EPISODE · Jun 1, 2026 · 4 MIN
#115「夏花」
from 永瀬清子の世界 · host 永瀬清子の世界
詩「夏花」は、永瀬さんが赤磐で農作業をしていた頃に書いた詩です。「私」は、井戸のそばに咲きはじめた葵の花を見つけ、その美しさに目を留めます。花が咲き始める姿は、刻々と変わっていくので、その美しさを急いで絵に描いてとどめたいと願いました。けれども農作業にも、その時にしなければならないことがあります。サツマイモの苗を植えるのもその一つでした。そこで「私」は、紙ではなく「心の底にのみ」葵の花の美しさを刻みつけるのです。「もろさの故に強くあざやかに——。」には、刻々と変わる美しさという「無限のはかなさ」と、それを「私の心の底にのみ」とどめるしかないという「もろさ」が重なっています。これは、瞬間の美しさとそれを発見できた喜びの強さでもあります。一粒のこぼれ種から花が咲きはじめる瞬間までの時の流れも、この「もろさ」と「あざやか」さを「強く」感じさせたのでしょう。<文・白根直子>
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