PODCAST · arts
PEP Talk - 社会の本を深掘り!
by 政策起業家プラットフォーム
社会課題や政策を取り扱った書籍の著者にお越しいただき、書籍の背景等について伺う番組です。
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アフォーダビリティをどう診断するか――供給不足と市場支配力 【海外シンクタンク記事分析】
生活費が高いという同じ状況でも、その背景が供給不足なのか、市場の競争の弱さなのか、支払いの仕組みなのかによって、政策手段の意味は変わります。以前のPEP Thinkでは「アフォーダビリティ・アジェンダ」を取り上げ、供給拡大、直接補助、競争政策、価格規制などを整理しました。今回はそこから一歩進み、「価格がなぜ高いのか」をどう診断するかに焦点を当てます。一本目では、ニスカネン・センターの白書をもとに、経済全体のインフレと、住宅・医療・エネルギーなどの価格が長期的に上昇する問題を区別します。二本目では家賃規制を取り上げ、既存入居者の負担や安心を支える効果と、賃貸住宅の供給、品質、これから住まいを探す人への影響を考えます。三本目では、病院市場の集中によって価格交渉力が強まっている米国の医療を題材に、病院への支払価格に上限を設けた場合の効果と、医療提供への影響を検討します。3本を通じて考えるのは、政策の名称だけで効果を判断せず、誰の負担が軽くなるのか、価格や供給がどう変わるのか、提供者がどう反応するのか、必要なサービスが維持されるのかを分けて確認することです。日本についても、米国の政策をそのまま当てはめるのではなく、分野ごとに高い費用が生まれている仕組みを調べるという視点を議論します。■キーワードアフォーダビリティ/供給制約/直接補助/家賃規制/住宅供給/市場支配力/病院支払価格規制/診療報酬00:00 イントロダクション01:05 アフォーダビリティの診断 — 価格が高い理由をどう捉えるか16:03 家賃規制 — 既存入居者の安心と将来の住宅供給30:36 病院への支払価格規制 — 市場支配力と医療提供をどう両立させるか■今回のトピック01:05 アフォーダビリティの診断 — 価格が高い理由をどう捉えるかNiskanen Centerの白書をもとに、経済全体のインフレと、住宅・医療・エネルギーなど生活必需品の価格が構造的に上昇する問題を整理します。記事は、後者について供給制約を重視しています。本エピソードでは、物価上昇率が落ち着くことと暮らしの負担が軽くなることを区別し、家計の自己負担とサービスを供給するための費用、単価と利用量、給付による支援と供給条件の改善をどう評価するかを議論しました。また、住宅補助、医療の支払い、住宅の断熱や太陽光などを例に、政策が需要・供給や将来の負担にどう影響するかを考えています。出典:Niskanen Center, "Affordability, fast and slow: A playbook to address the cost of living"16:03 家賃規制 — 既存入居者の安心と将来の住宅供給Institute for Fiscal Studiesの記事をもとに、家賃規制が既存入居者の負担を抑え、急な値上がりへの不確実性を小さくする一方、賃貸住宅の供給や修繕、住み替えにどのような影響を及ぼすかを取り上げます。本エピソードでは、サンフランシスコで規制対象者の転居が減った一方、対象家主の賃貸供給も減ったという研究や、ニューヨーク、カタルーニャの研究を紹介しました。研究結果には幅があることを踏まえ、平均家賃だけでなく、新たに借りる人の選択肢、住宅の品質、居住の安定、家主や公費が負うコストまで含めて評価する必要性を議論しています。出典:Institute for Fiscal Studies, "Do rent controls work?"30:36 病院への支払価格規制 — 市場支配力と医療提供をどう両立させるかUrban Instituteの報告書をもとに、病院の統合が進み、保険会社との交渉で病院側が強い価格決定力を持つ市場で、支払価格に上限を設けた場合の影響を取り上げます。報告書の試算では、個人向けと雇用主提供の民間保険を対象にメディケアの2倍を上限とした場合、2028年の医療支出が1,148億ドル減るとされています。また、農村部を除外した場合や、市場集中度の高い地域などに限定した場合も、全国適用時の削減効果の多くが残ると推計しています。本エピソードでは、支払価格を下げたときに、病院の高い利益やコストが減るのか、診療体制や設備投資まで縮小するのかを区別して考えました。試算が診療量を減らさないことを前提としている点、価格規制後の診療量や質も確認する必要がある点、さらに日本では診療報酬を公的に決める制度があるため、米国の議論をそのまま当てはめることはできない点も議論しています。出典:Urban Institute, "Can Hospital Rate Setting Help Control US Health Spending? National Versus Targeted Approaches"■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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Public Upside Sharing とは何か
半導体、重要鉱物、AIなどの分野で政府が補助金や融資、保証、公共調達を通じて産業形成に関与するとき、問われるのは支援額や支援先だけではありません。その事業が予想以上に成功した場合、公共は何を受け取る約束になっているのか。今回のエピソードでは、この問いを「公共アップサイド共有(Public Upside Sharing)」という考え方から整理します。これは確立した用語ではなく、異なる分野で現れている、公共が引き受けたリスクと成功時の上振れ利益をどう対応させるかという議論を束ねるための名称として紹介しています。テスラとソリンドラの事例を起点に、公共が失敗時の損失を負担する一方、成功案件から得られるリターンが元本や利息などに限られる場合に生じる、リスクと報酬の非対称性を考えます。「企業や従業員が税を払えば十分ではないか」という反論も扱いながら、公共リターンを、金銭的か非金銭的か、個別企業への直接的な関与か市場全体への条件設定かという観点から整理します。株式やワラント、アップサイド・シェアリング、クローバック、差額決済契約、知的財産に関する権利、国内供給義務や公共アクセス義務などを取り上げ、CHIPS法、Intel、MP Materials、AIをめぐるパブリック・ウェルス・ファンドや所有の提案へと議論を広げます。後半では、政府が株主であると同時に規制者や支援者、場合によっては顧客にもなることで生じる利益相反や競争への影響を検討します。そのうえで、AIモデル、クラウド、GPUなど上振れ利益が生まれる産業構造を国内に持つ米国と日本の違いを踏まえ、日本では金銭的リターンに加えて、国内供給、計算資源へのアクセス、地域インフラなどを公共リターンとしてどう具体化するかを考えます。最後に、産業政策を評価する際の視点を、誰がリスクを負うのか、何を公共リターンとみなすのか、どの手段で確保し誰が確認するのか、どこへ還元するのか、競争の歪みをどう防ぐのかという五つの問いに整理します。■キーワード公共アップサイド共有(Public Upside Sharing)/公共リターン/産業政策/リスクと報酬の非対称性/アップサイド・シェアリング/株式・ワラント/クローバック/パブリック・ウェルス・ファンド/CHIPS法/公共アクセス/経済安全保障/国有企業ガバナンス00:00 公共アップサイド共有とは何か――成功時に公共は何を受け取るのか01:34 テスラとソリンドラ――公共投資のリスクと報酬の非対称性04:13 税収だけでは十分なのか――公共リターンを求める論理06:54 自然資源から産業政策へ――政策が生む上振れをどう考えるか09:53 公共リターンの四つの設計――金銭・非金銭、企業・市場13:16 IntelとMP Materials――株式だけでは測れない公共負担とリターン16:04 AIが生む富をどう共有するか――パブリック・ウェルス・ファンドと所有19:32 政府が株主になるリスク――利益相反と競争の歪み22:35 米国と日本の違い――上振れ利益を国内で補足できるか24:57 日本で考える公共リターン――半導体、計算資源、電力・地域インフラ28:03 公共アップサイド共有を評価する五つの問い31:13 まとめ――産業政策でリスクとリターンをどう対応させるか■主な参考文献・関連リンクTakaaki Umada, “Public Upside Sharing――公共投資に対する公共のリターン設計,” 2026Mariana Mazzucato, “The Entrepreneurial State: Debunking Public vs. Private Sector Myths,” 2013邦訳:マリアナ・マッツカート『企業家としての国家――イノベーション力で官は民に劣るという神話』大村昭人訳、薬事日報社、2015Andrea Laplane and Mariana Mazzucato, “Socializing the Risks and Rewards of Public Investments: Economic, Policy, and Legal Issues,” 2020CHIPS for America, “Funding Opportunity – Commercial Fabrication Facilities: Fact Sheet: Catalyzing Private Investment,” 2023U.S. Congress, “Bayh-Dole Act (Pub. L. 96-517; 35 U.S.C. §§200–212),” 1980Intel Corporation, “Intel and Trump Administration Reach Historic Agreement to Accelerate American Technology and Manufacturing Leadership,” 2025MP Materials, “MP Materials Announces Transformational Public-Private Partnership with the Department of Defense to Accelerate U.S. Rare Earth Magnet Independence,” 2025OpenAI, “Industrial policy for the Intelligence Age,” 2026Bernie Sanders, “American AI Sovereign Wealth Fund Act,” 2026Cullen O’Keefe, Peter Cihon, Ben Garfinkel, Carrick Flynn, Jade Leung, and Allan Dafoe, “The Windfall Clause: Distributing the Benefits of AI for the Common Good,” 2020OECD, “OECD Guidelines on Corporate Governance of State-Owned Enterprises 2024,” 2024■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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新しい仕事をどう捉えるか――技術変化に対応する労働市場データの設計 【海外シンクタンク記事分析】
新しい技術や産業が広がると、これまでになかった仕事が生まれ、既存の職業でも必要な技能が変わります。しかし、その変化が統計に十分に表れなければ、どの人材をどれだけ育てるのか、どのような教育や訓練を用意するのかという判断も難しくなります。今回のエピソードでは、「新しい仕事をどう捉えるか――技術変化に対応する労働市場データの設計」をテーマに、仕事と技能の変化を捉えるデータ、人材育成の仕組み、公的統計を支える制度を考えます。一本目では、先端・新興技術が生む仕事を既存の統計でどう把握するかを扱います。二本目では、半導体人材を単一の職種不足ではなく、育成・確保・定着まで含む人材パイプラインとして捉えます。三本目では、企業、学校、自治体、働く人などの判断を支える公的統計について、データ共有、信頼、プライバシー、政治的独立性、資金といった制度上の条件を検討します。技術が変わるなかで、仕事の変化をどのようなデータで捉え、その情報を人材政策や意思決定につなげるのかを議論した回です。■キーワード労働市場データ/新職種/技能需要/職業訓練/半導体人材/人材パイプライン/公的統計/統計制度00:00 イントロダクション00:50 新しい仕事と労働市場データ — 技能需要をどう捉えるか14:46 半導体人材 — 育成・確保・定着のパイプライン28:56 公的統計 — 判断を支える情報の制度設計■今回のトピック00:50 新しい仕事と労働市場データ — 技能需要をどう捉えるかBrookings Institutionの記事をもとに、先端技術が生む仕事が従来の統計では十分に見えにくいという問題を取り上げます。半導体では、製造の中核部分だけでなく関連する供給側まで対象を広げると、把握できる求人情報が約3倍になった例が紹介されました。記事は、公的統計に企業の投資計画、求人情報、供給者の分析、企業との対話を組み合わせることを提案しています。本エピソードでは、雇用規模を測る情報と、実際に何を教えるかを決める情報では、必要な細かさが異なることを考えました。求人情報は新しい技能の組み合わせを見つける手掛かりになりますが、その増加率を必要な訓練人数へそのまま置き換えることには注意が必要です。また、企業が給与や実習を伴う育成に関与することや、過去の就職実績だけでは新しい訓練プログラムを支援しにくい場合に、別の根拠をどう確認するかについても議論しました。出典:Brookings Institution, "Traditional labor market data isn’t keeping up with jobs in the ‘frontier economy’"14:46 半導体人材 — 育成・確保・定着のパイプラインCenter for Security and Emerging Technologyのレポートをもとに、半導体の人材不足を単一の職種不足ではなく、人材パイプライン全体の問題として捉えます。レポートでは3,441件の求人広告を分析し、必要な人材が85職種にまたがることを示しています。企業が求める技能に合わせた教育や実習、高度な技能を持つ外国人材やこれまで十分に採用されてこなかった層への参加拡大、企業と教育機関が連携する地域の集積などが論点になります。本エピソードでは、人材の種類によって育成や採用に必要な時間と手段が異なること、工場の投資・稼働計画が変わったときに学ぶ人が負担を負う可能性を取り上げました。また、働きながら技能を身につけられる経路、入社後に新人を育てる側の時間、人材の定着、訓練後の就職や所得まで追う必要性を議論しました。企業の投資判断の時間と、人が学び、経験を積み、次の人を育てられるようになるまでの時間をどう接続するかが中心的な論点です。出典:Center for Security and Emerging Technology, "Strengthening the U.S. Semiconductor Manufacturing Workforce"28:56 公的統計 — 判断を支える情報の制度設計Bipartisan Policy Centerの記事をもとに、米国の連邦統計制度に共通の使命を置くという提案を取り上げます。記事では、政策担当者だけでなく、企業、研究者、自治体、家計の判断を支える情報を公共財として提供することを使命とし、正確さ、適時性、プライバシーを守ったアクセス、信頼の保全、政治的影響からの独立を原則として挙げています。本エピソードでは、統計を異なる主体の判断をつなぐ情報として捉え、回答者の信頼、プライバシー、異なる地域区分や定義を持つデータの接続、詳細データを安全に利用する手続きについて考えました。また、統計の数字が後から改定されることと正確性・独立性の関係、統計制度を維持・近代化する費用についても議論しています。主要な統計機関の予算の実質的な購買力が低下するなかで、統計機関の作業を減らした結果、自治体や研究者がそれぞれデータをつなぎ直すのであれば、社会全体の費用が減ったとは限らないという視点も取り上げました。出典:Bipartisan Policy Center, "A Mission Statement for the Federal Statistical System"■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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科学研究のガバナンス 【海外シンクタンク記事分析】
科学研究の成果は、研究費の規模だけで決まるものではありません。研究成果や研究材料を誰が利用できるのか、研究助成の審査で生まれた情報を別の資金につなげられるのか、研究者が何を研究するかをどこまで自ら決められるのか。今回のエピソード「科学研究のガバナンス――資金・公開・自律性」では、こうした制度の違いが、研究者の選択や知識の流れにどう関わるのかを考えます。一本目では、オープンサイエンスを、論文を読める状態にすることに加えて、研究材料やデータを後続の研究で利用できる状態に保つ仕組みまで含めて考えます。二本目では、公的な研究助成の審査で蓄積された専門的な評価を、研究者の同意のもとで別の資金提供者にも活用する構想を取り上げます。三本目では、政府の研究資金への依存度と研究テーマの変化を手がかりに、将来の資金やキャリアへの懸念が自己検閲につながる可能性を考えます。3本を通じて、公開、資金配分、自律性をどのように組み合わせれば、多様な研究と知識の利用を支えられるのかを議論しました。■キーワード科学研究のガバナンス/オープンサイエンス/研究材料へのアクセス/吸収能力/研究助成審査/審査情報の再利用/学問の自由/自己検閲00:00 イントロダクション01:05 オープンサイエンス — 公開後も利用できる科学をどう支えるか20:57 研究助成審査の再利用 — 評価情報を次の資金へつなげる40:23 学問の自由と自己検閲 — 資金依存が研究テーマに及ぼす影響■今回のトピック01:05 オープンサイエンス — 公開後も利用できる科学をどう支えるかMacroscienceの記事をもとに、科学を、成果の公開、研究者への評価、研究材料へのアクセス、資金制度などから成る経済制度として捉えます。本エピソードでは、論文を読めても研究材料を利用できなければ、後続の研究につながらないことを取り上げました。また、材料やデータを保存・整理し、ほかの研究者が利用できる状態に保つ仕事の重要性も議論しました。さらに、先に発表したことを評価する仕組みと、検証や共有に時間を使うことの緊張関係、外部の研究成果を理解して自らの研究開発に生かす「吸収能力」にも触れています。国内で研究能力を維持する意味についても、世界初の発見を生む力に加えて、海外で生まれた知識を評価し、試し、改良する力まで含めて考えました。出典:Macroscience, "Pierre Azoulay on Open Science as an Economic Institution"20:57 研究助成審査の再利用 — 評価情報を次の資金へつなげるMacroscienceの記事は、公的機関が研究助成の審査で蓄積した申請書や評価情報を、研究者本人の同意を前提に、民間財団など別の資金提供者にも活用してもらう仕組みを提案します。本エピソードでは、2025年のNIHで約6万2,592件の申請に対して8,161件が採択され、採択率は13%だったことも紹介しています。また、審査を合否判定だけで終わらせず、何が評価され、何が懸念されたのかという専門的な情報を、次の資金配分の判断に生かせないかを議論しました。同時に、科学的な評価を共有することと、どの研究を自らの目的に沿って支援するかは別の判断であることも確認しました。審査情報の再利用によって事務負担や時間が減るのか、新たな資金の流入や研究の多様化につながるのかについても、それぞれ分けて評価する必要性を考えました。出典:Macroscience, "America Already Built the World's Largest Science-Vetting Machine"40:23 学問の自由と自己検閲 — 資金依存が研究テーマに及ぼす影響VoxEU / CEPRの記事をもとに、政府の研究資金への依存度と、経済学者が扱う研究テーマの変化との関係を取り上げます。エピソードでは、政府資金への依存度が高い米国の大学で、ジェンダー、人種、環境に関する内容を含む論文の割合が減る一方、依存度の低い大学では同様の変化が確認されなかったという分析を紹介しました。記事は、直接の資金規則だけでは説明できないこうした変化について、自己検閲が広がった可能性を指摘します。本エピソードでは、研究者が将来の資金やキャリアへの不利益を予想することで、表面上は自発的に見えるテーマ選択が変わり得ることを議論しました。また、日本についても、研究者の自由な発想を支える資金と政策課題を重視する資金が共存する意味や、研究を継続できる複数の選択肢、政策判断を後から検証できる独立した知見を維持する重要性を考えました。出典:VoxEU / CEPR, "When political pressure trumps academic freedom"■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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ケアを誰が担い、どう支えるのか 【海外シンクタンク記事分析】
子育てや介護では、家族自身がケアを担う場合もあれば、保育や介護の専門職に委ねる場合もあります。サービスを利用しやすくするには、家計の負担を軽減するだけでなく、施設や人材を確保することも必要です。さらに、家族が仕事を休んでケアを担う場合には、その間の所得をどう支えるかという課題も生じます。今回のエピソード「ケアを誰が担い、どう支えるのか」では、こうしたケアを支える仕組みを3本の記事から考えます。一本目では、保育料を引き下げたカナダで生じた供給不足を取り上げ、料金、申請支援、利用可能な保育の供給をどのように組み合わせるかを考えます。二本目では、英国の介護人材について、賃金や労働条件、人材育成、定着、国際採用を長期的な人材戦略として捉えます。三本目では、ワシントンD.C.の有給家族・医療休暇をめぐり、特定の給付のために集めた資金と給付の関係、制度を利用するための条件、休業後の就業継続について議論します。3本を通じて、利用できるケアサービス、その担い手、家族がケアに充てる時間と所得保障が、どのように関わり合っているのかを考えます。00:00 イントロダクション00:54 保育料引下げと供給不足 — 必要な家庭に保育をどう届けるか18:58 介護人材の確保 — 賃金・育成・定着・国際採用をどうつなぐか37:31 有給家族・医療休暇 — 専用財源と給付の関係をどう保つか■キーワードケア政策/保育供給/保育アクセス/介護人材/公正賃金協定/外国人介護人材/有給家族・医療休暇/社会保険財源■今回のトピック00:54 保育料引下げと供給不足 — 必要な家庭に保育をどう届けるかC.D. Howe Instituteの記事をもとに、カナダで保育料を引き下げた後も残る供給不足を取り上げます。記事は、施設や人材の供給拡大に加え、所得に応じた料金や、対象外の保育にも利用できる給付付き税額控除を提案しています。本エピソードでは、料金の引下げだけでなく、情報提供や申請支援、支援を受け取る時期、場所や時間帯に応じた保育供給まで含めて議論しました。ドイツで約600世帯を対象に行われた実験や、カナダ・ケベック州の前払いの仕組み、日本の保育所の利用状況や「こども誰でも通園制度」にも触れながら、保育を利用したい家庭がどの段階で利用に進めなくなるのか、何を政策の成果として測るのかを考えました。出典:C.D. Howe Institute, "Canada’s Childcare Plan: Affordable, but Still Out of Reach"https://cdhowe.org/publication/canadas-childcare-plan-affordable-but-still-out-of-reach/18:58 介護人材の確保 — 賃金・育成・定着・国際採用をどうつなぐかThe Health Foundationの記事をもとに、英国の介護人材政策を取り上げます。記事では、技能や経験に応じて賃金が上がる共通の賃金体系が世論調査で最も多く選ばれ、賃金や労働条件、訓練、国際採用を長期的な人材戦略として考える必要性が示されています。本エピソードでは、採用人数だけでなく、経験を積んだ職員が働き続け、次の職員を育てられる状態をどうつくるかを議論しました。英国の賃金や定着に関する研究、公正賃金協定と自治体から事業者への資金の流れ、日本の介護職員等処遇改善加算、外国人介護人材の資格取得や在留資格にも触れながら、公的な支援を賃金、学習機会、キャリア形成にどう結びつけるかを考えました。出典:The Health Foundation, "As Burnham focuses on the social care workforce, what are the public’s priorities?"https://www.health.org.uk/features-and-opinion/blogs/as-burnham-focuses-on-the-social-care-workforce-what-are-the-public-s37:31 有給家族・医療休暇 — 専用財源と給付の関係をどう保つかNiskanen Centerの記事をもとに、ワシントンD.C.で、有給家族・医療休暇の給付を削減する一方、給与税率を維持し、余剰資金を一般財源へ移す政策を取り上げます。記事は、給付のために集めた負担と給付の関係が損なわれることを問題視しています。本エピソードでは、制度の収支と政府全体の財政を分けて捉え、余剰と判断する前に、将来どの程度の利用を見込むのか、必要なのに制度を利用できていない人がいないかを確認する必要性を議論しました。日本の育児休業給付の財政運営、給付と雇用保護の違い、介護休業後の就業継続にも触れながら、公的支出が減ったとき、その分のケアに必要な時間や費用を最終的に誰が担うのかを考えました。出典:Niskanen Center, "D.C.'s Paid Family Leave cuts take the 'trust' out of 'trust fund'"https://www.niskanencenter.org/d-c-s-paid-family-leave-cuts-take-the-trust-out-of-trust-fund/■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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公的選択肢(Public Options)とは何か
食料品や医療、エネルギーのように生活に欠かせない財やサービスは、価格が上がっても簡単に利用をやめられません。さらに、人口が少ない地域では、事業者が撤退し、近くで利用できなくなることもあります。今回取り上げる「公的選択肢(Public Options)」は、民間サービスと並んで政府が責任を持つ選択肢を用意し、市場の供給側に関与することで、価格、品質、アクセス、供給の安定について基準点をつくろうとする考え方です。エピソードでは、規制や補助金と公的選択肢の違いを整理したうえで、この発想が米国の医療保険をめぐる議論からどのように広がってきたのかをたどります。また、アクセス、公的価値、アカウンタビリティという設計上の観点を確認し、公的な供給が利用者の選択肢を増やす可能性と、競争条件の違いや民間事業者の撤退を招く可能性の双方を検討します。医療保険については、保険料を抑えるための医療機関への支払い率と、供給者の参加、補助金、品質との関係も取り上げます。後半では、米国各州の医療保険、カリフォルニア州のCalRx、市営食料品店、デジタル公共インフラ(DPI)などの事例を扱います。日本については、国民皆保険と公立病院、郵便貯金、公金受取口座登録制度などを、公的選択肢との違いや共通点から整理します。人口減少が進む地域では、「高くて買えない」という問題に加えて、「近くに供給者がいない」という問題が重要になります。自治体が直接運営する場合だけでなく、最後の提供者や共同調達者としてどのような機能を担うのか、必要なサービスを継続できる条件をどう整えるのかを考えます。■キーワード公的選択肢(Public Options)/市場設計/供給側政策/アクセス/公的価値/アカウンタビリティ/競争中立性/医療保険/デジタル公共インフラ(DPI)/ユニバーサルサービス/共同調達/人口減少00:00 公的選択肢とは何か――価格とアクセスの問題から考える01:50 必需品市場で起きる三つの問題――価格高騰・供給撤退・地域格差03:52 規制・補助金・公的供給――政府は市場にどう関与できるか06:28 公的選択肢の定義――所有ではなく機能と責任で考える08:39 医療保険から広がったPublic Optionsの議論11:33 アクセス・公的価値・アカウンタビリティ――三つの設計原理13:42 公的供給は競争を改善するか――支持論と競争中立性への批判16:09 医療保険の難題――保険料・支払い率・供給者参加・品質19:09 米国各州の公的医療保険とCalRx――政府は何を担うのか21:37 市営食料品店――「安さ」と「近くで買えること」の違い24:18 日本の医療制度――国民皆保険と公立病院をどう位置づけるか26:42 郵便貯金とユニバーサルサービス――全国的なアクセスを支える仕組み29:05 公金受取口座とDPI――政府が共通基盤を整えるという選択肢31:23 人口減少下の公的選択肢――「高くて買えない」から「近くにない」へ34:39 公的選択肢をどう評価するか――価格・アクセス・品質・継続性■主な参考文献・関連リンク馬田隆明, “「公的選択肢」による市場設計――生活必需財に public options を作る,” 2026Ganesh Sitaraman and Anne L. Alstott (eds.), “Politics, Policy, and Public Options,” 2021Ganesh Sitaraman and Anne L. Alstott, “The Public Option: How to Expand Freedom, Increase Opportunity, and Promote Equality,” 2019Suzanne Kahn, “The Public Options Tool Kit: Ensuring Access, Public Value, and Accountability in the Economy,” 2026Jodi L. Liu, Asa Wilks, Sarah A. Nowak, Preethi Rao, and Christine Eibner, “Public Options for Individual Health Insurance: Assessing the Effects of Four Public Option Alternatives,” 2020Aditi P. Sen, Yashaswini Singh, Mark K. Meiselbach, Matthew D. Eisenberg, and Gerard F. Anderson, “Participation, Pricing, and Enrollment in a Health Insurance ‘Public Option’: Evidence From Washington State’s Cascade Care Program,” 2021Economic Security Project, “Opening the Door to Public Grocery Stores,” 2025Rowan Wilkinson, Alex Krasodomski, and Isabella Wilkinson, “The Case for Expanding Digital Public Infrastructure: How Open, Scalable Technology Can Serve Citizens, Preserve Sovereignty and Save Money,” 2025CalRx, “Biosimilar Insulin Initiative,” 2026デジタル庁「公金受取口座登録制度」■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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公費はどこまで暮らしの足を支えるべきか 【海外シンクタンク記事分析】
