャリアと人生における仲間の重要性 趣味(ウイスキー、自転車など)や仕事において、仲間からの刺激や共感があることで活動を継続・深化できる。 仕事上の人間関係と、利害関係のない趣味の仲間では性質が異なるが、双方が人生に豊かさをもたらす。 人間関係においては、見返りを求めすぎず、惜しみなく与える「ギバー」としての姿勢が、長期的には次世代への恩恵も含めた循環を生む。 GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 森|業務効率化とツールへのこだわり キーボード(HHKBなど)の配列やショートカットのカスタマイズにより、ホームポジションを崩さない効率的な入力環境を構築する。 音声入力技術の精度向上は目覚ましく、キーボード入力の補完や代替手段として実用段階にある。 編集後記 高尾 プレゼン用のFM-V(634g)をみてみたら、やはりキートップにひらがながありました。 また同様に、「見た目」にこだわって、Macの使用言語はEnglish(US)にしています。一番上のメニューバーを英語表記にする、 そのためだけの設定なんですが、最近、WEBにアクセスすると、下世話に自動で英語に翻訳してくれて結構迷惑です。これ、Safariで言語を固定する方法をご存知の方おられましたら、ぜひ教えて下さい。 前園 リスナーの皆さま、2025年もありがとうございました。2026年も実り多き年になりますよう、まずは年末年始、ゆっくりと復職名人Podcastを聴きながらお過ごしください。 森 今のところ、ピート×シェリーがピッタリ来ています。ピートも、アードベッグやキルホーマンのような、焚き火系・燻製系が好きなようです(ラフロイグのようなヨード系はいまいち)。そんな相談をGeminiにしながら、おすすめされたボトルを買い集めてしまいました。
-
88
第89回|産業保健活動とルール
今回は現地収録にて、産業保健活動とルールについて、議論を深めました。 告知 【リスナーからの声を募集中!】 第100回に向けて、リスナーの皆様からのご意見・ご感想・ご質問を募集しています。いただいたお便りについては、4月に実施予定の100回記念ライブ配信にて、すべて取り上げる予定です!どしどし応募ください。 https://forms.gle/DH7MFRKid5Hj5QW29 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾:年明けに納車されるマニュアル車の運転、特に立体駐車場における駐車時のギア選択(ニュートラルかローか)について苦悩している。 前園:産業医や人事担当者が法律知識(安全配慮義務など)を復習できるツールとして、「note」での有料メンバーシップ記事の執筆を開始した。 森:ロードバイクのブレーキシステム(リムとディスク)の新旧比較を通じ、技術の進化と一時的な「過去への揺り戻し」心理について考察した。 議論した内容 医療と企業における「ルール」の捉え方の決定的な違い 医療現場におけるルール(保険診療の規定など)は、個人の生命救済という結果のために存在する。そのため、目の前の命を救うためであれば、事後的にルールを曲げること(病名の調整など)も「正義」として許容される文化がある。 企業におけるルール(就業規則など)は、集団の秩序を維持するための「契約・約束」であり、将来に向かって適用されるものである。本来、特定の個人の不利益を回避するためだけに、事後的に曲げてはならない性質を持つ。 人事労務における判断停止と医師への依存 現代の人事は、健康問題やメンタルヘルス不調が絡むと、就業規則上のルール適用を躊躇し、思考停止に陥っている。 「主治医が許可した(例:休職中の温泉旅行)」といった医学的意見や、「健康配慮」という錦の御旗を前にすると、人事は会社のルールよりも医師の意見を優先し、安易な例外措置を認めてしまう。 これは、本来「労働契約・労働条件」の問題として処理すべき事案を、医療的な「生命の危機」と同列に扱い、ルール逸脱を正当化している誤った対応である。 安易な「柔軟な運用」が招く組織崩壊のリスク 明確な戦略なしに、個別の救済を目的としてルールの適用を歪めることは、組織全体にモラルハザード(規律の欠如)を蔓延させる。 「あの人は許された」という例外が既成事実化すると、集団の秩序は維持できなくなる。わずか数パーセントの従業員がルール逸脱を行えば、組織全体が崩壊に向かう危険性がある。 ルールの柔軟な運用や特例は、本来「生産性が向上する」など企業にとってプラスになる局面で行うべきであり、マイナス要素を持つ事案の救済措置として乱発すべきではない。 制度趣旨への回帰と「努力義務」への警戒 「書いていないから禁止できない」といった形式的な議論ではなく、そのルールが「何のためにあるのか(集団の統制、生産性向上など)」という制度趣旨(大原則)に立ち返って判断するべきである。 国(厚労省)が進める「治療と仕事の両立支援」などの施策は、本来行政が担うべき福祉的役割を企業に転嫁する側面がある。 法律上の「努力義務」であっても、実務上は訴訟リスクなどを背景に強い強制力を持つため、企業は「対話の窓口を開く」程度の義務に留めるなど、自社のリソースと目的に合致した冷静な対応が必要である。 編集後記 高尾 免許取得後ATしか乗ってこなかったのに、35年を経て初MT車! うまく乗れるものか(乗れるのは乗れるでしょうが、あまり変速操作が上手にならないかも。。。)不安もありますが、それでも楽しみです。ちなみに、アルファは維持ですので、誤解なきよう。 前園 noteを始めました!https://note.com/sanpo_bengoshi メソッドには色んな誤解があるところですが、私たちの考えていることをきちんと理解してもらうためには、色んな手法で、手を替え品を替えて伝え続けていくしかないだろうという思いもあり、ここに至ったものです。 メインは産業保健と法務・労務ですが、それ以外でも、お役に立てる記事を書いていくつもりです。ぜひ気軽にフォロー、メンバーシップ登録してください。 森 編集しながらあとで気づきましたが、労働契約は、会社と労働者という当事者間の契約であるのに対して、保険制度は、医療機関に制約を設ける、医療保険制度のルールであって、医者と患者という医療契約においては、文字通り最善を尽くすという、ある種契約を守った対応をしている(つもりである)、すなわちどちらも契約は守っていると言えそうです(会社も、労働法を守らなかったりしますし・・・)。 むしろ、会社と労働者(集団)の約束事があるのに、担当者個人と労働者個人の間で勝手に守らないという約束違反を、医療契約を守るときのように当然のように行なっていることの方が、問題の本質なのかもしれません。
-
87
第88回|全国協議会@徳島の反省会
今回は、先日徳島で行いました、自由集会・模擬裁判の反省会を行いました。 近況報告 高尾: 厚岸蒸溜所の24節気シリーズのコンプリートが確実になった。収録環境のミスの反省。13期会への参加。 前園: 徳島の繁華街で若者たちの活気やラーメン店の賑わいに触れ、日本にはまだ元気な場所があると活力を得た。 森: 子育てを通じてリスク・キャパシティ・トレランスの概念を整理し、小児コホート研究の知見と娘の発育状況を重ね合わせた。 告知 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 議論した内容 徳島全国協議会の振り返りと反省 非公式自由集会(勝手企画)では、高尾が喋りすぎてしまった点と周知不足が反省点として挙げられた。 次回の大阪開催では、学会初日に「公式」集会でレクチャーを行い、翌日の「非公式」集会へ誘導する二段構えの作戦を計画している。 生成AI(NotebookLM)の活用や、「高尾メソッド」の核を整理した資料を事前配布し、参加者の思考の前提を揃えた上で議論を深める案がある。 大阪の社労士をゲストに招くなど、産業保健と法務の融合をさらに進めていきたい。 模擬裁判企画の評価と課題 模擬裁判は好評だったと思われる(自己評価) ただ参加者の関心が証拠などの「ドラマチックな側面」に偏り、予防法務的なメッセージとの間にギャップを感じた。 医療職には目の前の救済を優先してルールを柔軟に解釈する傾向があるが、組織としての公平性を保つ重要性を再認識する必要がある。 弁護士(労働者側)と産業医(使用者側)の立場の違いによる意見の食い違いこそが、今回の企画で伝えたかった本質である。 今後の企画案:裁判傍聴ツアー 裁判の文脈や全体像を理解するため「復職名人・裁判傍聴ツアー」を企画する案が出ている。 実際の尋問を傍聴した後に、判決文や背景事情を含めた解説を行うことで、リアルな紛争解決プロセスを学ぶ機会とする。 次回大阪開催への展望 2025年5月の大阪開催では、スライドに頼らず音声と言葉だけで思考を促す、密度の高い企画を目指す。 既存のシンポジウム等の枠にとらわれず、参加者が能動的に考えられるフォーラムのような場を提供したい。 編集後記 高尾 ポッドキャストしながらの反省会は、反省しただけで終わってしまっていた傾向があったので、今回は、チェックの視聴をしながら、数本のメールを発信し、宿題を片付けるべく具体的に行動できました。 (大阪の自主自由集会には、「面白い」大阪の社労士を呼びます!) 前園 弁護士同士の対話はとても有意義なものになるのですが、一方で我々もどうしても「裁判になった場合には」という考えに引っ張られ、そこから逆算して今の対応を考えがちです。 でもそれで本当に実効性・有用性はあるのかというのが私の問題意識で、この点は弁護士同士の対話ではどうしても抜け落ちがちです。「労使で話し合って」で終わるアドバイスは、したくないですものね。 森 娘が風邪気味になったところ、夜中に咳き込んで吐き戻すようになったので、これはリスク問題だと捉え、夕食を無理に食べさせず適量にし、夜のおやつも控えめにするようになりました。 大阪の企画については、公式自由集会の日程が確定次第、またご案内いたします!
-
86
特別編|自由集会「労務管理と産業保健研究会」2025@徳島
先日、徳島で開催しました、自由集会の音源を公開します!直近のセミナーで質問された内容について、取り上げました。 告知 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 議論した内容 看護職の復職と合理的配慮の限界 能力不足を「特性」や「病気」として扱い、現場が過度な配慮を続けることは、問題の解決にならず本人への指導も難しくなる。 早期に業務遂行能力の不足を指摘し、改善が見られなければ休ませることが必要であり、配慮という名の業務免除は避けるべきだ。 職務限定制度・時短勤務と就業制限の混同 就業制限(医学的判断)が外れないことを理由に、職務限定制度(人事制度)の適用を迫るのは論理的に誤りである。 復職時に育児介護用の時短勤務制度を流用して賃金を減額すると、本人に甘えが生じ、組織全体の生産性を下げる要因となる。 体調の問題と人事的な処遇は明確に切り分けて考える必要があり、安易な制度適用は差別と捉えられるリスクがある。 現場上司の役割とラインケアの再定義 組織が定めた原職復帰の原則を無視し、現場上司が独自の配慮で裏引きすることは、組織運営上のリスクとなる。 上司には部下を休ませる義務と権限を持たせ、具体的な対応シナリオを用意させるなど、役割を明確に定義すべきだ。 再休職判断と復帰基準の明確化 「通常勤務」の定義や復帰基準が曖昧なため、労務担当が休職判断を下せず、なし崩し的に勤務が続く問題がある。 ストップ要件(再療養の基準)を事前に合意形成し、ルールに基づいて淡々と判断できる仕組み作りが重要だ。 人材不足への対応と復職支援の原則 人手不足を理由に不完全な状態で復職させることは、結果として本人も組織も疲弊させる。 全員を救おうとする曖昧な対応を捨て、ルールベースで対応することが、結果的に多くの従業員を戦力として復帰させることに繋がる。 メンタルヘルス以外の傷病と産業医面談の目的 高尾メソッドの考え方は、メンタルヘルスに限らず、身体的な疾患(腰痛、がん等)にも同様に応用可能だ。 産業医面談の目的はガス抜きではなく「就業の可否判定」であり、目的不明瞭な面談は形骸化するため避けるべきだ。 リハビリ出勤の運用と公的機関での適用 実際の勤務内容と乖離したリハビリ出勤は復職可否の判断材料にはならず、スロースタートを前提とすることは避けるべきだ。 人事権が現場にない組織であっても、周囲が連携して働けていない事実を本人に認識させるプロセスは構築できる。 質問について メソッドを単なるマニュアルや正解として求めるのではなく、その背後にある原理原則(フィロソフィー)を理解する必要がある。 リバース・ブレインストーミングなどを用いる際は、組織にとっての最悪のシナリオを前提条件として設定し、本人に想像させることが重要だ。 編集後記 高尾 どうなんでしょうね。耳障りはいいけど解決力のない助言と、ちっとも寄り添ってはくれないけど解決力のある助言。 また、「労務管理の泥濘」。連載原稿にまとめましたので、お楽しみに!人事の労務管理能力が低下したと表現してしまいましたが、20年前と今では求められる労務管理の「解像度」が異なり、緻密な労務管理には、読み上げ文(面接シナリオ)は必須であり、逆に面接シナリオの複数人での添削・共有により、かなり速やかに体制構築できる、というポジティブ表現もできると思いました! 前園 模擬裁判は、法学部や法科大学院で行われるものは、学生がロールプレイをして各当事者の視点と手続きの流れを学ぶものです。しかし今回のような講演で取り扱うとなると、その目的は何なのかから問い直す作業が必要でした。ご参加頂いた方に、少しでもなにかプラスとなっていたのであれば幸いです。 森 現地収録の際は、いつも会場の音響機材に頭を悩ませていたのですが、今回のように有線マイクを1本でもご準備いただける会場であれば、おおむね問題なく収録できるようになりました。
-
85
第77回完全版|自由集会反省会と模擬裁判
以前公開していた第77回は、後半の模擬裁判に関する議論をカットしたものでした。今回、私たちが模擬裁判企画をするにあたって、完全版を公開したいと思います。ぜひ会場にお越しくださいませ。 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録・懇親会 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、19時30分〜懇親会予定です。下記からお申し込みくださいませ。 https://peatix.com/event/4621660/view 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾: アニサキスによる入院保険の保険金が無事振り込まれ、請求手続きが簡単で驚いた。 前園(ゾノ): 急激な気温変化による体調不良(お腹の不調)について相談し、夏の始まりに向けてサウナなどで初熱順化をすることが対策として重要だと確認した。 森: 初めてシングルモルトバーに行き、香りを楽しむという新しい飲み方を知り、勧められたアイラのラガーブーリン16年を最初の一本にしようと決めた。 議論した内容 自由集会の反省と来年の計画 産業衛生学会外で開催した自由集会では、リスナー層が参加者の大半を占め、学会参加者以外も参加しやすい形式が成功だったと認識している。 懇親会において参加者同士の交流が限定的だった反省から、来年以降は交流時間をより意識的に設け、ウェルカムドリンクの提供なども検討していく。 公開収録と懇親会を同時に行う案では、参加者同士の交流が盛り上がりすぎて、ホストの話が聞かれない可能性も懸念された。 質問をぶった切りすぎた点については反省があるが、質問者本人からは肯定的なフィードバックも得ている。 周知方法については改善の余地があり、参加者による口コミの協力を得ることが検討された。 来年(大阪)の開催に先立ち、徳島などで小規模な持ち込み企画を実施し、公開収録や交流会、質問タイムなどの試行錯誤を行う予定だ。 模擬裁判事例の検討と産業保健の役割 第98回日本産業衛生学会で取り上げられた模擬裁判事例(休職期間満了退職をめぐる紛争)について、その内容と産業保健への示唆を議論した。 事例は、部長職のX氏が休職後、復職を希望するも、会社が提示した一般職への降格・年収半減の提案をX氏が拒否し、最終的に休職期間満了退職に至っている。 模擬裁判の演出(承認尋問など)は、実際の民事裁判の実態とかけ離れており、裁判を誤解させる懸念がある。 産業保健職が模擬裁判から学ぶべきは、訴訟後の対応ではなく、予防的な観点である。 最も重要な教訓は、紛争が生じやすい休職期間満了時などに備え、「働くとはどういうことか」について、会社と労働者間の認識の相違が生じにくい復帰基準を事前に確認しておくことだ。 模擬裁判で示される教訓は、個別性の高い事例の勝ち負けの視点に終始しがちである。 会社が復職判定の材料不足を理由に、産業医に判断を求めようとする行為は、産業医に会社に都合の良い意見を忖度させようとする下心があると見られかねない。 主治医の診断書が医学的見地に基づいているかを確認するため、会社は機械的に主治医へ紹介状を送付すべきであり、その行為自体が紛争予防に繋がる可能性がある。
-
84
第87回|ワーク・ライフバランスについて
