EPISODE · Jan 1, 2026 · 7 MIN
#117_孫子の兵法で読む交渉学⑭「九変篇」その1 窪田恭史
from 人をつなぐ、未来をつなぐ。 トレードオンの交渉学 · host NPO法人日本交渉協会,安藤雅旺,星野良太
前回に引き続き、日本交渉協会常務理事でありナカノ株式会社代表取締役の窪田恭史氏をゲストにお迎えしています。今回から取り上げるテーマは、孫子第八篇「九変(きゅうへん)篇」です。「九変」とは文字通り9つの変化を指しますが、本質的には「状況の果てしない変化(無限の変化)」を意味します。原則通りに相手が動くとは限らない交渉や戦いにおいて、不測の事態にいかに臨機応変に対応するか。今回は『三国志』に登場する「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」のエピソードを交えながら、リーダーに求められる柔軟な判断力と、将が陥りやすい「5つの危険」について考察します。◎窪田恭史氏のご経歴日本交渉協会 常務理事/燮(やわらぎ)会 幹事ナカノ株式会社 代表取締役日本古着リサイクル輸出組合 理事長表情分析、FACS認定コーダー日本筆跡心理学協会 筆跡アドバイザーマスター早稲田大学政治経済学部卒アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)でのコンサル業務を経てナカノ株式会社に入社、2024年より現職。「交渉分析」理論の日本への導入にも尽力。【TODAY’S TOPICS】◎「九変篇」が教える臨機応変さ・戦争や交渉は相手がある行為であり、環境も刻々と変化する。・原則論(定石)だけに囚われず、状況に応じて柔軟に判断を変える「将の力量」が問われる。◎ケーススタディ:馬謖の失敗と韓信の成功・『三国志』の街亭の戦いにおいて、馬謖は「高地に陣取る」というセオリーに固執し、水を断たれて惨敗した(準備なき楽観)。・一方、漢の名将・韓信の「背水の陣」は、追い詰められたのではなく、敵を油断させるための周到な計算があった。・戦いながら勝算を探すのではなく、勝算を持って戦うことの重要性。◎九変篇で示される、特徴的な地形とその対処法1.泛地(はんち):地盤が悪く宿営に適さない。2.衢地(くち):国境の要衝。他国との友好関係を築くべき。3.絶地(ぜっち):敵国奥深くの場所。重要でない城に固執せず素早く離れるべき 。4.囲地(いち):山などに囲まれた狭い場所。包囲されやすいため注意が必要。5.死地(しち):退路がなく絶体絶命の場所。全力で戦うしか生き残る道がない。◎リーダーを滅ぼす「五危(ごき)」どんなに望ましい資質も、行きすぎれば欠点になる可能性がある。1.必死(ひっし):勇猛さも行き過ぎれば蛮勇になる危険がある。2.必生(ひっしょう):生き残ることに執着しすぎると、臆病になる。3.忿速(ふんそく):決断の速さが、軽率に変わる可能性もある。4.廉潔(れんけつ):清廉潔白さが裏目に出て利用されてしまう。5.愛民(あいみん):部下や民を愛しすぎると、大局を見失うことがある。※大切なのは、常に変化に柔軟に対応できる力。
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