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EPISODE · Mar 26, 2024 · 1H 5M

BC086『体育館の殺人』から考える新しい読書について

from ブックカタリスト · host goryugo

今回は二人が読んだ『体育館の殺人』というミステリー小説から「本の読み方」について考えます。「読者への挑戦状」への挑戦発端は、倉下が『体育館の殺人』を読んで「読者への挑戦状」にきちんと挑戦しよう、という試みです。そこにいたる流れは二つありました。まず一つは、アニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』で青崎有吾さんに興味を持ち、以前から面白い作品を書く人だと聞き及んでいたので、じゃあ一作目の『体育館の殺人』を読んでみようという流れ。もう一つは、一冊の本を一年かけて複数人で読んでいこうという環読プロジェクトや、毎日少しずつ本を読みその読書日記を書くという「ゆっくり本を読む」という自分の中でのマイテーマな流れ。その二つが合流することで、ミステリー小説の「読者への挑戦状」にガチンコで挑戦しようと思いたちました。ちなみに、これまでもミステリー小説は読んできましたが、本気で「推理」したのはこれがはじめてです。つまり、何回も再読し、状況をメモしていって、そこから推論を展開していくという試みは倉下読書人生史上初だったわけです。で、やってみて思いました。「楽しい」と。仕事で書いている原稿のためでもなく、自分の環境改善のためにプログラミングを書くのでもない。ただただ純粋に「頭を使う」という行為はすばらく楽しいものです。純粋な娯楽という感じがふつふつと湧いてきますね。続きのページを見れば答えが書いてあるものを、それこそ10日以上もかけて考える。その間は、他の本の読書も止まってしまう。コスパはぜんぜんよくありません。しかし、コスパが悪いからこそ、そこには純粋な楽しみが立ち上がってくることも間違いありません。つまり、コスパを気にしているのは、「コスパゲーム」をしているので、目の前のゲーム(推理やらなんやら)に十全に没頭できないのでしょう。この辺は、昨今の情報環境の大きな問題に関わっていると思います。というわけで、一冊の本を十全に味わうためには、ゆっくりと時間をかけ、それこそ読書メモなんかを取りながら読む「スロー・リーディング」がいいよ、というのがお話の半分です。「読書メモ」の練習になるもう半分が、そうやってミステリーの犯人を当てるために作る「読書メモ」が、より敷延した「読書メモ・ノート」作りの練習に最適ではないのか、という話です。本を読んでメモやらノートを書く、というのは初めてだと存外に難しいものです。特に、普段メモやノートを取らない人ならばなおさらでしょう。「どう書くのか」と「何を書くのか」の二つが課題としてのしかかってきます。その点、「ミステリーの犯人を当てるため」という目標が固定されているならば、何が必要で何が必要でないのかの判別はしやすいでしょう。あとはそれを「どう書くのか」です。もちろん、「どう書くのか」も簡単というわけではありません。いろいろ試行錯誤は必要でしょう。ただ、うまくかけているのかどうかという判断は簡単にくだせます。推理がうまく進んでいるなら、メモもうまく書けているといえるし、そうでないならうまく書けていないと言える。わかりやすいですね。一般的に「賢くなるため」の読書メモやノートは、賢くなることが瞬間的・瞬発的な結果ではなく、それはつまりメモがうまくかけているかどうかのフィードバックにかなり時間がかかることを意味します。そういうものが「上達」するのって、難しいのです。その意味で、限定された目的を持つ推理用メモは、本を読み、メモを書くということの練習としてうまく機能するのではないか、というのがごりゅごさんのアイデアで、倉下もたしかにそうかもしれないな、と感じました。もちろん、推理用メモの書き方がすべての読書メモに通じるわけではありません。それぞれに書き方は違ってくるでしょう。それでも、そうやって手を動かすことに慣れることさえできれば、応用はもっとずっと容易いのではないかと想像します。 This is a public episode. If you'd like to discuss this with other subscribers or get access to bonus episodes, visit bookcatalyst.substack.com/subscribe

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