今回はワーク・ライフバランスについて議論しました。 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録・懇親会 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、19時30分〜懇親会予定です。下記からお申し込みくださいませ。 https://peatix.com/event/4621660/view 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾: 中高の同期会を開催したが、ビュッフェは誰も食べないため、今後は会議室での集まりで十分だと感じた。 前園(ゾノ): ソフトバンクホークスが日本一になったが、街中の大規模セールは減少し、失われた30年の後半の変化を反映しているようだ。 森: ロードバイクのオンラインフィッティングサービスを受け、元プロ選手の経験に基づく的確な調整から、事例対応における数をこなす重要性を再認識した。 議論した内容 ワークライフバランスの背景と定義 高市総裁の働き過ぎを戒める発言が、ワークライフバランスに関する議論を盛り上げるきっかけになった。 ワークライフバランスの起源は産業革命時代の8時間労働・8時間休息の考え方にあり、その後1970〜80年代にアメリカで女性の社会進出に伴い仕事と家庭の両立が議論された。 日本での普及は2007年のワークライフバランス検証が大きな転機となっている。 立場とリスク管理 代表取締役など使用者・事業者の立場の者は、自己のワークライフバランスを保護される必要はないだろうが、一方で他者にワークライフバランスを求める際は、使用者側の立場を考慮しないと誤解を招く可能性がある。 医師などにおいては、長時間労働が医療ミスや事故を増やす可能性があるため、適切に休んで良いアウトプットを出す必要がある。 安全に働くための時間的制限は一定の規制があって良いだろう。自主規制が難しい場合は、労働条件の交渉や規制が必要だ。 労働文化とバケーションの課題 外資系企業には、普段は力を抑えて働き、バケーションを十分に取り、必要時に集中して働くメリハリのある働き方があった。 日本では常に上司の期待に応えようと頑張る風潮があり、バケーション制度があっても急に長期間の休みを取る日本人は少ない。 バケーションは1年前から計画し、終了したら次の計画を立てるのが理想だが、こうした文化の浸透が今後の課題である。 健康への影響と科学的根拠 長時間労働が健康に及ぼす悪影響について、エビデンスは十分に整っているわけではない。 月60時間を超える時間外労働が基準として挙げられるが、科学的根拠は曖昧であり、具体的な研究はまだ不足している。 長時間労働の健康リスクは、単純な時間の長さだけでなく、社会的信頼性の維持や社会関係の維持の問題とも深く関係している。 「ライフ」の多様性と産業保健の役割 ワークライフバランスの「ライフ」は遊び、家事、育児など多様な要素を含み、人によってバランスの取り方が異なる。 家事育児に長時間取り組む人が大きなストレスを感じる場合もある。 産業保健の領域が関与できるのは、主に労働時間や職場環境のストレス管理に限られる。 長時間労働はWHOの有害職場リスクランキングで19番目に位置付けられており重要だが、ストレス対策などはまだ科学的に確立されていない部分が多い。 報酬と社会的な評価の重要性 働く環境の改善や労務管理は人事の役割が大きいという認識だ。 労働時間問題の背景には、労力と報酬のバランスが崩れている点がある。 家事育児のような日常生活の活動も、やりがいや社会的評価を得ながら行えるような環境づくりが重要だ。 男性が家事に取り組む際の社会的評価の低さや、育児・家事の貢献についての偏見を見直す必要がある。 仕事の楽しさややりがいを感じられれば、ワークが多くても負担に感じにくい。 編集後記 高尾 1日8時間の労働は、「労働組合とは何か」(木下武男著,岩波新書)の、アメリカ労働運動の歴史のなかで「労働騎士団」に関する紹介のなかで出てきた、「第一の八時間は仕事のため、第二の八時間は休息のために、そして残りの八時間はおれたちの好きなことのために」という歌を歌った(ボイヤー他、1958)というくだりを引用したものでした。ロバート・オーウェンは1817年ですから、論文の参考文献でいえば、「孫引き」みたいなものでしたね! これは、よく言及している「労働は商品ではない」について、1944年のフィラデルフィア宣言を引き合いに出す方が多いところ、これは「再確認」であって、1919年のヴェルサイユ条約に尽力したサミュエル・ゴンパースまできちんと知っておくべきということと重なるものでした。 前園 仕事の時間を減らし、残った時間で何をするのかというのは、実は現代人にとっての一つの大きな悩みなのではないかという思いがあります。 私も当然、長時間労働については否定派ですが、労働に対して、「経済的対価を得る」という意味を超えて自己実現的な価値を見出している人は、どうやって生きていくのがよいのか。 最近、「仕事は、昔は為事だった」というくだりを、複数の書籍で目にしました。人間が面する多種多様な時間の使い方の中で、働くことに使う時間というのは、わかりやすく生き甲斐に結びつけやすいという側面もあったはずです。 結局は、バランスをどう取るかという問題に収斂していくのかもしれません。 森 過重労働も、周囲の同僚と一緒いることができるという点で、良い影響があるのかもしれませんね。人との繋がりについて、もっと意識してみようと思いました。
-
83
第86回|4つの事例相談対応
今回は、4つの事例について、その対応方法を議論しました。なお事例については、加工したものを、AI音声ナレーションで読み上げさせています。議論は加工前のものをもとに行なっていますので、若干情報不足が生じている点はご了承ください。 (00:00) スタート (00:14) 雑談 (10:54) 本編・事例1 (21:35) 事例2 (40:03) 事例3 (53:18) 事例4 (1:13:03) エンディング 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録・懇親会 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、19時30分〜懇親会予定です。下記からお申し込みくださいませ。 https://peatix.com/event/4621660/view 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾 佐賀で研修会を実施し、高額な鍋島を含む日本酒を大量に購入した結果、冷蔵庫がパンパンである。 前園 子供たちの運動会シーズン。雨の中での開催時に小学生たちの集団の力(「晴れろ」コール)を感じ、労働法における集団の力の再評価を考えた。 森 有名人にトイレで遭遇したが、気の利いた会話ができなかったことを教訓として得たいと考えた。 議論した内容 進行性疾患と繰り返される交通事故 進行性疾患による療養中に繰り返し交通事故に遭う事例は、復職したくない、復職して働く自信がないという心理状態の表れである可能性がある。 交通事故が意図的あるいは無意識の自損行為である場合、自分の自動車保険や傷病手当金を利用することで、休養期間を延長し続けられる構造にある。 会社は、従業員の状況にすべて寄り添うのではなく、制度に基づいた対応をする姿勢を一回示すべきである。 進行性疾患を持つ従業員に対しては、病状の確認を行い、転倒など具体的な就業ストップの要件(エンドポイント)をあらかじめ明確に伝えておく必要がある。 このようなケースにおいて、復職は「仕事ができるから」ではなく「金がないから」という理由で行われることが多い。 交通事故を繰り返す従業員は、職務遂行上のミスや労災を起こす可能性が高いため、安易に復職させると、労災発生のリスクも懸念される。 家族の事情をきっかけとしたメンタルヘルス不調と長期化するフォロー 復帰後の産業保健職による定期的なフォロー(2週間に1回など)は、終わりのない支援であり、会社がトラブルを自ら作り出している「良くないパターン」である。 長期化するフォローは、従業員の不完全な労務提供を疾病性(病気)にすり替え、会社からの注意指導を妨げる。 勤怠不良に対してノーワークノーペイで賃金控除しながら、一方で病気への配慮(特別扱い)を施すというアンバランスな対応は、ルール運用を軽視しており、従業員に「ペナルティを受けているからこれでいい」という誤解を生じさせる。 両立支援に基づく時間外労働の制限要求は、医学的な根拠がないのではないか。治療との両立ではなく単純な「負担軽減」の希望である。 勤怠が乱れている場合、速やかに再療養を導入すべきであり、会社はこれまでの対応の論理矛盾を認め、勤怠の乱れが懲戒の対象となることを説明すべきだ。 復帰後の産業保健サービスの利用については、「一時上の事由につき〇回まで」など、利用制限を設け、サービスの位置づけを明確にすることが必要である。 医療職による月1回30分の面談でパフォーマンスがV字回復するような治療効果は期待できず、医療的アプローチが「自己満足」に終わっていないか、関わる専門職は自問自答すべきである。 フィジカル不調と人間関係によるメンタル不調、そして異動と再療養 休職中に別の病名が判明した場合、制度上は休職事由の「追加」として双方の共通認識とすべきである。 本人が希望する、有給休暇などを使用しながらゆっくり通常勤務に戻るという方法は、ルールとしてできないことを明確に伝えるべきだ。 この曖昧な対応が、周囲の同僚の強い反発やモチベーション低下につながっている。 人事は、短期の復職を繰り返す(勤怠不良の隠蔽)を許容せず、制度に当てはめてコントロールすべきである。人事の役割は職員のモチベーション維持・向上である。 体調が回復すれば仕事ができるようになるという楽観的観測は誤りであり、パフォーマンス上の問題として対処すべきである。 現在の勤怠やパフォーマンスは、懲戒事由あるいは普通解雇事由に該当する。まずは譴責・戒告程度の対応は避けられないことを伝えるべきである。 人事は「よく考えている」だけでなく、復帰基準の提示など具体的に伝える(言え)行動に移すことが重要である。 営業職のストレスによる療養と上司の懸念 これは過去に安易な妥協を許容したことによる労務管理の欠如が招いた「排除パターン」であり、復帰を阻む上司の態度は精神疾患に対する偏見に基づいている。 集団データとして再発リスクが高いという事実と、この特定の個人が再発するかどうかは切り分けて考えるべきであり、集団データをこの人に投影してはいけない。 会社は、病気の機会に異動や転勤などの希望をヒアリングすべきではない。これは、本人に不利な対応(ノーワークノーペイなど)への「バーター」材料を探す目的になりがちである。 人事権を強く行使できないのであれば、このような希望をヒアリングすることは避けるべきである。 本人の「再チャレンジしたい」という希望は建前として受け止め、本音を聞き出そうとして会社が介入すべきではない。 医療職マインド(患者の自己決定のために本音を聞き出す)を職場に持ち込むと、経済的支援ができない現代においては不適切な対応となる。 初動対応を上司の裁量に委ねず、法人として仕組み化された対応を取ることが、同様の事例の再発防止に極めて重要である。 編集後記 高尾 ICカード不具合による自動改札ブロックにつづき、似たような事例に遭遇しました。こうした人々は、とくに悪意なく周囲をいらつかせており、きっと職場でも同じような状況があるんだろうと思いをはせました。 前園 気がつけば全国協議会も目の前に迫ってきました。今までになされなかったほど踏み込んだ、労使の対話ができればと考えています。ぜひお楽しみに! 森 次に有名人にトイレで遭遇した時は、頑張って対応したいと思います!
-
82
第85回|日本産業保健法学会特別対談反省会
今回は、先日行われた日本産業保健法学会第5回学術大会での特別対談「高尾メソッドを語る ~正当性・妥当性とその範囲~」の反省会を行いました!なお、冒頭にも言及がありますが、高尾・森、前園・森で2本録りしたものを、1本に編集しています。 (00:00) スタート (00:43) 雑談 (12:59) 本編 (1:03:49) コメントへの回答 (1:56:40) エンディング 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録・懇親会 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、19時30分〜懇親会予定です。下記からお申し込みくださいませ。 https://peatix.com/event/4621660/view 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾 ウイスキーは保管中に成分が分離することがあるのでしょうか。 前園 森とは実は長い時間を過ごしていますので、安心してください。 https://fukushoku-meijin.com/podcast/ep57/ 森 JRの鉄道が好きそうな職員は、とても頼もしかったです。 議論した内容 座長としての反省:三柴先生と事前の打ち合わせができればよかったのだが・・・ 専門家としての立場の違い:高尾先生は産業医の実務や育成を行う立場として、産業医の現実的な限界を重視するのに対し、三柴先生は法律家として産業医のあるべき姿を強く持っているようであった。また、三柴先生は産業医を主語(産業医が万能な役割を果たす「ガンダム」)にしているのに対し、高尾は法人を主語(事業主がしっかりするべきで、産業医は量産型の「ジム」)にしている点で、大きな違いがある。 紛争事例への対応:裁判になる案件や弁護士が扱う事例は、性質の良くない労働者や、自分の信念を曲げない労働者が多い。三柴先生は、こうした事例対応を念頭に置いているのではないか、という懸念がある。可愛げがある人にもない人にも、業務的アプローチに沿って同じように接することで、可愛げを取り戻すことができる、そのためにも全員に同じように対応することが重要ではないかと考えている。 「可愛げ」と選別:裁判官は自由心証で「可愛げ」を判断しているが、産業医は「可愛げ」の判断を避けて、中立的な立場で当事者間解決を図るべきだ。産業医が裁定者や「行司」のような役割を果たすのは、次の時代には社会からはしごを外される可能性があると高尾は警鐘を鳴らした。 精神科医への助言:精神科医から、会社とのバランスに苦悩しているという質問があったが、主治医は患者の利益を最善に尽くすべきであり、会社の立場の板挟みになる必要はない。臨床医への産業保健に関するトレーニング不足が、不適切な診断書問題の根幹にある可能性がある。 労働契約の本質:高尾は労働契約を「本質債務(労務提供と賃金支払い)」にシンプルに整理するが、三柴先生は「配慮」や「信義則」などの要素が複雑に含まれると捉えている。この労働契約の捉え方の違いが、個別ケース対応の必要性に繋がっている可能性がある。 復帰条件の明確化:復帰条件は事例性に基づき会社が決めることであり、労働者はそれに乗るか否かを選ぶだけである。ここに医療や医学が入る余地はない、というのはとても端的にまとめられたご意見だ。 両立支援と合理的配慮:「会社がどこまで配慮できるか先に示してほしい」という話があるが、そもそも両立支援や合理的配慮は、労働契約の履行ができるかというスタートから考えるべき話であり、労働契約の履行ができない状況を可能にするために、これらの概念を優先的に持ち出すのは無理がある。 労働条件の再交渉:会社は、労働者が建前上でも復職できると言えば、一旦は現状の好待遇で猶予期間を設ける形で復職させ、様子を見るという本音のメッセージを送っている。条件交渉(待遇調整)が必要な場合、休職期間中やトライアル期間を挟んで行うべきであり、働きながら交渉するのは困難である。日本の人事は個別労働条件の交渉に不慣れであるため、この問題は複雑化している可能性がある。 雑談への要望:リスナーから、近況報告や雑談が心地よくて本題に入る前に寝てしまうという意見があった。今後はポッドキャストの詳細欄に本題のタイムスタンプを記載する予定である。 編集後記 高尾 別々に収録したものが、3人で収録しているかのように編集されており、驚きました! 前園 産業保健法学会にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 今回は別撮りで撮ったものを森先生のスキルで合体して頂いたわけですが、3人が同じ割合で話すと、トータルの配信時間が倍ぐらいになることがわかりました(笑) 次回以降、また控えめに話したいと思います笑 森 別録りしたのを合わせると、時間は倍になり、編集時間はさらに倍の4倍という感じで、とても大変でした。。。
-
81
第84回|産業医基礎研修会反省会
今回は、先日行った産業医基礎研修会の反省会を行いました!テーマだけでなく、運営やその後のフォローなど、いろいろと考えてみました。 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、懇親会を開催予定です。またご案内いたします。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾 産業医基礎研修会の後半+週末の産業研法学会で、19連勤になる見込み。 前園 夜、家事が終わった後に寝るまでの小一時間で読める、優しい系の漫画を探してます。 銀の匙 Silver Spoon 動物のお医者さん いいひと。 森 オンラインデータベースをGrowiで構築しました。 議論した内容 基礎研の内容・運営について 直近の基礎研は成功裡に終わり、懇親会への参加者も多く、今回研修を受けた受講者のうち実際に産業医を始める方が過去最高になる見込み。 来年度の基礎研の実施時期は、9月が5連休であるため、7月と10月に変更する予定である。 事前に手書きの制約書/重要事項確認書を提出させるステップを設けた。来年度も続ける。 健診事後措置の実習では、受講者が戸惑うような意地悪な出題形式(教えずにやらせるなど)は避け、講義の後に実習を行う流れを意識する。 実習で用いるケーススタディの健診結果は、就業制限の必要性を検討しやすい、より「程よい」健康状態の悪い人を選定する。 弁当の質を上げる方針と並行して、コーヒーやお菓子(チョコ、飴など)の提供は、コロナ禍で中止していたが、復活させることを検討する。 産業医を始める先生への支援 受講者からの質問の半分程度は、講義内容よりも産業医活動そのものに対するものであり、例年よりリアルな活動を想定した質問が多かった。特に産業医を始めた際、「孤独」や「相談相手がいない」という悩みが受講者から多く寄せられた。 産業医活動への橋渡しやステップアップ支援として、地域や経験に応じたネットワーク化(メンター制度)の構築が必要である。 インターネット禁煙マラソンの事例を参考に、経験者(先輩)が初心者を支援するメンター制度を基礎研修了者を対象に実施できる。 メンター・メンティは、3~5人程度のグループを作り、その中で希望者が当事者間の合意で関係を築く形式を検討する。 地域ごとの自主運営に近い勉強会(東京、大阪、名古屋など)を、やりたい人が3人以上集まったところから支援していく。 この支援活動の費用は、Office d'Azurがスポンサーすることも視野に入れ、自主運営をサポートする形で進める。 編集後記 高尾 産業医基礎研修、あと12年(12回)はやるつもりなので、4年に1回想定の自治体向け基礎研とあわせれば、おおよそ2500人の産業医を世に送り出すことになりますね。うち、、、500人くらいが実際に産業医をやってくれるのが目標!? 前園 弁護士には「労働法弁護士になるための基礎研修」のような単位制度はありません。 生涯研修のような更新単位もありません。(倫理研修は義務として存在しますが) ときどき、「質の担保のために、弁護士も10年に1回は更新試験を受けさせるべきだ」という厳しい意見も聞かれますが、継続的に学ぶ機会が(強制的に)あることで、得るものも多いだろうと思ったりします。 森 ゾノ先生の発話量がかなり少なくなってしまったので、次回以降はもっと話してもらおうと思います! (次回は、産業保健法学会の反省会を予定しています!)
