EPISODE · Jun 10, 2026 · 16 MIN
【介護関連】介護される側の心構え:家族から大切にされる人の「愛嬌」と、いまから育てる関係性の貯金
from おうちで診る医療|名古屋発!ごうホームクリニックの在宅医療ポッドキャスト · host Go Ito
「正直に言うと、父に会いに行く足が、だんだん遠のいているんです」。訪問診療の現場やケアマネジャーとの面談で、ご家族からこうした打ち明け話を伺うことは珍しくありません。感謝の言葉がない、助言を聞かない、不満ばかりが続く。そんな親との関わりに疲れ、罪悪感を抱えながらも距離を取り始めているご家族は、決して少なくないのです。一方で、ご家族が自然と集まり、笑顔で世話を焼かれている患者さんもいらっしゃいます。その違いはどこから生まれるのでしょうか。 介護は長い営みです。厚生労働省の令和4年国民生活基礎調査によれば、要介護者等からみた主な介護者は「同居の家族」が45.9%を占め、同居の主な介護者と要介護者がともに65歳以上である、いわゆる老老介護の割合は63.5%にのぼります。数年から十年を超える時間を、家族の心だけで支え続けることがいかに大変か、統計からも浮かび上がります。そして家族介護者の負担感についての研究では、負担の重さは介護の量や内容だけでなく、「介護される側の要因」や「介護する側とされる側の関係性」によっても左右されることが、要因の分類として整理されています。 ここで鍵になるのが、「義務感からのケア」と「心からのケア」という対比です。同じ介護という行為でも、義務感だけで続けるケアは介護する側の心を静かに消耗させ、関わりは最低限に縮んでいきます。心からのケアは、声かけもそばにいる時間も自然と増え、介護する側にも「関われてよかった」が残ります。この二つを分けるのは、介護が始まってから取り繕える何かではなく、それまでの何十年で積み重ねてきた関係性、いわば「関係性の貯金」です。 この資料では、いつか介護される側になる私たち自身と、いま親の介護に向き合っているご家族の双方に向けて、3つの観点で整理します。①現場で見えてくる「大切にされる人」の共通点(愛嬌とは性格ではなく関係性への態度であること)、②家族の心は義務だけでは続かないこと(研究が示す関係性と感謝の力、そして年を重ねると愛嬌が失われやすい理由)、③いまから始められる「関係性の貯金」の習慣と、関係が難しくなったときの専門職への委ね方。最後に、当院のソーシャルワーカーによる無料の在宅相談(出張相談)についてもご紹介します。
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