PODCAST · arts
ブックカタリスト
by goryugo
面白かった本について語るポッドキャスト&ニュースレターです。1冊の本が触媒となって、そこからどんどん「面白い本」が増えていく。そんな本の楽しみ方を考えていきます。 bookcatalyst.substack.com
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BC138『中国思想の基礎知識』
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は『中国思想の基礎知識』について語りました。前回紹介した『経験する機械』が「脳科学系の集大成」というイメージの本であるならば、今回紹介した内容は「自分が若い頃に好きだったことの集大成」という感じの本でした。小学生の頃に三国志にはまって、そこから春秋戦国時代の本(主に宮城谷昌光氏の小説)をたくさん読んで、そこからいろいろいろいろ。よく考えると最近はこういう集大成ばかりやな?みたいなことも感じるんですが、そういう時期みたいなのがあるんでしょう。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから(今作っている最中です)→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC137 薄い本を読む
今回は、「薄い本を読む」をテーマに、読書初心者向きのレーベル・シリーズを紹介しました。ちなみに、135回の続きのつもりです。知的好奇心、あるいは知的背伸びとして、難しい本に取り組むのもよいと思います。一方で、それが無理そうならばぐっと簡単な本に手を伸ばすのも懸命な判断です。初心者だから薄い本から読むべしという規範ではなく、「まあ、こういう本から手に取ってみてもいいんではないでしょうか」という提案として聴いてもらえればと思います。人間はその二つをジグザグに進みながら、”読書技能”を高めていくものです。名前を挙げたレーベル・シリーズについては、以下のページでテキストとしてまとまっていますのでご興味あればご覧ください。◇BC137メモ 薄い本を読む | 倉下忠憲の発想工房ちなみに、水声社さんの本はAmazonでは買えないので、書店か公式のサイトからどうぞ。倉下流読書理論第135回と今回は、「倉下流読書理論」の構成素材について少し語っています。本をどう読むのか、という話ですね。その「理論」は、一冊一冊の本をどう読解していくのかというレイヤーと、複数の本をどう渡り歩いていくのかというレイヤーの二層で構成されていて、それぞれがお互いに影響を与え合っているのがポイントです。また、「何のために本を読むのか」という目的論的分析も欠かせません。そう考えると、読書のノウハウって存外に複雑です。どこかの時点で、そういった話を一冊の本にまとめたいとも考えております。請うご期待。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC136 『経験する機械』
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は『経験する機械』について語りました。個人的にはこの本は(著者は哲学者だけど)「脳科学系の集大成」というイメージの本で、BC035 『情動はこうして作られる』なんかとも強く繋がる(本編でもこの著者の名前がよく出てくる)ものでした。本編でも語ってるように、やっぱりめっちゃむずかしい本なんですよ。わからん部分は、いっぱいあった。でも、ちょうど倉下さんが紹介してくれたBC135 難解な本を読む技術とも繋がるんですが、難しい本は難しい本で、読めないわけじゃなくて、やっぱりこれは苦労しただけの面白さがある。主観だけど、これ一冊をきちんと読んで、それによってめっちゃ賢くなったと思えている。そういう本を、私は読みたい。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC135 難解な本を読む技術
今回は倉下が、『難解な本を読む技術 (光文社新書 406)』と『難しい本を読むためには (ちくまプリマー新書)』の二冊のさわりを紹介しながら、難しい本を読むときのポイントを確認しました。本を読むことの多様さを捉えたい本編でも触れましたが、最近の倉下のテーマは”「本を読むことの多様さ」を語りたい”です。読書についてさまざまな言説があるわけですが、そのどれか一つが正解なのだと特権化するのではなく、そのようなさまざまな人と本との関係の総体こそが「読書」という営みなんだ、と言いたいわけです。その上で、じゃあ自分はどんな風に本との関係を結んでいこうかと考えることができればバッチリですね。でもって、それぞれの関係にズームすればそこまでややこしい話にはなりません。個別の読み方において安定的なスタイルは確認できます。一方で、別の関係を覗いてみるとそれとはぜんぜん違うスタイルが実践されていて、その二つが相反することも珍しくないのです。その意味で、そこに広がっているのは「読書の多様体」だと言えるでしょう。全体そのものはとても複雑で、でも局所化すればある程度平易な説明が可能である。そういう見立てです。というわけで、今回は多様な読書のうち、「自分の身の丈を少しだけ越えている本」を読むための技法を紹介している二冊の本を中心に紹介しました。どちらもきわめて実践的な内容で、「自分の身の丈を少しだけ越えている本」(長いので「背伸びする本」と呼びましょう)を読むときの大きな助けになってくれると思います。それぞれの本は、もちろん読みやすく書かれているので、初心者読書家にも安心です。それぞれの読書にあった方法で結局のところ、「一読してわかる本」を読むのと同じスタイルで「背伸びする本」を読んでもうまくわからないのは当然です。別に頭が悪いわけでも、読書が苦手なわけでもありません。適切な方法に習熟していないだけ。もちろん方法に習熟すれば、すべての読みが可能になるというものではありません。つまり、どんな本でもすらすらと「わかる」ようにはなったりしません。単にそれに合った「読み方」が可能になる、ということです。手持ちの読み方が限られていると、「一読してわかるように書かれた本」しか楽しむことができません。これは、趣味としての読書を考えてもちょっと寂しい感じがします。教養を得るためとか、正確に原典を理解するためとかではなく、読書という行為の楽しみを広げる意味でも、いろいろな読み方ができるといいな、と思います。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC134 アメリカの文化と歴史を過去から現代まで
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は「アメリカ」について語りました。今回は、2026年最初のBC131 短歌を学ぶで倉下さんが実践していた「複数冊の本を横断して語る」というスタイルに影響を受け「ごりゅごが好きor興味を持ったアメリカの文化」をテーマに3つのコンテンツを繋げて語りました。今回のトピック* 反知性主義(森本あんり著): トランプ支持層の背景にもある「知性と権威の癒着への反抗」。アメリカ建国以前から続く、不安を癒やす装置としての特殊な宗教観と「リバイバリズム(信仰復興)」の波が、いかにアメリカ人の行動原理になっているか。* はじめてのアメリカ音楽史(J・M・バーダマン、里中哲彦著): 奴隷労働から生まれたワークソングや黒人教会の音楽が、ラジオと電化という技術変化を経て、いかに「フォーマット」として統一され、世界的なポップ・ロックへと進化したか。* 2026年スーパーボウル: 最新のハーフタイムショー(Bad Bunny)に見る、アメリカ文化の変節点。全編スペイン語のパフォーマンス、演出の「スマホ・メディア前提」へのシフト、そしてプエルトリコという政治的背景を背負った強烈なメッセージ性。1冊を深掘りするのとはまた違う、「無理やりに関連性を見つけ出し、一つの文脈として立ち上げる」楽しさを詰め込んだ回です。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本参考資料・リンク* 書籍:* 反知性主義――アメリカの正体 (新潮選書)* はじめてのアメリカ音楽史 (ちくま新書)* 配信: コテンラジオ「リンカーン編」 (話の前提としてお勧めしたシリーズ)* 動画: Bad Bunny | Super Bowl 60 Halftime Show関連エピソード* BC131 短歌を学ぶ* BC132 音と脳 (「聞くこと」の歴史的な深さなどに触れた回) This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC133『カウンセリングとは何か』
今回は大きく二部構成です。先日新書大賞2026を授賞した『カウンセリングとは何か』の紹介をメインとし、その前段階として著者の東畑開人さんの著作を紹介します。著作リスト* 『美と深層心理学』(京都大学学術出版会、2012年)* 『野の医者は笑う』(誠信書房、2015年)→文春文庫* 『日本のありふれた心理療法―ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』(誠信書房、2017年)* 『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院、2019年)* 『心はどこへ消えた?』(文藝春秋、2021年)* 『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社、2022年)* 『聞く技術 聞いてもらう技術 (ちくま新書 1686)』(ちくま新書、2022年)* 『ふつうの相談』(金剛出版、2023年)* ・ブックカタリスト(BC072『ふつうの相談』/Sep 12, 2023)で紹介した* 『雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら』(KADOKAWA、2024年)* 『カウンセリングとは何か 変化するということ』(講談社現代新書、2025年)(wikipediaを参考に作成しました)『野の医者は笑う』は人文的読み物として、『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』は(ある種の)自己啓発的読み物として、『聞く技術 聞いてもらう技術 (ちくま新書 1686)』は(ある種の)ノウハウ本として楽しめると思います。でもって、これらの著作の集大成的雰囲気をまとっているのが『カウンセリングとは何か』です。カウンセリングとは何か本書は、実直に「カウンセリングとは何か」を説明してくれる本です。新書なので一般向けの内容であり、カウンセリングという専門分野に興味を持っている人と共に、これから(ユーザーとして)カウンセリングを利用しようと思っている人にも、「こういうことを、やっているのです」とガイドしてくれています。どちらの意味においても、「カウンセリング」と親しくなれる本だと思います。ポッドキャスト本編では足早に第二章までの内容と、第三章のさわりを紹介しました。でもって、私が特に重要だと感じたのが、カウンセリングの専門性はどこにあるのか、という点です。答えは、アセスメント。単純な”知識”だけならばインターネットで(あるいは生成AI)で手に入る環境において、ユーザーの状態・状況を観察し、分析した上で、適切な方法を考えること。さらに、その内容を相手に共有し、進め方を一緒に考えていくこと。そのような臨床的・現場的・実践的な技術があるからこそ、専門家は専門家足りえてるのだとしたら、私たちはあらためて専門家の価値を再認識する必要があるでしょう。「知識」があればいいというものではないのです(もちろん、知識がなければ成立すらしないわけですが)。本書を読んでさまざまなことを学び、考えましたがましたが、広い意味での知識労働者において大切な姿勢を一番深く受け取ったかもしれません。(収録時に使ったメモはこちらからご覧いただけます) This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC132『音と脳』
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は『音と脳』について語りました。「視覚優位」と言われる現代社会ですが、実は脳の進化において聴覚は視覚よりも遥かに先輩であり、その処理速度は桁違いの速さ(1000分の1秒単位)を誇ります。本書『音と脳』で特に衝撃的なのは、「読むこと」と「聞くこと」の意外な関係です。ヒトの脳に「文字を読む機能」は備わっておらず、私たちは聴覚処理の回路を借用して文字を読んでいます。つまり、音のリズムや微妙な違いを聞き分ける「聞く力」を鍛えることが、結果として読解力や言語能力の向上に直結するのです。番組では、脳の可塑性を引き出すには受動的なBGMではなく「能動的な演奏」が必要であることや、現代の「騒音」が脳のリソースを常に削いでいる問題、そしてオウムが音楽に合わせて踊れるのは「リズムによる未来予測」ができているからだという興味深い研究など、知られざる音と脳の関係について語り尽くしました。ちなみに、本編公開中に思いだせなかった「踊れる鳥」のSnowballはこんな感じです。けっこう衝撃を受けるレベルで「すげえ」って思うんじゃないかと。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本参考資料・リンク* 書籍: 音と脳――あなたの身体・思考・感情を動かす聴覚* 動画: Snowball (cockatoo) - Wikipedia* Backstreet Boysに合わせて踊るオウム「スノーボール」の動画と、それに関する研究(Aniruddh Patelらによる Current Biology 掲載論文 “Spontaneity and diversity of movement to music are not uniquely human”)* 理論: The OPERA Hypothesis* 音楽の訓練がなぜ言語処理能力を向上させるのかを説明する Aniruddh Patel の仮説。(Overlap, Precision, Emotion, Repetition, Attention)関連エピソード* BC131 短歌を学ぶ This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC131 短歌を学ぶ
今回は、「短歌を学ぶ」をテーマに語りました。倉下は、基本的にことばを使った表現(文芸)に興味があり、いくつかは自分でも行っているのですが、「短歌」とだけは今まであまり仲良くなれていませんでした。学校のクラスで、なんとなく気になっているけども話しかけられないでいるクラスメイト、みたいな距離感です。そんなとき、浦川通さんの『AIは短歌をどう詠むか』を読み、”短歌らしさ”をどう作っていくのかという模索を知ることができました。生成AIに短歌を詠ませられるようにする試行錯誤は、そのまま人間がいかに「短歌らしさ」を立ち上げていくのかの知的なプロセスの探求に重なるのです。すでに短歌に親しんでいる人が、もっと短歌がうまくなるように、という「初心者向け」ではなく、そもそもとして「短歌らしさ」という感覚──認知的なスキーム──がまだ十分に育まれていない人がなんとかその入り口に立とうとするという「入門者向け」として、『AIは短歌をどう詠むか』はとても役立ちました。そして、その延長線上に穂村弘さんの『はじめての短歌』も位置づけられるのですが(詳しくは本編をお聴きください)、本書から学んだことはもっとラディカルな姿勢でした。いかに「社会的」なものとは違う価値を立ち上げるのか。これは短歌に関わらず、「個人的な制作・創作」全般に通じる話だと感じます。社会的な通念にしたがって、何かをつくるのではなく、ひどく個人的な価値観で何かをつくること。それを可能にする個人的な制作。それを可能にするのは、孤独な制作ではなくそれを受け取る人があってこそ、というのは短歌が詠むものであり、読まれるものでもある、という二重性と関わっていると感じます。今回のメモは以下のページにまとめました。ひどく個人的なページです。◇ブックカタリストBC131用メモ | 倉下忠憲の発想工房 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC130 2025年の配信を振り返る(後半)