-
80
第83回|産業医面談のタネと仕掛け
今回は、産業医面談のニーズがなぜあるのか、面談のタネと仕掛けについて、議論しました! 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、懇親会を開催予定です。またご案内いたします。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾 ボストンに出張してきました 前園 Nintendo Switch2をゲットしました 森 AI音声アナウンスを流す際の注意点について 議論した内容 産業医・医療職と人事・総務の違い 医療職(産業医)は、相手の反応を過度に気にせず、伝えるべき医学的事実を必ず伝える。一方、人事・総務は、従業員が怒ったり否認したりするのを恐れ、「体調が良くなさそうだから」といった曖昧な言い方をし、産業医に難しい役割を押し付けようとする。 多くの会社では、療養導入時に従業員の否認や怒りに対し変化球で対応しようとして失敗し、業務的アプローチの一貫性が欠けている。 臨床経験のある医療職は、伝えるべきことはその日のうちに伝える姿勢を持ち、「ヒットアンドアウェイ」のような技法を用いつつも、相手の受け入れ段階を見ながら情報を伝える。 「あなたは仕事ができていない。それは病状が悪いからだろう」という本質的なメッセージは、産業医にとっても人事にとっても伝えにくい枕詞である。それでも産業医はメッセージを伝え切る。 伝えるべき重大な情報は、相手が怒ることを織り込んだ上で、情報の正確性と一貫性を保ちながら伝えることが重要である。 質問の整理とコミュニケーション 長すぎる質問は、意図が不明瞭になり、回答を困難にする。これは、相手の怒りや否認を恐れてどうでもいい情報が混ざるためである。 相談する際は、100文字程度に整理することで、本質的な問題が明確になり、答えも導き出しやすくなるかもしれない。 重要な情報や優先順位が高いことは、相手が怒ろうが否認しようが直接伝えるべきであり、躊躇すると問題解決から遠ざかる。 「これは医療の問題だから」と人事・総務が口を挟まないことで、仕事の問題として伝えるべき本質から目をそらしてしまう状況がある。 医療への「逃げ」問題と企業の期待 企業の人事・総務は、従業員が病気を理由に遅刻や業務遂行の困難を正当化しようとする状況を恐れる。従業員の反発を恐れて産業医に面談を依頼するのは、普段のやり取りで反論してきた従業員が精神的に不安定になると、さらに反論が強くなるためである。 産業医は上司や人事よりも距離があるため、従業員からすると怒りをぶつけにくい存在であり、外部の専門家として難しいことを言わされやすい立場にある。ただ、企業が産業医に「言うべきことを代わりに言って怒られ役になってほしい」と期待するのは、産業医の中立的な立場を考えると「ひどい」期待である。 産業医が耳の痛いことを言っても、体調を崩す従業員はいる。人事・総務は、救急車を呼ぶなどの判断ができないため、いざという時の対応を想定し、産業医に任せたくなる気持ちは理解できる。企業の人事・総務は、「そんなに心配なら同席するから、言うべきことはあなたが読み上げなさい」というスタンスで臨み、高尾メソッド(役割分担と手順化)を実践すべきである。産業医は、まずは同席して人事・総務が実践できるよう学習を支援すべきである。 療養導入時の課題と動画の可能性 療養開始時のAI音声動画は可能だが、療養導入時の動画作成やその使い方は難しいのではないか。 療養導入は、本来「労務提供の受領拒否」という親心であり、懲戒を避けるための手段であるため、労務管理上の指摘動画は作れるはずだ。 アバターに指摘させても、人が言うからこそ受け入れられる反応があるため、人間が関与する重要性があるのでは。裁判官の代理をAIができるかという問いと同様に、客観的なデータに基づく指摘はAIでも可能だが、有効性や妥当性の観点から人間が必要な「儀式」である。 通常の労務管理とシームレスに繋がっているべきであり、従業員が遅刻の理由を健康問題にすり替えるのは、本来の労務管理の流れではない。面接シナリオを用いて淡々と伝える方法が、イレギュラーな対応には有効かもしれないが、療養か懲戒か選択の余地がある間は動画では決めつけになってしまう。 療養導入時では、通常勤務の定義や労働契約の内容をAI動画で説明させ、その上で人間が具体的な逸脱について伝える、という役割分担が考えられる。 議論のまとめ 従業員の勤怠不良に対し、シナリオを使い、健康問題にすり替えてくることは想定して対応する。会話のゴール(遅刻はダメ、改善してください)を達成し、理由を述べてうやむやにされることを避けることが重要だ。 「種明かし」の結論は、「種と呼べるほどの種ではなかったことを明かした」ということだ。誰にでもできる簡単な話である。 ただし、種が分かっても実践には「手際の良さ」などのテクニックが重要になるかもしれない。ここは面接シナリオで補えるはず。 編集後記 高尾 産業医面談の「魔法のタネ」は、いたってシンプルなもの。そして、面接シナリオ(OR動画)を利用すれば、実践にもテクニックもそれほど要りません。 前園 マジックといえば私は子どもの頃はトランプマンに熱狂していたことを思い出しました。調べてみると今でもご活躍中らしく、公式インスタグラムもありました!皆さんぜひ、フォローをお願いします。 https://www.instagram.com/trumpman_official?igsh=MXdyc2l4ZmliNDZwMw== 森 収録トラブルにより、いつもよりも音声のズレが生じてしまったので、その修正が大変でした!
-
79
第82回|AMA復職ガイドラインについて
ポッドキャスト「復職名人が読む三手先」第82回では、AMAの復職ガイドラインについて議論しました。 告知 第35回日本産業衛生学会全国協議会 模擬裁判「裁判のソコが知りたい」 3人が登壇予定です 11月28日(金)16時30分〜18時10分 あわぎんホール5階大会議室 Podcast公開収録 11月27日(木)17時30分〜19時(予定) とくぎんトモニプラザ 大会議室 終了後、懇親会を開催予定です。またご案内いたします。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾 ウイスキーのストックが83本を超えました。最近はジャパニーズが手に入りやすくなってます。 中国のSF小説「三体」を全巻読破しました。 前園 笑い飯・哲夫著の「ブッダも笑う仏教のはなし」を読みました。 https://amzn.asia/d/0yF5t05 森 日本人の死生観について本を読んでみました。 https://note.com/pelicans/n/ncfa5b993ab08 議論した内容 AMA復職ガイドラインにおける「リスク」「キャパシティ」「トレランス」の定義 AMA Guide to the Evaluation of Work Ability and, Return to Work Second Edition https://amzn.asia/d/bcT1TJP Risk 従業員が特定の業務に従事することで、本人、同僚、第三者などに害をなす恐れがある状態である。これには「就業制限」を考慮する。例えば、コントロール不良のてんかん患者の航空機パイロットやタクシー運転手への就業制限がこれに当たる。これは本人はできるが、雇用主としてはやらせるべきではない側面がある。 Capacity 筋力、柔軟性、持久力といった、科学的医学的に測定可能な身体的能力を指す。「ワークリミテーション」として表現する。肩の手術直後の患者の上肢挙動を伴う作業の制限などが例である。これはあくまで現時点での能力であり、本人の潜在的な能力ややる気によって変動しうる。精神的な能力はここには含まれない。 Tolerance 従業員が特定の作業を「やろうと思えばできるが快適にはできない」状態である。従業員がそれをやるかやらないかは本人が選択する。医師はトレランスについて意見を述べるべきではないと明確にされている。これは医学的科学的に測定・検証されないため、医師間で意見の不一致が生じる主な原因となる。 @Hiroshi_Tsuji https://x.com/Hiroshi_Tsuji 日本型雇用慣行への適用と課題 医師の意見の整理 日本の文脈、特に精神疾患に関する復職判断では、主治医意見がリスク、キャパシティ、トレランスの概念を混在させて述べられていることが多い。精神疾患における「異動が望ましい」や「軽減勤務」といった意見は、多くの場合、本人の「やりたくない」というトレランスの問題である可能性が高い。日本の医師は「全部医者がやってあげようとする」傾向があるが、AMAガイドラインは医学が関与すべき範囲を明確に線引きしている。 メンバーシップ型雇用との不整合 AMAガイドラインは米国におけるジョブ型雇用を前提としている。日本のメンバーシップ型雇用では職務を限定せず、能力不足の場合でも教育研修や異動による支援が当然とされる傾向があるため、キャパシティの評価は「する意味すらあまりない」ことが多い。これは「働く権利」や「雇用した責任」といった日本独特の文化的背景が、労働契約外の支援を企業に要求する原因となっている。 医師の役割の再定義 医師は「単なるアドバイザーに過ぎない」という立ち位置を明確にすべきである。「ドクターストップでできない」という医師の意見が、実際には医学的根拠のないトレランスの問題であるにもかかわらず、本人の意思をすり替えている状況が問題である。産業医は、リスク、キャパシティ、トレランスの概念を主治医に共有し、トレランスの問題については意見を求めず、尊重しない旨を事前に伝えるべきである。これにより、医学的根拠に基づいた意見表明に専念できる環境が整う。 具体的な運用と展望 企業内での合意形成 企業と労使間で、AMAガイドラインの考え方を取り入れ、自社に落とし込んで採用する旨を合意することが重要である。これにより、主治医に対して合理的な根拠を持って復職判断の基準を示すことができる。 教育研修の強化 産業医や医療従事者へのAMAガイドラインの普及、特にリスク・キャパシティ・トレランスの概念の共有が不可欠である。これにより、日本の「過保護的」な健康管理を見直し、より合理的で明確な復職支援体制を構築することを目指す。 メンタルヘルス不調への適用 メンタルヘルス不調においては、リスクもキャパシティも概念として成立しにくく、ほぼトレランスに関する問題だろう。自傷行為のリスクなども、特定の業務に起因するものではなく、治療コントロールの問題として捉えるべきである。 司法への浸透 準備書面などを通じて、裁判官などの司法関係者にもこの概念を広く知ってもらうことで、より公正な判断が期待できるのでは。 編集後記 高尾 お盆休みを利用して、連載原稿のドラフトを複数準備しました。5本目くらいになると、だいぶ内容が希薄になってくるのが自分でもわかります。。。 前園 まさか仏教的な探求を森先生もされているとは思いも寄らなかったです。 「長年連れ添うと夫婦は似てくる」などといいますが、森先生と私もどんどん似てきたということでしょうか。 いやしかし、労務の現場は諸行無常。 メソッドの議論は常に3人、喧々諤々・是々非々でなければなりません。 改めて気を引き締めたいと思います。 森 AMAガイドラインの正式名称を入力すると、なぜかWordPress側でエラーが出てしまい、四苦八苦しました(おそらく、なんらかの不正な攻撃コードと誤解されていた)。
-
78
第81回|高尾メソッドの誤用への懸念
ポッドキャスト「復職名人が読む三手先」第81回では、最近耳にする高尾メソッドの誤用について、その懸念や何を大事にしているのか議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 雑談 高尾 若者向けと高齢者向けとで、病院の対応も分けた方が良いのでは、と思いました。 前園 家族旅行へ行ったところ、アレルギー表示が杜撰なホテルでした。 森 ポッドキャストの配信方法を少し変えました。リンク切等がありましたら、お知らせください。 議論した内容 高尾メソッドの誤用と本質 高尾メソッドが産業医によって誤解され、職場の健康管理における「楽をする」ためのツールとして誤用されている懸念がある。 メソッドの本来の想定ユーザーは法人の人事・総務担当者であり、産業医が主体ではない。 メソッドは思考を整理する軸を提供し、不要な悩みを軽減するが、仕事を安易に片付けるためのものではない。 安易に結論に飛びつくのではなく、原則に立ち返り、現実の状況を考慮しながら頭を使って考えるプロセスが重要である。 メソッドは「考え方」であり、「こうすれば良い」という具体的な手順書ではない。 原理原則と段階的な改善の必要性 職場の健康管理において、「業務的」と「医療的」の区別を理解することが極めて重要である。 労働者の不利益を避けるためには、会社側や関係者全員が痛みや負担を分かち合い、段階的に軌道修正していくプロセスを無視してはならない。 メソッドは、安易な後退や脇道に逸れることを防ぎ、あるべき方向へ進むための指針である。 理論は実践にそのまま適用できるものではなく、現実の多様な条件を考慮し、誤差を減らしていく努力が求められる。 メソッドは、後から学ぶ者がより少ない時間と労力で到達できるよう言語化された経験の集合体である。 「考える」ことの重視 高尾先生の回答は、長時間の議論の背景と思考プロセスを凝縮したものであり、単に結論を暗記するだけでは意味がない。 重要なのは、原理原則に基づいて自ら考え、問題解決のプロセスを実践することである。 「高尾メソッドはメソッドではない」という表現も、考えることの重要性を強調するものである。 ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。
-
77
第80回|特別ゲスト!森晃爾先生登場!
