EPISODE · Sep 9, 2026 · 17 MIN
284その微熱、発熱性好中球減少症かも
from おうちで診る医療|名古屋発!ごうホームクリニックの在宅医療ポッドキャスト · host Go Ito
の結果、抗がん剤の副作用が最も出やすい時期を、患者さんは自宅で過ごすことになります。なかでも命に直結するのが発熱性好中球減少症(Febrile Neutropenia:FN)です。好中球(細菌と戦う白血球の主力)が激減した状態で感染が起きると、数時間単位で敗血症・敗血症性ショックへ進行します。FNは「がん治療におけるオンコロジー・エマージェンシー(緊急事態)」の代表格であり、抗菌薬投与までの時間が予後(よご)を左右します。ここで在宅スタッフが知っておくべき最重要ポイントは、日本の定義では「37.5℃」でFNを疑うということです。日本臨床腫瘍学会『G-CSF適正使用ガイドライン』では、FNを「腋窩温37.5℃以上(または口腔(こうくう)温38.0℃以上)かつ好中球数500/µL未満(もしくは1,000/µL未満で48時間以内に500/µL未満へ減少が予測される状態)」としています。つまり、一般の在宅現場で「まだ微熱だから様子を見よう」と判断されがちな37.5℃が、化学療法中の患者さんでは救急対応のトリガーになり得るのです。さらに厄介なのは、好中球が少ない患者さんでは「炎症らしい症状」が出にくいことです。膿が出ない、肺炎でも痰が出ない・レントゲンに写りにくい、局所の発赤(ほっせき)や腫脹が乏しい——炎症反応は好中球が作り出すものだからです。加えて高齢者・ステロイド併用中・解熱鎮痛薬内服中の患者さんでは、発熱そのものがマスクされます。「熱がないから大丈夫」は成立しません。だからこそ、訪問時の数分間の観察と、家族の「なんとなく変」が、早期発見の最前線になります。
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