公共交通は、通勤や通学、通院など、日々の生活を支えています。その維持には多くの地域で公的資金が使われており、公費で何を、どこまで支えるのかが課題になります。移動サービスの維持や改善を優先するのか、脱炭素や地域雇用などの政策目的も交通事業に担わせるのか。さらに、どの程度のサービス水準を確保し、利用者が負担できる運賃まで政策の対象とするのか。今回のエピソードでは、3本の論考を手がかりに、こうした選択を考えます。一本目では、公共交通に複数の政策目的を持たせることで、実際の運行に使える資源との間にトレードオフが生じる可能性を取り上げます。二本目では、公費を補助額だけで捉えるのではなく、運行頻度や運行時間、乗り継ぎなど、利用者が受け取るサービスと結びつける考え方を扱います。三本目では、サービスがあっても運賃を負担できなければ利用しにくいという問題から、運賃引き下げや共通パス、サービス継続の見通しと家計負担の関係を考えました。■キーワード公共交通/公費負担/サービス水準/運賃政策/交通事業者間連携/クロスセクター効果/共通パス/移動機会00:00 イントロダクション01:04 公共交通の政策目的 — 追加要件と移動サービスのトレードオフ20:54 公費とサービス水準 — 利用者が受け取る交通をどう定めるか39:11 運賃と生活費 — 移動できる価格をどう支えるか■今回のトピック01:04 公共交通の政策目的 — 追加要件と移動サービスのトレードオフWorks in Progressの記事をもとに、公共交通に排出削減、地域雇用、住民参加など複数の政策目的を持たせたとき、費用や時間が増え、実際の運行に使える資源が減る可能性を取り上げます。記事は、こうした政策目的の拡大と移動サービスの提供との間に、トレードオフが生じ得ると主張します。本エピソードでは、車両の仕様を高める場合と運行本数を増やす場合を例に、予算上把握しやすい費用だけでなく、便がないことで失われる仕事や活動への参加機会も考慮する必要があると議論しました。また、移動が増える場合でも、自動車から公共交通へ移るケースと、これまで外出できなかった人が移動できるようになるケースでは、排出量への影響が異なることを取り上げます。日本の事例としては、公共交通を廃止した場合に病院送迎やスクールバスなど別部門で必要になる費用を捉えるクロスセクター効果、運転手不足、学校や病院の集約に伴う移動需要、バスを優先する道路運用などを議論しました。公共交通の多面的な価値を評価することと、交通事業者に追加の仕事や条件を求めることを分け、必要なサービス水準、実現方法、追加条件に伴う費用や人員を順に確認することが論点となりました。出典:Works in Progress, "American transit is bad because of scope creep"https://www.worksinprogress.news/p/mission-creep-in-public-transportation20:54 公費とサービス水準 — 利用者が受け取る交通をどう定めるかReason Foundationの記事をもとに、公共交通へ公費を投入するとき、その資金によってどのようなサービスを提供するのかを具体的に定める考え方を取り上げます。記事は、ハンブルクの地域調整、スイスにおける行政と事業者の運行内容・費用に関する合意、ロンドンでの利用者の遅延を踏まえた保守、オランダでの事業者比較などを紹介し、公的資金と提供するサービス、実績評価を結びつけることを提案しています。本エピソードでは、個々の会社や路線だけでなく、自宅から目的地までの乗り継ぎを含む移動全体を評価する視点を議論しました。サンフランシスコ・ベイエリアの共通パスの実証では、対象となった学生の公共交通利用が平均30%増え、事業者をまたぐ乗り継ぎも増えたことを紹介しています。また、事業者間で費用と収入をどう配分するか、複数年の運行を約束する場合に行政と事業者が何を合意するか、設備投資を利用者の遅延や運休の改善とどう結びつけるかを考えました。日本では、一定の区域について自治体と事業者がサービスと費用を協定するエリア一括協定運行事業や、松本地域の取り組みを取り上げ、サービスを購入する側にも、費用を分析し、契約内容を検証・修正する専門性が必要になることを議論しました。出典:Reason Foundation, "International transit systems show practical lessons to improve US transit"https://reason.org/commentary/international-transit-systems-show-practical-lessons-to-improve-us-transit/39:11 運賃と生活費 — 移動できる価格をどう支えるかNew Economics Foundationの報告をもとに、公共交通の運賃を生活費と移動機会の問題として捉えます。報告は、英国で公共交通運賃が物価全体を上回るペースで上昇していることを背景に、バス運賃の上限設定、25歳未満の無料化、鉄道との共通パスなどを提案しています。また、バスの値下げによる便益は低所得層に多く届く一方、鉄道の割引では高所得層の取り分が多くなると分析しています。本エピソードでは、運賃を下げた結果を利用回数だけで評価することの限界を議論しました。米国の低所得世帯を対象とした研究では、無料運賃によって公共交通の利用は増えた一方、移動全体の回数が増えたという結果は得られず、必要な移動を行いやすくなったという本人の評価は改善していました。そこから、すでに行っている通勤や通院の費用負担が軽くなることと、これまで断念していた移動が可能になることを分けて捉えています。また、月額パスの先払い負担と、利用額に応じて自動的に上限を適用する仕組みの違い、運賃やサービスが継続するという見通しが、車の保有や買い替えの判断に関わり得ることも考えました。日本については、利用者の運賃負担を軽減しながら、事業者が運行を続けるために必要な収入や人員をどう確保するか、地域ごとに必要な移動とサービスを公的負担とあわせて定めることについて議論しました。出典:New Economics Foundation, "Getting moving on the cost of living: A plan to bring down bus and rail fares"https://neweconomics.org/2026/07/cutting-the-transport-cost-of-living■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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生活基盤経済(Foundational Economy)とは何か
半導体工場を誘致しても、そこで働く人が暮らせる住宅や、子どもを預けられる保育、通勤を支える交通、家族の介護を担う人材が不足していれば、産業は十分に機能しません。今回取り上げる「生活基盤経済(Foundational Economy)」は、食料、住宅、医療、教育、ケア、交通、エネルギー、上下水道、通信など、人々が日々の生活で依存する財やサービスの供給を、経済政策の中心に置く考え方です。先端産業やGDP成長率に注目が集まりやすい経済政策に対して、社会と産業を支える生活の基盤をどのように維持し、更新するのかを問い直します。エピソードでは、2013年に英国で提起された生活基盤経済の考え方から出発し、「社会的フランチャイズ」という捉え方や、公共と民間が混在する供給制度としての特徴を整理します。さらに、レイチェル・リーブスが提起した「日常経済(Everyday Economy)」との違いを確認しながら、議論の焦点が産業部門から市民の権利、さらに世帯の「生活可能性(Liveability)」へと広がってきた過程をたどります。残余所得、社会インフラ、必需サービスという生活可能性の構成要素を踏まえ、所得再分配だけでは扱いきれない供給制度の問題や、公共調達を通じた制度設計についても考えます。後半では、ウェールズでの政策化とその評価、地域内循環を目的化する「ローカル・トラップ」の問題、英国で日常経済からセキュロノミクスや先端産業を重視する産業戦略へと議論が移っていった経緯を検討します。そのうえで、経済安全保障を生活基盤の供給という観点から捉える可能性や、日本における公共交通の縮小、介護人材不足、災害時の脆弱性、自治体の調達・維持能力といった課題を考えます。生活基盤をどのように測るのか、社会的共通資本など日本にある考え方とどう接続できるのか、そして生活を中心とする政策思想を将来への投資としてどう構成できるのかまで議論します。■キーワード生活基盤経済(Foundational Economy)/日常経済(Everyday Economy)/生活可能性(Liveability)/残余所得/社会インフラ/必需サービス/社会的フランチャイズ/公共調達/ローカル・トラップ/セキュロノミクス/生活基盤の安全保障/社会的共通資本00:00 生活基盤経済(Foundational Economy)とは何か02:41 先端産業を支える「見過ごされてきた土台」06:15 日常経済(Everyday Economy)との違い09:31 2013年から2023年へ――産業・市民権・生活可能性12:50 生活可能性を構成する残余所得・社会インフラ・必需サービス15:29 再分配から供給制度へ――公共調達が持つ役割18:46 ウェールズでの政策化――調達・地域企業・フェアワーク21:39 「ローカル・トラップ」――地元優先を目的化するリスク24:10 日常経済からセキュロノミクスへの転換27:19 経済安全保障を「生活基盤の安全保障」から捉える30:17 生活基盤をどう測るか――四つの指標33:13 日本の生活インフラに見える四つの亀裂36:04 バス路線の縮小から無償ケア負担へ――供給劣化の連鎖39:22 なぜ「生活」は政治の中心テーマになりにくいのか42:07 ウェルビーイング・ケア・グリーン・地域経済を束ねる視点■主な参考文献・関連リンクTakaaki Umada, “Foundational Economy(生活基盤経済)――生活安全保障につながる経済政策,” 2026Justin Bentham et al., “Manifesto for the Foundational Economy,” CRESC Working Paper 131, 2013The Foundational Economy Collective, “Foundational Economy: The Infrastructure of Everyday Life,” 2018Rachel Reeves, “The Everyday Economy,” 2018Neil McInroy, “The Everyday Economy: Framing a New Political Economy for the UK?,” 2018Bertie Russell, David Beel, Ian Rees Jones and Martin Jones, “Placing the Foundational Economy: An emerging discourse for post-neoliberal economic development,” 2022Luca Calafati, Julie Froud, Colin Haslam, Sukhdev Johal and Karel Williams, “When Nothing Works: From Cost of Living to Foundational Liveability,” 2023Richard Crisp, “From ‘everyday economy’ to ‘securonomics’: the implications of the Chancellor’s evolution in economic thinking,” 2024Senedd Economy, Trade and Rural Affairs Committee, “The Foundational Economy,” 2025UK Government, “The UK’s Modern Industrial Strategy,” 2025■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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人口が減る国・増える国――労働市場はどう適応するか 【海外シンクタンク記事分析】
人口が減る国と、若い労働力が増える地域が同時に存在するなかで、働き手の不足は人の移動だけで調整できるのでしょうか。今回のエピソード「人口が減る国・増える国――労働市場はどう適応するか」では、移民政策、技能形成と国際的な労働移動、AIによる仕事の変化に対応する雇用政策を取り上げます。一本目の記事では、移民を高齢化への対応に位置づける際、受け入れる人数に加えて、技能を生かして働ける環境や、住宅・公共サービス、老後まで含めて考える必要性を検討します。二本目では、アフリカのグリーン分野を題材に、企業の需要に合った技能形成、国境を越えて通用する資格、労働移動をどのように一体として設計するかを考えます。三本目では、AIによって仕事の内容や必要な人材が変わるなかで、再訓練、所得保障、自動化へのルールなどをどう組み合わせるかを扱います。3本を通じて、人材を必要な仕事に接続し、仕事の変化に応じて別の職種へ移れるようにするために、労働市場と制度がどのように適応できるのかを考えます。■キーワード人口高齢化/移民政策/統合政策/技能形成/資格認証/国際労働移動/AI雇用政策/政府の実施能力00:00 イントロダクション01:04 移民政策と高齢化 — 受け入れ人数の先に何を見るか17:39 技能形成と国際労働移動 — 育成から就職までをどうつなぐか33:11 AIと雇用政策 — 異なる目的の政策をどう組み合わせるか■今回のトピック01:04 移民政策と高齢化 — 受け入れ人数の先に何を見るかMigration Policy Instituteの政策ブリーフをもとに、高齢化への対応として移民をどのように位置づけるかを扱います。記事は、技能や就業可能性を重視すること、言語教育などの統合支援を生産性への投資として捉えること、住宅や公共サービス、老後まで含めて制度を設計することなどを提案しています。本エピソードでは、移民政策の成果を人口の増加だけで測るのではなく、必要なサービスを供給できるか、技能を生かして働き続けられるか、ほかの人の就業にも影響するかといった観点から考えました。また、統合支援の中長期的な効果をどう評価するか、受け入れ地域が負担する住宅や公共サービスの費用、帰国後も含めた老後の所得保障まで視野を広げ、誰に利益が生じ、誰がいつ費用を負担するのかを議論しました。出典:Migration Policy Institute, "Population Aging Is Here. Immigration Can Offer Half an Answer."17:39 技能形成と国際労働移動 — 育成から就職までをどうつなぐかCenter for Global Developmentの記事をもとに、アフリカで増える若い労働力を、グリーン分野を含む国内外の雇用へどう接続するかを取り上げます。記事は、企業の需要に合った技能形成、地域や国境を越えて技能を証明できる資格、労働移動の仕組みを一体で考える必要性を示しています。本エピソードでは、企業が育成段階から必要な技能を伝える仕組みや、訓練内容を実際の採用や事業計画と対応させる必要性を議論しました。さらに、資格を取得しても、就労資格や現地の制度が整わなければ雇用にはつながらないことを確認しました。受け入れ国が育成にも関与する技能パートナーシップについては、海外就職を広げながら、送出国の育成能力や国内人材も増やせる条件を考えました。出典:Center for Global Development, "Africa Must Invest in Skills, Portability, and Mobility for the Green Transition"33:11 AIと雇用政策 — 異なる目的の政策をどう組み合わせるかBrookings Institutionの論考をもとに、AIによる仕事の変化に対応する雇用政策を取り上げます。記事は、政策を「ブレーキ」「誘導策」「緩衝策」「転換」の四つに整理し、目的に応じて組み合わせる必要性と、それらを実際に機能させる政府の実施能力を論じています。本エピソードでは、現在の雇用を維持すること、転職中の所得を支えること、より良い仕事への移行を支えることでは、必要な政策も評価指標も異なると整理しました。また、AIによって作業時間が減っても、それが雇用や所得の改善に直結するとは限らないことを踏まえ、企業が生まれた余力をどう使うのか、再訓練を受けた人が実際にどの仕事へ移れるのか、必要なサービスの供給と働き手の利益をどう両立させるのかを議論しました。出典:Brookings Institution, "Getting to all-of-the-above: A framework of solutions for AI’s coming impacts on work and workers"■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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自給か輸入か、ではない——食料安全保障を捉え直す 【海外シンクタンク記事分析】
食料安全保障を考える際、国内でどれだけ生産するのか、海外からどれだけ輸入するのかという対比だけでは、平時の価格や危機時の供給能力まで十分に捉えられません。今回のエピソードでは、「自給か輸入か、ではない——食料安全保障を捉え直す」をテーマに、国内の生産能力、輸入先の分散、備蓄、平時からの官民の備えを取り上げます。一本目では、日本のコメ価格上昇を手がかりに、家計が食料を購入できることと、危機時にも国内で生産できる能力をどう両立するかを考えます。二本目では、中国による国内生産の強化、輸入先の分散、備蓄が、世界の食料市場や主要生産国に及ぼす影響を検討します。三本目では、国内生産と国際調達を組み合わせながら、備蓄や設備、費用負担、情報共有、官民連携といった備えを平時から維持する仕組みを考えます。3本を通じて、自給率だけで食料安全保障を捉えることの限界と、国内に残す生産能力、海外からの調達、備蓄の水準、それらを平時から支える主体まで含めて考える必要性を議論します。■キーワード食料安全保障/食料自給率/生産能力/輸入先分散/備蓄/食品アクセス/官民連携/ストレステスト00:00 イントロダクション01:10 日本のコメと食料安全保障 — 平時の価格と危機時の生産能力19:30 中国の食料戦略 — 世界市場への影響と調達の変化39:16 平時から備える食料供給 — 官民連携と費用負担■今回のトピック01:10 日本のコメと食料安全保障 — 平時の価格と危機時の生産能力CSISの記事をもとに、日本のコメ価格上昇と食料安全保障を取り上げます。記事は、国全体で食料を供給できることと、一つひとつの世帯が必要な食料を購入できることを分けて捉え、自給率そのものよりも、危機時に使える農地、農業者、技術といった生産能力を維持することを重視します。また、コメ価格を高く保てば消費者の負担が増え、価格を下げれば農家の所得を圧迫するという問題を整理しています。本エピソードでは、平時、数週間から数か月程度の供給不足、長期的な輸入途絶という時間軸の違いによって、必要な対応が変わることを議論しました。さらに、生産能力を農地面積や農業者数だけで評価せず、農業用水、種子、肥料、機械、加工、保管、輸送まで含め、必要な時期に実際に増産できる状態として把握することや、農家所得を価格以外の制度で支える場合の移行手順について考えました。出典:Center for Strategic and International Studies (CSIS), "Rice at a Crossroads: Rethinking Japan’s Food Security"https://www.csis.org/analysis/rice-crossroads-rethinking-japans-food-security19:30 中国の食料戦略 — 世界市場への影響と調達の変化Chatham Houseの記事をもとに、中国が進める国内生産の強化、輸入先の分散、備蓄、輸送経路の整備などを取り上げます。記事は、中国の食料安全保障を国内生産だけで捉えず、輸入や備蓄を組み合わせた政策として整理しています。また、中国の輸入需要が長期的に減少すれば主要生産国には調整の時間が生まれる一方、国内の不作などで輸入が急増する可能性や、中国の政策変更が農産物価格、土地利用、生産国の農家所得、物流投資に影響を及ぼす可能性も指摘しています。本エピソードでは、大豆、小麦、食肉など、品目によって国内生産と輸入をめぐる条件が異なることや、中国の輸入減少の速度について複数の見通しがあることを議論しました。また、生産国が不足時にどこまで追加供給できるかという供給弾力性、中国の備蓄や需要変化の予見可能性、森林破壊などの環境負荷が別の地域へ移る可能性を取り上げました。さらに、日本の政府や企業が複数の調達先との関係や長期契約、物流への投資をどう維持するかについて考えました。出典:Chatham House, "Can the world benefit from China’s quest for food security?"https://www.chathamhouse.org/2026/07/can-world-benefit-chinas-quest-food-security39:16 平時から備える食料供給 — 官民連携と費用負担査読誌Agricultural and Food Economicsに掲載された論文をもとに、食料供給への備えを危機発生後の対応に限らず、平時の事業運営や政策にどう組み込むかを取り上げます。論文は、企業が非常時のための在庫や設備を維持するには費用がかかる一方、行政側にも政策分野の分散や時間軸の違いといった問題があると整理します。そのうえで、重要事業者への最低基準、官民による備蓄、費用を分担する財政手段、国内能力と安全な国際貿易の組み合わせなどを提案しています。本エピソードでは、何をどの水準で維持すれば備えが十分と評価できるのか、設備や在庫などの対応能力と、危機時にも実際に食料が届いたという成果をどう区別するかを議論しました。また、企業自身が負担する事業継続のための備え、公的負担の根拠がある備え、重要事業者に求める最低限の義務、食料を購入できない世帯への支援を分けて考えました。さらに、ストレステストや定期的な利用可能性の確認を通じて、平時から供給能力を維持する仕組みについて検討しました。出典:Agricultural and Food Economics, "PREPARE: a theoretical framework to improve food supply security in highly privatised and fragmented food systems"https://link.springer.com/article/10.1186/s40100-026-00507-5■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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Good Life Agenda とは何か 【海外シンクタンク記事分析】
経済が成長し、賃金が上がっていても、家賃や保育・医療の負担が重く、行政や企業の手続きに時間を取られ続ければ、生活が良くなったという実感は生まれにくくなります。Roosevelt Instituteが2026年に公表したGood Life Agenda(グッド・ライフ・アジェンダ)は、こうしたマクロの経済指標と生活実感の乖離を背景に、民主主義は人々の生活を実際に良くできるのかという問いを掲げます。政策の成果を、生活必需品の手頃さ、安定的かつ上昇する所得、十分な時間という三つの観点から捉え直す構想です。エピソードでは、Good Life Agendaの背景を、ニューディール、2015年の「Rewriting the Rules of the American Economy」、バイデノミクスへと続く流れから整理します。さらに、事前分配、現代サプライサイド経済学、生産主義、ミッション思考との関係を確認しながら、価格や所得だけでなく、それらを左右する交渉力や力関係まで政策の対象とする特徴を検討します。また、政策成果を届けることに重点を置くデリバリズムと、労働組合やテナント組織などを通じて市民の交渉力を形成する権力構築(Power-Building)の違いも取り上げます。後半では、公的選択肢、税制、産業政策、反独占・反買い手独占、金融政策、対抗権力という六つの統治ツールを整理します。さらに、行政や企業の手続きによって失われる時間を捉える「時間税」、ケア経済、AIによる生産性向上を生活者の時間へどう還元するかという問題を扱います。供給拡大を重視するアバンダンスとの緊張関係を整理したうえで、日本の賃上げ、少子化対策、行政DXについても検討します。最後に、国家能力と財源、政策に付す条件と供給速度の両立、国際摩擦という実装上の課題を取り上げ、評価指標、透明性、撤退条件まで含めた制度設計を考えます。■キーワードGood Life Agenda/アフォーダビリティ/安定的・上昇する所得/時間主権(Time Sovereignty)/時間税(Time Tax)/デリバリズム(Deliverism)/権力構築(Power-Building)/対抗権力(Countervailing Power)/国家能力(State Capacity)/ケア経済/AIと労働/アバンダンス(Abundance)00:00 Good Life Agendaとは何か――生活実感から政策を測り直す02:11 良き生活を構成する三つの柱――必需品・所得・時間04:35 アフォーダビリティを超えて――価格・時間・交渉力をどう捉えるか07:10 ニューディールからバイデノミクスまで――Good Life Agendaの政策的背景10:10 事前分配・現代サプライサイド経済学・生産主義・ミッション思考との関係13:35 デリバリズムから権力構築へ――政策と民主主義をどう結びつけるか16:54 Good Life Agendaを実現する六つの統治ツール20:32 「時間税」とは何か――手続きが奪う生活時間23:43 ケア経済の矛盾――保育の負担とケア労働者の待遇26:44 AIの生産性向上を「時間主権」へ変えられるか29:34 アバンダンスとの違い――供給拡大の質と分配を問う32:51 日本の賃上げと少子化対策をGood Lifeの観点から考える36:03 行政DXは市民に時間を返しているか39:27 Good Life Agendaの三つの実装課題――国家能力・条件付与・国際摩擦43:06 政策を生活時間・交渉力・必需品の手頃さから評価する■主な参考文献・関連リンク馬田隆明, “Good Life Agenda,” 2026Elizabeth Wilkins, Suzanne Kahn, Matt Hughes, Rey Fuentes, Noa Rosinplotz, “The Good Life Agenda,” 2026Joseph Stiglitz, Nell Abernathy, Adam Hersh, Susan Holmberg, Mike Konczal, “Rewriting the Rules of the American Economy,” 2015Deepak Bhargava, Shahrzad Shams, Harry Hanbury, “The Death of ‘Deliverism’,” 2023Alexander Hertel-Fernandez, “Beyond Deliverism,” 2025Chad Maisel and Neale Mahoney, “Taking on the Annoyance Economy,” 2026Ezra Klein and Derek Thompson, “Abundance,” 2025邦訳:エズラ・クライン、デレク・トンプソン『アバンダンス 「豊かな時代」を呼びさませ』土方奈美訳、ニューズピックス、2025Scott Lincicome and Huan Zhu, “Questioning Industrial Policy: Why Government Manufacturing Plans Are Ineffective and Unnecessary,” 2021■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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研究者を生かす『接続』と研究環境 【海外シンクタンク記事分析】
科学技術を支える人材は、国内で何人育成するかだけで決まるわけではありません。卒業後に研究や産業へ進める制度、研究者が利用できる資金や組織、国境を越えて人材が移動できる条件まで含めて考える必要があります。今回のエピソード「研究者を生かす『接続』と研究環境」では、米国の政策動向を中心とする3本の論考から、人材と制度のつながりを考えます。一本目では、米国の学生ビザ制度の変更を取り上げ、在留期間や延長審査、OPTから就労ビザへの移行が、高度人材の獲得や進学先の選択にどう関わるのかを検討します。二本目では、米国の新しい科学戦略を手がかりに、長期助成、新しい研究組織、研究費の規模、審査の独立性、国内外の研究人材の位置づけを考えます。三本目では、ITIFが提案する戦略的技術経済協定を取り上げ、通商、投資、輸出管理、研究、人材移動を同盟国間でまとめて扱う構想と、その実行可能性や中国との関係を議論します。三本を通じて、研究者や技術者が学んだ後、研究、就労、資金、組織、国際移動へどのようにつながっていくのかを考えます。人材の数だけでは捉えにくい、制度間の「接続」に注目します。■キーワード留学生政策/実務研修制度(OPT)/研究助成/研究組織/研究セキュリティ/高度人材の国際移動/戦略的技術経済協定(STEA)/産業コモンズ00:00 イントロダクション00:52 米国の学生ビザ改革 — 留学から高度人材の定着までをどう考えるか22:19 米国の新科学戦略 — 資金の配り方と研究の独立性44:12 戦略的技術経済協定 — 同盟国で通商・技術・人材を束ねられるか■今回のトピック00:52 米国の学生ビザ改革 — 留学から高度人材の定着までをどう考えるかPeterson Institute for International Economicsの記事をもとに、留学生の在留期間を原則最長4年とし、それ以上の滞在に延長申請を求める新しい規則を取り上げます。記事は、留学、卒業、OPTによる就労、就労ビザへの移行を一連の過程として捉え、途中の制度変更が将来の人材供給にも影響し得ると主張します。本エピソードでは、問題の中心を4年という年数だけに置かず、学業や就労の途中に個別の行政審査が加わることで生じる不確実性について検討しました。また、外国人STEM人材が生産性に与える影響について異なる研究結果を確認し、記事が示す大きなGDP損失の試算も、新規則だけによる確定的な予測として扱うべきではないと整理しました。日本については、留学生数に加えて、大学院への進学、研究職や企業への移行、在留資格の変更、数年後の定着まで継続して確認する必要性や、不正対策をどの範囲に適用するかを議論しました。出典:Peterson Institute for International Economics, "A new US rule to restrict student visas will hurt the US economy"https://www.piie.com/blogs/realtime-economics/2026/new-us-rule-restrict-student-visas-will-hurt-us-economy22:19 米国の新科学戦略 — 資金の配り方と研究の独立性Atlantic Councilの記事をもとに、米国の新しい科学戦略と研究資金制度の見直しを取り上げます。記事では、大学中心だった研究資金の配分を見直し、長期的な支援、研究者本人への助成、FROやX-Labsなど新しい研究組織への資金提供を広げる方向性が紹介されています。その一方で、大幅な研究予算の削減要求や、政治任用者が助成候補を確認する規則について懸念も示されています。本エピソードでは、研究資金の総額と配分方法を分けて考えました。基礎研究、共同研究、実証など、研究の性質によって適した助成方法が異なる可能性を検討し、新しい制度を導入した件数そのものを成果としないことも議論しています。また、政府が国家的な研究目標を設定することと、個別の研究課題を選定することを分け、専門的な審査や研究の独立性をどのように保つかを考えました。国内人材の育成と海外研究者の獲得を一つの人材政策として捉えることや、研究セキュリティを具体的な技術や情報へのアクセスに応じて管理するという論点も扱っています。出典:Atlantic Council, "How will Trump’s new science strategy change US research?"https://www.atlanticcouncil.org/dispatches/how-will-trumps-new-science-strategy-change-us-research/44:12 戦略的技術経済協定 — 同盟国で通商・技術・人材を束ねられるかInformation Technology and Innovation Foundationの報告書をもとに、米国と同盟国が通商、技術、投資、研究、人材、安全保障を一つの協定にまとめる「戦略的技術経済協定」を取り上げます。記事は、中国との技術競争に米国だけで対応することは難しいとして、輸出管理などの負担を同盟国に求める一方、市場アクセス、共同投資、人材移動などの便益も組み合わせる構想を示しています。本エピソードでは、重要な生産能力をどこまで共同で維持するべきか、15分野をまとめた協定が実際に成立するのか、中国との経済関係をどの範囲まで制限するのかを検討しました。対象産業については、供給が止まった際の損失、代替可能性、生産能力を再構築するまでの期間、他産業への影響などを基準に考えるという論点を扱っています。また、協力を段階的に進める可能性も検討しました。日本が参加を判断する際には、中国への制約とあわせて、市場アクセス、共同投資、人材移動など、参加によって得られる条件を確認する必要があることも議論しました。出典:Information Technology and Innovation Foundation, "Mobilizing for Techno-Economic War, Part 6: From Free Trade Agreements to Strategic Techno-Economic Agreements"https://itif.org/publications/2026/07/27/mobilizing-techno-economic-war-6-free-trade-agreements-strategic-techno-economic-agreements/■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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Affordability Agenda とは何か 【海外シンクタンク記事分析】