ポッドキャスト「復職名人が読む三手先」第80回では、産業医科大学の森晃爾先生をゲストに迎え、森先生の産業医としてのキャリアを中心に、産業医業務への考え方などを伺いました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 議論した内容 森先生のご経歴 1960年愛知県生まれ。86年産業医科大学医学部卒業。90年同大学院博士課程修了。 92年エッソ石油の医務部長。2000年エクソンモービル医務産業衛生統括部長。 2003年から産業医科大学産業医実務研修センター所長。 2005年~10年副学長。 現在は産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室教授、福岡県労働衛生指導医。 森の父です。 森晃爾先生の産業医キャリア初期 32歳でエッソ石油(後のエクソンモービル)に専属産業医として入社。きっかけは、産業医科大学初代学長・土屋健三郎先生とエクソンモービルの労働衛生トップであったトム・マクドナー先生との縁である。 当時の企業風潮は若手産業医の現場経験を歓迎し、ガソリンスタンドでの実地作業や地方営業への同行など、幅広い経験を積ませてくれた。 全従業員1200人を対象に、全国の事業所で全員面談を実施し、従業員との信頼関係を築き、現場の課題を深く理解した。 当時の健康増進プログラムは、既存のTHPや人間ドックなどの資源を組み合わせて効果的に実施した。 外資系企業のエクソンモービルはリスク管理に非常に厳格で、問題発生前から多額の費用を投じて訓練を行うなど、日本企業とは異なる文化を持っていた。 産業医の仕事は単なる医療行為に留まらず、企業コンサルティング的な発想が必要だと感じていた。 企業の合併とダイナミックな業務 エクソンモービルの合併時には、早期退職制度の支援や新たなグローバル基準の導入、合併チームの構築など、ダイナミックな業務を経験した。 特に早期退職制度の支援では、従業員の不安解消のための教育を行い、精神的に不安定な状況を抱える社員への対応に尽力した。 合併を機に、それまで潜在していた従業員のメンタルヘルス問題が顕在化するケースを多く経験した。 産業医科大学への帰還と教育への貢献 森先生は大学卒業時には、特にやりたいことがなく、研究室に配属されたことがきっかけで産業医学の道に進んだ。 日常の社会とそこで生きる人々に興味があり、臨床医学ではなく産業医を選択した。 産業医科大学の卒業生として、産業医学の経験を大学に伝え、産業保健の「言語化」の必要性を強く感じ、実務研修センターでその実現に努めた。 ハーバードメソッドのケースメソッドを産業医の教育に導入するなど、実践的な研修プログラムを開発した。 産業医大の産業医養成プログラムについて 高尾メソッドへの評価 高尾メソッドは「冷たい制度」として見られがちだが、「システムとして成り立っている」と評価した。 人事や職場の役割を明確にする汎用性の高い選択肢であり、特に地方自治体など、これまでの健康管理が行き届きにくかった組織に非常にフィットする。 「システムはドライに、運用はウェットに」という原則が高尾メソッドにも当てはまると述べた。 エクソンモービルの「ドライな」リスク管理の考え方や、早期退職における「優しい」退職支援の例を挙げ、高尾メソッドに通じる点があると示唆した。 定年退職後の展望 今年度で定年退職し、今後は「普通の産業医」としての活動(週3日程度)を望んでいる。 加えて、学会活動のコンサルティングや社会貢献、インドネシアの大学での客員教授、健康経営のコンサルティングを計画している。 森産業医事務所、森労働衛生コンサルタント事務所、森健康経営研究所という3つの組織が並列にあるような状態をイメージしている。 若手産業医へのメッセージ 医者であることを忘れず、組織やマネジメントを理解することの重要性 一つの業界や文化、組織を深く理解することが、他の多様な現場を理解する上での基礎になる 組織のトップが抱える孤独さや経営側の視点を理解し共感することが、産業医として深く関わる上で非常に重要。 ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。
-
76
第79回|「企業医務部の挑戦」を読んで
第80回にゲスト出演予定の、産業医科大学教授・森晃爾先生に何を聞くか、先生の著書「企業医務部の挑戦」を読みながら、事前に議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 各ホストの近況報告 高尾 中高の同期会計画で、遠方からの参加者への配慮が不足していたことについて反省。 前園 ゲンロン戦記 森 四国カルストへ行きました。 議論した内容 次回ゲスト(産業医科大学 森晃爾先生)への質問項目 森晃爾先生の著作について 『企業医務部の挑戦』 著作の発刊時期(1996年)と、高尾や森先生自身が産業医活動を始めた時期との関連性、当時の産業医活動の情景を知りたい。 産業医科大学と産業保健の歴史 産業医科大学が設立された当初、企業界から見てどのような存在だったのか 森先生が産業医を始めた頃の産業医・産業保健の実態(資格や勉強の有無、活動内容) 専属産業医や嘱託産業医活動の初期イメージと、現在の違いについて 著書にある健康管理活動のレパートリー(アブセンティズム対策、海外巡回健康相談など)が、どのような経緯で生まれたのか(手本があったのか、オリジナルな発想か) 海外の産業保健制度との違いや、米国企業における産業保健の位置づけについて エッソでの経験 森先生がエッソを辞めた後、同社の産業保健体制がどうなったのか 外資系企業におけるリスクマネジメントと、日本法人のコスト意識のバランスについて 産業医科大学の組織と外部からの見え方 産業生態科学研究所や実務研修センターの位置づけ、役割。外部からは理解しにくい部分について 産業医学推進研究会 森先生が産業医科大学に入学し、産業医の道に進んだ経緯 キャリア初期のエピソード 産業保健の変遷と現代的課題 当時の従業員に対する見方(性善説ベース)と、現在の性悪説・性弱説との違い 疾病利得への認識の変化と、当時の状況 安全配慮義務や労働災害に関する司法の動向を、どの程度把握し、どのように位置づけていたのか 安全と衛生の専門性の垣根と、労務管理が健康管理に協力を求めてきた経緯 実践としての産業医学と研究としての産業医学の乖離・連携について 個人的な質問 高尾メソッドや、高尾らの最近の活動に対する森先生の率直な印象 過重労働対策やメンタルヘルス対策を、労務問題と医学的な健康影響評価として大胆に整理することへの意見 10年後、20年後(2035年、2050年)の産業保健の課題や問題意識について 後進の育成について ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。
-
75
特別編|合宿2日目ライブ配信
合宿2日目の夜に行ったライブ配信の音源を再編集したものです。質問への回答を中心に、踏み込んだ議論をしました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 美術鑑賞と芸術の捉え方(雑談) MOA美術館を訪問。高尾先生は和物が多くてつまらなかった。モネなどの印象派作品の見方との比較。 葛飾北斎の絵は余白の取り方が巧み。街並みや船の描写は写実的だが、富士山の描写は写実的ではない。 ゾノ先生は個々の作品より、美術館の空間全体やライティングに注目し、空間設計から学んだ。 西洋美術は文脈(アンチテーゼ)があるのに対し、東洋美術は思いつきの行き当たりばったりな個性派という印象。 芸術鑑賞は脳のシナプスを繋げ、「なんだこれ」という疑問が思考の発達に重要。 議論した内容 会社で働く能力の回復への助言のあり方 産業保健師や会社が、従業員の能力回復を直接助けるという表現は不適切。 能力回復は本人が行う。会社や産業保健は適切なフィードバックやきっかけを提供する役割。 療養専念期から復職準備期、復帰基準に対するフィードバックが重要。 助言で回復に誘う経験は、本人のキャパシティに助けられた偶然(フロック)の可能性がある。ゴルフの例えで説明された。 従業員自身の早く復帰したいという真なる意欲が、能力回復の鍵。 復職準備状況の確認方法(多分働けると思うという連絡に対して) 「多分働けると思う」という曖昧な表現では不十分。会社は具体的な説明を求めるべき。 「主張立証責任」のような裁判用語は避けるべき。従業員が復帰基準を満たすと判断できる材料の提供を会社が求める。 会社は復帰基準を明確に定め、従業員に周知する。 就業制限解除のタイミングとストップ要件の運用 ストップ要件の解除タイミングはあらかじめ決めておくのが基本。ただし、一部の「モンスター社員」には永遠に解除しない態度も必要とされる場合がある。 産業医学的ストップ要件には合理的な期限があるが、上司の判断要件は継続し得る。 「いつまで適用されるか」という問いには、「いつでも適用される」という姿勢がベター。一部従業員によるルール悪用防止のため。 復職準備としてのボランティア活動の評価 ボランティア活動は、「やりたいことをやる」感覚が強く、復職準備に必要な規律性にはそぐわない。 指揮命令下に入らず、対価も発生しないため、労働契約との関係で労務提供義務を果たす準備とは評価しにくい。 企業側は、ボランティア活動を復帰準備として評価することに非常に慎重な態度が適切。 誠実に復帰準備をしている従業員からは、このような報告は来ないことが多い。 健康診断結果が改善しない社員への対応(就業制限・休業検討) 会社が設定したルール(例:3ヶ月で改善傾向がなければ休業検討)は、運用できないなら定めるべきではない。 従業員が休業に抵抗する場合、会社側に賃金請求権の問題が残る。 即座に倒れるリスクがあるごく一部の健康状態(例:血圧の極端な高値、結核疑い)以外は、強制的な休業には慎重な対応が必要。 会社は基準の合理性を明確にし、誰にでも一律に適用できる運用体制を築くのが重要。 産業医は個別の事案ではなく、基準値設定の段階で意見を出すことで、会社の方針に合理性を持たせるべき。 過剰配慮はしないルールへの移行と従業員への伝え方 過去の過剰配慮から過剰配慮はしないルールへの変更は、世間の情勢変化を背景に今が伝える唯一のタイミング。 従業員が完全労務提供できている今のうちに、今後のストップ要件などを明確に伝えるべき。 人事担当者が伝えることに躊躇するなら、動画などを活用した会社のルール客観的周知も有効。 産業医との情報共有のあり方 嘱託産業医との関係は、会社が方針を決定し、産業医がその方針を理解・協力する立場である。 従業員が人事ルートではなく産業医に直接相談を持ちかける場合、情報共有の必要性が発生し得る。 日本の産業医業界は、中央省庁のガイドライン重視からチャレンジ精神に欠ける傾向がある。 労働安全衛生法は、生活習慣病など従業員自身がコントロールすべき健康管理の文脈では時代遅れである。 多害性のあるメンタル不調者への復職対応 同僚や部下への多害行動があった場合、まず懲戒処分を検討すべき。これは疾病の有無に関わらず行う対応。 刑事責任や懲戒免責の対象となる精神疾患は極めて限定的。一般的な精神疾患による多害行動は処分対象となる。 加害者を被害者の部署に戻すのは避け、左遷的な異動を即日行うのが適切。これは復職原則とは独立した問題。 会社が多害行動を放置した場合、被害者のメンタル不調が業務上認定されるリスクがある。 自己申告の血圧記録の信憑性と判断 従業員の自己申告に疑う合理的根拠がある場合、そのまま信用しない。 安易に疑念を抱くのは避け、客観的な根拠に基づいて判断すべき。 自己申告制の就業制限は、初回は自己申告を受け入れ、2年目からは医師による測定を求めるなど、段階的な対応が有効。 ※このShowNoteはNotebooklmを活用して自動生成した要素を含みます。内容は参考情報であり、正式な見解は放送内容をご確認ください。
-
74
第78回|生涯研修会の振り返り
先日3人が揃った産業医生涯研修会の振り返りを行いました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■近況報告 高尾:ノルウェー出張中に舌の痺れと顔の冷感を経験した。帯状疱疹の可能性を自己診断し、ビタミンB12を試したが、容量が少なく効果は限定的であった。具体的な症状として舌の右側の痺れと、顔面神経の上顎枝領域の冷感を挙げ、この症状について医療相談を求めている。 前園:森より先にウイスキー収集を始めたと報告する。ジャパニーズウイスキー(イチローズモルト)やアイラモルト(ラガヴーリン)などを集め、味覚や香りについて学んでいる。 森:大阪万博の「いのちの未来」パビリオンを訪れた経験を共有した。アンドロイドによる案内がスムーズだったことに触れ、AI音声動画による療養説明も、最初に「そういうものだ」と受け入れさせれば違和感なく進むと述べる。 ■議論の概要 精神障害の労災認定基準について(高尾): 令和5年改正のポイントは「カスハラ」と「感染症の危険性」業務の追加である。 長時間労働(月160時間以上または3週120時間)や悲惨な体験は「特別な出来事」として即座に労災認定につながる。 人事異動や昇進など通常の人事権行使も心理的負荷「中」と評価され、時間外労働と組み合わせると労災認定のリスクが高まる点を指摘する。 ハラスメントは身体的攻撃を伴うなど、かなり重大なものしか心理的負荷「中」とされず、世間の感覚と基準にギャップがあると述べる。 労災と安全配慮義務について(前園(ゾノ)): 安全配慮義務は予見可能性と結果回避義務を要件とする。 予見可能性を否定することは難しいため、結果回避義務を尽くすことが重要であり、そのためには労働者を休ませるアプローチが最も確実だと主張する。 医療職が「患者の話を聞くこと」と「必要な情報を収集し判断すること」を区別し、適切に説明を行うことの難しさに言及した。 両立支援について(森): 両立支援が「一人歩き」し、企業が過度に家庭の面倒を見るかのような誤解が生じていると批判する。 両立支援ガイドラインは義務ではないため、企業は残したい人材に手厚く支援し、そうでない人材には不要と明確にすべきだと主張する。 日本の雇用構造では、両立支援が同僚への負担転嫁につながる可能性があり、労働生産性を低下させる要因になりうると指摘する。 「禁止されていないことはやっていいことではない」という、日本人が「自由」を履き違えている現状を問題視する。 安全衛生委員会における産業医の役割について(高尾): 安全衛生委員会の規定や産業医の役割を概説し、メンタル対策や化学物質管理などの役割を期待されていると述べる。 衛生講話をAI音声動画化し、メソッドに準拠した内容を企業に提供することで、自然と企業の健康管理体制を改善できる可能性を示唆した。 事例検討グループワーク(前園(ゾノ)&森): ポッドキャスト第74回で扱った事例をグループワーク形式で実施した。 第74回 事例はパワハラ主張や家族の関与など、多くの要素を含み、現実的な問題提起ができたと評価する。 働く女性の健康管理と生理休暇について(高尾): 生理休暇は歴史的に女性差別的な側面があり、現代ではその役割を終えつつあるという問題意識を提示した。 現代女性の月経回数は大幅に増加しており(昔は50回程度、今は450回)、生理痛は我慢するメリットがなく、治療法も確立されているため、治療を推奨すべきだと主張する。 生理休暇を「なんでも休暇」のような、性別問わず利用できる上位互換の制度に発展させる可能性について議論した。 理屈では可能だが、日本特有の「空気」が改革の障壁になっていると分析する。 このShowNoteはNotebooklmが作成しています。内容についてホストは保証致しません。
-
73
第77回|自由集会反省会
先日仙台で行われました、自由集会の反省会を行いました。(2025年11月26日に音源を更新しました) 自由集会本編 自由集会質疑応答 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 近況報告 高尾: アニサキスによる入院保険の保険金が無事振り込まれ、請求手続きが簡単で驚いた。 前園(ゾノ): 急激な気温変化による体調不良(お腹の不調)について相談し、夏の始まりに向けてサウナなどで初熱順化をすることが対策として重要だと確認した。 森: 初めてシングルモルトバーに行き、香りを楽しむという新しい飲み方を知り、勧められたアイラのラガブーリン16年を最初の一本にしようと決めた。 議論した内容 自由集会の反省と来年の計画 産業衛生学会外で開催した自由集会では、リスナー層が参加者の大半を占め、学会参加者以外も参加しやすい形式が成功だったと認識している。 懇親会において参加者同士の交流が限定的だった反省から、来年以降は交流時間をより意識的に設け、ウェルカムドリンクの提供なども検討していく。 公開収録と懇親会を同時に行う案では、参加者同士の交流が盛り上がりすぎて、ホストの話が聞かれない可能性も懸念された。 質問をぶった切りすぎた点については反省があるが、質問者本人からは肯定的なフィードバックも得ている。 周知方法については改善の余地があり、参加者による口コミの協力を得ることが検討された。 来年(大阪)の開催に先立ち、徳島などで小規模な持ち込み企画を実施し、公開収録や交流会、質問タイムなどの試行錯誤を行う予定だ。 模擬裁判事例の検討と産業保健の役割 第98回日本産業衛生学会で取り上げられた模擬裁判事例(休職期間満了退職をめぐる紛争)について、その内容と産業保健への示唆を議論した。 事例は、部長職のX氏が休職後、復職を希望するも、会社が提示した一般職への降格・年収半減の提案をX氏が拒否し、最終的に休職期間満了退職に至っている。 模擬裁判の演出(承認尋問など)は、実際の民事裁判の実態とかけ離れており、裁判を誤解させる懸念がある。 産業保健職が模擬裁判から学ぶべきは、訴訟後の対応ではなく、予防的な観点である。 最も重要な教訓は、紛争が生じやすい休職期間満了時などに備え、「働くとはどういうことか」について、会社と労働者間の認識の相違が生じにくい復帰基準を事前に確認しておくことだ。 模擬裁判で示される教訓は、個別性の高い事例の勝ち負けの視点に終始しがちである。 会社が復職判定の材料不足を理由に、産業医に判断を求めようとする行為は、産業医に会社に都合の良い意見を忖度させようとする下心があると見られかねない。 主治医の診断書が医学的見地に基づいているかを確認するため、会社は機械的に主治医へ紹介状を送付すべきであり、その行為自体が紛争予防に繋がる可能性がある。
-
72
特別編|自由集会質疑応答セッション
