EPISODE · May 25, 2026 · 16 MIN
本当に残酷な話だ
from 余白の朗読室 · host tosusia
noteでも公開しています本当に残酷な話だ本当に残酷な話だ。娘は空港からまっすぐ実家に来た。一年ぶりに会う親への挨拶もそこそこに、ワンコに駆け寄った。ワンコも一目散に娘の元へ走った。尻尾が千切れそうなほど振られている。全身で喜びを表現している。感動の再会なのだろう。しかしこちらはしらけてしまう。この一年、ほとんど毎日散歩に連れて行ったのに。所詮はじーじだ。そんなものなのかと思うと寂しい。それでも、娘の顔を見ていると、嬉しくもあった。一年間、楽しい時間を過ごせた。月に一度くらい会いに行っても嫌がられないだろう。仕事の都合でまた預かることもあるかもしれない。そう自分に言い聞かせた。その夜、娘は実家に泊まっていった。今日が最後だと思うと切ない。しかし仕方ない。娘にとっても大事な子なのだ。なかなか寝付けないでいると、ペタペタと足音がした。娘の布団から抜け出してきたようだ。ひょいっとベッドに飛び乗ってきて、いつものように布団をちょんちょんとつつく。やっぱり無理だ。布団を持ち上げると、お尻をぺたんとつけて丸くなった。本当に残酷な話だ。
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