米国では、インフレ率の上昇が鈍っても、家賃、食料、保育、医療、保険などの負担が高止まりしているため、賃金が追いつかなければ生活の苦しさは残ります。こうした状況を背景に、生活に必要なものを実際に支払えるか、手に入れられるかを政策の中心に置く「アフォーダビリティ・アジェンダ(Affordability Agenda)」が、2026年の米国政治で重要な言葉になっています。民主党の中道派と進歩派、共和党はいずれも生活費の問題を掲げていますが、その原因の捉え方と政策手段は大きく異なります。本エピソードでは、アフォーダビリティをめぐる考え方を六つの潮流から整理します。供給を重視するアバンダンス、政策を実行する国家能力、企業権力に注目する反独占、価格と所得の双方を見る経済的安定、規制や関税を問題視する自由市場主義、家族や労働者の生活基盤を重視する保守ポピュリズムです。さらに、CPIでは捉えにくい地域・世帯ごとの生活費や生活賃金、Cost-of-Thriving Indexをめぐる論争を通じて、「生活できる」とは何を意味し、それをどう測るのかを検討します。後半では、直接補助、供給拡大、競争政策・価格統制を比較し、それぞれの利点と限界を整理します。加えて、住宅価格だけでは把握できない金利と毎月の支払額の関係、AIを利用した監視型価格設定やRealPageをめぐる問題を取り上げます。最後に、日本の物価高対策、賃上げ、エネルギー補助、子育て支援などを踏まえ、家計の余力と必需サービスへのアクセスをどう捉えるか、地域や世帯によって異なる生活費をどう測るか、そして「暮らしを守る」ときにどのような生活を標準とするかを考えます。■キーワードアフォーダビリティ・アジェンダ/アバンダンス/国家能力(State Capacity)/反独占/経済的安定(Economic Security)/自由市場主義/保守ポピュリズム/生活賃金/Cost-of-Thriving Index(COTI)/直接補助/供給拡大/監視型価格設定(Surveillance Pricing)00:00 アフォーダビリティ・アジェンダとは何か02:10 インフレ率が下がっても残る生活費の負担05:15 アフォーダビリティをめぐる六つの政策思想07:55 供給と制度に注目する三つの潮流――アバンダンス・国家能力・自由市場主義12:22 権力と社会構造に注目する三つの潮流――反独占・経済的安定・保守ポピュリズム16:27 民主党内でも異なる二つのアフォーダビリティ19:50 「生活できる」をどう測るか――CPIと生活費指標23:28 Cost-of-Thriving Indexをめぐる測定と価値観の論争26:32 補助・供給・競争政策をどう組み合わせるか30:48 金利が変える住宅の支払い能力33:18 AIによる監視型価格設定とRealPage問題36:56 日本の物価高対策をどう捉え直すか40:32 アフォーダビリティが問う「どんな生活に参加できるか」■主な参考文献・関連リンク馬田隆明, “Affordability Agenda ――「手の届く生活」アジェンダ,” 2026Ezra Klein and Derek Thompson, “Abundance,” 2025邦訳:エズラ・クライン、デレク・トンプソン『アバンダンス 「豊かな時代」を呼びさませ』土方奈美訳、ニューズピックス、2025Inclusive Abundance Initiative, “Inclusive Abundance Initiative Announces The Abundance Agenda,” 2026Cato Institute, “The Cato Institute Handbook on Affordability,” 2026Roosevelt Institute, “The Good Life Agenda,” 2026New Democrat Coalition, “New Dems Unveil Affordability Agenda, the Coalition’s Answer to the Cost of Living Crisis,” 2026Congressional Progressive Caucus, “The New Affordability Agenda,” 2026The White House, “Delivering Emergency Price Relief for American Families and Defeating the Cost-of-Living Crisis,” 2025The White House, “Removing Regulatory Barriers to Affordable Home Construction,” 2026Massachusetts Institute of Technology, “Living Wage Calculator”Gregory Acs, Ilham Dehry, Linda Giannarelli, and Margaret Todd, “Measuring the True Cost of Economic Security: What Does It Take to Thrive, Not Just Survive, in the US Today?,” Urban Institute, 2024Oren Cass, “The 2023 Cost-of-Thriving Index,” American Compass, 2023Scott Winship and Jeremy Horpedahl, “The Cost of Thriving Has Fallen: Correcting and Rejecting the American Compass Cost-of-Thriving Index,” American Enterprise Institute, 2023Jared Bernstein and Neale Mahoney, “Building an Affordable Economy: A Three-Legged Stool Strategy,” Stanford Institute for Economic Policy Research, 2025Federal Trade Commission, “FTC Surveillance Pricing 6(b) Study: Research Summaries; A Staff Perspective,” 2025U.S. Department of Justice, “Justice Department Sues RealPage for Algorithmic Pricing Scheme that Harms Millions of American Renters,” 2024■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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AI 主権を決める『依存』の選択 【海外シンクタンク記事分析】
AIを国内で利用できることと、そのAIを自国や自組織の判断で継続して運用できることは、必ずしも同じではありません。計算資源、データセンター、モデルを外国企業や他国に依存する場合、設備やデータを誰が管理するのか、どの国の法制度が適用されるのか、供給条件が変わったときに代替手段へ移行できるのかといった問題が生じます。今回のエピソードでは、こうした「依存の選択」という観点からAI主権を考えます。一本目では、米中と同じ規模でAI能力を整えることが難しい英国が、重要な能力を国内で確保しながら、他国との連携をどう組み合わせるかを扱います。二本目では、フロンティアAIのデータセンターを海外に置く場合の利点と、法域、物理的な脆弱性、長期的な依存、復旧能力などのリスクを検討します。三本目では、自ら運用できるオープンウェイトモデルが広がるなか、中国企業のモデルの台頭と、モデルの由来、変更履歴、評価、運用責任をどう確認するかを考えます。3本を通じて、AI主権を国内生産の比率だけで捉えるのではなく、重要な機能を継続できるか、供給者を変更できるか、データやモデルを管理できるかという観点から整理します。■キーワードAI主権/技術主権/推論能力/データセンター立地/法域/レジリエンス/オープンウェイトモデル/モデルの系譜00:00 イントロダクション00:49 AI主権と中堅国 — 何を国内で確保し、何を共同化するか25:21 海外データセンター — 機能と法域をどう見るか48:14 オープンウェイトモデル — 所有と信頼をどう考えるか■今回のトピック00:49 AI主権と中堅国 — 何を国内で確保し、何を共同化するかChatham Houseの記事をもとに、英国が米国や中国と同じ規模ですべてのAI能力を整えるのではなく、重要な計算資源、データ、研究能力、産業基盤などを選んで国内に確保し、他国との連携を組み合わせる考え方を取り上げます。記事は、産業政策、公共サービス、国際協力にまたがる提案を示しています。本エピソードでは、技術主権を単なる所有や国内生産の比率として捉えるのではなく、重要な業務を継続できるか、外国サービスから移行できるか、供給条件を交渉できるかという観点から考えました。また、国内の計算資源が実際の代替手段や交渉力につながる条件に加え、公共データの利用、行政内部の実装能力、供給者を変更できる技術仕様や契約、公共の信頼についても議論しました。出典:Chatham House, "What the UK government should do on AI and tech policy"https://www.chathamhouse.org/2026/07/what-uk-government-should-do-ai-and-tech-policy25:21 海外データセンター — 機能と法域をどう見るかBrookings Institutionの論考をもとに、フロンティアAIのデータセンターを海外に置く際の国家安全保障上のリスクを取り上げます。記事は、海外立地を一律に否定するのではなく、どのような資産や計算処理を、どの法域に、どのような条件で置くのかを評価する必要性を示しています。本エピソードでは、データセンターを、土地・電力・通信などのインフラ、半導体やサーバー、モデルの重みやデータ、運用権限、実際の計算処理といった複数の要素に分けて考えました。さらに、機密性、完全性、可用性、受入国の法的権限、施設を失った場合の再構成時間、代替能力の有無を確認する必要性について議論しました。海外への分散がレジリエンスを高める場合も含め、所在地だけで危険度を判断しないという視点を検討しています。出典:Brookings Institution, "The national security implications of building frontier AI data centers overseas"https://www.brookings.edu/articles/the-national-security-implications-of-building-frontier-ai-data-centers-overseas/48:14 オープンウェイトモデル — 所有と信頼をどう考えるかAtlantic Councilの記事をもとに、企業や政府が自らの設備で運用できるオープンウェイトモデルと、中国企業による有力モデルの公開を取り上げます。記事は、西側でも高性能なオープンウェイトモデルの選択肢を増やすとともに、モデルの由来や変更履歴を開示し、機密性の高い用途では独立評価を行うことなどを提案しています。本エピソードでは、モデルを自社で運用することでデータやバージョンを管理しやすくなる一方、脆弱性への対応や更新、復旧などの責任も利用組織側へ移ることを議論しました。また、オープンウェイトであっても学習過程全体を監査できるとは限らないことや、モデル名だけでなく、バージョン、用途、由来、変更履歴、評価結果を確認する必要性、政府調達や企業のAI管理における判断基準について考えました。出典:Atlantic Council, "The best AI you can own is Chinese. The West needs to close that gap quickly."https://www.atlanticcouncil.org/blogs/the-best-ai-you-can-own-is-chinese-the-west-needs-to-close-that-gap-quickly/■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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移民政策の最新論点整理 [2026年5月-8月] 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、直近三カ月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を手がかりに、移民政策をめぐる三つのテーマを整理します。難民や避難民が労働移民制度を実際に利用できるか、移住後に外国人労働者が技能を生かして働けるか、そして統合政策を実施しながら住民の信頼を得られるか。移民政策を、入国から就労、社会への統合までの異なる段階から考えます。一つ目のテーマは、難民保護と労働移民制度の接続です。技能や職歴を持つ難民や避難民でも、旅券や資格証明などを用意できず、通常の労働移民制度を利用しにくい場合があります。オーストラリアで既存の技能移民制度に特例を設けた事例と、ラテンアメリカ・カリブ地域から欧州などへの就労移住を扱った政策分析をもとに、書類や技能の確認、求人と候補者の仲介、ビザ手続、失職後の在留と保護までをどのように整えるかを取り上げます。二つ目のテーマは、外国人労働者の技能活用と職業移動です。仕事に就いた人数だけでなく、本人の学歴や職歴を生かせる安定した仕事へ進めたかまで捉えるには、どのような支援と評価が必要なのでしょうか。都市による就労支援、カナダの外国資格認定、米国の短期職業訓練を扱う三本の記事から、就職後の仕事の質や所得を追うこと、すでに持つ資格や技能を適切に評価すること、不足する技能を訓練や生活支援と組み合わせて補うことを整理します。三つ目のテーマは、統合政策と住民の信頼の両立です。政府が厳しい規制を示すこと、外国人の就労や生活を支援すること、地域が政策を実施できる体制を整えることは、それぞれ異なる課題です。欧州の統合政策、英国における実際の移民数と住民認識のずれ、中央政府と地域の役割分担を扱う三本の記事を通じて、統合の成果、住民による政策の受け止め方、行政の実施能力を整理します。00:00 イントロダクション02:11 【テーマ1】難民保護と労働移民制度の接続13:46 【テーマ2】外国人労働者の技能活用と職業移動27:04 【テーマ3】統合政策と住民の信頼の両立■ 紹介した論考1)Kaldor Centre for International Refugee LawLabour mobility for skilled refugees: Improving outcomes for regional Australiahttps://www.unsw.edu.au/content/dam/pdfs/law/kaldor/2026-05-policy-brief-labour-mobility-skilled-refugees-regional-australia.pdf2)Migration Policy Institute EuropeMaking Labour Migration Pathways Work for Displaced People: Lessons from Latin Americahttps://www.migrationpolicy.org/mpi-europe/publication/labour-migration-displaced-people-latin-america3)Migration Policy Institute / Mayors Migration CouncilCreating Inclusive Urban Economies for Migrants and Refugeeshttps://www.migrationpolicy.org/publication/inclusive-urban-economies-migrants-refugees4)Institute for Canadian CitizenshipReady to Contribute: How a Fair Licensing Act Can Put Immigrants’ Talents to Full Use for Canadahttps://forcitizenship.ca/wp-content/uploads/2026/05/Ready_to_Contribute_EN.pdf5)Niskanen CenterBuilding Workforce Pell for the real economy requires leveraging all available talenthttps://www.niskanencenter.org/building-workforce-pell-for-the-real-economy-requires-leveraging-all-available-talent/6)Migration Policy Institute EuropeBeyond Control Signalling: Designing Integration Policies for Better Outcomes and Public Trusthttps://www.migrationpolicy.org/research/control-signalling-integration-policies7)British FutureAfter the fall: Why hasn’t falling immigration changed public attitudes?https://www.britishfuture.org/publication/after-the-fall-why-hasnt-falling-immigration-changes-public-attitudes/8)Institute for Public Policy Research(IPPR)English devolution and migration: A role for strategic authoritieshttps://www.ippr.org/articles/english-devolution-and-migration■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクや政策研究機関の最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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Abundance とは何か
住宅、クリーンエネルギー、医療・保育、公共インフラなど、必要性が認識されていても、十分な供給につながらない分野があります。今回のエピソードでは、米国の政策論争で広がるアバンダンスを取り上げます。住宅不足やエネルギーインフラの遅れ、行政の実装能力などを「作れなさ」という共通の問題として捉え、供給を妨げる制約をどう取り除くかを考える議論です。アバンダンスは、YIMBY運動、Niskanen Centerの「コスト病社会主義」、供給側進歩主義、国家能力論など、2010年代以降の複数の議論を背景に形成されました。エピソードでは、従来の需要側の支援や一律の規制緩和との違いを整理したうえで、三つの論争を取り上げます。許認可の迅速化と環境保護・住民参加、供給拡大と利益の分配、成長都市への移動と衰退地域の維持という論点を通じて、何を増やし、誰に届けるのかを検討します。さらに、米国でアバンダンスが政策や立法に取り入れられ始めた状況と、制度改革だけでは実際の供給増加につながらない可能性を扱います。日本については、労働力不足、コストプッシュ型のインフレ、地域の生活維持サービス、行政のデジタル化、経済安全保障を踏まえ、「供給力」の再構築という観点から議論します。供給量、処理速度、価格、サービスへのアクセスといったアウトカムを測り、政策を実際の成果につなげる能力も重要な論点です。■キーワードアバンダンス(Abundance)/供給制約/供給側進歩主義/YIMBY/許認可改革/国家能力(State Capacity)/労働組合/プレイスベース政策/供給力/経済安全保障/アウトカム評価00:00 アバンダンスとは何か01:30 「作れない社会」と供給制約03:26 需要補助から供給能力の拡張へ05:31 供給側進歩主義と従来の政策思想08:02 アバンダンスを生んだ四つの潮流10:42 アバンダンスをめぐる三つの論争 ①許認可改革と環境保護・住民参加13:05 ②供給拡大と分配・市場権力15:27 ③成長都市と取り残された地域17:57 米国で政策化するアバンダンス20:02 理念と立法から実際の供給へ22:28 日本版アバンダンスをどう考えるか25:30 経済安全保障と供給力28:05 アバンダンスを五つの柱に分解する30:46 アバンダンスの成果をどう測るか33:19 能力の再構築としてのアバンダンス■主な参考文献・関連リンク馬田 隆明, “アバンダンス - 供給サイドの進歩主義,” 2026Ezra Klein and Derek Thompson, “Abundance,” 2025邦訳:エズラ・クライン、デレク・トンプソン『アバンダンス 「豊かな時代」を呼びさませ』土方奈美訳、ニューズピックス、2025Brookings Institution, “How to reform federal permitting to accelerate clean energy infrastructure: A nonpartisan way forward”Roosevelt Institute, “Democratic Abundance: An Abundance That Works for Workers”Brookings Institution, “The ‘abundance movement’ needs to help distressed places, not just booming ones”■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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メタサイエンスで研究制度を検証する 【海外シンクタンク記事分析】
研究開発の成果は、研究テーマや予算規模だけで決まるものではありません。誰に資金を配るのか、どのようなチームを組むのか、誰が判断し、進捗をどのように測るのか。こうした科学の営みそのものを研究対象とし、データや実験を通じてよりよい仕組みを探る研究と実践が、メタサイエンスです。今回のエピソード「メタサイエンスで研究制度を検証する」では、研究助成の仕組みを継続的に検証する専任部門、目標志向のチーム型研究を支える米国のX-Labs、ムーンショット型研究開発の設計を扱う3本の記事を紹介します。一本目では、助成制度そのものを比較実験の対象とする方法を考えます。二本目では、新しい研究組織への公的資金の配分と、大学研究への影響、自律性、説明責任を検討します。三本目では、過去の大型研究開発を手がかりに、目標設定、実現までの道筋、組織構造、ガバナンス、進行中の評価をどのように組み合わせるかを考えます。制度を新しくするだけでは、その効果を十分に判断できません。どのようなデータを集め、何と比較し、その結果を次の意思決定にどう反映するのか。本エピソードでは、研究を支える仕組みそのものからエビデンスを生み、制度設計や評価方法の改善につなげるための論点を議論します。■キーワードメタサイエンス/研究助成/エビデンス/X-Labs/Focused Research Organizations(FRO)/チーム科学/ムーンショット型研究開発/ガバナンス00:00 イントロダクション01:11 メタサイエンス — 助成制度そのものをどう検証するか26:00 X-Labs — チーム型研究への公的資金と説明責任53:55 ムーンショット型研究開発 — 目標・組織・評価をどう設計するか■今回のトピック[01:11] メタサイエンス — 助成制度そのものをどう検証するかMacroscienceの記事をもとに、研究助成機関の内部にメタサイエンス部門を置き、資金配分や審査の仕組みを継続的に検証する構想を取り上げます。記事は、不採択申請を含む行政データを整備し、迅速助成、多段階審査、研究者個人への助成などを従来方式と比較する実験を提案します。本エピソードでは、審査期間や職員負担が改善しても、採択された研究の長期的な成果まで改善したとは限らない点を確認しました。また、制度の効果が研究分野や研究者によって異なる可能性や、審査の一致度と、将来の研究価値を捉える妥当性とを区別する必要性について議論しました。さらに、実験計画の事前登録、不採択案件を含む長期追跡、得られたエビデンスを予算や制度変更の意思決定に結び付ける体制、日本で同様の仕組みを設ける場合の組織設計についても考えました。出典:Macroscience, "Science Agencies Need Metascience Units"https://www.macroscience.org/p/science-agencies-need-metascience[26:00] X-Labs — チーム型研究への公的資金と説明責任Federation of American Scientistsの記事をもとに、米国立科学財団のX-Labsを取り上げます。X-Labsは、目標志向のチーム型研究に資金を配る新しい制度です。記事は、Focused Research Organizations(FRO)などの先行モデルや制度的背景を紹介しながら、その可能性と課題を論じています。本エピソードでは、FROが論文以外にも、装置、データ、ソフトウェア、研究手法などを生み出してきた一方、それらの成果が組織形態そのものによって生まれたのかは十分に検証されていない点を議論しました。X-Labsについても、適切な課題やチームの選定、大学やほかの研究活動への機会費用、知的財産と外部利用、柔軟な契約と費用管理、組織終了後の成果の普及などを検討しました。また、小規模なチームと大規模なチームには異なる役割があり、チームを大きくすれば成果が増えるとは限らないことや、X-Labs自体を比較評価を伴う制度実験として捉える必要性について考えました。出典:Federation of American Scientists, "Scaling Team Science is the Important Experiment We Need"https://fas.org/publication/bullish-on-xlabs/[53:55] ムーンショット型研究開発 — 目標・組織・評価をどう設計するかFederation of American Scientistsの記事をもとに、ムーンショット型の大型研究開発をどのように設計するかを取り上げます。記事は、ヒトゲノム計画とヒューマン・ブレイン・プロジェクトなどを手がかりに、明確な目標に加えて、そこへ至る技術的な道筋、組織構造、ガバナンス、途中で計画を見直す仕組みの重要性を論じます。さらに、どの分野が大型投資に適しているかを見極め、事業開始後も進捗を検証するために、メタサイエンスを組み込むことを提案します。本エピソードでは、将来の有望分野を事前に予測するためのエビデンスと、事業開始後に計画を改善するためのエビデンスを区別しました。過去の研究データからブレークスルーの候補を予測する方法には、まだ不確実性があります。一方で、進捗を測り、技術課題を分解し、必要に応じて目標や資源配分を変更する仕組みには一定の意義があります。また、研究の初期段階と大規模な技術統合の段階では、適切なチーム構成が異なる可能性があることや、研究成果を社会で利用する段階まで含めて、権限、予算、情報、評価をどう配置するかについて議論しました。出典:Federation of American Scientists, "The Science of Moonshots: Using Evidence to Design Transformative Initiatives"https://fas.org/publication/moonshots-using-evidence-to-design-transformative-initiatives/■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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司法制度・刑事司法政策の最新論点整理 [2026年4月-7月] 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、直近三カ月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を手がかりに、司法制度・刑事司法政策をめぐる三つのテーマを整理します。警察によるデータ利用、刑罰を受けた人の社会復帰、司法制度へのアクセスを通じて、制度が予定どおり運用されたかだけでなく、人々の権利や生活に生じた結果まで含めて、政策の成果をどう評価するかを考えます。一つ目のテーマでは、AI時代の警察監視を扱います。民間企業が保有する位置情報や閲覧履歴などを政府が取得し、AIで別の記録と結び付けて検索・推定する場合、取得後の利用をどこまで統制する必要があるのでしょうか。車両ナンバー自動読取装置、ボストン警察によるSNS監視、多数の端末の位置履歴から容疑者を探したジオフェンス令状の事例を通じて、データを取得する経路、捜査対象者を選ぶ過程、警察内部の承認・記録・共有、裁判所や外部機関による検証を考えます。二つ目のテーマでは、再犯防止は何で決まるのかを扱います。日本では2025年6月、懲役刑と禁錮刑が拘禁刑に一本化され、一人ひとりの特性や必要性に応じた作業や指導を行う制度へ改められました。拘禁刑の成果を確かめるには、刑務所内で作業や指導を実施したかに加え、釈放時の準備、出所後の住居、所得、就労、治療、支援の継続、再犯までを捉える必要があります。釈放後の監督が初回収容者と収容歴の多い人に異なる形で作用する可能性、刑務所内作業と安定した就労の違い、刑務所、保護観察、自治体、医療、福祉などの責任分担を整理します。三つ目のテーマでは、司法アクセスを支えるのは誰かを扱います。日本では2026年5月、民事訴訟の申立てや書面提出をオンラインで行う制度が全面的に始まりました。裁判所や法律専門職の事務が効率化することと、法的な問題を抱えた人が必要な相談や救済へ到達しやすくなることは、分けて評価する必要があります。制度を利用するための時間や手間、デジタル手続を助ける人的支援、地域の相談機関による引継ぎ、事件件数や処理期間だけでは把握できない利用者の経験を取り上げ、司法アクセスを一連の支援としてどう設計し、評価するかを考えます。00:00 イントロダクション02:35 【テーマ1】AI時代の警察監視19:09 【テーマ2】再犯防止は何で決まるのか34:22 【テーマ3】司法アクセスを支えるのは誰か■ 紹介した論考1)Just SecurityAI and the Commercial Data Loophole2)Center for Democracy & Technology(CDT)AI in Policing: Automatic License Plate Readers3)Brennan Center for JusticeInvestigation Shows Boston Police’s Social Media Monitoring Policies Are Haphazard and Inconsistent4)Center for Democracy & Technology(CDT)The Supreme Court Just Protected the Trail Your Phone Leaves Behind5)RAND EuropeJustice for people leaving prison6)Fraser of Allander InstituteStudy shows post-release supervision reduces reoffending in short and long run7)Public Policy Institute of California(PPIC)Employment Before, During, and After Prison in California8)Revolving DoorsNew sentencing reforms will fail without a whole-system response to repeat offending9)Institute for the Advancement of the American Legal System(IAALS)Access to Justice is Less About Access and More About Burden10)The Hague Institute for Innovation of Law(HiiL)E-justice and Support Measures: Best Practices and Challenges in East and West Africa11)JUSTICE NorthCloser to Home: Principles for a Justice System Shaped by Communities12)World Justice Project(WJP)Data-Driven Justice Must Start with People’s Needs, Not Case Counts: WJP Focus Note■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクや政策研究機関の最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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国家実装力とは何か 【海外シンクタンク記事分析】
法律を成立させ、予算を確保しても、政策が予定どおり実施され、市民や企業に成果として届くとは限りません。申請手続、公共調達、情報システム、行政組織の人材や調整が機能しなければ、住宅、送電網、給付、半導体支援などの政策は途中で停滞します。政策目標を実際の行動と成果へ変える国家実装力(State Capacity)は、政府が何を行うかと並んで、その政策が実現するかどうかを左右します。エピソードでは、Niskanen Centerの議論を手がかりに、人材、行政手続、デジタル基盤、フィードバックループという国家実装力の四つの構成要素を整理します。アバンダンス・アジェンダ、手続フェティシズム、拒否権政治を取り上げ、政策実施の速度と、参加、権利保護、説明責任をどう両立させるかを検討します。さらに、Roosevelt Instituteが論じる民主的国家能力や、ステート・キャパシティ・リバタリアニズムを通じて、政府の能力をどの目的に用い、どのような制約を設けるべきかを考えます。産業政策と経済安全保障、日本の行政人材、公共調達、データ利用、法制度を踏まえ、民主主義の下で政策を実行し、検証し、修正する能力をどう高めるのかを議論します。■キーワード国家実装力(State Capacity)/政策実施/公共調達/デジタル基盤/フィードバックループ/アバンダンス・アジェンダ/手続フェティシズム/拒否権政治(Vetocracy)/民主的国家能力/ステート・キャパシティ・リバタリアニズム/産業政策00:00 国家実装力とは何か02:50 政策が実装で失敗する理由06:01 従来の国家能力論から国家実装力へ08:45 国家実装力を支える四つの構成要素11:33 アバンダンス・アジェンダ14:50 手続フェティシズムと拒否権政治17:54 国家実装力をめぐる三つの緊張関係20:44 実装力は「政策中立」か?:民主的国家能力23:54 スピードとプロセス26:53 ステート・キャパシティ・リバタリアニズム29:55 産業政策・経済安全保障と国家実装力32:52 国家実装力をどう測るか36:01 実装力と民主的制約の設計38:46 日本の国家実装力42:15 民主主義は成果を出せるか44:52 結論■主な参考文献・関連リンクJennifer Pahlka, “Recoding America: Why Government Is Failing in the Digital Age and How We Can Do Better,” 2023Jennifer Pahlka and Andrew Greenway, “The How We Need Now: A Capacity Agenda for 2025,” Niskanen Center, 2024Brink Lindsey, “State Capacity: What Is It, How We Lost It, and How to Get It Back,” Niskanen Center, 2021Tyler Cowen, “What Libertarianism Has Become and Will Become — State Capacity Libertarianism,” Marginal Revolution, 2020Ezra Klein and Derek Thompson, “Abundance,” 2025Nicholas Bagley, “The Procedure Fetish,” Michigan Law Review, 2019Francis Fukuyama, “Political Order and Political Decay: From the Industrial Revolution to the Globalization of Democracy,” 2014K. Sabeel Rahman, “Building the Government We Need: A Framework for Democratic State Capacity,” Roosevelt InstituteRyan Murphy and Colin O’Reilly, “Assessing State Capacity Libertarianism,” Cato Journal, 2020United States Congress, “CHIPS and Science Act,” 2022■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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高齢化は成長を止めるのか 【海外シンクタンク記事分析】
