EPISODE · Sep 13, 2026 · 19 MIN
285【不眠】 朝日15分、ベッドから出す力が眠りを作る
from おうちで診る医療|名古屋発!ごうホームクリニックの在宅医療ポッドキャスト · host Go Ito
在宅の現場で「夜眠れない」という訴えを受けたとき、私たちはつい睡眠薬の種類や量に目を向けがちです。しかし高齢者の不眠の多くは、夜そのものの問題ではなく、日中の過ごし方、とりわけ「何時に光を浴び、何時間ベッドから離れているか」という生活動作の問題として立ち現れます。加齢に伴い、体内時計を調整するホルモンであるメラトニンの分泌(ぶんぴつ)は低下し、深部体温のリズムの振れ幅も小さくなります。リズムの山と谷が平坦になれば、眠りは浅く、細切れになります。このリズムを外から立て直す最も強力な手段が、朝の光と、日中の離床(りしょう。ベッドから離れて座る、立つ、動くこと)です。厚生労働省が2024年に示した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、高齢者については、床の上で過ごす時間が長くなりすぎないこと、日中に適度な運動と光を取り入れることが繰り返し強調されています。実際、在宅高齢者では「21時に臥床(がしょう)して、5時に目が覚めるから眠れないと訴える」というケースが非常に多く、この場合の本質は不眠ではなく床上時間の過剰です。薬を足す前に、ベッドから出る時刻と光を浴びる時刻を決める。これが在宅医療スタッフにできる最初の介入です。一方で、朝の離床は最も転倒と急変が起きやすい時間帯でもあります。睡眠薬の持ち越し効果、夜間の脱水、起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)、早朝の血圧上昇が重なるのが起床直後だからです。つまり「朝日15分」は、単なる生活指導ではなく、ADL介助の安全管理とセットで語られるべきテーマです。本資料では、朝の離床を眠りの処方箋として使いながら、観察・介助技術・急変予防の三点で具体的に整理します。
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