EPISODE · May 30, 2026 · 12 MIN
【インタビュー】“この瞬間”を生きるために。ライアン・モロイ新作アルバム『The Best Year of Our Lives』
from Music News Japan · host keisuke horota
https://barks.jp/news/1068300 コロナ禍に感じた孤独、人生を通り過ぎていった人々との記憶、愛と喪失、そして“今”を生きること。90年代からシンガーとして、俳優として、そしてミュージカルの舞台でも活躍を続けてきたライアン・モロイがニューアルバム『The Best Year of Our Lives』で描いたのは、華やかな成功談ではなく、人間の感情の揺らぎそのものだった。 ロックダウン中に始めたInstagramで向き合った、歌を書く意味。そこから生まれた本作には、30年来の盟友アンディ・ライトとの創作の歴史、故郷ニューキャッスルへの想い、ロンドンで過ごした年月、さらには混沌とする世界への視線までが刻まれている。本作は“今を生きること”を主題としながらも、単純なポジティヴィティに回収されることはない、さまざまな感情が描かれている。 ◆ ◆ ◆ ──ニューアルバム『The Best Year of Our Lives』完成おめでとうございます。アルバムをリリースしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか? Ryan Molloy:ありがとう。このアルバムに取りかかったのは、ちょうどコロナ禍のロックダウンの頃なんだ。当時は家から出ることすら難しく、もちろんスタジオへ行くことも簡単なことじゃなかった。世界中の人々と同じように、自分自身も閉塞感の中にいたと思う。その頃、僕はInstagramで自宅からライヴ配信を始めたんだ。タイトルは、姉がくれたチャールズ・ブコウスキーの詩集からインスピレーションを受けて、「Broken Fingered Guitar Club」にした。そこで僕はニール・ダイヤモンドの曲を歌って、自分自身を励ましていたんだ。実は彼のギターコードブックをずっと持っていたんだけど、コロナ以前はほとんど見ていなかった。でもロックダウン中、その本に載っている曲を全部歌ってみようと思ったんだ。 その中で出会ったのが「And The Singer Sings His Song」という曲。この曲に深く心を動かされ、今回のアルバムのボーナストラックとしてカバーを収録した。そして、その古い名曲が、このアルバムを書こうという気持ちにさせてくれたんだよ。なぜならその曲を通じて、かつてアンディ・ライトと一緒に音楽を作っていた頃の感覚が蘇ったからです。僕たちは30年以上にわたる音楽的パートナーであり、人生の友人でもあるんだ。このアルバムには、彼とのそんな長い年月をかけて育んできたクリエイティブな絆が詰まってる。 ──このアルバムではどんな物語を描きましたか? あなた自身の人生が投影されているようにも感じました。 Ryan Molloy:僕は曲を書くとき、いつも自分の人生の物語を書いてるんだ。もちろん、すべてがドキュメンタリーのように現実そのままというわけではないけれど、あるときは露骨なほど正直な感情を書いたり、またある時は幻想的なイメージを描いたり。共通していることは、そのときの自分の心に刻まれた”真実”を書いていることに変わらない。 たとえば「Everything Breaks」は、ロンドンで過ごした30年間についての曲だけど、人生にはたくさんの人が自分の前に現れ、そして去っていく。その出会いや別れが、自分を少しずつ変えてきたことを曲にした。若い頃に抱いていた夢がどう変化したのか、何を失い、何を得たのか……そういう感情を率直に描いているんだ。この曲は決して悲しい歌ではない。人生をここまで生きてこられたという事実だけでも、僕はそれ自体が成功だと思うから。苦しみや後悔も含めて、生きた証だからね。 ──それぞれの曲について教えてください。 Ryan Molloy:「The Best Year of Our Lives」は、“今”を生きることについて歌っている。未来の不安ばかりを追いかけたり、過去に縛られて生きるのではなく、この瞬間を大切にすることをコロナ禍を経て強く感じたからね。「Silver Linings」は、僕にとって究極のラブソング。愛というものは人によって形が違うよね。でも、どんな愛の形であっても、それはとても尊いものだと思っている。「One Kind Of You」は、僕の故郷ニューキャッスルを舞台にしているんだ。19歳の頃にそこを離れた時の感情を、少し幻想的に描いた。最近“Fantastical”という言葉が気に入っている(笑)。 「No Country For Ya」は“旅”がテーマ。目的地もわからず、誰に会うかもわからない。でも不思議と胸が高鳴る。人生そのものもそういう旅。最後まで冒険心を失いたくないよね。「Storm」は、もし自分が別の人生を送っていたらという想像の歌。主人公は望んでいないのにすべてを手にしている。“When all I had was a deuce and a […]
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