EPISODE · Apr 23, 2026 · 8 MIN
初切り
from ハナボウズの山ログ · host ハナボウズ
桜が散り始めた4月の朝、Kフィールドの石のベンチに腰を下ろした中島は、今季はじめての出荷を終えた手のひらを眺めていた。アストランティア40本、アルケミラ100本。数字は乾いているが、その重さは確かに、今年という一年の口を開けていた。このエピソードでは、初収穫の報告とともに、花屋を目指す若者との出会い、グリーンパルの総会で気づいた「農業5年目」という実感、そして新規就農者たちの現実について話す。土地も機械も流通も手探りのまま始まる苦労と、辞めていく農家の資源を次の世代へ引き継ぐ仕組みへの想い。師匠の福島さんが縮小を口にしていることも、その背景にある。雨を避けてハウスに入り、ラムズイヤーのバラし植えに取りかかりながら、中島はセダムのことを考える。「在圃性が高い」——自分の気持ちが整った時に収穫できる作物。花が「今だ」と迫ってくるのではなく、こちらのペースで向き合える鈍さの中に、ここでの農業のリズムがある。研修生の頃にはわからなかったその感覚が、5年かけてようやく体に馴染んできた。
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