新年がスタートしました。年末恒例の「一年の配信を二人で振り返ってみよう」企画の後半戦は年をまたいでの配信です(案外これは良いかもしれません)。今回は、2025年の7月から11月までの配信を振り返りました。もしご興味あれば、以下のリンクからそれぞれの配信に飛べますのでチェックしてみてください。* 2025年07月01日 BC117『締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか』* 2025年07月15日 BC118 いま、あえて芥川賞を読む* 2025年07月29日 BC119『ゼロからの読書教室』から考える「本の読み方」* 2025年08月12日 BC120 2025年上半期の振り返り* 2025年08月26日 ゲスト回BC121 五藤晴菜さんと『書いて考える技術』* 2025年09月09日 BC122『私たちの戦争社会学入門』* 2025年09月23日 BC123『「書くこと」の哲学』* 2025年10月07日 BC124『ランニングする前に読む本』* 2025年10月21日 BC125『とっぱらう 自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』* 2025年11月04日 BC126 『汗はすごい』* 2025年11月18日 BC127『哲学史入門Ⅳ』* 2025年12月02日 BC128『NEXUS 情報の人類史』読み手のプリズム自分で話していて気がついたのですが、「書き手としても面白く読みました」という発言をよくしています。本を読んでいるときは、意識していないのです。ただ読んでいるだけ。でも、無意識の構えとして「〜〜として読む」というのが働いているようです。一介の読者として、純粋に読む。同じ書き手として、「書き方」に注意を向けながら読む。その分野の初心者として、教えを請うかのように読む。このような姿勢・構えの違いで、本から得られる成分というのは違ってきます。つまり、一冊の本というオブジェクトがあり、そこに自分というオブジェクトが接触したら「内容」という均一のデータが取得できる、というのではなく、あたかもプリズムのように向ける角度によって得られるものが違ってくる、というイメージです。こういう角度で読んだらこういう面白さがあるし、別の角度で読んだらまた違った面白さがある。これが読書の楽しみでもあり、またそういう読み方が多くできるほどその本は豊かな内容を含んでいるのだと言えそうです。さらに言えば、他の人に向けて「こういう角度で読んでみたら面白よ」と伝えるのが批評という仕事なのだとも思います。それとは別の「〜〜として読む」もあります。たとえば「教養書として読む」とか「小説として読む」とか「SFとして読む」とか「前衛小説として読む」といったことです。これも構えの一つですね。こうした構えによっても、読書体験は違ってきます。たぶんさまざまな読書術(ペンを引く、メモを取る)のもっともっと手間に、こうした「〜〜として読む」という話があるのだろうと思います。PC環境のアップデートで、音がブツ切れになっていました。再度配信いたします:ご This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC129 2025年の配信を振り返る(前半)
いよいよ、12月です。年末恒例の「一年の配信を二人で振り返ってみよう」企画。今回は、2025年の1月から6月までの配信を振り返りました。もしご興味あれば、以下のリンクからそれぞれの配信に飛べますのでチェックしてみてください。* 2025年01月28日 BC106『訂正可能性の哲学』と自己啓発* 2025年02月11日 BC107 『結婚の社会学』* 2025年02月25日 BC108『「学び」がわからなくなったときに読む本』 * 2025年03月11日 BC109『脳と音楽』 * 2025年03月25日 BC110『エスノグラフィ入門』 * 2025年04月08日 ゲスト回BC111 えむおーさんと『庭の話』 * 2025年04月22日 BC112 『脳と音楽』後編 * 2025年05月07日 BC113『読書効果の科学: 読書の“穏やかな”力を活かす3原則』* 2025年05月20日 BC114『イスラームからお金を考える』* 2025年06月03日 BC115『心穏やかに生きる哲学』* 2025年06月17日 BC116『体内時計の科学』自分を揺さぶる読書本編でも「学び」について触れていますが、本を読むことは、知らなかった知識が増えて、+1賢くなった、みたいなことだけが効能ではありません。仮にそうしたものを雑学的効能と呼ぶならば、「えっ、そんな考え方があったの!?」と驚き、今までの自分の価値観・物の見方に再編を迫られるような経験が得られることも効能であり、「学び」の第一歩はそういうところから始まるのではないかと思います。そうしたものは変身的(メタモルフォーゼ)効能と呼べるかもしれません。そうした効能を得た直後は、私たちは言葉を失います。今までの語彙ではそのこと(経験や本そのもの)について語ることができなくなるのです。しかしまったく語れないわけではありません。それを語るための言葉を集め始める・つくり始める必要があるというだけです。安直な言語化信仰が危ういのはこの点です。そんなに簡単に言語化できるなら、たぶん何も変身は起きていません。単にそれまでの自分の思いを強めただけです。言葉にならないような経験があり、それでもなお、それを言葉にしていこうと時間をかけて取り組むときに生じる振動があって、それがネットワークを大きく組み換えていくのだと思います。これは、知識を増やして賢くなろう的な教養主義ではなく、自らを変化にさらしていくというプラグマティックな生存戦略です。「生きる」ために切実に必要なのです。というわけで、次回は2025年の後半の振り返りです。ちなみに去年の振り返りは以下です。告知:第七回のJAPAN PODCAST AWARDSの投票がスタートしております。◇第7回 JAPAN PODCAST AWARDS 「一次選考」投票フォームもし当ポッドキャストを気に入っていただけているなら投票お願いいたします。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC128『NEXUS 情報の人類史』
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は、『NEXUS 情報の人類史』について。本編でも話していますが、この本の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏が書いた『サピエンス全史』は、ごりゅごの「ブックカタリストを始めるきっかけになった本」でした。その著者が書いた本を、今回は「面白かった」以上の感想を述べてまとめることができた。まあ、これだけで目標達成というか、なにか大きな壁を越えたような達成感を味わうことができました。しかもこれ、2025年のブックカタリストで最後に紹介する本でもあったりして、そういう意味でも非常に感慨深いです。内容に関しては、もう本編聞いてくれ、という感じですが、今回の本はサピエンス全史よりもずっと「誰もが読む価値がある本」だと思います。上下巻合わせて買ったら5000円くらいになるので、高いと感じる方は図書館で借りてきたらいい。(人気の本なので高確率で本はあるし、おそらく貸し出しの波はもう落ち着いている)ちゃんと2025年の最後に、2025年のベスト本を紹介できるおれ、見事やん、と自分で自分を褒めたい!そんな本です。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC127『哲学史入門Ⅳ』
今回は、倉下が『哲学史入門Ⅳ』を紹介しました。一般向けの哲学紹介本の中でも、本書は一味違った楽しさがあります。書誌情報* 出版社* NHK出版(NHK出版新書)* 発売日* 2025/9/10 * 編者* 斎藤哲也* 人文ライター。1971年生。東京大学文学部哲学科卒業。著書『試験に出る哲学』シリーズ、『哲学史入門』シリーズ(NHK出版新書)、監修に『哲学用語図鑑』(プレジデント社)など。* 目次* 序章 倫理学に入門するとは何をすることなのか(古田徹也)* 第1章 現代に生きる功利主義―誰もが幸福な社会を目指して(児玉聡)* 第2章 義務論から正義論へ―カントからロールズ、ヌスバウムまで(神島裕子)* 第3章 徳倫理学の復興―善い生き方をいかに実現するか(立花幸司)* 第4章 なぜケアの倫理が必要なのか―「土台」を問い直すダイナミックな思想(岡野八代)* 特別章 「地べた」から倫理を考える(ブレイディみかこ)構成は、編者による解説+研究者へのインタビューで、両方読むとよくわかるようになっていますが、インタビューだけを読んでも楽しめると思います。ざっくばらんな雰囲気と、論文などではあまり見えてこないそれぞれの研究者の「人間くささ」が伝わってきます。そして、本シリーズを通して読むと、哲学というのは「人間の営みなのだ」ということがよくわかります。でもって、このⅣはまさにその「人間」に焦点を当てています。倫理学の必要性現代ほど倫理学の視点が大切な時代はないでしょう、と書くといささか大げさめいていますが、それでも科学の発達で「人間の拡張」の可能性が開かれたり、LLMの登場で「人間知性の拡張」が現実味を帯びてきた中で、「そもそも人間とは何か、人間として生きるとはどういうことか」を問うことは欠かせないように思います。また、インターネットとスマートフォンの普及によって、これまでになかった規模や範囲で人と人の交流が生まれるようになっています。人間(じんかん)を捉える視点が、これまで長く続いてきた社会とは大きく異なりはじめているわけです。目の前に顔が現れ、文脈を共有し、共感が働きやすい共同体とは違った関係において、その関係を維持したり、よいものにしたりする能力を磨くことも必要でしょう(少なくとも生得的な能力としては持っていなさそうです)。加えて言えば、現代では市場原理があまりにも強くなり過ぎています。あたかも「原理」がそれしかないかのように扱われています。しかし、アダム・スミスが道徳を論じたように、市場に参加する人の感情的能力があってこそ成り立つものがあるはずです。それを無視して、システム=メカニズムを整備すればうまくいくという考え方は、あまりにも見過ごしてしているものが多いと感じられます。そのような単一の原理の一強体制は、市場だけに限りません。本編でも触れたように「正義」の原理だけが重視され、ケアの倫理が無視されてきた歴史も同様でしょう。もちろん、それぞれの時代においての最善はなされてきたのだと思います。だからといって、それをこだまのように繰り返せばいいとは言えません。「解釈と批判」を続け、その時代に必要な新しい視点を確立していく必要があります。というよりも、そのような営みをずっと続けてきたのが「人間」なのかもしれません。だとすれば、「人間」の終焉がありえるとしたら、そのような営みが閉じられるタイミングなのでしょう。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC126 『汗はすごい』
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は、「スロージョギング」に続く「運動の神話シリーズ」となる『汗はすごい』についてです。季節としての「夏」は終わってしまい「汗」はかかなくなったように感じてしまいがちですが、実はそんなことはない!汗についての「イメージ」と「現実」って、真反対といえるようなことがたくさんあります。そんなことが非常によくわかる本でした。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC125『とっぱらう 自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』
今回は倉下が 『とっぱらう 自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』を紹介しました。コテコテの自己啓発感のあるタイトルですが、内容はもっとずっと身近で、役立つ考え方が提示されています。書誌情報* タイトル&出版日* 『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』 2025/6/18* 『時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』 2019/6/20* 原題 「MAKE TIME How to focus on what matters every day」* 著者* ジェイク・ナップ&ジョン・ゼラツキー* 翻訳* 櫻井祐子* 出版社* ダイヤモンド社* 目次* ■INTRODOCTION――これが「時間オタク」の全技術だ* ■Highlight/ハイライト* ■Laser/レーザー* ■Charge/チャージ* ■Tuning/チューニング* ■「いつか」を今日にする概要本書は大きく二つの層で話が展開されます。一つは、「自分にとって大事なことをする時間をもっとつくる」ためのシステムの解説。もう一つは、それぞれの文脈で展開される個々のテクニック。後者はいわゆる「ライフハック本」の内容と重なるものが多いですし、既知のものもたくさんあるかもしれません。というわけで、今回は前者の「システム」に注目しました。もう少し言えば、そのようなシステムをいかに構築するのかというアプローチです。ライフハックを料理のレシピだと考えれば、レシピ本を買ってきてそこにあるレシピを一気に習得しようとする人はいないでしょう。何か気になるレシピを一つ選び、実際につくってみる。その結果を確かめて、次回つくるときにちょっと変えてみる。そういう繰り返しで、少しずつレシピのバリエーションを増やしていくと思います。本書で提示されるたくさんの戦術も同様だと著者らは述べます。何か一つを選び、実際に試してみて、その結果を踏まえて、また試す。それを繰り返すことで、少しずつ自分が使える戦術のレパートリーを増やすのがよいのだと提示されます。私もまったく同意見です。そのテーマで自分でも一冊本を書きたいくらいです(『ロギング仕事術』はそういう側面を少し持っています)。そう考えると、著者らは面白い仕事をしたことになります。一方では、バラバラに散らばっているライフハック的なテクニックを、「自分にとって大事なことをする時間をもっとつくる」という大きなシステムの下位要素に位置づけました。雑多なテクニックが乱雑に並んでいるのではなく、大きな文脈のもとで統制した形です。もう一方では、そうした個々の戦術を体系立ててまとめることまではしませんでした。提示したのは、大きな枠組みがどうあるのか、という点だけであって、具体的な戦術レベルまでの規定はせず、著者らが言うように「何かを選んで、試す」というアプローチが採用できるようになったのです。この点は、たとえばGTDというメソッドが、下位要素のどれか一つだけを選んで試してみたらいい、という促し方をされない点と対比的に感じられます。別の言い方をすれば、「メイクタイム」システムの発想は、細部まで体系だった構造を作ったというよりは、大きな枠組みだけを提供する「ライフハックのプラットフォーム」づくりだったと言えるかもしれません。実に面白い仕事ですね。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC124『ランニングする前に読む本』
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は、ごりゅごの「運動の神話シリーズ」です。『ランニングする前に読む本』という名前の、スロージョギングの利点や、その具体的な方法などについて語りつつ、最終的に「フルマラソンでサブスリー(3時間未満のタイム)」を目指す本。といっても、ごりゅごは今のところフルマラソンを走ろうなんてことは微塵も考えていないし、そもそも長距離のレース、というのもにはまったく興味はありません。あくまでも視点は「いかに楽に健康で健全な肉体と精神を手に入れるか」というもの。(これは、今までのシリーズすべてで共通の考え)また、今回のポイントは「読み終えた直後」じゃなくて、100日以上きちんとスロージョギングを継続し、その上で得られた知見を語ったことなのではないかな、と思っています。(100日以上前からやっているけど、毎日走った、というわけではない。ある時期からは2日に1回で安定)当然発見はとにかくたくさんあって、自分自身の「長距離走の走り方」というのはすごくイメージが変わったし、「3ヶ月でここまで伸びるのか」と本当に心の底から驚くレベルで「進歩」したりもしました。BC101 『プリズナー・トレーニング』と、今回のスロージョギング。この2つで「現代の都市生活を送る人類が達成すべて着運動基準」をクリアできて、どっちも「大して辛くないのに成果が見えやすい」という観点で、とてもオススメです。こういうのはやっぱ「いかに頑張らずに楽しむか」これさえできれば、継続は簡単にできるのではないかと思います。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC123『「書くこと」の哲学』
