EPISODE · Sep 16, 2026 · 16 MIN
#38 契約書に書けない信頼を、どう残すか ── 修正指示を言語化する習慣
from デザイン審美眼—社長の第六感をカタチにするデザインの話
今日のテーマは「契約書に書けない信頼関係を、どう積み上げるか」です。日本のビジネスでは契約書を結ばないことも多く、結んでも日々のやり取りは口頭になりがちです。的場仁利さんは、関係が良いときはそれで回るが、曖昧さそのものが関係を悪くしていくと言います。防衛のためではなく、お互いが安心して仕事をするために、やり取りを書き残す。その所作の話です。 ▼番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。 [email protected] Xでは「#デザイン審美眼」としてポストしてください。 ▼このエピソードで話していること ・要件定義や修正の範囲、回数、権利の所在は契約書に書く。しかし日々のやり取りは口頭で流れていく。関係が良くトラブルもないときはそれでいいが、事故が起きたときや関係が悪くなったときに曖昧さが表面化する。むしろ曖昧なままにしておくこと自体が、関係を悪くしていく ・書き残す目的は、トラブルを防ぐ防衛策ではない。お互いの責任の所在を明確にし、何を期待され何を期待するかをはっきりさせて、安心してやり取りできるようにすること。的場仁利さんはそれを習慣にしてほしいと言う ・対人スキルの高い担当者がいると、口頭でもいい感じに回る。ところがその人が抜けた途端、同じことをやっているはずなのに全然できなくなる。曖昧にしてきたツケが、あとから回ってくる ・言葉そのものも曖昧になる。「大丈夫です」は断りにも承諾にも取れるし、営業電話を「結構です」と断ったら契約前提で進まれる、という笑い話が実務でも起きている。「あざます」「オナシャス」が分からず検索した、という話も。自分のルールを相手に押し付けず、メール・電話・Zoomを併用するのがいい ・媒体によってコストが違う。グラフィックデザインには校正紙と校正記号という確立された作法があり、「文章をトル」「改行する」がマークで伝わる。一方、映像や音声は「何分何秒のこのトランジションが早い」まで落とし込む必要があるのに、依頼側はそこまで解像度が高くない。チームで動くときは意図を翻訳して渡す必要があり、そこがディレクションの腕前になる ▼こんな方におすすめ ・制作物の修正指示が電話や口頭で来ることに、やりにくさを感じている ・担当者が代わった途端に仕事の質が変わってしまう経験がある ・外注先とのやり取りを、どこまで書面にすべきか決めかねている ・映像や音声など、言葉にしにくいものの発注に悩んでいる ・チームで制作を回していて、意図の伝わらなさに困っている ▼MC 的場 仁利(Mat N. Studio 代表) https://japan-designers.jp/profile/1453/ タイポグラフィーの論客として、多数のデザイン書に携わる。高校でデザインを学び、大学で技術経営を専攻。営業職として年間1億円超の案件を担当した経験も持つ。現在は本・冊子・パッケージのデザイン、タイポグラフィ執筆を手がける傍ら、浮世絵・春画をモチーフにしたアートプロジェクト「艶絵グレース」のクリエイティブディレクターを務める。中部デザイン協会75年誌のブックデザイン・編集に携わるなど、デザインと経営の両面に精通。公益社団法人日本グラフィックデザイン協会会員、アドビ コミュニティエキスパート。 ▼サブMC 纐纈智英(アストライド-Astride- 代表) https://www.ast-ride.com 「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。 ▼番組概要 タイポグラフィを探求し続けるデザイナー・Mat N. Studio代表の的場仁利が、デザインの世界で積み上げられてきた「判断の原理」を経営者の言葉に翻訳し、社長の「第六感」を確かな判断軸に変えていくビジネス番組。AIがあらゆる選択肢を出力する時代に、「これは自社に合っているか」を見定める力——それが「デザイン審美眼」。毎週木曜配信。 ▼制作:アストライド-Astride- ▼カバーデザイン:的場仁利(Mat N.Studio)
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