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EPISODE · Jan 30, 2024 · 1H 4M

BC082『思考を耕すノートのつくり方』から考えるノウハウのつくり方

from ブックカタリスト

今回は、2023年11月に発売となった『思考を耕すノートのつくり方』を著者自身が紹介します。書誌情報* 著者* 倉下忠憲* 出版社 * イースト・プレス* 出版日* 2023/11/17* 目次* はじめに* Chapter 1 知的道具としてのノート* 「頭の中だけ」は限界がある/頭の使い方のサポート/気軽に、自由に使う* Chapter 2 使い方のスタイル* ノートの種類/罫線の意味/サイズ/紙質と使い心地/ページ/タイムスタンプの重要性/ナンバリングの利便性/貼りつける etc.* Chapter 3 書き方のスタイル* 日記/作業記録/メモ(アイデアメモ)/講義ノート/タスクリスト/* 会議・打ち合わせノート/着想ノート/思考の整理/研究ノート/読書記録/ライフログノート/振り返りノート/フリーライティング etc.* Chapter 4 ノートQ&A* 何からはじめるのか/いつ見返すか/記入量の増やし方/ノートの使い分け/デジタル情報とのつきあい方 etc.* 付 録 ノートをさらに使うためのブックガイド* おわりに ノートを自由に使う本書は、著者独自のノート術を紹介するのではなく、「ノート術」というのがどのような部品で成り立っているのかを細かく紹介することで、読んだ人一人ひとりが自分なりのノート術をつくりあげることを手助けする本です。ノウハウは「つくる」もの世の中を見渡してみると、たくさんのノウハウが見つかります。「ノート術」ひとつ取ってすらそうです。Aさんは「このノート術が最高だ」といい、Bさんは「このノート術こそが真に成果をあげるための方法」だと言います。そのまま進めば"宗教戦争"になりかねない勢いです。一方で、少し引いてみれば、Aさんは自分のやり方で成果を挙げているのだし、Bさんもまた自分のやり方で成果を挙げているのだと言えます。ある方法を使わなければ成果を挙げられない、というわけではありません。人はそれぞれに違いがあるわけで、その人に適した方法も違っているというのは考えてみれば当たり前の話でしょう。そのように考えれば、「成果を挙げる究極の方法」を追い求めるのはやや虚しいかもしれません。いつまで経っても手に出来なさそうですし、無用な論争も起きるでしょう。そうした探究を進める代わりに、「自分がうまくやれる方法」、もっと言えば「今の自分がうまくやれる方法」を見つける方が、生産的だし健全な気がします。そうした考え方を実用主義的ノウハウ呼び、理想主義的ノウハウと区別してみるとまったく新しい「ノウハウ観」が生まれてきます。行為の主体者は、究極的に存在するノウハウを「身につける」のではなく、そのときそのときのニーズに合わせたノウハウを「つくっていく」のだという観点です。本書はそうしたノウハウ観をベースに書かれています。ノウハウ書の問題点もう一点つけ加えると、私が考えるに最近のノウハウ書はいくつかの「問題」を抱えています。まず「理想的過ぎる」点です。あれをこうしたら、こうなりますよね。やった! という感じ。そこには現実に起こりうるさまざまな抵抗や不具合がまったく無視されています。簡単に言えば「そんなにうまくいくなら、始めから困っていないよ」というツッコミを入れたくなるのです。で、理想的な状況だけが語られているので、不具合に遭遇したときにまったく対処ができません。それでは実行はおぼつかないでしょう。次に、「発案者に最適化されすぎている」点です。ある人にとって、最高の効果を上げられる方法は、むしろ性質や傾向が違う人にとって効果を上げにくい方法になっている可能性があります。それ自体は別に構わないのですが、「このやり方でうまくいく。このやり方でないとうまくいかない」という形で説明されていると、効果を上げにくい部分をアレンジすることができません。そうなると、微妙にうまくいかない部分を抱え続けなければならなくなります。これはけっこうストレスで、それが挫折の原因になったりもします。最後に「過程がなさすぎる」問題です。ノウハウは「つくっていく」ものであって、そこには経過があります。言い換えれば歴史があります。極端なことを言えば、ある人が何かしら成果を挙げられているのは、有効な方法を手にしていることだけでなく、むしろその方法を確立にするに至ったプロセスが背景にあるからです。そのプロセスの中で、何が効果があり、何が効果がないのかを体験的に理解してきたからこそ、そこにある方法を十全に使えている点があるでしょう。また、そうした理解があるからこそ、手持ちの方法が不具合を起こしたときにでも、新しく変容させていける対応力も持ちます。一方で、「はい、これが完成品です」と手渡されたらどうなるでしょうか。そこには経過もなく、ということはそこからの変化もありません。そこにある完成品に、自分自身を合わせるしかなくなるわけです。これはかなり窮屈なことです。だから本書は、ノート術の本でありながら、「成功した著者のノートの使い方を真似すれば、明日からあなたも成功者になれる」的なスタンスではなく、非常に技術的な視点(エンジニアリング的な視点)においてノート術を紹介しています。もちろん、特定の誰かのノート術をノウハウとして紹介することに意味がないと言いたいわけではありません。そうした情報から学ぶことはたくさんあります。一方で、それは「お手本」でもなければ「理想的」でもなく、ましてや「こうでなければならない」という絶対的なルールではありません。一つのヒントであり、もっと言えば行動を促す「触媒」でしかないのです。世の中のノウハウをそのような姿勢を受け取ることができるならば、現代は「自分のノウハウ」をつくるためのヒントがいくらでも見つけられる環境だと言えるでしょう。個人的には、そうした見方が少しでも広がればいいな、と願っております。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe

Episode metadata supplied by the publisher feed · Published Jan 30, 2024

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