今回は佐々木敦さんの『「書くこと」の哲学 ことばの再履修』を倉下が紹介しました。さまざまな「技術」を学ぶ前に、触れておいた方がよい話がたくさん織り込まれています。書誌情報* 著者* 佐々木敦* 日本の映画評論家・音楽評論家・文芸評論家・時事評論家、小説家。雑誌編集者。* 出版社/レーベル* 講談社/講談社現代新書* 出版日* 2025/6/19* 目次* 第一部 「書けなさ」から脱出するためのマインドセット/マインドハック* 第一講 日本語を「外国語」として学びなおすこと* 第二講 「ことばにできないもの」はどこにあるのか?* 第三講 書いてはならない?* 第四講 上手な文章、下手な文章* 第五講 ことばの多様性* 第六講 ロジックとレトリック* 第七講 話し言葉と書き言葉* 第八講 反射神経について* 第九講 スローライティング* 第十講 ことばと思考* 第二部 書き終えるまで* 第十一講 書き始めるまえに* 第十二講 書き始めるために* 第十三講 書き進めるために* 第十四講 書き続けるために* 第十五講 書き終えるために* 第十六講 書き終えたあとに* 補講一 人称について* 補講二 外国語について* 「書くこと」の倫理について──あとがきを兼ねた補講三生成AI時代の「書く」「あなたが書けないのはこれが理由です。この方法を使えばその理由が解消されて、あっという間に書けるようになります!」と謳うノウハウ書は、たいへんありがたみを感じるものの、実際的な"効能"は限定的です。なぜなら「書けなさ」の多様性がまるっと無視されているから。本書を読めば、一口に「書けない」といってもさまざまな状態があり、またさまざまな解釈がありえることがわかります。一言で言い表せない様態がある。それは、個々の人間が身体=歴史を持つ固有の存在だからでしょう。単純に言えば、ひとそれぞれなわけです。たった一つの方法で「問題」を一刀両断する態度が、人の多様性をも一刀両断するのだとすれば、たった一つの書き方が正しいとする態度もまた、人の多様性を損ないかねません。しかし、まさに現代はそのような態度の存在感が増している時代でもあるでしょう。それはここ数年で突然出てきた傾向ではなく、ある時期以降にじわじわと広がってきた傾向が生成AIの登場と共に急激に閾値を超えた現象だと感じられます。なにせ今はもう「わかりやすい文章を書くためのわかりやすい方法」すら必要ありません。単に依頼して書いてもらえばいいのです。そこには「書けないこと」への悩みや葛藤など皆無です。とてもなめらか(スムーズ&スマート)な環境が広がっています。画一性の静寂。2025年において、自分の手で文章を書くこと──それは生成AIの手助けを全否定することを意味しません──の意義は、そうした「なめらかさ」への抵抗だと考えることができるかもしれません。いかに凸凹を生み出すのか、あるいは育むのか。それを考えたいのです。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC122『私たちの戦争社会学入門』
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は、ごりゅごのブックカタリストで紹介する本の中での「社会派」枠と言える本です。近いところだと、以下の2つなんかが自分的に「同じ枠」だと言えるもの。* BC114『イスラームからお金を考える』 - by goryugo - ブックカタリスト* BC107 『結婚の社会学』 - by goryugo - ブックカタリスト自分の場合この他に主なジャンルとして「健康・運動系」だとか「音楽系」「脳科学・心理学系」「進化人類学系」「哲学の入門的なもの」あたりがあげられるかな。なんだかんだと、自分の紹介した本で言えば50冊以上を整理してみると、ほとんどの本がなんらかの場所に配置できる。だいたいどれも「似たようなもの」になってくる。決して狙っているわけじゃないんだけど、やっぱり続けているとこうやって傾向が見えてくるというのが、個人的にもとてもおもしろいところだな、と思います。さらに言うと、最近は脳科学・心理学だとか、進化人類学系は、読む頻度も、紹介する頻度も減っていることに気がついたりもしました。こういう緩やかな変化なんかも、少しずつでも「続けていること」から見つけられることなんじゃないのかな、なんてことも思った次第です。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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ゲスト回BC121 五藤晴菜さんと『書いて考える技術』
今回はゲスト回です。ごりゅごさんのパートナーである五藤晴菜さんの『書いて考える技術』について語りました。本の概要詳細は販売ページをご覧ください。目次* はじめに:手を動かすことからしか、考えは始まらない* 書くこととは* 書くことは、思考のトレーニング* なぜタイピングではなく、手書きなのか?* 学校では教えてくれなかった「考えるための書き方」* ただ写すだけのメモは思考停止を招く* 書いて考える力は、「少なく書くこと」で養われる* 不完全なノートが思考と記憶を深める* 手続き的記憶と「体で覚える」理解の深さ* 集中力ではなく、選択力の時代へ* 書いて考える技術は、一生使えるスキル* きれいに書くことよりも大切なこと* 【コラム】どうしてデジタルノートからアナログノートに戻ったのか?* 書いて考える技術【基本編】* 「分ける」技術* 要素を明確に分ける* 「分ける」ことで思考がスムーズに進む* 「つなぐ」技術* 頭の中を整理する3つの記号* 書いて考える力を強化する* 「強調する」技術* 強調のための3つのテクニック* 俯瞰して考える力を鍛える方法* 「囲む」技術* 3つの「囲む」方法で情報を整理* 囲むことで自分の考えをより深める* 【コラム】1枚の手書きメモからスタートした連載* 書いて考える技術【実践編】* 書き出しがスムーズになる「フォーマット思考」* 読書メモのフォーマットと運用法* 手書きメモの電子化手順* これまでの読書メモフォーマットは?* 『いつか』を行動に変えるノート術* 【コラム】ノートを開くと、やる気が動き出す大きく三つのブロックに分かれています。最初のブロックでは、手を動かして書くことと思考の関係が論じられています。次のブロックでは、基本編として4つの書く技術が紹介されます。本書の中核をなすブロックです。最後のブロックでは、実践編として「フォーマット」の利用が提案されます。倉下にとっての読みどころは、「書いて考える技術【基本編】」で、拙著『思考を耕すノートのつくり方』の「記述の仕方いろいろ」の内容との呼応を感じました。拙著ではざっくり書いた部分が本書ではより詳細に展開されています。その意味で、本書はノートの書き方の幅を拡げるのに参考になりそうです。分けることちなみに、本の内容を三つのブロックに分けることも「分ける」技術です。それぞれのブロックに見出しを立てて分けることも同様です。知的生産のあらゆる場面でこの「分ける」ことは出てきます。もっと言えば、ある内容を「一冊の本」としてまとめることも、「分ける」ことです。まとめること=分けること? 不思議な感じがしますよね。でも、この二つは同じことを裏返しに表現しただけなのです。だから、分けることに慣れるとまとめることがうまくなり、まとめることがうまくなると分けることもうまくなります。そういう話もどこかでまとめようと思います。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC120 2025年上半期の振り返り
今回は、普段アフタートークで話しているような「読んだ本の紹介」です。2025年の1月から6月までの間に読んだ本の中で、「これ!」という印象は残りつつも、本編では紹介できなかった本を挙げています。実際にどんな本を挙げているのかは本編をお聴きください。振り返りの面白ささて、読み終えた本を再読することの重要性はよく言われますが、それと同じくらいに大切だと思うのが「読んできた本」の振り返りです。一冊の本の内容を振り返るのではなく、「自分はこれまでどんな本を読んできたのか」を振り返るのです。そうすると、自分がどんなことに興味を持っているのか、その興味がどのように移り変わっているのか(あるいは変わっていないのか)が見えてきます。自分自身についての理解が進むのです。「いや、どんなことに興味を持っているのかなんて自明でしょ」と思われるかもしれません。たしかに行動を自己の管理下に完全に置いているならば、そうかもしれません。しかし、ちょっと気になったからとか、誰かに勧められたからとか、気まぐれで、という感じで行動を開いていると話が変わってきます。自分が理解している「自分はこれに興味を持っている」という領域の外に出ていけるのです。そうした領域外の探索によって、自分が知らなかった自分について知ることができます。それ自身が一つの知的な活動といえるでしょう。その際に重要なのが、後から振り返ることです。目新しい情報に触れたときは、わりと興奮するものです。目新しさ自体が一つの価値を持つからです。でも、長続きするとは限りません。むしろ大半のものは時間とともに消沈していくでしょう。でも、ある一定の期間で見たときに、断続的ながらず〜〜〜と気になっている話題が見つかることがあります。「何かしらんけど、俺ず〜〜とこれに関する話題を追いかけているな」というような。それが「テーマ」でしょう。そうしたテーマが見いだせると、意味が生成しやすくなります。意義と言い換えてもいいです。個人的にはそうしたものが見いだせていると、虚無に引きずり込まれるのを回避できると考えております。ですので、皆さんも定期的に自分の活動を振り返り、そこに潜んでいるかもしれないテーマを探り出してみてください。そのために、「記録すること」はめっちゃ役立ちます。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC119『ゼロからの読書教室』から考える「本の読み方」
今回は倉下が『苦手な読書が好きになる! ゼロからの読書教室』を紹介しながら、本を読むことについて考えてみました。書誌情報* 著者:読書猿* 『独学大全』は第二回で紹介しております* 出版日:2025/5/23* 出版社:NHK出版* 目次:* 第1部 本となかよくなるために……しなくてもいいこと、してもいいこと* 第1回 全部読まなくてもいい* 第2回 はじめから読まなくてもいい* 第3回 最後まで読まなくてもいい* 第4回 途中から読んでもいい* 第5回 いくつ質問してもいい* 第6回 すべてを理解できなくてもいい* 第7回 いろんな速さで読んでいい* 第8回 本の速さに合わせてもいい* 第9回 経験を超えてもいい* 第10回 小説なんて読まなくていい* 第11回 物語と距離をおいていい* 第12回 小説はなんでもありでいい* 第2部 出会いたい本に出会うために……してみるといいこと、知っておくといいこと* 第13回 いろんな本を知ろう* 第14回 本の海「図書館」へ行こう* 第15回 レファレンスカウンターに尋ねよう* 第16回 百科事典から始めよう* 第17回 百科事典を使いこなそう* 第18回 書誌はすごい道具* 第19回 書誌を使ってみよう* 第20回 件名を使いこなそう* 第21回 上位概念を考えよう* 第22回 リサーチ・ナビを活用しよう* 第23回 青空文庫に浸ろう* 第24回 デジコレにもぐろう*本書は「基礎英語レベル1」の連載「中学生からの本となかよくなる方法」を加筆修正したものです。多様な読書の方法私たちはいろいろなことを学校を通して学ぶわけですが、多くの場合、* 具体的なレベルでの「方法」は学ばない* 提示された方法があるなら、それ以外は認められないという二つの傾向を持ちます。そして、その出会いがミスマッチなら、その後の人生にも影響を与えます。たとえば、学校の「音楽の授業」が合わなくても、音楽的活動は好きかもしれません。でも、音楽の授業が嫌いだったから、自分は音楽が嫌いなんだ、と思ってしまうかもしれません。悲しいすれ違いです。私の経験から言って、体育や美術の授業がそうでした。ぜんぜんそれらの活動が好きになれないまま卒業し、大人になってから出会い直して好きになりました。読書感想文もそうです。今では、誰にも頼まれずに書評記事などを書いていますが、夏休みの読書感想文がいやいやで仕方ありませんでした。私の人格が変容したのではありません。私と対象の間に介在する「方法」が変わったのです。たぶん、本を読むこともそうでしょう。もっと言えば、何かを学ぶことも同じなはずです。提示されたやり方があって、それでうまくいかなくても、対象を拒絶する必要はありません。間にある「方法」を変えれば、関係が変わることはよく起こります。方法についての知識を増やすことは、対象との関係を、あるいはそのバリエーションを変えることに貢献してくれます。本を読むことが、さまざまな知識の源であり、また自分の体験を豊かにしたり、新たな思索を呼び込む役に立つことを考えれば、まず読書の方法を増やしていくことは非常に「コスパがよい」と言えるかもしれません。▼以下の回も合わせてどうぞ This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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ブックカタリスト 京都オフ会のお知らせ
1年ぶりくらい?に、京都でブックカタリストのオフ会を開催しようと計画しています。今回はいろいろと実験要素大目で、京都市内のレンタルスペースを借りて、リラックスした雰囲気の会にしようと計画しています。居酒屋で集まるのもいいけれど、周りを気にせず、もっと自由な雰囲気でじっくり語り合いたい。実験要素は多めではありますが、上手くいけばよくある「オフ会」とはまた違った楽しさが満喫できる回になるのではないかと思っています。まだ未確定な部分はありますが、以下のような形式での開催を考えています。今回のオフ会の特徴(草案)* 自由な持ち寄りスタイル!* 食べ物や飲み物は、基本的に各自で好きなものをご用意ください。アルコールOKで飲食可能な場所を借りる予定です。冷蔵庫があるところを探しますので、自分の分を自分の欲しいだけ持ってくる、が基本スタイルです。* 「好き」を語れる時間を設けます* せっかくの機会なので、希望する方には5分程度の「ライトニングトーク」の時間も設けたいと考えています。最近読んだ本の話、ハマっている趣味の話、Obsidianの活用法など、テーマは何でもOK!もちろん、聞くだけの参加も大歓迎です。* (誰かがパッドを持って来いとコメントしてくれれば、ごりゅごはパッドを持ってパッドをアピールしにいきます)* 参加費はリーズナブルに* 場所代として、一人1,000〜2,000円程度の参加費を予定しています。開催概要* 日時: 2025年8月23日(土) 時間は午後17時ごろから2〜3時間を予定(参加者に別途連絡します)* 場所: 京都市内のレンタルスペース(詳細は参加者に別途連絡します)* 会費: 1,000〜2,000円程度(レンタルスペース代の割り勘)* 持ち物:* ご自身の分の飲み物・食べ物* ゴミ袋(※会場の都合上、ゴミは各自でお持ち帰りいただく形になる可能性が高いです。ご協力をお願いします!)* 開催条件:* ごりゅご、倉下を含め、合計4名以上の希望者が集まった場合に開催します。参加申し込み参加をご希望の方は、以下のURLからお申し込みください。こういう話がしたい、こんなことをやってみたい、といったご希望があれば、フォームに自由にご記入ください。可能な限り配慮いたします。https://forms.gle/H4UphhA3DETpfjBQ9皆さんとお会いできることを、心から楽しみにしています! This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC118 いま、あえて芥川賞を読む
面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は芥川賞について語りました。普段エンタメ小説ばかり読んできたごりゅごが、あえて芥川賞作品を読み始めたきっかけや、直木賞との違い、そして芥川賞作品から見えてくる現代社会の「モヤモヤ」について語り合いました。これまで『物語がない』と敬遠していた芥川賞作品ですが、『センスの哲学』を読んで以来、その見方が大きく変わりました。特に、社会の『モヤモヤ』を鮮やかに言語化してくれる作品や、時に『邪悪』とも言える人間の本質を描き出す作品に、新たな面白さを見出しています。短い作品が多いので、これまで純文学に触れてこなかった方にも、ぜひ手に取っていただきたいですね。それにしても、菊池寛さんが提唱した『文学を食える仕事にしなければならない』という考え方、今聞いてもすごくないですか? この賞が、現代の『モヤモヤ』を映し出す鏡になっているのはもちろん、僕みたいな読書初心者にとっては、新しい本との出会いの『登竜門』としても機能しているんだなって、改めて感じましたね。今回出てきた本はこちらで紹介しています。BC118 補足ページ - ごりゅご.com今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本ちなみに、今回は実験として、GEMINI CLIに文字起こしを読ませて、過去の分を参照しながら、どんな感じになるか書いてみて、って感じで ↑の文章を作ってもらいました。文体指示とかしてなくて、これはまあだいぶ嘘臭いですね。おれはこんな風に文章は書かねえ。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC117『締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか』
