EPISODE · Sep 13, 2026 · 23 MIN
288夜間せん妄と睡眠薬の関係を深堀りする
from おうちで診る医療|名古屋発!ごうホームクリニックの在宅医療ポッドキャスト · host Go Ito
在宅療養中の高齢者から最も多く寄せられる訴えのひとつが「夜眠れない」です。加齢とともに深い睡眠は減り、中途覚醒が増えるため、65歳以上では約3割が何らかの不眠症状を自覚するとされています。家族も介護者も睡眠不足で疲弊し、「とりあえず眠れる薬を」という流れは、在宅の現場でごく自然に生まれます。しかしその一錠が、翌朝の転倒骨折、誤嚥(ごえん)性肺炎、そして救急搬送の引き金になることがあります。夜間に高齢者が突然そわそわし、つじつまの合わないことを言い、点滴やおむつを引き抜こうとする。これがせん妄(せんもう)です。せん妄は「認知症が進んだ」わけでも「性格が変わった」わけでもなく、脳が急性に機能不全に陥っているサインです。つまり、身体のどこかに急変が起きていることを知らせる警報であり、意識障害の一種として扱うべき状態です。夜間せん妄の背後に、尿路感染症(にょうろかんせんしょう)、脱水(だっすい)、低血糖、心不全の増悪(ぞうあく)、脳卒中、硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)が隠れていることは珍しくありません。そしてもうひとつ、せん妄の最も頻度の高い原因が薬剤です。とりわけベンゾジアゼピン系睡眠薬は、高齢者においてせん妄を誘発・遷延(せんえん)させる代表格として、日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」で特に慎重な投与を要する薬物に挙げられています。眠れないからと追加した一錠が、せん妄を作り、転倒を招き、入院を経て寝たきりに至る。この連鎖を断ち切るのが、夜間に最初に呼ばれる私たち在宅スタッフの役割です。本資料では、急性期対応という視点から、在宅で粘れる範囲、初期対応の手順、そして迷わず119番を押す基準を整理します。
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