人口減少と高齢化が進むと、働き手が減り、医療、交通、商業、行政サービスを維持する条件も変わります。ただし、経済への影響は人口の数だけでは決まりません。企業が省力化投資や業務再設計を進められるか、年齢を重ねても働き続けられる制度を整えられるか、人口流出が続く地域で生活基盤をどう支えるかによって、成長と負担の姿は変わります。今回のエピソード「高齢化は成長を止めるのか」では、カナダ、英国、日本を扱う3本の記事を紹介します。一本目では、働き手の希少化が技術投資と生産性向上を促す可能性を検討します。二本目では、雇用、保健・医療、技能、介護、住宅、消費を職業人生全体でつなぐ「長寿経済」を取り上げます。三本目では、若い世代の人口移動によって人口減少と高齢化が特定の地域に集中する仕組みと、地域支援が全国の生産性や財政に及ぼす影響を考えます。■キーワード人口減少/高齢化/省力化投資/労働参加/長寿経済/就業継続/人口移動/地域政策00:00 イントロダクション01:11 カナダの高齢化と技術投資26:27 英国の長寿経済51:37 日本の人口移動と地域支援■今回のトピック[01:11] カナダの高齢化と技術投資 — 人手不足は生産性向上につながるかMacdonald-Laurier Instituteに掲載されたトレバー・トンベ教授の論考をもとに、高齢化による労働参加率の低下と、働き手の希少化によって生じる経済の適応を取り上げます。記事は、企業による自動化や省力化技術の導入、研究開発集約型産業への移行、生産性の上昇によって、人口減少の影響が一部相殺され得ると論じます。本エピソードでは、出生率、高齢者比率、実際の労働供給を区別する必要性や、過去の人口変化から将来の急速な高齢化を推論する際の限界を議論しました。また、技術が存在するだけでは生産性は上がらず、資金調達、経営能力、データ整備、従業員訓練、業務再設計、労働や資本の移動が必要になることを確認します。GDPが維持されても、医療提供、財政、若者の技能形成、地域格差に別の負担が残り得る点も考えました。出典: Macdonald-Laurier Institute, "Population aging doesn’t have to slow us down: Trevor Tombe in The Hub"[26:27] 英国の長寿経済 — 長く働き、参加できる条件をどう整えるかInternational Longevity Centre UKのブリーフィングをもとに、長寿化を経済成長へ結び付ける政策構想を取り上げます。記事は、福祉、技能、保健・医療、雇用、住宅、消費を別々に扱うのではなく、長い職業人生を支える一つの戦略として組み合わせる必要があると主張します。本エピソードでは、高齢者の就業率、健康状態と労働参加、50歳以上の世帯による消費支出を成長余地として捉える際の前提を検討しました。健康が改善しても、適合する仕事、職務調整、介護、交通、住宅がなければ就業継続にはつながりません。政策の成果を参加人数だけで測らず、定着、賃金、健康、本人の選択、地域の実施能力をどのように評価するかを議論しました。出典: International Longevity Centre UK, "Why now - delivering good growth through the longevity economy"[51:37] 日本の人口移動と地域支援 — 生活基盤と全国効率のトレードオフCEPRの政策論考サイトVoxEUの記事をもとに、日本の人口減少と高齢化を地域間の人口移動から分析します。記事は、若い世代が都市へ移ると、流出元では現役世代だけでなく将来の出生も減り、店舗や医療、交通、行政サービスを支える利用者、働き手、納税基盤が縮小すると指摘します。記事が示す地域所得支援の試算では、東京の住民への課税を財源として、最も高齢な5県の住民へ所得の5%相当を100年間移転すると、地域の人口と高齢者比率は改善する一方、全国の一人当たり労働所得と財政支出には費用が生じます。本エピソードでは、この長期モデルの前提や、施設数と実際のサービスアクセスの違いを確認しました。また、地域人口をそのまま維持する政策だけでなく、施設や交通の広域連携、拠点への集約、移動支援などを通じて、住民の生活をどう守るかを考えました。出典: CEPR / VoxEU, "Living in a ghost town: The geography of depopulation and ageing"■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEPのYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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防衛・安全保障政策の最新論点整理[2026年4月-7月]【海外シンクタンク記事分析】
今回は、直近三カ月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を手がかりに、安全保障・防衛政策をめぐる三つのテーマを整理します。前半では、防衛産業と装備移転を扱います。日本では2026年4月、防衛装備移転三原則とその運用指針が改正され、殺傷能力のある完成品についても、案件ごとの審査を前提に移転を認める制度となりました。殺傷能力のある完成品を輸出すること自体をどう考えるか。装備移転によって何を達成し、地域の軍備動向や移転後の使用に伴うリスクをどう評価するか。輸出の拡大が国内の防衛生産基盤の強化につながっているかを何によって判断し、公的支援を受ける企業と政府にどのような責任を求めるかを考えます。中盤では、ドローンと防衛供給網を扱います。ドローンの実効性は、一機ごとの性能や保有数だけでは決まりません。電池、半導体、モーター、センサー、通信機器、ソフトウェアを確保し、損耗した機体を補充し、敵の妨害方法に応じて短期間で改修する必要があります。電池が作戦上の選択肢をどう左右するか、中国由来の部品への依存をどのように減らすか、代替部品の試験と認証をどう進めるかを取り上げます。さらに、民間企業の技術や生産能力を防衛に利用する際の役割分担と、同盟国との開発、生産、認証、改修の関係を考えます。後半では、北東アジアの指揮統制を扱います。日本では自衛隊の統合作戦司令部が発足し、米国側でも在日米軍の指揮機能の強化が進められています。台湾海峡や朝鮮半島などで複数の事態が同時または連続して発生すれば、航空機、迎撃ミサイル、情報収集手段、輸送能力などが複数の任務から求められます。各国の司令部が情報と計画をどう共有し、優先順位をどのような手続で調整するか。軍事組織が作成する選択肢を各国政府の政治判断へどうつなぎ、迅速な共同運用と主権、文民統制をどう両立させるかを整理します。00:00 イントロダクション02:03 【テーマ1】防衛産業と装備移転19:22 【テーマ2】ドローンと防衛供給網35:40 【テーマ3】北東アジアの指揮統制■ 紹介した論考1)Foreign AffairsThe Return of Japanese Hard Power: Why Tokyo Is Bulking Up Its Defense Industrial Base2)Australian Institute of International Affairs(AIIA)Washington Wants an Arms Race. Southeast Asia Isn’t Buying.3)Center for Strategic and International Studies(CSIS)Japan’s New Defense Export Policy: Will Industry Seize the Day?4)Hudson InstituteSustaining the Fight: Munitions Acquisition, Industrial Capacity, and Integrated Air and Missile Defense for Japan5)BruegelWho Controls the Defence Industry?6)Atlantic CouncilThe US Needs a Comprehensive Batteries Strategy to Ensure Its Battlefield Edge7)Center for European Policy Analysis(CEPA)Reality Check: Breaking Free From China’s Drone Ecosystem Is Harder Than You Think8)Royal United Services Institute(RUSI)Winning Without Technological Advantage9)Foreign AffairsHow to Win the Defense Innovation Contest: America and Its Allies Must Pool Their Efforts10)Atlantic CouncilThe Case for a US Northeast Asia Command11)38 North/Stimson CenterHow South Korea Might Fight a North Korean Invasion in a Dual-Contingency Scenario12)Korea Economic Institute of America(KEI)The Path Forward for Alliance Modernization and Redesigning the U.S.-South Korea Alliance13)Korea Economic Institute of America(KEI)The Trump Effect on South Korea-Japan Relations■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクや政策研究機関の最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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事前分配とは何か
所得格差は、税や給付による再分配だけでなく、賃金や雇用条件が決まる前の制度によっても形づくられます。事前分配(Predistribution)は、労働法、競争政策、教育制度、企業統治、取引関係、アルゴリズムなど、税引き前所得を生み出すルールに働きかける考え方です。社会保障の財政負担が増える日本において、再分配を維持しながら、市場内の交渉力や選択肢をどう整えるかが問われています。エピソードでは、OECDの生産前、生産段階、生産後という分類や、ジェイコブ・ハッカー、ジョン・ロールズ、マーティン・オニールらの議論を手がかりに、事前分配と再分配の関係を整理します。米国、EU、英国の制度を比較し、日本の価格転嫁、人への投資、公定価格部門の賃金形成を検討します。さらに、AIとギグワークをめぐるアルゴリズム管理、労働者の参加、職務設計、データや資産の所有を取り上げ、誰の交渉力をどの段階で高めるのかを考えます。■キーワード事前分配(Predistribution)/再分配/税引き前所得/交渉力/市場形成(marketcraft)/財産所有民主主義/競争政策/価格転嫁/ニュー・ワシントン・コンセンサス/プラットフォーム労働/アルゴリズム管理/AIガバナンス00:00 事前分配とは何か04:45 再分配との違い07:21 不平等に介入する三段階09:47 事前分配の思想と形成15:13 再分配との補完関係18:18 制度調整と構造改革23:13 米国・EU・英国の政策29:12 日本の事前分配33:25 ギグワークとAI36:59 結論と企業への示唆■主な参考文献・関連リンク馬田 隆明, “事前分配―税前所得を形づくる制度の再設計,” Horstack, 2026OECD, “Enhancing opportunities by design: Exploring people’s views of what should be done to fight inequality,” OECD WISE Centre Policy Insights, 2024Jacob S. Hacker, “The Institutional Foundations of Middle-Class Democracy,” Policy Network, 2011Martin O’Neill, “Power, Predistribution, and Social Justice,” Philosophy, Vol. 95, Issue 1, 2020Antoine Bozio, Bertrand Garbinti, Jonathan Goupille-Lebret, Malka Guillot and Thomas Piketty, “Predistribution versus Redistribution: Evidence from France and the United States,” American Economic Journal: Applied Economics, Vol. 16, No. 2, 2024Benn Steil and Alex Raskolnikov, “Toward a More Prosperous, Less Polarized, Worker-Friendly Economy,” Council on Foreign Relations, 2024Sunny Malhotra and Steven K. Vogel, “The Predistribution Solution,” Roosevelt Institute, 2025大庭 大「事前分配(pre-distribution)とは何か―政策指針と政治哲学的構想の検討―」『年報政治学』69巻2号、2018Dai Oba, “Redefining predistribution: priority and prevention as elements of economic justice,” Economics & Philosophy, 2025Jake Sullivan, “Remarks by National Security Advisor Jake Sullivan on Renewing American Economic Leadership at the Brookings Institution,” The White House, 2023Salman Ahmed et al., “Making U.S. Foreign Policy Work Better for the Middle Class,” Carnegie Endowment for International Peace, 2020The White House, “Executive Order 14036: Promoting Competition in the American Economy,” 2021The White House, “Executive Order 14337: Revocation of Executive Order on Competition,” 2025European Union, “Directive (EU) 2022/2041 on adequate minimum wages in the European Union,” 2022European Union, “Directive (EU) 2024/2831 on improving working conditions in platform work,” 2024United Kingdom, Employment Rights Act 2025内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」2025内閣官房・公正取引委員会「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」2023Marguerita Lane, Morgan Williams and Stijn Broecke, “The impact of AI on the workplace: Main findings from the OECD AI surveys of employers and workers,” OECD Social, Employment and Migration Working Papers, No. 288, 2023■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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依存したまま余白を持つ技術 【海外シンクタンク記事分析】
石油や海上輸送への依存をすぐに解消できないなかで、危機が経済や外交の選択肢を奪うまでの時間を、どのように延ばせるのでしょうか。今回のエピソード「依存したまま余白を持つ技術」では、ホルムズ海峡をめぐる危機を手がかりに、供給途絶の影響を和らげる備蓄、精製、需要調整、代替供給の役割を取り上げます。一本目では、危機が始まってから最初の約4か月に、世界の石油市場が全面的な混乱を避けた理由と、その負担がアジアに強く表れた可能性を考えます。二本目では、中東産石油への依存を残す中国が、在庫、製油所の運用、製品輸出、電化を組み合わせ、外交上の時間と選択肢を確保した仕組みを扱います。三本目では、海峡を完全に閉鎖しなくても、威嚇や妨害によって保険料や輸送経路、市場に影響を及ぼせること、そのリスクがマラッカ海峡や台湾海峡などへ広がる可能性を検討します。三本を通じて問われるのは、備蓄量を増やすことだけで十分なのかという点です。必要な燃料を確保し、製油所で処理し、需要を調整し、代替航路を使い続けるための制度と能力を、どのように組み合わせるのかを議論します。■キーワードホルムズ海峡/石油備蓄/精製能力/需要調整/供給源分散/海峡の武器化/代替航路/海洋状況把握■今回のトピック[01:36] 石油市場の強靱性 — 危機を吸収した仕組みと代償Atlantic Councilの記事をもとに、ホルムズ危機が始まってから最初の約4か月に、世界市場の全面的な混乱が避けられた理由を取り上げます。記事は、備蓄の放出、製油所の稼働調整、中国による需要と輸入の調整、米国を含む非中東地域からの供給が、不足を和らげたと指摘します。その一方で、原油や石油製品の供給途絶による負担は、欧米よりもアジアに強く表れました。本エピソードでは、市場が本当に強くなったのか、それとも在庫の減少、需要抑制、配給、製油所の停止という形で痛みを移したのかを議論しました。さらに、取り崩した備蓄を再建できるか、異なる原油を処理できるか、石油製品を地域内で融通できるかという課題を考えます。出典: Atlantic Council, "Five lessons from the oil market shock" https://www.atlanticcouncil.org/blogs/energysource/five-lessons-from-the-oil-market-shock/[17:59] 中国のエネルギー危機対応 — 依存を残しながら選択肢を守るRUSIの記事をもとに、石油の7割超を輸入し、その約半分が中東とホルムズ海峡に関係する中国が、なぜ大幅な需要調整を行えたのかを取り上げます。記事は、中国が調達先の分散、石油在庫、製油所の運用、製品輸出の抑制、電動化を組み合わせ、中東依存を直ちに外交上の拘束へ変えないための時間、柔軟性、交渉余地を確保してきたと論じます。ただし、長期的な供給途絶に耐えられるとは限らず、西側諸国との協力にも限界があると指摘します。本エピソードでは、中国の危機対応が石油化学産業や他のアジア諸国へ負担を移す可能性を確認し、日本でも備蓄日数だけでなく、製品構成、需要削減、産業の優先順位、電化を一体として考える必要性を議論しました。出典: Royal United Services Institute, "China Has Not Escaped the Middle East. It Has Learned to Live with the Risk" https://www.rusi.org/explore-our-research/publications/commentary/china-has-not-escaped-middle-east-it-has-learned-live-risk[36:54] 海峡の武器化 — ホルムズ危機はアジアで再現されるかForeign Affairsの記事をもとに、比較的安価なミサイル、ドローン、無人艇、機雷などによって、国力で劣る側でも重要海峡の通航を妨害し、大きな費用を負わせられるようになったという問題を扱います。記事は、海峡を完全に閉鎖しなくても、威嚇だけで保険料を上げ、船舶を迂回させ、市場を不安定にできると指摘します。その影響は、マラッカ海峡、台湾海峡、ルソン海峡に加え、スンダ海峡やロンボク海峡などの代替航路にも及ぶ可能性があります。本エピソードでは、代替航路が存在することと、同じ量を実際に輸送できることは異なるという点を確認しました。海洋状況把握、通航維持のための協力、港湾や補給能力の整備、複数の海峡が同時に制約される場合の検証について議論します。出典: Foreign Affairs, "Hormuz Is a Warning for the Indo-Pacific" https://www.foreignaffairs.com/china/hormuz-warning-indo-pacific■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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地域・交通・観光政策の最新論点整理[2026年4月-7月]:人口減少下の公共サービス網・地域交通のアクセシビリティ・観光の受入能力と便益配分【海外シンクタンク記事分析】
今回は、直近三カ月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を手がかりに、地域政策、交通政策、観光政策をめぐる三つのテーマを横断的に整理します。前半では、人口減少下における公共サービス網の再編を扱います。人口が減少しても、公共サービスへの需要が一様に小さくなるわけではありません。子どもの減少によって学校などへの需要が弱まる一方、高齢化によって医療や介護、生活支援への需要は強まります。分野ごとに作られている将来推計を予算、人員、施設再編の判断へどう結びつけるか。中心都市と周辺自治体の間で、サービスの提供、費用負担、意思決定をどう分担するか。採算だけでは維持できないサービスについて、公共的な義務の範囲と費用をどう明らかにするかを考えます。中盤では、地域交通のアクセシビリティを扱います。路線数、運行本数、利用者数、収支は、交通サービスを評価するうえで重要です。しかし、住民にとっては、交通手段が存在することに加えて、通院、通学、買物などの用事を実際に済ませられることが必要です。将来像を起点とする交通計画、出発から帰宅までの全行程、交通貧困が特定の住民に集中する問題、目的地となる施設の受入能力を取り上げ、交通の供給量と生活上の成果をどのように組み合わせて評価するかを整理します。後半では、観光の受入能力と便益配分を扱います。観光客と観光消費の増加は、地域経済に需要と雇用を生みます。その一方で、旅行者向け短期賃貸への住宅転用、家賃の上昇、交通やごみ処理などへの負荷、自治体支出の増加が生じる場合があります。観光によって生まれた所得が地域内にどこまで残っているか、住宅所有者、借主、働き手、企業の間で便益と負担がどう分かれているかも、観光消費の総額だけでは分かりません。地域の住宅事情に応じた短期賃貸の管理、観光負荷の測定、仲介サイトから行政へのデータ提供を通じた執行基盤について考えます。00:00 イントロダクション02:31 【テーマ1】人口減少下の公共サービス網16:25 【テーマ2】地域交通のアクセシビリティ28:38 【テーマ3】観光の受入能力と便益配分■ 紹介した論考1)The Pew Charitable TrustsThe Aging Population Is Changing States’ Revenue, Spending, and Service Demand Outlookhttps://www.pew.org/en/research-and-analysis/issue-briefs/2026/07/the-aging-population-is-changing-states-revenue-spending-and-service-demand-outlook2)Organisation for Economic Co-operation and Development(OECD)Unlocking the Potential of Intermediary Cities for Regional Developmenthttps://www.oecd.org/en/publications/unlocking-the-potential-of-intermediary-cities-for-regional-development_55b14922-en.html3)Brookings InstitutionThe Postal Service’s Financial Condition Is a Business-Model Problem: Recommendations to Put Universal Service on a Sustainable Footinghttps://www.brookings.edu/articles/usps-financial-condition-universal-service/4)International Transport Forum(ITF)Vision-Led Transport Planning: A Guide for Policy Makershttps://www.itf-oecd.org/vision-led-transport-planning5)International Transport Forum(ITF)Delivering Accessibility that Workshttps://www.itf-oecd.org/delivering-accessibility6)Öko-InstitutAccess Denied: Transport Poverty in Europehttps://www.oeko.de/en/publications/access-denied-transport-poverty-in-europe/7)Organisation for Economic Co-operation and Development(OECD)Geographic Disparities in Service Accessibility in Estonia and the Netherlands: How Transport Modes, Proximity and Capacity Shape Accessibility across Cities, Towns and Rural Areashttps://www.oecd.org/en/publications/geographic-disparities-in-service-accessibility-in-estonia-and-the-netherlands_63b9abef-en.html8)Australian Housing and Urban Research Institute(AHURI)Designing Regulation Fit for the Short-Term Rental Sectorhttps://www.ahuri.edu.au/analysis/news/designing-regulation-fit-short-term-rental-sector9)New Economics Foundation(NEF)The Economics of Air Transport in Europe, Part Two: Air Transport and Tourismhttps://neweconomics.org/2026/06/the-economics-of-air-transport-in-europe10)European Parliamentary Research Service(EPRS)Developing a Coordinated EU Approach to Housinghttps://www.europarl.europa.eu/thinktank/EN/academic/EPRS_BRI%282026%29785738■ 関連する資料1)Organisation for Economic Co-operation and Development(OECD)OECD Tourism Trends and Policies 2026https://www.oecd.org/en/publications/oecd-tourism-trends-and-policies-2026_3fd3cd75-en.html2)財務省財務総合政策研究所『フィナンシャル・レビュー』第149号宮下量久・鷲見英司(2022)「市町村における広域連携の政策評価――定住自立圏を事例とした実証分析」https://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list8/r149/r149_08.pdf■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクや政策研究機関の最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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Productivism とは何か
Productivism は、GDPや投資額の拡大だけを目標にするのではなく、人々が中間層として生活できる「良い仕事」を広げるために、何を、どのように生産するかを政策の対象に据える考え方です。ダニ・ロドリックが提唱したこの構想は、税と社会保障による事後的な再分配だけでなく、企業の技術選択、訓練投資、職務設計、地域への投資が、賃金、技能、自立性、地域社会に与える影響を重視します。エピソードでは、「良い仕事の外部性」を理論的な中心として、新自由主義やケインズ主義的福祉国家との違いを整理します。製造業がかつてほど大量の雇用を生まないなか、介護、物流、飲食、地域交通などのサービス業を良い仕事の主戦場として捉え直し、省力化投資、職務の再設計、適正な価格転嫁や公共調達を組み合わせる政策を検討します。AIについても、人を置き換える使い方と、働き手の能力を補完する使い方を区別します。さらに、供給拡大を重視するアバンダンス論との共通点と違い、国家能力と市場競争という実施条件、保護主義、レントシーキング、政策評価の難しさを扱います。日本については、人口減少と人手不足、サービス雇用の大きさを踏まえ、既存の仕事の質を高める政策思想としてどこまで適用できるかを考えます。■キーワードProductivism/良い仕事/良い仕事の外部性/生産段階への介入/産業政策/サービス経済/職務再設計/労働補完型AI/国家能力/市場競争/新自由主義/アバンダンス00:00 Productivism とは何か05:01 「良い仕事の外部性」という考え方08:11 新自由主義・福祉国家との違い11:43 労働市場の二極化と良い仕事問題14:55 生産段階の中層に介入する政策18:26 製造業からサービス業への重心移動21:45 低賃金サービス業の悪循環25:12 消費者利益と労働者の尊厳27:19 AIは人を置き換えるか、能力を補完するか28:54 アバンダンス論との共通点と違い31:48 国家能力と市場競争という実施条件35:01 自由主義・国際秩序との緊張とレントシーキングの問題38:24 人手不足の日本で既存の仕事を良質化する44:19 成長と分配を生産現場で同時設計する※本編中、一部で「くびき」と発言していますが、正しくは「くさび」です。■主な参考文献・関連リンクTakaaki Umada, “Productivism - 良い仕事を生む産業政策,” Horstack, 2026https://takaumada.substack.com/p/productivismDani Rodrik, “The New Productivism Paradigm?”, Project Syndicate, 2022https://www.project-syndicate.org/commentary/new-productivism-economic-policy-paradigm-by-dani-rodrik-2022-07Dani Rodrik, “On Productivism,” HKS Faculty Research Working Paper Series RWP23-012, Harvard Kennedy School, 2023https://www.hks.harvard.edu/publications/productivismDani Rodrik, “The Post-Neoliberal Consensus Is Here,” Project Syndicate, 2025https://www.project-syndicate.org/commentary/new-post-neoliberal-economic-policy-consensus-emerging-in-us-by-dani-rodrik-2025-12Dani Rodrik and Stefanie Stantcheva, “Fixing capitalism’s good jobs problem,” Oxford Review of Economic Policy, Vol. 37, Issue 4, 2021https://academic.oup.com/oxrep/article-abstract/37/4/824/6423487Dani Rodrik, “An Industrial Policy for Good Jobs,” The Hamilton Project, Brookings Institution, 2022https://www.brookings.edu/articles/an-industrial-policy-for-good-jobs/Dani Rodrik, “How I Became a Manufacturing Skeptic,” Project Syndicate, 2026https://www.project-syndicate.org/commentary/services-not-manufacturing-best-hope-for-developing-countries-by-dani-rodrik-2026-05Dani Rodrik, “Consumers or Workers First?”, Project Syndicate, 2026https://www.project-syndicate.org/commentary/reconciling-consumer-economy-with-good-jobs-by-dani-rodrik-2026-03Daron Acemoglu and Pascual Restrepo, “The Wrong Kind of AI? Artificial Intelligence and the Future of Labor Demand,” NBER Working Paper No. 25682, 2019https://www.nber.org/papers/w25682Ezra Klein and Derek Thompson, Abundance, Avid Reader Press / Simon & Schuster, 2025https://www.simonandschuster.com/books/Abundance/Ezra-Klein/9781668023488Era Dabla-Norris, Daniel Garcia-Macia, Vitor Gaspar and Li Liu, “Industrial Policy Is Not a Magic Cure for Slow Growth,” IMF Blog, 2024https://www.imf.org/en/Blogs/Articles/2024/04/10/industrial-policy-is-not-a-magic-cure-for-slow-growth■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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埋め立て2.0 【海外シンクタンク記事分析】
