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EPISODE · Jun 15, 2026 · 16 MIN

192足し算リハビリの限界—引き算で守る在宅の長期戦

from おうちで診る医療|名古屋発!ごうホームクリニックの在宅医療ポッドキャスト · host Go Ito

在宅リハビリテーションを語るとき、私たちの発想はほぼ自動的に「積み上げ」になります。可動域を広げる、筋力を足す、ADLを増やす、自主トレを処方する、頻度を上げる。リハビリ職種の専門性は「できることを増やす」方向に磨かれており、それ自体は正しい。月曜朝の早期発見、火曜朝の慢性期管理、水曜夕のADL再構築、木曜朝の多職種連携——今週の連載もすべて「どう積み上げるか」を扱ってきました。しかし在宅という現場には、もう一つの真実があります。積み上げ続けたリハビリが、ある日突然すべて崩壊するのです。介護者が腰を痛めて動けなくなる、患者本人が「もう疲れた」とすべての訓練を拒否する、家族関係が訓練のたびに険悪になり別居や施設入所が決まる——病院では起きにくいこの種の破綻が、在宅では日常的に起きます。破綻の根っこは、ほぼ常に同じです。「足し算しかしてこなかった」こと。専門職が善意で処方した自主トレ表、栄養指導、姿勢矯正、福祉用具の使い方が、家庭の容量を超えて積み重なり、ある日全部一緒に倒れる。私たち専門職は「もう少しやれるはず」と善意で言葉を足し、家族は「もう少しやらなきゃ」と善意で背負い、患者本人は「もう少しやれと言われている」と善意で疲弊する。誰も悪意がないまま、システムが壊れます。今週の連載の締めくくりとなる木曜夕は、積み上げの反対側にある思考を扱います。引き算のリハビリ——やめる、減らす、置き換える、休む、目標を下げる。これは「諦め」ではなく、長期戦で勝つための積極的な戦略です。3か月で劇的に改善させて燃え尽きるより、3年続けられる方が、最終的なADLは高く保たれます。在宅リハビリで真に問われているのは、何を足すかではなく、どこで引くかを見極める判断力なのです。

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