先日仙台で行われました、自由集会の第二部質疑応答セッションの音源を公開します!当日いただいた質問に対して、回答しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■議論の概要 産業医の中立性と独立性|弁護士が代理人や顧問として中立ではないことと比較し、産業医は労働者個人と会社の間で中立が求められるわけではない、との見解が出ている。むしろ、労働者集団の健康管理においては中立でなければならない。独立性については、経済的独立性が確保されていないと担保が難しいとの意見があった。企業が費用を負担する第三者委員会も、その中立性には微妙な側面がある。 産業医が一人で中立・独立の立場を取る危険性|産業医は労働者の代弁者でも会社の代弁者でもなく、企業の意向を理解しつつも目の前の労働者に厳しいことを言わなければならない場合に悩むのは当然である。中立性と独立性を守るには、契約破棄も辞さない態度が必要になる場合がある。大学にいることのメリットとして、中立性・独立性を意識して活動できることが挙げられた。 メンタル不調者への対応|個人と集団というキーワードが重要である。個人に対しては、労働契約を満たして就業再開する意思があるなら止めないというスタンスも中立性・独立性の一環になりうる。しかし、科学物質管理などの場面では、産業医学的見地から企業の利益を損なう勧告も必要となり、労働者集団に対する中立性が求められる。 病識が欠如している職員への対応|就業規則に受診を命じる条文を追加することも可能だが、それだけでは不十分である。命令の合理性が必要であり、また命令しても本人の希望に沿った診断書が出てくるなど、問題が解決しないケースもある。重要なのは、病気の有無ではなく、勤務からの逸脱に焦点を当てた指導を行い、その結果として懲戒処分か療養かという選択肢を本人や家族に示すことである。家族の理解と協力が鍵となる。 就業規則の作成|かえって会社を縛り、柔軟な対応を難しくする可能性が指摘された。復帰基準などを作り込むと、その通りにやらなければならなくなり、運用が複雑になることがある。ハラスメントの懸念を払拭するには、事前に書面を作成し、それを読み上げる準備をすることが推奨された。 シナリオを用いたコミュニケーション|相手の思うことを先んじて「決めつけているわけではない」と伝えるなど、丁寧にシナリオを作成することで、円滑な受診勧奨が可能になる。 休復職を繰り返す50代男性へのキーパーソン対応|家族の同席を強く推奨するが、身寄りがない場合は、親戚、友人、会社の先輩、労働組合委員長なども選択肢になりうる。個人情報保護の観点から、本人の同意が取れない場合でも、自傷他害の恐れがあれば例外規定を適用し、連絡を取るべきである。緊急連絡先の毎年更新も推奨された。前の配偶者や子供、叔父などがキーパーソンになる可能性も言及された。会社としては採用時に緊急連絡先を取得するが、プライバシーに属する離婚などの情報は積極的に把握できないため、防災訓練などの機会に緊急連絡先の確認・更新を行うことが有効である。 メソッド導入に伴う人事負担の増加|「今まで労務管理をサボっていた人事」にとっては当然の負担であり、不健康な状態を是正する過程だと説明された。シナリオ作成は保健師が担い、人事は確認するだけで済むケースもある。メソッド導入で再休職が減り、現場の生産性が向上するなど、見合うだけのメリットがある。ルールを定める手間はかかるが、運用例を流用することで作業化が可能となり、結果的に人事の担当者個人の負担を軽減し、業務を分担できる。 メソッド導入の効果(肌感覚)|再休職事例の確実な減少、難渋事例(口答え事例)のほぼゼロ化が挙げられた。職員への教育が行き届くようになり、産業医への問い合わせや主治医の診断書への不安が減る。業務マネジメントとしての復職・休職対応が可能になり、作業化によって精神的負担も分かち合えるようになる。 休職期間の延長や休職人数の増加への懸念|メソッド導入当初は伸びる要素があるが、これは手順に慣れていないためであり、慣れれば計画的に短期で復職に導ける。早期の療養導入を徹底すれば、結果的に休職期間は短縮され、人数も減る可能性がある。これまで療養期間が短すぎたのであれば、伸びるのが本来あるべき姿である。 週1報告の受領書における振り返り|再発防止を考えるのではなく、以前よりもしっかりと復帰準備をしてもらうことが重要である。メンタルダウンの再発防止は主治医に任せるべきであり、企業側が求めるのは「仕事の行き詰まりに関する振り返り」に限定すべきである。復帰準備で何をさせるかは本人に考えさせ、会社側は必要な修正を加える。 休職期間中の振り返りによる悪化|療養専念期と復帰準備期を明確に分けることで回避できる。療養専念期には生活リズムを整えることに専念させ、復帰準備期になってから仕事上の対策を考えさせるべきである。 受診指示に応じない社員への対応|安易な配置転換は「いじめ」や「ハラスメント」になりうるため避けるべきである。重要なのは、受診の可否ではなく、勤務上の問題(事例性)を指摘し、改善を求めることである。改善しない場合は懲戒処分も視野に入れつつ、本人や家族と粘り強く交渉する。無理やり休ませる措置ではなく、療養勧奨として強く促すスタンスが示された。 従業員の借金の有無確認|純然たるプライバシーであり、会社が安易に介入すべきではない。金銭問題が復職理由であっても、復帰基準を満たさない限り復職は認められない。金銭問題は療養中に解決しておくべき課題である。 休職中の寮からの退去および引っ越し費用|メソッドでは寮での療養は原則として防ぎ、実家への帰省を促すが、引っ越し費用まで企業が負担することはない。復職が決まった後にアパートを借りるなど、生活環境を整えることも復帰準備の一環である。 会社側の弁護士に期待する役割|面接シナリオや説明文書のリーガルチェック、ハラスメントにならない表現への助言である。弁護士は保守的な文書作成が得意であり、コンサルティング的な役割が期待される。産業保健法学会における弁護士の認知度はまだ低いが、今後ニーズの高まりとともに変化する可能性がある。 ライン作業者がしゃがみ込むケース|貧血の診断があっても、業務上の支障があるかどうかが重要である。単にしゃがみ込むこと自体が問題なのであれば、「しゃがみ込むな」と指示し、安全上の問題点を説明して改善を求める。受診勧奨に応じなくても、業務上の問題が改善しない場合は、会社として対応する必要がある。 「仕事が要因で病状が悪化したため、同じ仕事に戻れば再発する」という主治医の意見|療養開始時にこの意見を想定した説明を組み込むことが有効である。アスリートの例を参考に、仕事が要因であれば、今度は仕事が要因とならないよう準備する必要があることを強調する。人間は変化に適応できる生物であるという視点も有用である。 メソッド導入への会社の反発|上司が人材育成を普段から行っていると「思っている」にもかかわらず生じることがある。実際には人材育成や労務管理ができていないケースが多く、その不健全な状態をメソッド導入によって是正することへの抵抗がある。また、これまでの「魚を与えていた」関係から「魚の取り方を教える」関係への転換には、会社側の信頼関係や覚悟が求められる。 このShowNoteはNotebooklmが作成しています。内容についてホストは保証致しません。
-
71
特別編|自由集会「労務管理と産業保健研究会」2025
先日仙台で行われました、自由集会の第一部「公開収録セッション」の音源を公開します!高尾メソッドをめぐる様々な意見をテーマに議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■業務遂行能力の波に対する猶予 高尾メソッドは、契約上の宣言に基づき業務遂行能力の波を許容するが、長期間の不調は容認しない。 日本の低い労働生産性がさらに下がることは問題である。 復職には「復帰準備完了シート」で「ちゃんと全部やります」と宣言することが重要だ。 休職からの回復猶予は非常に重視するが、就業しながらの回復猶予は待たない。 「労務基準」や「労働契約」の遵守、つまり本人が「やる」と宣言する意思に重きを置く。 ■高尾メソッドのエビデンス 単純な前後比較データは存在するが、中立性の確保は難しい。 「RCT(ランダム化比較試験)」のような厳密なエビデンスは、倫理的・現実的に不可能だ。 そのため、過去との比較などの「観察研究」に頼らざるを得ず、徐々に積み上げていく必要がある。 企業への説得材料としてエビデンスが求められることに対し、「騙されたと思ってやってみて。やればわかるから」というスタンスだ。 ■健康管理の整理 重要なのは、医療的健康管理と業務的健康管理の役割分担と使い分けであり、医療的健康管理が業務を侵害しないよう線引きすることだ。 産業保健の役割は、個人への医療的健康管理だけでなく、集団をイメージした「業務的健康管理」において期待できる部分がある。 医療的アプローチは本人の同意という任意性が必須であり、強制されると医療からも脱線する。 当事者意識が失われ、問題が複雑化する傾向がある。 特定の「ややこしい事例」だけでなく、どの事例に対しても淡々と一貫した手続きを行うことが、自然な証拠形成につながる。 緊急の産業医面談は不要な場合が多く、上司や同僚からの「労務情報」(仕事ができていないこと)が重要だ。 本人が自分の問題について何が議論されているのかをよく理解することが重要だ。 ■法律と実務のギャップ メソッドは、「適正に見分ける」という発想で運用しているわけではない。 入社時の初心を忘れず、誠実に労働契約を果たす意思があるかを確認するものであり、一方的に約束を破り、仕事を選り好みする人に対しては「仕事がない」と伝えるのだ。 「スムーズに退出してもらう」のではなく、「相当いつまででもちゃんとやってください」と伝え続け、それでも無理な人が結果的にドロップする形だ。 メソッドは「復職名人」であり、会社が厳しいと思われがちだが、本人がやる気があれば休職期間満了後でも現職復職を推奨する。 中小企業向けの弁護士が、メソッドを「有用な辞めさせる方法」と誤解して適用する「もらい事故」の可能性がある。 法人として導入の過程で労使間の議論を経て行うべきものだ。 ■配慮について 「配慮は限定的に行う」という原則は、社員が「全部できる」という前提に基づいている。 能力を見極めるとは得意な点を見つけることであり、「できない部分を容認する」という意味ではない。 「適正配置」は人事的な適材適所であり、病気に対する「配慮」として行うべきではない。 障害者の「合理的配慮」も、「元の労働契約に沿った労務提供をするための配慮」であれば問題ない。 高尾メソッドは基本的に「無限定正社員」が元の労働契約に立ち返ることを重視する。 社員が「自分の不利益は嫌です」と主張し、医療者の介入により「不利益のない選択肢はないのか」となるのは、「労働者としての誠実性」に欠ける。 このShowNoteはNotebooklmが作成しています。内容についてホストは保証致しません。
-
70
第76回|同じ指導を繰り返しても改善しない人への対応
合宿で収録した音源の5本目です。今回はケースへの議論を通して、弁護士の対応アプローチについて深掘りしました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■議論した内容 産業保健における社員の問題行動への注意指導とハラスメントリスクへの備えについて議論した。弁護士による相談事例の傾向から、ハラスメントと指導の区別、パワハラにならない指導方法が大きなテーマとなっていることを確認した。 弁護士の助言は、裁判で負けないための保守的な観点が強く、現場での問題解決とは異なる側面があると感じた。特に、同じ指導を繰り返しても改善しない人への対応策が不明確である点が挙げられる。 指導の記録を残すことや書面で指導することの重要性が、弁護士の助言にも見られる共通点である。しかし、弁護士は個別の書面指導に留まり、包括的な「シナリオ」や「パッケージ」としての指導方法は提供していない傾向にある。 弁護士の助言が現場でうまく機能しないのは、フィードバックの機会が少ないこと、そして詳細なシナリオ作成にかかる報酬の問題があるためではないかという考察があった。 我々の「シナリオ」や「説明動画」といったアプローチは、弁護士の助言から一歩進んだ標準化された対応を目指している。これは個別の問題解決だけでなく、企業全体の仕組みとして導入することを意図している。 弁護士が訴訟を見据えた助言をすることで、かえって紛争を避けられない状況を生み出す可能性があるという指摘があった。目の前の問題解決ではなく、「裁判になった時にどうするか」という視点が、かえってトラブルを助長するかもしれない。 我々の「シナリオ」は、読む人と書く人を分けることで、指導のニュアンスを排除し、一貫性のあるメッセージを伝えることを目指している。これにより、従業員が会社側の意図を正確に理解し、逸脱行動を抑制する効果が期待できる。 「通常勤務ができること」を最終ゴールとし、従業員に改善を促すことが重要であると強調した。決して解雇や懲戒を目的とせず、あくまで労務提供義務を果たす意思と行動を示すことを求める。 ハラスメント対応においては、被害者の「処罰感情」は、加害者の処分決定において最重要ではないことを明確に伝える必要がある。処分は会社の秩序維持のために行われるものであり、被害者の感情に直接応えるものではないことを理解させるべきだ。 コミュニケーションにおいて、一度や二度の説明で全てが伝わるという「甘い期待」は避けるべきだ。一貫した、丁寧な、そして繰り返し行われるコミュニケーションが、関係者間の共通認識を築く上で不可欠である。 弁護士が提供する助言と異なり、我々のシナリオは再現性が高く、誰にでも適用可能である。多くの場合、問題が解決に向かうが、それでも行動を修正できないケースは、例外として割り切るべきだと述べた。
-
69
特別編|合宿1日目ライブ配信
合宿の夜に行ったライブ配信の音源を再編集したものです。質問への回答を中心に、踏み込んだ議論をしました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■議論した内容 長期休職者の対応(膠着ケース)について 休職者への対応は個別ケースでなく、定型化された対応を定期的に行うことが重要だ。 休職期間満了前に、復職ステップやスケジュールを事前に伝え、定期的に進捗を確認すべきだ。 対応は保健師ではなく、会社(人事・総務)が事務的な説明として行う方が、事態が動きやすい。保健師は、人事が活動できるよう、同席やサポートを後押しする役割を担う。 放置すると長期化する可能性が高い。定期的な面接や説明の繰り返し自体が、本人の復職モチベーションにつながることがある。 紛争予防のためにも、最終的に休職満了による退職に至る場合でも、会社が本人と会ってコミュニケーションをとっておくことが重要だ。 「上司が怖い」を理由に休職中の社員への対応について 基本的には、会社として復帰基準を粛々と伝え続けることが重要だ。 「上司の問題」と「本人の復職準備の責任」を切り離して考えるべきだ。具体的なハラスメント行為の申し立てがない限り、会社はその主張をそのまま受け入れず、本人には復職準備に集中するよう求める。 「怖い」が具体的にどういう意味か詳細を確認し、具体的な指摘があれば上司にフィードバックを行うことは可能だ。 「多責思考」の従業員には、「自分ごと」として復職準備に向き合ってもらうための働きかけ(フィードバック)が必要だ。 面談時には、リーガルチェック済みの「面接シナリオ」などを活用し、人事担当者が淡々と読み上げることが推奨される。産業保健職はその作成支援やデモンストレーションを行う。 身体疾患(がんなど)による休職者の復職基準について 原則として、メンタルヘルス不調の場合と同様の復職基準を適用すべきだ。 会社側や保健師が「この人はできないだろう」と先回りして決めつけ、安易に復職基準を下げたり、職務限定を設けたりすることは避けるべきだ。 復職可否の判断は、本人が「やれと言われればやります」と答えるかどうかに尽きる。本人の意欲と意思を尊重し、会社が求める職務遂行性を確認する姿勢が大切だ。 万一、復職後に問題が発生した場合は「ストップ要件」を設けて対応することで、安易に復職基準を下げることを避けるべきだ。 復職基準の運用は、保健師の個人的な判断で行うべきではない。基準は会社が定めるべきものであり、個人の判断で操作するとトラブルの原因となる。 白衣高血圧と就業制限について 会社が定めた就業制限基準がある場合、診断書の内容に関わらず、その基準を原則として適用すべきだ。 「本人が納得するかどうか」は、会社のルール適用において必須ではない。会社は説明責任を果たすが、説得を目標とすべきではない。 「白衣高血圧」が将来の高血圧を予測する因子であるという医学的根拠を踏まえれば、就業制限の合理性は十分に主張可能だ。 診断書の提出時期についても、「後出しは認めない」など、手続き上のルールを明確にし、厳守させるべきだ。 就業制限基準は、会社が一方的に定めても問題ないが、その内容が医学的に妥当であり、人事・総務が主体となって運用されるべきだ。 傷病休職と育児休業の同時期復帰について 多くのケースでは育児休業の方が期間が長く、傷病休職が育児休業中に終了することを前提に検討される。 傷病休職が育児休業突入の満了に近いタイミングで終了する場合、「3ヶ月の特別延長」パターンが推奨される。これは、傷病休職と育児休業を同時に進め、育児休業からの復帰タイミングに合わせて傷病休職からの復帰判断も行うというものだ。 最終的には、通常勤務ができる状態であることを確認することが目標となる。 産業保健師に期待される役割について 産業保健師は、純粋な医療的健康管理サービスを提供しつつも、その範囲を超えないよう自制すべきだ。 一方で、業務的健康管理の推進においては、医療的知見を持つ専門家として、人事や上司が抱く不安(職場での事故など)を取り除き、思考停止状態を解除する役割が期待される。 「人は簡単には死なない」という事実を伝えることで、人事が過度に保守的にならず、適切な業務命令を躊躇しないよう後押しする重要な役割がある。 「対集団」へのアプローチが期待される。会社全体の休職制度や健康管理の方針について、専門家として意見を述べ、適切な方向へ導くべきだ。 人事が産業保健職に業務を「丸投げ」しようとする場合、それを引き受けるのではなく、人事を主役に据える姿勢が重要だ。 従業員が明らかに休職が必要な状態になった際、人事が止められない場合の「ストッパー」としての役割も期待される。早期介入で最悪の事態(懲戒解雇など)を防ぐことに貢献する。 日本の産業保健は法的な縛りが少ないため、企業の期待と従業員のための活動を両立させるため、「5度ずつ曲げるように」少しずつ業務的健康管理の方向へ導く役割が求められる。 概要はNotebookLMで作成しています。不正確な場合がありますが、ご了承ください。
-
68
第75回|週1報告と受領書フィードバックの重要性
