見えない気候コストの制度設計 【海外シンクタンク記事分析】 episode artwork

EPISODE · Jun 1, 2026 · 1H 7M

見えない気候コストの制度設計 【海外シンクタンク記事分析】

from PEP Talk - 社会の本を深掘り! · host 政策起業家プラットフォーム

気候政策を、排出削減目標や規制の話として捉えると、「削減にいくらかかるのか」に目が向きがちです。しかし、削減が遅れることで残る損失や、制度がまだ評価しきれていない便益もあります。今回のエピソードでは、「見えない気候コストの制度設計」をテーマに、ドイツの蓄電池、インドの炭鉱メタン、米国の温室効果ガス規制を扱います。今回の3本を通じて、気候政策の費用対効果をどう測り直すかを考えます。■キーワード蓄電池:調整力/容量市場/出力抑制/輸入ガス依存/柔軟性市場炭鉱メタン:上流排出/MRV/測定・報告・検証/資源調達/メタン回収米国規制:危険性認定/費用便益分析/健康被害/労働生産性/産業競争力■今回のトピック[01:13] ドイツの蓄電池 — 電気をためる設備から調整力へEmber の記事をもとに、蓄電池を「電気をためる設備」としてだけでなく、電力網の混雑やガス火力への依存を減らす調整力として捉える視点を取り上げます。本エピソードでは、ドイツで風力・太陽光の出力抑制が起きていること、発表済みの大規模蓄電池が稼働していれば、その一部を避けられた可能性があることを扱いました。あわせて、容量市場でガス火力を優先すれば、蓄電池や需要側の柔軟性を活用する機会を逃す可能性も議論しました。停電を防ぐためにガス火力という保険を買うのか。それとも、蓄電池、需要応答、スマート制御を新しい保険として育てるのか。制度設計が、消費者負担、再エネ統合、輸入ガス依存を左右するという論点を整理しました。出典: Ember, "Germany's battery opportunity" https://ember-energy.org/latest-insights/germanys-battery-opportunity[26:34] インドの炭鉱メタン — 測れない排出は削減も投資もできないEmber のレポートをもとに、石炭を燃やすときのCO2ではなく、石炭を掘る段階で漏れるメタンに焦点を当てます。本エピソードでは、インドで炭鉱メタンが化石燃料部門の漏えいメタン排出の大きな割合を占めること、排出量を測り、報告し、検証する全国制度が十分でないことを扱いました。鉱山別のデータがなければ、規制もクレジットも投資判断も難しくなります。そのため、MRV、クリアリングハウス、カーボンクレジット、気候ファイナンスをつなげる制度設計が重要になります。メタン回収を、気候対策だけでなく、鉱山安全、輸入ガス代替、投資誘導にもつなげる視点を議論しました。出典: Ember, "Understanding India's coal mine methane landscape" https://ember-energy.org/latest-insights/understanding-indias-coal-mine-methane-landscape[43:07] 米国の温室効果ガス規制 — 規制対応費の外にある社会コストCSIS の論考をもとに、米国で自動車やトラックの温室効果ガス規制が大きく巻き戻され、州や環境団体が訴訟を起こしている動きを取り上げます。政権側は、自動車規制の見直しによって、新車価格や規制対応費を下げられると説明しています。しかし、本エピソードで扱った中心論点は、コスト計算の範囲です。規制対応費だけを見れば負担は軽くなる一方で、熱波や大気汚染による医療費、労働生産性の低下、インフラ被害は残ります。気候政策を、企業に優しいか、環境に優しいかという二択で見るのでは不十分です。健康、労働力、産業政策、医療制度、輸出競争力を守る政策基盤として、規制をどう評価するかを議論しました。出典: CSIS, "Overturning the Endangerment Finding Threatens Americans’ Health, Wealth, and Security" https://www.csis.org/analysis/overturning-endangerment-finding-threatens-americans-health-wealth-and-security■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/

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