今回は、『締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか 「先延ばし」と「前倒し」の心理学 (光文社新書 1355)』を紹介しました。キャッチーなタイトルですが、心理学的知見だけでなくタスク管理(タスクマネジメント)の基礎も学べるとてもよい本です。書誌情報* 出版社:光文社* レーベル:光文社新書* 出版日:2025/4/16* 著者* 安達未来(ADACHI Miki)* > 1986年生まれ。2009年、広島大学総合科学部卒業。2014年、広島大学大学院総合科学研究科博士課程後期修了。博士(学術)。専門は社会心理学、教育心理学。大手前大学助教、講師等を経て、2021年より大阪電気通信大学准教授。セルフコントロールや学習支援を中心に、理論的・実践的な研究を行う。著書に『生徒指導・進路指導 (よくわかる!教職エクササイズ4)』(共編著、ミネルヴァ書房)がある。近年ではタスクマネジメントを視野に入れたセルフコントロールの研究も積極的に行っている。* 目次* 序章:タスクマネジメントとは何か* 1章:先延ばしとセルフコントロール* 2章:先延ばしは本当に悪いのか?* 3章:前倒し概念の誕生* 4章:前倒しとセルフコントロール* 5章:先延ばしと前倒しのルーツ* 終章:ちょうどいい先延ばしと前倒しのみつけ方 「知らなかったのか…? タスクからは逃げられない…」「タスク」と呼ぶといかにも仰々しいですが、私たちの日常が「やること」で溢れていることは間違いないでしょう。仕事、家政、趣味、地域、公共……。そうしたもろもろの「やること」をひとまず「タスク」と呼べば、私たちはタスクに取り囲まれていると言えます。多くの場合、私たちはそれらのタスクをただ実行するのではなく、何かしらの段取りを考え、うまくいくように采配しています。そのような手つきの全体を本書では「タスクマネジメント」と呼んでいます。ノウハウ書界隈では「タスク管理」と呼ばれているものに重なるでしょう。一般的にそうしたタスク管理では、「タスク」をどう処理するかや時間設定をどうするか、という話に注力します。たしかに大切な要素です。しかし、それだけで片づくならばこんなにたくさんのタスク管理ノウハウは生まれていないでしょう。タスクの実行や達成にあたって重要なのは、当人の認知や感情です。私たちは命令されたら実行するロボットではありません。認知や感情や経験といったものを持つ人間なのです。何かしらのタスクをついつい先送りしてしまう。別にさぼろうと思っているのではない。やるべきだとは強く感じている。でも、手が付けられない。そのような先送りは「先延ばし」と言え、タスク管理を仕損じる原因になってしまいます。だから「先延ばし」についてはさまざまな対策が施されていたわけですが、心理的な要因に注目するならば、その逆である「前倒し」も手放しで称賛できるものでないことがわかります。単純な効率性や生産性ではなく、ある「適切さ」のもとで物事を進めていけるようになること。本書はその助けになると思います。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC116『体内時計の科学』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は『体内時計の科学』について語りました。ごりゅごの中で半ばシリーズ化している「健康・ダイエットシリーズ」の最新作です。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC115『心穏やかに生きる哲学』
今回は『心穏やかに生きる哲学 ストア派に学ぶストレスフルな時代を生きる考え方』を取り上げながら、ストア派(ストア哲学)について語りました。書誌情報:* 著者:ブリジッド・ディレイニー* 英国『ガーディアン』紙ジャーナリスト。毎週執筆している人気コラム「ブリジッド・ディレイニーの日記」は、オーストラリア、アメリカ、イギリスで広く読まれている。『Wellmania』はイギリス、カナダ、アメリカ、フランスでも出版され、ネットフリックス社でドラマ化された。* 原題:『Reasons Not to Worry:How to Be Stoic in Chaotic Times―A Practical Guide to Stoicism for Self-Improvement and Personal Growth』* 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン(2024/08/23発売)* 目次:* 第1部 ストア哲学のエッセンス* 第2部 人生とその不条理について* 第3部 耐え忍ばなくてはいけないときストア派の流れChatGTPにまとめてもらいました。ソクラテス(紀元前470年頃 – 紀元前399年)の弟子アンティステネス(紀元前446年頃 - 紀元前366年頃)を始祖とするキュニコス学派の思想から発展した。ゼノンの弟子のうち最も影響力があったのはクリュシッポス( 紀元前280年頃 - 紀元前207年頃)。こうやって図にしておくと把握しやすいですね。語り+図の両面作戦が有効です。倉下とストア派さて、ストア派の話については本編を聴いていただくとして、ちょこっとだけ自分の話を。20代のはじめに、セネカの本を読んだ記憶があります。知的な岩波文庫の本でありながら、薄くて読みやすそうだったからという軽率な理由からです。とは言え、文章自体も難しいものではなく、むしろ多感な(そして生きづらさを感じている)年齢において自分が欲していたものが書かれていた感覚がありました。その後の人生においても、そこに表されていた考えを一つの方針(セルフ・ポリシー)にしてきたような気がします。自分が注力できることに注力し、コントロールできないものは「そういうものだ。しゃーない」と割り切る。そういうことができるようになると、他人の言動や立ち振る舞いにいらいらすることが劇的に減ります。たぶん、そういうマインドセットの習得がなければ、コンビニの店長をやりきることなど不可能だったでしょう。それは一つの生存戦略だったのだと思います。その代償というか反動として、ちょっとしたことでテンションが上がることはなくなりました。「年齢のわりに落ち着いていますね」と言われたことがたびたびあります。心が凪いでいるわけです。世界に対して「ふ〜ん」というまなざしを向けている感じ。今から考えれば、これはストア派の教えを越えていたのだと思います。過度に自分の心の平静を求め過ぎていた(ほどほどにせよ、というのもストア派の教えです)。何事も、よいことばかりではないわけです。結果的に、今の自分はある程度バランスが取れているとは思いますが、そうなったのは間違いなく一緒に暮らしている連れ合いのおかげです。自分ひとりではきっとずっと変わらなかった(むしろ悪化させていた)と思います。本書でも著者はアンドリューという人と議論しながら実践していたという話がたびたび出てきますが、できるならこういうのは話し合えるもう一人の人がいた方がよいと思います。その他の本いろいろ* 『生の短さについて 他二篇 (岩波文庫) 』* 『人生の短さについて 他2篇 (光文社古典新訳文庫)』* 『怒りについて 他2篇 (岩波文庫)』* 『エピクテトス 人生談義 上 (岩波文庫) 』* 『エピクテトス 人生談義 下 (岩波文庫)』* 『マルクス・アウレーリウス 自省録 (岩波文庫) 』* 『ギリシア・ローマ ストア派の哲人たち セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウス』* 『哲人たちの人生談義 ストア哲学をよむ (岩波新書)』* 『迷いを断つためのストア哲学』* 『知的生きかた文庫 ストア哲学―強く、しなやかに生きる知恵』* 『STOIC 人生の教科書ストイシズム』* 『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。: 古代ローマの大賢人の教え』 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC114『イスラームからお金を考える』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は『イスラームからお金を考える』について語りました。我々ととても縁遠いと思ってるイスラームですが、大きな意味で「東洋的」に思えることも多く、本編でも出てきた「おかげさま」「お天道さまが見てる」とかっていう感覚は、非常に近しいものがありそうです。そしてやっぱり、ちくまプリマーが素晴らしいんですよ。今まで自分が読んだちくまプリマー新書の本は、本当に全部「アタリ」難しくないのに、知らないことがいっぱいで、しかも長くないから読みやすい。「大人の学び」の第一歩は、目に付く限りのちくまプリマーを読むことなんじゃないか、くらいのことを思ったりもしています。ちくまプリマー新書 | 筑摩書房今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC113『読書効果の科学: 読書の“穏やかな”力を活かす3原則』
今回は『読書効果の科学: 読書の“穏やかな”力を活かす3原則』を倉下が紹介しました。タイトル通り、非常に「穏やか」な効果がじっくりと語られます。「科学的知見」を謳いながらえらく強めにその効果を主張するようなノウハウ本にうんざりしている方は、とても落ち着いて読める内容だと思います。また、本編でも触れていますが、読書効果に関する知見を「インプット」するためだけでなく、科学的な研究結果やそのデータをどう「読み取れば」いいのかを、かなり丁寧に教えてくれている一冊でもあります。個人的にはそうした読み取り方を少しでも学んでおけば、それ以降、書籍やWeb記事の「科学的」なデータへのまなざしがかなり変わってくると思います。それこそ、そうした違いは「穏やか」なものでしょうが、5年、10年という単位で考えればかなり大きな差になってくるのではないかと予想します。書誌情報* 著者:* 猪原 敬介 / Keisuke Inohara * 出版社:* 京都大学学術出版会* 出版日:* 2024/10/15* 目次:* はじめに──読書は社会にとって必要か?* 第Ⅰ部 読書の力を正しく知るために* 第1章 読書研究を見る目を養う* 第2章 誰がどれくらい読んでいるのか* 第Ⅱ部 読書効果についての科学的研究知見* 第3章 読書は言語力を伸ばすか* 第4章 読書は人格を高めるか* 第5章 読書は心身の健康に寄与するか* 第6章 読書は学力や収入を伸ばすか* 第7章 読書の行動遺伝学* 第8章 読書効果をうまく利用するために* おわりに──読書の“穏やかな”力を享受していくために倉下の読書メモは以下のページからご覧いただけます。◇『読書効果の科学: 読書の“穏やかな”力を活かす3原則』 | 倉下忠憲の発想工房 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC112 『脳と音楽』後編
本編で触れたグレゴリオ聖歌。「こんな感じ」というイメージが伝われば幸いです。グレゴリオ聖歌のミサ | 1 時間の神聖な聖歌隊の音楽と賛美歌 - YouTube面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、『脳と音楽』の後半を語りました。そして、今回は最終的な結論として一番「人文学」っぽい観点で話を締めることが出来たんじゃないかな、と思ってます。音楽、という言葉一つにしても、前回話したような人体の構造に関する話もあるし、音色の話(フーリエ変換)なんかはかなり数学っぽい話。今回話したようなことは、いわゆる「音楽理論」でもあるし、西洋の音楽の「歴史」でもある。そして終盤は、音楽とはなにかという哲学的な観点も入ってくる話。こうやって音楽一つの話にしても、様々な観点で語れる、ということこそが音楽の面白さだし、もっと広い意味で「学ぶ」ということの面白さなんではないかな、ということを思います。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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ゲスト回BC111 えむおーさんと『庭の話』
今回は、えむおーさんをゲストにお迎えして、宇野常寛さんの『庭の話』をご紹介いただきました。タイトルだけではなかなか伝わってこない、本書の魅力についてたくさんお話いただきました。書誌情報* 出版社* 講談社* 出版日* 2024/12/11* 著者* 宇野常寛* 目次* #1 プラットフォームから「庭」へ * #2 「動いている庭」と多自然ガーデニング * #3 「庭」の条件 * #4 「ムジナの庭」と事物のコレクティフ * #5 ケアから民藝へ、民藝からパターン・ランゲージへ * #6 「浪費」から「制作」へ * #7 すでに回復されている「中動態の世界」 * #8 「家」から「庭」へ * #9 孤独について * #10 コモンズから(プラットフォームではなく)「庭」へ * #11 戦争と一人の女、疫病と一人の男 * #12 弱い自立 * #13 消費から制作へ * #14 「庭の条件」から「人間の条件」へ倉下の感想帯に「庭」と「制作」の文字があったので、「庭をつくる」という話かなと勝手な先入観を抱いていたのですが、どうやら違ったようです。まず「庭」について徹底的に考え、「庭」の限界性すらも考えた上で、「制作」へと至る。そのような議論のダイナミズムがある本なのだと理解しました。倉下自身も、昨今のインターネットの(わりと悲惨な)状況と、自分の手で何かを「つくる」ことの意義を重ねて考えていたので、本書はぜひとも読んでみたいと思います(すでに買ってあります)。なんにせよ、現代では「どう生きるのか」という絶対的な指針が喪失しつつあるわけですが、本書はそれを考える重要な一冊になりそうです。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC110『エスノグラフィ入門』