合宿で収録した音源の4本目です。今回は受領書によるフィードバックについて、議論を深めました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■議論した内容 特に、週1報告とそれに対する受領書でのフィードバックが非常に重要であるという認識を共有しました。こじれた事例ほどその活用が求められます。 週1報告と受領書のやり取りは、脈々と続く対応の中で確立されるべき本体部分であり、単なる盤面切り取りの対応ではないと強調されています。 受領書フィードバックの真髄は、単に報告を受けたという意味ではなく、週1報告に含まれる「ダメ出しが必要な記述」に対して、エレガントな言葉で適切にフィードバックし、軌道修正を促すことにあります。 これまでの復職支援が単なる通勤訓練などに留まり、本質的な部分(本人が自身の言動の問題点に気づくこと)にリーチできていなかった点を指摘しています。 本人がやりたいようにやってしまっている事例の軌道修正には時間と手間がかかりますが、文書でのフィードバックが有効です。 文書でのフィードバックは、お互いに必要以上に感情的にならないという利点があります。 「常識がない」と嘆くのではなく、会社側が適切なフィードバックを通じて「会社としてやってはいけないこと」を教えてこなかった責任があるという視点も提示されました。 受領書でのフィードバックは「正論」を返すものであり、相手が理解するまでやり続ける姿勢が必要です。 このフィードバックは会社(法人)からのメッセージであり、特定の個人だけでなく、今後のやり取りにも使える標準化されたものであるべきだと考えられています。 受領書を使うような企業では、ブラック企業のように即座に解雇するのではなく、フィードバックを行うこと自体が、ある種の「幸せ」であるとも言えます。 週1回の頻度は、毎日では負担が大きく、月1回では忘れがちになる中で、適切であると考えられます。 療養専念期においては、基本的に「受領しました」という返事のみで、フィードバックは行いません。 復帰準備期におけるフィードバックは特に重要であり、療養専念期には触れなかった本人の課題やネックとなっていた部分(本人にとっての「傷口」)に、あえて触れて向き合わせることが必要です。 復職して業務が始まってからでは、時間的・精神的な余裕がなく、こうした根本的な問題に向き合う機会がないため、復帰準備期にこそ直面させるべきです。 療養中に本人の苦手な部分と向き合い、一時的に悪化しても、それは回復を待てる状態だからこそできることです。 担当者によって対応がブレないよう、社内での共通理解や運用ルール(型)が必要です。 このフィードバックは過渡期には非常に重要ですが、本人が復帰基準を理解し、適切に対応できるようになれば、安定期には不要になっていく可能性もあります。 報告内容によっては、療養専念期など早い時期に厳しいフィードバックが必要になるケースもありますが、通常は本人の報告内容がフィードバックを導くと考えられます。 フィードバックの核心は、不適切だが看過できない報告内容に対して、エレガントな言葉で正面から指摘することです。 文書で報告させることで、本人の考えや理解のレベル、問題点が可視化されるという利点があります。 不適切な報告を受け取った際に、何も返さずに黙認すると、それが会社として許容されたと捉えられかねないリスクがあります。パワハラと捉えられかねない記述に対しても、適切に触れる必要があります。 文書でやり取りすることの重要性は、記録に残る、リスク回避になるという点でも感じられます。 上司による労務管理においては「勤務態度が不真面目」といった評価になりがちですが、フィードバックにおいては、評価ではなく「具体的な事実」に基づいて指摘することが重要です。 サポート窓口方式(複数名で確認し、法人メッセージとして伝える)は、個人の負担を軽減し、客観性を保つ上で有効です。 療養開始前の問題を適切に把握し、文章として記録・共有しておくことが、療養中のフィードバックの前提となります。 「良いフィードバック(ポジティブフィードバック)」については、休職中の労働者の状況(ゼロより下の状態)や、調子に乗ってしまうリスクを考えると、非常に難しいという見解が示されました。特に保健師案ではポジティブフィードバックが多くなりがちですが、注意が必要です。 労務管理においては「本来あるべき水準」をベンチマークとするのに対し、医療職は「療養開始前からの回復度」を時系列で見て評価する傾向があり、視点の違いを理解する必要があります。 フィードバックの「型」を作成したり、事例を蓄積したりすることの重要性が議論されました。AIによる作文支援や、フィードバック事例集の書籍化といったアイデアも出ました。 フィードバックの事業所案作成は、業務内容に関わるため、まずは人事担当者が主体となって行うのが妥当ではないかという意見も述べられました。 パワハラにならない指導表現に困るケースが多く、フィードバック集にはニーズがあると考えられます。 週1報告の基本的なパターンは決まっており、「この部分がまだ足りません」というフィードバックを基本とすることで対応できることが多いです。 「もっと具体的に報告してください」「もっと実践に向けて考えてください」といったフィードバックを通じて、本人の具体的な考えや実践性を引き出すことが重要です。 カウンセラーの中にはポジティブな話を通じてネガティブな話を効果的に伝えるという考え方もあるが、それは個人間の信頼関係があって成り立つものであり、法人とのやり取りとは性質が異なる可能性が示唆されました。 NotebookLM は不正確な場合があります。回答は再確認してください。
-
67
第74回|メンタルヘルス不調者対応事例における弁護士の視点
合宿で収録した音源の3本目です。今回は事例を題材とした弁護士の視点について、議論を深めました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■議論した内容 事例:新卒・試用期間中の従業員がミスを連発し、勤怠も乱れて休職状態となり、主治医から「在宅勤務なら復職可」の診断書が出たケース 会社が産業医面談を求めたところ、産業医からは「主治医の意見を踏まえると復職不可とは言えないが、会社で最終的に決めてほしい」という意見が出た。 このような事例に対し、弁護士間での議論では、産業医の意見が曖昧であることや、それに対する弁護士の期待(「もう一歩踏み込んで復職不可と言ってほしい」という期待)が語られている。 産業医の意見が「会社で判断してほしい」というものであることに対し、産業医としては悪くないベターな対応だが、その意見の裏にある産業医の読み(結局復職させるだろうという見通し)や、会社が辞めさせるつもりであるならば、その意見は「辞めさせてもいいと言っているに等しい」と解釈されうる危険性が指摘された。 弁護士がこのようなケースで産業医に意見を求めることの是非が議論された。 弁護士の助言が「裁判の勝ち負け」を土俵として見ているため、解雇や退職後の紛争を想定し、証拠として信用性の高い産業医意見を得ようとする傾向がある。 主治医の「在宅勤務なら復職可」という意見について、本来の労働契約における労務提供はできないと解釈できるにも関わらず、医師に直接言わせないと判断しない思考停止の状態になっている 適切な対応としては、医者をあちこち引っ張り出す前に、会社が本人に直接、労働契約に沿った業務遂行が可能か確認するべきであり、必要であれば本人に主治医に確認してもらうように促すべきでは。 主治医や産業医に意見を求める際の質問の仕方について、オープンクエスチョンではなく、医学的根拠の有無など質問を明確にして尋ねるべき 親や家族を関与させるかについても議論され、弁護士は揉め事や個人情報保護の観点から消極的になりがちだが、早期に、かつ会社側から積極的に関与を求めることで、紛争化した場合でも会社側のプロセスへの理解を得やすくなるなどのメリットがある 試し出勤(出社テスト)について 弁護士の助言が曖昧で決定打に欠ける理由:最終的な裁量権が会社にあること、紛争化後(末路)の対応に特化していること、多様なケースの積み上げ経験が不足していること、クライアント(会社人事総務)の「やめさせたい」という本音を前提としていること 会社の人事総務側の問題点:時間切れに弱いこと、決断力がないこと、裁判を恐れるあまり不適切な対応をしてしまうこと、労務管理の問題を病気の問題にすり替えてしまう傾向があること 弁護士と産業医/顧問医のスタンスの違いとして、弁護士が短期決戦や紛争化後のリスク回避を重視しがちなのに対し、顧問医的な立場では長期戦や紛争にならないための早期対応(予防法務)を重視する傾向があるのでは 問題がこじれる根源的な理由として、会社の人事総務が頼りないこと、問題発生の初期段階で適切な対応ができていないこと(後手後手であること)が最も問題である
-
66
第73回|主治医・産業医の一人二役のリスクについて
合宿で収録した音源の2本目です。今回は主治医産業医の一人二役の問題について深めました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■主治医産業医の一人二役とは? 文字通り、臨床医である産業医が、自身の担当する会社の従業員を自院に誘導したり、主治医として診察したりすること。 臨床医ベースの産業医における、患者獲得目的や純粋な親切心から生じる関わり。 かつては工場内診療所などで見られた形態だが、近年は企業内診療所は閉鎖傾向にある。 通常、主治医の役割がドミナントになりやすい構造。 ■第一段階の問題:利益相反 主治医は患者の利益を100%追求する一方、産業医は会社の利益(事業者の利好保持、労働者と事業者の公平)のために業務を行うため、立場の対立(利益相反)が生じる可能性がある。 復職支援など、一見利益が一致する場面もあるが、労働者からの特別な配慮希望などが入ると対立が表面化する。 これは弁護士の双方代理禁止の概念に近く、産業医が本人の要望を会社に伝える際に「代理人活動」に近づき、利益相反が顕在化しうる。 弁護士は利益相反の可能性があれば同意を取り、生じたら辞任する。主治医産業医も同様に、コンフリクトの可能性を契約時に明示し、生じた場合の対応(例:主治医を辞める)を決めておくべき。 真っ当な産業医は、最初から他の医師に主治医を依頼することが多い。 地域に他の医師がいない場合など、やむを得ず兼務する場合は、産業医としての役割を医療的な健康管理に限定せざるを得なくなる可能性も。 ■第二段階の問題:産業医活動中の暗黙の期待と契約関係 通常の産業医活動(面談など)においても、従業員側に「暗黙の医療契約」やそれに類する期待・誤解が生じているのではないかという問題。 産業医としての面談だが、従業員との間に個別の契約関係はないとされるにも関わらず、「ここだけの話」として会社に伝えない情報が発生し、特定の社会的関係が生じる。 産業医が従業員から会社にとって必要な情報を知りながら、必要な措置を会社に意見しないことによる事業者リスクの問題。 特に、従業員から自殺を示唆するような情報などを「会社に言わないで」と言われた場合の対応など、緊急例外的な場合の線引きが難しい。 産業医が情報を知っていることは事業者が知っていることとイコールと見なされ、訴訟リスクにつながりうる。 社内でダブルスタンダードが生じる可能性(例:社内基準と健康相談で得た情報に基づく個別判断の違い)。これは統括産業医や事業者視点では問題。 ■第三段階の問題:法令間の矛盾とリスク ストレスチェックの実施者と産業医の兼務の問題。実施者として高ストレス者を知っても、本人が面接指導を申し込まなければ中途半端な状態になる。 労働安全衛生法における健康診断結果の取り扱いと個人情報保護法のギャップ。安衛法で事業者が結果を知ることが定められていても、本人の同意なく機微情報を知ることは問題視されうる。 安衛法の「親代わりの健康管理」という前近代的な構図と、個人情報保護法の進んだ制度(EUベース)との間の矛盾。 これらの法令間の矛盾が、労働者と事業者の認識相違から紛争に発展するリスクがある。 例えば、検診結果に基づく就業制限が原因で従業員が不利益を被った場合、就業制限措置の違法性や産業医への不法行為訴訟につながる可能性。特に、法定項目だけでなく、法定外項目も一緒に取り扱っている場合、同意の有効性などがさらに問題になる可能性がある。 安全衛生に関する立法と個人情報保護に関する立法は相性が悪いため、今後も矛盾が表面化する可能性がある。 検診結果の生データなど、実務産業医が知る必要のない情報は切り分けるなど、情報の取り扱いに細心の注意が必要。 保健師も同様に、従業員からの秘密保持への期待と人事との情報共有の間で板挟みになるリスクがある。法的位置づけの不明確さからトラブルになりやすい面も。 ■結論として 主治医産業医の一人二役は、さまざまなリスクをはらんでおり、時代的にも許容されなくなりつつある危うい状況。 複数の法令が絡み合い、矛盾も生じているため、関係者は自身が「危ない橋を渡っている」という自覚を持つ必要がある。 働き方改革による産業保健機能強化は、実態として責任増強になっている面も。 情報の適切な取り扱いと、自身の業務範囲の明確化が、今後ますます重要になる。
-
65
第72回|話し合う意味がないテーマについて話し合うな
合宿で収録した音源の1本目です。今回は産業保健職の役割について掘り下げました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■議論の概要 医療職、特に産業保健職は従業員との対話を重視する傾向があるが、その中で本来話し合うべきではないテーマ(主に労働条件や配置転換などに関する従業員の希望)を取り上げてしまうことがある。 社長や経営者には従業員の希望を聞いて実現したり、配置転換を命じたりする権限がある。しかし、産業医や産業保健職にはそのような権限がない。 産業保健職が権限なく従業員の希望を聞くことは、叶えられない期待(誤解に基づく期待)を与えてしまう可能性がある。これは、医療契約のように「あなたの望みを叶えるために努力します」と約束しているかのように聞こえてしまうため問題となる。 医療職は情報が多いほど良いと考えがちで、意図せずとも希望を聞き出してしまう傾向がある。従業員側も、産業保健職になら話しやすい、希望が叶うかもしれないという期待を抱きやすい。 多くのこじれた事例の根源には、本来話し合うべきでないテーマを話し合い、従業員に誤解や過度な期待を与えてしまうことがある。従業員が自分の希望を検討に値する内容だと「昇格」させてしまう側面もある。 産業保健職が話を聞く場面の役割や位置づけが不明確であることが、この問題の一因である。会社側が役割や制約を明確に示せていない(いわゆる丸投げ)ことも問題。 臨床医療と産業保健の立場の違い: 臨床医療は「ネガティブリスト」的:患者のためにほとんど何でもやってよく、やってはいけないことが限定されている。 産業保健は「ポジティブリスト」的:職場において、やっていいことが極めて限られている。労働者と会社の間の約束の範囲内で、元に戻す手伝いをするのが基本であり、労働条件への口出しはできない。 労働者と使用者の二者間の問題を、産業保健職が代行して解決しようとしてはならない。特に、本人に代わって上司、同僚、人事に話をするのは問題となる場合がある。 臨床経験のある医療職が産業保健の仕事にそのまま向いているかには疑問符がつく。人の役に立ちたいというモチベーションが、会社の役に立つことではなく従業員の役に立つこと(希望を叶えること)に向かいやすいため。 議論の結論として見えてきた産業保健職の重要な役割: メンタル不調者対応などにおいて、早期に休ませる(療養勧奨)ことが重要な役割の一つとなりうる。 専門知識に基づき、早期療養の重要性や予後について説明し、従業員の休職に対する抵抗感を払拭する手助けをすることが期待される。 日本には休みたがらない、休めない文化があり、休職に対するネガティブな固定観念(退職へのステップなど)が根強い。休職者数、復帰率、再休職率などの透明性のあるデータを社内で提示することが、不安軽減につながる可能性がある。 会社側の役割として: 産業保健職への万能感や幻想を捨て、自社の産業保健活動の役割や枠組みを明確にすることが必要。労働者と会社の二者間で話し合うべき問題を明確にする。 産業保健活動においては、個人のスキルに頼るのではなく、平均的に効果が出せる仕組みを導入することが重要。 会社から指示された通りにまずはやってみて、うまくいかなかった経験から学ぶことも重要である。 本テーマについて産業看護職・保健師の方からの意見交換を歓迎。 (NotebookLMで作成したもので、内容の正確性は保証しません)
-
64
第71回|会社はどうしたいのか聞く必要はあるか/音声AIの活用の可能性
今回は、2つのテーマについて取り上げました。 【自由集会開催のお知らせ】 今年も自由集会を開催いたします。 日時 令和7年5月16日(金)13時〜17時 場所 仙都会館8階会議室(宮城県仙台市青葉区中央2ー2ー10) 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾 アニサキスになりました 前園 沖縄へ旅行してきました 森 万博に行ってきました ■会社がどうしたいか、聞く必要はあるのか 人事機能が不十分な会社での対応について、会社の意向を聞くことが産業医の対応を歪めるリスクがあるという考えと、会社の考えを知るための探索的な問いかけとしてはありうるという考えが話されました。 会社が健康管理を「自分ごと」として捉えていない課題や、思考停止している担当者へのアプローチ、会社としての主体性を明確にすることの重要性について話しました。 弁護士の立場から、依頼者(法人)の意向を受けて法的なリスクを減らすことや、「こうすべき」というコンサル領域の線引きについて話しました。 経験を積む中で自身のスタンスを確立することや、産業医のクライアントを多角的に捉える視点についても話しました。 ■AI音声の活用の可能性 最新のAI音声が非常に自然になっていることに触れ、労働者の健康管理分野での活用について話しました。 特に休職者への療養開始説明動画のナレーションでの活用に注目し、感情を排除したニュートラルな情報提供や、アップデートの容易さといったメリットについて話しました。 汎用的な動画教材や、会社ごとのカスタマイズ、各種研修・説明資料(復帰準備、Eラーニングなど)への活用についてもアイデアが出ました。 講演やセミナーにおいて、総論部分を事前学習用動画として提供し、当日の時間を質疑応答などに使う効率的な形式が考えられると話しました。 対面での講演とAI動画を組み合わせるインタラクティブな形式の可能性や、人間は人間が好きという視点、大学講義の短縮化の現状など、効率的な情報伝達の必要性について話しました。 AIが現実世界の経験に基づいた応用的な質問を生成することにはまだ限界がある点も話しました。 今後、AI音声活用を含めた動画コンテンツを具体的に作成していく意向について話しました。
-
63
第70回|【質問】若手従業員の育成に関するお悩み