かつて都市拡張のために用いられた埋め立ては、目的や条件を設計し直せば、現在でも現実的な政策手段になり得るのでしょうか。今回のエピソード「埋め立て2.0」では、米国で1970年代以降に止まった都市埋め立て、土地開発による価値の上昇分を生物多様性や気候適応に還元する土地開発利益還元、南シナ海で常態化しつつある人工島造成という3本の記事を取り上げます。一本目では、環境法が埋め立てを止めたという仮説を検討し、住宅供給や都市の生産性、防災上の便益を、生態系への影響や長期的な維持費、ほかの土地供給策とどう比較するかを考えます。二本目では、開発によって生じた価値を自然環境の保全や防災に還元する仕組みと、その効果の測定、費用負担、利益の配分を扱います。三本目では、法的には領土を増やさない人工島が、港湾や滑走路を整備し、監視・補給などの能力を高めることで、さらなる造成を促す構造を考えます。埋め立てを一律に解禁するか禁止するかという二者択一ではなく、土地、海、自然、人に生じる便益と負担を測り、どの事業を、どのような条件で認めるのかが問われます。■キーワード埋め立て/都市用地供給/環境影響評価/土地開発利益還元(LVC)/生物多様性ネットゲイン(BNG)/人工島造成/安全保障のジレンマ■今回のトピック[01:43] 米国で消えた都市埋め立て — 環境規制は何を止めたのかWorks in Progress の記事をもとに、米国の主要沿岸都市で、1970年代以降に大規模な都市埋め立てがほぼ行われなくなった背景を取り上げます。記事は、埋め立てに適した浅い水域や技術が失われたのではなく、NEPAをはじめとする環境法や、長期にわたる審査、訴訟対応、保全措置に伴う費用が主因だと主張します。本エピソードでは、都心近くの土地が住宅供給、雇用、生産性、交通、防災にもたらす便益を確認します。その一方で、記事が示す因果関係には十分な裏付けがあるのか、近年の制度変更後に事業が実際に増えるのか、生態系、水の流れ、液状化、海面上昇、長期的な維持費をどう評価するのかを議論しました。また、埋め立てを既成市街地の高密度化、工場跡地の再開発、公共交通への投資などと比較し、一律の解禁ではなく、候補地の厳格な選定、期限を定めた審査、土地価値の公共還元を組み合わせる必要性を考えました。出典:Works in Progress, "Why San Francisco isn’t bigger"https://www.worksinprogress.news/p/terraforming-earth[23:20] 土地開発利益還元 — 自然と防災に価値を戻せるかLincoln Institute of Land Policyの記事をもとに、公共投資や用途変更などによって生じた土地価値の上昇分を、生物多様性、災害復興、気候適応に活用する政策手法を取り上げます。イングランドの生物多様性ネットゲイン制度では、新たな開発に対して、生物多様性の指標を開発前より10%以上高めることが求められています。本エピソードでは、この義務が手頃な価格の住宅などへの投資を圧迫するのか、それとも、緑地や生物多様性が開発価値を高め、新たな公共貢献を可能にするのかを議論しました。また、制度上の数値が実際の自然の回復を表しているのか、最終的な費用を土地所有者、開発事業者、住宅購入者の誰が負担するのか、地価が上昇しない地域の防災や生物多様性をどう支えるのかを考えました。土地価値を生み、守り、回収する仕組みや、開発権を危険な地域から安全な地域へ移す制度という視点から、自然と防災への資金循環を検討します。出典:Lincoln Institute of Land Policy, "How Land Value Capture Can Support Biodiversity, Disaster Recovery, and Climate Adaptation"https://www.lincolninst.edu/publications/land-lines-magazine/articles/how-land-value-capture-can-support-biodiversity-disaster-recovery-and-climate-adaptation/台本内で取り上げた研究:Marshall, C. A. M., Wade, K., Kendall, I. S., Porcher, H., Poffley, J., Bladon, A. J., Dicks, L. V., & Treweek, J. (2024). England's statutory biodiversity metric enhances plant, but not bird nor butterfly, biodiversity. Journal of Applied Ecology, 61, 1918–1931. https://doi.org/10.1111/1365-2664.14697Duffus, Natalie; Atkins, Thomas; zu Ermgassen, Sophus et al. (2025). A globally influential area-condition metric is a poor proxy for invertebrate biodiversity [Dataset]. Dryad. https://doi.org/10.5061/dryad.p5hqbzm1bButler, A., Groom, B., & Milner-Gulland, E. J. (2025). Local people’s preferences for housing development-associated Biodiversity Net Gain in England. Land Use Policy, 158, 107758. https://doi.org/10.1016/j.landusepol.2025.107758[45:21] 南シナ海の人工島競争 — 法と実力の距離Lowy Instituteの記事をもとに、中国だけでなく、ベトナム、マレーシア、台湾も進める南シナ海での埋め立てと拠点整備を取り上げます。人工島を造成しても、国連海洋法条約上、新たな領土や領海は生じません。しかし、港湾や滑走路を整備すれば、監視、補給、法執行などの能力を高め、現地の軍事・政治状況を変えることができます。本エピソードでは、2016年の比中仲裁判断が法的な重みを持ちながら、現地の既成事実を十分に変えられなかったことを取り上げます。さらに、南シナ海行動規範をめぐる交渉が造成を急ぐ誘因になり得ることや、防御目的の施設が相手には脅威と映る安全保障のジレンマについて議論しました。造成面積だけでなく、施設の運用能力、部隊や装備の配備、危険な接近、環境損失まで確認する必要があること、そして、ルールを守る方が有利になる仕組みをどうつくるかを考えます。出典:Lowy Institute, "South China Sea: If you can’t beat them, build islands"https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/south-china-sea-if-you-can-t-beat-them-build-islands■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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食料・農業政策の最新論点整理[2026年4月-7月]:食料安全保障とイラン危機・スマート農業政策・農業環境政策の評価【海外シンクタンク記事分析】
今回は、最近の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を手がかりに、食料・農業政策をめぐる三つのテーマを横断的に整理します。前半では、食料安全保障とイラン危機を扱います。国内生産や備蓄に加えて、肥料、燃料、物流など、食料供給を支える条件が崩れたときに、どのような影響が生じるのかを考えます。輸入価格の上昇が、肥料価格、農家の投入判断、収量、食品価格へ時間差を伴って波及する過程を確認し、尿素の調達リスクや価格変化の把握、WTO、AMIS、G7などを通じた貿易情報の確保を取り上げます。中盤では、スマート農業政策を扱います。ロボットやドローン、センサー、AIを導入するだけでなく、研究機関の知見や農業データを、農家の判断や作業へどう還元するかを考えます。AIによる農業助言を、回答の正確性だけでなく、地域条件への適合性、利用しやすさ、運用中の監視、問題発生時の責任分担まで含めて評価する方法を整理します。農家が提供したデータの利用権限や、データから生まれた価値を農家や地域へどう還元するかも取り上げます。後半では、農業環境政策の評価を扱います。参加面積や補助金額、実施された取組と、実際に生じた環境変化を区別し、評価結果を制度改善へどう生かすかを考えます。農場、流域、農業景観など、成果の種類に応じた評価単位の選び方や、結果ベース支払いに伴う農家のリスク、測定精度と行政・農家の負担の関係を整理します。00:00 イントロダクション02:29 【テーマ1】食料安全保障とイラン危機19:36 【テーマ2】スマート農業政策33:46 【テーマ3】農業環境政策の評価■ 紹介した論考1)Chatham HouseThe fifth food mega-shock in 20 years? How to stop these crises for goodhttps://www.chathamhouse.org/publications/the-world-today/2026-06/fifth-food-mega-shock-20-years-how-stop-these-crises-good2)International Food Policy Research Institute(IFPRI)Iran war: From fertilizer to food crisis?https://www.ifpri.org/blog/iran-war-from-fertilizer-to-food-crisis/3)Peterson Institute for International Economics(PIIE)Use the WTO to address global fertilizer supply constraints related to the Iran warhttps://www.piie.com/blogs/realtime-economics/2026/use-wto-address-global-fertilizer-supply-constraints-related-iran-war4)Research and Information System for Developing Countries(RIS)India’s AI-Enabled Bharat VISTAAR Platform: Lessons for Bridging Agricultural Information Gap in Sub-Saharan Africahttps://www.ris.org.in/sites/default/files/Publication/Indias-AI-Enabled-Bharat-VISTAAR-Platform-Lessons-for-Bridging-Agricultural-Information-Gap-in-Sub-Saharan-Africa.pdf5)International Food Policy Research Institute(IFPRI)Beyond the model: Evaluating AI agricultural advisory systems so they work in the fieldhttps://www.ifpri.org/blog/beyond-the-model-evaluating-ai-agricultural-advisory-systems-so-they-work-in-the-field/6)IPES-FoodDigital agriculture is concentrating corporate power over food systemshttps://ipes-food.org/digital-agriculture-is-concentrating-corporate-power-over-food-systems/7)Agora AgricultureLess red tape, more results: How benchmarking and landscape coordination can make sustainable farming more competitivehttps://www.agora-agriculture.org/publications/less-red-tape-more-results8)SYTRA / FiBL(ENFASYS)Result-based payments for behavioural changehttps://sytra.be/publication/policy-brief-result-based-payments-for-behavioural-change/9)Institute for European Environmental Policy(IEEP)Strengthening the policy framework for ReCAP: barriers, enablers, and policy opportunitieshttps://ieep.eu/publications/strengthening-the-policy-framework-for-recap-barriers-enablers-and-policy-opportunities/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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新しい保守派経済学とは何か
保守派の経済政策と聞くと、減税、規制緩和、自由貿易、小さな政府を思い浮かべるかもしれません。しかし現在の米国では、関税や産業政策を支持し、場合によっては労働組合も肯定する、新しい保守派経済学が存在感を増しています。この考え方は、市場をできるだけ自由にすれば社会全体が豊かになるという、過去40年ほどの保守派の経済観を見直そうとするものです。経済政策の目的を、効率性や消費者価格だけで測るのではなく、労働者、家族、地域共同体、国内の産業基盤、国家安全保障まで含めて考えます。市場を否定するのではなく、市場をどのような目的に向けて設計するのかを問い直している点が特徴です。今回のエピソードでは、Oren Cass とシンクタンクの American Compass を中心に、新しい保守派経済学の内容と歴史的背景を整理します。アメリカン・システム、社会保守主義、経済安全保障という思想的な源流から、共和党や米国の通商政策への反映、自由貿易を重視する保守派や左派の労働運動からの批判までを取り上げます。米国市場で事業を行う日本企業にとっても、この変化は無関係ではありません。品質や価格だけでなく、米国内の生産、雇用、産業基盤、サプライチェーンの強靱化、対中依存の低減にどう貢献するのかが問われつつあります。一方、関税による物価上昇、政府による産業選別、同盟国との摩擦、行政能力の限界といった問題もあります。市場は誰のためにあるのか。どのような産業、地域、家族、労働者を支え、経済安全保障と自由貿易をどう両立させるのか。米国で進む保守派の思想転換を手がかりに、日本の市場と産業政策のあり方を考えます。■キーワード保守派経済学 / 自由市場主義 / 産業政策 / 経済ナショナリズム / 保護貿易 / 製造業政策 / 労働組合政策 / 経済安全保障 / サプライチェーン強靱化 / アメリカン・システム / 社会保守主義 / アバンダンス・アジェンダ00:00 新しい保守派経済学とは何か02:15 過去40年の自由市場主義からの転換04:54 従来型保守との違い — 効率性からレジリエンスへ07:27 市場は自然現象ではない — 制度設計としての市場09:56 Oren Cass と American Compass12:16 三つの思想的源流 — アメリカン・システム、社会保守主義、経済安全保障14:44 共和党の政策言語はどう変わったのか17:00 通商政策の評価軸 — 貿易拡大から国内生産・賃金・産業基盤へ19:16 論争① — 自由貿易の維持か、国民経済の再構築か21:50 論争② — 保守派による労働組合の再評価24:36 米国政治の変化 — 右派の産業政策と左派のアバンダンス27:19 日本への含意 — 同盟国でも例外とは限らない30:05 日本企業に求められる戦略的貢献32:00 新しい保守派経済学の副作用と限界35:07 まとめ — 市場は誰のためのものなのか■主な参考文献・関連リンク馬田隆明, 「新しい保守派経済学――アメリカ資本主義の再構築」https://takaumada.substack.com/p/conservative-economicsOren Cass, The Once and Future Worker: A Vision for the Renewal of Work in Americahttps://www.encounterbooks.com/books/the-once-and-future-worker/American Compass, Rebuilding American Capitalism: A Handbook for Conservative Policymakershttps://americancompass.org/wp-content/uploads/2023/06/AC-Rebuilding-American-Capitalism_Digital.pdfRepublican National Committee, 2024 Republican Party Platformhttps://prod-static.gop.com/media/RNC2024-Platform.pdfOffice of the United States Trade Representative, 2025 Trade Policy Agenda and 2024 Annual Reporthttps://ustr.gov/sites/default/files/files/reports/2025/2025%20Trade%20Policy%20Agenda%20WTO%20at%2030%20and%202024%20Annual%20Report%2002282025%20--%20FINAL.pdfExecutive Order 14257, Regulating Imports With a Reciprocal Tariff To Rectify Trade Practices That Contribute to Large and Persistent Annual United States Goods Trade Deficitshttps://www.federalregister.gov/d/2025-06063■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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気候適応は国家能力のテストである 【海外シンクタンク記事分析】
災害への備えは、防災予算の話にとどまらないのかもしれません。今回のエピソードでは、「気候適応は国家能力のテストである」をテーマに、米中競争、災害対応と外交、気候災害の財政リスクという3本の記事を通じて、気候災害への適応が国家の実力を容赦なく試す「積み重ね型のテスト」であることを考えます。問われているのは危機のときの瞬発力ではなく、平時に制度を設計し、投資し、実行し続ける地味な能力、いわば国家の基礎体力です。1本目では適応の制度と投資を10年以上積み上げてきた中国と一貫した国家戦略を持たない米国の対比を、2本目ではこのテストの採点者が実は国民自身であることを、3本目では欧州の事例比較からテストの中身、つまり制度設計の違いが復旧の速度と財政負担をどう分けたのかを見ていきます。■キーワード米中競争:気候適応の国家戦略/AIインフラと電力網/「発明する力」より「止まらない力」災害外交:システミックリスク化する災害/認知戦と情報防衛/連邦と州の役割分担財政リスク:政府という「最後の保険者」/リスクレイヤリング/日本の地震保険と流域治水■今回のトピック[01:23] 気候適応をめぐる米中競争 — 発明する力より「止まらない力」Foreign Affairs の記事をもとに、異常気象が電力・水・交通・供給網・住宅・保険・労働生産性を同時に傷つけ、米中両国の経済力・技術力を支える物理的基盤を脅かすなかで、適応の制度と投資を積み上げてきた中国と、政権をまたいで継続する国家戦略を持たない米国を対比する論点を取り上げます。本エピソードでは、気候適応を電力網に組み込むことは実質的にAI政策になること、中国の計画や投資を成果と同一視すると優位を過大評価しかねないこと、州や都市による分散的な実験は米国の強みでもあること、国家の適応力を測る指標は計画の数や投資額ではなく、災害後に電力・水・物流・保険がどれだけ早く戻るかであること、そして日本は「計画のない国」ではないものの、気候変動影響評価を電力・都市計画・産業立地・企業投資の具体的な判断にどう接続するかが課題であることが議論されました。出典: Foreign Affairs, "Extreme Weather Will Upend U.S.-China Competition" https://www.foreignaffairs.com/china/extreme-weather-will-upend-us-china-competition[21:44] 災害対応と外交力 — 採点者は国民自身Carnegie Endowment for International Peace の記事をもとに、国内の災害対応を別の役所が担う内政問題とみなす発想を問い直し、災害対応の不備が政府への信頼を損ない、対外援助や海外での軍事関与への国民の支持まで弱めかねない、という論点を取り上げます。本エピソードでは、災害予算を国内の福祉ではなく、同盟を維持し海外に関与し続けるための国家能力への投資として捉え直せること、ハワイの山火事後に「ウクライナよりハワイを」と訴えたロシアの認知戦のように、災害直後は敵対的なナラティブが入り込みやすく、危機の広報は民主社会の情報防衛でもあること、州ごとの能力差が大きいなかで連邦の関与縮小には能力基準や条件の設計が必要なこと、そして日本でも防災を内政部門に閉じ込めず、重要インフラの復旧時間といった民生レジリエンスの指標を安全保障・経済安全保障の政策に組み込む視点が参考になることが議論されました。出典: Carnegie Endowment for International Peace, "The Overlooked Link Between Disaster Response at Home and U.S. Power Abroad" https://carnegieendowment.org/emissary/2026/06/natural-disaster-response-fema-foreign-policy-climate[43:07] 気候災害と財政リスク — 災害を財政危機にしない制度設計Bruegel の政策ブリーフをもとに、EUでは1980年から2024年の直接損失8,220億ユーロのうち4分の1が直近4年間に集中し、保険カバー率が低いなかで政府が災害後の臨時予算で穴を埋め続ける構造が、税収・成長・金利・債務に波及する構造的な財政問題になっている、という論点を取り上げます。事前に積み立てた基金を持つスペインは素早く支払えた一方、事後対応に頼った国では救済が遅れ、損失の多くが家計や農家に残りました。本エピソードでは、予防・民間保険・国家基金・欧州共通プール・ガバナンスというリスクレイヤリングの考え方、保険は損失を再分配するものであり損失そのものは適応でしか減らせないこと、強制保険の逆進性や無保険化が住宅金融・自治体財政に波及するリスク、そして日本の地震保険の官民リスク分担や流域治水の取り組みを中期財政・保険設計にどう接続するか、が議論されました。出典: Bruegel, "Planning for the Rising Fiscal Costs of Climate Disasters" https://www.bruegel.org/policy-brief/planning-rising-fiscal-costs-climate-disasters■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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気候・エネルギー政策の最新論点整理 [2026年4月 - 6月] : 気候政策の実行体制・石炭火力移行・重要鉱物 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、最近の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を手がかりに、気候・エネルギー政策の論点を横断的に整理します。前半では、気候政策の実行体制を扱います。パリ協定の採択から約10年が経ち、気候政策は、大きな目標を掲げる段階から、具体的に実行する段階へ移っています。COP30後の動きやCHAMPに関する議論をもとに、国と自治体がどう役割を分担し、自治体の実行能力や信用力をどう支えるのかを考えます。中盤では、石炭火力からの移行を扱います。再エネ目標やネットゼロ目標、水素・アンモニア混焼、CCUSが掲げられていても、それだけで石炭依存が実際に減るとは限りません。電力会社の移行計画、計画中の発電所の再評価、トランジションクレジットの設計を通じて、実質的な移行をどう判断するかを考えます。後半では、重要鉱物を扱います。脱炭素を進めるには、太陽光、蓄電池、EV、送電網に使う鉱物を大量に確保する必要があります。しかし、その供給網は特定の国や企業、とりわけ中国に集中しています。クリーンな移行が新たな依存を生む可能性と、中国に過度に依存しない供給網をつくる際の追加コストを誰が負担するのかを考えます。00:00 イントロダクション02:18 【論点1】気候政策の実行体制と国・自治体の協働16:18 【論点2】石炭火力からの移行と「本物の移行」の見極め33:03 【論点3】重要鉱物とクリーン移行のサプライチェーン■ 紹介した論考1)World Resources InstituteThe New Climate Playbook: Cities and National Governments Working Togetherhttps://www.wri.org/insights/cities-nations-collaborative-climate-action2)IMPRI Impact and Policy Research InstitutePM eBus Sewa and the Future of Urban Bus Governance in Indiahttps://www.impriindia.com/insights/policy-update/pm-ebus-sewa-urban-bus-governance/3)Kleinman Center for Energy PolicyBreaking the Lock on Urban Climate Finance: A Proposal for a Green Cities Guarantee Fund to Support Climate Resilient Infrastructure in Citieshttps://kleinmanenergy.upenn.edu/research/publications/breaking-the-lock-on-urban-climate-finance-a-proposal-for-a-green-cities-guarantee-fund-to-support-climate-resilient-infrastructure-in-cities/4)Energy Shift InstituteAsia’s coal-fired utilities: Putting transition credibility to the testhttps://energyshift.institute/work/asias-coal-fired-utilities-putting-transition-credibility-to-the-test/5)RMIThe Time Is Now to Reconsider Planned Generation Projectshttps://rmi.org/resources/the-time-is-now-to-reconsider-planned-generation-projects/6)International Energy AgencyFinancing the Modernisation of Power Systems Beyond Coalhttps://www.iea.org/reports/financing-the-modernisation-of-power-systems-beyond-coal7)Brookings InstitutionSpeed vs. security: Scaling American clean energy in the shadow of Chinese supply chainshttps://www.brookings.edu/articles/speed-vs-security-scaling-american-clean-energy-in-the-shadow-of-chinese-supply-chains/8)Center for Strategic and International StudiesRare Earth Export Restrictions One Year Laterhttps://www.csis.org/analysis/rare-earth-export-restrictions-one-year-later9)Carnegie Endowment for International PeaceBattery Geopolitics: Balancing Industrial Power in the Race to Store Energyhttps://carnegieendowment.org/research/2026/06/battery-geopolitics-balancing-industrial-power-in-race-to-store-energy10)Columbia University Center on Global Energy PolicyG7 Countries Commit to Diversifying Critical Minerals Supply Without Deciding Who Bears the Costhttps://www.energypolicy.columbia.edu/g7-countries-commit-to-diversifying-critical-minerals-supply-without-deciding-who-bears-the-cost/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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進歩的愛国主義とは何か