今回は、倉下が『エスノグラフィ入門』を紹介しました。倉下のこれからの本の書きかたについて、消しきれぬインパクトがあった一冊です。目次はじめに第1章 エスノグラフィを体感する第2章 フィールドに学ぶ第3章 生活を書く第4章 時間に参与する第5章 対比的に読む第6章 事例を通して説明するおわりに――次の一歩へ本編で読み上げるのを断念した「最終的な説明」は以下です。エスノグラフィは、経験科学の中でもフィールド科学に収まるものであり、なかでも[* ①不可量のもの]に注目し記述するアプローチである。不可量のものの記述とは、具体的には[* ②生活を書くことに]よって進められる。そして生活を書くために調査者は、フィールドで流れている[* ③時間に参与する]ことが必要になる。こうしておこなわれたフィールド調査は、関連文献を[* ④対比的に読むこと]で着眼点が定まっていく。そうしてできあがった[* ⑤事例の記述を通して]、特定の主題(「貧困」「身体」など)についての洗練された説明へと結実させる。これが具体的にどういうことなのかを一つひとつの章を通り抜ける中で確認していく形式になっています。収録時に倉下が見ていた読書メモは以下のページで確認できます。◇ブックカタリストBC110用メモ | 倉下忠憲の発想工房エスノグラフィとはエスノグラフィとはそのまま訳せば「民族誌」で、人類学で発展してきた手法が社会学でも使われるようになっているようです。倉下が一番注目したのはその手法が「生活を書くこと」に主眼を置いている点。"革命的"なものって派手で注目されやすいのですが、それでも私たちの人生の大半を構成しているのは間違いなく生活です。「地に足のついた」という表現で意識されるのも、生活(感覚)との接続でしょう。人びとの生活のディティールを描くこと。それはごりゅさんがおっしゃられたように小説(文学)との営みとも重なってきます。そこには、人の「生」を考える上で決して捨象してはいけないものが含まれているといっても過言ではありません。倉下はいわゆるライフハックな話題が大好きですが、結局それも「人生」=「生活」がその基盤にあるからです。日々の生活から考えること。日々の生活を判断の基準にすること。派手なものに目を奪われやすいからこそ、むしろそうしたものにより注意深く視線を向ける必要があるのではないかと考えます。自分の仕事にひきつけてもう一点、自分の仕事に引きつけて考えたときに、「大きな方法」に注目するのではなく、むしろ日常にあるさまざまな小さな方法とそのディティールに注目する方が、実は「役に立つ」のではないかと考えることができるようになりました。ときどき思うのです。大上段で理論を打ち立てるノウハウが、その語りの中で自分の方法以外をすべて「役立たず」だと切り捨てているのって何か変ではないかな、と。純化された理論に説得力を持たせるためには必要な修辞なのでしょうが、実践は(つまり日常は)さまざまに雑多なもので満たされています。そうした場面において、純粋な理論は参考にはなっても、そのままの形で適用できるものではありません。だからこそ、むしろディティールの語りからはじめ、そのディティールを通して何かしらの理論にアクセスすること。その順番が大切ではないかと思います。なぜなら、そのようにすれば一つの理論に回収できないものが雑多な形で残ってくれるからです。昨今のノウハウ書のあまりにもthinな感じは、整合的に整えようとしすぎたあまりに、実践の中にある雑多さを悉くそぎ落としてしまった結果ではないか、なんてことを考えています。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC109『脳と音楽』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、『脳と音楽』について語りました。なんだかんだ、音楽シリーズはこれで3回目くらいになるでしょうか?BC076 『音律と音階の科学 新装版 ドレミ…はどのように生まれたか (ブルーバックス)』 - by goryugoBC087 『音楽の人類史:発展と伝播の8億年の物語』 - by goryugo - ブックカタリストそもそも世間一般で「音楽の本」なんてジャンルの比率がけっして多くないことを考えれば、圧倒的に偏ってます。でもまあ、ブックカタリストは「面白かった本」を語る場です。ごりゅごの好みが音楽に偏っていれば、そういう本を面白いと感じるのは当然。それこそが「らしさ」だと思います。で、そういうことを踏まえての今回の本ですが、とにかく興味深かったのが「音」の研究は「心理学」であるという観点でしょうか。今回の話に限って言えば、離した内容の大半は人体の仕組みに関する話ですが、次回話そうと思ってる「音」の話って、その音に対して人間がどう感じるか、というもの。これ、やっぱり確かに心理学です。そして、今回学んだ内容は、どストレートではないんだけど、自分の音楽能力アップ、というのに確実に役に立ってくれています。たとえば今回の話とかだと「高い音は、確かにわざと半音でぶつけること、するよな」とか。こういうのが、音楽の知識ではなくて「脳科学の知識」という観点からも理解ができる。大抵の音楽やってる人とか、たぶんこういうことには興味がないと思うんだけど、自分的にはこの科学や人文学の知識と、音楽的な知識の両方が繋がるということが、とても楽しい。今年一番最初に読み終えた本なんですが、いきなりこれは「今年一番面白かった本」になるかもしれない。そんなことも感じています。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC108『「学び」がわからなくなったときに読む本』
今回は『「学び」がわからなくなったときに読む本』を取り上げました。7つの対談が収められたすべての章が面白いので、今回は各章から話題をピックアップし、ごりゅごさんと話し合いながら進めるといういつもと違った形を採用しております。おそらくこのポッドキャストを好きな方ならば、「学び」がたくさんある本だと思います。あらためて「学び」についてというような感じで、私たちは日常的に「学び」という言葉を使っています。上記のように「学びがある」という形が多いでしょうか。その言葉のニュアンスを探るなら、「有益な知見が得られた。示唆に富む内容だった」あたりでしょうか。素晴らしい体験です。でも、おそらくそのままでは知識が増えただけです。ネットワーク的に言えば、どこかのノードに子どものノードが一つか二つ増えただけ。ネットワーク全体の組み換えなどは起きていないでしょう。言い換えれば、すでに自分が所有している文脈に引きつけて情報を理解した、ということです。それ自体はまったく問題ありません。問題は、そこからどうするのか、です。* 関連する情報も探りまくる* 似たような問題を考えまくる* 実際に自分でやってみまくる何らかの心情に突き動かされて、そういうことをやってみる。時間と手間をかけてみる。他の人からみたら、「なんでそんなに熱心にやっているの?」と思われる(あるいはあきれられる)ことをやってみる。そうすると、単に知識がインクリメントされるのとは違った経験がやってきます。考え方や物の見方そのものが変質してくるのです。『勉強の哲学』は、その一次的な変化を「キモくなる」と呼びました。実際そのとおりなのです。知識が増えただけなら蘊蓄を披露する回数が増えるだけですが、考え方や物の見方が変わったら、それまでうまく調和していた場(≒人のネットワーク)から外れることになります。こういう風に記述すると、ちょっと怖さを感じてしまうかもしれません。それは自然な反応でしょう。やすやすとできることではない。それが自然にできるレアな人もいるでしょうが、自分が属する場からはじかれてしまうことに深いレベルで恐怖を感じることは多いかと思います。だからこそ「場」が大切なのだ、と私は思います。「最近、こういうことをに興味を持っているんです」「へぇ〜、面白いですね」という何気ないやりとりが行われる場は、「キモくなる怖さ」を緩和してくれるように思います。もちろんその場はスペシフィックな、あるいなアドホックな場であることが望ましいです。言い換えれば、その場がその人の人生そのものにはならないこと。一時的・限定的にそこにいくけども、そこから帰っていく別の場もある。生活の場。そのような往還が、二次的な変化を呼び込みます。そのような往還を繰り返す中で、自分自身を変えながら、同時により自分自身であり続けること。つまり、訂正可能性(BC106参照)が示す開きと綴じの可能性がそこにあるわけです。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC107 『結婚の社会学』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、『結婚の社会学』について語りました。たぶん、今までごりゅごが語った中で一番社会派の話です。日常的にずっとこういうことを考えてる、ってわけではないし、常にこんな高尚な問題意識を持って生活してる、なんてことは全然ないんですが、人生の中で時々はこういうことを考える時間があった方が、長い目で見て豊かな生活を送れるのではないか。そんなことは思います。なによりも、本編でも語ってることなんですが、自分はまずこの本でかかれていたようなことをまったくもって「知らなかった」人間、知らないことについて考えることはできません。だからこそ、まず第一歩としてこういう考え方があるんだな、ということを知っておく。これだけでも、今後の人生でなにかこの本の中身と関連するような出来事があった時の大きな判断の助けになるような気がしています。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC106『訂正可能性の哲学』と自己啓発
今回は『訂正可能性の哲学』を取り上げました。主に紹介したのは第1部の内容で、最後に少し倉下の考え(自己啓発の課題)も提示してあります。本編は 07:30 あたりからスタート。倉下の読書メモは以下のページで確認できます。◇ブックカタリストBC106用メモ | 倉下忠憲の発想工房家族と思想本書で一番ビビっときたのが、エマニュエル・トッドの家族と社会体制の関係を補助線にしながら、私たちは「家族」的なものの外側には出られないのではないか、と提示された部分です。家族の外に出たと思ったら、そこにも家族があった。フラクタルな構造としても面白いですし、私たちの思考・思想が生まれ育った環境に強く制約されているという点でも示唆に富む提示です。その上で、です。私たちたちが生まれ育つ環境そのものが動いている、という点も見逃せません。生活の実態として「家族」的なものが今後変化していくならば、私たちの共同体の思想もその土台から動いていくことが考えられます。おそらくそれは、希望を形作る可能性でしょう(もちろん、絶望に転じる可能性も同時にあるわけですが)。たとえば、金田一蓮十郎の『ラララ』では、恋愛ではない形で結婚した夫婦が養子を迎え入れるという「家族」の形を提示していますが、そのようなさまざまな形態の家族が増えていけば、私たちの共同体思想も変わっていくのかもしれません。訂正可能性本書の中心となるのが「訂正可能性」であり、それは「閉じていながら、開いている」という二重の性質を持ちます。また、「訂正可能性」を持つためには、つまり「訂正される」という可能性を担保するためには、それが持続・継続していく必要があります。開きと閉じの二重性、そして継続性・持続性。そうした性質が大切だよ、ということを真理の追究や功利主義などとは違った立場から本書は提示してくれています。ごく卑近な実感としてもその提示には頷けるものがあります。たとえばこの「ブックカタリスト」は、あるブックカタリストっぽさを維持して続けていくことが大切でしょう。ある日聴いたら「楽にめっちゃ儲けられる方法」などが語られていたら残念感が半端ありません。一方で、そのブックカタリストっぽさは常に更新され続けていくことも必要です。同じでありながら、変化もすること。それがシンボル(ないしブランド)にとって重要な要素です。それと共に、やっぱり配信を続けていくことも大切です。というよりも、同じでありながら、変化もすることは続けていくからこそ可能なのです。単に続ければいいというものではないし、単に変化すればいいものでもないし、単に変わらなければいいものでもない。これらの複合において、はじめて可能になるものがある。そういう意味で、本書の提案は哲学的面白さ以上に、実践的活動において大切な話だと個人的には感じました。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC105 2024年の配信を振り返る(後半)
いよいよ年末です。今回も前回に引き続き一年間の配信を振り返ってみました。7月から11月までの配信の振り返りです。2024年の配信(後半)* 2024年07月02日:BC093「自分の問い」の見つけ方* 2024年07月16日:BC094 『熟達論』* 2024年07月31日:BC095『BIG THINGS』から考える計画問題 * 2024年08月13日:BC096 人間の色覚と色について* 2024年08月27日:BC097『生産性が高い人の8つの原則』* 2024年09月24日:BC098 『ATTENTION SPAN(アテンション・スパン) デジタル時代の「集中力」の科学』* 2024年10月08日:BC099 論文を書くとはどういうことか* 2024年10月22日:BC100ブックカタリスト・ビギンズ* 2024年11月05日:BC101 『プリズナー・トレーニング』* 2024年11月19日:BC102 積ん読の効能* 2024年12月03日:BC103 『肥満の科学』こうして振り返ってみると、7月からの倉下の紹介本はかなり「実用書」に偏っていたと思います。言い換えれば、思想・哲学的な話が少なかった印象。ごりゅごさんも同様に、「体」の話が多かったですね。こういうのはテーマ・リーディングというほど明確な目的意識がないにしても、なんとなくそうなっちゃうという感じがあります。そのときそのときの自分の勢いとか流れみたいなものが傾向をつくるわけですね。そういう流れは、意識的に生み出すのもそう簡単ではないので、そういう波がやってきたら素直に乗ってみるのも一興だと思います。「そのとき読みたい本を読む」というのは、そういう駆動力を最大限に活かす読み方です。というわけで、今年もありがとうございました。そして、来年からもよろしくお願いいたします。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC104 2024年の配信を振り返る(前半)
いよいよ年の瀬です。今回は一年間の配信を振り返ってみました。さすがに量が多いので、前後編に分けてお送りします。今回は前編で、1月から6月までの配信の振り返りです。2024年の配信(前半)* 2024/01/02:BC080『観光客の哲学』と『哲学の門前』から考える読書について* 2024/01/16:BC081 『ピダハン』と『ムラブリ』から考える価値観への文化の影響* 2024/01/30:BC082『思考を耕すノートのつくり方』から考えるノウハウのつくり方* 2024/02/13:BC083 『ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」』と『残酷すぎる人間法則』の2冊から考える人間関係* 2024/02/27:ゲスト回BC084 jMatsuzaki さんと『先送り0(ゼロ)』* 2024/03/12:BC085『文学のエコロジー』から考える文学の効用* 2024/03/26:BC086『体育館の殺人』から考える新しい読書について* 2024/04/04:BC087 『音楽の人類史:発展と伝播の8億年の物語』* 2024/04/23:BC088『CHANGE 変化を起こす7つの戦略』* 2024/05/07:BC089『たいていのことは20時間で習得できる』と『成功する練習の法則』から考えるスキルを獲得するというマインドの獲得* 2024/05/21:BC090『人生が整うマウンティング大全』と『話が通じない相手と話をする方法』から考える「話の聞き方」* 2024/06/04:BC091『センスの哲学』* 2024/06/18:BC092 『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』全体として、脈絡がぜんぜんないような、それでいて何かしらの通奏低音は感じられるようなそんなラインナップでした。たとえば、BC083の人間関係と、BC090のコミュニケーションの話はつながっています。加えて、BC088の人の行動に変化を与えるときに小さな集団に注目するという話も関係しているでしょう。もっと言えば、BC081の文化と価値観の話も、自分自身と所属している共同体との関係としても拡張できそうです。そんな感じで、まったく同一のテーマの本ではなくても、「近場をうろうろする」ように読書をしていると新たなつながりが見えてくるものですし、それは「より大きな視点で捉えること」「自分なりのテーマを語ること」にもつながってきます。というわけで、本を読むこととは本を読み続けることである、という倉下のテーゼが出てくるわけですが、それ以上に、自分が話したはずのことをぜんぜん覚えていないという体験は、読書に限らず年末に一年の振り返りをしているとたびたび起こる楽しい体験で、だからこそ積極的に記録を残していきたいなという気持ちが高まってきます。皆さんも、ぜひ一年の活動の振り返りをやってみてください。あと、「ブックカタリストの配信で、これが今年印象に残った!」といったコメントもお待ちしております。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC103 『肥満の科学』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、プリズナー・トレーニングに続いての「運動・健康シリーズ」として『肥満の科学』について語りました。前回紹介したプリズナートレーニングは、想像以上に多くの人が興味を持っていただけたみたいで、ごりゅごも仲間が増えてとても嬉しくなっています。そして、自分の興味関心というのはやはり波があるもので、筋肉を付ける、強くなる、という部分に興味を持つと、そのまま似たようなことへのアンテナ感度が高まってきます。で、今回のテーマは「肥満」です。人は、なぜ太るのか。そして、なぜ運動が重要なのか。約2年前にも、なぜ太るのか。なぜ運動が重要なのか、という話は紹介しています。BC056 『運動の神話(上)』 - by goryugo and 倉下忠憲@rashita2 - ブックカタリストBC060『運動しても痩せないのはなぜか』『科学者たちが語る食欲』が、今回はこれとはまた違った観点での紹介であったところが面白い。結果的には、どの本も同じようなことを言っているんだけれども、それぞれちょっとずつ、理由や、やることが違う。結局のところ、人体は超複雑です。現代の科学で「すべてを解き明かす」なんてことはおそらく出来ないし、仕組みがすべて分かったとしても、ひとりの人間の認知の能力で、それを理解して、コントロールし切ることは不可能だろうな、とも思います。と同時に、だからこそ人体の仕組みを知ろうとすることは面白いし、そこから学んだことを実践して「うまくいく」ときが面白い。自分がこの分野に興味を持つ大きな理由は、そういう部分なのかな、と感じます。今回紹介した書籍のリンクなどははこちらから→📖ブックカタリストで紹介した本 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC102 積ん読の効能
