EPISODE · Mar 23, 2026 · 8 MIN
花坊主のいたずら
from ハナボウズの山ログ · host ハナボウズ
卒園式の朝、人前に立つという行為が、いつも思いがけない重さをともなう。拍手の中で子どもたちを見送り、声が震えたことを恥じながら帰り道につく。イベントの前夜に憂鬱が訪れること、航空券を取ったはいいが飛行機を前に沈んでいたあの学生時代のことを、今日もふと思い出した。しかし、言葉にしてみると不思議と落ち着いてくる。気分1が、話しながら2になり、いたずらを思いついたところで3まで戻っていた。誰かに届けるためではない——自分を見つめるための言葉として、この音声は今日も録られている。山本茂さんから預かった手書きの民話をAIが99%の精度で文字起こしした、その驚きの余韻の中で、中島は一枚だけ余分な話を製本に忍ばせることにした。花坊主という地蔵の話、昔からそこにあったかのように書いたフィクション。茂さんに気づかれるかどうか、それもまた楽しみのうちである。ハウスでは、アルケミラの葉が広がり、アストランティアが茂り、セダムが30cmに届こうとしている。沢から流れ込む水を石ひとつで調整しながら、今日も夕方が暮れていく。
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