今回は、いただいた質問について、労務管理的な視点から回答しました。 【自由集会開催のお知らせ】 今年も自由集会を開催いたします。会議室を別に借りて、時間の縛りなく議論する予定です!ぜひ学会参加予定の方はお時間の確保をお願いいたします。また終了後に、懇親会も開催予定ですので、そちらもぜひご予定を空けておいてください。 日時 令和7年5月16日(金)13時〜17時 場所 仙都会館8階会議室(宮城県仙台市青葉区中央2ー2ー10) 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:F1のシーズンが始まりました 前園:西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか 森:基礎研の抽選で苦労しました ■若手従業員の育成に関するお悩み 私が所属しているのは中堅企業の人事部で、各部門のマネージャーと連携しながら人材育成や組織運営を支援しています。現在、ある部門で話題になっているのが、30代前半の中途採用社員Aさんについてです。Aさんは専門性を買われて採用された方で、入社当初から「この人はリーダー候補だ」と大きな期待を受けていました。新規案件や外部連携にも関わらせるなど、成長の機会も意識的に与えてきたようです。しかし、ここ最近、周囲や上司の評価が大きく揺らいでいます。Aさんは与えられた業務を「こなす」ことには問題がないものの、自分から積極的に仕事を取りに行く姿勢がなく、「自分が無理なくできる範囲のことだけを引き受ける」という受け身な働き方にとどまっている印象です。報告もこちらから確認しないと出てこず、プロジェクトの進捗も「誰かが動いてから」「指示があってから」動くような場面が目立ちます。部門長からは、「何か一つでも自分から動く姿を見せてほしい」「前に出て引っ張るような姿勢が見えない」と、主体性の乏しさに強いもどかしさを感じている様子です。さらに、仕事が途中で止まってしまったり、提出物が遅れたりした際には、「家庭の事情で時間が取れず…」「上司が忙しそうだったので相談を控えていました」など、言い訳が先に立つような発言が重なっており、責任感にも疑問符がついてきています。フィードバックに対しても「わかりました」と返事はするのですが、実際に行動が変わらず、“聞いて終わり”“受け流している”ように見えることが多く、上司としては疲弊感を抱えているようです。また、地味な業務やチーム全体の調整といった、いわゆる「雑務」については、「自分の仕事ではない」「他のメンバーがやるべき」といった雰囲気がにじみ出ており、プロ意識やチームの一員としての自己完結力にも不安があります。Aさん自身は、「やるべきことはやっている」「求められれば対応する」という認識のようですが、部門側としては「このままではリーダー層として任せるのは難しい」と、役割や期待値を“絞る”方向での再設計を検討し始めている段階です。このような、“一見問題はないけれど、惜しいまま止まってしまっている若手”に対して、現場マネージャーとしてどのように関わればよいのか、また、期待値の調整や業務の任せ方をどう見極めればいいのか、ぜひアドバイスをいただければ幸いです。 「自分はできている」と思い込んでいる可能性がある。期待される役割と現実とのギャップを明確にフィードバックすることが不可欠 経験の軸とピープル軸 フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 時間的制約などを言い訳にして、フィードバックを正面から受け止めていないのが問題ではないか 「制約によりできない」ことよりも「限られた時間をどう使ったか」を自ら問う視点が重要 「チームへの貢献意識」や「仕事への向き合い方」の欠如も課題。ただこれは、意識転換により改善の可能性あり 上司がリスクを取ってでもフィードバックしていることの重要性と、その働きかけを真摯に受け止める素地の育成 フィードバックは1回で完了しない。継続的な対話と方向性のすり合わせが不可欠 成長とは、無駄に見えることや境界線上の仕事も含めて射程を広く持つことから生まれる フィードバックを「指摘」ではなく「育成のための対話」と捉え、セルフフィードバックを促す仕組みづくりが必要
-
62
第69回|「だから産業医面談しなきゃいけない」から「だけど仕事なんだよね」へ
今回は高尾先生からの持ち寄りテーマについて、議論してみました。 【自由集会開催のお知らせ】 今年も自由集会を開催いたします。会議室を別に借りて、時間の縛りなく議論する予定です!ぜひ学会参加予定の方はお時間の確保をお願いいたします。また終了後に、懇親会も開催予定ですので、そちらもぜひご予定を空けておいてください。 日時 令和7年5月16日(金)13時〜17時 場所 仙都会館8階会議室(宮城県仙台市青葉区中央2ー2ー10) 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:大相撲を見てきました 前園: 世界標準のフィードバック 森:悠太のアラビアータ ■「だから産業医面談しなきゃいけない」から「だけど仕事なんだよね」へ 問題がある→だから産業医面談しなきゃいけない→配慮しなきゃいけない 問題がある→まずはフィードバック→仕事なんだよね 産業医が介入すると「配慮」に話が進みがちだが、上司が対応すれば「でも仕事だから」で締められる可能性がある 健康相談と就業措置は明確に分け、前者は医療職に、後者はまず上司に対応させるのが自然な順番 現場の問題を「労務問題」から「医療問題」にすり替える構図が定着しつつある 産業医面談が問題解決の手段ではなく、満足感や責任回避のために使われているケースも 面談の構造化不足や、「問診的」な運用が改善されておらず、情報収集だけで終わってしまっている 医療者の「助けたい」という性質が、組織側の「手放したい」という動機と合致し、安易な引き渡しが起きている 人事や上司が責任を持たず、専門職に丸投げする傾向がある 上司には「指導して改善しなければ法人が対応する」という役割の限界を認識させる必要がある 組織として「できない人」をどう受け止めるかが問われており、医療の力による“免罪符”の時代は終わりつつある 「できていないという事実」とどう向き合うか、そのために必要なのは、まずは率直なフィードバックをはじめとする労務管理である
-
61
第68回|セミナーで寄せられた質問への回答
今回は最近行ったセミナーで寄せられた質問について、取り上げました。 【自由集会開催のお知らせ】 今年も自由集会を開催いたします。会議室を別に借りて、時間の縛りなく議論する予定です! ぜひ学会参加予定の方はお時間の確保をお願いいたします。また終了後に、懇親会も開催予定ですので、そちらもぜひご予定を空けておいてください。 日時 令和7年5月16日(金) 13時〜17時 場所 仙都会館8階会議室(宮城県仙台市青葉区中央2ー2ー10) 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:安西先生と掛け合いの研修をしてきました 前園:新しいカメラを購入しました ライカSL3-S 森:ChatGPTを再活用しています。 ■セミナーで寄せられた質問 休職中の定期フォローは看護職が必須か? 復帰後のフォロー面談における生活指導のポイントは? 受診勧奨後の休職者増加に対する会社への説明方法は? メンタル不調者への職場環境改善の必要性についての見解は? 管理職が診断書を無視して働かせる場合の安全配慮義務の伝え方は? 主治医の時短勤務指示を産業医が変更して良いか? 独身者で療養中に連絡が取れない場合の対処法は? 接客業務で異動先がない場合の対応は? テレワーク推奨診断書を出された社員への対応方針は? 元職場が原職復帰に対して否定的な場合の説明方法は? 精神・発達障害者の復職時の業務アサインに対する人事への助言は? 短時間勤務からフルタイム復帰への注意点は? 休職中の定期フォローの報告頻度の適正間隔は? メンタル不調者を異動して復職させる場合の事例と説明方法は? 強迫性障害者の復職準備に必要なフォローは? 休職満了間近に復帰する社員の長期化防止策は? 新入社員向け健康教育で伝えるべきメッセージは?
-
60
第67回|JTの休職期間満了退職をめぐる訴訟
今回は直近で話題になっていた、JTの休職期間満了退職をめぐる訴訟について、取り上げました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:博多で3人で産業医研修会をしました 前園:世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ 森:アルミテープチューン ■JTの休職・復職をめぐる訴訟と産業保健の課題 概要 JT社員“うつで休職”後に就労可能と診断も「復職」認められず自動退職に 地位の確認求め会社を提訴 休職していた従業員が復職を申し入れるも、6回にわたり復職を認められず、最終的に休職期間満了で退職となった事例が訴訟に発展。 訴訟は提起されたばかりで判決は未確定だが、新聞で一面報道もされ注目を集めている。 ただしこの記事は原告側の記者会見をもとに作成されており、会社側の主張がどの程度反映されているかは不明である点は要注意。 休職・復職基準の問題点 会社側が「周囲の負担」を理由に復職を拒否することは、過去の判例に照らしても認められにくい。 復職審査委員会が6回開催されながら、すべて不可判断となり、最終的に自動退職となっている点は、初めから退職ありきだったのではないか。 何をすれば復職できるのか具体的な基準が示されず、本人が対策を立てられない状態も問題。 適切な対応とは まず復職を認めた上で、勤務状況に応じて適切な指導を行う。業務遂行能力が不十分であれば、指導・評価を経て、必要に応じて処分や解雇を検討する方が、まだ筋が通るのでは。 休職者との対話を欠いたまま復職不可とすることは、企業の適切な対応とは言えない。 レピュテーションリスクの視点 訴訟提起の段階で企業名が報道されることによる reputational risk(評判リスク)。 一方、普通解雇での訴訟はメディアに取り上げられにくく、リスクマネジメントの観点ではその方が安全な場合もありうるのでは。 産業医・企業がとるべき姿勢 休復職の過程においては、「当事者との対話」を重視すべき。ただし面談等で話し合うのではなく、復帰に向けた準備の確認とフィードバックが重要。 「会社が認めない」のではなく、「本人が復帰に必要な条件を満たしていない」ことを明確にし、説明責任を果たすことが訴訟回避にもつながる。 最終的に復職不可で寄り切るのは何より問題。復帰はさせよ。 ■質問1 休職者との連絡手段は何がベストか? はじめまして、今年度から産業医活動をしているものです。先日休職者との連絡のやり取りや現状確認の方法について、「電話は本人の負担になると思うのでショートメールでやり取りしているが、周りからは記録が残らないものの方がいいのではと言われている、どのような方法がいいか?」という相談を受けました。私には「記録が残らないものの方がいい」という感覚がイマイチ分からず、普通にショートメールでいいですよと答えましたが、先生方はどのようにお考えでしょうか?大変初歩的な質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。 ショートメールやLINEのようなカジュアルな手段は、連絡頻度が増えすぎたり、対応が負担になったりする可能性がある。 記録が残らない方がいいという意見は疑問。記録がないことで「言った・言わない」のトラブルになるリスクがある。 週1回の報告を文書で受け、受領書を発行する形が望ましい。 ■質問2 復職と家族同席の問題 企業で保健師をしています。復職しても3ヶ月ほどで再休職を繰り返す従業員がいます。つぎの復職では家族を呼びますよと人事から伝えていますが、頑なに拒否しています。3回目の復職の際は猶予として家族は呼びませんでしたが、4回目は家族マストと考えます。本人への効果的な伝え方をアドバイスいただけますと幸いです。 企業側(あるいは保健師)がマストだと考えていても、本人がどう思っているかはわからない。 企業側としては「通知」として伝え、同席を原則とすることで対応可能。 家族同席が困難な場合、少なくとも会社との対話を促し、復職基準や必要な調整を明確にする必要がある。
-
59
第66回|メソッドのボキャブラリー
今回は「メソッドのボキャブラリーはどこから生まれたの?」というゾノ先生からの疑問に答えました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:フェリー旅をしてきました 前園:福岡県スクールカウンセラー協会 森:節分の日付と旧暦の関係 ■高尾メソッドのボキャブラリーはどこから来たの? 学生会活動や新聞部での活動、小説家志望、初期産業医の面談業務の経験、裁判の判決文からの習得 第39回|高尾の来歴とフィロソフィー 初期は面談における「切り返しトーク」を教えてほしい、という希望が多かったが、それは現実的ではなかった。それが難しいから面接シナリオをお勧めしている Works 95 人事プロフェッショナルの本質(PDF) 19ページ 人事担当者の中から、労務管理の基礎能力が欠如して久しい。それでは切り返しトークも身につかない。 無駄を省きすぎると余裕がなくなる。ボキャブラリー、広い意味での教養は、無駄が重要なのでは。 ■質問1|在宅勤務で人事はできるのか コロナにより、会社の方針で製造部門と一部の総務を除き、在宅勤務の方針となりました。2020年2月から人事がメンタルだけでなく、他の疾患でもこのまま就業させていいのかと思われる社員について情報あげるも、オンラインやメールではなかなか重篤感が伝わらないのか、なかなか関わってもらえません。産業医は診療のような対応で、保健師や現場の上司が振り回されてしまいます。メソッド導入を検討したいのですが、人事の仕事も増えるし、上司である人事部長に保健師から提案する事は難しいような気がするのですが、いかがでしょうか。また、社員や家族の説明他、人事が在宅ワークだとメソッドがうまくいくのか、イメージがわきません。私も採用面接がオンラインで、一度も人事部長に会ったことはありません。勤怠不良の社員の対応を何度もお願いすると、そんな事ばかりやってる時間はないんだ、と怒られてしまいます。今や人事も在宅勤務の時代なんでしょうか? 人事にも在宅勤務が適している業務もあるかもしれないが、トラブル対応など労務管理が必要な業務は難しいだろう オンラインでは伝わらない情報がある(重篤感が伝わらない、という認識の通り) 人事が労務管理の相談窓口として、いつでもオープンに気軽に相談できることが重要 メソッドの運用は在宅勤務でもできるだろうが、メソッドの導入は人事が在宅勤務状態では難しいだろう ■質問2|有給休暇の事後救済について 医療保健職です。年休事後変更は、最近は一周回って、ありと考えるようになりました。当社は2週間の年休は自由に習得可能で消化率も高いです。(育児に関わる休む制度は別途あり)コロナ禍で、更に体調不良で休みやすくなり、病気理由なら欠勤も注意指導する方が減り疾病利得を持つ方増えました。(ハラスメントになると注意しない人が増え人事的な柔軟な規律が消える)年休は平等だから、メンバーシップ型のなかで仕事のカバーを頑張る人にとっては、制度を超えた部分は年休使ってもらったほうが、あの人は年休がなくなってるからと同情できます。時間の制約がある方は誰にでもできる仕事はできなくて当然なため、支える側の気持ちとしては、年休も病欠もと多く休まれるのはしんどいです。 突発的な病気休暇・欠勤と、計画的な年次有給休暇を明確に分けた対応が重要 第18回|有給休暇と病気欠勤・子の看護休暇の整合や違いについて 病気休暇・欠勤が多い従業員には、「業務遂行能力の量的評価」が低くなるべきだろう 年間5日まで突発的な休暇を認める、という制度は検討できる
-
58
第65回|解雇回避努力について
今回は解雇回避努力について議論しました。 話した後に気づきましたが、第49回でも同じテーマで議論してました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:カラオケで歌いすぎて喉を痛めました 前園:病気が見えるシリーズ「循環器」を買いました 森:保育必要量が短時間になって困っています ■解雇回避努力 「解雇回避努力」は 本当に解雇を避けるためのものなのか?実際には「解雇の正当性を確保するためのプロセス」になっているのではないか? 第62回 原職復帰の原則について、「異動しないと復帰できない」と主張され平行線を辿った場合に、「解雇回避のために異動を検討すべき」と言われるが、それは本当に合理的か? 整理解雇(経営上の理由での解雇)では「解雇回避努力」が必須。一方で普通解雇(能力不足・非違行為等)では「解雇が社会通念上相当か?」が問われるだけで、解雇回避努力までは求められない。ただ現実には、解雇権濫用法理に基づき、解雇を回避するために何を行なったかが問われる 解雇に至ってしまうほどの能力不足に対して、それを放置してきた企業の責任と、改善の機会の提供、もしくは金銭を補償する義務があると言えるのではないか 原職復帰の原則で平行線を辿った場合、「3ヶ月以内に完全な労務提供ができるか」という医師意見を問い、できるというなら休職の延長もしくは原職以外に復帰させ、3ヶ月後に原職に戻せば良いのでは 復帰時に通常勤務ができることを求めるのは、業務遂行レベルから病状の回復度合いを推察しているから
-
57
第64回|高尾メソッド公式認定基準の検討
今回は新年度から実施予定の、高尾メソッド公式認定基準について議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:基礎研で知り合った先生方にはお世話になっています 前園:継続する技術 森:土と脂 ■高尾メソッド公式認定基準 公式認定というよりは、基準を満たしている登録というイメージ 背景には野良メソッドの跋扈。何かあった時に、野良は「あれはうちとは関係ないですよ」と対応できるようにする 既に導入した団体と新規に導入する団体、企業と自治体、有償支援組と無償支援組、公開と非公開 ある意味で、メソッドとは何なのか、何を持ってメソッドを運用していると言えるのか考えていく作業 その団体内で、よく議論をした上で運用をしているかどうかが本質的には重要。自分たちが決めたことを共通認識として自分たちの言葉で説明できるか。議論した上で推奨とは別の運用をすることはあり。 大項目として、復帰判定と復帰支援は上げられる。 復帰判定:業務基準・労務基準も踏まえた判断をしているか、復帰後すぐに通常勤務をすることを前提としているか、原職復帰の原則は貫いているか 復帰支援:週一報告などで本人の療養・復帰準備状況を把握しているか、受領書等でフィードバックをしているか、復帰基準は早めに伝えているか、家族の関与を得ているか 必須と推奨という区別が必要か 公開の取り扱い→全公開というよりは、導入に向けて動き始めた団体を対象に、登録団体を紹介をするイメージ 退職を想定した取り扱いをしない、人によって対応を変えない 必須項目を満たすためには、結局推奨項目が必要になってくる。相互に関わるものが多い 必要な休職期間
-
56