進歩的愛国主義(Progressive Patriotism)という言葉は、一見すると矛盾しているように聞こえるかもしれません。進歩派は、平等や包摂、公共投資、気候変動対策と結びつけられがちです。一方、愛国主義は、国旗や国境、主権、伝統を想起させ、時に排外主義や右派ポピュリズムと重ねて語られます。今回のエピソードでは、「進歩的愛国主義とは何か」をテーマに、国民、主権、誇りといった言葉を進歩派がどう使い直そうとしているのかを整理します。焦点になるのは、賃上げ、医療、住宅、産業政策、地域再生、気候変動対策を、国民的連帯の言葉で語れるのかという問いです。この議論は、選挙向けの言葉遣いにとどまりません。再分配、福祉国家、公共投資、経済安全保障、GX、半導体支援、スタートアップ支援の正当性にも関わります。なぜ、私たちは会ったこともない他人の医療費や年金を、自分の税金で支えることに同意しているのでしょうか。なぜ、自分が住んでいない地域のインフラや教育に公共資金を使うことを受け入れられるのでしょうか。今回のエピソードでは、その背後にある「私たち」という連帯の物語が揺らぐ中で、進歩的愛国主義が持つ可能性と危うさを考えます。■キーワード進歩的愛国主義 / プログレッシブ・パトリオティズム / リベラル・ナショナリズム / 社会民主主義 / 産業政策 / 経済安全保障 / GX / 国民的連帯00:00 進歩的愛国主義とは何か — 国民・主権・誇りを進歩派が使い直す試み05:38 なぜ今出てきたのか — 普遍主義だけでは福祉国家を支えきれない?09:02 知的背景 — リベラル・ナショナリズム、社会民主主義、包摂的な国民物語12:24 三つの立場の違い — 民族ナショナリズム、コスモポリタニズム、進歩的愛国主義15:54 各国政治への反映 — オーストラリア、英国、米国19:56 政策への落とし込み — 産業政策、経済主権、社会民主的成果23:10 批判① — 愛国心は連帯の条件か、排除の入口か26:34 批判② — 危機時に「本当の国民」へ変質するリスク29:34 批判③ — レトリックと実態のギャップ32:30 日本への含意 — 経済安全保障、GX、半導体支援と社会契約36:10 チェックリスト — 境界線、経済的恩恵、スケール39:22 まとめ — 国民的連帯を排外主義にしないために■主な参考文献・関連リンク馬田隆明, “進歩的愛国主義 - Progressive Patriotism”https://takaumada.substack.com/p/progressive-patriotismJohn Denham, “A New Progressive Patriotism”https://eprints.soton.ac.uk/445466/1/520520_Denham_ANewProgressivePatriotism_with_set_statement.pdfPrime Minister of Australia, “Address to the National Press Club”https://www.pm.gov.au/media/address-national-press-club-0Prime Minister of Australia, “Address to the National Press Club”https://www.pm.gov.au/media/address-national-press-club-1IPPR, “Reclaiming Britain: The nation against ethno-nationalism”https://www.ippr.org/articles/the-nation-against-ethnonationalismRep. Ro Khanna, “Beyond The Epstein Class: A New Economic Patriotism”https://khanna.house.gov/media/press-releases/beyond-epstein-class-new-economic-patriotismMartha C. Nussbaum, Political Emotions: Why Love Matters for Justicehttps://www.hup.harvard.edu/books/9780674503809OECD, “OECD Survey on Drivers of Trust in Public Institutions – 2024 Results”https://www.oecd.org/en/publications/oecd-survey-on-drivers-of-trust-in-public-institutions-2024-results_9a20554b-en.html■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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「人生の節目で弱くなる社会保障」を考え直す
「社会人になったら家を出る」「子どもが生まれたら家族で支える」「年を取ったら制度が守ってくれる」。こうした前提が、少しずつ揺らいでいるのかもしれません。今回のエピソードでは、「『人生の節目で弱くなる社会保障』を考え直す」をテーマに、英国の年金改革と家族支援、若者の親元同居と住宅・資産格差、米国の高齢者貧困対策を取り上げます。3本の記事に共通しているのは、家族が見えないセーフティネットとして、住まい、子育て、老後の負担を受け止めているという視点です。年金や住宅、雇用、子育て、医療、生活支援を別々に最適化するだけでは、人生の移行期に制度から漏れる人が生まれます。今回は、社会保障を制度ごとの給付としてではなく、人生の節目で人を取りこぼさないインフラとしてどう設計し直すかを考えます。■キーワード年金と家族支援:トリプルロック/Demographics-Adjusted Earnings Link (DAEL)/世代間契約/将来の支え手若者の住まい:親元同居/住宅費/親の資産/成人への移行高齢者貧困:SSI/Medicare/SNAP/住宅支援/申請主義と行政能力■今回のトピック[01:46] トリプルロックから家族支援へ — 年金と家族政策を同じテーブルに乗せるOnwardとコンラート・アデナウアー財団英国・アイルランド事務所の論考をもとに、英国の年金制度におけるトリプルロック改革と家族支援を一体で考える提案を取り上げます。本エピソードでは、日本の年金改革でよく議論されるマクロ経済スライド、基礎年金の底上げ、被用者保険の適用拡大を手がかりに、こうした制度調整が将来の支え手を前提にしている点を確認しました。英国では、人口高齢化、出生率の低下、現役世代と年金受給者の比率悪化、トリプルロックによる年金支出の膨張が重なっています。こうした状況を踏まえ、年金政策と家族政策を同じ世代間契約として再設計する必要性を紹介しました。出典: Onward / Konrad-Adenauer-Stiftung UK & Ireland, "From Triple Lock to Family Support" https://ukonward.com/reports/from-triple-lock-to-family-support/[23:40] 親元に戻り、とどまる若者たち — 住まいは成人への移行を左右するResolution Foundationのブリーフィングをもとに、英国でフルタイム学生ではない20歳から24歳の若者の63%が親元で暮らしていること、住宅取得が本人の所得だけでなく親の資産にも左右されつつあることを取り上げます。本エピソードでは、若者の所得には一部改善が見られる一方で、親元同居、住宅取得、親の資産への依存という構造変化が起きていることを議論しました。生活水準が上がったように見えても、若者が独立しにくい状況は残っています。住宅供給、手頃な住宅、賃借人の権利、頭金支援、NEET対策、最低賃金政策の限界などを通じて、若者が親の資産に頼らずに家を出て、仕事を選び、人間関係をつくれる社会をどう設計するかを考えました。出典: Resolution Foundation, "They're coming home: How do the living standards of younger Millennials and Gen Z fare?" https://www.resolutionfoundation.org/publications/theyre-coming-home/[47:15] 高齢者の貧困を減らす — 分断された制度から統合型セーフティネットへBrookingsの記事をもとに、米国の高齢者貧困に対して、SSI、SNAP、Medicare、住宅補助、Social Securityの相互作用を組み合わせる政策パッケージを取り上げます。本エピソードでは、高齢期の困窮では、一度家計が崩れると働いて取り戻す余地が限られることを確認しました。病気、医療費、食料、住まいの不安が同時に発生する一方で、支援制度は別々に用意されていることが多くあります。記事では、補足的所得保障の給付拡大やルールの簡素化、Medicare保険料の引き下げ、自己負担上限の設定、住宅バウチャーの拡大などが提案されています。高齢者の貧困を、お金が足りない問題であると同時に、助けが届かない制度設計の問題として捉え、日本における申請主義、低年金、医療・介護・住居費、単身高齢女性への支援にも話を広げました。出典: Brookings, "Reducing poverty among older adults" https://www.brookings.edu/articles/reducing-poverty-among-older-adults/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明 (PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム (PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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AI政策の最新論点整理 [2026年4月 - 6月] : AIインフラ・大学研究力・行政AI 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、AI政策について、直近3か月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を横断して整理します。前半では、AIインフラを扱います。AIをソフトウェアとしてだけでなく、電力、送電網、データセンター、半導体、冷却水、土地といった物理的基盤から捉え、AIを動かすための計算資源をどこに置き、誰が使えるようにするのかを考えます。中盤では、AI時代の大学研究力を扱います。AI研究に必要な人材、データ、計算資源が大手テック企業に集中するなかで、大学がオープンな知識生産、人材育成、独立検証の場であり続けられるのかを考えます。後半では、行政AIを扱います。行政におけるAI活用は、もはや「使うかどうか」だけではなく、どう調達し、どう監査し、どう住民に説明するかが問われています。AIが行政判断に関わるとき、契約、ログ、監査権、人間の確認、救済可能性をどう設計するのかを考えます。00:00 イントロダクション01:19 【論点1】AIインフラと計算資源・電力・データセンター15:30 【論点2】AI時代の大学研究力とオープンサイエンス30:43 【論点3】行政AIの調達・監査・説明責任■ 紹介した論考1)Carnegie Endowment for International PeaceThe Compute Coalition: How to Build the Future of AI in the Free Worldhttps://carnegieendowment.org/research/2026/06/the-compute-coalition-how-to-build-the-future-of-ai-in-the-free-world2)RAND CorporationWhat Is Blocking U.S. Power Expansion for AI—and What Could Unlock It by 2030?https://www.rand.org/pubs/research_briefs/RBA3845-2.html3)Institute for ProgressA Speed-for-Security Bargain for AI Data Centershttps://ifp.org/speed-for-security-bargain-for-ai-data-centers/4)Atlantic CouncilPowering AIhttps://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/issue-brief/powering-ai/5)Center for a New American SecurityAmerican AI Companies Can't Get Enough Chipshttps://www.cnas.org/publications/reports/american-ai-companies-cant-get-enough-chips6)CEPR / VoxEUThe great AI talent migration: Why universities are losing the future of innovationhttps://cepr.org/voxeu/columns/great-ai-talent-migration-why-universities-are-losing-future-innovation7)InterfaceTalent in, Talent out: The Shifting Geography of the Global AI Workforcehttps://www.interface-eu.org/publications/talent-in-talent-out8)Information Technology and Innovation FoundationMobilizing for Techno-Economic War, Part 5: Transforming STEM Research Policyhttps://itif.org/publications/2026/06/17/mobilizing-for-techno-economic-war-part-5-transforming-stem-research-policy/9)Federation of American ScientistsSustaining Scientific Collections in the Age of AIhttps://fas.org/publication/sustaining-scientific-collections-in-the-age-of-ai/10)Federation of American ScientistsHow State Governments Should Purchase AI to Ensure Fair, Transparent, and Accountable Usehttps://fas.org/publication/how-governments-purchase-ai-fair/11)Center for Democracy & TechnologyAdvancing Responsible AI Adoption and Use in the Public Sector: Three Policy Priorities for State Legislationhttps://cdt.org/insights/advancing-responsible-ai-adoption-and-use-in-the-public-sector-three-policy-priorities-for-state-legislation/12)BCG / Centre for Public Impact / SalesforceTrust Imperative 5.0: Governing AI at Scalehttps://www.bcg.com/publications/2026/trust-imperative-5-governing-ai-at-scale13)Ada Lovelace InstituteMeasuring up: Evaluating claims about AI and productivity in the UK public sectorhttps://www.adalovelaceinstitute.org/policy-briefing/measuring-up/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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共通善保守主義とは何か 【海外シンクタンク記事分析】
「共通善」という言葉は、一見すると「公益」や「公共の利益」に近い、穏当な政策用語のように聞こえるかもしれません。しかし、アメリカ保守派の中で広がる共通善保守主義 (Common Good Conservatism)においては、家族、宗教、共同体、労働の尊厳、国内産業、安全保障、さらにはAIガバナンスや政府調達にまでつながる、かなり強い思想的な言葉として使われています。今回のエピソードでは、「共通善保守主義とは何か」をテーマに、自由市場や小さな政府を重視してきた従来の保守との違い、MAGAとの関係、ポストリベラル右派の思想的背景、そして通商政策、反トラスト、AI、家族政策への波及を整理します。重要なのは、これは単なるアメリカ右派内部の思想論争ではなく、政策になり、調達条件になり、企業行動やサプライチェーンの再設計にも影響しうるという点です。日本から見ると、「共通善」をそのまま「公益」や「公共の福祉」と訳して理解するだけでは足りません。アメリカの文脈では、宗教、自然法、憲法解釈、文化戦争、家族観、国家観が重なっています。今回のエピソードでは、この思想がどのように市場や企業活動を書き換えうるのかを考えます。■キーワード共通善保守主義 / ナショナル・コンサバティズム / 共通善立憲主義 / 共通善資本主義 / 産業政策 / AIガバナンス■主な参考文献・関連リンク馬田隆明,「共通善保守主義 - Common Good を求める米国保守派の潮流」https://takaumada.substack.com/p/common-good-conservatismFirst Things, “Against the Dead Consensus”https://firstthings.com/against-the-dead-consensus/First Things, “Against David French-ism”https://firstthings.com/against-david-french-ism/Deneen, P. J. (2023). Regime change: Toward a postliberal future. Penguin Random House.The Atlantic, “Beyond Originalism”https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2020/03/common-good-constitutionalism/609037/National Conservatism, “A Statement of Principles”https://nationalconservatism.org/national-conservatism-a-statement-of-principles/Public Discourse, “Common Good Capitalism and the Dignity of Work”https://www.thepublicdiscourse.com/2019/11/58194/White House, “America First Trade Policy”https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/01/america-first-trade-policy/White House, “Preventing Woke AI in the Federal Government”https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/07/preventing-woke-ai-in-the-federal-government/Heritage Foundation, “Saving America by Saving the Family”https://www.heritage.org/marriage-and-family/report/saving-america-saving-the-family-foundation-the-next-250-years■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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ロボティクス国家戦略をめぐる最新論考 【海外シンクタンク記事分析】
ロボットは、工場の自動化装置や人手不足対策として語られがちです。ただ、今回の3本の記事に共通しているのは、ロボティクスが製造業、安全保障、AI、労働政策、教育政策が交差する物理世界の基盤技術になりつつあるという視点です。今回のエピソードでは、「ロボティクス国家戦略をめぐる最新論考」をテーマに、米国の戦略不在、産業用ロボット市場の競争軸の変化、中国の技術・産業政策という3本の記事を取り上げます。日本と欧州はいまも従来型の産業用ロボットで強みを持っています。一方で、AI統合、協働ロボット、低コスト部品、導入後の学習ループという新しい競争軸では、中国や米国を含めた構図が変わる可能性があります。■キーワード米国戦略:国家ロボティクス戦略/導入支援/税額控除/製造業拡張パートナーシップ(MEP)/省庁横断ガバナンス産業用ロボット:日本・欧州の強み/AI統合/協働ロボット/部品・保守・システム統合/学習ループ中国の技術・産業政策:政府誘導基金/標準化/海外需要/政策コストと過剰生産能力■今回のトピック[01:42] 米国の国家ロボティクス戦略 — 発明国の遅れをどう取り戻すかITIFの記事をもとに、米国が産業用ロボットの発明国でありながら、ロボット輸出、導入、生産基盤、政策統合の面で遅れているという問題を取り上げます。本エピソードでは、中国が大規模な導入、補助金、産業集積、供給網のスピードを通じてロボティクス産業を伸ばしていること、米国では研究開発やスタートアップは強い一方で、量産、現場導入、省庁横断の政策調整に弱さがあることを議論しました。さらに、商務省の下に国家委員会を置く案、R&D税額控除、ロボット導入税額控除、NISTの製造業拡張パートナーシップ(MEP)、職業訓練などを通じて、ロボット政策をガバナンスと導入能力の問題として設計する必要性を考えました。出典: ITIF, "America Needs a National Robotics Strategy" https://itif.org/publications/2026/06/18/america-needs-a-national-robotics-strategy/[24:55] 産業用ロボティクスの現状 — 日本・欧州の強みは次の競争でも続くのかFoundation for American Innovationのレポートをもとに、日本と欧州の企業が従来型の産業用ロボット市場で推定売上の約85%を占める一方で、競争軸がAI統合、協働ロボット、ソフトウェア、低コスト部品、システム統合能力へ移りつつあるという論点を取り上げます。本エピソードでは、中国が産業用ロボットを完全に支配しているわけではないものの、安価で柔軟な協働ロボットや部品市場で存在感を高めていることを議論しました。ロボットの価値は、機械の精度だけでなく、故障や運用データを集め、改善を重ねる速度にも左右される可能性があります。日本にとっては、完成品メーカーに加え、主要部品、導入支援、保守人材、安全認証、標準化まで含めたエコシステムをどう作るかが問われています。出典: Foundation for American Innovation, "The State of Industrial Robotics" https://www.thefai.org/posts/the-state-of-industrial-robotics[49:06] 中国の技術・産業政策 — 補助金だけでは見えない国家システムRANDの報告書をもとに、中国の産業政策を、補助金の多さだけでなく、産業政策と科学技術政策が融合した技術・産業政策として捉える視点を取り上げます。本エピソードでは、中国の政策目的が成長やキャッチアップから、国家安全保障、技術自立、先端分野での主導権へ移りつつあることを議論しました。政策手段も、直接補助にとどまらず、政府誘導基金、信用誘導、税制優遇、政府調達、標準化、企業統治、対外投資へ広がっています。一方で、この仕組みは政策コストを企業、地方政府、金融機関などに分散させ、外部から把握しにくくする面があります。需要不足、全要素生産性、過剰生産能力、国際摩擦といった課題も残ります。日本にとっては、中国型を模倣するのではなく、透明性、法の支配、同盟関係、民間企業への信頼を生かし、標準化や調達、金融、人材、経済安全保障政策を連動させることが課題になります。出典: RAND Corporation, "China’s Techno-Industrial Strategy in the Xi Era: Producing Under Pressure" https://www.rand.org/pubs/research_reports/RRA4012-1.html分析内で紹介した記事:Rhodium Group, "Far From Normal: An Augmented Assessment of China’s State Support" https://rhg.com/research/far-from-normal-an-augmented-assessment-of-chinas-state-support/International Monetary Fund (IMF), "Industrial Policy in China: Quantification and Impact on Misallocation" https://www.imf.org/-/media/files/publications/wp/2025/english/wpiea2025155-source-pdf.pdfRhodium Group, "China’s Next-Generation Industrial Policy" https://rhg.com/research/chinas-next-generation-industrial-policy/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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教育政策の最新論点整理 [2026年3月 - 6月] : 教員の働き方・進路支援・修学費用支援 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、教育政策について、直近3か月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を横断して整理します。前半では、教員が授業準備や児童生徒理解に十分な時間を使える学校環境をどう整えるかを扱います。教員不足を、勤務条件、ウェルビーイング、学校リーダーシップ、専門性の配置という観点から考えます。中盤では、高等教育への進学支援を扱います。進学機会の格差は、費用だけでなく、進路情報、出願準備、奨学金申請、入学後の手続きまでを支える助言と手続き支援の格差にも表れます。後半では、修学費用支援を扱います。授業料無償化というスローガンにとどまらず、生活費、入学前費用、中所得層への支援まで含め、学生が学び続けられるよう、実質負担をどう下げるかを考えます。00:00 イントロダクション01:19 【論点1】教員の働き方と学校現場の持続可能性12:59 【論点2】進路・出願支援と専門アドバイジング23:00 【論点3】修学費用支援と総費用保障■ 紹介した論考1)Brookings / NCEEFrom aspiration to architecture: Building education systems for human flourishinghttps://www.brookings.edu/articles/from-aspiration-to-architecture-building-education-systems-for-human-flourishing/2)RAND CorporationTeacher Well-Being, Pay, and Intentions to Leave in 2026https://www.rand.org/pubs/research_reports/RRA4404-2.html3)Learning Policy InstituteThe Principal Effect: How Investing in School Leaders Is Key to Solving Education’s Challengeshttps://learningpolicyinstitute.org/product/prinicipal-effect-investing-school-leaders-report4)NFERHeadlines of more teachers masks a more mixed picture on teacher shortages underneathhttps://www.nfer.ac.uk/blogs/headlines-of-more-teachers-masks-a-more-mixed-picture-on-teacher-shortages-underneath/5)BrookingsWhy expert advising matters for college accesshttps://www.brookings.edu/articles/why-expert-advising-matters-for-college-access/6)New AmericaCareer Advising Happens Everywhere — Is Your State Prepared?https://www.newamerica.org/insights/career-advising-happens-everywhere-is-your-state-prepared/7)New AmericaBuilding a Career Advising Ecosystem: How States Are Redefining Roles for Student Successhttps://www.newamerica.org/insights/building-a-career-advising-ecosystem-how-states-are-redefining-roles-for-student-success/8)Institute for Higher Education PolicyHow Different Streamlined Admissions Models Shape the Student Experiencehttps://www.ihep.org/how-different-streamlined-admissions-models-shape-the-student-experience/9)BrookingsGetting state “free college” right: Design choices that matterhttps://www.brookings.edu/articles/getting-state-free-college-right-design-choices-that-matter/10)Urban InstituteAlternatives to Free Tuition Programs Can Help with Living Expenseshttps://www.urban.org/research/publication/alternatives-free-tuition-programs-can-help-living-expenses11)Institute for Higher Education PolicyFederal SNAP Cuts and Pell Funding Shortfall Risk Worsening Disparities in Food Insecurity, College Persistence, and Attainmenthttps://www.ihep.org/snap-cuts-pell-shortfall-risk-worsening-disparities-in-food-insecurity-persistence-attainment/12)BrookingsAddressing the “missing middle” in college financial aidhttps://www.brookings.edu/articles/addressing-the-missing-middle-in-college-financial-aid/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP YouTube チャンネルhttps://www.youtube.com/@PEPlatform■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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海、電気、AIで「最強」が負ける時 【海外シンクタンク記事分析】
