EPISODE · Aug 3, 2026 · 4 MIN
#124「夏日の蛇」
from 永瀬清子の世界 · host 永瀬清子の世界
ある夏の日に見つけた〈蛇〉をめぐる「私」と「子供」との日常の一コマです。「藍と青の絣模様」ならば、アオダイショウなのでしょうか。同じ〈蛇〉でも「子供」の感じ方は、昨日と今日では正反対になっているのです。単に観察するだけならば「興味ふかく」思うだけでも、テリトリーに入ってこられると落ち着いてはいられません。一方で〈蛇〉は、気にも留めず「きわめて悠然と」叢の中に消えていきます。それは、世間との距離の取り方を知っている成熟した生き物のふるまいであり、「子供」と〈蛇〉の成熟度の違いを感じさせられます。「子供」はいつか〈蛇〉のように成長していくのだろうと、「私」はふと思ったのかもしれません。だからこそ「ふと二人で思いだすことはないだろうか」という思いに駆られたのではないでしょうか。冒頭で「『十便十宜帖』にあるような小さな石の橋」と池大雅の文人画を出して、場所を想像させ、最後に「むかしの夏」を「忘れがたい一枚の絵として思い出す」ところに、この短章そのものが一枚の絵のように感じられます。思い出は、このように積み重ねられていくのかもしれません。<文・白根直子>
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