EPISODE · Sep 13, 2026 · 19 MIN
289睡眠薬の減薬は時間をかける、離脱を防ぐ鉄則
from おうちで診る医療|名古屋発!ごうホームクリニックの在宅医療ポッドキャスト · host Go Ito
在宅で出会う高齢者の多くが、何年も睡眠薬を飲み続けています。日本では高齢者の睡眠薬使用率が諸外国と比べて高く、特にベンゾジアゼピン受容体作動薬(ベンゾジアゼピンじゅようたいさどうやく)が長期に処方されたまま見直されないケースが目立ちます。日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬は「特に慎重な投与を要する薬物」に挙げられており、転倒・骨折、日中の傾眠(けいみん)、認知機能低下、せん妄(せんもう)、誤嚥(ごえん)のリスク因子として明記されています。しかし「危ないから今日でやめましょう」は最悪の一手です。急にやめると反跳性不眠(はんちょうせいふみん=それまでより強い不眠がぶり返す現象)や、不安・振戦(しんせん=ふるえ)・発汗(はっかん)・動悸(どうき)といった退薬症候(たいやくしょうこう=離脱症状)が起こり、患者さんは「やっぱりこの薬がないとダメだ」と確信してしまいます。一度この失敗体験をすると、次の減薬提案は数年単位で受け入れられなくなります。減薬は、成功させることより「失敗させないこと」のほうが重要なのです。そこで現場の鉄則が「3ヶ月かける」です。1回の減量幅は元の用量の4分の1以下、次の減量までの間隔は2〜4週間。これを繰り返すと、ちょうど3ヶ月前後で1剤を安全に整理できる計算になります。そしてこの3ヶ月を支えるのは、医師の処方判断ではなく、看護師・介護職・ケアマネジャーによる日々の観察です。慢性期管理の視点で、いつ・誰が・何を見るかを設計することが、離脱を防ぐ最大の武器になります。
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