最高の海軍、最大級のエネルギー産出国、最先端のAIモデルといった「一番強いもの」が、安価なドローンやミサイル、太陽光・蓄電池の製造スケール、知識蒸留されたオープンウェイトモデルの普及によって、これまでとは違う競争にさらされつつあります。今回のエピソードでは、「海、電気、AIで『最強』が負ける時」をテーマに、海上交通、アジアの電力化、ローカルAIモデルの標準争いを扱う3本の記事を取り上げます。3本に共通するのは、コストの非対称性が戦略の前提を覆い、強さと弱さの構造を変えていることです。海上交通、電力、AIを、安全保障と制度設計の問題として考えます。■キーワード海上交通:ホルムズ海峡/自由航行/安価なドローンと高額迎撃弾/保険・護衛・通行料電力化:アジアの電力需要/エレクトロテック/エレクトロシールド/化石燃料輸入依存AI:オープンウェイトモデル/知識蒸留/ローカルAI/端末上の標準競争■今回のトピック[01:36] グローバル・コモンズの支配を失ったアメリカ — 自由な海を誰が開け続けるのかForeign Affairs の記事をもとに、ホルムズ海峡、紅海、台湾海峡などで、誰でも自由に航行できる海という前提が揺らいでいる状況を取り上げます。本エピソードでは、戦後の海洋秩序が国際法、米国の軍事力、海運金融によって支えられてきたことを確認しました。そのうえで、安価なドローンやミサイル、海底ケーブルへの攻撃、中国の造船・港湾・産業力によって、その構造が分解されつつあることを議論しました。さらに、海上交通の問題を海軍の作戦だけでなく、保険、制裁、ドル決済、シャドーフリート、港湾、備蓄、契約条件まで含む「世界経済の通行制度」として捉える必要があること、日本は開かれた海に最適化されすぎており、航路、港湾、船腹、保険、代替輸送、不可抗力条項まで含めたレジリエンスを考える必要があることを話しました。出典: Foreign Affairs, "How America Lost Command of the Commons" https://www.foreignaffairs.com/united-states/how-america-lost-command-commons[33:03] 電力化するアジア — 燃料を買う地域から電力技術を作る地域へEmber のレポートをもとに、アジアが石油・ガス資源には乏しい一方で、太陽光パネル、蓄電池、風力タービンなどの電化関連技術で大きな製造能力を持っている、という構図を取り上げます。本エピソードでは、アジアが世界の電力需要成長の中心になっていること、2024年時点で約1.1兆ドルの化石燃料を輸入していること、そして太陽光、風力、蓄電池、EVなどのエレクトロテックを通じて、エネルギー主権、成長、産業優位、安全保障を同時に獲得しようとしていることを議論しました。さらに、エネルギー転換を脱炭素だけでなく、貿易収支、通貨の安定、産業政策、防衛、サイバー空間、半導体、送電網を含む成長モデルの再設計として見る視点や、電化が進むほど、燃料の地政学から部材、標準、ソフトウェア、系統制御の地政学へ移る可能性について話しました。出典: Ember, "Electric Asia" https://ember-energy.org/latest-insights/electric-asia[53:03] 中国のAI強奪 — 最先端モデルから端末上の標準へForeign Affairs の記事をもとに、米中AI競争が最先端モデルを作る競争だけでなく、ノートパソコンやスマートフォン上で動くローカルAIモデルの普及・採用競争へ広がっている、という論点を取り上げます。本エピソードでは、中国企業が米国の最先端AIモデルの能力を知識蒸留によって取り込み、安価なオープンウェイトモデルとして世界に広げていく構図、米国がモデルのトレーニング競争では勝っても、端末上の標準をめぐる配布競争で負ける可能性を議論しました。さらに、ローカルモデルの性能向上、安全対策が蒸留では移りにくい問題、OpenClawのスキル市場に悪性拡張機能が流入した事例、モデル選択がクラウド、チップ、開発環境、データ移転先までロックインしていく可能性について話しました。日本にとっては、米国モデルへの全面依存でも、中国製オープンウェイトモデルの無批判な採用でもなく、信頼できるオープンウェイトモデルを評価し、採用し、改良する能力をどう持つかが論点になります。出典: Foreign Affairs, "China’s AI Heist" https://www.foreignaffairs.com/china/chinas-ai-heist■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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少子化・共生政策の最新論点整理 [2026年3月 - 6月] : 家族形成・外国人共生・孤独対策 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、少子化・共生政策について、直近3か月の海外シンクタンク・政策研究機関・国際機関の論考を横断して整理します。本エピソードは、各記事の翻訳や全文要約ではありません。少子化・家族形成、チャイルドペナルティ、外国人共生、孤独・孤立をめぐる論点を、公共政策関係者向けに整理するものです。前半では、希望する家族形成をどう支えるか、子どもを持つことによるキャリアや所得のペナルティをどう減らすかを扱います。後半では、狭い意味での少子化対策ではなく、人口減少社会における共生・包摂政策として、外国人住民の教育・雇用・地域定着、そして若者や子育て世帯の孤独・孤立を考えます。タイムスタンプ00:00 イントロダクション00:30 今回の全体像02:27 【論点1】少子化を「希望と実現のギャップ」として捉える04:31 記事1: 希望する子ども数と実際の子ども数のギャップ07:11 記事2: 韓国の低出生率、若者、ジェンダー、ウェルビーイング09:57 論点1まとめ12:38 【論点2】仕事・保育・ジェンダー規範とチャイルドペナルティ15:20 記事3: リモートワークと出生率低下18:09 記事4: 柔軟な働き方と母親のキャリア損失21:00 記事5: 親になる移行期の保育・育休・職場復帰23:58 記事6: 所得差とジェンダー規範26:26 論点2まとめ28:29 【論点3】外国人共生を子ども・教育・地域経済政策として扱う30:11 記事7: 英語学習者への母語評価と日本語指導が必要な子ども33:06 記事8: 移民・難民の経済的包摂と都市政策36:58 論点3まとめ38:03 【論点4】孤独・孤立を若者・子育て・デジタル政策として扱う40:15 記事9: フィンランドのライフコース別ウェルビーイング診断42:52 記事10: AIコンパニオンボットと公衆衛生リスク45:30 論点4まとめ紹介した論考1)CardusHome Alone: Why Most Canadians Have Fewer Children Than They Wanthttps://www.cardus.ca/research/home-alone/2)OECDInclusive and Sustainable Well-being in Korea: 30 Years of OECD Membership and Future Policy Opportunitieshttps://www.oecd.org/en/publications/inclusive-and-sustainable-well-being-in-korea_a8940343-en.html3)CEPR / VoxEURemote work can blunt the fertility declinehttps://cepr.org/voxeu/columns/remote-work-can-blunt-fertility-decline4)CEPR / VoxEUHow flexible work arrangements reshape mothers’ careershttps://cepr.org/voxeu/columns/how-flexible-work-arrangements-reshape-mothers-careers5)Urban InstituteBalancing Work, Child Care, and the Transition to Parenthoodhttps://www.urban.org/research/publication/balancing-work-child-care-and-transition-parenthood6)IZAAre Gender Norms Shaped by Who Earns More?https://www.iza.org/publications/dp/18661/are-gender-norms-shaped-by-who-earns-more7)Migration Policy InstituteNative Language Assessments for K-12 English Learners: A 2025 State-Level Snapshothttps://www.migrationpolicy.org/research/native-language-assessments-k128)Migration Policy Institute / Mayors Migration CouncilCreating Inclusive Urban Economies for Migrants and Refugeeshttps://www.migrationpolicy.org/research/inclusive-urban-economies9)OECDWell-being along the Life Course in Finlandhttps://www.oecd.org/en/publications/well-being-along-the-life-course-in-finland_4bddb2df-en.html10)BrookingsFrom Bans to Recalls: A Public Health Framework for AI Companion Botshttps://www.brookings.edu/articles/from-bans-to-recalls-a-public-health-framework-for-ai-companion-bots/PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。YouTubeでも配信中PEP YouTube チャンネル登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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需要から安全保障を設計する 【海外シンクタンク記事分析】
「供給を増やす」「調達先を分散する」という発想は、エネルギーや鉱物の安全保障を考えるときの出発点になりがちです。しかし今回の3本の記事に共通しているのは、供給を確保する政策としてだけでなく、需要をどう設計するかという視点です。今回のエピソードでは、「需要から安全保障を設計する」をテーマに、フィリピンの屋根置き太陽光、インドの産業電化、重要鉱物の需要側戦略という3本の記事を紹介します。■キーワードフィリピン:屋根置き太陽光/投資回収3年/需要家主導の急拡大と公式統計の乖離インド:買い手不在の42GW/産業の熱需要への電化/電力購入モデルの転換重要鉱物:供給側偏重の死角/材料代替・効率化・再設計/マテリアル・セキュリティ・バイ・デザイン■今回のトピック[01:18] フィリピンの屋根置き太陽光 — 危機対応の主体が家計や企業へEmber の記事をもとに、電気料金の高騰とパネル価格の低下により、屋根置き太陽光の投資回収期間が家庭用で約3年まで短縮し、経済合理性が高まっている事例を取り上げます。本エピソードでは、次の3点について議論しました。第一に、フィリピンの屋根置き太陽光容量の公式統計は約52メガワットしか捉えていないのに、実態は約1,300メガワットと推計され、統計と市場実態が乖離していること。第二に、供給側の条件はすでに整っており、融資や小口導入、蓄電池といった需要側の政策こそが普及の鍵になること。第三に、国家のエネルギー安全保障の担い手が、政府や電力会社から家計や企業へ一部移っていくという見方です。出典: Ember, "How the Philippines' Rooftop Solar Surge Can Flip the Energy Emergency Script" https://ember-energy.org/latest-insights/how-the-philippines-rooftop-solar-surge-can-flip-the-energy-emergency-script/[23:00] インドの産業電化 — 余った再エネを工場の熱需要につなぐEnergy Innovation の研究者らによる記事をもとに、競争力のある約42ギガワットの再エネが買い手を見つけられずにいる中で、その出口として工場の熱需要に注目する視点を取り上げます。本エピソードでは、次の点について議論しました。問題はコストではなく市場構造にあること、太陽光と蓄電池が産業用電気料金より安くなっていること、電気加熱が温度帯ごとに石炭・石油・ガスに対して競争力を持ち、クリーン電力で支えられれば産業のCO2排出を51%削減できると試算されていること、そして電力購入モデルが配電会社中心から大口需要家中心へ移行しつつあるという見方です。出典: Energy Innovation / Renewable Watch, "Plugging In: Harnessing Solar for Industrial Electrification" https://renewablewatch.in/2026/06/04/plugging-in-harnessing-solar-for-industrial-electrification/[43:11] 重要鉱物の需要側戦略 — 調達先分散だけでは足りないAtlantic Council の報告書をもとに、重要鉱物政策が「どこから調達するか」という供給源に集中し、「そもそもどれだけ必要か」「誰が需要を形づくるか」という問いを扱ってこなかった、という死角についての議論を取り上げます。本エピソードでは、次の点について議論しました。材料代替・材料効率化・システムや製品の再設計という三つの需要側イノベーション、連邦調達や事前認証プログラムを通じて代替技術の需要を高める政策、設計段階から鉱物依存を考える「マテリアル・セキュリティ・バイ・デザイン」という発想、そして公共調達が間接的に製品アーキテクチャを誘導し、2030年代の鉱物依存を形づくるという視点です。出典: Atlantic Council, "Innovation as Resilience: Demand-Side Strategies for Critical Mineral Supply Chain Security" https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/innovation-as-resilience-demand-side-strategies-for-critical-mineral-supply-chain-security/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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社会保障政策の最新論点 [2026年3月 - 5月] : 介護、地域医療、医療AIから考える 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、社会保障政策のうち、医療・介護を中心とする領域について、直近3か月の海外シンクタンク・政策研究機関の論考を横断して整理します。本エピソードは、各記事の翻訳や全文要約ではありません。社会保障政策、特に医療・介護の提供体制をめぐる論点を、公共政策関係者向けに整理するものです。00:00 イントロダクション00:35 今回の全体像01:58 【論点1】介護・長期ケア04:18 記事1: 在宅生活支援給付と既存制度の実行力07:13 記事2: 長期ケア費用と中間層の資産10:27 記事3: 介護人材、海外人材、無償ケアラー14:34 論点1まとめ16:33 【論点2】地域医療・プライマリケア18:39 記事4: 生活圏単位の健康づくりと地域チーム21:16 記事5: 地方部の医療提供インフラ25:03 記事6: プライマリケアの支払い改革27:58 記事7: 国際比較から見た米国医療30:47 論点2まとめ33:44 【論点3】医療DX・AIガバナンス35:12 記事8: 医療AIを現場で役立てる条件37:27 記事9: 医療分野のデジタル技術・AIへの意識39:48 記事10: 健康情報源としてのAI利用42:19 論点3まとめ■ 紹介した論考1. BrookingsAging with dignity: Providing long-term supports and services at home for our nation’s eldershttps://www.brookings.edu/articles/aging-with-dignity-providing-long-term-supports-and-services-at-home-for-our-nations-elders/2. Roosevelt InstituteHow Long-Term Care Costs Drain the Middle Class and Deepen Intergenerational Wealth Inequalityhttps://rooseveltinstitute.org/publications/how-long-term-care-costs-drain-the-middle-class/3. The King’s FundSocial care 360: workforce and carershttps://www.kingsfund.org.uk/insight-and-analysis/long-reads/social-care-360-workforce-carers4. The King’s FundWhat can England and Singapore learn from each other on neighbourhood health?https://www.kingsfund.org.uk/insight-and-analysis/long-reads/england-singapore-learn-from-each-other-neighbourhood-health5. BrookingsRural health care infrastructure: Trends and considerations for the futurehttps://www.brookings.edu/articles/rural-health-care-infrastructure-trends-and-considerations/6. California Health Care FoundationMedi-Cal Bold Idea — Multipayer Primary Care Payment Reform Modelhttps://www.chcf.org/resource/medi-cal-bold-idea-multipayer-primary-care-payment-reform-model/7. Commonwealth FundU.S. Health Care from a Global Perspective, 2026https://www.commonwealthfund.org/publications/issue-briefs/2026/may/us-health-care-global-perspective-20268. Commonwealth FundSharing a Workplace: How Health Systems Make Artificial Intelligence Useful to Clinicianshttps://www.commonwealthfund.org/publications/2026/apr/sharing-workplace-how-health-systems-make-artificial-intelligence-useful9. The Health FoundationAttitudes to technology and AI in health care: Findings from our 2025 surveyhttps://www.health.org.uk/reports-and-analysis/analysis/attitudes-to-technology-and-ai-in-health-care10. KFFKFF Tracking Poll on Health Information and Trust: Use of AI For Health Information and Advicehttps://www.kff.org/public-opinion/kff-tracking-poll-on-health-information-and-trust-use-of-ai-for-health-information-and-advice/■ PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■ YouTubeでも配信中PEP Think の動画版は YouTube でもご覧いただけます。https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■ 登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■ 主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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「政策実装力」が地域の競争力になる時代 【海外シンクタンク記事分析】
今回のエピソードに共通しているのは、政策は成立後に初めて現場で試される、という視点です。予算を確保するだけでなく、その予算を使いこなし、成果に変えられるか。制度や資金を現場で動かす力が、これからの地域の競争力を分けるのではないか。この問いを考えます。今回は、「『政策実装力』が地域の競争力になる時代」をテーマに、バージニア州の有給家族・医療休暇、小規模企業支援、農村ブロードバンド整備という3本の記事を取り上げます。バージニア州の事例では、他州の運用経験を法案設計に組み込む方法を扱います。小規模企業支援では、ばらばらの補助金や相談窓口を、資金、顧客、人材、販路につながる支援基盤としてどう束ねるかを取り上げます。農村ブロードバンドでは、補助金があっても、申請、設計、データ整備、実装管理の能力がなければインフラは届かない、という課題を整理します。■キーワード政策実装:制度成立後のサービス設計/申請処理・証明・支払い/実装KPIとフィードバック小規模企業支援:補助金から支援基盤へ/資金・顧客・人材の接続/地域の調整役農村ブロードバンド:50万ドルの支援と4,000万ドル超の資金獲得/申請・設計能力/信頼される支援ハブ■今回のトピック[01:49] バージニア州の有給休暇法 — 政策を使える制度に落とし込むNew America の記事をもとに、バージニア州の有給家族・医療休暇制度を、労働政策に加えて政策実装の事例として取り上げます。本エピソードでは、法案成立をゴールにせず、申請処理、医療証明、支払い、広報、データ共有、雇用主対応まで含めて制度を設計する必要性を議論しました。New Practice Lab が他州の実装経験をバージニア州の法案設計に生かしたこと、制度の本体には、法律だけでなく申請画面、職員研修、医療証明の取りやすさ、雇用主通知、データ連携も含まれることを扱っています。また、実装の失敗が制度そのものへの反発につながり得る点にも触れています。出典: New America, "Virginia’s New Paid Leave Law Closes the Loop Between Implementation and Policy" https://www.newamerica.org/insights/virginias-new-paid-leave-law-closes-the-loop-between-implementation-and-policy/[21:00] 小規模企業支援 — ばらばらの支援を地域の成長経路につなぐBrookings の記事をもとに、小規模企業支援を、補助金や相談窓口を増やす施策としてだけでなく、地域の中で資金、顧客、人材、経営支援、販路をつなぐ仕組みとして取り上げます。本エピソードでは、小規模企業が米国の企業数と雇用の大きな部分を占めていること、支援制度があっても経営者が自力で探さなければならない構造があること、地域の官民の支援機関を束ねる調整役が必要になることを議論しました。大型投資や公共調達、データセンター、インフラ投資を地元企業の取引機会に変えるには、自然な波及を待つだけでは不十分です。調達基準、品質認証、納期、人材確保に対応できるよう、地域側で受け皿を設計する必要がある、という論点も扱っています。出典: Brookings, "Time to level up: How to help America’s small businesses survive and thrive in tumultuous times" https://www.brookings.edu/articles/level-up-small-businesses-survive-thrive/[40:02] 農村ブロードバンド整備 — 補助金をインフラに変える地域の実装能力Brookings の記事をもとに、農村ブロードバンド整備を、資金の問題に加えて、資金を使いこなす地域の能力の問題として取り上げます。本エピソードでは、米国の農村部や先住民部族地で、固定ブロードバンドへのアクセスが十分に行き届いていないことを扱いました。農村部では、距離、地形、住宅密度、保守コストの問題により、市場任せでは投資回収が難しくなります。さらに、支援制度が増えるほど、申請側の負担も重くなります。Rural Prosperity Partners が、研修、個別支援、実務ツールを通じて、申請準備や技術支援を担ったことも取り上げました。50万ドルの支援が4,000万ドル超の資金獲得につながった一方で、これは社会的便益そのものではなく、資金獲得額として見る必要がある点にも触れています。日本の地域DXや地方創生でも、制度を作るだけでなく、申請能力、設計能力、実装能力をどう育てるかが問われます。出典: Brookings, "Strengthening capacity in underserved rural areas: USDA-RD Oregon’s approach for broadband deployment" https://www.brookings.edu/articles/usda-reconnect-rural-broadband-oregon/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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経済・財政・金融政策の最新論点 [2026年3月 - 5月] : 財政余地、供給ショック、国際金融から考える 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、経済・財政・金融政策に関する直近3か月の海外シンクタンク・国際機関の論考を横断して分析します。英語圏の国際機関・政策研究機関などによる最近の論考10本をもとに、高債務時代の財政余地、国債市場と金融仲介、防衛支出、供給ショックとインフレ、エネルギー・食料価格ショック、関税コストの物価転嫁、米国金融政策サプライズ、ノンバンク投資家、債務サービス一時停止条項、ユーロ共同債と安全資産市場といった論点を整理します。本動画は、各記事の翻訳や全文要約ではありません。経済・財政・金融政策をめぐる論点を、公共政策関係者向けに整理するものです。00:00 イントロダクション00:35 今回の全体像02:18 【論点1】高債務時代の財政余地03:20 記事1: 高債務・高金利下の財政政策06:08 記事2: 金融安定が財政余地に課す制約10:19 記事3: 防衛支出の財政・マクロ経済への影響14:47 【論点2】供給ショックとインフレへの対応16:15 記事4: 中東情勢と世界経済の強靭性19:25 記事5: エネルギー・食料価格ショックへの政策対応21:48 記事6: 関税コストの消費者物価への転嫁26:19 【論点3】グローバル金融条件と資本フロー27:13 記事7: 米国金融政策サプライズと新興市場国29:27 記事8: ノンバンク投資家と新興市場国の資本フロー33:26 【論点4】危機に備える制度設計34:21 記事9: 債務サービス一時停止条項36:56 記事10: ユーロ共同債と欧州の安全資産市場40:50 4つの論点の横断整理と日本への示唆■ 紹介した論考1. IMFFiscal Policy under Pressure: High Debt, Rising Riskshttps://www.imf.org/en/publications/fm/issues/2026/04/15/fiscal-monitor-april-20262. Bank for International SettlementsFinancial stability limits on fiscal spacehttps://www.bis.org/publ/work1339.htm3. OECDFiscal and macroeconomic impacts of defence spendinghttps://www.oecd.org/en/publications/fiscal-and-macroeconomic-impacts-of-defence-spending_b4860378-en.html4. OECDOECD Economic Outlook, Interim Report March 2026: Testing Resiliencehttps://www.oecd.org/en/publications/oecd-economic-outlook-interim-report-march-2026_d4623013-en.html5. IMF BlogResponding to the Energy and Food Price Shock: Getting the Policy Details Righthttps://www.imf.org/en/blogs/articles/2026/05/20/responding-to-the-energy-and-food-price-shock-getting-the-policy-details-right6. Federal Reserve BoardDetecting Tariff Effects on Consumer Prices in Real Time – Part IIhttps://www.federalreserve.gov/econres/notes/feds-notes/detecting-tariff-effects-on-consumer-prices-in-real-time-part-II-20260408.html7. Bank for International SettlementsMonetary responses to external shocks in emerging market economies: the role of financial vulnerabilitieshttps://www.bis.org/publ/qtrpdf/r_qt2603e.htm8. IMF BlogAs Emerging Markets Attract More Nonbank Capital, They Also Face New Challengeshttps://www.imf.org/en/blogs/articles/2026/04/07/as-emerging-markets-attract-more-nonbank-capital-they-also-face-new-challenges9. Center for Global DevelopmentBetter Debt Shock Absorbers for Poor Countries: A Proposalhttps://www.cgdev.org/publication/better-debt-shock-absorbers-poor-countries-proposal10. Peterson Institute for International EconomicsEurobonds: Despite objections, they are more needed than everhttps://www.piie.com/blogs/realtime-economics/2026/eurobonds-despite-objections-they-are-more-needed-ever■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTube でも配信中PEP YouTube チャンネルhttps://www.youtube.com/@PEPlatform■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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見えない気候コストの制度設計 【海外シンクタンク記事分析】