今回のテーマは「積ん読の効能」。『積ん読の本』で語られていたことを眺めながら、本を積むこと、本棚に本を並べることについて考えます。積ん読とは何か?「積ん読」は、なんとなく意味がつかめる言葉ではありますが、本を読む生活を送っている人の感覚からすれば、「読むつもりはあるが、まだ読めていない」状態をさすことが多いようです。辞書などのようにそもそも読了するような目的を持たない本が読み切られていなくても、それは──感覚として──積ん読とは呼ばないわけです。言い換えれば、読もうと思って買ってはいるが、その思いがまだ達成されていないわけで、そこに罪悪感が発生する余地があるわけですが、その点を気に病んでいる方はほとんどいらっしゃいませんでした。そんなことを気にしていても埒が明かないということはたしかです。では、なぜそんな状態が生まれてしまうのか。つまり、読もうと思って買っているのに、読めていないという「読書の渋滞」のようなことが生まれてしまうのか。本書を読めば多方面からの分析が可能だとわかります。* 本を読む経験が増えると、読みたい本が等比級数的に増える* 新刊で見つけたうちに買っておかないと書店からなくなる* 書店からなくなると「見えなくなる」ので本の存在自体を忘れる* 絶版になれば入手も難しくなる* 日常的に広告情報に触れているので「読もう、読みたい」と思える本の数が増えている* 大人になると忙しくなるので本を読むための時間が減少する以上のような複合的な要因で、読むスピード > 買う本の量 という「積ん読不等式」が成立してしまうわけです。でも、たとえそうであっても構わない。その主張を補強する理由もさまざまなものが本書では見つけられます。知のインデックスそうした理由のうち、私個人として採用したいのが「知のインデックス」をつくるという山本貴光さんの意見です。何かしらの本があり、何某氏が書いており、何かしらの主張がなされている、ということがとりあえず自分の脳内に入っている。そういうインデックスができていれば、必要になったときにその本に手を伸ばすことができます。現在ではほどんどの本の書誌情報はググれば見つけられますが、逆に言えばググらなければ出てきません。そして、脳内の発想はググらずに起こる現象なのです。自分の脳の奥深くに沈んでいるもの。別のメタファで言えば、記憶のネットワークに織り込まれているもの。それが「使える知識」であり、知のインデックスはその文脈において役立ちます。そう考えると、私の知的関心はある本の中にどんな記述があるのかよりも、たとえばGTDとツェッテルカステンとPARAとメタ・ノートがあるとして、それらはどのような連関にあって、その連関から何が言えるのかを考えることにあります。いつ誰が、どのように論じてきたのか。そういう流れを踏まえることも大切にしたい。そんな風にして「本々」(Books)を眺めようと思ったときに、本棚も「自分のノート」として使っていこうとする試みは、はたいへん面白いと感じました。というわけで、私は「私の本棚」の運用についてヒントを得たわけですが、他の方は他の形で違ったヒントが得られる本だと思います。本の収集癖を強く持っていない方でも楽しめる一冊です。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC101 『プリズナー・トレーニング』
プリズナー・トレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ→Amazon:https://amzn.to/47B8nvq面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、プリズナー・トレーニングについて語りました。ブックカタリストの配信回数も3桁に到達し、気分的には「ブックカタリスト2.0」というところ。そのスタートに(個人的にはとてもふさわしいと思っている)本を運良くいいタイミングで紹介することが出来たな、と感じています。ブックカタリストでこれまで紹介してきた本は大半が「真面目な本」だったんですが、ブックカタリストのテーマは「面白かった本について語るPoadcast」であり、それがマジメっぽい本であるとか、むずかしそうな本、賢そうな本であると言うこととはなんの関係性もないのです。とは言え、100回も回数を重ねていると、どうしても方向性が固まってきてしまい、そこから外れた本を選びづらくなってしまうと言うのもまた事実。101回の今回は、そこを打破する為にもいつもとはちょっと違う感じである、ということが重要だと感じていたのです。とは言え、個人的には内容と言うか本編のノリ自体は基本的にほぼいつもと同じ感じにはなっていると思うし、なによりも今回の本はこれまでの「運動」「ダイエット」「練習」などといったテーマで紹介してきたブックカタリストの本の「実践編」みたいな見方も出来るわけです。なによりも、実際にごりゅごはこの本を多いに楽しんで読めているし、読み終えてからも常に手元ですぐに読めるようにしていて、筋トレを行う前や後など、折りに触れてしょっちゅう何回も読み返しています。「運動しないとなー」みたいな感覚はもう10年以上も持っていて、これまではずっと「健康の為にしゃーないから運動する」でした。これが今はついに(大人になってから初めて?)楽しくて、やりたくて、自分自身で積極的に筋トレをする、ということができるようになりました。諦めない気持ちというのは、わりと大事なのかもしれない。今回出てきた本はこちらで紹介しています。📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC100ブックカタリスト・ビギンズ
記念すべき第百回は、いつもと趣向を変えて二人の読書の略歴を語ってみます。二人が紹介した本は……。出てきた本をぜんぶ列挙しようとしたんですが、あまりに数が多くなったのであきらめました。倉下は赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』からスタートするミステリ系統を出発に、神坂一『スレイヤーズ!』から始まるライトノベル・SF・異世界転生もの系統、野口悠紀雄 『「超」勉強法』から始まるノウハウ・自己啓発系統、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』から始まる文学・ハードボイルド系統が、青年期の読書を構成していました。事前のメモではそれくらいでだいたいカバーできていると思ったのですが、大学時代はプログラミング言語の本を読み漁っていましたし、コンビニ店長時代では経営学・経済学の本にも手を伸ばしていました。これらも系統ではあるでしょう。かなり多岐にわたっています。ごりゅごさんはむしろもっと限定的で『三国志』ものを契機に歴史物を中心に読んでおられて、途中潜伏期間があった後、Obsidianによるノーティング技術の向上およびブックカタリストのスタートを契機にして再び読書欲が盛り上がってきたというお話でした。その一つの契機に「インターネットが未来をワクワクさせてくれるというビジョンがあった」という話は非常に印象的だと感じます。人を本を読む気にさせるものは、やはりそういうワクワク感なのでしょう。「知的好奇心」と言ってしまうとあまりにも漠然としますが、読書というのは平静・冷静な知的活動ではなく、ある種のワクワク感に駆動されるドライブなのだと思います。読書に歴史ありそんな風にそれぞれの人にはそれぞれの読書の経歴があります。歴史と呼んでもよいでしょう。私が今、一冊の本と対峙するとき、その背後には常に私の歴史が蠢いています。その本を読みたいと思うかどうか、読んだ後どう評価するか。そうした反応は歴史に由来するわけです。だから同じ本でも読みたいと思うかどうか、面白いと思うかどうかは人によって違ってきます。個性による違いというよりも、歴史による違いなのです(あるいは、個性とはそれぞれの人の歴史である、とも言えるでしょう)。広義で言えば、読書はたしかに「インプット」な活動です。でも、その表現では「歴史」の感覚が立ち上がってきません。均質的ではなく、個別的な活動。一度きりではなく、連続性のなかにある活動。それが読書です。だから、「本を読むことは、本を読み続けることである」なんてことが言えるかもしれません。ぜんぜん関係ないですが二人の読書の歩みはまったく違っているのに、人生の歩み方においてすごく重なる部分があることが今回わかりました。しかし、考えてみれば、本当になにもかもがまったく違っているならば、こうして二人でポッドキャストをしていることはなかったでしょう(政府が命令して無作為に選んだ二人にポッドキャスト運営を強制しないかぎりは)。重なる部分があるからこそ、活動を同じくしている。でも、多くの部分で違いがある。たぶん組み合わせというのは、そういう感じのときうまくいくんじゃないかな、なんて思います。皆さんも自身の読書のヒストリーを振り返り、自分のヒストリーで語ってみてはいかがでしょうか。ご意見・ご感想はコメントおよびTwitter(現X)、Blueskyのハッシュタグ#ブックカタリストにてお待ちしております。では、今後もブックカタリストをよろしくお願いします。サポータープランへのご加入も、ご検討くださいませ。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC099 論文を書くとはどういうことか
今回は「論文を書くとはどういうことか」をテーマに、論文についての二冊の本を紹介しました。* 『論文の書きかた (ちくま学芸文庫 サ-55-1)』* 『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』それぞれ独自の魅力を持つ二冊です。書誌情報『論文の書きかた (ちくま学芸文庫 サ-55-1)』* 著:佐藤健二* 佐藤 健二(さとう・けんじ):1957年、群馬県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中途退学。東京大学名誉教授。博士(社会学)。専攻は、歴史社会学、社会意識論、社会調査史、メディア文化など。著書に、『読書空間の近代』(弘文堂)、『風景の生産・風景の解法』(講談社選書メチエ)、『流言蜚語』(有信堂高文社)、『歴史社会学の作法』(岩波書店)、『社会調査史のリテラシー』など。* 出版社:筑摩書房* 出版日:2024/5/11)* 目次* 第1 章 論文とはなにか* 第2 章 「論」と「文」の結合* 第3 章 〈文〉で論ずることの厚み* 第4 章 主題・問題意識・問題設定* 第5 章 通念の切断と思考の運動* 第6 章 観察と対話の組織化* 第7 章 調査研究のさまざまな局面* 第8 章 2 項対立のあしらいかた* 第9 章 リレーショナル・データベースとしての社会* 第10 章 「クダンの誕生」の経験をふりかえる* 第11 章 リテラシーの発見* 第12 章 読書空間のなかで書く* 第13 章 コピペと引用の使いこなし* 第14 章 見えかたをデザインする* 第15 章 研究倫理の問題* 第16 章 編集者として見なおす『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』* 著:阿部幸大* 日本の文学研究者。筑波大学人文社会系助教(2024年時点)。北海道出身。* 出版社:光文社* 出版日:2024/7/24* 目次* 原理編* 第1章 アーギュメントをつくる* 第2章 アカデミックな価値をつくる* 第3章 パラグラフをつくる* 実践編* 第4章 パラグラフを解析する* 第5章 長いパラグラフをつくる* 第6章 先行研究を引用する* 第7章 イントロダクションにすべてを書く* 第8章 結論する* 発展編* 第9章 研究と世界をつなぐ* 第10章 研究と人生をつなぐ* 演習編『論文の書きかた (ちくま学芸文庫 サ-55-1)』本書は「論文を書くとはどういうことか」をさまざまな角度から論じていく一冊で、その場しのぎに論文を書き上げるためのテクニックではなく、研究活動の一環に論文の執筆をおき、その中でいかに研究を進めるのか=論文を書くのかが検討されていきます。重厚な論述であり、著者の思考が垣間見れる面白さもあり、話題が枝葉のように広がっていて、それらがいちいち楽しめる魅力も持ち合わせています。個人的には「文」に注目した論考が心に残りました。自分なりにまた展開させていきたいと感じます。『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』きわめてテクニカルでプラクティカルな一冊。それでいて著者の熱さも伝わってきます。「まったく新しい」という看板に偽りはありません。一冊目の本に比べると重厚な論述感は小さいものの、シャープで説得的な論考は一気に引き込まれます。でもって、アドバイスが非常に役立つ。学術寄りの知的生産を行うなら必携の一冊でしょう。こちらも単に表面的なノウハウを提示して終わりにするのではなく、論文を書くときに必要な「頭の使い方」を提示してくれている点が魅力です。個人的には、本編でも語ったようにアカデミックではないライティングの方向性を検討してみたいと思います。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC098 『ATTENTION SPAN(アテンション・スパン) デジタル時代の「集中力」の科学』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、『ATTENTION SPAN(アテンション・スパン) デジタル時代の「集中力」の科学』について語りました。スマホの登場によって、私たちにどんな変化が起こっているのか。iPhoneが出たばかりの頃の自分は、それによるよい変化にしか注目していませんでしたが、最近はそこから起こる「よくないこと」にも注目するようになってきました。特に、スマホという「最強の暇つぶしツール」を手に入れた我々は、いつのまにかほんのわずかな時間の退屈を耐えることができなくなり、結果的にこれまで以上に「退屈」という問題に悩まされるようになっている。そんな問題意識を持って、この本を読んだ印象です。自分が変わったなあ、と思うのは、こういう「〜について考えるためにこの本を読もう」みたいな観点で本を選ぶことができるようになった、ということです。自分の読書力が上がったかどうかは、客観的に評価する手段はないんですが「気になってることを考えるために本を読む」ことがきちんと言語化できるようになったというのは、明確に進歩だと思います。これは、ちゃんと他人に誇れる変化。なんだかんだもう、100回近くもずっと本について話してたら、なにか変化はあるよね。それを身をもって体験できたことは大きいです。ブックカタリスト100回記念イベントというわけで、詳細はまたお送りする予定ですが、まもなく到達するブックカタリストの100回を記念して、東京のどこか(東京駅近辺の予定)で、100回到達記念イベントを行う予定です。テーマは「ブックカタリストの語り方(仮)」開催日は、11月17日の午後から夜にかけて。詳細が決まり次第、またご連絡いたします!今回出てきた本はこちらで紹介しています。 📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC097『生産性が高い人の8つの原則』