第63回|2024年の振り返りと持ち寄りテーマ
今回は年末年始ということで、2024年の振り返りと持ち寄りテーマについて緩くお話ししました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:初期産業医の育成プロジェクトを進めています 前園:立て続けに肺炎になりました 森:肋骨を痛めました ■2024年の振り返り 森:おかげさまで楽しく仕事ができた1年間でした。 高尾: 2025年2月27日に安西先生と一緒に講演をします。https://www.airouki.or.jp/training/ 研修会を各地でやるようになりました。 3月に脚を怪我しました。 アルファロメオのエアコンがなんと治りました。 前園: 「問う」ことは働き続ける限りずっと必要ではないかと考えました。 法哲学について取り上げたことがきっかけです。 いわゆるロジカルシンキングと同じかもしれない。 ヤクルト1000を飲もうと決めました。 ■運動は良いよ、というお話し 運動しても痩せないのはなぜか 狩猟採集民族のハッサ族の男性と女性は、アメリカ・イギリス・オランダ・日本・ロシアの男性と女性と、1日あたりのカロリー消費が同じだった 従来の「要因加算法」(基礎代謝+運動消費+・・・)による消費カロリー推定はおそらく間違い。 「制限的日次カロリー消費モデル」:1日あたりのカロリー消費を一定の範囲内に収めるため、運動をするとその分他のカロリー消費を少なくするのではないか ということは、運動してもカロリー消費が増えないので、痩せない、ということになる。 それよりもカロリー摂取量の方に着目した方が痩せやすい むしろ、運動で使われなかったカロリーはどこに使われるか。不要な炎症反応や免疫系の活動やストレス反応になる 運動することでは痩せないが、体重維持には効果的。 高強度トレーニングは身体に良いのか 呼吸器は鍛えられるのか 時間の作り方 ■医療職の仕事には「医療と非医療」の仕分け、つまり「それは健康問題で整理すべきではない」という峻別意見も含まれるのでは 人事になんとかしてほしい、と思いながら仕事をする状態から一歩進んで、積極的に仕分けをしても良いのでは 特に産業看護職は法的義務もないため、会社から命ぜられた仕事をやらざるを得ない場面が多い ただの押し付け合いにならないように注意が必要 「これは自分の仕事ではない!」と打ち返すのではなく、一旦受け取って受け止めて、投げ返すことが必要なのでは
-
55
第62回|来年度の導入研究会/質問への回答
今回は来年度の導入研究会の開催方法の検討と、二つの質問への回答をしました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:南の島で思わぬ方と出会いました 前園:「こころの健康が見える」を買いましたが、まだ見えません 森:良い音質とは何か、模索中です ■岡山さんぽの導入研究会のあり方について 元々は大学のセミナー室を活用して対面で行っていたが、オンラインに移行して参加しやすくなった反面、参加者のコミットが少なくなった 導入研究会と事例検討会の違い 事例をストックする場として活用? これまで後回しにしてきた、「産業医」をターゲットにした研究会として再構築する レクチャーとの組み合わせ。講師側の練習の場にもなる レクチャーは参加者のニーズに合わせて、少しカスタマイズを加えることも検討できる 動画の事前視聴、もしくは書籍の事前閲覧を課題とする 参加者に1年の取り組みの成果を発表してもらう場を設ける ■質問1 会社の人事で新入社員採用を担当しております。今年度の新入社員で困っており相談させてください。入社初日から研修の半分以上居眠りをしており、1週間ほどしても全く改善されないため、私から「新入社員研修は業務であり、業務中の居眠りは勤怠不良と見なされる」と注意しました。すると本人から「自分には数年前から精神科通院歴がある(入社時に申告なし)」、「夜寝付けずに睡眠時間が足りない」、「抗不安薬を飲んでいるので眠くなる」、「主治医からは入社後の緊張・不安が強いことも影響しているだろうからそのうち良くなるでしょうと言われている」と回答され驚いた次第です。しかも、「これまで不安や緊張が強い場面で何度も意識を失って倒れたことがある(年5-6回)」ということも聴取しました。循環器科・脳神経内科で検査を受けて異常はなく、心因性のものと診断されているそうです。明らかにメンタル不調が背景にある社員ということが判明したのですが、このような場合、病気だからという理由で業務中の居眠りや突然のヒステリー的な失神を許容しなければいけないのでしょうか?弊社では入社後1年経過した時点で見習いから正社員に登用することになりますが、このまま居眠り(+失神)が改善しなければ正社員登用しないという対応をしても問題ないでしょうか?困っておりご教示いただければ幸いです。 病気だからといって、居眠りが許容されるわけではない。正面から指摘・注意指導を繰り返すこと 学生時代と社会人のマインドの切り替えが必要 「注意した」と記載があるが、実際には理由を聞いたのではないか 症状が改善されなければ、一旦は休職させる方向で対応する 世で言われている解雇回避努力とは、解雇するための努力になっていないか 意識消失の捉え方 ■質問2 復職して3ヶ月目、本来の職務要件の8割の質と量の仕事を与えたところ、体調が不安定となり、上司が復職1ヶ月目の質、量まで勝手にさげてしまいました。下げればもちろん体調は上向き。ただ会社としては、働ける基準を満たしていないので、再療養の判断を検討しなければならないのですが、そもそも休職前の状態が、職務要件以下のパフォーマンスの場合は、休職前のパフォーマンスまで戻ればよしとしてもよいものでしょうか?人事としては、また休んだところで職位相当まで引き上げることは非常に難しいです。 復帰基準に対するよくある誤解。復帰基準は職位相当10割。復帰後2ヶ月間は8割までであれば、直ちに再療養とはしない 3ヶ月目に通常勤務ができていない時点で、そもそもストップ要件に該当するので、再療養に向けて対応する できるかできないかが問題なのではなく、やるつもりがあるかやるつもりもないのかが問題 他の社員との公平性はどのように考えるのか
-
54
第61回|オンラインスクール・地方会の感想/質問への回答
今回は先日行われた対面研修と地方会の感想とそれを踏まえた議論、二つの質問への回答をしました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:ボジョレーヌーボー 前園:産業保健だいすきと書かれた赤いハッピをもらいました 森:子どもが産まれました。オーディオインターフェースを新しくしました ■川島先生を交えた研修会 川島先生のプロフィール 合理的配慮とアファーマティブアクション 障害の医学モデル・社会モデル・人権モデル 保護の対象から、権利主体としての尊重という大きな流れ 「権利がある」という話と「権利を濫用しても良い」という話は別 ■第68回 中国四国合同産業衛生学会(地方会) プログラム 隙間のないスケジュールにしてしまい、みなさまにご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした “間隙”が読めるか問題 森からのレク→ゾノ先生からの質問→ゾノ先生のレク→森からの質問→全体からの質問という流れが良かった 産業保健職として、人事といかにコミュニケーションをとっていくのか 人事・上司をいつの間にか引き込む研修プログラム 動画を用いた療養開始時説明 ■質問1 製造業で産業保健師をしております。先日、上司の方から部下への対応について相談したいと申し込みがあり、近々その上司と面談予定です。この上司への対応について悩んでおり、先生のご意見をお聞かせいただきたく質問いたします。対象者は入社数年の若手社員で、構成人数少数の職場で働いています。その対象者の生産性は期待するレベルに対して2〜3割で業務を指示してもできない、プライドが高く、指摘するとあからさまに態度に出るため周囲が疲弊している、といった状況です。まずは、その対象者の本来実施するレベルの業務を上司から与えて遂行できなければ適切に指摘する、を繰り返し、それにより体調を崩すことがあれば療養となるのかなと思っております。もし療養しないということであれば、先生の著者から言葉を引用しますと、「『メンタル不調者ではない』として働かせるならば、『職務怠慢として処分されるべき』」ということになるでしょうか。ただ、その場合「このままだと処分されます。」と本人へ伝えるように上司に話すのはあまりにも直接的かなと思い、もしそのように話を持っていくとするとどのように上司に伝えるのがよいでしょうか。そもそもこの考え方に誤解がある、ズレがある、方向性が違う、といったことがあればご指摘いただけますとありがたく存じます。以上、よろしくお願いいたします。 保健師と上司だけで対応するのではなく、人事を交えて、面接シナリオも準備して、計画的に対応していくことが必要 個人モデル→上司モデル→病気モデル・・・ あくまで私たちの説明は法人としてどのように対応するか、というメッセージ 今後の展開を見越すと、早い段階で家族の関与を得ておく方が良い 発達障害疑い 人事の役割と責任。人事の成果(失敗)がハッキリするまでのタイムギャップ コーチングの弊害 少しずつ解決していくたらい回しはアリでは ■質問2 復職判定を中途採用の面接で例えるのは、とても分かりやすかったです。療養後の復職希望時に働ける状態であることを説明するのは労働者本人ですが、サポート役としての保健職から、「採用面接を受けるつもりで復職準備する必要がある」ことを本人に伝えても問題ないですか? その説明の解釈が受け手次第でどちらにも転びうるので、かなり慎重な立場です この面接1回だけで何かしようとするのか、療養開始時からの長い流れの中で何かしようとするのかで、大きく異なる 復帰準備がなかなか整わないケースで、予備予備面接を実施して、自分の状態を客観的に理解してもらう方策を取ることはある 説得と説明の違い 柔軟性の確保の勘所は、労務管理的な観点での理解が必要かもしれない
-
53
第60回|専門家を交えたチーム対応
今回は、地方会のテーマでもある「専門家を交えたチーム対応」について議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:最近、山陰地方によく出かけています 前園:鼻炎のような不調が続いています 森:孫が生まれた時にお世話できるか心配です ■専門家を交えたチーム対応 我々3人の取り組みを言語化できたら・・・ 専門家:法務・労務の専門家 社内チームでの対応と、専門家チームによる後方支援は整理できる チームとグループの違いについて チーム医療の実態 定常的な対応なのか、問題解決的な対応なのか 専門家チームによる後方支援は、事例の軌道修正のデモンストレーション。自分たちでできるようになって、社内チームで対応を完結してもらって構わない 専門家が交わることによって、社内のチーム対応が促進される? 社内チームが自立していくには、フィロソフィーを理解し腹落ちしてもらうことが不可欠 フィロソフィーを理解するためには、哲学的な思考が必要→事例検討会を哲学カフェ化する? お聞きのリスナーの中で、哲学者がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください! リーガルチェックでは何をするの? 権利を全て行使されてしまうと立ち行かなくなる日本の企業の問題
-
52
第59回|月経困難症と生理休暇
今回は、産婦人科医で産業医もされている上松先生をゲストに招き、月経困難症と生理休暇について議論しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:研修医同期の先生に会って、健康が大事だということを再認識しました 前園:こころの健康がみえる(病気がみえるvol.16)発刊するそうです 森:七五三の撮影をしてきました ■上松先生のプロフィール 2003年医師免許取得。以降産婦人科で勤務 2019年岡山大学産業医研修会受講 現在は神戸近辺で10社くらい産業医活動を実施 ■月経困難症と生理休暇 ある女性社員の問題です。毎月数日の生理休暇及び体調不良により有給休暇の取得があり、月に4、5日休んでいる状態です。本人に確認するとメンタルヘルス不調ではないようです。女性特有の症状で指摘しにくいのですが、どのようにアプローチすればよいのでしょうか。 生理休暇を適切に取得していないと思われるケース、具体的には翌月の予約をする、毎回土日などにつなげて取るなどの女性社員が一定数いて、どのように対応したらいいか、頭が悩ませているという事例があります。 裁判上は、「生理休暇の不正取得」というキーワードが上がってくるが、これは裁判というかなり限られた話でもある (昭和60年の労基法改正における議論を踏まえて)「国家公務員についても、生理日の就業が著しく困難な場合をどのように取り扱うか検討されたが、生理日における下腹痛、腰痛、頭痛等の強度の苦痛により、就業困難な場合は医学的にも月経困難症の範ちゅうに属し、疾患の一つと考えられるところから(中略)病気休暇として取り扱うものとしている」ー公務員の勤務時間・休暇法詳解(第5次改訂版) 前提として、「本当に必要な人が生理休暇を適切に利用できて、一方で不正取得はできるだけ防ぐ」という方向で議論をする。後者だけにとらわれない ママブロック。親世代の価値観が、適切な治療の妨げになっている。全社員向け教育は最初の一歩 月経困難症が重い場合、生理を年に3〜4回にまで抑えるような治療(低用量ピルの処方)も可能 生理休暇とは別に、治療費補助をする方向性は考えられるか 低用量ピルの副作用、産婦人科産業医として治療をどこまで強く勧めるか 職場の健康管理施策と、職域という場を活用した健康管理施策 生理休暇制定当時と今の状況は大きく異なる。「労基法制定当時も、生理休暇を法制化するにあたって労務法制審議会の委員の間でも激しい応酬があったように聞いているが、一説には、GHQがアメリカになかった生理休暇の法制化に理解を示した原因は、終戦後の日本の便所を含めた衛生設備と衛生用品の劣悪さにあったとするものがある(ジュリスト増刊『労働法の争点』「120生理休暇」林弘子、二八二頁)」ー地方公務員の<新>勤務時間・休日・休暇(第3次改訂版) 生理休暇を取得した時点で、産業保健職から適切な治療(少なくともスクリーニング目的の受診)を勧めるようにしてはどうか。その際に、生理休暇の制度の趣旨について、説明するのはどうか 「生理の周期はほぼ一定ではあるけれども、その取得方法において、必ず週休日に接続して請求されている場合や著しく周期が不規則である場合等で、そこに作為が感ぜられる場合は、本人に生理休暇の意義・趣旨を徹底させる措置をとるなり、本人の健康管理の意味も含めて医師の診断を受ける措置をとるよう指導することは差支えない」ー地方公務員の<新>勤務時間・休日・休暇(第3次改訂版) 生理で就労は著しく困難だが、在宅勤務なら可能、という状況はあり得るか 生理に対するタブー意識とセクハラ問題 「生理痛を我慢するメリットって何にもないんで、多少痛かったら、痛み止めで治まらないようであれば、ピルとか使った方がいいと僕らは思ってるんです」 皆勤制度は今後も維持すべきか。健康である状態を頑張って維持したことに対する褒賞について 就労困難や生産性低下という事象に対して、上司から休業を命じる対応を取れるようにする
-
51
第58回|産業保健法学会感想戦
今回は、先日行われた産業保健法学会の特別講演に関する感想を共有しました。 【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod 【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】 https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210 ■雑談 高尾:人工知能によるメンタルヘルス休職者の復職判定支援 前園:福岡空港門限問題 森:出張の時の朝ラン始めました cf.第53回 ■産業保健法学会の感想 プログラム 前園:応援団が来てくれて嬉しかった。時間配分が反省 森:色々な人から、少しずつ観点の違う話が聞けて面白かった。神田橋先生の疑問は解消したのだろうか? 高尾:柔らかく包み込まれていくようないい雰囲気だった。徐々に高尾メソッドが高尾から離れつつあり嬉しい 2025年日本産業衛生学会@仙台では、金曜日の夕方に大きな会場で自由集会を実施する予定です! 様式の使い方がメソッドなのではなく、考え方がメソッド。「メソッドを知るのではなく理解すること」が重要 哲学としての高尾メソッド 哲学というよりは集団に対する倫理学的な内容 成り立ちは問題解決。そこから帰納的にまとめてきたという点では哲学的 戸谷洋志「NHK出版学びのきほんー哲学のはじまり」 「当たり前」を問い直す学問こそ、哲学に他なりません。 哲学的に自分で考えているかどうかのポイント:第一に、自分の言葉で説明し直すことができる、第二に、自分自身で考えついた、適切な具体例で説明することができる、第三に、どんな質問に対しても首尾一貫した回答ができる メソッド導入初期の、過渡期的な事例への対応と、導入完了後の標準的な対応は、やや異なる 職場は働く場所である?労働契約が原則のはずが、修正されまくっている労働法の世界 法学の問題点とリーガルマインド 医学の問題点とブラックボックス 哲学する医師 会場からの質問の意義とは 次回は、女性特有の健康課題について議論する予定です!
We're indexing this podcast's transcripts for the first time — this can take a minute or two. We'll show results as soon as they're ready.
No matches for "" in this podcast's transcripts.
No topics indexed yet for this podcast.
Loading reviews...
ABOUT THIS SHOW
この番組は、産業医の高尾総司、弁護士の前園健司、社労士の森悠太の三名が、企業や自治体の人事・健康管理に携わる方向けに、メンタルヘルス不調者対応や健康管理について、議論をしていくポッドキャストです。【番組へのご意見・ご質問・ご感想はこちら】 https://peing.net/ja/takaomethod【有料のオンラインサロンをやっています。番組を応援いただける方は、ぜひご加入くださいませ】https://community.camp-fire.jp/projects/view/307210%E2%81%A0
HOSTED BY
Centro Salute
CATEGORIES
Loading similar podcasts...