気候政策を、排出削減目標や規制の話として捉えると、「削減にいくらかかるのか」に目が向きがちです。しかし、削減が遅れることで残る損失や、制度がまだ評価しきれていない便益もあります。今回のエピソードでは、「見えない気候コストの制度設計」をテーマに、ドイツの蓄電池、インドの炭鉱メタン、米国の温室効果ガス規制を扱います。今回の3本を通じて、気候政策の費用対効果をどう測り直すかを考えます。■キーワード蓄電池:調整力/容量市場/出力抑制/輸入ガス依存/柔軟性市場炭鉱メタン:上流排出/MRV/測定・報告・検証/資源調達/メタン回収米国規制:危険性認定/費用便益分析/健康被害/労働生産性/産業競争力■今回のトピック[01:13] ドイツの蓄電池 — 電気をためる設備から調整力へEmber の記事をもとに、蓄電池を「電気をためる設備」としてだけでなく、電力網の混雑やガス火力への依存を減らす調整力として捉える視点を取り上げます。本エピソードでは、ドイツで風力・太陽光の出力抑制が起きていること、発表済みの大規模蓄電池が稼働していれば、その一部を避けられた可能性があることを扱いました。あわせて、容量市場でガス火力を優先すれば、蓄電池や需要側の柔軟性を活用する機会を逃す可能性も議論しました。停電を防ぐためにガス火力という保険を買うのか。それとも、蓄電池、需要応答、スマート制御を新しい保険として育てるのか。制度設計が、消費者負担、再エネ統合、輸入ガス依存を左右するという論点を整理しました。出典: Ember, "Germany's battery opportunity" https://ember-energy.org/latest-insights/germanys-battery-opportunity[26:34] インドの炭鉱メタン — 測れない排出は削減も投資もできないEmber のレポートをもとに、石炭を燃やすときのCO2ではなく、石炭を掘る段階で漏れるメタンに焦点を当てます。本エピソードでは、インドで炭鉱メタンが化石燃料部門の漏えいメタン排出の大きな割合を占めること、排出量を測り、報告し、検証する全国制度が十分でないことを扱いました。鉱山別のデータがなければ、規制もクレジットも投資判断も難しくなります。そのため、MRV、クリアリングハウス、カーボンクレジット、気候ファイナンスをつなげる制度設計が重要になります。メタン回収を、気候対策だけでなく、鉱山安全、輸入ガス代替、投資誘導にもつなげる視点を議論しました。出典: Ember, "Understanding India's coal mine methane landscape" https://ember-energy.org/latest-insights/understanding-indias-coal-mine-methane-landscape[43:07] 米国の温室効果ガス規制 — 規制対応費の外にある社会コストCSIS の論考をもとに、米国で自動車やトラックの温室効果ガス規制が大きく巻き戻され、州や環境団体が訴訟を起こしている動きを取り上げます。政権側は、自動車規制の見直しによって、新車価格や規制対応費を下げられると説明しています。しかし、本エピソードで扱った中心論点は、コスト計算の範囲です。規制対応費だけを見れば負担は軽くなる一方で、熱波や大気汚染による医療費、労働生産性の低下、インフラ被害は残ります。気候政策を、企業に優しいか、環境に優しいかという二択で見るのでは不十分です。健康、労働力、産業政策、医療制度、輸出競争力を守る政策基盤として、規制をどう評価するかを議論しました。出典: CSIS, "Overturning the Endangerment Finding Threatens Americans’ Health, Wealth, and Security" https://www.csis.org/analysis/overturning-endangerment-finding-threatens-americans-health-wealth-and-security■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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産業政策の最新論点 [2026年3月 - 5月] : 重要鉱物、関税、蓄電池から考える 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、産業・通商・経済安全保障政策に関する直近三カ月の海外シンクタンクの記事を横断して分析します。英語圏の国際機関・シンクタンク等による最近の論考10本をもとに、産業政策の実行可能性、EUの新産業政策、関税政策、重要原材料の輸出制限、米中の技術・重要鉱物対立、重要鉱物の認証・検証、政府出資、クリーンテック製造投資、蓄電池供給網といったトピックに関して整理します。本動画は、各記事の翻訳や要約ではなく、産業政策の論点整理です。特定の政策立場を推奨するものではなく、産業政策と経済安全保障をめぐる最新の議論に関する見取り図を提供することを目的としています。00:00 イントロダクション00:37 今回の全体像02:07 【論点1】産業政策は実装能力の競争へ02:46 記事1: 産業政策の実行可能性05:47 記事2: EUのIndustrial Accelerator Act08:25 記事3: EU産業政策が米国IRAから学ぶべき教訓11:14 記事4: 米国相互関税政策の1年後検証15:45 【論点2】重要鉱物は供給フローの争点へ16:25 記事5: 重要原材料への輸出制限19:22 記事6: 米中の技術・重要鉱物貿易戦争22:20 記事7: 重要鉱物・レアアースの認証・検証制度24:46 記事8: 重要鉱物供給と政府出資29:22 【論点3】クリーンテックと蓄電池の産業基盤29:56 記事9: クリーンテック製造投資の減速32:42 記事10: 米国蓄電池産業の新局面36:30 日本への示唆■ 紹介した論考1. World BankIndustrial Policy for Development: Approaches in the 21st Centuryhttps://openknowledge.worldbank.org/entities/publication/9f8098d5-fa1f-4c1b-97b5-f04262818bb32. German Marshall FundThe EU’s Industrial Accelerator Act Puts Pedal to the Metalhttps://www.gmfus.org/news/eus-industrial-accelerator-act-puts-pedal-metal3. Carnegie Endowment for International PeaceEurope’s New Industrial Policy Can Learn From U.S. Mistakeshttps://carnegieendowment.org/emissary/2026/03/europe-iaa-industrial-policy-ira-us-mistakes4. Cato InstituteOne Year After “Liberation Day”: Here’s What We Know and What We Don’thttps://www.cato.org/blog/one-year-after-liberation-day-heres-what-we-know-what-we-dont5. OECDOECD Inventory of Export Restrictions on Critical Raw Materials 2026https://www.oecd.org/en/publications/oecd-inventory-of-export-restrictions-on-critical-raw-materials-2026_d5ca8f62-en/full-report.html6. Peterson Institute for International EconomicsNegotiating a win-win end to the lose-lose US-China trade war over technology and critical mineralshttps://www.piie.com/publications/working-papers/2026/negotiating-win-win-end-lose-lose-us-china-trade-war-over7. CSISLeading the Way: Building Secure Supply Chains for the Advanced Economyhttps://www.csis.org/blogs/charting-geoeconomics/leading-way-building-secure-supply-chains-advanced-economy8. Chatham HouseTo secure critical minerals supply governments need to take a stake in industryhttps://www.chathamhouse.org/2026/03/secure-critical-minerals-supply-governments-need-take-stake-industry9. Bruegel / Rhodium GroupUnderstanding the Global Clean Tech Manufacturing Slowdownhttps://www.cleaninvestmentmonitor.org/reports/understanding-the-global-clean-tech-manufacturing-slowdown10. CSISA New Phase for the U.S. Battery Industryhttps://www.csis.org/analysis/new-phase-us-battery-industry■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP): https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館: https://ihj.global/
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ナラティブの真空を埋めるインフラ 【海外シンクタンク記事分析】
ソーシャルメディアや生成AIの台頭によって、情報の信頼性は大きく揺らいでいます。ただし、今回の3本に共通しているのは、「正しい情報を出せばよい」という単純な話ではありません。情報の空白に入り込んだナラティブに対抗するには、情報の素早い提供とその正確性を支えるためのインフラが必要になります。今回のエピソードでは、「ナラティブの真空を埋めるインフラ」をテーマに、3本の記事を取り上げます。扱うのは、国連PKO撤退時の戦略的コミュニケーション、欧州が直面する認知戦の脅威、そして民主主義を支える制度的記憶です。■キーワードPKO撤退:戦略的コミュニケーション/期待値管理/国連ラジオと情報インフラ認知戦の脅威:生成AIと偽情報/官民連携と危機対応手順制度的記憶:歴史的記録/ナラティブの完全性/民主主義の説明責任■今回のトピック[01:35] PKO撤退の説明設計 — 信頼は撤退後に自然には残らないInternational Peace Institute の記事をもとに、国連平和維持活動が撤収・移行する局面における住民とのコミュニケーションの問題を取り上げます。戦略的コミュニケーションは、単なる広報ではありません。住民の期待管理、誤情報・偽情報への対応、政府や加盟国との調整、職員への内部説明、国連ラジオなどの情報インフラの移行を支える機能です。本エピソードでは、部隊が去った後に、誰が事実を伝え、誰が不安を受け止め、誰が信頼を引き継ぐのかを議論しました。また、撤退前から発信能力や情報インフラを設計しておく必要性も扱っています。国連ラジオは、単なる広報媒体ではありません。地域の公共圏や紛争予防能力を支える制度でもあります。その閉鎖や移行は、情報の空白を生みかねません。出典: International Peace Institute, "Strategic Communications and UN Peacekeeping Transitions" https://www.ipinst.org/?p=43004[23:06] 認知戦の脅威 — 事件直後の空白を誰が埋めるのかEuropean Council on Foreign Relations の記事をもとに、欧州が直面する認知戦の脅威を取り上げます。ドローン事案、サイバー攻撃、選挙介入、SNS上のナラティブが動いたとき、民主主義側は初動で何をすべきなのでしょうか。最初の数十分で、状況をどう理解し、説明し、関係機関と連携するのかが問われています。偽情報を一つずつ消すだけでは不十分です。重要なのは、事件直後の時間帯に、誰が、何を、どの範囲で説明するのかを制度化しておくことです。また、生成AIは、地域の言語や文脈に合わせた操作的コンテンツを低コストで作れます。一方で、プラットフォーム企業の対応には、検閲批判や政治的リスクも伴います。だからこそ、危機対応手順、独立監査、官民の責任分担が必要になります。出典: European Council on Foreign Relations, "The battle for the mind: How Europe can stay safe in the cognitive threat era" https://ecfr.eu/article/the-battle-for-the-mind-how-europe-can-stay-safe-in-the-cognitive-threat-era/[53:25] 民主主義を支える制度の記憶 — 記録が消えると神話が入り込むCentre for International Governance Innovation の記事をもとに、民主主義社会における歴史的記録と制度的記憶の重要性を取り上げます。記事は、ロシアによるウクライナ侵攻初期の事例から始まります。軍事施設だけでなく、博物館や文化機関も占拠されました。そこで狙われたのは、ウクライナの独立した過去を支える遺物です。本エピソードでは、歴史的記録の破壊を、単なる略奪ではなく、主権を説明する根拠を切断する行為として捉えました。偽情報や分断は、短期的な「嘘」の問題だけではありません。後から検証できる記憶が消える問題でもあります。メール、クラウド、短命な業務ツールに、意思決定の文脈が散らばる時代です。誰が、どの根拠で、どの制約のもとで判断したのか。その記録を、時点、作成者、文脈とともに残すことが、将来の説明責任と民主主義の基盤になります。出典: Centre for International Governance Innovation, "Institutional Memory, Narrative Integrity and the Future of Democratic Resilience" https://www.cigionline.org/articles/institutional-memory-narrative-integrity-and-the-future-of-democratic-resilience/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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労働政策の最新論点:AI、社会保障、移民から考える 【海外シンクタンク記事分析】
今回は、労働政策に関する直近三カ月の海外シンクタンクの記事を横断して分析します。英語圏の国際機関・シンクタンク等による最近の論考10本をもとに、AI、社会保障・税制、子育て支援、フリーランス、移民、人手不足、GX人材といったトピックに関して整理します。本エピソードは、各記事の翻訳や完全要約ではなく、労働政策上の論点整理です。特定の政策立場を推奨するものではなく、労働政策の最新の議論に関する見取り図を提供することを目的としています。■今回のトピック[00:00] イントロダクション[00:23] 今回の全体像[03:12] 【論点1】AI 時代の労働政策[04:01] 記事1: AI への労働者の曝露[07:50] 記事2: 生成 AI 曝露のジェンダー差[11:22] 記事3: AI 時代の労働の未来に向けた人間中心のビジョン[17:06] 【論点2】社会保障と働き方の制度設計[18:03] 記事4: 変化する労働市場における普遍的社会保護[23:15] 記事5: 独立請負人の誤分類問題[28:43] 記事6: 労働課税の累進性と「税のくさび」[34:19] 記事7: 仕事、保育、親になることへの移行のバランス[40:28] 【論点3】移民と人手不足[41:14] 記事8: 移民と地域経済パフォーマンス[44:21] 記事9: Brexit が英国への移民流入に与えた影響[49:25] 記事10: 労働力は足りているか?米国グリーン技能市場の事例[56:55] 日本への示唆■紹介した論考1. ILOWorkers’ exposure to AI: What indicators tell us – and what they don’thttps://www.ilo.org/publications/workers%E2%80%99-exposure-ai-what-indicators-tell-us-%E2%80%93-and-what-they-don%E2%80%99t2. ILOGen AI, occupational segregation and gender equality in the world of workhttps://www.ilo.org/publications/gen-ai-occupational-segregation-and-gender-equality-world-work3. Brookings InstitutionA people-first vision for the future of work in the age of AIhttps://www.brookings.edu/articles/a-people-first-vision-for-the-future-of-work-in-the-age-of-ai/4. ILOUniversal social protection in changing labour markets: Protecting workers in all types of employmenthttps://www.ilo.org/publications/universal-social-protection-changing-labour-markets-protecting-workers-all5. Economic Policy InstituteMisclassifying workers as independent contractors is costly for workers and social insurance systemshttps://www.epi.org/publication/misclassifying-workers-as-independent-contractors-is-costly-for-workers-and-social-insurance-systems/6. OECDTaxing Wages 2026: The Progressivity of Labour Taxation in OECD Countrieshttps://www.oecd.org/en/publications/taxing-wages-2026_3a5169ef-en.html7. Urban InstituteBalancing Work, Child Care, and the Transition to Parenthood: Findings from the District of Columbia New Parent Studyhttps://www.urban.org/research/publication/balancing-work-child-care-and-transition-parenthood8. Brookings InstitutionMetro Monitor 2026: The relationship between immigration and regional economic performance over the past decadehttps://www.brookings.edu/articles/metro-monitor-2026-immigration-and-regional-economic-performance/9. Centre for European ReformThe impact of Brexit on immigration to the UKhttps://www.cer.eu/insights/impact-brexit-immigration-uk10. Center for Global DevelopmentDo We Have Enough Workers? The Case of Green Skills in the UShttps://www.cgdev.org/publication/do-we-have-enough-workers-case-green-skills-us■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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石油危機が問い直す世界の脱炭素政策 【海外シンクタンク記事分析】
「石油危機」は、脱炭素政策を止める理由になるのでしょうか。それとも、化石燃料への依存を減らす理由になるのでしょうか。今回のテーマは、「石油危機が問い直す世界の脱炭素政策」です。世界の電力転換、気候外交の再設計、グローバルサウスのエネルギー移行を扱う3本の記事をもとに、化石燃料ショックの時代に脱炭素政策をどう位置付けるべきかを考えます。■キーワードクリーン電力:太陽光・風力が需要増を吸収/再エネが石炭を上回る/送電網・蓄電池・市場制度気候外交:地政学が協力条件を再定義/クリーンエネルギー安全保障/資金動員と連合の再設計石油危機:ホルムズ海峡リスク/グローバルサウスの脆弱性/重要鉱物と国家能力■今回のトピック[01:39] 再エネが担う電力需要増 — 化石燃料を増やさずに成長できるのかEmber のレポートをもとに、2025年の世界の電力転換を取り上げます。昨年度、世界の電力需要増のほとんどを太陽光発電と風力発電が吸収しました。低炭素電源の増加量も、世界の電力需要増を上回りました。本エピソードでは、再生可能エネルギーが電力需要の伸びを支える中心技術になりつつあることを議論しました。再エネが石炭を上回ったことも、大きな転換点です。一方で、昼間の太陽光を「いつでも使える電力」に変えるには、送電網、蓄電池、市場制度の整備が欠かせません。クリーン電力をどれだけ早く整えられるかは、将来の製造業や立地戦略にも関わります。出典: Ember, "Global Electricity Review 2026" https://ember-energy.org/latest-insights/global-electricity-review-2026[23:25] 気候外交の構造変化 — 地政学が協力の条件を変えるE3G の記事をもとに、気候政策が地政学と切り離せなくなっている状況を取り上げます。気候政策は、環境政策の一分野にとどまりません。エネルギー安全保障、貿易、産業政策、開発金融と結び付き、国際秩序そのものに影響を及ぼす政策領域になっています。本エピソードでは、中東の対立、エネルギー市場、貿易ルート、インフレ、米国政府の気候協力からの後退、中国の供給網支配が、気候協力の条件を変えていることを議論しました。クリーンエネルギー安全保障、開発金融、気候資金、官民連携、COPやG7を通じた連合形成を、どのように設計し直すかが問われています。出典: E3G, "Geopolitics and climate cooperation for a world in flux" https://www.e3g.org/news/geopolitics-and-climate-cooperation-for-a-world-in-flux/[43:32] 石油危機が移行を試す — グローバルサウスの国家能力New Security Beat の記事をもとに、2026年の石油危機を、グローバルサウスにおけるエネルギー移行のストレステストとして捉えます。本エピソードでは、フィリピンの事例を通じて、燃料輸入への依存、再エネ導入の遅れ、重要鉱物の加工能力不足、規制能力の弱さが同時に表面化していることを議論しました。フィリピンにはニッケル資源がありますが、国内で電池材料へ加工する力は十分ではありません。一方、インドネシアはニッケル加工を国内に取り込みました。ただし、その加工工程の多くは石炭火力に依存しています。産業化が進んでも、低炭素化と結び付かなければ、環境負荷を別の場所に移すだけになりかねません。石油危機は脱炭素を遅らせる理由ではなく、再エネ、電化、低炭素の鉱物加工、送電網、公共交通、社会保護を一体で設計する理由になります。出典: New Security Beat, "A New Oil Crisis Stress-Tests the Global Energy Transition" https://www.newsecuritybeat.org/2026/04/a-new-oil-crisis-stress-tests-the-global-energy-transition/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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成果に繋がるAI導入に必要なもの 【海外シンクタンク記事分析】
「AIを使うこと」と「AIで成果を上げること」の間には距離があります。今回のエピソードでは、「成果につながるAI導入に必要なもの」をテーマに、医療AIの優先順位づけ、成熟したAI経済、政府調達制度という3本の記事を通じて、AI導入を技術選定だけで考えるのではなく、課題設定、長期的な採算、調達の設計として捉え直します。■キーワード医療AI:課題起点の優先順位づけ/低リスク領域からの段階導入AI経済:トークン・API・クラウド計算資源/ワークフロー再設計/産業別の実用的AI応用政府調達:FAR改革/RFO/簡素化と標準化/共通インターフェースと現場裁量■今回のトピック[01:55] 医療AIの優先順位づけ — どのAIを使うかではなく、どの制約を解くかTony Blair Institute for Global Change の記事をもとに、保健医療でAIを導入する際に、技術やベンダーからではなく、その国の医療制度の課題から出発すべきだという論点を取り上げます。本エピソードでは、人手不足、需要増、予算制約が重なる医療現場で、スタートアップの売り込みやデモの印象に振り回されないための手法として、AIの用途を6領域・23サブカテゴリに整理し、実現可能性、インパクト、拡張可能性、国家戦略との整合性から優先順位をつける考え方を議論しました。また、診断や臨床意思決定支援のような高リスク領域だけでなく、記録作成、予約、病床管理、在庫管理など、医療オペレーションを変える低リスク領域から段階的に導入する可能性についても考えます。出典: Tony Blair Institute for Global Change, "“Where Do I Start?”: How Governments Can Prioritise AI Solutions for Health" https://www.institute.global/insights/public-services/where-do-i-start-how-governments-can-prioritise-ai-solutions-for-health[23:19] 成熟したAI経済 — AIを使わない場所まで設計するCSIS の記事をもとに、AI経済が成熟するためには、AIをもっと使うという単純な話ではなく、いつ、どこで、どこまで使わないかまで含めて経済価値を最大化する必要があるという論点を取り上げます。本エピソードでは、データセンター、トークン消費、API、クラウド計算資源のコストが見え始める中で、AIを既存業務に組み込むだけでは長期的な利益率を下げる可能性があること、AIの導入量ではなく、ワークフローやビジネスモデルを再設計できるかが競争力を決めることを議論しました。また、産業別のAI応用、データとプライバシーの規制、人材育成、電力やインフラ制約、そしてAIのコストをどう管理するかという実務的な論点にも触れています。出典: Center for Strategic and International Studies, "Toward a Mature AI Economy: Policy Priorities for the Road Ahead" https://www.csis.org/analysis/toward-mature-ai-economy-policy-priorities-road-ahead[46:36] 政府調達の制度設計 — ルールを短くすれば速くなるのかNiskanen Center の記事をもとに、米国の連邦調達規則、FARの改革を題材として、調達制度を単純化することの隠れたコストを取り上げます。本エピソードでは、調達が遅く高いという問題意識は重要である一方、ルールを減らしすぎると共通の型まで消えてしまい、省庁や部署、担当者ごとに手続きが分裂する可能性があることを議論しました。公共部門でAIやクラウド、サイバーセキュリティのような仕様の固定が難しい技術を導入するには、現場裁量だけでなく、共通データ、評価基準、リスク管理、実務ガイド、横断的な学習ループが必要です。日本の中央政府や自治体調達、スタートアップ参入、デジタル、インフラ、防災、医療、研究開発にもつながる制度設計の論点として考えます。出典: Niskanen Center, "The hidden cost of simplicity: Procurement reform’s fragmentation problem" https://www.niskanencenter.org/the-hidden-cost-of-simplicity-procurement-reforms-fragmentation-problem/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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『働く力のインフラ』としての家族と制度 【海外シンクタンク記事分析】
「家族」や「ケア」は、経済の外側にある私的な領域だと考えられがちです。しかし今回のエピソードでは、「働く力のインフラとしての家族と制度」をテーマに、卵子凍結、マレーシアの外国人配偶者ビザ、米国の保育・幼児教育政策という3本の記事を通じて、仕事を続けるか、子どもを持つか、どこで誰と暮らすかといった人生の選択が、実は細かな制度設計の積み重ねによって左右されていることを考えます。■キーワード卵子凍結:平均年齢38歳データの一般化/20代後半から30代前半の情報提供/情報の非対称性外国人配偶者:LTSVP/就労権と在留資格/婚姻依存と家庭内暴力保育・幼児教育:ECE/需要側支援と供給側政策/保育人材・質・地域ミスマッチ■今回のトピック[01:47] 卵子凍結の情報設計 — 将来の選択肢は「成功率」だけでは決まらないWorks in Progress の記事をもとに、卵子凍結を「効くか、効かないか」という一元的な物差しだけで見るのではなく、何歳で、何個の卵子を、どの施設で、どの指標を見て判断するのかという情報設計の問題として取り上げます。本エピソードでは、悲観的な報道の多くが凍結時の平均年齢38歳のデータを一般化していること、卵子凍結は出産を保証する技術ではなく、将来の選択肢を残すオプションに近いこと、成功率やクリニック品質を広告ではなく公的データで比較する必要があることを議論しました。また、卵子凍結が普及することで、出産時期の遅れを個人の責任に押し込めてしまうリスクにも触れ、技術と制度の両方で選択肢を増やす社会をどう作るかを考えました。出典: Works in Progress, “The truth about egg freezing” https://www.worksinprogress.news/p/the-truth-about-egg-freezing[22:34] マレーシアの外国人配偶者ビザ — 働けない配偶者を制度が生むLowy Institute の記事をもとに、マレーシアの外国人配偶者が長期ソーシャル・ビジット・パス、LTSVPで滞在できても、就労がデフォルトでは認められていない問題を取り上げます。本エピソードでは、外国人配偶者がすでに国内にいる技能人材であるにもかかわらず、制度が家族の一員としてしか扱わず、労働市場への入口で摩擦を生んでいることを議論しました。就労承認にマレーシア人配偶者の同伴が必要になること、雇用主や州に就労許可が紐づくこと、婚姻が終わると在留と就労の基盤が揺らぐことは、人材政策としても人権政策としても逆機能しうるという視点です。日本についても、配偶者に基づく在留資格、離婚や別居、家庭内暴力、企業の採用時の不確実性を横断して考える必要があることを議論しました。出典: Lowy Institute, “Foreign spouses in Malaysia are an untapped talent pool” https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/foreign-spouses-malaysia-are-untapped-talent-pool[41:31] 保育・幼児教育政策 — 補助金だけではケアは支えられないEquitable Growth の研究をもとに、米国の乳幼児期の保育・教育(ECE)を、子育て支援だけでなく、親の就労と子どもの発達を同時に支えるインフラとして取り上げます。本エピソードでは、保育補助や税額控除のような需要側支援は参加率や親の就労を高める一方で、質の改善には限界があること、公的な保育枠やプレKのような供給側政策にも対象や規模の制約があることを議論しました。また、保育は地域ごとの超ローカル市場であり、ある年齢層の公的枠拡大が別の年齢層の民間供給を減らす可能性があること、保育者の低賃金が家庭の保育費を下げる隠れた補助金として機能している可能性にも触れました。日本についても、待機児童が減る中で、単なる量の不足から、地域、時間帯、年齢、質のミスマッチへ論点が移っていくことを考えました。出典: Equitable Growth, “How does early childhood care and education affect U.S. families and workers, and which policies support child participation and boost the quality of care?” https://equitablegrowth.org/research-paper/how-does-early-childhood-care-and-education-affect-u-s-families-and-workers-and-which-policies-support-child-participation-and-boost-the-quality-of-care/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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『日本すごい』の正体は、実は地味な制度と足腰? 【海外シンクタンク記事分析】
「日本すごい」と一言で済ませてしまうと、その強みを支えている地味な仕組みが見えなくなってしまうかもしれません。今回のエピソードでは、「『日本すごい』の正体は、実は地味な制度と足腰?」をテーマに、日本の鉄道、カナダの高速鉄道計画、そして日本の造船という3本の記事を通じて、日本の強みの作り方、そして直し方を考えます。■キーワード鉄道:街を作る鉄道会社/駐車政策と土地利用/民営化と運賃規制新幹線:カナダ・Alto 計画/メガプロジェクトと国家能力/成立条件の輸出造船:1兆円規模の投資フレーム/米海軍の整備支援/三つの KPI に分けた再生■今回のトピック[01:40] 日本の鉄道はなぜ強いのか — 文化ではなく制度の組み合わせWorks in Progress の記事をもとに、日本の鉄道の強さを、定時運行や国民性ではなく、街づくり事業としての鉄道経営と、それを支える制度の束として読み解く視点を取り上げます。本エピソードでは、駅周辺の不動産や商業、生活サービスを展開できるようにする沿線開発モデル、住居系地域でも一定の店舗や学校、病院が共存できる比較的リベラルな用途地域制度、車庫証明のように駐車コストを利用者に負担させる駐車政策、そして運賃上限規制や公共目的に絞った資本補助と組み合わせた JR の民営化、こうした制度の組み合わせが日本の鉄道の高い利用率を支えていること、一方で地方の公共交通や民営化以外の側面、文化論を完全に否定しすぎることのリスクについても議論しました。出典: Works in Progress, "The secrets of the Shinkansen" https://www.worksinprogress.news/p/the-secret-behind-japans-railways[22:50] 新幹線はカナダに移植できるか — 成功例の輸入リスクMacdonald-Laurier Institute の記事をもとに、日本の新幹線のファンを自認する著者が、カナダのトロント・ケベックシティ間の高速鉄道計画 Alto に反対する論考を取り上げます。本エピソードでは、600億から900億カナダドル規模、10年以上を要する巨大事業であり地元の土地収用や地域分断への反発も強いこと、日本の成功は地理や人口密度や継続的な建設能力に支えられていてカナダにそのまま適用できないこと、メガプロジェクトは費用超過や需要見積もりの誤りが頻発するという研究知見、トロント・モントリオール3時間という距離は航空からの転換が起きやすいゾーンに入るという推進派の反論、そして日本がインフラを輸出する際には新幹線そのものではなく新幹線を成立させる条件をいかに輸出できるかが問われること、機会費用として航空インフラや都市内交通との比較ポートフォリオで考える必要があることを議論しました。出典: Macdonald-Laurier Institute, "Why the Toronto-Quebec high-speed rail line is a bad idea" https://macdonaldlaurier.ca/why-the-toronto-quebec-high-speed-rail-line-is-a-bad-idea/[44:21] 日本の造船再生の現実的な勝ち筋 — 中国に勝つのではなく、同盟の整備基盤にLowy Institute の記事をもとに、日本の造船業の再生を、世界一の商業シェアを取り戻す産業政策ではなく、米海軍の稼働率やインド太平洋の同盟運用、海上輸送の経済安全保障を支える後方能力として読み解く視点を取り上げます。本エピソードでは、日本の防衛物量の 99.6% を海上輸送が担うこと、米海軍が整備待ちや調達遅延を抱え最大 3 年の遅れも指摘されていること、3500 億円の政府基金と 1 兆円規模の官民投資フレームが分けて示されていること、量で中国に対抗するのではなく稼働率の引き上げや高品質、脱炭素船、同盟向けの標準を握る方向に活路があること、そして造船再生の目標を世界シェアの回復、国内海上輸送の安全保障、同盟国の整備支援という三つの KPI に分けて管理する必要があること、米艦の整備受け入れは仕事の受注ではなく契約や機密管理、部品認証を含む標準化プロジェクトとして見る必要があることを議論しました。出典: Lowy Institute, "Japan aims for a shipbuilding revival" https://www.lowyinstitute.org/the-interpreter/japan-aims-shipbuilding-revival■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/
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