今回はチャールズ・デュヒッグの『生産性が高い人の8つの原則 (ハヤカワ文庫NF)』を取り上げました。いわゆる「ライフハック」な考え方がたっぷりな一冊です。書誌情報* 原題* SMARTER FASTER BETTER: the secrets of being productive in Life and Business(2016/3/8)* 単行本版* あなたの生産性を上げる8つのアイディア 単行本 – 2017/8/30 * 著者* チャールズ・デュヒッグ* ジャーナリスト。イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBA取得。「ロサンゼルス・タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」のライターを務め、現在は「ニューヨーカー・マガジン」その他に寄稿。2013年には「ニューヨーク・タイムズ」のリポーターのチーム・リーダーとして、ピュリッツァー賞(解説報道部門)を受賞。最初の著書『習慣の力〔新版〕』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)は「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラー・リストに3年間も留まった。第2作である本書も2016年、同リストにランクインした。* 翻訳* 鈴木晶* 『愛するということ』、『猫に学ぶ――いかに良く生きるか』、『ラカンはこう読め! 』など多数。* 出版社* 早川書房* 出版日* 2024/3/13* 目次* 第1章 やる気を引き出す―ブートキャンプ改革、老人ホームの反乱と指令中枢* 第2章 チームワークを築く―グーグル社の心理的安全と「サタデー・ナイト・ライブ」* 第3章 集中力を上げる―認知のトンネル化、墜落したエールフランス機とメンタルモデルの力* 第4章 目標を設定する―スマートゴール、ストレッチゴールと第四次中東戦争* 第5章 人を動かす―リーン・アジャイル思考が解決した誘拐事件と信頼の文化* 第6章 決断力を磨く―ベイズの定理で未来を予測(して、ポーカーに勝つ方法)* 第7章 イノベーションを加速させる―アイディア・ブローカーと『アナと雪の女王』を救った創造的自暴自棄* 第8章 データを使えるようにする―情報を知識に変える、市立学校の挑戦* 付録―本書で述べたアイディアを実践するためのガイド「生産性を高める」とはインターネットの仕事術系情報では「生産性向上」や「productivity」といった言葉をよく見かけるわけですが、そのたびに私は「むむっ」と警戒フィルターを発動させます。というのも、単にそれが「タスクをたくさんこなすこと」を意味しているのではないか、あるいは生産性向上のためのツールを使うことそのものが目的になっていないか、という懸念があるからです。実際、一時間のうちに実行できるタスクが10から20に増えたとしても、そのタスクが効果を上げていないことは十分ありえるでしょうし、タスク以外の目を向けるべきものから目を逸らしてしまっていることもあるでしょう。はたしてそれは望ましい「改善」と言えるのでしょうか。一方で、たしかに効果的(エフェクティブ)な状態というのはあって、メールを書こうとして、なかなか取り掛かれずに、インターネットを彷徨っている間に、新しいツールの情報を見かけて喜び勇んでダウンロードしてしまっている、という状態はあまり効果的な時間の使い方ではないとは言えるので、何一つ改善を試みようとしないというのも、それはそれで違う気がします。本書では、「生産性を高めるのに必要なのは、今よりももっと働き、もっと汗を流すことではない」という明瞭な指針が掲げられていて、「まさにその通り」と強く感じられます。以下のような定義も登場しますが、* 最少の努力で、最大の報いが得られる方法を見つけること* 体力と知力と時間をもっと効率よく用いる方法を発見すること* ストレスと葛藤を最小限にして成功するための方法を学習すること* 大事な他のことをすべて犠牲にすることなく、何かを達成することこれに納得できる人もいれば、そうでない人もいるでしょう。それでも「生産性とは、いくつかの方法を用いて正しい選択をすることである」という根本的な方向性については同意できるのではないでしょうか。さらに言えば──本編でも語っている通り──、「正しい選択をするために、自分は有効な方法を使っている」という感覚を持つことが、人生全般にわたる「やる気」の高め方なのかもしれません。This is Lifehacks. This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC096 人間の色覚と色について
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、人間の色覚と色について語りました。(『見たい! 聞きたい! 透明水彩! 画家と化学者が語る技法と画材』、『ひとの目、驚異の進化: 4つの凄い視覚能力があるわけ』をメイントピックにしつつ、わりとフリーで語った感じです)お絵かきというものを始めてみて一番面白かったのは、今回のような「お絵かきをしなかったら絶対興味を持たなかったであろうこと」にも興味を持つことが出来たことです。(お絵かきをしなかったら「絵の具ってどういうものなんだろう」なんてことを考える人はまずいないですよね?)世の中のありとあらゆることって「知ってる」と「やってる」にはとてつもなく大きな壁があって、これを乗り越えた数が多ければ多いほど、多くのことに興味関心を持てるようになるのではないか、と感じます。で、この「知ってる」と「やってる」って、最初の一歩は本当にめちゃくちゃ小さな違いでしかないんですよね。半歩踏み込んで、ちょっとだけ試してみる。これができるだけで、数週間、数ヶ月後には、技術だけでなく、世界の見え方にもめちゃくちゃ大きな差が生まれてくるのではないかと思います。ごりゅごは最近世界の「色の見え方」がけっこう変わった感じがして、これまでより1段階、世界を見ることが楽しくなりました。以下、要約です。話題: 色覚と絵画の科学的・進化論的視点* 色と絵画の科学的視点* 水彩画に関する技法や画材について紹介* 色相、彩度、明度など色の基本的な概念の説明* 水彩絵具の化学的背景、特に顔料と染料の違いについて* 絵具の色が変わる要因(粒子の大きさや混色)について* 絵画における色の選択や新しい色彩の開発についての話題* 人間の色覚と進化* 人間の色覚が進化した背景として、食物の識別だけでなく、肌の色の変化を見分ける能力が重視された可能性* 肌色の変化を見分けることが、コミュニケーションや社会的協調性において重要であったこと* 四季覚異常が男性に多い理由とその進化論的説明* 色覚の進化に伴う顔の毛の減少とその影響* 進化論と社会的影響* 肌色の違いが進化論的にあまり変わらないこと、しかし人間はそれを非常に敏感に感じ取ること* 現代社会における肌色の違いが持つ社会的問題* 人種間の肌色の違いの理解とその文化的影響について* VRやテキストコミュニケーションにおける表情や肌色の非依存性とその可能性今回出てきた本はこちらで紹介しています。📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC095『BIG THINGS』から考える計画問題
今回は、『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』を取り上げました。書誌情報* 著者:* ベント・フリウビヤ* 経済地理学者。オックスフォード大学第一BT教授・学科長、コペンハーゲンIT大学ヴィルム・カン・ラスムセン教授・学科長。メガプロジェクトにおける世界の第一人者* デンマーク女王からナイトの称号を授けられた。* 『建築家フランク・ゲーリーのプロジェクトマネジメント DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文』* ダン・ガードナー* カナダ在住のジャーナリスト、作家* 『専門家の予測はサルにも劣る』* 『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』* 翻訳:* 櫻井祐子* 『時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』* 『1兆ドルコーチ――シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え』* 出版社:サンマーク出版* 出版日:2024/4/24* 目次* 序章「"夢のカリフォルニア"」* 1章 ゆっくり考え、すばやく動く* 2章 本当にそれでいい?* 3章 「根本」を明確にする* 4章 ピクサー・プランニング* 5章 「経験」のパワー* 6章 唯一無二のつもり?* 7章 再現的クリエイティブ* 8章 一丸チームですばやくつくる* 9章 スモールシング戦略* 終章 「見事で凄いもの」を創る勝ち筋* 主題* 私たちはプロジェクトをどのように進め、そしていかに失敗するのか。それを回避するにはどうしたらいいか?* ビジョンを計画に落とし込み、首尾よく実現させるには?プロジェクトはたいていうまくいかない本書において重要な指摘は、プロジェクトというのはたいていうまくいかず、しかもそのうちの一部は破滅的な結果を引き寄せるくらいにうまくいかない、という点です。そうした結果を引き寄せる要因には、権力(政治)と心理バイアスの二つがあって、私が注目したのは心理バイアスの方です。私たち人間は、最初に思いついたことを素晴らしいアイデアだと思い込み、そのアイデアについて詳細な検討も、メタな分析もすることなく「計画」を立ててしまう。実際その「計画」は、こうなったらいいなという妄想を並べただけのものであり、その通りに実現できなことは始めから決まっている。ここで重要なのは、計画通りに実行できない主体が悪いのではなく、そもそもの計画立案が杜撰だ、という見方です。よく、自己啓発界隈でも計画を立てても、その通りに実行できない自分に罪悪感を覚えるという話を聞きますが、その見方はひっくり返した方がよいでしょう。実行する主体(としての自分)が悪いのではなく、実行しうる計画を立てられていない主体(としての自分)が拙いだけなのです。*そもそも日本では上意下達の感覚が強いので、こういう見方に不慣れな人が多いのかもしれません。で、実行しうる計画というのはシミュレーションが行き届いた計画であり、それは経験を織り込んだ計画とも言え、つきつめるとタスクシュートのようなログベースの"計画"だということになるでしょう。計画の精度を突き詰めていくと、ログになる。これは面白い話だと思います。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC094 『熟達論』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、『熟達論:人はいつまでも学び、成長できる』について語りました。この本は、「デジタルノートの熟達」というごりゅごが今ずっと考えているテーマに見事に刺さるものでした。これは思いっきり自分に引きつけた話になるんですが、なにかを「練習して身に付ける」ことの大切さというのは、スポーツや芸術に限った話ではない、というのを改めて感じました。最近はずっとObsidianというデジタルノートを「どうやって役立たせるか」ということばかり考えてるんですが、それも結局ある程度は練習して身に付けるしかない。そして本で書かれていた5つの習熟の段階というのは、人になにかを教える時の手順においても参考になる本でした。結局、大事なのは一番最初の「遊ぶ」部分。どんな技能にしても、これができるかどうか。その部分こそが「才能」という言葉で適当に誤魔化されてしまっている、熟達の本質なんだろうな、ということを思った次第です。以下、要約です。* 今回の本* 第94回のテーマ:『熟達論:人はいつまでも学び成長できる』* タメスエ大さん著の本を取り上げる* あいさつと前回の話題に関する余談* 前回の余談:旅行の荷物準備の楽しさ* Twitterでリスナーが「旅行の荷物を準備するのが楽しい」と共感* 「過不足なく荷物が足りたことが嬉しい」* 部屋の整理には興味がない* パーソナリティたちの反応* 情熱の方向性は個人差があるが、共通点も存在する* 1000人に1人くらいは同じ趣味を持つ人がいるかもしれない* 旅行荷物準備のコミュニティについての話* アメリカの巨大掲示板「Reddit」にも関連するコミュニティがあるかもしれない* 「旅行の荷物準備」に関心を持つ人はもっと多いかもしれない* 本の紹介* 『熟達論』は2023年7月に新潮社から出版* タメスエ大さんの背景* 陸上選手として400mハードルで世界選手権メダリスト* 一般的な競技者とは異なるアプローチを取ってきた* 引退後、競技や熟達に関する知識をまとめた本を書いた* 本の内容とその共感部分* 学びの方法が頭だけでなく身体でも覚えることに重点を置いている* 自分の経験や取り組みに重なる部分が多い* 例:アトミックシンキングやデジタルノートの使い方* 学びの方法が学校の試験以外の生活全般に応用できる* 熟達論の5段階* 遊* 主体的に行う、面白さが伴う、不規則である* 例:設定をいじる、いろんなボタンをクリックするなど* 最初に基本を教えるよりもまずは「遊ぶ」ことが大事* 型* 基本の型を覚える* 例:片足で立つ、デイリーノートに何でも書く* シンプルで検証が多分視されず、効果が期待されすぎない* 型を覚えた上で試行錯誤を重ねる* 型が良いか悪いかを見極めるポイント* シンプルではないこと* 検証が多分視されていること* 効果が期待されすぎていること* 観* 観察し、パターンを見出す* 量をこなすことで行動の境目やパターンが見えてくる* 自分にとって役立つものや不要なものが分かるようになる* 分ける行為に必ず取りこぼしがある* 完璧を目指さず、試行錯誤を続けることが重要* 心* 中心を知り、それを基に冒険ができる* 基準があることで冒険ができる* 例:手足の動きが中心に支えられる* 個別性が重要であり、全員に同じ最良の方法は存在しない* 空* 無心になり、行為のみがある状態* 考えずに身体が勝手に動く* 時の流れが違うように感じる* 思い込みの中でしか思考できないことを自覚する* 勘を尊重する* 行為のみがある状態は仏教的なニュアンス* その他のポイント* 苦しいことと成果が結びつかないこと* 効率の良い練習が重要* 努力が報われるとは限らない* 言われた通りにやるだけでは止まってしまう* 自分の個別性を考慮することが大切* 練習時間よりも集中の濃淡とリズムが大事* 量より質が重要* 環境を整えることも練習の一環* 人間の特性として環境に適応する力が強い* イメージによる動作の導き方* 例:ハードルを飛ぶときのイメージ* 著者の思い* 宮本武蔵の『五輪書』の現代版を目指したい* 競争と学びの違い* 競争は勝ち負けがあるが、学びは全ての人に開かれている* 学びを娯楽化することが熟達への道* 学びを楽しむことが最も重要熟達論:人はいつまでも学び、成長できる(著) 為末 大新潮社 (2023/7/13)2023/7/13今回出てきた本はこちらでも紹介しています。📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC093「自分の問い」の見つけ方
今回は、以下の二冊を取り上げながら「自分」を知るための方法について考えていきます。* 『リサーチのはじめかた ――「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法 (単行本)』* 『人生のレールを外れる衝動のみつけかた (ちくまプリマー新書 453)』書誌情報『リサーチのはじめかた』* 著者* トーマス・S・マラニー* スタンフォード大学歴史学科教授。コロンビア大学で博士号を取得。専門は中国史。邦訳書に『チャイニーズ・タイプライター』(2021年、中央公論新社)がある。BBCやLA Timesなどで研究が取り上げられるほか、Google、Microsoft、Adobeなど企業での招待講演も多数。* クリストファー・レア* ブリティッシュ・コロンビア大学アジア研究学科教授。コロンビア大学で博士号を取得。専門は近代中国文学。著書にChinese Film Classics, 1922-1949などがある。* 翻訳:安原和見* 出版社 筑摩書房* 出版日:2023/9/1* 目次* 第 1 部 自 分 中 心 の 研 究 者 に な る* 第1章 問いとは?* 第2章 きみの問題は?* 第3章 成功するプロジェクトを設計する* 第 2 部 自 分 の 枠 を 超 え る* 第4章 きみの〈問題集団〉の見つけかた* 第5章 〈分野〉の歩きかた* 第6章 はじめかた『人生のレールを外れる衝動のみつけかた (ちくまプリマー新書 453)』* 著者:谷川嘉浩* 1990年生まれ。京都市在住の哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師。哲学者ではあるが、活動は哲学に限らない。個人的な資質や哲学的なスキルを横展開し、新たな知識や技能を身につけることで、メディア論や社会学といった他分野の研究やデザインの実技教育に携わるだけでなく、ビジネスとの協働も度々行ってきた。著書に『スマホ時代の哲学――失われた孤独をめぐる冒険』(ディスカバートゥエンティワン)『鶴見俊輔の言葉と倫理――想像力、大衆文化、プラグマティズム』(人文書院)、『信仰と想像力の哲学――ジョン・デューイとアメリカ哲学の系譜』(勁草書房)。* 出版社:筑摩書房* 2024/4/10* 目次* 序 章 なぜ衝動は幽霊に似ているのか* 第一章 衝動は何ではないか* コラム 否定神学、他人指向型、『葬送のフリーレン』* 第二章 衝動とは結局何ものなのか * コラム 言語化のサンクコスト* 第三章 どうすれば衝動が見つかるのか* コラム 「それっぽい説明」から逃れるには* 第四章 どのようにして衝動を生活に実装するのか * コラム 観察力の重要性 ― 絵画観察のワークショップからOODAループまで* 第五章 衝動にとって計画性とは何か * コラム 社会的成功と結びつけない* 第六章 どうすれば衝動が自己に取り憑くのか * コラム 衝動の善悪を線引きすることはできるか* 終 章 衝動のプラグマティズム、あるいは実験の楽しみ本編ではそれぞれの本の序盤部分を取り上げ、自分が持つ問題意識や衝動にせまる必要や、その方法について紹介しました。実際の本はさらに多くの内容が展開されているので、ご興味を持たれたら実際にお読みになることをお勧めします。本編のときに使ったメモは以下からご覧いただけます。◇ブックカタリストBC093用メモ - 倉下忠憲の発想工房 「自分」の研究私は「ノウハウ」に興味があります。知識の具体的運用。その際に問題になるのは、「自分は何がしたいのか」「自分は何が好きなのか」という要件です。この情報がまるっと抜け落ちていたら、どのようなノウハウも効果を発揮しないでしょう。逆にその点を理解していれば、あまたのノウハウを自分に合わせて使っていくことができますし、場合によっては新しく創造することも可能でしょう。つまり、「ノウハウ」という情報資産を活用する上で、「自分のこと」を知っておくのは大切なわけです。そこで、そうした営みを「セルフスタディーズ」と呼び、これまでずっと考え続けてきました。そこで出会ったのが本書らです。ポイントは、「自分」というものを既知で十全に把握している対象ではなく、むしろ流動的でつかみ所がなく、そのすべてを把握することは不可能な対象とすることです。そうした対象であるからこそ、「研究」してみようと思えるわけですから、この視点の切り替えはきわめて大切です。どちらの本でも、ただ思弁的に「考える」のではなく、さまざまに「実験」してみること推奨しています。むしろ、私の考えでは思弁的に考えれば考えるほどわからなくなるのが「自分」という対象なのでしょう(むしろそれは現象と呼ぶべきかもしれません)。デジタルツールにおいても、このツールで自分が何をしたいのかと考えてみても即座に答えが出るものではありません。実際にいろいろやってみることが必要です。一方で、「ただやればいい」というものでもない。いろいろやりながら、それと並行して「自分は何をしたいのか」と考えること。その中で、「うん、これはいい感じがする」「これはちょっと違うな」と自分の反応を観察していく。そういう道行きが大切なのでしょう。でもって同じことが、生きること全般に言えると思います。「生きることで、自分を知る」まとめるとそんな感じになるでしょうか。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC092 『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。今回は、『Mine! 私たちを支配する「所有」のルール』について語りました。久しぶりに「すごく熱中してすごくしっかり読んだ」という感じの本で、決して内容が難しいわけではないけれども、考えさせられることがめちゃくちゃたくさんある本でした。雑な説明をすれば「所有ってなんなのか」ということを通じて、社会や人間を考えていこうみたいな話、というので終ってしまいます。ただ、本に書かれている事例の多くのことが「そういう風に考えたことなかった」というものが多く、知識というよりもたくさんの新しい視点を知ることが出来た、という感覚でした。最近のブックカタリストはわりと昔に読んだ本を、脳内で整理できてるから語る、という漢字の内容が多かったんですが、今回は「めっちゃ面白かったから熱いうちに語りたい」というタイプのもの。どっちがよりよい方向性なのかは簡単に答えは出ないんですが、まあそういうのを好きなように、楽しんで語れてる、という姿勢が一番重要なのかな、と思うので、そこらへんはこれからも「面白いと思った本」について語っていく、という姿勢で続けていきます。以下、要約です。* 本の紹介と著者について* 紹介する本は「マイン - 私たちを支配する所有のルール」* 2024年3月に早川書房から出版* 著者はマイケル・ヘラー、所有権に関する世界的権威* マイケル・ヘラーは不動産法を担当する大学教授* 以前に「グリッドロック経済」という本も執筆している* 所有権の概念とその重要性* 所有権のルールは根拠をめぐるストーリーの戦い* 所有権に関する様々な事例や理論が紹介される* 具体的な事例と議論* 飛行機のリクライニングシート問題* リクライニングシートを倒す権利は誰にあるのか?* 付属の権利:アームレストのボタンがリクライニングを許可するという考え方* 占有の権利:もともとシートが直立していた空間はその人のものであるという考え方* 早い者勝ち:シートを倒せなくするマシーンを早く設置した人が優先される* 航空会社の責任:座席を二重販売しているとも言える* アメリカの裁判の傍聴権* 行列代行業者の存在* 裕福な人が行列に並ばずに権利を購入する問題* 早い者勝ちが資本主義によって歪められている例* 大学のバスケットボールの試合のチケット取り* チケットを取るために48時間キャンプを張って並ぶ* 忍耐力競争としての行列* 卒業後の寄付金制度によるチケット権利の獲得* ディズニーのファストパス制度* 待ち時間を減らすことで収益を増やす仕組み* ファストパスからビップツアーへの進化* 一般の人々が納得する仕組みの工夫* 希少な資源をうまくコントロールすることでビジネスとして成功する* 所有権の根拠となる6つの概念* 早い者勝ち:先に取ったものがその人のもの* 占有:自分がいた場所だから自分のもの* 労働の報い:自分が働いて得たものは自分のもの* 付属しているもの:自分の所有物に付随するものも自分のもの* 自分の体:自分の体は自分のものだと言えるかどうか* 家族のもの:家族のものは自分のものだと言えるかどうか* 文化や社会的信頼の影響* 所有権の概念は文化によって異なる* 所有権争いがいかに大変かを示す事例* スーパーでのカートの所有感覚の例* カーネマンの実験:戦友効果が所有権の感覚を生む* 現代社会における所有権の問題* 著作権や特許の問題* 権利の複雑化とその影響* キング牧師の「I Have a Dream」演説の著作権問題* 映画や音楽の権利が複雑化し、創造性を阻害している例* 基礎研究の特許問題:複数の権利が絡み合い新しい薬の開発が進まない* ファッション業界の例:著作権が存在しないが創造性が保たれている* Linuxやオープンソースの成功例:著作権フリーで収益を上げる* 結論* 所有権のルールは絶対的なものではなく、常に変わり続ける* 著者は所有権に関する問題を解決するためのヒントを提供* ディズニーやオープンソースのような新しいビジネスモデルが示すように、所有権の問題には多様な解決策がある今回出てきた本はこちらで紹介しています。📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC091『センスの哲学』
今回は二人ともが読んだ『センスの哲学』について語ります。書誌情報&概要* 著者:千葉雅也* 出版社:文藝春秋* 出版日:2024/4/5単純に言えば、同じ出版社から出ている『勉強の哲学』の後続、より大きな流れで言えば、『勉強の哲学』『現代思想入門』に続く、哲学三部作の三作目として位置づけられます。私(倉下)とごりゅごさんは二人ともこの三冊を読み、それぞれにしっかり影響を受けております。ちなみに、本編でカントの三批判書の話題に触れておりますが、『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』の三冊のことで、最後の「判断力」は、感性と悟性を媒介するものであり、本書が芸術と生活を(あるいはセンスとアンチセンスを)結びつけようとする試みと構造的類似性を感じたのでした。詳しい話は本編をどうぞ。意味とのどう付き合うか個人的には、本書は「意味」を巡る冒険であり、その点が作品鑑賞および作品制作に大きな影響を与える内容になっていると感じます。私たちは(あるいは私たちの認知機構は)「意味」をフィルターとして使います。意味があるものを受容し、意味がないものを排除する。そうでもないないと、この世界には”情報”のもとになるものが多過ぎて対応できません。私たちが、生物として生き残るために必要なものを見極める機能を持っているのは当然のことで、その機能を呼ぶときに「意味」という言葉が使わるわけです。もちろん、私たち人類は文化的に複雑でややこしいことをやっているので、直接的に生存を左右しないものたちも生成し、そこに同じように「意味」を見出します。そこで価値判断を行っている。それ自身は悪いことではありませんし、むしろ無ければ生そのものがなりたたないでしょう(ビュリダンのロバ)。「意味なんかないんだ」という逆貼りめいた発言もよく見かけますが、その文自体が一つの「意味」を有しており、また文全体で一つの価値判断を下していることを思えば、私たちが「意味」から逃れられないことがよくわかります。そのような意味の捕らわれから逃れるために、禅の公案というものがあるのでしょう。言葉を通して思考すると、ぜったいに答えられないといをぶつけることで、自分がそうした「意味」に捕らわれていることを自覚させる。そういう効果があるように思います。本書でも、「意味なんかなくていいんだ」という極端な主張はなされていません。そもそも、どういう並びであっても、読み手が「意味」を生成してしまうのですから、意味ゼロの状態は作り出せないわけです。一方で、自分が「意味」だと思っているものに必要以上に捕らわれる必要はないことも説かれています。もっと自由に(つまり、自分が先入観として持っている「意味」に捕らわれることなく)並べていくことを、そしてそれはそれで「あり」と言えることを本書は教えてくれます。意味と出会い直す意味フィルターの問題は、それが私たちの認識の門番の役割を果たすことで、「意味がある」ものが認識され、「意味がないもの」は除外される点です。言うまでもなく、そこでの「意味がある」ものとは、真実に属するものではなく、その時点で自分が意味があると思っている(≒判断したもの)ものに過ぎません。つまり、別のものにも「意味がある」と思える可能性はあるわけです。しかし、意味フィルターが強く働いていると、意味がないものは除外されてしまうわけで、そうなると「意味がない」と思っていたものに新しい意味があることを発見する機会が失われます。だから、意味から半分降りるのです。意味から半分を降りて、形そのものに注目する。全体ではなくディティールに着目する。そのような見方は、意味フィルターをバイパスする形で対象と出会うことを可能にしてれます。そこから、新しい「意味」の認識が生まれる──可能性がある。私たちは、半分意味から降りることで、意味と出会い直す可能性がある。そうした行為においては、常に新しい意味生成の準備が為されており、同時に少しメタな視点からの「意味とは何か?」という問いかけが行われています。そうした視点の持ち方は、観賞および制作において重要な役割を果たすことでしょう。ということを長々と考えてしまうくらいにはグレートな本です。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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BC090『人生が整うマウンティング大全』と『話が通じない相手と話をする方法』から考える「話の聞き方」
今回は『人生が整うマウンティング大全』と『話が通じない相手と話をする方法――哲学者が教える不可能を可能にする対話術』を紹介しながら、コミュニケーションにおいて「話を聞く」ことの大切さを確認しました。書誌情報などは、以下のメモページからリンクを辿ってご覧ください。◇ブックカタリストBC090用メモ - 倉下忠憲の発想工房相互ケアとしてのマウンティング受容ある程度、社会的な素養(これが具体的に何を意味するのかはわかりませんが)を持っている人にしてみれば、マウンティングするのは基本的にダサい行いです。教養主義、あるいは啓蒙思想的な立場であれば、虚栄心にまみれた態度であり、ぜひとも修正しなければならない行いだとされるでしょう。ようは、そんな風に人の上に立とうとする態度をやめて、お互いにフラットに話し合おうではないか。それがこうした考え方のベースになっているでしょうし、基本的には私もそう思います。一方で、あまりにもその理念が強くなりすぎると、その「ゲーム」にうまく乗れない人を排斥することにもなりかねない危険性があります。それはそのまま、自分たちが気に入らない主義主張の人たちを「差別主義者」と切り捨てることが可能な”最強の道具”になってしまう可能性にもつながっていきます。『人生が整うマウンティング大全』は、そうした理路とは違った違ったアプローチを持ちます。マウンティングしてしまうのは人間的に(あるいは動物的に)どうしようもないので、それを受け入れてお互いにマウンティングを受容しようではないか。これは人の「弱さ」を受け入れる態度であり、ケア的な行いだとも言えるでしょう。その関係性では、単にフラットに横に並んでいるのではなく、あるときは上に立とうとするが、別のときでは下にいることを許容するという変化を持つ(平均としての)フラットさが醸成されるでしょう。別段こうした話が本書で展開されているわけですが、「マウンティングはよくない」という態度自体が、一種のマウンティングになりかねない状態において、別の仕方でコミュニケートを考えるきっかけを与えてくれた一冊でした。僕たちは「聞く訓練」をしていない『話が通じない相手と話をする方法』では、めちゃくちゃ具体的なノウハウが難易度別に紹介されていて、本編ではそのごく一部、入門的内容を紹介しました。で、「話がうまくなりたい」と思うなら、喋るテクニックよりも先にこの聞く技術・態度を身につけたほうがいいです。本当にそれくらい、私たちは聞く訓練をしてきていません。たまたま相手が聞く訓練をしてきている人ならば、「会話」(conversation)は成り立ちますが、そうでないと一方通行の伝令が二人いるだけの状態になって、もはや会話とも呼べない何かになってしまいます。それくらい、私たちは相手の話を聞いていません。そのことは、カフェとかで繰り広げられる雑談を耳にすればよくわかります(あまり礼儀はよくありませんが)。しかし逆に言うと、日常のやりとりは相手の言うことを真剣に聞いていなくても成立するものです。そこでは相手と場や空間を共有し、敵対的な意志を持っていないという最低限のことさえ表明すれば、あとは何を言ってもOKなのです。私たち人間はとてもファジーに意思疎通している。だからこそ、きちんと聞くことができないのです。聞かなくても大丈夫だから、真剣に訓練されることがない。でもって、そうした日常的な「やりとり」が会話のすべてだと思ってしまう。今この文章も、かなり伝令的になっているな〜という感じがふつふつと湧いてきました。そんな感じでついつい伝令的になってしまう(あるいはマウンティングしようとしてしまう)人間性を前提として受け入れて、じゃあどうしたらいいのかを考え、対策をとることが「人間的」な振るまいなのだろうなと思います。一つの指摘本編の中で、ごりゅごさんが「それって前回の話とつながりますよね。つまり何かを学ぶときの姿勢と同じ」という旨の指摘をしてくださりました。この指摘が非常に心に残って、今もまだそのことについて考えています。何かを学習するときには、興味・好奇心を持つことがまず大切であり、人の話を真剣に聞く場合もそれが重要である。これは会話というものが「お互いに学び合う場」(共同的な学習)であるとして捉えるならば必然的に生まれる共通性ではあるでしょう。それを踏まえた上で、学習とは学習対象との「コミュニケーションである」という逆向きの方向からも話が組み立てられそうです。そうすると、一見異なる二つの要素(学習とコミュニケーション)を下位項目に含む、一つ上の階層について考えられることができるかもしれません。実にワクワクしてきますね。こんな感じで、私がごりゅごさんに本の内容を紹介しているのに、学んでいるのは(変化しているのは)私の考えの方、というのが開かれた会話の面白さです。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe
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面白かった本について語るポッドキャスト&ニュースレターです。1冊の本が触媒となって、そこからどんどん「面白い本」が増えていく。そんな本の楽しみ方を考えていきます。 bookcatalyst.substack.com
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